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スギ樹冠における窒素分布と炭酸ガス固定機能の評 価に関する研究

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

スギ樹冠における窒素分布と炭酸ガス固定機能の評 価に関する研究

小林, 元

Graduate School of Agriculture, Kyushu University

https://doi.org/10.11501/3147882

出版情報:Kyushu University, 1998, 博士(農学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)
(3)

スギ樹冠における窒素分布と炭酸ガス固定機能の 評価に関する研究

小 林 元

1998

(4)

目 次

第1章 序論

第1節 はじめに

第2節 研究の目的および意義

1i 1i

っυ

第3節 これまでの研究 . . . • . . . • . • . . . • . . . . 6

第4節 本論文の構成 . . • • . . . • . • . . . • . . . . • . . • . . • . . . 9

第2章 スギ樹冠における窒素分布

第1節 樹冠内の窒素分布に及ぼす光環境の影響

第2節 樹冠内の窒素分布に及ぼす地位の影響 第3節 樹冠内の窒素分布に及ぼす間伐の影響 第4節 樹冠内における窒素分布の季節変化

11 1 1 23 42 56

第3章 スギ樹冠の炭酸ガス固定機能

第1節 光合成速度に及ぼす葉の窒素含量と光強度の影響 第2節 スギの葉の最適窒素含

qu つ、U ウi FO Fhu pnU 門ra

第3節 樹冠の光合成量に及ぼす窒素分布の影響 nku

第4章 総合考察

95

第1節 スギ樹冠の炭酸ガス固定機能を樹冠内の窒素分布から推定するための評価法 . . 95 第2節 最適窒素含量に基づいた適正な樹冠管理施業 • . • • . . . • . . . • . . . 97

摘 要

��1 !字 引用文献

102 105 106

(5)

第1章 序論

第1節 はじめに

1

.

地球温暖化問題

地球上の大気の主な成分は, 水蒸気を除くと, 窒素(780/0)と酸素(210/0), そ

してアルゴン(0.90/0)である. しかし, 残りo.1 0/0の微量気体の中には, 二酸化 炭素(0.03580/0), メタン(0.00170/0), 亜酸化窒素(0.0003 0/0), フロン等の温室 効果ガスが存在し, これらの気体によって, 地球上の平均気温はほぼ150Cに保 たれている. もしこれらの気体が存在しなかった場合には, 地球上の平均気温 は-180Cにまで下がるといわれている. このように,温室効果ガスは大気中に占 める割合は小さいものの, 地球の温度環境を大きく左右する. 温室効果ガスの 濃度は, 18世紀にイギリスで端を発した産業革命以降, 特に20世紀後半の化 石燃料の大量消費, 森林伐採等の人間活動により, 急激に 上昇している.

Houghton and Woodwell(1989)は, 大気中の炭酸ガスとメタンについて, 過去 140年間の濃度の推移を推定した. この結果によると, 炭酸ガスの濃度は 1850 年と 1950年で, それぞれ290 ppm, 320 ppmであったが, 1980年には 3 40 ppm

に達している. メタン濃度についてみると, 1850年と 1950年で,それぞれo.85 ppm, 1. 1 ppmであるが, 1980年には 1.6 ppmに達している. また, このような

近年の炭酸ガス濃度の著しい上昇は,ハワイ島マウナロア山で 1957年から始め られた観測(Keeling et

a1., 1989)等によっても明らかにされている.

地球全体の平均気温は過去 100 年間で 0.60C上昇しているが, このまま大気 中の炭酸ガス濃度が増加し続けた場合, 100年後には現在の 3 60 ppm から約2 倍の 700 ppm に達し,これにともなって,地球上の平均気温は全球で3 oC (Watson

et a1., 1990), 北半球の高緯度地方にいたっては50Cも上昇することが予測さ

(6)

れている(Houghton et a1., 1990 ).

この地球規模の気温上昇によって, 砂漠化の進行, 集中的な降水の増加, 海 水面の上昇, 積雪域および凍土の縮小等の気候変化が予想、されている. また,

これによって, 森林の衰退や植生帯の移行, 種の絶滅等, 生態系も大きな影響 を受けると考えられている. このように, 地球温暖化の自然生態系や生活環境,

農林業等に及ぼす影響が強く懸念されてきた.

2. 地球温暖化防止京都会議

温暖化を中心とした地球環境問題を各国政府が議論する公式の場として,

1989年11月にIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change :気候変動 に関する政府間パネノレ)が設置された. また, 1992年5月に, 気候変動に関す る国際連合枠組条約(UNFCCC : Uni ted Nations Framework Convention on Climate Change)が採択された. この条約は, 日本を含め, 167ヶ国(1997 年5月現在) で締約されている.この条約で先進国に課せられた責務の

中に, 西暦2000年ま

でに温室効果ガスの排出量を1990 年のレベルにまで戻して安定させることが 挙げられている. これを受けて, 1997年12月に, 各国ごとの2000年以降の温 室効果ガスの排出削減目標を具体的に設定することを目的とした締約国会議が 京都で開かれた( 地球温暖化防止京都会議). この会議で採択された京都議定書 によって, 2008年から2012年までの先進国の温室効果ガスの排出削減目標は,

1990年比で, 日本とカナダで6 0/0, 米国で7 0/0, 欧州連合(E U)では8 0/0とさ れた.

(7)

第2節 研究の目的および意義

尽都会議において,日本の温室効果ガスの排出削減目標は6 0/0に定められた.

この目標値には,1990年以降に植栽された森林の炭酸ガス固定量を吸収源とし て算入することができ, 政府は我が国の森林による炭酸ガス固定量を, 削減率 の 3. 70/0分に相当すると見込んでいる. しかしながら, 京都議定書には, この 森林による炭酸ガス固定量の評価は, 透明で検証可能な方法で報告されなけれ ばならないことが明記されている. このことから, 森林, なかでも人工林にお ける炭酸ガス固定量の正確な推定方法を確立することが重要な課題となってく る.

我が国の森林面積に占める人工林の割合は430/0である(林業センサス, 1990).

なかでも, スギは我が国の主要な造林木として, 国内各地に植栽されている.

スギ人工林の森林面積に占める割合は, 国内全体で190/0, 九州地方では360/0で ある. スギの炭酸ガス固定に関する研究は数多く発表されている. これらの研 究によって, スギの葉の光飽和下 の最大光合成速度は, 着生位置の光環境 (Hashimoto and Suzaki, 1979;田淵ら, 1981;丹下ら,

1991;宮浦ら,

1995),

葉齢(坂上 ・ 土井, 1964 ; Hashimoto and Suzaki, 1979 ;田淵ら, 1981;白旗・

橋本, 1993;宮浦ら, 1996), 季節(根岸ら, 1961; Negisi, 1966; Tabuchi et a1.

1987 ;宮浦ら, 1995)等によって異なることが明らかにされている. しかしなが

ら, スギの炭酸ガス固定量を個体レベル(Negisi, 1966;橋本・ 須崎, 1983;白 旗ら, 1989), あるいは群落レベル(宮浦ら, 1995 , 1996)で評価した研究例は少

ない.

ところで, 光飽和下の最大光合成速度は, 葉に含まれる窒素と高い正の相関 にあることが知られている(Field and Mooney, 1986 ; Evans, 1989). これは,

窒素が機能タンパク質である酵素の構成元素として, 光合成の生化学反応に大

(8)

きく関与しているためである(Björkrnan,1981; Evans, 1989). 葉の窒素含量は,

種(Fie1d and Mooney, 1986; Reich, 1994; Bassow and Bazzaz, 1997), 光環 境(Hirose and Werger, 1987b; Hiroseθt a1., 1989), 土壌環境(Mooneyθt a1. , 1978 ; Leuning et a1., 1991; Aerts and Ca1uwe, 1994; Reich, 1994), 葉齢 (Hikosaka θt a 1., 1994), 季節(Sanchez and Righetti, 1990; Kudo, 1995) 等によって変化する. しかしながら, 葉の窒素含量が光環境(Dejong and Doy1e,

1985 ; Seernannθt a1., 1987; Hirose and Werger, 1987 a)や土壌環境(Mooney θt a1., 1978; Gu1rnon and Chu, 1981; Evans, 1983; Sage and Pearcy, 1987)

によって変化した場合でも, 同種であれば, 葉の窒素含量と光飽和下の最大光 合成速度との関係は1本の直線に近似される. また,種によっては,葉齢(Fie1d and Mooney, 1983; Fie1d and Mooney, 1983), あるいは季節(Reich et a1. , 1991)が異なる場合でも同じことがし\える.さらにそれらをすべて一つのグラフ にまとめてフロットしでも, 1本の直線に近似することが出来る(Fie1d and Mooney, 1986; Evans,

1989).

この現象は, 常緑樹と落葉樹を合わせても成立 する. さらに, c.l植物であれば, 草木, 作物を加えた場合にも成り立つ. この ことから, 葉の窒素含量は光合成速度を簡便に推定するための有効な指標であ ると考えられており(Reich et a1., 1991, 1995; Bassow and Bazzaz, 1997),

樹冠内の窒素分布から樹冠全体の炭酸ガス固定量を推定する試みがユーカリ (Leuning et a1., 1991), サトウカエデ(E11sworth and Reich, 1993), ブナ

(Ho 11 inger, 1996)等で

行われている. また Schu1ze

et a1. (1994)は, この葉

の窒素含量と光飽和下の最大光合成速度との関係、が, 種や生育環境を越えて普 遍的に成立することに着目し, 文献調査によって得られた地球上の主な植生帯 の葉の窒素含量から, 陸上植物による地球全体の炭酸ガス固定量を推定してい る.

陸上植物による炭酸ガス固定量は, これまで一次生産力として評価されてき

(9)

た. この一次生産力の推定モデルは, 気温, 降水量, 放射量等を主なパラメー タとしている(NPP predi c t mode 1 : Rosenzwe ig, 1968; Maiami mode 1 : Lieth,

1972 ; Chikugo model : Uchijima and Seino, 1985). したがって, これらのモ デ、ルで、推定された炭酸ガス固定量には, 植物の種や土壌環境等による炭酸ガス

定量の違いが考慮、されていない. このことから, これらの因子を反映した葉 の窒素含量をモデルのパラメータに加えることは, 陸上植物による炭酸ガス固 疋重をより正確に推定するために有効である. また, 近年, 葉の窒素含量を近 赤外線反射光(NIR : Near infrared reflectance)から簡便に推定する方法が提 唱された(Wessman et a1., 1988a; McLellan θt a1., 1991a, b). この方法を リモート

センシングに応用し(Wessman θta1., 1988b) , 葉の窒素含量をパラ メータに加えることによって, ランドスケープ, さらには地球規模で, 陸上植 物による 炭 酸ガス固定 量 を 推 定 す る ことも可能になる と 考え ら れ て い る (Sellers et a1., 1992).

このように, 植物による炭酸ガス固定量の推定方法に, 葉の窒素含量をパラ メータに加えることの有用性が認識されてきている.

そこで本研究では,

日本 の森林面積に大きな割合を占めるスギ人工林について, 炭酸ガス固定量を葉の 窒素含量から推定する方法を提示すると共に, 樹冠の炭酸ガス固定機能を考慮、

した適正な樹冠管理施業を提案することを目的とした. 本研究ではまず, スギ 樹冠における葉の窒素含量の分布を調べ, 樹冠内の窒素分布に影響を及ぼす諸 についての解析を行った. 次に, 葉の窒素含量と光合成速度との関係 につ いて調べ, スギ樹冠の炭酸ガス固定量を樹冠内の窒素分布から推定した. 最後 に, スギ樹冠の炭酸ガス固定量を樹冠内の窒素分布から推定するための評価法 を提示し, スギ樹冠の炭酸ガス固定機能を最大限に発揮させるための間伐法に ついて検討した.

本研究で得られた成果は, スギ人工林の炭酸ガス固定量を, 広域な面積で評

(10)

価する場合の評価法として利用可能である. また, 間伐や枝打ち, 林地肥培等 の育林施業と樹冠の炭酸ガス固定機能との関係を評価する際の手法にもなり得 る. このように, スギ人工林の公益的機能の一つである炭酸ガス固定機能を定 目的かっ定性的に評価することは, その社会的有用性を認識する上で大きな意 義を持っと考える.

第3節 これまでの研究

1

.

スギの葉の窒素含量に関する研究

スギの葉の窒素含量と成長との関係については, 樹木の栄養診断の一環とし て, これまで数多くの研究が行われてきた. これらの研究によって, スギの成 長と葉の窒素含量は土壌環境に強く影響され(伊藤, 1976;脇, 1985), 樹高成 長は葉の窒素含量と密接な関係にあり, 窒素含量の高い個体ほど優れた成長を 示すことが明らかにされている(河田

・衣笠, 1968;原田, 1970;伊藤, 1976;

生原,

1979).

また, スギの葉の窒素含量は季節的に変動し, 成長期に高い値を

示した後, 成長休止期には低い値を示すこと(脇, 1972;後藤, 1977; )11添・吉

本, 1977),齢の古い葉ほど窒素含量が低くなること(汰木, 1964)も知られてい る. さらに, 葉の窒素含量を着生位置別に見ると, 上位葉で高く, 下位葉では 低いことが報告されている(汰木, 1964;原田, 1970;後藤, 1977).

スギの葉の窒素含量と光合成速度との関係については, 汰木(1964)や坂上 (1965)らの研究がある. 汰木は6年生のアラカワについて, 窒素含量の高い葉 ほど光合成速度も高い傾向にあることを報告した.

坂上も水耕栽培した苗木に

ついて, リン酸, カリウムの供給が十分である場合には, 光合成速度は葉の窒 素含量が高くなるほど増加する傾向にあることを報告している. 品種間差につ

(11)

ー・且ー一←

いては, 須崎ら(1979)や野上ら(1993)によって検討されている. 須崎らは, 葉 の窒素含量と光合成速度との関係について, アヤスギとクモトオシとの問では

有意差が認められなかったとしている. また, 野上らは, イワオ, オビアカ,

メアサの3品種について, 葉の窒素含量と光合成速度は, それぞれ, 早生型で あるイワオが晩生型であるメアサに比べて高い値を示し, 中間型のオビアカは,

両品種の中間の値を示すことを報告している.

2. 費用一便益仮説と樹冠内窒素分布

植物は葉の窒素含量を増やすことによって, 光合成能力を高めることが出来 る. しかしながら, 高い光合成能力を持っていても, 環境要因に律速されて光 合成速度を高めることが出来ないケースは多い. その上, 窒素は植物の成長に とって最も不足しがちな養分の一つでもある(Chapin,

1980).

この光合成にお ける窒素利用の問題に関して, Mooney and Gulmon (1979)は経済概念からの解釈 を試み, r費用(窒素)に対する便益(光合成量)が高いほど適応的である」とす る費用 便益仮説(Cost

-

benefi t hypothesis)を提唱した.光環境を例にする と, 弱光下では, 光合成速度は光強度に律速される. このような環境では, 窒 素含量が低いほうが費用を抑えるという意味で適応的である. 逆に充分な強光 下では, 窒素含量を高めることが, 便益を増やすという意味で有利である. 陰 樹の葉の窒素含量および光合成速度が, 陽樹に比べて低い(Evans and Seemann,

1989)ことはよく知られた事実である.

Field(1983)はこの費用 便益仮説を樹冠内における窒素分布で検討した.樹 冠内の光強度は最上層で最も高く, 下層ほど低くなる(Monsi and Saeki, 1953).

したがって, この仮説が正しければ, 植物全体の光合成量は光強度の高い樹冠 上層の葉により多く窒素が分配されたときに最大となると考え, 植物の樹冠内 における窒素分布は, この光合成量を最大にする最適窒素分布に近いと予想、し

(12)

た. そして, í樹冠全層において窒素含量の変化に対する光合成量の変化の比 が一定の場合, 植物全体の光合成量は最大になる」ことを提示した. すなわち,

a

A/

a

N 二 λ constant.

ここで, Aは1日あたりの純光合成量, Nは葉の窒素含量, λはラグランジュの 乗数である.Field(1983)は雨緑林の低木であるLθ'pechinia ca1yci刀3について,

ラグランジュの乗数法を用いて, 樹冠の窒素量から樹冠の最大光合成量を推定 した. さらに, 樹冠全体の光合成量を現実の窒素分布, 最適窒素分布, および 均ーな窒素分布(全ての葉の窒素含量が樹冠全体の窒素含量と等ししつで比較し た. その結果, 光合成量は最適分布, 現実分布, 均一分布の順で高い値を示し たが, 最適分布で現実分布に対し2

0/0増,

現実分布で均一分布に対し1 0/0増と,

その差は小さい値であった.

Hirose and Werger(1987b)はこれとは別のモデルを提示し, セイタカアワダ チソウ群落の現実の光合成量は, 窒素が最適分布のときより4.70/0小さいが,

均一分布のときより200/0大きいことを示した. また,積算葉面積指数が大きな 群落ほど, 均一分布と最適分布における光合成量の差が大きくなる計算結果か ら, 積算葉面積指数の大きな群落ほど樹冠下層における窒素含量の低下が大き くなることを予測した. さらに, Field (1983)の報告において均一分布と最適分 布における光合成量の差が小さかったのは, 積算葉面積指数の小さな樹冠に適 用したためであろうと述べた.

その後の研究によって, 現実の窒素分布は最適窒素分布に近く(Schieving et a1., 1992a, b), 樹冠下層における窒素含量の低下は, 積算葉面積指数(Hirose

et a1., 1988)の大きな群落ほど大きくなるごとが確認された. これらの結果か ら, 樹冠下層における窒素含量の低下は, 光環境に対する植物の適応と考えら れており, 費用

-

便益仮説が支持される最も大きな理由になっている. また,

この 費用一便益仮説は, 光以外でも, 土壌の養水分や混度環境にも当てはまる

(13)

とされており(Mooney and Gulrnon, 1979), Field (1991)はこのことを, 葉の窒 素含量と光合成速度との関係が種や生育環境を越えて普遍的であることの理由 の一つに挙げている.

Field(1983)の提示したラグランジュの乗数法についても数理的な検討が行 われ(Wu, 1993; Sands, 1995; Antenθta1., 1995), 窒素含量の変化に対する 光合成量の変化の比が樹冠全層において一定の場合, 積算葉面積指数の増大に よる窒素含量と相対光強度の減衰比は等しくなることが証明された. これを受 けて, Schulze et a1. (1994)は, 地球規模の陸上植物による炭酸ガス固定量を,

ラグランジュの乗数法を用いて樹冠の窒素量から簡便に推定することを提案し た. しかしながら, この方法で推定した最適窒素分布は, 樹冠上層で現実の窒 素含量を大きく上回り, 樹冠下層では下回る(p0 n s e t a 1., 1989; E v an s , 1993 ;

Anten

et

a1., 1995 ; Hollinger, 1996)ことが知られており, 光合成量は過大 に評価されると考えられている(Hollinger, 1996). 樹冠の窒素量から光合成量 を推定する場合には, 樹冠内における窒素分布を考慮することが重要であると 認識されており, 樹冠内における窒素分布を適切に表現する方法の確立が期待 されている.

第4節 本論文の構成

樹冠の光合成量を窒素分布から推定するためには,窒素分布を表すモデルと,

窒素含量から光合成速度を求めるための二つのモデルが必要である. 窒素分布 モデルに光合成モデルを組み入れることによって, 樹冠の光合成量を推定する ことが出来る.

そこで第2章では, 樹冠内の窒素分布を表すモデ、ルを提示し, この窒素分布

(14)

モデルのパラメータが, 光環境や土壌環境, さらに季節によってどのように変 化するか調べた. 第

1

節では, スギ樹冠にお け る 窒 素 分 布 をHirose and Werger(1987b)のモデルで表し,樹冠内の窒素分布に及ぼす光環境の影響につい て調べた. さらに, Hiroseらのモデルを改変し, スギ樹冠の窒素分布を適切に 表すモデルを提示した. 第2節では, 地位が異なり, 土壌中の窒素量が異なる 場合の樹冠内窒素分布を調べた.また,林地肥培における窒素施与量の推定方法 についても検討した. 第3節では, 窒素分布に及ぼす間伐の影響について調べ た. 第4節では, 窒素分布の季節変化について調べた.

第3章では, 窒素含量から光合成速度を求めるモデルを提示し, スギ樹冠の 光合成量を窒素分布から推定した. 第1節では, 光一光合成曲線の各パラメー タと葉の窒素含量との関係を調べ, 窒素含量と光強度から個葉の光合成速度を 求めるモデルを提示した. 第2節では, 個葉の光合成量を最大にする最適窒素 含量が光強度によって変化することを示し, 樹冠各層の窒素含量がこの最適窒 素含量に近し\かどうかを検討した. 第3節では, スギ樹冠の光合成量を樹冠内 の窒素分布から推定し, 樹冠の光合成量に及ぼす窒素分布の影響について検討 した.

第4章の総合考察では, 第2章および第3章で得られた知見をもとに, 第1 節では, スギ樹冠の炭酸ガス固定量を樹冠内の窒素分布から推定するための評

価法を提示した.

また, 第2節では, 最適窒素含量に基づいた, 樹冠の炭酸ガ ス|副定機能を最大限に発揮させるための間伐法について検討した.

(15)

第2章 スギ樹冠における窒素分布

第1節 樹冠内の窒素分布に及ぼす光環境の影響

1 . はじめに

スギ樹冠の光合成量を樹冠内の窒素分布から推定するためには, 窒素分布を

適切に表すためのモデルが必要である. 葉の窒素含量は, 相対光強度を変数と した直線式で近似される(Dejong and Doyle, 1985). しかし, 積算葉面積指数 を変数とした指数関数式で表すこともできる(Hirose and Werger, 1987b). 葉 の窒素含量を指数関数式で表した場合, 樹冠頂端葉の窒素含量がy軸の切片と して示される. よって, 樹冠頂端葉の窒素含量に影響する, 地位や季節による 窒素分布の変化を明らかにする研究では利用価値が高い. さらに, 樹冠全体の 光合成量を求めるには, 光合成量を積算葉面積指数で積分する必要があるが,

葉の窒素含量を積算葉面積指数の関数式で表すと, 光合成量の計算を簡素化す ることが可能となる.

Hirose and Werger(1987b)は, セイタカアワダチソウ群落における葉冠内の 窒素分布を積算葉面積指数を変数とした関数式で表し, 葉冠内にお け る窒素含 量の減衰を表す指標として窒素の分配係数を提示した. 彼らは, 葉冠全体の光 合成量はこの分配係数に大きく影響され, 積算葉面積指数の大きな群落では分 配係数が大きくなり, 逆に積算葉面積指数の小さな群落では分配係数が小さく なることによって, 葉冠全体の光合成量が高まることを示した.

本節では, スギを対象とし, 樹冠内の窒素分布をHiroseらの提示した窒素の 分配係数を用いて表した. また, 樹冠内における窒素分布を樹冠の光環境との 関係から解析し, スギ樹冠の窒素分布を適切に表すためのモデルを提示した.

(16)

2. 材料と方法

熊本県林業研究指導所の苗畑に80 cm間隔で植栽された6年生スギ(品種:シ ャカイン)閉鎖林分の中から, 南面に生育する林縁木で隣接した3個体を選び,

試料木1, ll, mとした(プレート-2・1・1). 試料木の概要は表-2・1・1に示した.

樹冠を頂端から6等分し, 林分の内側に面した樹冠(林内樹冠)と, 林分の外側 に面した樹冠(林縁樹冠)の各層より一次校を1本ずつ選んだ. 1992年9月25日 に, 各一次枝先端における相対光強度を測定した. 相対光強度は, 魚眼レンズ を用いて曇天条件で写真を撮り, 得られた画像からYahata(1991)の方法で推定 した. 測定後, 試料葉を各枝の先端より採取し, 葉面積と乾重, および窒素含 量の分析に供した. スギの葉は木部を軸としてらせん状に着生していることか ら, ある方向によじると1つの平面に揃う性質をもっ(汰木, 1964). この性質 を利用して平面に整えた葉をOHPシートに複写し, 葉面積計(LI

-3000A,

ライカ 一社)を用いて面積を測定した. 測定後, 葉と木部を分け, 葉を700Cで48時間乾

燥させた後, 重量を測定した. 得られた乾重を葉面積で除し, 葉重比を求めた.

窒素含量は, 試料葉の一部を乳鉢ですりつぶし, 1 mmの円孔簡でふるったもの を, CNコーダー(MT-500, 柳本)で測定した. 乾重あたりの窒素含量に葉重比を 掛けて, 面積あたりの窒素含量を求めた.

さらに,1993年3月17日に, 試料木に近い林縁木を1個体選び, 試料木IVとし た. 樹冠を頂端から9等分し, 林内樹冠と林縁樹冠の各層より一次枝を1本ず つ選んだ. 一次枝先端における相対光強度と積算葉面積指数を測定した. 相対

光強度は前述の推定法で行い, 積算葉面積指数はプラント ・ キャノピー ・ アナ ライザー(LAI

-

2000, ライカ一社)で測定した.

3. H i roseの窒素分布モデル

樹冠内における相対光強度の分布は, Lambert-Beerの法則を用いた次エ1

(17)

(Monsi

and Saeki,

1953)で表される.

1z = 1()

exp

(-KJ Fz) ( 1 )

ここで, 1zと1() �土全天空写真で推定された樹冠内の深さZと樹冠頂端における 相対光強度, KJは吸光係数, Fi'は深さZまでの積算葉面積指数である.

樹冠内における葉の窒素含量の分布は, 積算葉面積指数を変数とした次豆、

(Hirose

and

Werger, 1987b)で表される.

Nz

二N() exp

(-Ka Fz/Ft) ( 2 )

ここで, NzとN。は樹冠内の深さZと樹冠頂端葉における面積あたりの窒素含量,

Kaは窒素の分配係数, Ftは樹冠全体の積算葉面積指数である. 人=0のとき, 樹冠 内の全ての葉の窒素含量は等しくなる. Kaが増大するにつれ, 下層葉の窒素含

が上層葉より少なくなる.

相対光強度と葉の窒素含量との関係は, (1)式と(2 )式よりFzを消去した次 式(Hirose et a1., 1988)で表される.

NI.

二Nl)(I//I())(M l:1)/hl

( 3 )

樹冠の窒素量は, (2)式のN/をF;で、積分した次式(Hiroseand Werger, 1987b) から求められる.

ここで,

4. 結果と考察

Nt てiJ Nχ杭二No F t (1

-e Ka

) / K

ü

( 4 )

1

.

積算葉面積指数と相対光強度との関係

-2 ・1・1に ,

試料木

W

の林内樹冠と林縁樹冠における 積算葉面積指数と相

対光強度との関係を示した. 相対光強度は, 積算葉面積指数が大きくなるにし たがっ て低下した

.

また, 林内樹冠と林縁樹冠で明瞭な差は見られなかった

.

そこで, 両樹冠の測定値をまとめでは)式で近似し, 次式を得た.

(18)

1;'/10 = exp (-0. 431 F/) (r = O. 956) ( 5 )

この(

5

)式における吸光係数(K,)は0.431で, これは勝野ら(1983)が20年生のス ギ林で刈り取り法によって得た, 0.42に近い値であった.

2. 積算葉面積指数と葉の窒素含量との関係

試料木1, II, mの樹冠各層における積算葉面積指数を, 各層の相対光強度 を用いて( 5 )式から推定した. 林内樹冠と林縁樹冠における樹冠最下層の積算 葉面積指数は, それぞれ7.12皿、日, l. 99皿、�(表-2・1・1)で, この値を樹冠全 体の積算葉面積指数とした.

図2・1・2に, 積算葉面積指数と葉の窒素含量との関係を示した. 図では, 積 算葉面積指数は樹冠全体の積算葉面積指数に対する相対値(Fz/Ft)で示されて いる. 樹冠別に試料木3個体の測定値をまとめて(2 )式で近似し, 次式を得た.

林内樹冠: Nz=4.978exp(-0.819 F;/F)

(r=0.906) (6)

林縁樹冠: Nz

=

5. 485exp (-0. 365 Fz/F) (r =

O.

686) (

7 )

共分散分析の結果,窒素の分配係数(KJは,林内樹冠(0.819)が林縁樹冠(0.365) より有意に高い値を示した(表-2・1・2a). この結果は 積算葉面積指数の大きな 草本群落では, 葉冠全体の光合成量を高めるために窒素の分配係数が大きくな るという, Hirose et a1. (1988)らの報告と一致する. つまりスギにおいても,

樹冠全体の積算葉面積指数(Ft)が7.12 m�m ')と大きな林内樹冠では上層葉へ多く の窒素を分配し, F t が1.99 m')m ')と小さな林縁樹冠では全体に均一に窒素を分配 することによって, 樹冠全体の光合成量を高めていると考えられる.

3. 相対光強度と葉の窒素含量との関係

刈-2・1・3に, 相対光強度と葉の窒素含量との関係、を示した. 試料木3個体の 測定値をまとめて( 3 )式で近似し, 次式を得た.

林内樹冠: Ní'

=

4.973 (1z/1o) ()川 (r

= O.

906)

( 8 )

林縁樹冠: Ní' = 5.

607

(lz/ I() (). 1fit1 (r二O.763)

( 9 )

(19)

傾きを表す(Ka/Ft)IK, (窒素の分配係数/樹冠全体の葉面積指数/吸光係数),

および切片を表す樹冠頂端葉の窒素含量(No)には, 林内樹冠と林縁樹冠で有意 差は認められなかった(表-2.1.2 b ) . 両樹冠のK,には共通の値(0.431)を用いて いるので, (Ka/Ft)/K,に有意差が認められないことは, KillFt (林内樹冠: O. 115 ; 林縁樹冠: O.

183)に差がないことを意味する.

Hiroseθt a1. (1988)は, 草本の

クサレダ、マ群落で, 葉冠全体の積算葉面積指数(FJの大きな群落ほど人1Ftが小 さくなり,

Ftの大きな群落と小さな群落とでは, 相対光強度と葉の窒素含量と

の関係が傾きの異なる式で近似されることを示した. 彼らはその原因として, 葉冠全体の積算葉面積指数(F)の増加に対する窒素の分配係数(Ka)の増加が相

対的に小さいことを挙げている. また, Sadras θt a1. (1993)は, このFlの大き な群落ほと、、K,/Ftが小さくなる現象は多くの草本群落に共通していることを示 している. このように, 相対光強度と葉の窒素含量との関係は, 草本群落では 葉冠全体の積算葉面積指数(Ft)に影響されるが, スギの場合は, 林内樹冠と林 縁樹冠の人1Ftに差がないことから, 樹冠全体の積算葉面積指数(Ft)に影響され ず, Ftが異なる林内樹冠と林縁樹冠でも同じ式で近似されることになる.

4. 樹冠の窒素量

林内樹冠と林縁樹冠の窒素量を(4 )式から求め, 原因(1970)と生原(1978)が 葉重と乾重あたりの窒素含量の平均値から推定したスギ林分の窒素量と比較し た. (4)式のFtは, (5)式でで、推定された試料木3個体の平均値(表一-2.1卜. 1ο)を用 い, N凡()とK

含量はそれぞれの 一次枝先端の窒素含量と等しいと仮定した. 求められた樹冠 の窒素量は, 林内樹冠と林縁樹冠で, それぞれ242.0 kgNha 1と91.4 kgNha 1と なった. 原田は, 43年生スギ林分で242. 3 kgNha 1, 生原は,肥培した9年生ス ギ林分で325.4 kgNha 1と報告している. 今回林内樹冠で得られた値は, 43年生 林分で得られた値に近かった.

(20)

このように, 葉の窒素含量を積算葉面積指数の関数で表すことによって, 樹 元主の窒素量を, 従来の方法に比べて簡便に推定することが出来る.

5. 窒素分布モデルの検討

本節では, スギ樹冠における窒素分布を(2 )式の分配係数を用いて表したが,

さらに, 樹冠内の窒素分布は(10)式で表すこともできる.

Nz二N() exp (-KI1Fz ) 〆,,、、 11i ハU 、、,,ノ

ここで, KIlは窒素の減衰比である. Knは( 2 )式と(10)式よりNzとN()を消去して,

Kn = K礼1Ft (11)

となる.

スギの場合, 樹冠内の窒素分布は樹冠全体の積算葉面積指数に影響されない ことから, 樹冠内の窒素分布を(10)式で表した場合, 葉の窒素含量と積算葉面 積指数との関係は, 林齢等によって積算葉面積指数が異なる林分でも, 同じ傾 きの直線で表すことができる. そこで, 本論文では次節から樹冠内の窒素分布 を(10)式で表すことにした.

樹冠内の窒素分布を(10)式で表した場合, 樹冠の窒素量(N)は(12)式で求め られる.

N1- l }H N/dFx=N{}(l-e h111J1)/KIl (12)

(21)

プレート-2・1・1. 試験地の概況

(22)

ョ・』ーー←

表-2・1 . 1 . 試料木の概要

No. Height

(

cm

)

DGH

(

cm

)

Leaf area index

(

m日皿

� )

Sh礼【lcd crown Sunlit crown

432 7.3 7.04 2. 11

E 420 6. 2 7.21 2. 36

E 423 7.6 7. 10 l. 50

Mean 7. 12 l. 99

樹冠全体の積算葉面積指数は(5 )式より推定した.

(23)

1.00

• Shaded crown kAZωcω-c

0.10

EO一一ω〉一潟一ω区

o Sunlit crown

0.01

。 2 3 4 5 6

Cum ulative leaf area index (m2 m-2 )

図-2・1・1 . 積算葉面積指数と相対光強度との関係

実線は( 5)式を表す.

(24)

7

Shaded crown 6

A

••

.‘

..

Tree 1 Tree II Tree rn

--a

ζd

4

3 (N' EZO)

2

Sunlit crown

7

6

5

4

日cω-coυcωOO」tc』何ω」

o Tree 1 口Tree II ムTree rn 3

1.0

( relative value )

0.8 0.6

Cumulative leaf area index

0.4 0.2

0.0 2

積算葉面積指数(相対値)と葉の窒素含量との関係

それぞれ(6 )式と (7 )式を表す.

林内樹冠と林縁樹冠の実線は,

図-2・1・2.

(25)

表-2・1・2. 共分散分析の結果

Source of variation df SS MS

a ) Narea on relative LAI, between crowns

Among b' s (slopes) O. 204 O. 204

Within regressions 32 0.607 0.019

Among a' s (adjusted means) not relevant

F

10. 750 *牢

b ) Narea on relative light intensity, after logarithmic transformations

Among b' s (slopes) Within regressions

Among a' s (adjusted means) Error

32 33

0.053 O. 555 0.001 0.608

0.053 0.017 0.001 0.018

ns, not significant; **, P< 0.01.

3.048 ns O. 051 ns

(26)

...

一一・- Shaded crown ー-0一一 Sunlit crown

グ.

:""'0 .p .。

/。

J

. .レ

/

7

6

5

4

3

2

(N' EZO)

-co-coυcωOO」戸一cu←のω」

1.0 0.8

Relative light intensity 0.6 0.4

0.2

相対光強度と葉の窒素含量との関係

それぞれ(8 )式と (9 )式を表す.

実線と破線は,

図-2・1・3.

(27)

第2節 樹冠内の窒素分布に及ぼす地位の影響

1

.

はじめに

我が国の人工林の多くは山間部の傾斜地にある. なかでも急峻な傾斜地では,

壌環境が斜面の位置によって異なり, 樹木の成長に差を生じさせる(竹下,

1964). この土壌環境による人工林の成長差は樹高に明瞭に表れるため, 地位は 樹高によって示されている(坂口, 1969).

スギ林分の地位と葉の窒素含量との関係については, 樹木の栄養診断の一環 として, これまで数多くの研究が行われている. これらの研究によって, 樹高 成長の優れた地位の高い林分ほど葉の窒素含量が高く(河田 ・衣笠, 1968;原田,

1970 ;伊藤, 1976;生原, 1979;脇, 1985), 地位の高い林分では土壌中の窒素

量も多し\(伊藤, 1976;生原, 1979;脇, 1985)ことが明らかにされている. し かしながら, これらの研究は, 陽樹冠の一部から採取した葉の窒素含量を調べ たものであり, 地位の違いによって樹冠内の窒素分布がどのように変化するの か調べた例は見られない.

そこで本節では, 地位が異なり, 土壌中の窒素量が異なる場合のスギ樹冠の 窒素分布の違いを明らかにすることを目的とした. 同一斜面上の樹高の異なる 個体問で, 樹冠内の窒素分布を測定した. さらに, これらの結果から, 林地肥 培による窒素施与量の推定方法についても検討した.

2. 材料と方法

1

.

調査林分および試料木

この研究では, 大分県庄内町にある, 九州林産株式会社所有の西大原山林53 林班のスギ林(品種:ヤマグチ)を対象とした. 本林班は, 平治岳の北側に位置 する平均斜度300 の北東向き斜面で,標高900 ffi""'-'lOOO

ffiにある(図-2・2・1).

(28)

林齢は7年生,植栽間隔はl. 8 m,土壌は黒色土でみる(プレート-2・2・1).1996 年11月19日に毎木調査を行った.毎木調査は, 林分の中ほどに位置する連続

した5 Jilについて,林分の下端から斜面上部に向かつて55番目までの個体を対 象とした. 調査個体の平均樹高と生枝下直径は, それぞれ 4.8m, 1l.24cmで あった.図-2・2・2に, 林道端から斜面上部にかけての斜距離と樹高との関係を 不した. 4夢IJ目を除いて, 樹高は斜面を上るにしたがって低くなる傾向を示し た. 林分の下部にある個体は樹高6mほどであり, 100 mの距離にある個体は

樹高4mほどであった.

樹高が斜面を上るにしたがって顕著に低下する3列目について, 林分の上部 と中腹部および下端に調査地点を設け, それぞれ上, 中, 下プロットとした(図

-2・2・2).各プロットより試料木を3個体ずつ選んだ.

試料木の選定にあたって は, 隣接個体に枯損がなく, 樹高が揃った連続した個体を選んだ. 試料木の平 均樹高は,上, 中, 下プロットで, それぞれ

347cm, 4 1 8 cm, 54 6 cmで斜面

方のプロットほど高かった(表-2・2・1).また,下方のプロットほど樹冠は欝閉 しており, 下フロットでは樹冠下層が隣接個体と接触していた. 試料木の樹冠 を頂端から等間隔に区分した. 上プロットと中プロットでは, 50 cm間隔で,

それぞれ5等分,

6等分した.

下プロットでは, 60 cm 間隔で7等分した. 各 区間より一次枝を1本ずつ選び, 一次枝先端の地上高を測定した.

2. 光環境の測定および試料葉の分析

12月13日に, 一次枝先端の光強度と積算葉面積指数を測定した.光強度は,

曇天のもと,光量子センサー (QUWANTUM,ライカ一社)を用いて測定した. また,

同じ型のセンサーを測竿ポーノレの先端に固定し, 試料木から離れた場所で高さ 7mまで垂直に伸ばし, 全天下の光強度を同時に測定した. 積算葉面積指数は

フラント

キャノピー

アナライザー(LAI

-2000,

ライカ一社)を用いて測定し た. 測定後, 一次枝先端に着生する葉を採取し, 葉面積と乾重, および窒素含

(29)

量の分析に供した.

採取した葉は, 5 cmの長さに整えた後, 針葉を1枚ずつ木部より剥がし, こ れを重ならないように並べたものをOHPシートに複写し,葉面積計(LI-3000A,

ライカ一社)を用いて葉の面積を測定した. 測定後, 700Cで48時間以上乾燥さ せた後, 乾重を測定した. 得られた葉乾重を面積で除し,葉重比(LMA : Leaf mas s per area)を求めた. 葉の窒素含量は, CNコーダー(MT-500, 柳本)で測定した.

得られた乾重あたりの窒素含量に葉重比を掛けて, 面積あたりの窒素含量を求 めた.

3. 土壌の調査および分析

12月15日に, 各調査地点において, 深さ1mの土壌観測孔を掘り, 土壌断 面を観察した(プレート-2.2.2). 斜面の位置による土壌の乾湿に差は見られず,

各プロットの土壌型は同じBll)型に分類された. 深さ1 0 cmから60 cmまでの 土壌を10 cm おきに採取し, pH (H?O)と炭素および窒素含量の分析に供した.

pH (H?O)は, 採取した土 から根や石れきを取りのぞき, 干し径2 mm の簡を通した 生土10 gを25mlの水で抽出し, ガラス電極法により測定した. また, 箭を通 した土壌の一部を風乾し,さらに1 mmの円孔簡でふるった後, 炭素と窒素含量 をCNコーダー(MT-500, 柳本)で測定した.

4. 窒素分布モデル

樹冠内における光強度の分布は, Lambert-Beer

の法則を用いた次式(Monsi

and Saeki, 1953)で表される.

Iz

ごI()

exp (-K, Fz) ( 1 )

ここで, IIとI()は樹冠内の深さZと樹冠頂端における光強度, K,は吸光係数,

Fz は深さZまでの積算葉面積指数である.

樹冠内における葉の窒素含量の分布は,積算葉面積指数を変数とした次式(第 2章1節)で表される.

(30)

Nz

=

N()exp (-KnFí') ( 2 )

ここで, N/.とN()は樹冠内の深さZと樹冠頂端葉における面積あたりの窒素含量,

Kは窒素の減衰比である.

相対光強度と葉の窒素含量との関係は, (1)式と(2 )式よりFzを消去した次 式で表される.

Nx=N()(I//IJKrl/Kl ( 3 )

樹冠の窒素量は,

(2)式のNzをFzで積分した次式(第2章l節)から求められ

る.

Nt二 iJ INx杭二No (l-e Knド1) / Kn (4 )

ここで, Ntは樹冠の窒素量, F1は樹冠全体の積算葉面積指数である. 積算葉面 積指数はプラント

キャノピー

アナライザーを用いて測定したが, 山腹の斜 面が受光部に写り, 過小に評価された. そこで, (4)式のNoには( 3 )式で得ら れた値を用いた. また, K,をo. 509 (第2章3節)とし, ( 3)式のK,/ K,からKII を求めた. また, Ftは( 1 )式に樹冠最下層の相対光強度を代入して推定した.

3. 結果

1

.

土壌の化学性

表-2・2.2に, 士壌の炭素と窒素の濃度(0/0 )およびpH(H日0)を平均値で示した.

炭素と窒素の濃度は斜面下方のプロットほど高く, 窒素濃度は下プロットが上 プロットより有意に高かったが, 炭素濃度には有意差は認められなかった. CN 比にも有意差は認められなかった. また, pH (H�O)は下プロットが上, 中プロッ トより有意に高かった.

刈-2・2・3に,

土壌の深さ別の窒素濃度を示した. 窒素濃度は, 上プロットで は深さ20 CID, 中プロットでは深さ30 CID を境に大きく低下した. 一方, 下プ

ロットでは土壌の深さと共に漸減した.

(31)

2. 相対光強度および面積あたりの窒素含量の垂直分布

刈-2・2・4に, 相対光強度および面積あたりの窒素含量の垂直分布を示した.

相対光強度は, 樹冠の下層ほど低下した. 最下層の相対光強度は, 上, 中, 下 プロットにおいて,それぞれO.51, O. 17, O. 04で,樹冠の欝閉した下方のプロッ

トほど低かった. 面積あたりの窒素含量もまた, 樹冠の下層ほど低下した. 樹 元主頂端葉の窒素含量は, 上, 中, 下プロットにおいて, それぞれ2.59 gNrn九

2. 70 gNrnに3.68 gNrn �で, 斜面下方のプロットほど高かった. また, 最下層の 窒素含量は, それぞれl.87 gNrnに l.71 gNrnヘ2.18 gNm日で, 斜面下方のプロッ

トほど高かった.

3. 相対光強度と葉の窒素含量との関係

刻-2・2・5a に, 相対光強度と面積あたりの窒素含量との関係を示した. 試料 木3個体をまとめて一次回帰したところ, すべてのプロットで正の相関が認め

られた.プロット間で回帰式を比較したところ,傾きに有意差は認められなかっ たが, y一切片は有意に異なった(表-2.2・3a). 上, 中, 下プロットのy一切片は,

それぞれ1 .07 gNmに 1

.

50 gNrn:ノ, 2. 07 gNrn �で, 斜面下方のプロットほど大 きかった.

面積あたりの窒素含量は, 乾重あたりの窒素含量と葉重比の積として表され る. 図-2・2・5b, cに, 相対光強度と乾重あたりの窒素含量および葉重比との関 係を示した. 相対光強度と乾重あたりの窒素含量との関係は, 上, 中プロット では正の相関が認められたが, 下プロットでは無相関であった(図-2・2・5b). 上,

中プロットの一次回帰式を比較したところ, 傾きに有意差は認められなかった が, y一切片は中プロット(17.07 rngNg ')が上プロット(14.01 mgNg ')より有意 に高かった(表-2・2・3b).また,下プロットにおける乾重あたりの窒素含量の平 均

値および 標

偏差は,

26. 55 rngNg I士2.07 であった. 相対光強度と葉重比と の関係は, 全てのプロットで正の相関が認められた(図-2・2・5c)が,回帰式の傾

(32)

きおよびy一切片には有意差は認められなかった(表-2・2・3c).

4. 樹冠の窒素量

図-2・2.5a で示した相対光強度と面積あたりの窒素含量との関係を, (3)式 を用いて近似し, (5), (6), (7)式を得た.

フ。ロット:

Nz

=

2.508(1z/1o)0.:19:1

中プロット:

NY72.598(IJIll)OM6

下プロット:

N; - 3. 158(1z/1o)0.11I6

(

r = O.

827) (

r = O.

889) (

r = O.

845)

( 5 ) ( 6 ) ( 7 )

直線の傾き(K,/K, :窒素の減衰比/吸光係数)は, 斜面下方のプロットほど、小さ く, 切片(N() :樹冠頂端葉の窒素含量)は, 斜面下方のプロットほど大きい値を

不した.

(5), (6), (7)式で得られた N(Jと KIl' およびFt (樹冠全体の葉面積指数) を用いて(4 )式から樹冠の窒素量を求めた. 算出した樹冠の窒素量は, 上, 中,

下プロットで, それぞれ 29.34 kgNha 1, 73.96 kgNha 1, 162. 19 kgNha 1となり,

斜面下方のプロットほど多かった(表-2・2・4a).

4. 考察

1

.

土壌の養分環境

森林土壌の窒素は, その大部分が落葉, 落枝等によって供給される有機物と して存在している.これらの有機態窒素は,樹高成長が大きい斜面下方のプロッ トほど土壌の奥深くまで浸透しており(図-2・2・3), その濃度は高い値を示した (表-2・2・2). 斜面下方のプロットほど有機態窒素濃度が高いのは, 樹冠が種多閉

しており, 樹木から供給されるリターの量が多いためであると考えられる.

有機態窒素は土壌中の微生物によって無機化された後,植物に利用されるが,

有機態窒素の分解は土壌中の水分, 温度条件等に強く影響されており, 斜面上 の位置によって異なることが多い. 一般に, 斜面下部の土壌は適潤で, 有機態

(33)

窒素の分解がよく進むことから, CN比は低く, pHは高い. 一方, 斜面上部の土 壌ほど乾燥しており, 有機態窒素の分解が進みにくいことから, CN比は高く,

pHは低い. 本調査地でも, pHは下プロットが上, 中プロットに比べて高かった が, CN比には差がなかった(表2・2・2). このことは, プロット問で有機態窒素 の分解速度に差がないことを示しており, その原因として, 本調査地の土壌で ある黒色土は保水力が高く, 土壌の乾湿に斜面の位置による差がないことが挙 げられる.

2. 樹冠内の窒素分布

面積あたりの窒素含量は樹冠の下層ほど低下し(図2・2・4), 相対光強度と正 の相関を示した(図-2・2・5a). また, 一次回帰式のy一切片は斜面下方のプロッ トほど高い値を示したが, 傾きにはプロット間で差は認められなかった(表-2・

2・3a). y一切片が斜面下方のプロットほど高いのは, 乾重あたりの窒素含量が

斜面下 方のプロットほど高いためである(図-2・2・5b). また, 傾きに差が認めら

れなかったのは,相対光強度と葉重比との一次回帰式の傾きに差がなかった(表

-2・2・3b)ためである.

このように, 樹冠内における面積あたりの窒素含量の分

布が葉重比に強く影響されることは, 多くの樹木で報告されている(Dejong and Doyle, 1985; Ellsworth and Reich, 1993; Holl inger, 1989).

Hirose and Werger(1987b)は, セイタカアワダチソウ群落で葉冠全体の光合 成量を最大にする窒素の最適分配係数を計算し, 葉冠全体の積算葉面積指数が 等しければ, 葉冠の窒素量を200/0増大あるいは減少させて計算しでも, この最 適分配係数はあまり変化しないことを示した. 本調査地では, 相対光強度と面 積あたりの窒素含量との一次回帰式の傾きにプロット問で差は認められなかっ

た(表-2・2・3a)が, これは,最適分配係数は葉冠の窒素量に影響されないという Hirose and Werger(1987b)の計算結果を支持するものである. すなわち, 樹冠

の窒素量が下プロ ットに比べて少ない上, 中プロットにおいても,窒素は樹冠

(34)

全体の光合成量を最大とするように分配されているといえる.

スギの陽樹冠における乾重あたりの窒素含量は, 地位の高い林分でも 20 mgNg I以下であることが多く, 地位の低い林分では10 mgNg I近くまで低下する

(J

11名, 1965;生原, 1979;脇, 1985). 本調査地では, 下プロットにおける乾 重あたりの窒素含量は平均値で26.55 mgNg Iと, これまでに報告されている値 に比べて高く, 上, 中フロットにおいても樹冠頂端葉の窒素含量は 20 mgNg I に近かった(図-2・2・5b). このことから, 本試験で供試したヤマグチは, 窒素含 亘の高い品種である可能性がある.

4. 林地肥培についての検討

これまで, 林地肥培は葉分析の結果に基づいて行われてきた. 葉分析は樹木 の成長を律速している養分を知る上で有効な方法ではあるが, 葉分析だけでは その養分が量的にどれほど不足しているのか知ることは出来ない. 本研究では 樹冠の窒素量を(4 )式から求めたが, 上プロットでは樹冠の窒素量が下プロッ トよりもhaあたり132.85

kg少なく,

中プロットでは 88.23 kg少なかった.

したがって, 上, 中プロットではこれだけの量の窒素が下プロットよりも不足 していることになり, これらの値は, 林地肥培を行う際の目安になる.

本研究では葉中の窒素以外の養分については測定していないが, スギの成長 は窒素以外の養分にも律速される(生原, 1978). 特に, 本調査地の土壌である 黒色土はリン酸の吸収係数が大きいことから, リン酸施与の効果が大きいこと が知られている() 11添ら, 1975). 樹木では窒素以外の養分含量も葉重比に強く 影響されており, 樹冠内におけるそれらの養分含量は相対光強度と正の相関に あることが知られている(Weinbaum et al., 1989; Lynch and González, 1993 ).

このことから, 樹冠内におけるそれらの分布を(2 )式, もしくは(3 )式で表す ことによって, 窒素以外の養分が不足した場合でも, 不足量を算出することが

可能である.

(35)

図-2・2・1 . 試験地の概要

太枠は毎木調査を行った地点を表す.

(36)

プレート-2・2・1 . 試験地の概況

(37)

6

4

2

6

4

2

E 6

...

53

4

工二ω

8 2

L..

6

4

2

6

4

2

α{):n 0

も♂ 、ん仰、o j :: 。 ♂

o

CP

0 。∞

ρ

c9。♂泊。 。

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Column 5

20 40 60 80 100

Slant distance from the edge of the path (m)

図-2・2・2. 林道端から斜面上部にかけての斜距離と

樹高との関係

(38)

表-2・2.1 . 試料木の概要

Site No. Height ( cm ) Diameter at lowest live branch ( cm )

Upper 52 332 6. 5

53 365 9. 2

54 344 7

Mean 347.0 7.57

Middle 16 425 9. 9

17 425 10. 6

18 403 10.2

Mean 417.7 10.23

Lower 2 554 12. 4

3 545 10. 5

4 538 12.4

Mean 545. 7 11. 77

(39)

阻止制掛け判的士おけ一ムゎロhL『

25

」ω〉〉O」

h岳

.N-N-Niム|、Jh 25 ω 一万万一三

ω主ω

」ω aaコ

(40)

。コσコ

Site

Upper Middle

Lower

C ( % )

6. 35 a 士4.71 8.70 a :::t 4.00

10. 58 a :::t 1. 15

表-2・2・2. 土壌の化学性

N ( % ) C/N ratio

Mean, standard deviation ( n=6 )

0.43 b :::t 0.33

O. 56 ab :::t o. 23

0.77 a :::t O. 11

14. 9 a :::t 1. 5

15.2 a :::t 2.0

13. 76 a :::t O. 74

pH ( H20 )

5. 41 b :::t O. 42

5.23 b :::t 0.45 6.07 a :::t O. 33

アノレファベットの等しいものは5%水準で有意差なし(シェフェの検定) .

(41)

制制mwm酬G一一民杓朕…G蝉刊 マー-

o

o

<0 o

0

N Cコ

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Cコ

マー

αコ

<0 O

可才 Cコ

N o

(ポ) coZ伺」戸Cωocoo cωOO」日一Z

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(ω8) punoJ5 a叫JO a88μns aωω OJJωdao

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トJ O ..-

(42)

Leaf nitrogen content Relative light intensity

( 9

N m-2

)

4

Upper

Middle

トー←→

Lower

ト4俳寸 3

陣{

ト令寸 卜...,

ト4・4

ト・4 ト-・---l

ト・4

晦1 ト-・4

ト4砂寸

}→制 2

ゆ{

岡阿

2

4

4 2

3

4

3

5

5

2

3 1.0

'‘

ト4ル寸 0.8

トー・一寸

ゆt ト�

トー$→

トー・-→

ト@叶

←�

0.6

トイ砂寸 0.4

崎4 0.2

ト。4

ト。←寸

4 2

2

3

4

2

3 3

4

5

5

E C〉〉obω£』O丘0日ω£ε0」』£aoo

5

相対光強度(左図)および面積あたりの窒素含量 (右図)の垂直分布

5

図-2・2・4.

横棒は標準偏差を表す(n二3) .

(43)

4.4 4.0 3.6 3.2 2.8 2.4 2.0 1.6

ω 1....

1....

ω r、a. �

c E

&Z

4凶d

2 0

・四ー 、‘_.;"

C

切ー・

ー」ω

1.2

、J­(-o od / .1・/ 〈-r- 4 0一 ・ / .v・ 戸/ 目 ン. / faC一 / すO /

32

28

24

20

16

( F'ozoε)

EO一ω〉〉」ωacooobE苅ω

12 180

80 160 140

120 100

(NaEO)

旬。」伺」ω♀ωω何ε布。」

0.8 0.6

Relative light intensity

0.4 0.2

60 0

図-2・2・5. 相対光強度と面積あたりの窒素含量(a),

乾重あたり窒素含量(b)および葉重比(c)との関係

直線は一次回帰式を表す. (a) 上プロット: y=1. 34+0. 012x, r=O. 797, Pく0.001 ;中プロット:

y=l. 50+0. 012x, r=0.905, Pく0.001 ;下プロット: y=2. 07+0. 014x, r=0.926, PくO.001. (b), 上プ ロット: y=14. 01 +0.062, r二O.679, Pく0.01 ;中プロット: y=17. 07+0. 048x, r=0.747, Pく0.001 ;下プ ロット: y=26. 58-0. 001x, r=O.011, ns. (c), 上プロット: y=100. 73+0. 246x, r=O. 558, Pく0.05 ;中

(44)

表-2・2・3. 共分散分析の結果

Source of variation df SS MS F

a ) Narea on relative light intensity

Among b' s (slopes) 2 0.049 0.025 o. 727 ns Within regressions 48 1. 623 0.034

Among a' s (adjusted means) 2 7. 235 3.618 108. 18 **キ

Error 50 1. 672 0.033

b ) Nweight on relative light intensity, between upper and middle site Among b' s (slopes)

Within regressions

Among a' s (adjusted means) Error

29

30 c ) LMA on relative light intensity Among b' s (slopes) 2

Within regressions 48

Among a' s (adjusted means) 2

Error 50

O. 570 43.090 38. 164 43.660

566. 8 4780. 1

134. 1 5346.9

O. 570 1. 486 38. 164

1. 455

283. 4 99.6 67. 1 106.9 ns, not significant; ***, P< 0.001.

0.384 ns 26.224 *料

2.846 ns 0.627 ns

(45)

表-2・2.4. 樹冠の窒素量

Site M川 nU ,,,‘、 M門σb m 内,b 、、B,,, vnu nH FA +し ,,,.、、 m 円,L m 円4 、、,,,,

t (kgNha-1)

Upper Midd1e

Lower

2. 508 2. 598 3.158

O. 200 0.125 O. 064

1. 33 3. 52 6. 23

29. 34 73. 96 162. 19

(46)

第3節 樹冠内の窒素分布に及ぼす間伐の影響

1

.

はじめに

間伐は, 健全で成長の旺盛な林分を育成するための重要な育林施業であり,

個体聞の光獲得における競合を緩和し, 林分の光環境を改善することを保育上 の目的とする. 間伐を行うと個体の成長量は増大する(安藤, 1968 )が, その効 果を樹冠の炭酸ガス固定機能の観点から評価するためには, 光合成能の変化を 把握することが重要である. しかし, これまでの研究において, 間伐後の光環 境の変化について検討したものは多し\ (斎藤ら, 1966;玉井ら, 1983;橋本, 1986 ) が, 光合成能の変化について検討された論文は見あたらない.

本論文の第2章1節では, スギ樹冠において相対光強度が高くなるほど葉の 窒素含量は増加し, 積算葉面積指数が異なる樹冠でも同じ分配様式をとること を明らかにした. 葉の窒素含量は, 光合成能を評価する上で有効な指標となる (Reich et a1., 1991, 1995; Bassow and Bazzaz, 1997) . このことから, 光 合成能に及ぼす間伐の影響は, 葉の窒素含量の変化から推定出来る可能性があ る. そこで本節では, スギ間伐林分における樹冠内の窒素分布を測定し, 間伐 後の樹冠の光合成能の変化を間接的に予測した.

2. 材料と方法

1

.

調査林分および試料木

熊本県林業研究 指導所の苗畑に植栽された7年生スギ林分(品種:シャカイ ン)を供試した. この林分は植栽間隔が80 cmで, 37行X40列の方形に植栽さ れている. 1993年3月4日に, この林分の半分に相当する37行x20列の個体 群について, 本数密度が半分になる千鳥格子状の機械的間伐を行し\ (間伐林分),

残りの個体群を対照林分として残した(無間伐林分). 試料木は無間伐林分と間

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