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米国州法における株式大量取得の規制

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(1)

米国州法における株式大量取得の規制

著者 松井 和也

雑誌名 同志社法學

巻 67

号 1

ページ 354‑321

発行年 2015‑05‑30

権利 同志社法學會

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000015452

(2)

米国州法における株式大量取得の規制

松  井  和  也 

目次 はじめに

第1章 支配株式取得法  一 支配株式取得法の概要  二 支配株式取得法の機能 第2章 事業結合規制法  一 事業結合規制法の概要  二 事業結合規制法の機能 第3章 株式大量取得への対応方法  一 米国

 二 日本

はじめに

 わが国は昭和 46 年(1971 年)の証券取引法改正で、公開買付制度を導入 した。これは公開買付者に株式大量取得の条件を開示させて、既存株主に持 株の売却機会を平等に与えようとする制度である。公開買付制度は、米国に おける連邦の 1934 年証券取引所法を参考にして導入されたものである( 1 )。  米国各州の州法(会社法)には、株式大量取得を規制する規定がある。す なわち、たとえば、支配株式(保有者に5分の1、3分の1、過半数以上の 議決権を与える株式)を取得しても、当該株式には議決権を付与しないと規

(1) 森田章『上場会社法入門[第2版]』374頁(2010年)参照。

(3)

定するものがある(支配株式取得法)。

 ただし、支配株式取得法のもとでは、支配株式を取得しようとする者、ま たは取得した者は、発行会社に特別の株主総会の開催を請求することができ、

その株主総会で既存株主から当該株式の議決権を承認してもらうことができ る。このように、支配株式取得法は、株式大量取得に際して株主総会の関与 を要求する( 2 )

 取得株式数に上限のある公開買付けに直面した個々の既存株主は買付けの 条件に不満があっても、他の株主がそれに応募してしまい、自分が会社に取 り残されることをおそれるあまり、そのような公開買付けに応募しがちとな る。このような問題を解決する方法のひとつが支配株式取得法である。すな わち、支配株式取得法のもとでは、特別の株主総会における支配株式の議決 権の承認に際しての賛否と公開買付けへの応募は別の行為であるから、既存 株主は支配株式の議決権の承認に反対することで、不十分な条件の公開買付 けに反対することができる。

 株式大量取得を規制する州法として、支配株式取得法以外に事業結合規制 法がある。すなわち、デラウェア州などが採用する事業結合規制法は、一定

(たとえば 15%)以上の議決権付株式の取得者に対して、発行会社との事業 結合を一定期間(たとえば3年間)禁止する。ただし、州によっては、一定

(たとえば 15%)未満の保有割合の者が行う公開買付けに既存株主からの応 募があり、その結果、議決権保有割合が一定(たとえば 85%)以上になっ たときは、発行会社との事業結合を制限しないと規定する。

 取締役会がポイズン・ピルを採用する場合でも、取得株式数に上限を設け ないなどの条件を満たす適格公開買付けには、ポイズン・ピルを発動させな いようにすることがある。このようなポイズン・ピルが採用される場合、公

(2) 株式会社における株主の個性が会社経営上無視できないことを理由に、わが国でも支配 株式取得法のような規律を導入すべきだという主張がある。

   森田章「企業買収の総論的課題」商事法務1259号4頁、7頁(1991年)、森田章「企業買 収と対抗策」ジュリスト1050号147頁、148頁(1994年)参照。

(4)

開買付者は事業結合規制法のもとで、適格公開買付けの結果、一定以上の議 決権付株式を取得できるのであれば公開買付けを完了させることができる。

 このように、株式大量取得に、株主総会の関与を要求したり、公開買付け の結果、一定以上取得できることを要求したりするという州法がある。本稿 では、以上のような規制を紹介し、その機能を検討した後で、わが国にこの ような規制をとり入れることができるかどうかを検討する。

第1章 支配株式取得法

一 支配株式取得法の概要

 米国各州の州法(会社法)には、株式大量取得を規制する規定がある( 3 )(State Anti-Takeover Statutes)。支配株式取得法(Control Share Acquisition Statutes)は、デラウェア州では採用されていないが、27 の州で採用され ている( 4 )

 1. たとえば、フロリダ州の支配株式取得法( 5 )は以下のように規定する。す なわち、支配株式を取得しても、当該株式取得者および発行会社の執行役等 を除く、利害関係のない株主( 6 )からの過半数の承認がない限り、当該株式には

(3) 米国の州法に関する邦語の文献として、神田秀樹「企業買収に関するデラウェア州会社 法改正」商事法務1146号2頁(1988年)、並木和夫「アメリカ合衆国における企業買収規制 規定とその問題点」法学研究62巻3号40頁(1989年)、吉原和志「州による企業買収規制の 展開と現況[上]、[中]、[下]」商事法務1216号9頁、1218号20頁、1221号14頁(いずれも 1990年)、中東正文『企業結合・企業統治・企業金融』107~125頁(信山社、1999年)[初 出、名古屋大学法政論集139号、1992年]、黒沼悦郎『アメリカ証券取引法[第2版]』197

~200頁(弘文堂、2004年)などがある。

   中東正文「企業結合法制と買収防衛策」森本滋編著『企業結合法の総合的研究』102頁、

108頁(商事法務、2009年)、中東正文『企業結合法制の実践』156頁(信山社、2009年)[初 出、ジュリスト1346号、2007年]も参照。

(4) See Arthur Fleischer, Jr. & Alexander R. Sussman, TAKEOVER DEFENSE (Volume 1)

4-37 (2004); Lucian Bebchuk, Alma Cohen & Allen Ferrell, Does the Evidence Favor State Competition in Corporate Law?, 90 California Law Review 1775, 1813-14 (2002).

(5) Fla.Stat.§607.0902.

(6) Id. (3).

(5)

議決権は付与されない( 7 )と。支配株式(control shares)とは、それを保有す る者に一定以上の議決権(5分の1、3分の1、過半数)を与える株式のこ

とである( 8 )。支配株式取得が起こる前に、当該株式取得が取締役会から承認さ

れたとき、当該株式取得に支配株式取得法は適用されない( 9 )。また、支配株式 取得が起こる前に、支配株式取得法を適用しない旨を基本定款または付属定 款で定めておくことができる(10)(オプト・アウト)。

 フロリダ州の支配株式取得法は、次の3要件――(1)株主が 100 人以 上いる。(2)州内で事業を営んでいる、州内にオフィスがある、または州 内に資産を有する。(3)10%以上の株主が州内に住んでいる、株式の 10%

以上が州の住人によって保有されている、または 1,000 人以上の株主が州内 に住んでいる――をすべて満たす発行会社に適用される(11)

 支配株式を取得しようとする者、または取得した者は発行会社に支配株式 取得の届出(statement)を提出することができる(12)。そこには、取得者の身 元、取得者の保有株式数、支配株式の取得がまだ行われていない場合は株式 取得の条件および取得資金などについて記載しなければならない(13)。取得者は 届出の提出時に、特別の株主総会(special meeting)の開催を請求するこ とができ、特別の総会の開催費用の負担を約束したとき、発行会社の取締役 は 10 日以内に、取得済みのまたはこれから取得される株式に議決権を付与 するかどうかを決定する特別の総会を招集しなければならない(14)

 特別の株主総会は発行会社が開催請求を受けてから 50 日以内に開催され

(15)

。そのような請求がなかったときは、年次株主総会で当該株式に議決権を

(7) Id. (9).

(8) Id. (1).

(9) Id. (2)(d)7.

(10) Id. (5).

(11) Id. (4)(a).

(12) Id. (6).

(13) Id.

(14) Id. (7)(a).

(15) Id. (7)(b).

(6)

付与するかどうかを決定することができる(16)

 なお、支配株式取得が起こる前に基本定款または付属定款で定めることに より、支配株式を取得した者が届出を提出しなかったり、株式取得者が届出 を提出したものの議決権が承認されなかったりしたとき、会社は当該株式を 公正な価格で買い取ることができる(17)

 会社は特別の株主総会の開催請求があったとき、その総会のために設定さ れた基準日(record date)における株主に対し、できるだけ早く通知をす

(18)

。通知は株式取得者が会社に提出した届出の内容、支配株式取得に関する 取締役会の見解を含んだものでなければならない(19)

 2. インディアナ州の支配株式取得法(20)のもとでも、フロリダ州法と同様、

支配株式を取得しようとする者、または取得した者は発行会社に支配株式取 得の届出を提出することができる(21)。取得者は届出の提出時に、特別の株主総 会の開催を請求することができ、特別の総会の開催費用の負担を約束したと き、発行会社の取締役は 10 日以内に、取得済みのまたはこれから取得され る株式に議決権を付与するかどうかを決定する特別の総会を招集しなければ ならない(22)。特別の株主総会は発行会社が開催請求を受けてから 50 日以内に 開催される(23)

 インディアナ州の支配株式取得法は次の3要件――(1)株主が 100 人 以上いる。(2)インディアナで事業を営んでいる、インディアナにオフィ スがある、またはインディアナに 100 万ドル以上の市場価値がある資産を 有する。(3)10%以上の株主がインディアナに住んでいる、株式の 10%以 上がインディアナの住人によって保有されている、または 1,000 人以上の株

(16) Id.

(17) Id. (10).

(18) Id. (8).

(19) Id.

(20) Ind.Code Ann.§§23-1-42-1 to 23-1-42-11.

(21) Id. 23-1-42-6.

(22) Id. 23-1-42-7 (a).

(23) Id. (b).

(7)

(24) Id. 23-1-42-4 (a).

(25) Va.Code Ann.§§13.1-728.1 to 13.1-728.9.

(26) Id. 13.1-728.4.

(27) Id. 13.1-728.4 A.

(28) Id. B.

(29) Ohio Rev. Code Ann.§1701.831.

(30) Id. 1701.831 (B).

(31) See Comment, The Ohio Control Share Acquisition Act: Has Its Time Finally Come?, 21 Akron Law Review 359, 360 (1988).

(32) Ohio Rev. Code Ann.§1701.01 (Y).

主がインディアナに住んでいる――をすべて満たす発行会社に適用される(24)。  3. ヴァージニア州の支配株式取得法(25)のもとでも、フロリダ州法と同様、

株式取得者は支配株式取得の前または後で、会社に支配株式取得の届出を提 出することができる(26)。取得者は届出の提出時に、特別の株主総会の開催を請 求することができ、特別の総会の開催費用の負担を約束したとき、会社の取 締役は 10 日以内に、取得済みのまたはこれから取得される株式に議決権を 付与するかどうかを決定する特別の総会を招集しなければならない(27)。特別の 株主総会は発行会社が開催請求を受けてから 50 日以内に開催される(28)。なお、

ヴァージニア州の支配株式取得法には、フロリダ州法、インディアナ州法、

オハイオ州法と異なり、支配株式取得法が適用される会社を限定する規定は ない。

 4. オハイオ州の支配株式取得法(29)は、支配株式を取得しようとする者は発 行会社に支配株式取得の届出を提出しなければならないと規定する(30)。オハイ オ州では、州の議会が、株主は、自分以外の株主の多くが公開買付けに応募 してしまい自分が少数株主になることを懸念するので、公開買付けには強圧 性があり、合併などと同様、公開買付けには株主の承認を必要にするべきだ と考えた結果(31)、オハイオ州の支配株式取得法は、支配株式を取得する前に既 存株主から承認を得る方法だけを規定する。オハイオ州の支配株式取得法は、

州内で事業を営んでいる、州内にオフィスがある、または州内に資産を有す る株主が 50 人以上いる発行会社に適用される(32)

(8)

 5. ペンシルヴェニア州にも支配株式取得法がある(33)。ペンシルヴェニア州 法には、支配株式を取得しようという意図のもとで取得した株式は、支配株 式だとみなすという規定がある(34)。このようなペンシルヴェニア州法のもとで、

ペンシルヴェニア東部地区連邦地方裁判所は、AMP 対アライド・シグナル(35)

において、株式保有割合が 20%未満の者も議決権を行使できないとした。

 AMP 社(以下、A社)はペンシルヴェニアの会社である。1998 年8月4日、

アライド・シグナル社(以下、アライド社)は、A社のすべての社外株式を 買い付ける、友好的ではない公開買付けの実施を公表した。公開買付けの結 果、アライド社は 9.1%のA社株を保有することになった。A社は、アライ ド社が取得した株式は支配株式に該当すると主張し、アライド社が議決権を 行使することの差止めを連邦地方裁判所に請求した。

 連邦地方裁判所は、アライド社は支配株式を取得したとして、アライド社 による議決権行使を禁止した(36)。しかし、第3巡回区控訴裁判所は、議決権は く奪の効果が生じるのは実際に 20%の株式を取得したときであるとし、連 邦地方裁判所の命令を破棄した。

 控訴裁判所はその理由を次のように説明する。すなわち、ペンシルヴェニ ア州法をA社のように解釈することは、買収防衛策は脅威との関係でつりあ いのとれたものでなければならないというルールと調和しにくい(37)と。本件で は議決権保有割合は 20%未満であり、議決権を失うことはない。

二 支配株式取得法の機能

 支配株式取得法は、支配株式の議決権を承認するかどうか、つまり株式の 大量取得を承認するかどうかを特別の株主総会で既存株主が決定できるよう にするものである。このような規定は会社支配の変動に際して、既存株主を

(33) 15 Pa.C.S.§§2561-68.

(34) Id. 2562.

(35) AMP Inc. v. Allied Signal Corp., 1998 WL 967579 (E.D. Pa.).

(36) Id. at *4.

(37) AMP Inc. v. Allied Signal Corp., 168 F.3d 649, 655 (3d Cir. 1999).

(9)

保護することになる。

 たとえば、50%超の株式について、時価よりも高い価格で公開買付けをし た後、残りの株主を公開買付けの価格よりも低い価格で締め出すという買収 の手法がある。既存株主は公開買付けの条件に不満を感じていても、他の株 主がそれに応募してしまい、公開買付けで支配を得た買収者に締め出される ことをおそれるあまり、公開買付けに応募しがちとなる。

 このような問題を解決する方法として、たとえば、公開買付けを完了させ るには既存株主の承認を必要にすることが考えられる。そうすれば、既存株 主は公開買付けに反対することができる(38)。そのような仕組みは以下の方法で 実現されよう。

 1. 敵対的買収において、買収者は選挙をとおして買収対象会社の取締役 を、ポイズン・ピルを消却する者に交代させる必要がある(39)(なお、買収者は 買収に失敗するリスクを考慮し、公開買付けの実施を公表する前に多数の株 式を取得しておくことは控えがちであるという(40))。買収対象会社の株主は取 締役選任に際しての投票で、公開買付けを承認するかどうかの意思表示をす ることになる。取締役選任の選挙での投票と公開買付けに応募するかどうか は別の行為であるから、買収対象会社の株主は選挙の際に現経営者側を支持 することで、公開買付けに反対することができる。

 2. 議決権行使助言会社である ISS は、取締役会が、存続期間が 12 カ月を 超えるポイズン・ピルを採用したり、存続期間が 12 カ月以下でも株主の承 認なく既存のポイズン・ピルを更新したりしたときは、取締役全員の選任に 反対するよう勧告している(41)。そのため、ポイズン・ピルの存続期間は株主総

(38) See Lucian Bebchuk & Oliver Hart, Takeover Bids vs. Proxy Fights in Contests for Corporate Contro, Harvard John M. Olin Discussion Paper No. 336, 25 (2001).

(39) See Lucian Arye Bebchuk, The Case Against Board Veto in Corporate Takeovers, 69 University of Chicago Law Review 973, 986 (2002).

(40) See Eitan Goldman & Jun Qian, Optimal toeholds in takeover contests, 77 Journal of Financial Economics 321 (2005).

(41) ISS, 2014 US Proxy Voting Concise Guidelines 2-3.

(10)

会決議を得たうえで延長されるかもしれない。ポイズン・ピルの延長を認め るかどうかに関する株主総会での投票と公開買付けへの応募は別の行為であ るから、既存株主はポイズン・ピルの延長に賛成することで、公開買付けに 反対することができる。

 3. 株式の大量取得を承認するかどうかを特別の株主総会で既存株主が決 定できるようにする支配株式取得法のもとでは、特別の株主総会における支 配株式の議決権の承認に際しての賛否と公開買付けへの応募は別の行為であ る(したがって、議決権の承認に反対したとしても、公開買付けに応募する ことが可能である(42))から、既存株主は支配株式の議決権の承認に反対するこ とで、公開買付けに反対することができる(公開買付けに賛成の既存株主は 議決権の承認に賛成するであろう(43))。

 連邦最高裁判所は、インディアナ州の支配株式取得法の合憲性が争われ た CTS 対ダイナミクス(44)において、同法の意義について次のように判示した。

この事実の概要は次のとおりである。CTS 社(以下、C社)はインディア ナの会社である。1986 年3月 10 日、C社株を 9.7%保有するダイナミクス 社は公開買付けをしてC社株の保有割合を 27.5%まで上昇させて、4月 25 日に開催される予定のC社の年次株主総会において取締役を選任するつもり である旨を公表した。ダイナミクス社はこのような計画の障害を取り除くた め、連邦裁判所に制定されたばかりのインディアナ州の支配株式取得法が連 邦のウィリアムズ法に反し違憲であることの確認を求めた。

 連邦最高裁判所は次のように判示した。すなわち、個々の株主は公開買付 けに応募したいかもしれないが、インディアナ州法のもとで株主は会社の最 善の利益を考えて行動し、集団として買付けの申出を拒否することができる。

(42) See Peter V. Letsou, CASES AND MATERIALS ON CORPORATE MERGERS AND ACQUISITIONS 392 (2006).

(43) 黒沼悦郎『証券市場の機能と不公正取引の規制』248頁(有斐閣、2002年)参照[初出、

名古屋大学法政論集147号、1993年]。

(44) CTS Corp. v. Dynamics Corp. of America, 481 U.S. 69, 107 S.Ct. 1637 (1987).

(11)

強圧的な買付けからインディアナの会社の株主を保護しようとのインディア ナ議会の念願は、ウィリアムズ法に反しない。むしろ、インディアナ州法は 投資家を保護しようとする連邦の政策を増進する(45)。……敵対的公開買付けが 株主に持株を提供する圧力を与えるかもしれないとき、その企業買収が彼ら の利益になるかどうかを集団で決定することを可能にする自律性が有益にな るだろう(46)と。

 既存株主は、場合によっては取得株式数に上限のある公開買付けに応募し がちとなるが、支配株式取得法のもとで既存株主は、集団として公開買付け を拒否することができる。このように、支配株式取得法は公開買付けの強圧 性から既存株主を保護しようとするものであるから、同法はウィリアムズ法 に反するとはいえない。

 フロリダ州の支配株式取得法について、フロリダ中部地区連邦地方裁判所 は HTE 対タイラー・テクノロジー(47)において、同法の目的は会社支配の変動 が生じることが望ましいかどうかをフロリダの株主に決定させる機会を与え ることで、彼らを保護することにある(48)と判示した。

 HTE 対タイラー・テクノロジーで、タイラー・テクノロジー社(以下、

タイラー社)は支配株式を取得した後で、議決権を承認するように請求し た。HTE 社(以下、H社)はハワード氏が設立したフロリダの会社である。

1999 年8月3日、ハワード氏はH社の役職を辞任した。8月 17 日、タイ ラー社はハワード氏との間で、ハワード氏から 32%に相当するH社株を購 入する契約を締結した。8月 20 日、タイラー社はH社にH社株の購入につ いて通知した。8月 23 日、タイラー社はH社に支配株式取得の届出をした が、特別の株主総会の開催は請求しなかった。H社の年次株主総会では、タ イラー社が保有する 32%のH社株について議決権は承認されなかった(49)。そ

(45) Id. at 1646.

(46) Id. at 1651.

(47) HTE Inc. v. Tyler Technologies, Inc., 217 F.Supp.2d 1255 (M.D. Fla. 2002).

(48) Id. at 1257.

(49) Id. at 1256.

(12)

の後、H社はタイラー社の保有する 32%のH社株を低額で買い取ろうとし たため、タイラー社との間で争いが生じた。

 このように、支配株式の取得後に議決権の承認を得ようとしても承認され ないかもしれないので、買収者は事前に議決権の承認を得たうえで株式を取 得するであろう。支配株式取得法は、買収者に次のようなメリットをもたら す。第1に、買収者には特別の株主総会の開催請求権があるので、買収者は 定時株主総会の開催まで待つ必要がない。第2に、ポイズン・ピルなどの買 収防衛策について裁判所が判断する場合、既存株主は支配株式取得法による 保護を受けるのだから、裁判所はポイズン・ピルなどの買収防衛策は不必要 だと結論づけるかもしれない(50)。そのため、州が支配株式取得法を採用してい る場合、会社は同法をオプト・アウトしておいたほうがよいとされる(51)。  ヴァージニア州の支配株式取得法のもとでの WLR・フーズ対タイソン・

フーズ(52)では、結果として公開買付けは撤回されたが、会社は同法をオプト・

アウトしていなかった。WLR 社(以下、W社)はヴァージニアの会社であ る。タイソン・フーズ社(以下、タイソン社)はW社の取締役会に自社とW 社との合併を提案したが、拒否された。W社は付属定款を変更し、支配株式 取得者が特別の株主総会を開催するよう請求した日が基準日となるようにし た。さらに、W社の取締役会は 15%以上のW社株の取得を発動条件とする ポイズン・ピルを採用した。1994 年3月9日、タイソン社は1株あたり 30 ドルで買うという条件の公開買付けを開始した。4月 14 日、タイソン社は W社に支配株式取得の届出をした。4月 14 日が基準日になり、特別の株主 総会は5月 21 日に開催されることになった。W社の取締役が株主に特別の 株主総会では議決権の承認に反対するように勧めた結果、タイソン社は特別 の株主総会で過半数の支持を獲得できなかった(53)。数カ月後、タイソン社は公

(50) See Daniel B. Nunn, Jr., The Wolf at the Door: Florida’s Takeover Laws Revisited, 83 Florida Bar Journal 11, 16 (2009).

(51) See id.

(52) WLR Foods, Inc. v. Tyson Foods, Inc., 65 F.3d 1172 (4th Cir. 1995).

(53) See id. at 1177.

(13)

開買付けを撤回した(54)。買付価格が高ければ、タイソン社は特別の株主総会で 既存株主からの支持を獲得し、公開買付けが成功したかもしれない。

第2章 事業結合規制法

一 事業結合規制法の概要  1 デラウェア州

 デラウェア州を含む 33 の州で、事業結合規制法(Business Combination Statutes)が採用されている(55)。デラウェア州の事業結合規制法(56)は、15%以上 の議決権付株式の保有者を利害関係のある株主とする(57)。利害関係株主は、利 害関係のある株主になってから3年間、会社との事業結合(一定規模の会社 資産を利害関係株主へ売却することを含む(58))ができない(59)

 ただし、第1に、利害関係株主になる前に、会社の取締役会から当該事業 結合または利害関係株主になる取引について承認されたとき(60)、会社との事業 結合が可能になる。第2に、利害関係株主になる取引において、当該株主が 少なくとも 85%(取締役かつ執行役である者、および一定の従業員持株会 が保有する株式は分母から除外される)の議決権付株式の保有者になったと

(61)

――15%未満の状態から1回の公開買付けで 85%以上取得することに成 功したとき――会社との事業結合が可能になる。第3に、利害関係株主になっ た後は、取締役会が当該事業結合を承認し、さらに年次株主総会または特別

(54) See id.

(55) See Guhan Subramanian, Steven Herscovici & Brian Barbetta, Is Delaware’s Antitakeover Statute Unconstitutional? Evidence from 1988-2008, 65 Business Lawyer 685, 688 (2010).

(56) Del. Code Ann. tit. 8,§203.

(57) Id. (c)(5).

(58) Id. (c)(3)(ⅱ).

(59) Id. (a).

(60) Id. (a)(1).

(61) Id. (a)(2).

(14)

の株主総会において、利害関係株主を除く株主の3分の2以上の承認を得た とき(62)、会社との事業結合が可能になる。

 以下の3つの事例で、デラウェア州の事業結合規制法の合憲性が争われた。

 1.BNS 対コパーズ(63)の事実の概要は次のとおりである。コパーズ社はデラ ウェアの会社である。BNS 社(以下、B社)は、公開買付けによってコパー ズ社の支配を取得しようとしていた。B社は、コパーズ社と合併した後で、

コパーズ社の事業を売却するつもりだった。B社は、制定されたばかりのデ ラウェア州の事業結合規制法が違憲であることの確認を連邦地方裁判所に請 求した。

 デラウェア地区の連邦地方裁判所は次のように判示した。すなわち、デ ラウェア州法の目的は、公開買付けの強圧性から株主を保護することにあ る。……2段階買収の強圧性は企業買収を規制する州の立法を正当化する(64)

……B社は、経営者と公開買付者とのバランスの重大な変更はウィリアム ズ法に反すると主張する。しかし、州法は公開買付けを抑制するが、対象 会社の株主にとって利益になる敵対的公開買付けに有意義な成功の機会(a meaningful opportunity for success)がある限り、ウィリアムズ法の目的 を妨げない(65)。……州法は、株式の取得には何ら制限を課さない。州法は株式 の取得後、完全な支配を取得するのを3年遅らせる。期差取締役会は支配の 移動を2年遅らせる。さらなる1年の遅れは、合憲性の判断にとって問題で はない(66)と。連邦地方裁判所はデラウェア州法の合憲性を肯定した(67)

 2.RP アクウィジション対スタレー(68)の事実の概要は次のとおりである。ス タレー・コンチネンタル社(以下、スタレー社)はデラウェアの会社である。

(62) Id. (a)(3).

(63) BNS, Inc. v. Koppers Co., 683 F.Supp. 458 (D.Del. 1988).

(64) Id. at 468.

(65) Id. at 469.

(66) Id. at 470.

(67) See id. at 473.

(68) RP Acquisition Corp. v. Staley Continental, Inc., 686 F.Supp. 476 (D.Del. 1988).

(15)

RP アクウィジション社(以下、R社)は、スタレー社のすべての社外株式 を買い付ける公開買付けを開始した。R社はデラウェア州の事業結合規制法

(203 条)が無効であるか、適用されないことを公開買付けの条件にしていた。

R社は 203 条の違憲性を主張した。

 デラウェア地区の連邦地方裁判所は次のように判示した。すなわち、裁判 所はインディアナ州法が強圧的な2段階買収に直面した株主の状況を改善す る助けになることに注目し、同法の合憲性を支持した(69)。……203 条は株式取 得後の合併を困難にすることで、強圧的な2段階買収をしようとする者が公 開買付けをすることを阻止する。……203 条は強圧的な公開買付けのみなら ず、R社がしたような、すべての株式を買い付ける公開買付けを妨げる。敵 対的公開買付けに、有意義な成功の機会があるかどうか審議することが重 要になる(70)。……ジャレル博士は過去7年間における、29 件の敵対的公開買 付けの結果を調査した。……敵対的公開買付けの 55%(29 件のうち 16 件)

で 85%取得することができていた。……これは敵対的公開買付けに有意義 な成功の機会があることを意味する(71)。……R社は 203 条が違憲であること を立証できていない(72)と。

 3. シティ・キャピタル・アソシエイツ対インターコ(73)の事実の概要は次の とおりである。インターコ社はデラウェアの会社である。1988 年7月 28 日、

シティ・キャピタル・アソシエイツ(以下、シティ・キャピタル)は、インター コ社の株式を 8.7%取得したことを公表した。8月8日、シティ・キャピタ ルはインターコ社に友好的公開買付けを提案したが、拒否された。8月 15 日、

シティ・キャピタルは敵対的公開買付けを開始した。シティ・キャピタルは、

デラウェア州の事業結合規制法(203 条)が違憲であることの確認を連邦地 方裁判所に請求した。

(69) Id. at 481.

(70) Id. at 482.

(71) Id. at 482-483.

(72) Id. at 486.

(73) City Capital Assocs. Ltd. Partnership v. Interco, Inc., 696 F.Supp. 1551 (D.Del. 1988).

(16)

 デラウェア地区の連邦地方裁判所は次のように判示した。すなわち、203 条の制定以来、当裁判所は州法を合憲であると結論づけてきた。……シティ・

キャピタルは敵対的買付けに有意義な成功の機会がないので、株主は害され る(持株を売却する機会を奪われる)と主張する。……シティ・キャピタル は当裁判所に、これまで検討されていない新たな証拠を提出していない(74)と。

 このように、デラウェア地区の連邦地方裁判所は、敵対的公開買付けに有 意義な成功の機会が確保されていることを理由のひとつとして、州法の合憲 性を肯定してきた。

 しかし、最近の研究は、1988 年1月から 2008 年 12 月までの間に公表 されたデラウェアの会社を対象とする、すべての敵対的公開買付け(60 件)を調査し、1988 年に起こった 18 件の敵対的公開買付けのうち4件で は 85%以上取得できており、1989 年に起こった8件の敵対的公開買付けの うち2件では 85%以上取得できていたこと(75)、前出のジャレル博士によると 1981 ~ 1988 年の敵対的公開買付けでは、55%で 85%以上取得することに 成功できていたというが、1988 ~ 1989 年では 85%以上の取得を目指す公 開買付けの成功率は(85%近く取得できていた2件を含めて)31%(26 件 のうち8件)だったこと(76)、過去 19 年間で 15%未満の状態から1回の公開買 付けで 85%以上取得できた者はいなかったことを明らかにした(77)

 過去 19 年間では、34 件のうち4件(12%)で 70%取得することに成功 していた。85%を 70%に引き下げれば、有意義な成功の機会を確保できる という(78)

(74) Id. at 1554-55.

(75) See Subramanian et al., supra note 55, at 716. 

(76) See id.

(77) See id. at 687.

(78) See id. at 730.

(17)

 2 ジョージア州

 ジョージア州の事業結合規制法(79)は、10%以上の議決権の保有者を利害関係 のある株主とする(80)。利害関係株主は、利害関係株主になってから5年間、会 社との事業結合ができない(81)

 ただし、第1に、利害関係株主になる前に、会社の取締役会から当該事業 結合または利害関係株主になる取引について承認されたとき(82)、会社との事業 結合が可能になる。第2に、利害関係株主になる取引において、当該株主が 少なくとも 90%(取締役、執行役、子会社および一定の従業員持株会が保 有する株式は分母から除外される)の議決権付株式の保有者になったとき(83)

――10%未満の状態から1回の公開買付けで 90%以上取得することに成功 したとき――会社との事業結合が可能になる。第3に、90%以上の議決権を 取得し、年次株主総会または特別の株主総会において、利害関係株主を除く 株主の過半数の承認を得たとき(84)、会社との事業結合が可能になる。

 以下の事例で、ジョージア州の事業結合規制法の合憲性が争われた。ウエ スト・ポイント・ペッパラル対ファーリー(85)の事実の概要は次のとおりである。

ファーリー社は、ウエスト・ポイント・ペッパラル社(以下、ウエスト社)

のすべての社外株式を買い付ける公開買付けを開始した。ファーリー社は、

ジョージア州法が無効であるか、適用されないことを公開買付けの条件にし ていた。ファーリー社は、ジョージア州の事業結合規制法が無効であること の確認を連邦地方裁判所に請求した。

 ジョージア北部地区連邦地方裁判所は次のように判示した。すなわち、

ファーリー社は 90%の取得は現実的ではなく、それゆえ州法は対象会社の

(79) Ga.Code Ann.§§14-2-1131 to 14-2-1133.

(80) Id. 14-2-1110.

(81) Id. 14-2-1132 (a).

(82) Id. (a)(1).

(83) Id. (a)(2).

(84) Id. (a)(3).

(85) West Point-Pepperell, Inc. v. Farley Inc., 711 F.Supp. 1096 (N.D.Ga. 1988).

(18)

経営者に敵対的公開買付けへの拒否権を与えると主張する。検討すべき問題 は、ジョージア州法は公開買付者と経営者とのバランスを変更し、取締役会 からの承認がない場合、敵対的公開買付けに有意義な成功の機会を与えない ものかどうかである(86)。……マルゴッタ博士はデラウェア州法(203 条)が制 定されてからの、デラウェアの会社に対する敵対的公開買付けに注目した。

……マルゴッタ博士は、そのうち3件(ピルズベリーに対するグランド・メ トロポリタンの買付け、ウィルソン・フーズに対するドスコシルの買付け、

インターコに対するシティ・キャピタルの買付け)では、85%以上(90%近く。

それぞれ 89.3%、87%、93%)取得できていたと指摘する(87)。……当裁判所 は、取締役会からの承認がない場合、ジョージア州法は敵対的公開買付者に、

敵対的公開買付けを完了させてその後の事業結合を成功させる有意義な機会 を与えないものであることをファーリー社は証明できていないと結論づける(88)

と。

 3 マサチューセッツ州

 マサチューセッツ州の事業結合規制法(89)は、5%以上の議決権付株式の保有 者を利害関係のある株主とする(90)。利害関係株主は、利害関係株主になってか ら3年間、会社との事業結合ができない(91)

 ただし、第1に、利害関係株主になる前に、会社の取締役会から当該事業 結合または利害関係株主になる取引について承認されたとき(92)、会社との事業 結合が可能になる。第2に、利害関係株主になる取引において、当該株主が 少なくとも 90%(取締役かつ執行役である者、および一定の従業員持株会

(86) Id. at 1103.

(87) Id. at 1104.

(88) Id. at 1105.

(89) Mass.Gen.Laws c.110F§§1-4.

(90) Id. 3(g).

(91) Id. 1.

(92) Id. (a).

(19)

が保有する株式は分母から除外される)の議決権付株式の保有者になったと

(93)

――5%未満の状態から1回の公開買付けで 90%以上取得することに成 功したとき――会社との事業結合が可能になる。第3に、利害関係株主になっ た後は、取締役会が当該事業結合を承認し、さらに年次株主総会または特別 の株主総会において、利害関係株主を除く株主の3分の2以上の承認を得た とき(94)、会社との事業結合が可能になる。

 4 ニューヨーク州

 ニューヨーク州の事業結合規制法(95)は、ニューヨークの会社の議決権付株式 を 20%以上取得した者を利害関係のある株主とする(96)。利害関係株主は、利 害関係株主になる前に、会社の取締役会から事業結合または株式取得につい て承認されない限り、利害関係株主になってから5年間、会社との事業結合 ができない(97)

 5年後、利害関係株主が会社との事業結合をするには、所定の要件を満た す必要がある。すなわち、特別に招集された株主総会において、利害関係の ない株主から過半数の承認を得たり(98)、株主に公正な対価を支払ったりする必 要がある(99)。このように、ニューヨーク州法はデラウェア州法よりも厳格であ る。

 5 ヴァージニア州

 ヴァージニア州の事業結合規制法(100)は、10%を超える議決権付株式の保有者

(93) Id. (b).

(94) Id. (a)(3).

(95) N.Y.Bus.Corp.Law§912.

(96) Id. (a)(10).

(97) Id. (b).

(98) Id. (c)(2).

(99) Id. (c)(3).

(100) Va.Code Ann.§§13.1-725 to 13.1-727.1.

(20)

を利害関係のある株主とする(101)。利害関係のない取締役は、過半数でその者が 利害関係株主かどうかを決定することができる(102)。この決定がなされる前から 取締役だった者を利害関係のない取締役という(103)

 利害関係株主は、利害関係のない取締役からの過半数の承認、および利害 関係のない株主からの3分の2の承認がない限り、利害関係株主だと決定さ れてから3年間、会社との関連取引[事業結合]ができない(104)。3年後、利害 関係株主が会社との関連取引をするには、利害関係のない取締役から過半数 の承認を得たり(105)、株主に公正な対価を支払ったり(106)、利害関係のない株主から 3分の2の承認を得たりする必要がある(107)

 ヴァージニア州の事業結合規制法の合憲性が争われた WLR・フーズ対タ イソン・フーズ(108)において、第4巡回区控訴裁判所は次のように判示した。

 すなわち、議会がウィリアムズ法の制定時に、対象会社の経営者を企業買 収の場面で有利にしないようにしたからといって、州が投資家に不利になら ない範囲で経営者を有利にすることが禁止されるわけではない。……タイソ ン・フーズ社(以下、タイソン社)が強調する、公開買付者と対象会社との 中立性はウィリアムズ法の中心的目的ではない。……タイソン社は、ヴァー ジニア州法はタイソン社が成功する有意義な機会を与えないので、ウィリア ムズ法の目的に反すると主張する。……しかし、ウィリアムズ法は公開買付 けを行うタイソン社を保護するためのものではない。ヴァージニアの4つの 州法は公開買付けの場面で、対象会社の経営者を有利にするかもしれない。

しかし、ここでわれわれが検討する問題は、企業買収の場面で、経営者に買 収への防御を与えるヴァージニア州の決定が投資家保護を目的とするウィリ

(101) Id. 725.

(102) Id. 726.1.

(103) Id. 725.

(104) Id. 725.1.

(105) Id. 727.

(106) Id.

(107) Id. 726.

(108) WLR Foods, Inc. v. Tyson Foods, Inc., 65 F.3d 1172 (4th Cir. 1995).

(21)

アムズ法に反するかどうかであり、われわれはウィリアムズ法に反しないと 判断する(109)と。

 6 ウィスコンシン州

 ウィスコンシン州の事業結合規制法(110)は、ウィスコンシンの会社の議決権を 10%以上取得した者を利害関係のある株主とする(111)。利害関係株主は、利害関 係株主になる前に、会社の取締役会から事業結合または株式取得について承 認されない限り、利害関係株主になってから3年間、会社との事業結合がで

きない(112)。3年後、利害関係株主が会社との事業結合をするには、特別に招集

された株主総会において利害関係のない株主の過半数の承認を得たり、株主 に公正な対価を支払ったりする必要がある(113)

 アマンダ・アクウィジション対ユニバーサル・フーズ(114)で、ウィスコンシン 州の事業結合規制法の合憲性が争われた。

 事実の概要は次のとおりである。アマンダ・アクウィジション社(以下、

アマンダ社)はユニバーサル・フーズ社(以下、ユニバーサル社)を買収す るための会社である。ユニバーサル社はウィスコンシンの会社である。1988 年 11 月中旬、ユニバーサル社の株価は 25 ドルだった。12 月1日、アマン ダ社は、75%以上の取得を買付けの条件とし、すべての株式を買い付ける現 金公開買付けを開始した。買付価格は当初は 30.5 ドルだったが、38 ドルに 引き上げた。アマンダ社は、公開買付けが成功したらすみやかにユニバーサ ル社と合併することを前提にしており、ウィスコンシン州法が無効であるこ と等も買付けの条件にしていた。

 アマンダ社は、ウィスコンシン州の事業結合規制法が違憲であることの確

(109) Id. at 1180-81.

(110) Wis.Stat.§§180.1140 to 180.1144.

(111) Id. 1140 (8).

(112) Id. 1141 (1).

(113) Id. (2).

(114) Amanda Acquisition Corp., v. Universal Foods Corp., 877 F.2d 496 (7th Cir. 1989).

(22)

認を連邦裁判所に請求した。第7巡回区控訴裁判所は次のように判示した。

すなわち、州は合併や資産の売却など、会社の事柄について規制してきた(115)

……ウィリアムズ法は公開買付けのプロセスを規律する(116)。……買付者は、連 邦法を遵守し、自由にウィスコンシンの会社の株式を取得することができる。

合併の完了を遅らせることは対象会社を魅力のないものにし、公開買付けが 起こらなくなるかもしれないが、連邦によって規律される手続きを変更する ことにはならない(117)。……アマンダ社は、投資家というよりも買付者として訴 訟を提起している。ウィリアムズ法は公開買付けで利益を得る権利を創設し ない。ウィスコンシンの会社に対して公開買付けをすることは魅力的ではな いが、ウィスコンシン州法は公開買付けのプロセスはそのままにしているの で、同法はウィリアムズ法と共存できるだろう(118)と。

 合併など会社の事柄は州法で規律することになっており、ウィスコンシン 州法のもとでも公開買付けの手続きにしたがって株式を取得すること自体は 可能であるから、州法は連邦法に違反しないと判断された。

 7 各州の比較

 デラウェア州法は、利害関係株主となってから3年間、発行会社との事業 結合を禁止する。3年後、少数株主を締め出す場合、その取引は支配株主に よる締出取引になるので、厳格な基準を満たす必要がある(119)。禁止期間を5 年にする州も多い(120)(たとえば、ジョージア州、ニューヨーク州)。利害関係 株主とは、デラウェア州法では議決権付株式の 15%の保有者のことである。

10%の議決権保有者を利害関係株主とする州も多い(121)(たとえば、ジョージア

(115) Id. at 502.

(116) Id. at 503.

(117) Id. at 504.

(118) Id. at 504-505.

(119) See Subramanian et al., supra note 55, at 714-715.

(120) See id. at 735.

(121) See id.

(23)

州、ヴァージニア州、ウィスコンシン州)。マサチューセッツ州法は5%の 議決権保有者を利害関係株主とする。

 事業結合規制法を採用する 33 の州うち 22 の州では、3年または5年経 過した後で発行会社との事業結合をするには、利害関係のない株主から承認 を得たり、株主に公正な対価を支払ったりする必要がある(122)(たとえば、ニュー ヨーク州、ヴァージニア州、ウィスコンシン州)。

 州によっては、事前に取締役会からの承認を得なかったとしても、買付者 が一定未満の状態から1回の公開買付けで一定以上の議決権付株式を取得で きたときは、発行会社との事業結合の制限を課さないことにし、買付者に買 収の成功の機会を与えようとする(たとえば、デラウェア州:15%―85%、

ジョージア州:10%―90%、マサチューセッツ州:5%―90%)。事業結合 規制法を採用する 33 の州うち 25 の州にはこのような規定がない(123)(たとえば、

ニューヨーク州、ヴァージニア州、ウィスコンシン州)。

二 事業結合規制法の機能

 買収者は締出合併で買収対象会社を 100%所有することが可能になり、そ うすれば少数株主への信認義務を負わなくてすむ。(企業価値を上げる)買 収者にとっては公開買付けの後、すみやかに少数株主を締め出すことが重要

になる(124)。事業結合規制法は株式取得後の発行会社との合併を制限することで、

2段階買収の第1段階としてなされる強圧的な公開買付けを抑制しようとす るものであるが、同法はすべての株式を買い付ける公開買付けをも妨げる。

そのため、敵対的公開買付けに有意義な成功の機会を確保するための規定を 設けている州もある。

 通常、敵対的公開買付者はポイズン・ピルを消却するために取締役会の支 配を得ようとするが、取締役会の支配を得ることができたときは、事業結合

(122) See id.

(123) See id.

(124) See Letsou, supra note 42, at 400.

(24)

規制法を適用しないようにするであろう(125)。そのため、事業結合規制法は目立 たないものとなっている。

 ただし、ポイズン・ピルの採用および継続について、取締役の信認義務違 反を問われる可能性がある。近時は、取締役会がポイズン・ピルを採用する 場合でも、応募期間が 100 日以上あり、すべての株式を買い付ける現金公 開買付け(適格公開買付け)にはポイズン・ピルを発動させないようにする ことがある(126)。この場合、事業結合規制法が買収防衛策になるかもしれない(127)。  敵対的公開買付けに成功の機会を確保しようとするタイプの事業結合規制 法のもとで、このようなポイズン・ピルが採用される場合、敵対的公開買付 者は一定(たとえば 15%)未満の状態から適格公開買付けの結果、一定(た とえば 85%)以上の議決権付株式を取得できるのであれば公開買付けを完 了させることができる(本章一1で紹介したように、デラウェア州法につい て、85%を 70%に引き下げなければ敵対的公開買付けが成功する機会は確 保されないと指摘されている)。

第3章 株式大量取得への対応方法

一 米 国

 1 株式買集めへの対応

 最近のデラウェア州衡平法裁判所の2判決は、取締役会が株式の買集めを 制限するために、ポイズン・ピルを採用しそれを維持することを許容した。

 1. ユカイパ・アメリカン・アライアンス・ファンド・ツー・エルピー対

リジオら(128)の事実の概要は次のとおりである。17.8%のバーンズ・アンド・ノー

(125) See Subramanian et al., supra note 55, at 705.

(126) See Third Point LLC v. Ruprecht, et al., 2014 WL 1922029 (Del.Ch. May 2, 2014), *10.

(127) See Guhan Subramanian, Delaware’s Choice, 39 Delaware Journal of Corporate Law 1, 30 (2013).

(128) Yucaipa American Alliance Fund II, L.P. v. Riggio, et al., 1 A.3d 310 (Del. Ch. 2010) aff’d, 15 A.3d 218 (Del. 2011).

(25)

ブル社(以下、B社)の株式を保有するユカイパ・アメリカン・アライアン ス・ファンド・ツー・エルピー(以下、ユカイパ)は、B社の取締役会が次 のようなポイズン・ピルを採用したこと等で取締役の信認義務に違反したと 主張し、訴訟を提起した。そのポイズン・ピルは、議決権付株式の 20%以 上の保有者の出現を発動基準とし、株主がグループを形成して会社の支配を 得ようとすることを妨げるが、委任状争奪戦を妨げはしない。本件では、ア レシーア・リサーチ・アンド・マネジメント(以下、アレシーア)も、B社 の株式を 17.44%保有していた。

 デラウェア州衡平法裁判所は次のように判示した。すなわち、ユカイパは、

過去において、しばしば一般の株主を差別するような取引を行っていた。ユ カイパは多くの場合において友好的だったが、ユカイパが引き出す条件はし ばしばユカイパに他の株主にはない支配権を与え、それによって経営の変更 を引き起こしてきた。B社について[ユカイパの]バークルが投資銀行と検 討している LBO の選択肢によってユカイパが株主として残り、他の株主は キャッシュ・アウトされてしまうと推測するのが合理的である(129)

 われわれの法は、取締役の地位を得ている大株主が非公開化取引を提案し たり、他の方法で不公正な利益の引き出しを行ったりしたとき、他の株主に かなりの保護を与えている。しかし、そのことは、ユカイパのようなアクティ ビストが、ひとりでまたは他の株主と協調して他の投資家の利益を犠牲にし て自分を有利にするレバレッジを生み出す条件の提案を可能にする実効的な 支配ブロックを得ることができないようにするため、B社の取締役会が合理 的で排除的ではない行動をとる資格がないことを意味するわけではない。取 締役会はユカイパの議決権をかなりのものだが圧倒的ではない水準に制限す ることで、会社の一般の株主を保護し続けることができる(130)

   邦語の文献として、飯田秀総「非対称的な発動基準の定めのあるライツ・プランの導入 の適法性」近藤光男=志谷匡史編著『新・アメリカ商事判例研究[第2巻]』361頁(商事 法務、2012年)がある。

(129) Id. at 349.

(130) Id. at 350.

(26)

 ユカイパが……B社を非公開にする権限を留保するという記録が存在する とき、取締役会はユカイパのことを利己的に行動する誘惑を受けない高潔な 投資家だと想定する必要はない。むしろ、取締役会は、ユカイパがアレシー アのような者と協調して会社の議決権の大部分について支配を及ぼすように なると、会社の他の投資家に対して危険を生じさせるかもしれないと合理的 に推定することができる。取締役会は、ユカイパがそのようなブロックを得 たいのなら、取締役会と交渉し、そのような権限を取得した際の価値を反映 した対価を会社の投資家に支払うべきであると合理的に結論づけることがで きる(131)

 さらに、ユカイパが会社のすべての株式の取得を否定していることは、ユ カイパがアレシーアと一緒に支配プレミアムを支払わずに支配ブロックを形 成できるという EU における法的関心となっており、取締役会が抱く懸念を 補強する。ユカイパとアレシーアは実効的な支配を得ると……会社の他の株 主にとって魅力的ではないかもしれない LBO の選択肢を提案できるかもし れない。私は、取締役会がそのような懸念を抱いたことは非合理的だとは思 わない。英国、より一般的には EU 企業買収指令を採択した EU 加盟国では、

公開会社の株式の 30%を取得する者は、その買収者がその証券に支払った 最高価格で全株主の持株を買い付ける必要がある。この指令の関心はある者 がそれほど強力な議決権を得ようとするとき、その者はすべての株主に対し て公正な条件で持株を売却する機会を提供しなければならないようにするこ とにある。取締役会は、バークルが自己の利益を追求する通常の人間である と考えてよく、彼が高潔な投資家であると想定しなくてよい(132)。……被告は、

ライツ・プランの採用と維持が誠実にされ、B社とその株主に対する脅威へ の合理的な反応だったことを立証した(133)と。

(131) Id. at 350-351.

(132) Id. at 351-352.

(133) Id. at 361.

(27)

 2. サード・ポイント・エルエルシー対ルプレヒトら(134)の事実の概要は次の とおりである。2013 年初頭、サード・ポイント・エルエルシー(以下、サード・

ポイント)と2つのヘッジ・ファンドが、サザビーズ社(以下、S社)の株 式を取得し始めた。サード・ポイントの最終的な保有割合は9.6%、3つのファ ンドでの最終的な保有割合の合計は約 19%だった。2013 年8月、S社の経 営陣はサード・ポイントおよびマルカート・キャピタル・マネジメント・エ ルエルシー(以下、マルカート)と個別に面談した。

 2013 年 10 月、サード・ポイントはスケジュール 13D に、ダニエル・ロー ブ氏(サード・ポイントの CEO)からウィリアム・ルプレヒト氏(S社の CEO)への書簡を添付し、そこではローブ氏が採用した数名の者をS社の 取締役にしたいとの意向を示した。

 S社の取締役会はアドバイザーからの助言を得て、次のようなポイズン・

ピルを採用した。すなわち、ポイズン・ピルの発動基準はスケジュール 13D を提出するサード・ポイントのような積極的株主であれば 10%だが、スケ ジュール 13G を提出する消極的株主であれば 20%だった。そのポイズン・

ピルは株主からの承認がなければ1年で消滅し、応募期間が 100 日以上あ る、すべての株式を買い付ける現金公開買付けには発動しないことになって いた。

 2014 年2月、サード・ポイントとS社は、5月6日の株主総会での委任 状争奪戦を回避するための交渉をした。サード・ポイントは2名の取締役選 任と、ポイズン・ピルの発動基準を 15%にすることを要求した。S社は、サー ド・ポイントの保有割合の上限を 10%にとどめておくことを条件に1名の 取締役選任を認めることを提案したが、両者は合意にいたらなかった。

 2014 年3月、サード・ポイントはS社に、10%の発動基準を放棄し 20%

にするよう要求した。S社の取締役会は、サード・ポイントの保有割合が増 加すればサード・ポイントが委任状争奪戦で勝利する可能性が高まることを

(134) Third Point LLC v. Ruprecht, et al., 2014 WL 1922029 (Del.Ch. May 2, 2014).

(28)

認識していたので、サード・ポイントの要求を断った。

 サード・ポイントは、S社の取締役会がポイズン・ピルを採用し 10%の 発動基準を放棄しなかったことは信認義務に違反すると主張し、訴訟を提起 した。デラウェア州衡平法裁判所は次のように判示した。

 ① ポイズン・ピルの採用について

 取締役会の過半数は独立取締役で構成されている。取締役会は外部の有能 な財務・法律アドバイザーを雇い、彼らを活用した。……サード・ポイント がS社に対する合理的かつ法的に認識可能な脅威になると取締役会が決定し たかどうかを審査する(135)

 取締役会が 2013 年 10 月にライツ・プランの採用を決定した時、複数のヘッ ジ・ファンドがS社の株式を同時に買い集めており、少なくともサード・ポ イントは株式を急速に買い集めていた。取締役会はアドバイザーから次のこ とを聞いた。すなわち、アクティビスト・ヘッジ・ファンドは、共同で対象 会社の株式のブロックを取得するためにグループを形成することが通常でな いとはいえないと。これらの事実および財務・法律アドバイザーから取締役 会に示されたサード・ポイントとマルカートのプロフィールから、私は、サー ド・ポイントは他のヘッジ・ファンドと共に支配プレミアムを支払わずにS 社の支配ブロックを形成するという脅威を発生させたと取締役会は合理的に 決定しなかったと結論づけることはできない。すなわち、記録からは、誠実 に調査しサード・ポイントは法的に認識可能な脅威になると決定したという 取締役会の主張は、十分支持できる。私は、そのような脅威は合理的なもの であると考える。それゆえ、原告は 2013 年 10 月のライツ・プランの採用 について、第1のユノカル基準に関する勝訴の可能性を示していない(136)。  既述のように、会社はヘッジ・ファンドの保有割合が急速に上昇してくる という状況に直面していた。S社の内部者のひとりは、そのことを共謀によ

(135) Id. at *17.

(136) Id.

(29)

るものと考えるほどだった。外部の法律・財務アドバイザーの助言により、

複数のヘッジ・ファンドがプレミアムを支払わずに会社の実効的支配を得よ うとしており、会社はそのことを脅威だと認識してもよいと考えたようであ る。ライツ・プランの採用はそのような脅威に対応するためであり、投票権 への影響はその目的に付随するものであることを取締役会は立証できそうな ので、原告は、議決権への干渉が主要な目的だったことを立証できるだろう ことを示していない(137)

 本件で、原告は、ライツ・プランは威圧的または排除的であることを立証 できるだろうことを示していない。……サード・ポイントは取締役会との委 任状争奪戦に勝利する可能性がある。……サード・ポイントが委任状争奪戦 に勝利することは現実的でないとはいえない(138)

 本件では、2013 年 10 月にサード・ポイントが単独でまたは他の者ととも にS社の他の株主にプレミアムを支払うことなく会社の支配的持分を取得す るかもしれない、という法的に認識可能かつ合理的な脅威に直面したことを 取締役会が立証できる可能性がある。ライツ・プランの採用は、そのような クリーピング・コントロールの脅威とつりあいのとれたものだったかを審査 する(139)

 私は、2013 年 10 月におけるライツ・プランの採用は、サード・ポイント が発生させた脅威とつりあいのとれたものだったことを取締役会が立証でき る可能性があると考える。……10%基準でも、アクティビストは会社で相当 のポジションを占めることができる。……サード・ポイントは会社で最大の 株主である。ライツ・プランの採用時、サード・ポイントは、支配ブロック を形成する目的でひとつまたはふたつ以上の他のヘッジ・ファンドに連絡を とっていた可能性があった。発動基準を 10%より高くすれば、アクティビ ストが少数のグループでプレミアムを支払わずに支配を取得することを容易

(137) Id. at *18.

(138) Id. at *19.

(139) Id. at *20.

(30)

にするだろう(140)

 脅威に対応するためにライツ・プランを採用したことはつりあいのとれた 反応だったことを取締役会は立証できないだろうことを原告は示していな い。2013 年 10 月にライツ・プランを採用したことで取締役会は信認義務に 違反したという主張について、原告は本案で勝訴する可能性を示していな

(141)

 ② 10%の発動基準を放棄しなかったことについて

 S社は、ローブとサード・ポイントのような者は会社の株式を 20%取得 することができれば、明白な拒否権を有していなくても、持分割合を超えて 支配権を行使し、会社の主要な決定に影響を及ぼすことができるようになる と正当に懸念するかもしれない(142)

 サード・ポイントの要求どおり 10%の発動基準が放棄され 20%取得でき れば、サード・ポイントは単独でS社の最大の株主になるだろう。そのこと は、ローブがS社に対して行った攻撃的で横暴なやり方も考慮すれば、サー ド・ポイントは現実の支配権または明白な拒否権がないのに、役員選任のよ うな会社の重要な事柄について支配的な影響を及ぼすことができるようにな るだろうという正当な懸念を生じさせる十分な根拠となる。私は、サード・

ポイントがS社の政策および効率に対する合理的かつ法的に認識可能な脅威 になることについて、取締役会は立証できないだろうことを原告は示してい ないと判断する(143)

 取締役会が 10%の発動基準を放棄しなかったのは、サード・ポイントが ネガティブ・コントロール[消極的支配権・拒否権]を得て会社の政策と効 率を脅かすという脅威に対応するためだった。……記録から私は、S社の取 締役会が 10%の発動基準を放棄しなかったのは、サード・ポイントが発生

(140) Id.

(141) Id. at *21.

(142) Id.

(143) Id. at *22.

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