中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一) : 日本法との比較
著者 黄 暁林
雑誌名 同志社法學
巻 60
号 6
ページ 159‑213
発行年 2009‑01‑31
権利 同志社法學會
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000011537
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一五九同志社法学 六〇巻六号
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一) ―日本法との比較
黄 暁 林
(二五九五)
目 次はじめに第一章 中国と日本における株式譲渡制限の展開 第一節 中国における株式譲渡制限の展開 第一款 一九九三年会社法:株式譲渡制限の採用 第二款 二〇〇五年会社法:株式譲渡制限の充実 第二節 日本における株式譲渡制限の展開 第一款 株式譲渡制限の採用 第二款 昭和二五年以降の株式譲渡制限の充実
第三節 中国と日本の制度の比較の可能性 第一款 比較可能な株式譲渡制限
第二款 法律概念の統一第二章 中国における株式譲渡制限の方法 第一節 株主間の譲渡 第二節 非株主への譲渡に対する制限 第一款 承認決定機関 第二款 譲渡の承認が得られない場合の譲渡株主に対する救済
―
反対した株主の買取義務 第三款 譲渡が承認された場合の既存株主の先買権 第四款 他の株主の承認を得ていない株式譲渡の効力中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一六〇同志社法学 六〇巻六号
(二五九六)
第三節 株式譲渡制限に関する定款自治の範囲 第一款 株式譲渡制限に関する定款自治の沿革 第二款 定款自治の範囲に関する課題 第四節 特殊な株式譲渡に対する制限 第一款 競売 第二款 株式質入 第五節 株式売買価格の決定 第一款 株式売買価格の決定方式 第二款 株式売買価格の決定手続き 第六節 株式譲渡の対抗要件 第一款 定款の変更 第二款 出資証明書の発行 第三款 株主名簿の名義書換 第四款 商業登記の変更 第五款 複数の手続きを簡素化する必要性第三章 日本における閉鎖型会社の株式譲渡制限との比較 第一節 日本にける閉鎖型会社の株式譲渡制限方法
第一款 株主間の譲渡に対する制限 第二款 非株主への譲渡制限
第三款 株式譲渡制限に関する定款自治の範囲 第四款 特殊な株式譲渡に対する制限 第五款 株式売買価格の決定 第六款 株式譲渡の対抗要件 第二節 中国と日本における株式譲渡制限方法のフロー・チャート 第一款 株式譲渡手続きの概要 第二款 株式譲渡制限の諸方法の比較第四章 中国における株式の譲渡制限方法を改善するための提言
第一節 中国の譲渡制限に関する問題点 第一款 譲渡制限に関する二つの問題 第二款 株式譲渡制限における投資回収の確保 第二節 譲渡制限制度を改善する方法 第一款 譲渡制限の簡素化 第二款 整備のためのその他
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一六一同志社法学 六〇巻六号 はじめに 近代市民社会においては、個人は私有財産権を有している。また、個人は自由に契約を締結できる (
価の現れる。株式の財産権として性形質には流通価値、およびそのでう主自会社法上、株いは由に株式を譲渡できると のこれら。原則は、 1)
値をいつでも実現できるということが含まれている (
う。非、てっがたしる主あが性能可るれさ株へ脅承いとるす要を認のの社会はに渡譲式株かが株関頼信の間主係、とる 社。におの会か型鎖閉、してしいの、株式譲渡自由を無制限に認め 2)
制限を設けることが認められている。一九九三年に制定された中国の会社法は、有限会社の株式を非株主に譲渡しようとする場合、株主の過半数の承認を得なければならないと規定していた。日本の明治三二年商法は、閉鎖型株式会社の
株式譲渡については定款で制限することを認めていた。昭和一三年有限会社法は、持分を非社員に譲渡する場合には、社員総会の承認を要するとしていた。しかし、私有財産権の法理によれば株式の譲渡は自由が原則である。株式の譲渡
制限制度の枠組みの中では、どのように株主の投資回収を確保するのかが重要であろう。
そこで、本稿では、株主の投資回収の確保に焦点を当てて、中国と日本における閉鎖型会社の株式譲渡制限制度を考
察し、中国の制度を改善するための提言をしたい。
(二五九七)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一六二同志社法学 六〇巻六号
第一章 中国と日本における株式譲渡制限の展開 第一節 中国における株式譲渡制限の展開 第一款 一九九三年会社法:株式譲渡制限の採用 一 一九九三年会社法の制定 一九八〇年以降、計画経済路線は修正され、市場経済体制が次第に確立されてきた。国有企業は自主経営権を獲得して、近代的な企業制度が次第に確立されてきた。そして、一九九三年に、会社法が制定された。二種類の会社、つまり
有限会社と株式会社について規定されたのである。
二 株式譲渡制限の成立(一) 有限会社の株式譲渡制限 小規模の国有企業は改革の結果として、有限会社に変更された。また、有限会社は小口の出資も可能 (
。者たきてえ増が資投 な模規小、での 3)
会社法は、国有企業改革および現代企業制度確立のために制定された。会社の安定性を維持するために、有限会社株式の譲渡は制限される。また、有限会社には小規模投資者も存在する可能性があるので、株主間の緊密な関係を維持す
る観点から、株式譲渡に対する制限が必要である。つまり、非株主に株式を譲渡しようとする場合は、株主の過半数の承認を得なければならないとされていた。
(二五九八)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一六三同志社法学 六〇巻六号 (二) 株式会社の株式譲渡制限 中国において、株式会社は大規模な企業形態である。登録資本の最低限度は一千万元(約七千万円)、発起人は五人
以上、株式譲渡は証券取引所で行わなければならない。
株式は法の定めに従い、譲渡することができる(会社法第一四三条)が、四つの制限がされている。すなわち、譲渡 方法の制限、発起人等の譲渡制限、取締役、監査役、支配人の譲渡制限、自社株の取得の制限である (
。 4)
第二款 二〇〇五年会社法:株式譲渡制限の充実 一 二〇〇五年会社法制定の背景 一九九〇年代末、中国がWTOに加入し、経済体制に対する改革が一層進められるに伴い、中国の社会経済の状況は著しく変化してきた。会社は中国において、主要な企業形態になってきた。会社が増えてくるにつれて、会社に関する
紛争は急激に増加し、かつ、多くの紛争をどのように解決するのかは、当時の会社法からは明らかではなかった。そこで、二〇〇五年一〇月二七日に、会社法は大規模に改正された。もとの二二九条文の内、一三七条文に改正が加えられ
た。
投資が増加すれば、経済成長を促進し、就業機会を作り、税収を増やすことができる。そのことによって、調和社会を築き、社会の安定を図ることができる。したがって、新会社法において、もっとも重要な点は、投資の促進である。
二 株式譲渡制限制度の改正 投資者の投下資本の回収を十分に保護することは、投資を促進するために重要となる。投資者の利益を保護する観点
(二五九九)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一六四同志社法学 六〇巻六号
から、新会社法において、有限会社の株式譲渡制限は改正された。改正された会社法の第三章(第七二条ないし第七六
条)では、有限会社の株式譲渡に関する規定が整備された。すなわち、株主間の譲渡自由(第七二条一項)、他の株主の承認(第七二条二項)、譲渡の承認が得られない場合の反対した株主による買取義務(第七二条二項)、譲渡の承認を
得た場合の既存株主の先買権(第七二条三項)、定款による譲渡制限(第七二条四項)、名義書換(第七四条)、強制執行による株式取得(第七三条)等について規定された。
第二節 日本における株式譲渡制限の展開 第一款 株式譲渡制限の採用 一 明治三二年商法:株式会社の株式譲渡制限の採用 日本においては、明治維新によって近代化への道を進み、私有財産権の自由が保障されるようになった。株式譲渡自由は明治三二年商法で定められた(第一四九条)。もっとも、株式会社の中にも、同族会社、合弁会社などのように、 株主の個性が重要性をもつ場合がある。好ましくない者が株式を譲り受けて株主となり、会社の運営を混乱させることを防止する必要性がある (
こ制定款で株式譲渡を限てすることができる、いなおこで、このよう閉。鎖的な株式会社にそ 5)
とを認めた(商法第一四九条)。
二 昭和一三年有限会社法の制定:有限会社の株式譲渡制限の採用 有限会社は、閉鎖的、非公開の企業形態として社員相互の緊密な信頼関係を基礎としており、社員の個性が重視され
る。そこで、持分の社員以外の者への譲渡については、社員総会の承認を要するという制限がある。すなわち、﹁社員
(二六〇〇)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一六五同志社法学 六〇巻六号 ハ第四八条ニ定ムル社員総会ノ決議アルトキニ限リ其ノ持分ノ全部又ハ一部ヲ他人二譲渡スルコトヲ得但シ定款ヲ以テ譲渡ノ制限ヲ加重スルコトヲ妨ゲズ﹂と規定していた(有限会社法第一九条一項)。
第二款 昭和二五年以降の株式譲渡制限の充実 昭和二五年の商法の改正では、株主の地位の強化の一環として、株主の投下資本回収を確保するため、﹁株式ノ譲渡ハ定款ノ定ニ依ルモ之ヲ禁止シ又ハ制限スルコトヲ得ズ﹂(第二〇四条一項)と規定し、株式の自由譲渡を保障した。
昭和二六年の有限会社法の改正においては、昭和二五年商法の改正による株式の自由譲渡の保障に応じて、譲渡制限を緩和した。また、有限会社の閉鎖性と社員の投下資本回収の利益の調和をはかるために、他の社員に対する譲渡につい
ては制限を設けないものとし、社員以外の者への譲渡については株主総会の承認を得ない場合は、譲渡の相手方を指定できるとした(旧有限会社法第一九条)。
その後も、株主の投資回収の確保のための整備が図られてきたが、平成一七年会社法は、株式譲渡制限に関して、①株主からの承認請求、②譲渡承認請求の方法、③株式取得者からの承認請求、④譲渡承認の決定、⑤株式会社または指
定買取人による買取り、⑥指定買取人による買取の通知、⑦譲渡承認請求の撤回、⑧売買価格、⑨株式譲渡の対抗要件
について詳細に規定している(会社法第一三六条ないし一四五条)。
第三節 中国と日本の制度の比較の可能性第一款 比較可能な株式譲渡制限 株式譲渡制限のある会社としては、中国は有限会社、株式会社があり、日本も同様に株式会社、有限会社がある。本
(二六〇一)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一六六同志社法学 六〇巻六号
稿においては、日本の特例有限会社、閉鎖型株式会社における株式譲渡制限を参考に、中国における有限会社の株式譲
渡制限について考察する。
一 中国の有限会社と日本の特例有限会社・閉鎖型株式会社の比較(一) 立法趣旨 中国の一九九三年会社法における有限会社の株式譲渡制限には、二つの立法趣旨がある。一つは、現代企業制度の確立のために、国有企業改革の結果生じた会社を安定して運営するという点である。もう一つは、有限会社の株主間の緊
密な関係を維持するという点である。つまり、株主間の緊密な関係を維持することによって、会社運営の安定を図るということである。
日本では、株主の個性が重視される同族会社、合弁会社などの株式会社、有限会社の株主間の緊密な関係を維持するために、定款による株式譲渡制限(株式会社の場合)、法定の譲渡制限(有限会社の場合)が認められている。
このように、両国における株式譲渡制限の立法趣旨は、異ならないといえる。
(二) 譲渡手続き
1
れ流のき続手渡譲式株の社会限有るけおに国中【図一】
2
れ流のき続手限制渡譲式の株社会型鎖閉るけおに本日【図二】図一、図二からは、両国における譲渡手続きの流れは類似している。
(二六〇二)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一六七同志社法学 六〇巻六号
株主(売主)
① 譲渡承認請求
② 承認・不承認の決定·通知
③ 不承認の場合 承認の場合
④ 不承認の株主の買取義務
⑤ 買取通知
⑥ 価格決定
⑦ 名義書換
既存株主の先買権
【図一】 中国における有限会社の株式譲渡手続きの流れ
株主(売主) 株式取得者(買主)
① 譲渡承認請求
② 承認不承認の決定・通知
③ 買取者(会社、指定買取人)の決定
④ 買取通知
⑤ 価格決定
⑥ 名義書換
【図二】 日本における閉鎖型会社の株式譲渡手続きの流れ (二六〇三)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一六八同志社法学 六〇巻六号
二 中国の株式会社と有限会社の違い 中国会社法の定める株式会社の株式譲渡制限は、発起人、取締役、監査役、上級管理職の所持している株式の譲渡できる期間や数量について制限するものに過ぎず、中国の有限会社および日本の閉鎖型株式会社の株式譲渡制限とは異な
る。
第二款 法律概念の統一 一 中国における株式譲渡に関する用語 中国の会社法においては、株主権譲渡という用語が用いられている。株式は会社における株主の地位であり、株式が譲渡されると、譲渡人の株主としての権利は、譲受人に移転することになるのが原則である。したがって、中国におけ
る株主権譲渡という用語は、株式譲渡のことであると考えられる。
二 日本における株式譲渡に関する概念 日本の旧有限会社法は、持分譲渡、社員という用語を使用していた。平成一七年会社法の実施と共に、有限会社類型
と株式会社類型とを新たな株式会社類型に統合したことで、既存の有限会社は会社法による株式会社として存続する(整備法第二条一項)。ただし、旧有限会社は出資、持分であるのに対し、株式会社における社員権は株式であり、概念
とは異なっているから、それぞれ対応するものについてみなし規定が置かれている(整備法第二条二項)。すなわち、社員は株主、持分は株式、出資一口は一株とみなされる。
(二六〇四)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一六九同志社法学 六〇巻六号 三 本稿で用いる用語 前述のように、中国の会社法においては、株主権譲渡という用語が使用されているが、これは、株式譲渡のことであ
ると考えられる。本稿では、中国における株式譲渡制限に関する制度を考察するにあたって、日本の制度と比較しやすくするために、株式譲渡という用語を用いる。
第二章 中国における株式譲渡制限の方法 第一節 株主間の譲渡 一 会社法の定め 有限会社の株主の間では、互いにその株式の全部または一部を譲渡することができるとされる(会社法第七二条一
項)。同条四項によれば、定款で株式譲渡について別段の定めがあるときは、その定めによる。つまり、原則として、株主間で株式を自由に譲渡することができるが、定款で譲渡に対して制限することができる。
一九九三年会社法第三五条においては、株主の間で、株式の全部または一部を互いに譲渡することができるとされて いた。株主間の譲渡に対しては何の制限もなかった。なぜならば、株主間の譲渡の場合は、株主以外の者が株主になるわけではないので、株主間の関係に影響を与えることはないからである (
すも。るいてれらえ唱解。見なうよの次、方他 6)
なわち、株式が株主間で譲渡される場合は、株主以外の者が会社に入ることがなく、表面的には人的な関係が維持されているように見えるが、株主間の利害関係は変化するかもしれないという。なぜなら、株式が譲渡された後、既存株主
の所有している株式の割合は、元の割合と異なることになって、会社の経営に対する個々の株主の影響力が変化するか
(二六〇五)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一七〇同志社法学 六〇巻六号
らである。この観点からいえば、株主間の譲渡と非株主への譲渡は相違ないといえる。従って、株主間の譲渡に対して
も制限をする必要性がある (
。見たれられ入り採は解の。こ、際の正改の法社会 7)
二 問題点 このように、会社の運営に対する権限のバランスを図り、株主間の人的な関係を維持するために、株主間の譲渡に対
しても制限をする必要があるとされているが、有限会社の場合は、株式会社のような株式取引市場がないので、取引の相手方を探すのは困難であろう。他の株主が唯一の買手になることが多い。このような場合は、譲渡株主が少数株主で
あれば、他の株主と比べると交渉力が弱い。会社または他の株主は定款の定めによって、株主の譲渡に対して妨害するかもしれない。従って、譲渡制限に関することは株主の自治に任せて、すべて定款で定めることができることは合理的
であるかどうか問題になろう。
第二節 非株主への譲渡に対する制限第一款 承認決定機関 有限会社の株式は、株主以外の者に譲渡されるときは、会社の承認を得なければならない。会社は当該譲渡に対して承認するか否かについて、賛否を表明する必要がある。会社の意思表示は会社の機関によってなされるが、株主総会、
取締役会、代表取締役等の会社機関のうち、どの機関が譲渡の承認をするのかが問題となる。
(二六〇六)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一七一同志社法学 六〇巻六号 一 会社法の定め 株主が株主以外の者に株式を譲渡するときは、他の株主の過半数の承認を得なければならない(会社法第七二条二項)
という定めからいえば、他の株主は株式譲渡の可否について判断することができる。なお、同条四項で、会社定款で株式譲渡について別段の定めがあるときは、その定めによるとされている。すなわち、承認機関については、以下の三つ
の要素があるといえる。(一) 他の株主
他の株主とは、譲渡株主以外の株主のことであると考えられる。これに対して、一九九三年会社法第三五条は、﹁株主が、株主以外の者にその出資を譲渡するときは、全株主の過半数の承認を得なければならない。﹂と規定していた。
この規定からいえば、全株主とは譲渡株主を含んでいることになる。株主総会または取締役会は、公平性の観点から、決議事項に関係する者は決議に参加してはならないので、﹁全株主﹂という定めに対しては、批判があった。二〇〇五
年会社法は、﹁全株主﹂ではなく、﹁他の株主﹂と規定している。したがって、他の株主とは、譲渡株主以外の株主のことである。
(二) 他の株主の﹁承認﹂
中国において、株主以外の者に株式を譲渡する場合は、株主がどのように承認または不承認を表明する権利を行使するかについては、二通りの見解がある。
1
株主総会で行使する説 (8)
非株主への株式譲渡は株主総会において決議されなければならないという見解がある。一九九三年会社法第三八条第
一〇項によれば、非株主への譲渡に対する承認を決定することは株主総会の権限であるからである。
(二六〇七)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一七二同志社法学 六〇巻六号
2
るす使行で法方のの他そはたま会総主株説 非株主への株式譲渡についての決定は、株主総会で決議され得るのみならず、譲渡株主と既存株主との間の書面上のやりとりで決定することができるという見解がある (こでるす断判に速迅もで上面書、のるあが係関な密緊はに間主株。 9)
とができ、通信技術の発達がそのようなやり取りを容易にしているからである (
。 10)
二〇〇五年会社法は、後者の説を採用し、株主は、他の株主に書面で知らせて、承認を求めなければならないとした。 従って、他の株主は個別に書面で回答することができる (
。る事項に対して承認すか否かを表明できる 面渡譲で書、、なわち、他の株主は株。主総会の場ではなくす 11)
(三) 同条四項から、定款の定めによって、他の株主の承認以外の承認方法について定めることができる。
二 問題点(一) 他の株主の過半数の承認について 計てよに準基のど。いないれのさに確明がかのるす算るかでにてっよに数人。うろなとにこるな異は果結、てっよ計合
1
資と半過るけおに件要うい認と承の数半過の主株の他数は出すの主株はたま、かのる算割計きづ基に数人の主株、算すれば、少数株主に有利になるかもしれない。出資割合によれば、大株主に有利である。人数基準を支持している者もいる。それは、非株主への株式譲渡は会社の株主構成が変化するということになるが、会社の経営事項ではない。従
って、株式譲渡においては、大株主の意見ではなく、全株主のそれぞれの意見が考慮されなければならないという (
。 12)
2
れば、より厳格であるといえる。株主総会を開催すべと比認他の株主の過半数の承と認いう要件は株主総会の承る際に、全株主が出席する場合は少ないので、株主総会で決議されても過半数の株主の承認を得ていることにはなってい
(二六〇八)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一七三同志社法学 六〇巻六号 ないときもあるからである。
3
渡株主は、個別に他の株主に請求する必要がある(譲る。認他の株主の過半数の承をか得るためには、手間がか会 社法第七二条二項)。他の株主も個別に譲渡株主に回答することになる (規らに内以月个一か答日たけ受を求請回し承ととるれさなみたなし認承、ばれけ認がに主ることなる。そこで、他の株 認承、と間るすう求請がの手続きは時。かかそ 13)
定されている(会社法第七二条二項)。(二) 定款で他の株主の過半数の承認という要件より厳格な承認要件を定めれば、その定めは有効であるかどうか。
(三) 法定による承認機関、定款で定めた承認機関以外の方式で、承認を決定することができるだろうか。
会社の運営状況は複雑であるから、会社法、定款において、あらゆる状況に対応することができるわけではない。法
定の承認機関または定款で定めた承認機関による譲渡承認を得ずに、他の方式、たとえば、譲渡株主以外の株主全員に承認されたとき、その承認は有効であるか。
第二款 譲渡の承認が得られない場合の株主に対する救済
―
譲渡に反対した株主の買取義務―
株式譲渡は株主が投資を回収する主要な手段である。譲渡の承認が得られない場合は、どのようにして株主の投下資
本の回収は確保されるのであろうか。
会社法第七二条二項後段は、﹁他の株主の過半数が譲渡に賛成しないときは、反対した株主はその株式を買い取らな
ければならない。買い取らないときは、譲渡に同意したものとみなす﹂と規定している。非株主への株式譲渡が承認されない場合、譲渡に反対した株主に買い取りを義務付けているのは、株主の投下資本回収を確保するためであり、株主
間の緊密な関係維持のためである。しかし、本条においては、次のような問題点があり、立法趣旨を実現できていると
(二六〇九)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一七四同志社法学 六〇巻六号
はいえない。
一 株主間の緊密な関係を維持しているか 株式譲渡を承認するか否かを決めるとき、譲渡に反対しようとする株主は自己がその株式を買い取ることができるかどうかも考慮しなければならない。このように、株主間の緊密な関係を維持するために、非株主への株式譲渡に反対し
ようとしても、資金難のために買い取ることができず、仕方なく譲渡を承認する可能性がある。このような場合は、会社の人的な関係を維持することになっているだろうか。
二 株主の投資回収を確保しているか 譲渡に反対した株主はその株式を買い取ることを要するとされているが、買取義務に関する手続き(義務の履行期間、買取請求の方式等)については規定されていない。この手続きは株主の投資回収にとって、非常に重要である。前述の
ように、履行期限が明確にされていないので、譲渡に反対した既存株主はその株式の買取を引き伸ばすことができる。つまり、譲渡を承認しないうえに、当該株式を買い取らない場合が起こり得る。そのような場合、譲渡株主は訴えを提
起して、裁判所に譲渡を反対した株主がその株式を買い取る義務を履行する期限を決めるように要求することができる。しかし、手続きに時間がかかり、譲渡株主にとってリスクになる。
第三款 譲渡が承認された場合の既存株主の先買権 会社法第七二条三項によれば、他の株主の過半数の承認を得た場合、既存株主は先買権を有している。すなわち、同
(二六一〇)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一七五同志社法学 六〇巻六号 等の条件において、他の株主は譲渡しようとされる株式を優先的に買い取る権利を有する。この条文においては、以下の点に留意する必要がある。
一 先買権の主体 先買権を有する他の株主とは、譲渡株主以外の株主のことである。他方、他の株主とは、譲渡を承認した株主か譲渡を承認しなかった株主かを問題にする者がいる。すなわち、先買権を有している株主とは、承認しなかった株主のみを いい、譲渡を承認した株主を含んでいないとする見解がある (
。す請求すれば、矛盾ることになるからである こをとる認すぜなら、譲渡を承し。た者は、自己に譲渡な 14)
しかし、本稿は、先買権を有する他の株主とは譲渡を承認しなかった株主はもちろん、承認した株主も含んでいるという立場をとる。その理由としては、以下の三点が挙げられる。
1
は、会社にとって好ましくない者が株主になること旨る趣い株主が先買権を有してるいという制度が設けられてを防ぐためである。そのためには、譲渡を承認したかどうかを問わず、譲渡株主以外の株主は先買権を有すると解したほ
うがよい。
2
らない。会社法における他の株主という用語は、譲なればま法律解釈に際しては、ずけ法律の文言から解釈しな渡株主以外の株主のことを指すのが自然である。もし譲渡を承認した株主は﹁他の株主﹂に含まれないのなら、﹁譲渡を承認しない株主は先買権を有する﹂と規定するはずである。会社法は他の株主という用語を使用している。このことは、
他の株主の範囲について別段の制限がされていない趣旨であるといえよう。したがって、他の株主は譲渡株主以外の既
(二六一一)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一七六同志社法学 六〇巻六号
存株主を指すと考えられる。
二 同等条件について
(一) 同等条件の概念
同等条件とは、既存株主が譲渡しようとされる株式を買い取る場合、その買い取る条件が、譲渡株主と非株主である 譲受人との間の譲渡条件と同じということを意味する。既存株主は、株主以外の者に優先して買取る権利を有している (
。 15)
(二) 裁判例 (
16)
1
事実の概要 X有限会社(原告、控訴人)、Y(被告、被控訴人)およびAは、甲有限会社の株主である。二〇〇三年四月の株主総会でYがその所有している甲有限会社の八三%の株式をE有限会社とFに譲渡することが承認された。X有限会社とAは既存株主としての先買権を放棄する旨を表明した。Y、E有限会社、Fは、五月に、株式譲渡契約を締結して、E有限会社とFがそれぞれ一元で四九・八%の株式、三三・二%の株式を買い受けること、さらに両者が各自の所有株式
の割合に基づいて甲有限会社の債権債務を承継することになった。その後、甲有限会社は株主変更についての商業登記手続を行った。
X有限会社は、二〇〇三年七月、訴訟を提起した。株主総会の決議は偽造されたものであって、YとE会社、Fの間の株式譲渡が自己の株主としての先買権を害しているので、その株式譲渡契約は無効で、二元でYの八三%の株式を買
い受けたいと請求した。第一審は次のように判示した。すなわち、①YとE有限会社、Fの間の株式譲渡契約は有効で
(二六一二)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一七七同志社法学 六〇巻六号 ある。②X有限会社がYの譲渡しようとする株式を買い受ける請求を棄却した。その理由としては、⑴X有限会社は、甲有限会社の株主総会の決議が偽造されたことに関しての証拠を挙げることができなかったこと。⑵株主総会の決議で
は、X有限会社が株主としての先買権を放棄したのは明らかである。
X有限会社は、判決を不服として、上訴した。また甲有限会社の株主総会の決議が偽造されたことに関する鑑定資料
を提出した。
2
判旨 第二審は、次のように判示した。 ⑴ 甲有限会社の株主総会の決議によって、X有限会社が先買権を放棄したことを認めた第一審の判決については、X有限会社が提出した鑑定資料によれば、二〇〇三年四月に甲有限会社の株主総会の決議に使用された印鑑は、甲有限会社が二〇〇三年に実際に使用していた印鑑ではない。Yらは、甲有限会社の株主総会の決議に使用された印鑑が本物であることの証拠を挙げていない。
⑵ YとE有限会社、Fとの間の株式譲渡契約に関しては、X有限会社の先買権を害するので、取り消す。 ⑶ X有限会社の二元で優先的に、譲渡しようとされる株式を買い取るという請求については、同等条件の下での先買権の行使ではないので、その請求を棄却する。
3
判決に関する検討 第二審の被控訴人Yらによる甲有限会社の株主総会決議の偽造で、X有限会社がYの所有している甲有限会社の株式(二六一三)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一七八同志社法学 六〇巻六号
八三%を優先的に買い取る権利を害していると認めたが、二元でその株式を買い取る請求を棄却した。なぜならば、E
有限会社とFは四九・八%の株式、三三・二%の株式を買い取るために、それぞれ一元を支払う以外に、その各自の買い受ける株式の割合に基づいて甲有限会社の債権債務を承継しようとした。ところが、X有限会社は二元を払う意思し
か示していない。そこで、X有限会社の買い取る条件とE有限会社、Fの買い取る条件においては、二元という価格から見れば、同じであるようだが、実際には同等でない。
本件から、価格条件が同等か否かを判断するのは、株式を譲渡しようとする株主と、譲受人との間の合意に達した価格によって判断されるが、既存株主は常にその譲渡契約における価格で優先的に譲渡しようとする株式を買い取ること
ができるということではない。なぜならば、株式取引に関する当事者の間に、他の利害関係がある、あるいは、譲受人は株式売買の価格以外に、譲渡しようとする株主に利益(たとえば、会社の債務を負う、会社に投資する等)を提供す
ると承諾して、より低い価格で株式売買が行われるのかもしれない。そうであれば、先買権を有する株主がその低い価格のみで譲渡しようとする株式を買い取るのは譲渡しようとする株主の利益を損うことになろう。本件における状況が
そうであって、株主であるX有限会社が提示した二元という価格は、株主以外の者である譲受人が承諾した価格と同等価格とはいえない。
換言すれば、同等条件であるかどうかを判断する際に、株式を売買する価格以外に、他の要素も考慮されなければならない。実際には、公正な譲渡価格を決定するために、どのような要素を考慮しなければならないのか。
(二六一四)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一七九同志社法学 六〇巻六号 (三) 学説
1
絶対説 譲渡される株式に関して、先買権を有する株主の買い取る条件は、株主以外の者が買い取る条件と同じであるとする説 (渡をは、譲渡株主と先買権有契している株主との間の譲約渡株譲なわち、譲渡株主と非主。である譲受人との間のす 17)
契約と同じである。このような、絶対説を支持している者は、同等条件とは、譲渡しようとする株主と非株主である譲受人との間の譲渡契約で定められる条件のことであると考えている。
2
相対説 先買権を有する株主との間の譲渡契約が、株主以外の者による買取条件と全く同じでなくとも、主要な条件が同じで あるといえる場合は、同等条件であるとする説 (⑴じ同が格価 ( 解。るいてれか分が見ら。うよの次、ににさ、は説対相 18)
。 19)
価格は株式譲渡において、中心となる要素であるから、価格が同じであれば、﹁同等条件﹂を満たすことになって、先買権を有する者は譲渡しようとされる株式を買い取ることができる。
⑵ 価格と決済条件(代金の支払い期限や支払回数のこと)が同じ (
。 20)
価格以外に、考慮されなければならない要素は株式代金の決済方法である。先買権を有する株主は、譲渡株主と株主以外の譲受人との間の譲渡契約における決済方法を用いなければならない。この見解には次の問題点がある。株主以外
の譲受人が分割払いできる場合、既存株主が分割払いを主張できたら、譲渡しようとする株主にとって、不利益を蒙るかもしれない。なぜなら、一回で全額を支払うことは分割払いよりリスクが小さい。譲渡しようとする株主は、株主以
外の譲受人による分割払いを認めることは譲受人を信頼しているから。譲渡しようとする株主にとって、最初の譲受人
(二六一五)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一八〇同志社法学 六〇巻六号
と既存株主との信用は異なるから、既存株主は譲渡しようとする株主に十分に担保を設定しない限り、分割払いするこ
とを主張できない。
前記の事件においては、絶対説、相対説のいずれによっても、同等条件であるといえる。しかし、このことは譲渡株主にとっては、合理的ではない。同等条件であるかどうかの判断は難しいが、譲渡株主の円滑な投資回収を確保するた
めに、譲渡株主の利益に影響する要素が幅広く考慮される必要があろう。
三 先買権者による売渡請求に関する手続き 会社法においては、先買権の行使手続きについて規定されていないから、以下のように争いが生じるおそれがある。
(一) 事実の概要 (
21)
Y(被告)、A、Bは甲有限会社(甲会社という)の株主であり、それぞれの出資率が四〇%、三〇%、三〇%である。Y、A、Bいずれも国有企業である。一九九九年七月二八日、Yは非株主であるX(原告、非国有企業)と株式譲渡に
ついて話し合って、Yの所有している甲会社の四〇%の株式をXに譲渡することとし、当該協議の契約としての効力が発生する条件は、他の株主が先買権を放棄することであることとした。甲会社は一〇月二〇日の株主総会でYによる株
式譲渡について議決した。株主であるYとBは当該譲渡を承認したが、Aは承認しなかった(全株主の過半数の承認があったが、A、Bは譲渡に関しての具体的な条件についての承認まではしていなかったようである)。Yが資産鑑定士
に委託して、甲会社の資産の鑑定を行うことは全株主が承認した。
(二六一六)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一八一同志社法学 六〇巻六号 会計士による鑑定報告書(鑑定基準日は一九九九年一〇月三〇日)によると、甲会社の純資産額は二四、六〇九、九九二・六一元であった。一一月二一日、YはA、Bに次のように通知した。すなわち、上記の鑑定報告書を基準として
算出した譲渡しようとする株式の価格は一〇、四三四、六三七元であり、A、Bは当該通知を受けた日から三日以内に優先的に当該株式を買取るか否かを回答するというものである。Aは一一月二九日、資産鑑定報告書およびYによる株
式数の確認である報告書を受けていないことを理由をとして、当該株式を買取るか否かを決定するのは容易ではないという返事をした。
Yは二〇〇〇年一月三日、再度A、Bに別々に書面で通知した。資産鑑定報告書は株式売買価格を決定するための判断資料であるが、A、Bは閲覧の必要はないとYは主張した。また、A、Bが当該書面を受けた日から七日以内に譲渡
しようとする株式を買い取るか否かを回答しなければならず、所定の期限に書面で回答しなければ、先買権を放棄したとみなすとした。A、Bは先買権を放棄しないという返事をした。
Yは一月二六日、再度A、Bに次のような通知を送った。A、Bが当該書面を受けた日から三日以内に、添付した株式譲渡契約に基づいて、譲渡しようとする株式を買い取るか否かを表明しなければならず、当該書面を受けた日から七
日以内に、Yと譲渡契約を締結しなければならない。そうでなければ、先買権を放棄したとみなされるという通知であ
る。AはYが資産鑑定報告書を提出していないことを理由として、三日以内にYがいった株式売買価格で買取るか否かを決定できないと答えた。また、先買権を放棄しないともう一度表明した。BはAの表明したもの以外に、株式売買価
格に対する全株主の意見が一致しなければ、全株主によって認められた会計士が会社の資産を鑑定すべきであると主張した。かつ、Yが株主以外の者と決定した売買価格をA、Bに認めさせるということは不合理であるとBは主張した。
三月一三日に、YはA、Bに鑑定報告書を提出した。A、BはYは本当に甲会社の四〇%の株式を所有しているかを
(二六一七)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一八二同志社法学 六〇巻六号
疑問視した。
三月三一日、YとXとは株式譲渡契約を締結して、Yが所有している甲会社の四〇%の株式を一〇、四三四、六三七元でXに譲渡することとした。Xは四月一一日、四月一八日、Yに代金として四七五万元を支払った。
五月二五日、A、Bは先買権を行使して、譲渡しようとする株式を買い取りたいという通知を送った。七月一二日、A、Bは一〇、四三四、六三七元でYの所有している株式を買い取りたいと表明した。かつ、譲渡に関しての条件を七月一
五日の株主総会で話し合うという提案をした。しかし、七月一五の株主総会では何の決議もされなかった。
Xは訴訟を提起した。すなわち、A、BがYとXとの間の譲渡契約の履行に対し干渉している行為を停止して、協力
して株式譲渡に関する商業登記手続きを踏むように求めるという請求をした。
(二) 判旨
XとYとの間の譲渡契約は有効であると認められる。そこで、
1
効力が発生する日から〇二日以内に履行することの判決履YはXとの譲渡契約を行本しなければならない。。2
る商業登記手続きを行わなければならない。その理すに関でA、Bは上記の期限内、更Y、Xに協力して株主変由は、次の通りである。
①本件の株式譲渡は株主の承認を得たこと。甲会社の株主総会で株式譲渡が過半数の株主の承認を得た後、Yは既存
株主であるA、Bにたびたび譲渡しようとする株式を買い取るか否かを回答することを請求した。A、Bは先買権を放棄しないと回答したが、資産鑑定報告書を受け取っていないことと株式数、評価された株価が真実であるのか疑問であ
るとしてYが決めた期限で譲渡しようとする株式を買い取らなかった。そこで、会社法第三五条二項に基づいて、A、
(二六一八)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一八三同志社法学 六〇巻六号 Bは、Yが株主以外の者であるXに譲渡することを承認しなかった上に、譲渡しようとする株式を買い取らなかったから、譲渡に承認したとみなされるべきである。
②甲会社の資産評価結果は国有資産管理機関によって承認された (
。 22)
以上述べた理由によって、原告と被告との間の譲渡契約は有効である。
(三) 本判決の問題点
1
条文の理解を間違てっいるのではないか、では的本件の結論は合理で中あるが、判決文の。 一九九三年会社法第三五条(二〇〇五年会社法第七二条)に基づき、株式譲渡が承認されない場合、譲渡に反対した株主は譲渡しようとされる株式を買い取る義務があり、承認を得られた場合は、既存株主は同等要件の下に優先的に買取る権利を有する。そこで、買取義務と優先的に買取る権利とは違うものではないかと思われる。しかし、本件におい
て、買取義務と先買権とを混同している。実際に、XとYとの株式譲渡が甲会社の過半数の株主(Y、B)の承認を得られたので、反対した株主であるAが当該株式を買取るか否かは問題とならずに、既存株主であるA、Bが先買権を行
使するか否かが重要となる。一九九三年会社法第三五条(二〇〇五年会社法第七二条)において、譲渡を承認したとみ
なされる場合とは、譲渡を承認しない場合の反対した株主が買取義務を履行しない場合である。ところが、本件においてはこのような場合ではない。裁判官はA、Bが買取らなかった、つまり先買権を行使しなかったことをもって、既存
株主が譲渡を承認したとみなしたのである。
2
する紛争が起こったのは先、買権を有する者であるA関に行被本件において、原告と告履との間で株式譲渡契約の、Bが資産鑑定報告書を受け取っていないとして、回答を引き伸ばし、譲渡しようとされる株式を買い取らなかったため
(二六一九)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一八四同志社法学 六〇巻六号
である。さらにいえば、法律上は先買権の行使に対し制限していないためである。従って、先買権の行使に対する制限
が必要であると考える。これについては、次の点が考慮されるべきである。
① 既存株主が先買権を行使しない場合の効果 本件において、Yは、譲渡人として、たびたび、A、Bに対し先買権を行使するか否かについて問い合わせた。A、
Bもそれに回答し、先買権を放棄しない、あるいは譲渡しようとする株式を買い取りたいという表明を行った。本件の事実によれば、A、Bは先買権の行使の不明点をもって、Yが株式を順調に譲渡することを妨害した。もし、先買権者
が法定期間内に譲渡株主に売渡請求をしない場合、先買権は放棄されたとみなされれば、本件において、A、Bは何度もこれを利用できないであろう。
② 既存株主が先買権を行使した場合の効果 もし、A、Bが売渡請求をすると、Yとの間で株式譲渡契約が成立することになったら、A、Bは契約義務を履行し
なければならない。そこで、売渡請求の効果が明らかにされることは譲渡株主の投資回収に対し必要であると考える。
③ 先買権の行使の保証 前記の②に言ったように、A、Bは売渡請求をして、Yとの間で譲渡契約が成立することになった。以後、A、Bが株式代金を支払うことができなければ、Yは投資を回収しにくくなる。従って、Yの投資の回収を確保するために、A、
Bに買取る義務を履行させる必要がある。
(二六二〇)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一八五同志社法学 六〇巻六号 四 問題点のまとめ(一) 同等条件 同等条件の判断は複雑であり、譲渡株主、元の譲受人、既存株主の利益について、それぞれ十分に考慮することは難しい。
(二) 先買権の行使手続き
先買権の行使に関する事件が起こった背景としては、先買権を有する株主による譲渡株主に対する売渡請求の期限が明らかにされていないことがあげられる。さらにいえば、先買権の行使手続きは規定されていないので、以後、前記の
ような事件が起こる可能性がないとは言えない。
(三) 既存株主の先買権と譲渡に反対した場合の買取義務の関係
譲渡の承認が得られない場合、反対した株主による買取義務が規定されている(第七二条二項)。他方、譲渡の承認
が得られた場合、既存株主の先買権が認められている(同条三項)。以下では、譲渡に反対した場合の買取義務に加えて、
既存株主の先買権が認められていることから生じる問題について述べる。すなわち、譲渡の承認が得られない場合、譲渡に反対した株主は譲渡される株式を買い取る機会が二回の可能性がある。
譲渡の承認が得られない場合、譲渡に反対した株主は、買取義務を負う。これは一回目の買取機会である。買取義務を履行しなければ、譲渡を承認したものとみなされるので、承認した株主は過半数になるかもしれない。しかし、第七
二条三項によれば、一回目の買取機会を放棄した株主は、既存株主として、再度、譲渡される株式を買い取ることがで
(二六二一)
中国における有限会社の株式譲渡制限の方法(一)一八六同志社法学 六〇巻六号
きる。これは、二回目の買取機会である。譲渡株主は、株式を売却することができるが、取引手続きが煩雑になるばか
りか、望ましい条件で売却できないかもしれない。このことは、株主の投資回収を妨げる結果となっていると考えられる。
第四款 他の株主の承認を得ていない株式譲渡の効力 会社法第七二条第二項で、株式譲渡は他の株主の承認を得なければならないとされるが、その承認は株式譲渡の効力との関係が何であるかが明確にされていない。そこで、他の株主の承認を得ないで株式を譲渡した場合は、その譲渡は
譲渡株主、譲受人および会社に対して、効力が発生するかどうか問題となる。
一 裁判例 (
23)
(一) 事実の概要
甲有限会社はY会社(被告、非控訴人)とA会社が設立した会社である。二〇〇一年十二月に、Y会社はX会社(原告、控訴人)との間で、株式譲渡について協議をした、そこでは、Yが所有する甲会社株式のX社に対する譲渡が協議
された。二〇〇二年四月十五日、Y会社はXとの株式譲渡協議についてA会社に通知し、かつA会社が四月二四日前に当該譲渡協議における譲渡価格、支払期限等の条件に従い、先買権を行使するか否かを回答するよう求めた。もしA会
社が所定期間を超過しても回答しなければ、先買権を放棄したと見られる。A会社は書面で先買権を放棄しないと通知したがいつその先買権を行使するかを明確にしていなかった。同年六月十三日、Y会社はXとの株式譲渡についてのこ
とを再度A会社に通知し、かつA会社が六月二十八日の九時までに先買権を行使するか否かを回答するよう求めた。も
(二六二二)