九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
2次元丘陵地形を過ぎる安定成層流の数値解析
内田, 孝紀
九州大学総合理工学研究科大気海洋環境システム学専攻
https://doi.org/10.11501/3150952
出版情報:Kyushu University, 1998, 博士(工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
第6章 結 論
有限深さ涜路内の2次元丘陵地形を過ぎる安定成層流に関して,広範囲のReynolds数で 差分解析を行い,地形周囲流の系統的かつ詳細な検討を行った.
第2章,第3章ではReynolds数Re=20,100, 2000, 105あるいは非粘性流体,ブロッ ケージ比H/h=6,10,異なる地形形状などの種々の条件に対して差分法に基づ、いたDNS とLESを行った.特に地形周囲流と地形上流へ伝播するcol.dist.の挙動との関係に注目し て詳細な検討を行った.これらのシミュレーションでは過去の実験的研究(Castroら 1990)や数値的研究CI‑Ianazaki1989a, 1989b, Paisleyら1993,1994. 1996)と同様な境 界条件を設定した.すなわち,丘陵地形の表面にのみ滑り無し条件を課し,地形を除く上 流と下流の地面上と流路の上部境界上には滑り条件を課した.これは地形以外の境界上に 発達する境界層の影響を避け,より単純化した状況にあるcol.dist.や風下波の挙動につい て調べるためである.この境界条件をcase1と称した.第2章,第3章で得られた主な結果 は以下の1),2)に要約される.
l)strong stratification(1 < K亘2)の範囲における地形周囲流は本質的に非定常性を示 す.この地形周囲流の周期的な非定常性は3 強弱の周期性を有し地形上流へ一つの渦のよ うに放出される1次モードのcol.dist.に伴い,地形のすぐ前方の近寄り流れが周期的に変 化する結果生じていると考えられる. 1次モー ドのcol.dist.が卓越するK=1.25,1.5で は,地形の抗力係数Cdの周期的な振動は継続し地形周囲流は常に非定常性を示す.しか し, K=1.75, 2では時間の経過とともに1次モードのcol.dist.は消滅し,代わって2次モー
ドのcol.dist.が支配的になり地形周囲流はほぼ定常になる.
2) Reynolds数3 地形)形状,ブロッケージ比日/hなどの非線形性を強める効果が, strong stratification(1 < K豆2)の範囲において, 1次モードのcol.dist.の地形上流への放出周期
とその強さに強く影響する.但し Hは流路深さ hは地形高さである.これに伴いCdの 振動周期,すなわち,地形周囲流の周期的な非定常性にも変化が生じると考えられる.
よって,地形周囲流の振動周期に関して決定論的な予測は困難であると考えられる.
第4章,第5章では大気現象としての山越え成層流との対応を考え 地面上に滑り無し 条件を課してRe=2000,H/h=6でDNSを試みた.この状況では丘陵地形を過ぎる流れは 非定常な剥離・再付着現象が支配的になり3 地形背後の承JI離泡(再循環領域)からの大規模
90
渦の放出が生じ,地形後流は複雑な様相を呈する.まず第4章では,大屋ら(1992)の研究 と同様に地形上流の地面上に関しては,そこに発達する境界層の影響を考慮しない議論を 行った.すなわち,地形上流は滑り条件とし,丘陵地形の表面と地形下流の地面上にのみ 滑り無し条件を課した.この境界条件をcase2と称した.特に1)地形背後の非定常な剥 離・再付着現象に対する安定成層の効果, 2)strong stratificationC1 < K豆2)で観察され る地形周囲流の非定常性とcol.dist.の挙動との関係に注目し, 1), 2)の流れ特性およびメ カニズムを明らかにした.第4章で得られた主な結果は以下の 3),4)に要約される.
3)K=0.5, 0.8では地形のすぐ下流に注目すると,安定成層の効果はそれほど明確には見 られない.すなわち, K=O(中立流)と同様に地形背後の剥離泡から大規模渦が周期的に地 形下流へ放出される. 一方,地形のある程度下流に注目すると安定成層の効果は顕著に現 れ,地形下流へ流下する大規模渦の循環は成層度Kの増加とともに減少し かっ移流速度 もわずかではあるが減少する.K=lでは地形周辺流れは急変する.すなわち,時間の経過 とともに長波長の風下波が形成されP 地形背後の剥離泡からの大規模渦の周期的な放出は 抑制されて地形周囲流はほぼ定常になる.
4)K=1.25の地形周囲流はほとんど定在波的な長波長の風下波を反映してほぼ定常なお干しれ パターンを呈する.一方, K孟1.5の地形周囲流は第2章 第3章のすべり条件を課した case1の計算結果と同様に非定常性を示す.この地形周囲流の非定常性のメカニズムも第 2章,第3章のすべり条件を課したcase1の計算結果と同様で,強弱の周期性を有し地形 流へ一つの渦のように放出される1次モードのcol.dist.に伴い,地形のすぐ前方の近寄り 流れが変化する結果生じていると考えられる. 1次モードのcol.dist.が卓越するKニ1.5, 1.75では地形周囲流は常に非定常性を示す.しかし K=2では時間の経過とともにl次モ ードのcol.dist.は消滅し 代わって2次モードのcol.dist.が支配的になり地形周囲流はほ ぼ定常になる. I{=2における地形周辺流れのメカニズムも第2章,第3章のすべり条件を課 したcase1の計算結果と同様である.
次に第5章では K=OC中立流)と地形周囲流の非定常性が最も顕著に観察されたK=1.5の 両ケースに対して 地面上全てに滑り無し条件を課した場合の計算を試みた.この境界条 件をcase3と称した.丘陵地形への長いアプローチにより地面境界層は十分に発達し,地 形はこの境界層中に埋没する状態となった.計算結果は地形上流に滑り条件を課した case2の計算結果と比較し,その違いや類似性について検討した.第5章で得られた主な
91
結果は以下の5),6)に要約される.
5)K=O(中立流)では,地形上流に滑り条件を課したcase2の計算結果と同様,地形背後の 剥隊泡からの大規模渦の周期的な放出が継続して見られる.但し,地面上全てに滑り無し 条件を課したcase3の場合,地形のすぐ前方に誘起される循環領域の影響と地形上流の地 面境界層の緩やかな発達に伴し入地形への近寄り流れは徐々に変化する.その結果,地形 上流に滑り条件を課したcase2の計算結果と比較して地形の抗力係数Cdの値は全体的に小
さく,周期は時間とともに若干長くなる.しかし,ほぽ定常な地面境界層が形成されると ともにCdの値や周期性はほとんど一定値を示す.
6)K=1.5では,地形上流に滑り条件を課したcase2の計算結果と同様,地形周囲流は常に 非定常性を示す.また,そのメカニズムも地形上流に滑り条件を課したcase2の計算結果
と同様である.
謝辞
本研究を遂行するにあたり,終始適切な助言と御指導を下さった九州大学応用力学研究 所,大屋裕二教授に心から感謝いたします.小園茂平助手には数値計算に関して貴重な助 言を頂いた.また,杉谷賢一郎技官,渡辺公彦技官ならびに島添正規さん,青田昇君,田 中篤君,橋本秀之君,尾崎大輔君,徳、田靖之君3 池野恭一君,馬奈木謙次君,三枝卓君に は研究を進める上で大きな協力を頂いた.ここに記して深く感謝いたします.
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Appendix‑l 一般曲線座標系のレギュラー格子を用いた多方向差分法の定式化
多方向差分法(Suitoら1995)について簡単に説明する.多方向差分法(Suitoら1995)は 流動現象が観測者の設定した座標系には無関係であるという基本原理を念頭に考案された 方法である. 2次元の場合には,ある点の離散化を行う際に通常の座標系(と‑'.:系)に加え て斜めの座標系(と,̲'.:'系)の離散化も同時に行う(図46を参照).ここで,連続の式に対す る差分式の誤差の主要項が座標系の回転に対して不変(ラプラシアン形式)となるように 両座標系から得られた数値解の重みは‑'.:系:と'一仁'系=2: 1)を決定し,これらを線形結 合して真の数値解とする.この方法は離散化に関する格子点の情報が多くなり精度の高い 数値解が得られ,また同時に計算の安定性からも有効である(内田ら 1998).多方向差分 法(Suitoら1995)に基づ、いた物理量f(=u,w, ρ)に対するKawamura‑Kuwaharaスキー ム(Kawamuraら1986)の定式化を以下に示す.
〔と-~系)
of, 0 n,of 0 T T ‑fi+2.k+8(fi+l.k‑fi‑l.k)+丘2.k
CU~+CW 一一= CUi.k
ò~
o c
12 ~~fi+2,k‑4(fi+l,k+fト1.k) + fi・2.k + 6 fi.k + ICUi. kl‑J"t".l.. 1¥. .
,
‑J"t"J. 1¥. . ‑J‑l.4~Ë
‑fi. k+2 + 8 (fi. k+l ‑fi. k‑d + fi. k‑2
十 C Wi.k
12 ~ç
fi. k+2 ‑4 (む.k+1 +角.k‑1) + fi. k‑2 + 6 fi. k +│CWi,k │ 1 ,‑1
,
4~C
日'-~ ,系)
1 of ̲̲̲ ̲ 1 of ̲̲ ̲ 1 ‑fi+2. k+2 + 8 {fi+l. k+1 ‑fi‑1, k‑d+ fi‑2. k・2 CU 一 寸+CW一一丁=CUi.k
a と o c
12 ~とIi "TT' Ifi+2, k+2 ‑4 {fi+l. k+l + fi‑I. k‑d + fi‑2, k‑2 + 6 fi, k +ICUi.kl
4~と
‑fi‑2, k+2 + 8 (fi‑l, k+l ‑fi+l, k‑I) + fi+2, k‑2 +CWi.k
12企
C
│J;!│Cιfi‑2工,凶‑斗4(fi‑1. kμ凶+叶1+吋fi+1,k‑μ1) + f九
μ
i+2μ2+ 6 fi +ICWi.k4 ~ç
(1)
(2)
但し,
W Xc‑‑U zc.. u zc‑w x G W XE‑u zと
c u a J ,cmf E J u
Z.c .. ‑W X ".c
CU'= ' );
cw'
>= ̲ ̲ s sJ J
実際の計算手)11貢を以下に示す.
1)と‑{:系,
c
'‑"系の圧力に関するPolsson方程式をあらかじめ2:1に線形結合し,これをSOR法などで反復計算して圧力pを求める.
2)この圧力pをもとにご一乙系,
c
'‑"系のNavier‑Stokes方程式を解いて速度成分u,wとu',w'を求め,これらを2:1に線形結合して真の速度成分とする.
3)最後にと‑,系, と'‑''系の密度方程式を解いてρ,ρTを求め,
これらを2:1に線形結合して真の密度とする.
1)‑3)を繰り返して流れ場の時開発展を求める.
0
: ・
u, W, p, P(a)
と ‑ c
系 (b)と ' ぐ 系
図46 多方向差分法で使用する座標系(レギュラー格子)
と ' 1 1
(3)
Appendix‑2 地形形状の違いが地形周辺流れに及ぼす影響
1 .はじめに
ここでは地形周囲流の周期的な非定常性が最も明確に観察されたH/h=6,K=1.5, Re=2000のケースに対して,異なる地形モデルを対象にDNSを行った.特に地形形状の 違いが,地形上流へ放出される1次モードのcol.dist.の強さとその放出周期,これに対応
した地形周囲流の振動周期に及ぼす影響に注目した.
2.数値計算法などの概要
ここで検討した地形形状は2つの丘陵地形と垂直平板である(後述の図48に示す地形の 抗力係数Cdの極小値と極大値に対応した流線図を参照).丘陵地形の形状は本文で示した ようにh(x)=O.5
x
{1 +cos(πx/a)}で,その範囲はI
xI
豆aである.ここで,パラメータa は1, 6とした.以下それぞれの丘陵地形をshort‑hill(a=l), long‑h出(a=6)と呼ぶ.ここでは垂直平板を対象とした数値計算法について述べる.垂直平板を対象とした計算 はデカルト座標系の不等間隔スタッガード格子を用いて行った.スタッガード格子では 圧力p,密度ρを計算格子のセル中心に定義し,物理速度成分u,wをセル界面に定義す る.速度と圧力のカップリングはEulerの1次陽解法に基づ、いたFractionalStep法(Kimら
1985)である.空間項の離散化や圧力に関するPoisson方程式の解法などは全て本文と同 様である.但し, Navier‑Stokes方程式の対流項については補間法(梶島ら 1997)に基づ いた4次精度中心差分(4点差分・4点補間)にKawamura‑Kuwaharaスキーム(Kawamura ら1986)タイプの4階微分の数値粘性項を付加した修正3次精度風上差分(梶島 1994)とし た.差分式と補間式を以下に示す.
【差分式)
[ O
x fL. k =‑= fi+3/2, k + 27 ( fi+l/2, k ‑fi‑1/2, k) + fi・以 k
24 ilx
{補間式)
[ ド L
,k=‑=fi+以 k+ 9 (む+112,k + fト112,k) ‑f山 2,k16
(1)
(2) 密度方程式の対流項についてはKawamura‑Kuwaharaスキーム(Kawamuraら1986)と
した.初期条件や境界条件などは全て本文と同様である.
3.計算結果と議論
図47に地形の抗力係数Cdと本文の式(2.21)で算出した1次モードのUlの時刻歴を示す.
但し, .0. Uをフーリエ解析した位置は垂直平板とshort‑hillはx=‑2h,long‑hillはx=‑7hで ある.Ulの変動に注目すると,地形形状がなだらかになるとともにUlの変動強さは減少 し,周期は長くなっている.但し, Ulの変動強さに関して,垂直平板とshort‑hillを比較 すると垂直平板の方がshort‑hillよりも若干小さい値を呈する.これは垂直平板が偏平な 断面形状(辺長比d/h=O.l)を有するためと考えられる.但し, dは平板の主流方向(x)の長 さ, hは平板の高さである.そこで, short‑hillとより良い比較を行うため,正方形断面 (辺長比d/h=l)を有する平板に対して同様な計算を行った.その結果,正方形断面(辺長 比d/h=l)を有する平板とshort‑hlllはほぼ同程度のUlの変動強さを示すことが分かった.
次に図47のCdの変動に注目する. Ulの変動周期,すなわち, 1次モードのcol.dist.の地 形上流への放出周期に対応し,地形形状がなだらかになるとともにCdの振動周期も長く なっている.
以上から地形形状の違いが,地形上流へ放出される1次モードのcol.dist.の強さとその 放出周期,これに対応した地形周囲流の振動周期に及ぼす影響に関して3 以下のような 傾向が得られた.地形形状がなだらかになるとともにUlの変動強さは減少し,周期は長
くなる.これに伴い地形周囲流の振動周期も長くなる.
図48にそれぞれの地形モデルにおいて, Cd一極小値とCd‑極大値に対応した流線図を示 す.第2章,第3章のすべり条件を課したcase1の計算結果と同様,すべての地形モデルに 共通してCd一極小値とCd一極大値では地形背後の定在渦の大きさや風下波の振幅などに顕 著な違いが見られる.Cd一極小値では地形を越える流れはゆるやかであり,これに伴って 地形背後の定在渦は大きい.また,ローター(剥離領域)が地形からかなり下流で流路の上 部境界上に誘起されている.一方 Cd一極大値では地形背後に強い下降流が発生し,これ に伴って地形背後の定在渦は小さい.また同時に,この強い下降流に伴ってローター(剥 離領域)が地形上空で流路の上部境界上に誘起されている.
8
6
4
Cd 2
。
‑ 2
0 . 6
0 50 100
long‑hill, BFCのレギュラー格子,
多方向差分法
150
Time200 250
long‑hill, BFCのレギュラー格子,
0 . 4
ト 多 方 向 差 分 法0 . 2 u , 0
‑ 0 . 2
ー
0 . 4
‑ 0 . 6
0 50 100 150
Time200 250
図47 地形の抗力係数Cd(上)と1次モードのUl(下)の時刻歴,
H/h=6, K=1.5, Re=2000, case1
300
300
一 一
一 一
司d・同E・E・ ‑一
E--・E・一円ョ・~-ー壬五~-
一一 一±士ー司・画面量空 亘 書 担 里 聖 宮 里 雲 き ー ヲ 男 事 圃 ー ー..
Cd‑極小値,t=390
Cd‑極大値,t=420
(a)垂直平板,デカルト座標系の不等間隔スタッガード格子,補間法
一 一 一
一一 一
一
一 一
一一
一一
一一
一
一一一
一
一一一 一一 一一
Cd‑極大値, t=325
(b) sho代‑hill,BFCのレギュラー格子,多方向差分法
一~君主言::::iiiIiIii一一一←一 一
Cd‑極大値, t=217
(c) long‑hill, BFCのレギュラー格子,多方向差分法 図48 地形の抗力係数Cdの極小値と極大値に対応した流線図,
H/h=6, K=1.5, Re=2000, casel
Appendix‑3 非粘性流体と粘性流体(Re=500)の流れ特性の比較
1 .はじめに
ここでは非粘性流体と粘性流体(Re=500)の流れ特性の違いに注目し,両者の計算結果 の比較を示す.
2.数値計算法などの概要
非粘性流体を対象とした数値計算法について述べる.流れの支配方程式は連続の式,
Navier‑Stokes方程式の粘性項を省略したEulerの運動方程式,密度方程式である.粘性 流体の計算と同様, 一般曲線座標系を導入して多方向差分法(Suitoら1995)に基づいて離 散化を行う.時間積分法や空間項の離散化,初期条件や境界条件,格子点数などは全て 粘性流体の計算と同様である.但し,地形形状は非粘性流体と粘性流体(Re=500)ともに h(x)=0.5 X {1 +cos(πx/a)}で,パラメータaは3とした.計算はK=l,1.25, 1.5, 1. 75, 2, 2.25に対して行った
3.計算結果と議論
3.1成層度Kに対する地形周囲流の変化
図49に各成層度Kにおける瞬時の流線図を示す.但し, K=l, 2.25以外は後述の図51 に示す地形の抗力係数Cdの極大値に対応する.地形形状が比較的緩やかであるので,非 粘性流体(図49(a)‑(f)),粘性流体(図49(g)‑(l))の両者でほぼ同様な流れパターンが得られ た.風下波が地形下涜に励起され,成層度Kの増加とともにその波長は徐々に短くなって いる.これは後述の図50に示すAψからも分かる. Kニ1.25,1.5では風下波の下降流と 上昇流に伴い,地形近傍で流路の上部境界上と地形下流の地面上にそれぞれローター(剥 離領域)が誘起されている.それらの形成位置は成層度Kの増加,すなわち,風下波の波 長が短くなるとともに地形に近づいている. K=2.25では風下波の砕波が見られる.
図50に図49の瞬時の流線図に対応した一様流速Uからのずれを表わす流線図(ムψ)を不 す.非粘性流体(図50(a)‑(f)),粘性流体(図50(g)一(1))の両者でほぼ同様な流れパターンが 得られた.地形上流に注目する. K=lでは一つの閉じた流線群が地面上の地形から形成さ れ,その先端が地形上流へ伸び、ている.これは1次モードのcol.dist.の存在を示唆するも のであり,時計四りの循環を有する. K~主1. 25 では 1 次モードの col. dist.は一つの渦のよ
うに地形上流へ放出されている.成層度Kの増加とともに, 1次モードのcol.dist.はより 短い周期で地形上流へ放出されている(後述の図51に示すl次モードのcol.dist.のU1を参
(a) K= 1, t=200 (g) K= 1, t=200
(b) K=1.25, t=450 (h) K= 1.25, t=225
(c) K= 1 .5, t= 2 1 5 (i) K= 1.5, t=250
(d) K=1.75, t=320
。 )
K= 1.75, t=22(e)K=2, t=18 (k) K=2. t= 14
(f) K=2.25. t=25 (1) K=2.25, t=25
非粘性流体 粘性流体(Re=500)
図49 各成層度Kにおける瞬時の流線図, K=lはt=200,K=2.25はt=50, それ以外は図50に示す丘陵地形の抗力係数Cdの極大値に対応する
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非粘性流体
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粘性流体(Re=500)
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図50 各成層度Kにおける一様流速Uからのずれを表わす疏線図(ムψ), 最大値と最小値を15分割した等値線図,図49の瞬時の流線図に対応する
照).非粘性流体ではK詮1.25で反時計四りの循環を有する1次モードのco1.dist.(図中に点 線で表示)が流路上方から地形上流へ放出されている.但し, K =1.25, 2ではこの図から その存在は確認されないが,後述の図51に示す1次モードのco.1dist.のU}から分かる.次 に地形下流に注目すると,成層度Kの増加とともに閉じた流線群が小さく,かつ複雑に なっている.これは図49で述べたように成層度Kの増加とともに風下波の波長が徐々に短 くなっていることを反映している.
図51に各成層度Kにおける地形の抗力係数Cdと本文の式(2.21)で算出したU},U2の時 刻歴(0三五t壬500)を示す. このU},U2は地形の上流断面(x=‑4h)のムU=U‑uを流路深さ日全 体にわたってフーリエ解析したものである.但し, hは地形高さである.Cdの変動に注 目する.K=l, 1.25, 1.5, 2では非粘性流体,粘性流体の両者でほぼ同様な結果が得ら れた.すなわち,K=lではCdの変動はtミ100でほぼ一定値を示している.これは地形周 囲流がほぼ定常であることを意味する.但し,時間の経過とともに風下波の波長が徐々に 伸長している ことを反映してCdの変動はある一定値には収束していない.K =1.25, 1.5 ではCdの変動に周期的な振動が見られ,それらは継続している.これは地形周囲流に周 期的な非定常性が存在し,その非定常性は持続することを意味する.K=2ではCdの周期 的な振動は急速に減衰している.これは計算初期に非定常性を示す地形周囲流が急速にほ ぼ定常になることを意味する.ここでKニ2の非粘性流体に関して,以下のような興味深い 現象が得られた.急速に減衰したCdの振動(t>120)は微小な振幅を有し周期的に振動し 続けている.K=1. 75では非粘性流体3 粘性流体で全く異なる結果が得られた.すなわ ち,非粘性涜体ではCdの周期的な振動が継続して見られる. 一方,粘性流体ではCdの周 期的な振動は急速に減衰している.次に1次モー ドのcol.dist.の強さを表すUlの変動に注 目する.K=lではUlの変動はほぼ一定値を示している.とれは図50に示したように1次 モードのcol.dist.の先端が地形上流へ徐々に伸長していることを反映している.K註1.25 ではUlの変動に周期的な振動が見られる.これは図50に示したように1次モー ドの co.ldist.が強弱の循環を有し,地形上流へ一つの渦のように周期的に放出されていること を反映している.特に非粘性、流体のK=1.5,1.75ではUlの変動はほぼ同様な大きさで正値 と負値を交互に示している.よって,時計回りと反時計四りの循環を有する1次モードの co.ldist.がほぼ同様な強さで地形上流へ交互に放出されていることが伺える.K孟1.25の Cdの変動とUlの変動との関係に注目する.どの成層度Kにおいても両者の変動は完全に
同期している.この地形周囲流の非定常性と1次モードのcol.dist.の挙動との関係につい ては次節以降で検討する.
6 5 4 コ 3
を 2
r o
‑0
1
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0
‑ 2 。
6 5 4
コ 3
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百仁J
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非粘性流体
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Cd :
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U1
一
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.
. 白
・ ー
100 200 300 400 500
Time
粘性流体 (Re=500)
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Cd . . . . . . . . . . . . . . . . . . : . .
.....̲................・...・̲.,.・・ーー ・.......ー一一.....・.....ーー 一ーー・・・?・一.....・・・.........ー一‑一・・ー一ーーーーヶ.................一ーー・..............
HU
100 200 300 400 500
Time ( a ) K= 1
図51 丘陵地形の抗力係数Cdとl次モードのUl,2次モードのu2の時刻歴
氏U A
守
﹁ コ
℃
c m w
B 2
ハ
U3 2 1 0 1 2
﹁ コ
℃
c m w
刀
υ
10
8 ト非粘性流体
10
O
‑ 2
0 400 500
非粘性流体
8l
Cd
氏U
A
叶
Fコ
℃
c m w
100 200 300 Time
B 2
粘性流体 (Re=500)
Cd
O
‑ 2 0
u
400 500
O
‑ 2 0
u ,
100 200 300 Time
( c ) K=1.5
図51の続き 丘陵地形の抗力係数Cdと1次モードのUl,2次モー ドのu2の時刻歴
100 200 300 Time
400 500
6 5 4
10
粘性流体 (Re=500) 8
B 2
6 4
﹁ コ
℃
c m ω
100 200 300 400 500 Time
(b)K=1.25
図51の続き 丘陵地形の抗力係数Cdと1次モードのUl,2次モードのu2の時刻歴