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図4
-6
Gassingout法によるA.eutrophusの独立栄養培養 における臨界溶存水素圧
-112-ガス消費速度を正確に測定することができた. そこで, ガス消
の多い大型の培養槽や高密度培養では, ガス消費速度から求める刀 法の方が適しているものと考えられる. 一方, gassing out法による
方法は, 発酵槽の出入口の物質収支の測定が困難な小型の培養槽の 場合や, ガス消費速度 が低い底菌濃度の培養の場合の磁界庄の測定 に適していると考えられる. 以上の理由から, 本実験システムの規
格から考えて, gassing out法による溶存ガス庄の変化から求めた臨
界圧を採用するのが妥当との結論に達した. そこでこの方法によっ て磁界溶存酸素圧を求めたところ図4-7に示すとおり3.17 kPaと求め られた. 田中らの報告1 )から, 酸素の磁界溶存庄は約4 kPa近傍では ないかと予測されていたが, この予測を支持する結果を得た. 以 の結果から, 水素の磁界溶存圧は(P c ) Hは酸素の臨界溶存圧PCの 3.66イ音大きいことが明らかになった.
4-4 比増殖速度を最大値付近に維持する
酸素の毒性は偏性嫌気性菌で最も顕著に現れるが, 実際には好気 性菌に対しても高濃度では毒性を示す. 多くの好気性菌は大気濃度 よりも高い酸素濃度(20%以上の酸素分圧)では増殖することができな いが, 低い濃度の厳素を必要とする場合が多く, 炭素源(エネルギ) 源), または窒素源のどちらかによっ て大きく影響されることが知ら
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図4
-7
Gassingout法によるA.eutrophusの独立栄養培養 における臨界溶存酸素圧
-114・
れている7). 水素酸化細菌の多くは有機基質を用いて増殖する場ム
には大気の酸素濃度に耐えうるが, エネルギー源として水素を利用 する場合には酸素濃度がかなり低くなければならない8・9 ) 一部の
好気性窒素固定細菌は酸素がほとんど存在しない場合に限って窒燕 を固定することができる7). SchlegelらがA.eutrophu s ATCC 17699 の異なる菌体濃度の溶液を用いて行った実験では, 初発菌体濃度が
低い場合には厳素濃度10%で生育が最もよく, 初発菌体濃度が高い場 合には酸素濃度30%での増殖が最もよくなったことを報告している
18). しかしながら, これらの結果は供給され る気相中の酸素分圧と
菌体増殖について行われた実験であるため, 実際の培養液中の溶存 酸素童との関係はほとんど知ることができない.
主.e utrophu s ATCC 17697の場合は, 比増殖速度は培養開始時の気 相酸素分圧に依存し, 約5 kPaで最大となることが確認されている
1). しかしながら, この値は臨界溶存酸素圧に非常に近接している
ため, 菌体の増殖にともなう酸素呼吸速度の増加や液相酸素分圧の 減少を考慮して, 培養系の酸素供給量を満たしかっ本菌の増殖を最 大比増殖速度付近に維持するには気相酸素分圧5 kPa程度で培養を行 うのがよいと考えた.
4ι 爆発 限界以下に気相酸素分圧を維持する
本菌の培養に用いる混合ガスは水素, 酸素および炭酸ガスを主成
分とし, さらに若干量の窒素と水蒸気を含んでいる水素爆鳴気であ る. 可燃性気体と空気(酸素)との混合気体の発火には可燃性気体の 組成に関して上限界と下限界があり, この範囲外では加熱部分で反 応が部分的に進行するだけで, 火炎の伝播は起こらない. この爆発 範囲は温度の上昇, 圧力の増加にともない拡大し, 反対に窒素や炭 酸ガス等の不活性気体を添加すると縮小する. 酸素中 の水素の爆発 範囲は, 下限界4.0%, 上限界94揮である. 酸素中での水素の限界組成
は下限界が4.19%, 上限界が74.6%である. 空気中の窒素全量を炭酸 ガスで置換する水素の爆発範囲は下限界が5 • 31 %, 上限界が69.8%で ある11). 水素, 酸素, 炭酸ガスからなる三成分系混合気の爆発範囲
図から, 炭酸ガスを10%含む場合の爆発範囲は, 下限界が約4%, 上限 界が約83%となる121. したがって炭酸ガスを10%含む場合は水素の爆 発範囲を上限界の約83%以上に維持するためには酸素を約7%以下に抑 え る必要がある. 培養系では水素, 酸素, 炭酸ガスに水蒸気が加わ る四成分系の混合気となっているため水素の爆発範囲はさらに縮小 しているものと考えられる. したがって培養においては気相酸素分
圧を0.07 atm(7.09 kPa)以下に維持する必要があるものと予測され る. 西部ガスの研究グループがへンペルのガス分析装置を用いた
爆鳴気試験により, 炭酸ガス濃度を10%とした場合の水素, 酸素, 炭 酸ガスそして水蒸気からなる四成分系の水素の爆発上限界を求めて
ー116・
いる13). この結果から, 混合気中の酸素分圧は6.9X(6.99 kPa)以下
に維持しなければならないことが確認された. しかしながら, 培 系の安全性を十分に確保するためにはガス基質中の酸素濃度は6.0%
(6.08 kPa)を越える濃度であってはならないと考えられる. これは,
閉鎖、循環型ガス培養システム中で加圧状態が形成される部分があり,
この部分では低い酸素分率であっても爆鳴気組成となると考えられ るため, この部分での安全性を考慮、する 必要があるためである.
ここで, 酸素6.0(6.08 kPa)払 炭酸ガス10%(10.1 kPa), 水素84%
(85.1 kPa)として爆発組成を回避した混合気を用いる場合に必要な 酸素の総括物質移動容量係数(KL a)の試算を行った. ここで, 酸素移 動速度OTRと呼吸速度rの関係からOTRミrとした式を導く. OTR =
KLa'H'(p-PL), r=0.0640μ . XおよびPL=れからKLaについて求めると KLaミ0.0640μX/{H'(p-pc)}
>0.0640μX/{1.15・10-5(6.08-3.14)}
ミ1893μX
である. 一方, 水素に関しても同様に水素移動速度HTRと(r)Hの関係 からHTRミ(r)Hとした式を導くことができる.
HTR=(KLa)H'HH'{(P)H-(PL)H)' (r)H=0.220μ . xおよび(PL)H=(P()Hか らはL a) Hについて求めると
(KLa)Hミ0.220μ .X/{Hrl' (p)rl - (p ).1)
::::0.220μ .X/{7.49・10-6(85.1-11.6)}
ミ400μ.X
が得られる. 先に記したように本研究で用いる培養槽の1400 rpmに おける水素と酸素の総括物質移動容量係数はそれぞれKLa=558
(l/h)と(KLa)H=847 (l/h)であるから, 酸素についてはμX壬0.295 (=558/1893) (g/h), 水素についてはμX:5 2.12 (=847/400) (g/h)とそ れぞれ求められ, 水素に比べ酸素の方がはるかに基質供給制限状態
になりやすいことがわかる. これらの水素と酸素の関係を図4-8に山 す. これからμXは酸素によって優先的に制限されるこ とがわかる.
酸素について得られた関係式を用い, 比増殖速度が0.5 l/hとしてこ の酸素供給能力に対応して増殖できる菌体重(X)を求めると, 0.59 gの菌体を維持するのが限界となる. これを張り込み量100 mLの培養
槽を用いる培養システムにあてはめて考えると, 菌体濃度5.9 g/lが 培養可能な菌体濃度の上限となる.
4・6 水素と酸素の溶存圧が同時に供給律速する気相ガス組成
本菌の実用的な培養目的の一つに生分解性プラスチックの生産が 挙げられるが, これを生産させる場合まず本菌を対数増殖的に に培養した後, 培養を各種栄養制限状態に制御して生分解性プラス チックを菌体内に生産させるのが最も効率的な手法であると考えら
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