著者 吉村 浩一, 関口 洋美, 内山 昭一
出版者 法政大学文学部
雑誌名 法政大学文学部紀要
巻 64
ページ 79‑96
発行年 2012‑03‑15
URL http://doi.org/10.15002/00007771
はじめに
PAC分析とは, 内藤 (1997) が開発した心理 学的面接技法の一様式である。 筆者らはこれまで に, ディープ・インタビューを行う目的で, PAC 分析の本来の実施法に変更を加えて, 方法論的吟 味を行ってきた (吉村・関口・伏見, 2011)。 そ こで用いた変形PAC分析とは, 通常のPAC分 析 (内藤, 2002) のように連想する項目数を対象 者の自由に委ねるのではなく, かなり高い値 (具 体的には20項目) に設定し, 対象者のもつイメー ジをより多面的・深層的に把握することを目指す ものであった。 ただし, 連想項目数が増えると, それらを2項目ずつペアにして行う非類似度評定 の評定回数が幾何級数的に増加し, 対象者に大き な負担を与えることになる。 そこで, 前半10項 目と後半10項目に分けて非類似度評定を行うと いう新たな実施法を考案し, 非類似度評定の総回 数を半数以下に抑えることを可能にした。 このよ うな変形PAC分析が, PAC分析の提唱者であ る内藤 (1997, 2002など) らの本来の方法にどの ような影響を及ぼすか, これまでに行った2名の 実施実績だけで判断することは難しい。 本研究の 目的の1つは, 変形PAC分析の方法論的吟味を 行うことである。
また筆者らは, 「昆虫料理研究会」 の人たちに 協力を求め, 昆虫をさまざまに料理して食べる心 性を捉えるための研究も行ってきた。 これまで行っ たのは, アンケート調査でのデータ収集であった が (吉村・内山, 2010), PAC分析を用いること で, 昆虫食に対する個々人の関わり方をより詳細
かつ具体的に捉えることが見込める。 アンケート 調査では, 調査者側が考え及ぶことを質問項目に 設定し, その意見分布を量的に評価することが中 心となる。 それに対し, PAC分析なら, 昆虫を 食べたり料理したりすることへのイメージを, 質 的にではあるが具体的につかむことが期待できる。
まさに, ディープ・インタビューが目指すところ と一致することになる。
本研究は, このような問題意識, すなわち以下 の2つの目標をもって臨むことになる。
昆虫食に対する心性の具体像と考え方の広 がりを捉える
より多くの対象者データに基づいて変形 PAC分析を方法面から吟味する
このうちの研究成果は, 研究協力してもらっ た 「昆虫料理研究会」 の人たちにフィードバック し, 会の運営と自己理解に役立ててもらうことを 目指す。 具体的には, 次の3つの面からの貢献と なるが, 特には, フィードバック対象者が本稿 の著者の1人であることから, 本稿中でその成果 を示したい。
研究会参加者が昆虫を食べることや昆虫料 理研究会へ参加することにどのような思いや 期待を持っているかを, 会の主催者であり本 稿の共著者である内山に情報提供し, 会の運 営に役立てる
PAC分析に協力してくれた研究会メンバー 同士にお互いの考えや希望を紹介し, 昆虫食 に関する意見交換と相互理解を活発化する 昆虫を食べることに違和感や嫌悪感を抱い
ているかもしれない一般の人たちに, 昆虫を 食べることの心性を伝える
昆虫食への関心を PAC 分析で捉える
吉村浩一・関口洋美・内山昭一
このような目標のもと, 2011年5月28日午後 1時に, 14名の協力者 (以下, 対象者と呼ぶ) に 法政大学80年館6階の文学部資料室内会議室に 集まってもらった。 男性9名, 女性5名で, 年齢 も20代から50代まで幅があった。 当日参加した 14名は, いずれも内山が主催する昆虫料理研究 会への参加経験者で, 昆虫食に関する心理調査へ の協力呼びかけに応じてくれた人たちであった。
研究会への参加実績は, 過去1回だけという人か ら5年程度継続している人まで, さまざまであっ た (研究会活動は12年ほど続いている)。 対象者 は, 7名ずつの2群にランダムに振り分けられた。
「私にとっての昆虫食」 という同一テーマに対し, 7名には連想する言葉や単文 (連想反応) を10 項目表出するように求め, 他の7名には20項目 表出するように求めた (2群に分けたのは, 上記 目的bのため)。 各人に, リングで綴じられた横 10cm, 縦3cmの大きめの単語カード帳を1綴 りずつ配布し, 最初のカードに氏名を書いてもらっ た。 2枚目のカードからは連想項目記入用の番号 が振られていた。 配布する単語カード帳には番号 が1から10まで振られているものと1から20ま で振られているものの2種類あったが, 外見だけ ではどちらかが区別できず, どちらを受け取るか は偶然に委ねられた。 10番のカードの次には
「所要時間」 記入用のカードが挿入されており, 20番までの単語カード帳を受け取った人には, 20番の次にも所要時間記入用カードが挿入され ていた。 連想表出作業は一斉に行い, 実施者の吉 村の合図で全員同時に連想表出作業を開始した。
10項目表出し終えた時点で挙手することをあら かじめ指示しており, 実施者はストップウォッチ で時間計測し, 挙手した対象者にその時間を知ら せ, 挙手した人は知らされた時間をカードの所定 欄に記入した。 20項目表出を求められた人には, 20項目表出終了時にも挙手するように指示して おり, 同様に所要時間を記入してもらった。
連想表出作業終了後は, 1人ずつで行う個別セッ ションへと進んだ。 個別セッションは, 本稿の著 者のうち吉村と関口が担当し, 会議室近くに設け
た別々の個室で行った。 個別セッションでは, 連 想項目の (非) 類似度評定とそれにより得られる クラスター分析結果を表示したデンドログラム (紙出力したもの) を共有し, 実施者と対象者の 対話形式でインタビューを行った。 対象者たちは 自分の順番を待つあいだ, 会議室で昆虫食に関す る発表を聞いたり話し合いを行ったりしながら過 ごした。 2名の実施者が手分けして行ったが, 14 名全員の個別セッションが終了したのは午後6時 近かった。 各人の個別セッションの所要時間は, イメージ表出数の違い (10項目か20項目) や会 話量によりかなりのバラツキがあり, およそ1人 15分から30分であった。
個別セッションは, 土田 (2008) が開発した
「PAC分析支援ツール」 を利用して行った。 まず 実施者が, カードに書かれた10の表出項目を支 援ツールに入力する作業から開始される (20項 目表出者の場合も, 前半10項目のみを入力した)。
その際, たとえば, ひらがなで書かれたものはひ らがなのままなど, 表記を変えずに入力した。 そ の後, 支援ツール・プログラムによりランダムに ペア化され, 画面にペアごとに提示された。 対象 者はパソコン画面のペアに対し, 両者がどれほど 似ているか (関連するか) を, 画面に表示される スケール上でマーカーを移動させることにより評 定した。 画面上のスケールは10分割で表示され ていたが, 計算プログラムには100分割値として 読み取られた。 1評定が終了し, 対象者自身が
「次へ」 のアイコンをクリックすることで, 次の ペアへと進んだ。 10項目総当たりの45ペアの比 較が終了すると, 支援ツールにより非類似度行列 が算出された。 その行列を, 統計ソフトLet’s Stat! Proに取り込みクラスター分析 (ウォード 法) し, 得られたデンドログラムをプリントアウ トした。 このデンドログラムを見ながら, 実施者 が対象者にインタビューする形でPAC分析は進 められた。 音声記録のため, 話し合いの録音許可 を各対象者から得た。 20項目連想の対象者には, 後半10項目にも同様の手続きを繰り返した。
14名の対象者から得た発言内容を, 冒頭に掲
げたの昆虫食研究に関する研究目標との変形 PAC分析の方法論的吟味という目標に照らし, 以下のように整理した。 この構成はあらかじめ設 定されていたものではなく, 得られた会話データ をグループ化し集約する過程で生まれたものであ る。 本稿では, この構成のもと, 検討を進める。
1 昆虫を食べることと研究会の位置づけ a . 参加のきっかけ
b . コミュニケーションツール・話題性 c . 非日常・イベント性そして伝統と新しさ 2 虫を食べない人を意識して
d . 自分の視点と一般的視点の違い e . 虫をたべることへの抵抗・警戒心 f . 栄養源と社会的価値
3 趣味の領域
g . 採集することの魅力 h . 高級感 (高級品)
i . 虫の味の個性
j . 凝った料理をすること 4 変形PAC分析の位置づけ
k . クラスター構造を目の前に見て l . 連想項目数10と20
冒頭に掲げた目標には1から3のデータが, には4のデータが対応する。
ところで, 本稿で取りあげる各発言は, 個人の 表出した連想項目や同じ個人が行った (非) 類似 度評定から得られたクラスターに基づく発言であ
り, きわめて個人的なものである。 本来のPAC 分析では, それらを材料に, テーマに対する個人 の態度・イメージの構造を把握することを目指す ことになるが, それにより, 発言者があからさま に特定され, 発言者の全体的評価を導きかねない。
本稿の目的は, 個人の評価ではなく, 昆虫料理研 究会への参加者がその会や昆虫を食べたり料理し たりすることにどのような思いを抱いているかの バラエティーを, 個人を超えて把握することにあ る。 14名の対象者を男女別に記号化し, 個々の 発言がどの対象者のものかの記載にとどめ (男性 はM1〜M9, 女性はF1〜F5), 個人の全体像が浮 かび上がる記述はできるだけ避けるよう心がけた。
上に掲げた4節からなる構成を, 内容別にさら にいくつかの項に分け, 項番にはaからlの通し 記号を当てた。 さらに, 各発話データには, 項記 号に続けて項内での通し番号を付しラベル化した。
また, 本文中や発言データ中の [ ] で括られて いる語句は対象者の連想項目であることを示す。
発言内容の検討に先立ち, 14名の対象者の全 連想項目を一覧表にして示しておく。 14名の連 想項目には, ある程度の重複がみられた。 重複数 が多かったのは, [おいしい (美味・うまい)] が 7名, [楽しい] を含むものと [アジア] を含む ものが5名, [栄養] を含むものと [珍味] を含 むものが4名で, それ以外は3名以下, 多くは1 名のみであった。 連想項目の多くは単語の形をとっ
表11 求められた連想項目10の対象者7名が表出した項目とクラスター区分
1 おでかけ
写真 メール
2 食
イベント事
3 貴重品?
節足動物 エビ カニ
4 蒸し
時々, 酒
5 油
1 食文化
楽しい 本能 自然
2 洒落
創造 余暇
3 珍味
高級
4 タンパク
源
1 せみ
カミキリムシ 好きか嫌いか?
なんだかんだで続 けたい 話のネタによい
2 阿佐ヶ谷
タガメ 虫への警戒心
3 木曽路
書くことなくなっ てきた
1 食文化
未来 未知の分野
2 アミノ酸
栄養がある
3 狩り
アウトドア, BBQ
4 ゲテモノ
サブカル 過激
1 シュミ
ペット
2 健康機能
新規事業 おいしさ 食糧問題 新奇さ カオリ/
フレーバー
3 食育
食文化
1 東南アジア サバイバル 案外美味 飢餓解決食 パプアニューギ
ニア 農学系
2 嫌われもの
「気持ち悪い」
と言われる 寄生虫 ゲテモノ
1 ヘルシー
高タンパク
2 長野
3 グロテスク アングラ 東南アジア
4 意外と美味しい 少し高価 イナゴのつくだに いなか料理 C 対象者M1 C 対象者M2 C 対象者M3 C 対象者F1 C 対象者M4 C 対象者M5 C 対象者M6
表12求められた連想項目20の対象者7名が表出した項目と前後半別クラスター区分 C対象者F2C対象者M7C対象者F3C対象者F4C対象者M8C対象者F5C対象者M9 前 半 後 半 対象者にMが付されているのは男性,Fが付されているのは女性を示す。Cはクラスターのこと。 誤ってカードを2枚めくったため,前半は9項目しか表出されなかった。 20項目表出を求められたのに対し,17項目表出で終了したため,前半を9項目,後半を8項目とした。
1イナゴ バッタ コオロギ ラオス タイ 2アジアの国々 養殖 3コオロギのから あげ 4採る 5オーストラリア
1おもしろい めずらしい 好奇心 非日常 楽しい ちょっとキモチ ワルイ 意外 2おいしい 旬 野生
1見ためがグロテス ク 固い 歯ざわりが悪い 下処理が面倒 調理されている (加熱) 2くさい 甘い 色が暗い 食す地域が限られ ている
1食のエンターテ イメント イベント的 チャレンジ エキサイティン グ マイナーミート 新しい 2ちんみ 文化的 3高級品 4エコロジー
1狩猟採集の一環 見つけて採る楽しみ 季節感がある 2日本では偏見を持たれている 内山さんの料理はスゴイ(が 真似できん) 3うまい昆虫をもっと食いたい セミ・ハチはうまい まずいのは食べたくない(一 回で十分) 世界の昆虫を食べたい
1食材 旬の味覚 スイーツ 素材の味 2酒のあて 高級食材 珍味 おいしい グルメ 保存食
1げてもの 気持ちわるい タブー 2幼虫 うねうね 3まろやかな味 おいしいもので はない 4東南アジア アフリカ メキシコ 1食料安全保障 生物多様性 栄養改善 FAO 伝統的知識 収入の向上 タンパク質 屋台で売ってい る 2タガメ 人によっては食 べることに抵 抗がある
1かんさつ 体験 写真 ネタ 2理解されにくい 市民けん 3狩り 子供にもどる 森 木
1人気がない 店では購入できな い 専門のレストラン はない(少ない) 伝統食 食す場面が限られ ている(貧しき とき) 2丸ごと食べられる 栄養価がある 珍味 味付けが濃い 大人が食べる
1頭のやわらかさ 見た目の斬新さ 食の常識を越え ること 非保守的 2アジア食 3旬 地産地消 アウトドア 4安全 5副産物
1採取効率は重要 生態を良くしらないと効率良 くとれない 魚釣りや狩猟と同じ 長野のハチハンターに同行し たい 2皆で食べるイベントは楽しい 昆虫食がもっと普及してほし い 自分一人なら楽な料理しかし ない 佃煮系は虫の味がわかりにく いのでイマイチ
1入手困難 シロスジカミキ リ オオスズメバチ 2アルゴキ 弁当 かわいそうかも… 生食不可 3各国料理 おやつ 話題
1たべにくい 下ごしらえがた いへん 食の進化 2栄養価が高いと 思われている 宇宙食 3ステレオタイプ 変人は虫食が好 き 自己表現 意外と楽しい ニッチなテーマ
ていたが, 中にはF3やM8のように単文を中心 とする表出もみられた。 10項目ごとのクラスター 数は, 最小が2, 最大が5で, 1項目で1クラス ターを構成するケースも相当数あった。
1 昆虫を食べることと研究会の位置づけ
採ったものを食べることに重きを置くメンバー の中には, a1のように, 採ることはもちろん, 食べることもごく自然な伝統文化だとうけとめて いる人がいる。
al. 昆虫というのは, もとをたどればわれわれ が自然に食べていた。 だから昆虫を食べること はまったく普通のことであり, 伝統的な食文化 であって, 狩猟本能のようなものも満たしてく れるので楽しい。 (M2)
a2のように, 趣味と実益を兼ねて参加してい る人もいる。 きっかけは虫を食べることではなく, 飼うことから始まった趣味。 職業柄, さまざまな 食材の味に関心があり, この会に参加するように なり, 虫も食材の仲間入りになった。
a2. わたしは職業柄, 食べ物やいろいろなもの の味に興味がある。 昆虫が好きで自分でも飼っ ているが, 虫の味は知らない。 知りたいなとい う気持ちがあって, 食べてみたらこういう味が するのかということで, 趣味として食べていま す。 あと, メンバーはかなりいろいろな職業で あったり, いろいろな専攻の学生さんがいたり, 非常にバラエティーに富んだメンバーが集まっ ているので, 昆虫食の会で虫を食べることを通 して, 普段仕事では知り合えないさまざまな分 野の人と知り合い, いろいろ話ができ, そうい う意味で, 虫を食べることは広い意味で [シュ ミ] だなあと思う。 (M4)
a3. たまたま虫を食べるのですけど, わたしに
とっては虫を捕る会であってもかまわない。 虫 が好きというのがベースにあります。 (M4)
a3のように, 好きだから食べもするというのは, 他の生き物 (ペット) の場合なら考えにくい。 昆 虫の場合は, 愛でることと食べることが結びつき うる。 ただし, 同じ対象者が, 次のようにも発言 している。
a4. 家で飼育している昆虫を食べたのではなく, この昆虫食の会にきたら家でペットとして飼っ ているのと同じ種類のものが食べ物として出て きたということです。 (M4)
次の対象者は, 飼っていた昆虫, ただし飼育し ている爬虫類の餌として飼っていた昆虫を有効利 用しようと, その昆虫を食べることに思い至った ことから, 昆虫料理に進んだと言う。
a5. アルゴキ (アルゼンチンモリゴキブリ) を (爬虫類の) ペットの餌用に飼っていて, ペッ トが成長期を終えて持て余し気味になったので, 何か有効活用できないかなと思って調べていた ら, 昆虫料理に…。 (F5)
虫を食べる会に参加する動機として, 次のよう な率直な意見は, 部外者としては理解しやすい。
a6. こちらのグループで一番大きいのは, “ネ タ” っていう部分なんですね。 僕がこの会に参 加したきっかけでもあるのですが, 内山さんが ブログを作っていらして, そこでいろいろな昆 虫食のレシピを写真入りで出してらっしゃるん ですが, それを見て面白そうだからちょっと覗 いてみようというのが, 入ったきっかけです。
それは, もう完全にネタとして入って, 参加し てみたら思わずのめりこんでいったという, そ ういう流れがあったので, そこが多分一番大き いです。 (M7)
a . 参加のきっかけ
前項の最後にあった “話のネタ” としての昆虫 食は, 自分自身が食べ始めるきっかけとなること や研究会へ参加するきっかけとなるだけにとどま らず, その後も, 特に昆虫を食べない人とのコミュ ニケーションツールとして機能し続ける。
b1. せいぜい人との話のネタになるくらいです かね。 ああ, それが1つの楽しいネタというの はあると思います。 (M1)
b2. こういうものがあった方が友達とかを呼び やすかったりする。 遊び感覚で, オバケ屋敷に 入るみたいな感覚で, 食いついてくる人が結構 います。 (F1)
b3. エンターテイメントとして, たとえば虫食 べちゃったとかを人に自慢したいとか, あと写 メールとって人に送ってとか, そういう感じで 近づいてきています。 そこからこっちに行く人 がかなりいると思うのですが。 入り口として, 結構ありだと思います。 (F1)
b4. 話題になって盛り上がるのはアルゴキの方 ですね。 特に昆虫料理を食べたことのない人に,
「ゴキブリ食べた」 っていうと, 一番ウケルと いうか, 話題になるのがアルゴキで。 (F5)
会の参加者にとっても, 日常的に虫を食べるこ とは容易でない。 したがって, 内山によるこの会 の開催は, 虫を食べることのできる貴重なイベン トとなっている。
c1. じゃあイベント以外で虫を食べられる場所 があるかというとそれもないので, 虫レストラ ンとかがあれば別ですけど。 そう言われると, イベント以外でまず食べる場所がないねという…。
(M1)
c2. (連想項目として) […ない] […できない]
という書き方をしているのですが, それの裏返 しで, なんとか入手したい, 食べたいという, 珍しいもの, 気になるものという魅力を感じ始 めていることの現れが, これらのワード (自分 の表出した連想語) に現れているのではないか なと思いました。 (F3)
c3. (連想した項目の中に) [新しい] というの があるのですが, 昔から食べてきたもので, 決 して新しいものではないとは思うのですが, 今 の私たちにとって新しいという意味で書かせて もらいました。 昆虫食は現代において非日常食 であることに変わりはないので, そういう意味 で (連想項目の) [イベント的] と同じグルー プに入っているのですが, これらは全体として もイベント的なまとまりです。 (F4)
こうした現状の中, 特別なイベントではなく, ちょっとした外食気分で昆虫食を提供してくれる 場が出現するという理想を語る対象者もいた。
(c1も参照)
c4. これからもしかしたら, 昆虫食がもっとメ ジャーになって, お店で手軽に買える世の中に なるかもしれない。 (F1)
また, 昆虫を食べることは, 一部の地方では伝 統文化としての位置づけもある。 そこでは, 昔か らの食べものだから食べるのは当たり前との考え 方も取り得る。 しかし, 今回の対象者の中に, 伝 統的食文化という位置づけとは別の “新しさ” を 見いだす人もいた。
c5. 昆虫食は決して新しいものではないんです けども, これから食べていくに当たっては伝統 とはまた違うアプローチがあるんじゃないかな という思いが常に頭の中にあります。 その意味 で 「昆虫食」 と聞くと, これからの食べ物だと いう印象があります。 でもまた, 実際は伝統的 b . コミュニケーションツール・話題性
c . 非日常・イベント性そして伝統と新しさ
に食べられてきた, まあ知らない人も多いかも しれないのですが, 実は古くからあるものでも あるという棲み分けがまずあります。 (F4) 2 虫を食べない人を意識して
2名の実施担当者 (吉村と関口) がともにこの 会の部外者であることが影響したのかもしれない が, 対象者が想起した項目とそれを受けて行った インタビューでは, 昆虫を食べない人たちを意識 した発言がかなり見られた。 dでその点を直接的 に取りあげるが, 続くeやfも, 食べない人たち を意識したトピックと位置づけることができる。
連想項目の中には, わざわざ昆虫を食べようと しない一般の人たちの感じ方を意識した項目が数 多く見られた。 一般的に行われているネガティブ な捉え方に対し, d1からd4のようにいわゆる
“食わず嫌い” との思いを抱く対象者もいるが, 一方で,d5以降では, 自分にもそうしたネガティ ブな受け止め方をしている面があるという意見も 少なくなかった。
d1. (連想した項目の中には) ちょっとやっぱ りよくないと思っている人たちの意見もあると 思うんですけど (第3クラスター)。 でも逆に, すごく興味をあおる感じの要素もあると思うん です。 怖いもの見たさで, 一回ハードルを越え てしまうと, スルッとみんなこっちの方に行っ ちゃうんじゃないかという感じがしますけど。
(F1)
d2. 温故知新じゃないですけど, もともと文化 的にも昆虫食というのはあったわけで, 有史以 前からふつうに人間という生き物は食べてきて いるので, [食育] という観点で考えたとき, われわれは虫を気持ち悪いとかいうのではなく, われわれは普通に食べてきたんだよと, そうい うのも含めて食べ物だというようなところで,
きちんと [食文化]・[食育] を通して, 正しい 知識というか正しい過去というか, そういうも のをちゃんとみることが重要だなと思います。
(M4)
d3. 自分自身はそうは思わないけれども, 友人 に話したら, [「気持ち悪い」 と言われる]。 (自 分にとって) プラスに捉えているものでも,
「ああそういう見方もあるんだ」 というイメー ジですね。 (M5)
d4. (連想した第3クラスターの項目群には) 昆虫が一般的な食材ではないという, あまり好 かれるものではないという, 嫌われている面が あるという思いがある。 (M6)
d5. (後半の第1と第2クラスターの連想項目 は) 昆虫食に対する, 自分もそう思っているし, 外からも思われているだろうというイメージ, 全体としての, 昆虫食に対するイメージ。
(M7)
d6. 日本人のステレオタイプ的印象である, [げてもの] [気持ちわるい] [タブー] という (前半第1クラスターの) 思いを自分自身ももっ ている。 (M9)
d7. 自分でも気持ち悪いものとかを食べてみた いという興味で近づいていっている部分もある ので…。 (F1)
一般の人が昆虫を食べることに抵抗を感じる理 由の1つは, 寄生虫や毒性などに対する警戒心で あろう。 内山をはじめ, 昆虫料理研究会でも, 当 然のことながらその点には注意を払っているが, 今回の対象者の中にもその点を意識した発言が認 められた。
e1. [虫への警戒心] というのは, 誰もが最初 d . 自分の視点と一般の人たちの視点の違い
e . 虫をたべることへの抵抗・警戒心
はあるもので, 自分の場合は [タガメ] に対し てすごくあったし, 今もある。 虫全般に対し, 今もどこかしら警戒心があるんです。 (M3)
e2. [気持ち悪い] というのも, 自分の第一印 象ではあったんです。 [寄生虫] というのも, やっぱり食べるときには考えることです。 若干 そこの気後れというか, ためらいはあるけれど も, 熱しているから大丈夫だということで食べ ています。 (M5)
昆虫は, 加熱して食べることが原則であろう。
連想項目に [生食不可] をあげた対象者は, 次の ようにコメントする。
e3. やっぱり生食はやめた方がいいと思います。
(F5)
同じ対象者は, 別のところで次のようにも述べて いる。
e4. (アルゴキという虫は) ゴキブリなので最 初は抵抗がありました。 でも自分で (エサ用と して) 飼っていたものなので, (その虫自身が) 何を食べているとかがわかるので…。 (F5)
また, 別の対象者は連想項目として [キモチワ ルイ] とカタカナで表出したが, その点を実施者 の関口から指摘されたのに対し,
e5. [キモチワルイ] は, 僕の中ではカッコイ イにつながっている部分があるんです。 (M7)
と述べている。 言葉本来の意味とは異なる [意外]
性が, カタカナ表記の中に込められているようで ある。 [ちょっとキモチワルイ] と [意外] とが, 同じクラスターに含まれていた。
内山は, 昆虫食の意義として, 栄養が豊富であ
ることや食糧問題に貢献できる可能性を研究会で しばしば指摘している。 対象者からは, この点に 賛同する次のような発言が得られた。
f1. 植物性と動物性の両方の良さを併せもつ昆 虫食というのは, もしかしたら今後すごい人間 の役に立つものかなと, 食べ物としてはすごい ものなんじゃないかなって。 (F1)
f2. オーガニックとかロハスとかいう言葉があ るんですけど, そこら辺で括ってしまうのはあ まり好ましくないとは思うのですが, わかりや すく言うとスローライフという身体にいいもの を, 合成じゃないものを, これからは添加物と か農薬もドンドン使わなくなっていくので, こ れからは身体にいいものの食文化になっていく と思うんです。 (F1)
f3. 昆虫食にどういう機能があるかというと, [丸ごと食べられる] から [栄養価がある] と いうことで, あとの3つの [珍味] であって [大人が食べる] もので [味付けが濃い] とい うのも…。 珍味というのはだいたい栄養価が高 かったりするのは凝縮しているんで, そういう ものは概して子どもには刺激が強すぎるので, そういう栄養価が高い珍味のようなものは味付 けが濃かったりするので, 大人がちょっぴり食 べるようなもの, たくさん食べるよりも, 少し で満足できるような栄養価が高いものというイ メージです。 [味付けが濃い] と [珍味] とい うのは重なるところがあって, 少量でも満足の できる食材とか料理という感じでしょうか。
(F3)
f4. 農学系の勉強をやり始めて, 昆虫食が案外 美味しいもので, もしかしたら飢餓を解決する 手段になるのかもしれないというイメージがあっ た。 (M5)
その一方で, エコロジーなどの社会的貢献は持 f . 栄養源と社会的価値
ち出さず, 我が道を行くとのスタンスの対象者も 少なからずいた。
f5. エコロジーという言葉が (単独でデンドロ グラムの) 一番下にきた理由は, ただ単に一番 興味がないからだと思うのですが, 実際に虫を 食べるために飼っていても, 残飯がでないとか, あとは副産物的なお茶になったりということを 聞くので, エコロジーは現実問題としてあるん だなとは思うのですが, 興味がないので一番下 にきたのだと思います。 (F4)
f6. [エコロジー] とかですと, 社会的に有意 義な社会全体のことを考えてのことなのですが, (主要なクラスターである) 第一グループに書 かれていることは単に娯楽としての意味合いが 強くて, やってることは大差ないかもしれない けれども目的意識はずいぶん違うのかなあとい う感じです。 (F4)
f7. 肉とか魚は [タンパク源] だと思って食べ ますが, 昆虫を栄養面で考えることはありませ ん。 (昔の人は) 意識してなかったでしょうね, タンパクとしては。 単に美味しい, 食べられる ということで食べていたんだと思うのですがね。
(M2)
3 趣味の領域
昆虫は, 食べる前にまず採集することが楽しい。
そういう思いで食べる会に加わっている人もいる ようである。 食べものを採集することの興奮ぶり が, 発言から読み取れる。
g1. (連想項目として表出した) [本能] という のは狩猟本能のことで, 採っても採っても魚が たくさん釣れたときのおもしろさと同様のおも しろさを感じる。 (M2)
g2. 自然のものというか, 育てて作っているも のではなくて, 森に入って採ったとか, そうい うものとしての認識だと思います。 (M7)
g3. ハンターとしてはいろいろな獲物の習性を 知り, 採れるレパートリーを増やしたい。 山菜 とかも採って食べるのがうまいですね。 それか ら, まいたけクラスになると, そんなきのこを 山の中で見つけたら, お宝発見って超興奮する んですよ。 (M8)
g4. それはもうギャンブルしているようなもの ですけど, 健康的に山の中を歩いて, 外れれば, まあ今日は歩いてきただけとか, しょぼいキノ コだけってなって。 当たると, もう買ったら何 千円もするようなキノコとかをとってくるわけ ですよ。 まあ, 釣りに行っても同じようなもの ですよね。 一日行って, 一匹も釣れなくて帰る こともあるし, 今日は大漁だったとか, 美味し いのが釣れたとかあるんで。 大物釣れたとか。
そういう当たりはずれがある中で, いろいろ工 夫して当たりの確率をより上げるとか, 大物と か美味しいレアなものを採れる確率を上げると か。 そういう工夫をしていく過程も楽しいし, 工夫してうまく成功した時にはすごい充実感が あるわけですよ。 たとえば, パチンコとか競馬 とか研究して当てたら人はうれしいのかもしれ ないけど, お金とかじゃないところでやってい るんで。 自分のからだとか目とか観察力が勝負 なわけですよね。 その方が面白いですよね。 ス ポーツというか趣味として楽しんでますね, ハ ンティングを。 (M8)
採集することがエキサイティングな人がいる一 方で, 次のように昆虫は採集に際して安心感があ ると感じている女性もいる。
g5. (連想項目の) [安全] というのは, 普段食 べている肉・魚に比べてなのですが, 肉や魚は 今は普通に流通していて手に入るのですが, 自 g . 採集することの魅力
分で採って食べようと思うと, 魚も肉も危険が 伴うじゃないですか。 それに対して虫というの は, 安全に手に入れることができるというのが あります。 (F4)
一方, 昆虫を食べることに気持ちが向いていて も, それを採ることにはあまり興味を持たない人 もいる。
g6. 内山さんとかのお話を聞いていると, [ア ミノ酸] や [栄養がある] というのはよく出て きて, [食文化] [未来] [未知の分野] も割と すんなり (連想項目として) 出てきたんですけ ど, [狩り] というあたりがちょっと違うのか なと思います。 ([狩り] を) やっている人はホ ントに少ないので, 長野の文化など自分で採ら ないで普通に買って食べている人も中にはいる と思うので, それはホントに食文化として根づ いている。 (それに対し,) [狩り] [アウトドア・
BBQ] は少ないと思います。 だから昆虫食と 言われて [狩り] って (連想する人は) あんま りいない。 (F1)
狩りを愛する人は, 収穫物の価値にも目を向け る。 苦労して採った戦利品に対する評価もまた高 い。
h1. 一方は串に刺して焼いて食べるようなもの。
もう一方は皿に載せて一皿何千円という感じ, それらは採るのも大変。 (M2)
対象者の多くは, 昆虫を高級品と捉えている。
中には昆虫をおしなべて高級品と捉えている人も いるが, 多くは上記の狩り名人のように高級品と そうでないものを区別しているようである。
h2. (昆虫は) 食べてみると意外と美味しかっ たり, 普通に一般に使う食材としてはちょっと 高価。 (M6)
h3. 虫の種類によると思うのですが, 調理する ために生のものを買うにしても調理されている 缶詰を買うにしても, 今現代においてはすごく 高級であることは否めないと思うのですが。 な かなか手を出せない [高級品] というイメージ がすごく強いです。 (F4)
h4. 郷土料理と [高級品] の違い, それは虫の 違いになると思うのですが…。 (F4)
h5. たとえば第3グループ (高級品) がザザム シなら, 第2グループ (珍味) はセミだったり, 中国に行ったら普通に食べられていたりするも の。 海外の人から見れば [ちんみ] なんですけ ど, 洗練度の違いというのもありますね。
(F4)
食べるための昆虫が高級品であることは, 対象 者たちにとっては手軽に食べられないという困っ た状況を生むことになる。 それにとどまらず, 環 境問題などへの影響を指摘する声もある。
h6. [高級品] ですと, やはり商売の方が先に 走りまして, 環境のことはあまり考えずに, た とえば貴重だから食べるとか, 美味しい虫だか らという理由で採集するんですね。 (F4)
味の個性を表現したり伝えたりすることは難し い。 「うまい」 か 「まずい」 の二分法的表現以外 に気のきいた表現がなかなか見あたらない。 仲間 以外には昆虫を食べたことのない人が多いため, 第三者にその味を伝える表現がことさら必要とな るはずだが, 対象者との会話の中で味の個性に関 する表現にあまり出会わなかった。 何かの味やに おい, 食感にたとえるのが常套手段で, 「薬っぽ い臭い」 という表現などがみられた。 それに対し, うまく伝えられない歯がゆさは随所にみられた。
i1. セミもカミキリムシも大変おいしいと感じ h . 高級感 (高級品)
i . 虫の味の個性
ている。 (M3)
i2. 虫には結構おいしいものとおいしくないも のがあって, そんな虫まで食べなくてもいいの にと思うこともあります。 (M2)
i3. 一般の人にとっては, われわれもそうです けど, なかなか手に入らない食材なので, 何の 味がするんだと聞かれても, ゴキブリはゴキブ リの味だし, カミキリムシはカミキリムシの味 ということで, 他のものとは違う独特のうまみ がある。 手に入らないということもあって, 高 級感もあるんですね。 (M2)
i4. それぞれに個性的な味があることを [珍味]
という言葉で表しました。 うまいものもあるし, やはりまずいものもあるということですね。
(M2)
i5. [コオロギのからあげ] は, 一番美味しく てよくみる, 昆虫食の代表のようなものです。
(F2)
i6. 内山さんはムカデとか食って, 「結構うま い」 とかいってるんですけど, 僕はムカデとか 食ったら, なんか薬っぽい臭いがして, もうこ れは食わなくていいやって思った。 でもセミと かはうまいし, 今日出ていたカミキリムシとか, うまい。 (M8)
i7. シロスジカミキリでメキシカン料理とか, おやつにすることは可能ではあるけれど, 神々 しすぎて, あまりにもぜいたくすぎて, もった いない。 できれば素材のままで食べたい。
(F5)
i8. おやつとして適しているのはアルゴキ。 甘 辛い味が合うので。 (F5)
i9. まろやかな味。 おいしいものではないとい
うのが, 僕の個人的な味覚。 (M9)
当日の会で振る舞われたシロスジカミキリのよ うに対象者の皆さんがおいしいというものは,
「素材のままで食べたい」 (i7) との気持ちをそそ られる。 しかし, 内山が主催する昆虫料理研究会 では, さまざまに手を加え, 創作料理にまで高め ようとしている。 そのような, “凝った料理” に 対し, 対象者はさまざまな意見をもっている。 ま ずは, 採集に喜びを感じる自然派メンバーから見 てみよう。 彼らはおおむね “凝った料理” に消極 的である。
j1. 私は素朴なのがよくて, 素材の味を生かし たのが好きです。 本来は焼いて醤油をつけるく らいでいいのですが, 調理していろんな料理を 創造したり味付けを変えたりとか, 古代人には なかった砂糖とか香りのものとか, ケーキに載 せたりとか, そんな “遊び” をやっている人も います。 (M2)
j2. 面倒くさいですからね, なんか手の込んだ 料理とかは。 内山さんのホームページをみると, なんかすごい手の込んだ料理が出てて, これ昆 虫使ってなくてもめんどくさい料理だなってい う料理がたくさんあるわけですよ。 昆虫があっ てもなくても僕は作らないだろうみたいな料理 をたくさん作っているわけですよ, 内山さんは。
一人暮らしだとそんなめんどうくさいこと普通 しません。 みんなでイベントでやろうと思った ら, すごい手の込んだ料理を頑張って作るかも しれないですけど。 あるいはみんなで一人一品 ずつ作って, 何品にもなるかもしれないけど。
一人で何品も手の込んだものを作るほど料理好 きではないので, 揚げたりとかゆでたりとか焼 いたりとか, スゴイ単純な作業ですませてしま います。 そう, もうワンステップ。 てんぷらと か, からあげとか。 でも, 虫がうまいかまずい かっていうことにはかなり好奇心があるので,
j . 凝った料理をすること
こう佃煮みたいに甘辛くしちゃうと味がわかん ないんですよね。 完全にわかんないわけではな いけど, みんな醤油と砂糖の味になっちゃった り, 味噌煮込みならみんな味噌の味になっちゃ うんで。 そういう濃い味つけは避けて, 自分で やるんだったら, もうちょい薄味で, この虫は うまいとか, これはまずいとか評価して, まず いやつはもう採らない。 うまいやつを次には食 べたいっていうのをしたいですね。 (M8)
その一方で, 昆虫を, 手の込んだ料理のしがい のある食材と捉えているメンバーも少なくない。
j3. 昔は食べていたけど, 今は食べなくなった という, イメージとしてはこの性質によって, 今衰退してきて, この (進化上の) 衰退が, (昆虫食に対する) [ステレオタイプ] (的考え 方) とつながっている気がする。 違いといって いいか分からないですけど, ステレオタイプを もっている人たちは, [下ごしらえ] とか [食 べにくい] とか思うようですけど, われわれは, そうは思わない, 思っていない。 (M9)
j4. (昆虫は) ごく当たり前の食材ですね。 冷 蔵庫を開ければ, 普通に入っているような。 卵 とかお肉とか, そんな扱い。 (その一方で) 当 たり前の食材にひと手間加えたり, 季節限定じゃ ないと手に入らないとか, ありがたみのある感 じのものもあります。 ちょっといいブランド卵 みたいな。 お客様が来た時にちょっと奮発して 出そうかな, とか。 ちょっといいお酒買ったか ら, おいしいもの作っちゃおうかなとか。 ハレ の日向けというか。 (F5)
◇1から3のデータに対する研究会主宰者である 内山のコメント
本稿冒頭で, 昆虫食に対する心性の具体像と 考え方の広がりを捉えるという目的を掲げた。 そ の目標実現のためにまず考えたのは, 14名の対 象者から得られたPAC分析データを, 会の主催
者であり本稿の共著者である内山に情報提供し, 会の運営に役立てることであった。 1から3にま とめた対象者からの記述データに対し, 内山は以 下のような感想を示した。
1の 「昆虫を食べることと研究会の位置づけ」
について
・これは意外だったという意見はなく, 順当な結 果だったと思う
・採集が好きと言っても, 標本を作って同定して 分類するいわゆる虫屋は少ない
・魚釣りと同じで狩猟が好きという人は 「セミ会」
「バッタ会」 に欠かせない。 彼らが参加するか どうかで収量が違ってくる
2の 「虫を食べない人を意識して」 について
・昆虫食へ積極的に関わっているであろう対象者 にもゲテモノ・イメージが依然として根強くあ ることを再認識した
・栄養改善やスローライフとの結びつきをあげた 人もあるが, 多くはエンターテイメント性と結 びついている
・今のところ 「怖いもの見たさ」 的興味が昆虫食 イベントの盛況を担っていることは否めない 3の 「趣味の領域」 について
・昆虫食の趣味の多様さにいまさらながら驚く
・アウトドア派は自然で素朴な料理を好み, イン ドア派はグルメ志向で凝った料理を好む傾向に あるようだ
これらを受けて, 内山はさらに次のような見解 を示した。
伝統食, 郷土食として一部地方で食べられてき た昆虫食だが, それに光を当てようとする昆虫料 理研究会の活動も今年で12年目となる。 年々参 加者が増加し, メディアへの露出回数も多くなっ てきている。 内山が仲間数人と活動をはじめたこ ろは, 一般に 「奇食」 としてのイメージしかなかっ た昆虫食だが, このところ急速に多様な関心の広 がりを実感するようになってきた。 今回の分析は そうした実感をデータ的に裏づける結果となった。
「採集し, 調理し, 食べる」 ことは昆虫食の基 本である。 会を結成した12年前も, まず河原で トノサマバッタを採って素揚げし食べることから はじまった。 だが昆虫食にはもう1つの大きな側 面がある。 それは今の日本の食習慣から大きく逸 脱した, いわゆる [ゲテモノ] としての昆虫食で ある。 このため昆虫食のエンターテインメント性 やグルメ性 (未知の食材や味への興味) などから, 参加メンバーの趣味の多様さも生じたし, 女性が 多いのも頷ける。 年齢では大学生から30代まで の若者が多く, またおしなべて好奇心が強い人た ちである。 仕事柄ライターの参加も目立つ。 彼ら には昆虫食に対して伝統食という固定観念が希薄 で, [新しい] 非日常食としてとらえ, 気が向い たら立ち寄れる昆虫食レストランへの期待もみら れる。 分析結果をみると, 研究会の集まりがたん に 「虫を食べる場」 にとどまらず, 「虫にまつわ る多彩な好奇心を満たす場」 となっているのがよ くわかる。
昆虫食を食文化のひとつとして捉え, [食育]
によって啓蒙すべきとする参加者がいる一方で, 虫を食べない人達と同じネガティブな印象をもち, 衛生面で食べるのを躊躇する人たちもいる。 後者 は 「生食はさけ, 熱を通せば大丈夫, と思って食 べている」 と発言している。 食べない理由に 「食 わず嫌い」 をあげ, 「怖いもの見たさ」 が人には あり, 一回ハードルを越えればあとは意外と平気 で食べられるようになる, といった意見もある。
また栄養があって飢餓を解決する手段となりうる, という意見がある一方で, 今はやりのエコロジー に自分は興味がない, 栄養を考えて食べているわ けではない, との意見もあって様々である。 少量 でも満足できる料理, いわゆる [大人が食べる]
[味付けが濃い] [珍味] として昆虫食をみている 人もいる。
虫を食べる動機はさまざまである。 昆虫採集を 魚釣りや山菜採りやキノコ狩りと同じと考える人 がいる。 自然の中でおいしい昆虫に出会えた喜び は大きい。 収量を上げる業を磨くのも楽しい。 昆 虫は比較的安全に採れるのがいい, という女性も
いる。 彼らの多くは凝った料理より素材の味を生 かしたシンプルな料理を好む。 一方で昆虫は食べ る対象でしかなく, [狩り] というイメージは浮 かばない, という人もいる。 彼らの多くは貴重で 高価な [高級食材] といったイメージを昆虫に抱 く。 当たり前の普通の食材のように, ひと手間加 えてさらにおいしく食べたいと彼らは願う。 そん な彼らにとっても, 虫の味をどう表現したらいい か難しいようだ。 どんな食品に例えられるか, な かなか思いつかない。 「おいしい」 「まずい」 だけ では伝わらないもどかしさを感じている。
今回の分析結果は昆虫食に関するさまざまな心 理的要素を浮き彫りにしている。 こうした多様な 思いや期待にどう対応すべきだろうか。 参加者の 関心は大きく以下の4つのグループに分けられそ うだ。
① 狩猟採集活動としての昆虫食
採集活動に重点をおき, その結果として
「昆虫を食べること」 も古来よりあった自然 な行為と考えるグループ
② グルメとしての昆虫食
昆虫も普通の食材と考え, 純粋に 「おいし さ」 を追究するグループ
③ エンターテインメントとしての昆虫食 虫食いを娯楽として考え, その珍奇性を楽 しむグループ
④ 科学としての昆虫食
今後の食料として昆虫食の有効性を科学的 に提示したいとするグループ
内山はこれまで①を研究会の基本イベントと考 え, 春の 「若虫会」, 夏の 「セミ会」, 秋の 「バッ タ会」, 冬の 「寝る虫を起こす会」 を屋外で開催 してきた。 ここでは採集・調理・試食が体験でき る。 ②はいわば昆虫料理教室である。 月一回都内 で試食会を開き, 昆虫の味を共有している。 ここ へは昆虫を触れないという人が参加することもあ る。 大部分の昆虫食材は内山が提供し, 参加者は 調理・試食が体験できる。 ③もとりわけ生きた昆 虫を扱う場合などここに入る。 ④に関しては, 今 年 (2011年) 若い昆虫食研究者を中心に当会と
は別に専門的な 「食用昆虫科学研究会」 が発足し た。 この会の目的は昆虫食の研究成果の共有と, その社会的役割の考察である。 内山も参加してお り, これまで困難だった正確な昆虫食情報の提供 が可能となる。 昨年 (2010年) からこれら4つ の関心を総合する試みとして 「虫食いフェスティ バル」 を春秋年2回の予定で開催している。 今回 の分析がこうした諸活動に真に生かされることを 確信している。
4 変形PAC分析の位置づけ
PAC分析は本来, 対象者個人の態度やイメー ジ構造を捉えることを第一義的目的としている (内藤,2002)。 それに従うと, 本研究での分析は, 14名それぞれのクラスター構造を中心に議論す べきと考えられる。 しかしそうすることは, 心理 学の臨床的研究が抱える困難な問題, すなわちク ライエントから得た情報には守秘義務があり面接 等の内容を論文として公表することが難しいとい う現実に突き当たる。 テーマが病的心理状態では ないため, 本研究の場合には個々の対象者から許 可を得て個人のクラスター構造に基づく議論を行 うことも可能かもしれない。 しかし, 本研究の目 的は, 昆虫料理研究会に参加する人たちが, どの ような思いをもって会に参加しているかの意識の 広がりを捉えることにあり, 個人像を捉えること にはない。 そのねらいを考えれば, あえて個人の クラスター構造を浮かび上がらせる必要はない。
入会のきっかけは何だったのか, 昆虫を採取する ことに対してどのようなスタンスをとっているか, 凝った料理を作ることをどう思うか, こうした会 の運営に関わるテーマに, 参加メンバーたちがど のような意見をもっているのかを捉えることが本 研究の目的である。
であるなら, PAC分析を用いなくてよいので はないか。 この疑問への筆者らの回答は以下のよ うである。 都合をつけて集まってもらった14名 もの協力者ひとりひとりから, 初対面の面接者で あるわれわれの手で, 昆虫を食べることや昆虫料
理研究会への思いの本音を短い時間で聞き出さな ければならない。 このミッションに与えられたイ ンタビュー時間は, せいぜい1人30程度にすぎ ない。 熟練したインタビュアなら一般的な非構造 化インタビューでそれを達成することが可能かも しれないが, そうでない筆者らにとって, 初対面 の対象者から通り一遍でない反応を引き出すこと は難しい。 こうした状況では, テーマをめぐって 対象者があらかじめ表出した連想項目を使ってイ ンタビューを進めることは, 大きな後押しとなる。
そのようなわけで, 有効な非構造的インタビュー の一技法として, PAC分析を位置づけたい。
こうした観点に立てば, PAC分析の通常の手 順である, クラスターのまとまりとクラスター間 の相違点に重点を置く通常の進め方は, 必ずしも 最善でないかもしれない。 今回もその手法を踏襲 したが, クラスター間の異同点のみへの注意は, 表出された項目1つ1つへの思いを深め・広げる ことの妨げとなったかもしれない。 こうした反省 点も踏まえ, インタビューの一技法としての PAC分析の可能性を, 14名の対象者からの発言 データに基づいて検討していきたい。
心理学調査の対象者となることに慣れていない 人たちには, 必ずしも (非) 類似度評定が容易で なかったかもしれない。 (非) 類似度を量的に評 定するのではなく, k1のように 「似ている」 か
「似ていない」 かの二分法で捉えてしまうケース が見られた。
k1. 自分で評定しておきながら, なぜこの2つ (の項目) が近いのかがわからないというのが ある。 結構でたらめにやってしまったというか, ほとんどイエス・ノーくらいの気持ちでやって しまった。 (M1)
また, 自分の中での思いの大きさと, デンドロ グラムに示された項目数の多少とが対応しないこ とに戸惑いを感じる対象者もいた。
k . クラスター構造を目の前に見て
k2. 私自身の重みとすれば, これ (「個人とし ての昆虫に対するとらえ方」 と名づけたクラス ター) とここのところ (「食文化として伝える」
と名づけたクラスター) ですね, そこにウエイ トがあると思っていたのですが, ワードとして 出すと, この辺 (「昆虫食のビジネスとしての 可能性」 と名づけたクラスター) が (多く) 出 てきているという思いがあります。 自分の思っ ていることのウエイトとワードの数は対応しな いなあとちょっと思いました。 (M4)
表出項目数が自分の中での重要さと対応しないこ とは, 珍しくない。 1つの項目から芋づる式に連 想することはよくあり, 重きを置いていないこと でも1つのトピックをめぐる連想数が多くなりう る。 このケースの場合は, むしろ自分ではそれほ ど重要と思っていなかった 「昆虫食のビジネスと しての可能性」 (M4の第2クラスター) の存在 を自覚できたことの意義が大きい。 デンドログラ ムで図式的に示されることで, それまで漠然とし かしていなかったことを, その重要度とともに再 認識できることは, PAC分析の利点の1つと言 えよう。
他の対象者からも, 別の形で, ぼんやりしたイ メージが明確に意識され, 加えてその重要性を再 認識したとの発言が得られた。 インタビュー終了 間近, 実施者からの 「最後に付け加えたいことは ありませんか?」 の問いかけに対し, 次のように 答えた。
k3. やっぱり [オーストラリア] ですね。 自分 の知らないことが多すぎたけれども, 意識の中 にオーストラリアはあった。 自分はオーストラ リアに関して無知であった。 (F2)
この対象者のデンドログラムでは, [オーストラ リア] は単独で他の諸連想からいち早く分岐する 孤立項目であった。 この孤立の意味を, 話し合い の中で対象者は自ら認識し, 「未知の国オースト ラリアへの興味」 を新たにした。
このように, 研究に協力してもらう対象者の人 たちには, データの産出者となるだけではなく, 自分自身についての新たな発見や考え方の整理の 機会ともなってほしい。 PAC分析は, こうした 目的を実現できるインタビュー技法と考えられる。
さらに別の対象者の発言k4でも, 自らの思い を再発見したことへの気持ちが語られた。
k4. 自分で表現したものをこのような形 (デン ドログラム) で見てみると, 昆虫食に対してす ごく前向きな自分がいるんだなあということを 改めて感じました。 どちらかというと, どちら でもないと思っていたのですが, もっと客観的 に自分を見ているのかなあと思っていたのです が。 (F3)
14名のうち, 7名には10項目, 他の7名には 20項目の連想を求めた。 10項目連想者にはテー マについての思いを十分表出できたかを, 20項 目連想者には負担が大きすぎなかったかを中心に 尋ねた。
それぞれ7名ずついたので, 違いを量的に評価 できることを期待したが, 結果は一貫性を示さな かった。 10項目連想者では 「物足りない」 とか
「不十分」 との感想が, 20項目連想者では 「多す ぎる」 や 「苦労した」 との感想が多いと期待した が, 10項目連想者の中からも 「10項目で足りて いる」 や 「10項目で結構いっぱいいっぱい」 と の感想が得られ, 明確に10項目では不足との感 想を示した人はいなかった。 また, 20項目連想 者では, 「20項目でよかった。 それほど苦労せず に書き出せた」 や, 「20項目でもどれも一般論ば かりで, 同じようなことが並んだように思う」,
「特に苦労せずに20項目を書き出せた」 という回 答があり, 「苦労した」 との感想は2名だけであっ た。
20項目連想者に対しては, 前半と後半で連想 項目に質的な違いを感じたかどうかも尋ねた。 20 項目の連想を求めたねらいの1つに, 途中で出尽
l . 連想項目数10と20
くし新たな角度からテーマを捉え直すイメージや, はっきりと自覚していないイメージの表出が誘導 されやすいことを期待していたためである。 「前 半と後半の違いは意識されない」 との感想も1件 あったが, 前後半の連想項目に違いを認める次の ような複数の発言が得られた (発言者記号を手が かりに, 表1の連想項目を参照してもらいたい)。
l1. 前半に比べて (後半は) 確かにややこしい ですね。 意図したわけでないが, 前半と後半で はっきり書かれた内容が分かれている。 10項 目書き終えたところで (所要時間を記入するた め) 一旦区切りが入り, 頭が切り替わったのか もしれない。 (M7)
l2. 全般的に, 前半は主観的, 後半は客観的な んですよね。 10番目の [食す地域が限られて いる] は後半に入るように思えます。 (F3)
l3. 後半の方が難しいことを言っている。 前半 の方が一般的で無難な内容。 (M9)
これらの発言を踏まえると, 20項目を課したこ とで, 確かに10項目までには見られない新たな 観点からの表出が生じた。 20項目を課されたこ とが心的負担になると答えた人が7名中2名にと どまったことを思えば, この方式を前向きに位置 づけてよいかもしれない。 しかし他方, 10項目 では足りないと答えた人がいなかったことを考え れば, あえて多数の連想を強いるまでもないとも 言える。 また, 20項目を課して行う変形PAC分 析では, クラスター分析を2つに分断してしまう ため, 全体のクラスター構造を捉えにくい。 これ らの点を熟慮し, PAC分析の有効利用を目指し て, 研究目的に照らした手続き選択を行うべきで あろう。
最後に, 10項目連想者7名が10項目の連想に 要した平均時間と, 20項目連想者7名が10項目 の連想と20項目の連想に要した6名の平均時間 (7名中1名は17項目の表出で終了したため, そ
の1名を除いて算出した) を記しておきたい。
10項目連想者7名が10項目の連想に要し た平均時間 3分48秒
20項目連想者7名が10項目の連想に要し た平均時間 2分23秒
20項目連想者6名が20項目の連想に要し た平均時間 5分49秒
とはともに最初の10項目の連想に要した 時間である。 すなわち, 同じ作業の時間である。
にもかかわらず, さらなる10項目の表出が控え ているでは, に比べ明らかに短い時間で最初 の10項目表出を完了した。 サンプルの大きさが 7ずつと小さいため, マンウイットニーのU検 定 (順位によるノンパラメトリック検定) で統計 的確認を行ったところ, 5%水準で有意差を示し た。 この事実は, 同じスタートラインに立つ10 項目のイメージ表出でも, あとに10項目の表出 が控えているかどうかで, 異なる心的構えで臨ん だことを意味する。 表1を見ると, 20項目表出 群の方が10項目表出群よりむしろ表出内容が長 い。 20項目表出群に属するF3やM8は, 単語で はなく単文形式で表出していた。 20項目表出群 では思い浮かんだことを次々に書き出したのに対 し, 10項目表出群では頭に浮かんだことを取捨 選択してから書き出す傾向があったのかもしれな い。
謝 辞
本研究は, 2011年度文部科学省科学研究補助金基 盤研究「オノマトペを活用した芸術鑑賞における感 性評価」 (課題番号:23520201, 研究代表者:関口洋 美) の補助を受け実施された。 実施にあたりPAC分 析の対象者として研究に参加してくださった昆虫料理 研究会の14名の方々にお礼申し上げます。 また, PAC分析支援ツールの使用を快く認めていただいた 金沢工業大学の土田義郎教授にお礼申し上げます。
内藤哲雄 (1997) PAC分析実施法入門 「個」 を科 学する新技法への招待 . ナカニシヤ出版 内 藤 哲 雄 (2002) PAC分 析 実 施 法 入 門 [ 改 訂 版 ]
引用文献
「個」 を科学する新技法への招待 . ナカニ シヤ出版
土田義郎 (2008) PAC分析支援ツールver.20080324 吉村浩一・関口洋美・伏見清香 (2011) 連想反応数を
指定することがPAC分析に及ぼす影響 パブ
リックアート鑑賞支援システムを用いた検討 . 法政大学文学部紀要, 63, 4964.
吉村浩一・内山昭一 (2009) 昆虫食・昆虫料理をめぐ る心理的要因の検討に向けて. 法政大学文学部紀 要, 59, 2334.
Understanding the Minds of Bug-Eating
Using the Personal Attitude Construct ( PAC ) Analysis
YOSHIMURA Hirokazu, SEKIGUCHI Hiromi, and UCHIYAMA Shoichi
Abstract
We attempt to make clear the mentality of bug-eating by using a psychological interview technique, PAC analysis. By encouraging the participants to produce a large number of associa- tions and by cutting down the number of pair-comparisons imposed on them, we altered some parts of the original method of PAC analysis. Fourteen men and women who are the members ofKonchu-Ryori Kenkyukai(Insect Cuisine Club, Japan)which is presided by S. Uchiyama, one of the authors, participated in the present research. They verbalized lots of valuable comments concerning bug-eating in the interview sessions of PAC analysis. We categorized them into three groups; meaning of bug-eating and the club meeting for him/her, taking account of non-bug- eaters’ eyes, and the bug-eating as a worthy activity. Based on the participants’ comments and the time needed to complete the 10 or 20 associations, we also discussed the methodological problems of the altered PAC analysis.