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非財務情報 に対 する保証 の現状 と課題

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(1)

非財務情報 に対 する保証 の現状 と課題

大 田 博 樹

研究論文

1

. は じめに

2005年4月 に 「環境情報 の提供 の促進等 に よる特 定事業者 等 の環境 に配慮 し た事業活動 の促進 に関す る法律」 (環境配慮促進 法) が施行 され 、特 定の事業 者lは環境報告書 を作成す るこ とが義務化 され た。 また、 さらに、特定事業者 は 自ら環境報告書が記載事項等 に従 って作成 され てい るか ど うかについての評 価 を行 うことが求 め られ ることになった。

一方 、現在 開示 され てい る環境報告書やcSR報告書 の よ うな非財務情報 の多 くは 自主的 に開示 され てお り、環境省 の調査2に よる と、2006年度 に環境報告 書 を開示 してい る企業 は1,049社 にのぼ る とい う。 この数字 は、調 査対象企業 の約64%にあた り、多 くの企業か ら非財務情報が開示 されていることが分か る。

しか し、 上記の よ うな 自主的 に開示 され る非財務情報 については、その情報 の重要性 が認識 され てい る ものの、開示 に関す る規制 がないため、非財務報告 書 において企業の社会貢献活動 を紹介す る一方で、消費者 を裏切 るよ うな不祥 事事件 を起 こす企業 も少 な くないのが現状である。 また、開示 され る情報 につ いて、その信頼性 をチ ェ ックす るシステムがない ことも問題 になってい る。 そ の結果、非財務報告書の信頼性 が低 下 して しまい、報告書その ものの価値 がな くなって しま う危険性 がある。 したが って環境配慮促進法 において環境報告書 の 自己評価 を求 める動 きは、非財務報告書 を取 りま く現在の状況 を考 えれ ば当 然 の流れだ と言 える。

本稿 では、CSR報告書の よ うな非財務情報 の信頼性確保 のための審査 、保証

(2)

国際経営フォーラムNo.19

の現状 と今後 の課題 について考察す る。

2.

非財務情報の現状

1)非財務情報 の意義

近 年、企業活動 の グローバル化や社会責任 投 資 (sRl:Socially Responsible Investment)の登場、利害関係者の多様化な どによ り、企業の社会的責任 (CSR:

Corporate SocialResponsibility)が注 目され る よ うにな ってい る CSRは環境 問題 に加 え、社会的側 面や経済的側面か ら企業の社会的責任 を捉 える もので、

その範 囲は基本 的な法令遵守か ら環境 問題 、災害援助 、地域社会での活動 な ど 多岐 に渡 ってい る。

1997年 に京都 で開かれ た 「気候変動枠組条約第3回締結 国会議」で、 日本 は 2008年か ら2012年 の間に、温室効果 ガスを1990年比 で6%削減す ることが義務 づ け られ た。そ して、 日本 では京都議 定書の採択 を受 けて、環境 問題 に取 り組 むためのフ レー ム ワー ク として地球温暖化対策推進法が成立 した。 日本では、

この よ うな規制 に加 え、高度経済成長期 にお ける公害問題 を背景 に環境 問題‑

の関心の高 くなってお り、環境 に関す るCSR活動 が積極 的に行 われ てい るのが 特徴 となってい る。企業がCSR活動 を行 な うのは、かつての公害 問題 による損 害賠償 とはその 目的が違 い、必ず しも企業 に とっての コス トではな く、CSR経 営 によって企業価値 を高 めた り、あ るいは リス ク回避 をす るな ど企業 に とって は、将来‑の投資 としての意味があると考 え られ るよ うになってきた。例 えば、

富士ゼ ロ ックスは、CSRに取 り組 む ことに よってマネ ジメン ト・プ ロセ スを再 活性化 させ 、 これ まであったプ ロセ スをCSRの観 点か ら再点検す るこ とで、課 題 が明 らか とな り的確 に対応す ることが可能 になった とい また、CSR活動 は部 門横 断 の活 動 で あ るた め、部 門間の連携 の強化 に も役 に立 った と してい る=3。 そのため、CSRは企業経 営 に とって重要 なキー ワー ドにな ってい る こ と が分か る。

環境省 の調査 Jによる と、CSRを意識 した企業経営 について 「実施 してい る」

と回答 した企業 は62.2%、 「実施 に向けて現在検討 してい る」 と回答 した企業 は27.8%で、経営者 の9 がCSRを意識 した企業経営 が必要であ る と認識 して

(3)

研 究論 文●非財務情報 に対する保証の現状と課題

い る とい う。 そ して、環境やCSRに関す るデー タを 「一般 に情報 を公 開」お よ び 「特定の取引先、金融機 関等一部 を対象 に公 開 してい る企業は、2005年度 の調査で58.9% (1,585社)にのぼ り、前年度調査 よ りも14ポイ ン トも増加 して い る。 この よ うなcsR情報 を開示す る 目的 と しては、 「情報提供等 の社会的な 説明責任 を果 たすため」 と回答 した企業が80.6%と一番 多 くなってい る。続 い て、 「利 害 関係者 との コ ミュニケー シ ョンのた めに公 開 してい る」 が69.6%、

「環境やcsRに関す る取組 のPRのため」 が57.6%とな ってい る。 この調査結果 か ら、企業がcsR情報 を開示す ることの重要性 を認識 してい ることが分か る。

一方で、CSRに関す る情報 を利用す る立場 か らも、その重要性 は高まってお り、 SRIでは、企業 の財務情報以外 にCSRな どの情報 を評価基 準 と して採 用 し てい る 日本 国内でのSRIには、厚 生年金基金連合会の 「コー ポ レー ト ・ガバ ナ ン ス フ ァ ン ド

」 5

や 住 信 ア セ ッ トマ ネ ジ メ ン トの 「グ ッ ド ・カ ンパ ニー」 6 な どがあるが、例 えば、厚 生年金基金連合会 の銘柄選 定の際の評価基 準には、①株 主価値重視 の経営、②情報開示 ・説明責任 、③取締役会、④役員 報酬 システム、⑤ コンプ ライア ンス と リスク管理 、な どが挙 げ られ てい る。

その他、消費者な どの利害関係者か らも企業に社会的責任 を求める声が高まっ てい る。 内閣府 が行 った国民生活モニ ター調査7に よる と、企業が社会的信用 を得 るために さらに力 を入れ るべ きものについての質問に対 して、70.5% 「環 境保護」を挙 げてお り、続 いて 「顧 客重視」 が66.6%、 「情報 開示 に よる透 明 性 」 が60.1% となってい る。他方 、 「利 益 の増大」や 「安定配 当」 な どと回答 した人は、 15%以 下 となってい る。以上の ことか ら、CSRな どの非財務情報の 重要性 を指摘す ることが出来 る。

2)非財務情報の開示状況

現在 、 日本で開示 され てい るCSRに関す る報告書 には、環境報告書やcsR報 告書な ど様 々な種類がある。環境省 の調査 に よる と、環境報告書 を利用 して環 境情報 を開示 してい る企業は、2001年度が579社、2003年度 が743社、そ して20 05年度 は933社 となってお り、年 々増加 してい るR. 日本 では、環境 問題 ‑の関 心の高 さか ら環境報告書が多 く開示 され ていたが、最近では企業の社会的責任 として環境 面だ けではな く、経済や社会面で も責任 を果 た してい くとい うGRI

(4)

国際経営フォーラムNn.19

の影響 を受 け、 日本で も環境報告書 よ りもよ り範 囲の広 い

CS R

報告書 を開示す る企業が増加 して きた

。2 0 03

年度 、何 らかの非財務情報 を開示す る企業の うち

8 4%

は環境報告書 を開示 していたが、その後

、2 0 0 4

年度 では

6 2%、2 0 0 5

年度 は

41 %

、そ して

2 0 0 6

年度では

21 %

にまで減少 してい る。

一方、

cs R

報告書 を開示 してい る企業 は

、2 0 0 6

年度 には

3 4%

にまで増加 して お り、環境報告書 よ りも

1 3

ポイ ン トも多 くなってい る

。2 0 0 6

年度 は、その他 に 社会環境報告書 も

3 4%

、サ ステ イナ ビ リテ ィー報告書 が

5%

となってお り、開 示す る情報 の範 囲が拡大 して きてい るこ とが分 か る9。 しか し、前 出の環境省 の調査 に よる と、環境報告書 を作成 してい る企業の うち

6 2. 7%

が環境 面だ けで な く社会面や経済面に関す る情報 を記載 してい る と回答 してい ることか ら、報 告書の名称で詳細 に分類す ることは難 しくなってい る。 したがって、 ここでは 環境報告書や

CS R

報告書、社会環境報告書 な どを非財務報告書 として認識す る

こととす る。

まず 、

cs R

情報の開示状況 について、環境省 の調査 に よる と、環境や

CS R

関す るデー タ、取組等 の情報 を一般 に公 開 してい る企業 は

、2 0 0 5

年度 は

5 0. 3%

( 2 0 0 4

年度 は

3 5. 5%)

で、公 開 していない企業 の

4 0% ( 2 0 0 4

年度 は

5 3. 8%)

を 大 き く上回 る結果 となってい る。前年度比で も、公 開 してい る企業が大 き く伸 びてい ることが分か る。

業種別 の開示状況 は、1位 が電気 ・ガス等供給業で

8 3. 3%

、2位 は製造業で

6 0. 9%

、3位 は金融 ・保 険業で

5 9. 7%

となってい る 1位 と2位 は、環境問題 な ど社会への影響 を考えると当然の結果 と思われ るが、3位 に入 っている金融 ・ 保険業は、一般的には社会‑の影響 は少 ない よ うに感 じられ るのに もかかわ ら ず 、

6

近 くの企業が

CS R

情報 を開示 してい る。 その背景 には、間接 的 に

CS R

にアプ ローチ を しよ うとす る活動 が考 え られ る た とえば、金融機 関が

S RI

を 普及 させ ることで、

CS R

活動 に積極的な企業 を支援す ることが可能 とな り、ま た

NPO

‑の経済的支援 に よ り

CS R

活動 を行 うことも可能 とな る。今後 は、社会

‑の直接的な影響度 に関係 な く、

CS R

活動 が行 われ てい くことが予想 され る。

次 に、 これ らの

CS R

情報 を開示 してい る企業の 中で

、5 8. 9%

の企業 が非財務 報告書 を作成 してい ると回答 してい る。報告書の作成企業 も年 々増加 してお り、

今後 も増加す る と予想 され る 情報公 開の 目的 に関 しては、 「情報提供等 の社

(5)

研 究論文●非財務情事酎こ対する保 証の現状と課題

会的な説 明責任 を果 たす ために公 開 してい る

8 0. 6%

、 「利 害 関係者 との コ ミュニケー シ ョンのために公 開 してい る」 が

6 9. 6%

、 「環境や

CS R

に関す る取 組 のPRのために公 開 してい る」が

5 7 . 6%

となってい る。

非財務報告書の開示媒体 については

、2 0 0 5

年度 は

7 7 . 8%

の企業が冊子 とホー ムペー ジ と回答 してい る 冊子 のみは

6. 5%

、ホー ムペー ジのみ は

1 3. 6%

となっ てお り、 この傾 向は

2 0 03

年度 か ら大 きな変化 はない。

最後 に、環境報告書 を冊子で発行 してい る企業の配布先については、次の よ うになってい る。一番多かったのが 「仕入 ・販売等の取引先」で

7 2%

、続 いて

「役員 ・従業員及びその家族」が

6 9. 9%

、 「株 主 ・金融機 関 ・投資家」が

6 4. 8%

「行政機 関

5 7. 3%

となってい る。企業 が

CS R

情報 を開示す る 目的 として

7

割 近 くが 「利害関係者 との コ ミュニケー シ ョンのため」と回答 してい るのに対 し て、実際に外部の利害関係者 に情報 を提供 してい る企業は6割強 になってお り、

今回の調査では企業は積極的 に利 害関係者 に働 きか けていない ことが明 らか と なった。 また、仕入 ・販売等の取引先が高いポイ ン トを示 してい る背景 には、

サプ ライ ・チ ェー ン ・マネ ジメン トのため取 引先に

CS R

情報 を開示 してい るこ とが考 え られ る。

3)非財務情報開示 に対するガイ ドライ ン及 び法規制

現在 、非財務情報 に関す る複数 のガイ ドライ ンが公表 され てい る。 これ らの ガイ ドライ ンには強制力はない ものの、他社の報告書 との比較可能性 の確保 な どの効果が期待 され てい る。 この よ うな報告書のガイ ドライ ン として現在 、 日 本企業 の非財務情報 の開示 に影響 を与 えてい るのが、環境 省 が公 表 してい る

「環境 報告書 ガイ ドライ ン

GRI( Gl o b a lRe p o r t i n gI n i t i a t i v e )

が公表 してい る 「サステ イナ ビ リテ ィ ・リポーテ ィング ・ガイ ドライ ン」である

環境省 は環境報告書 を環境 コ ミュニケー シ ョンのための重要なツールである とともに企業が社会 に対 して説 明責任 を果たす ための手段 である との認識 の も とに

、2 0 03

年 「環境報告書 ガイ ドライ ン」 を公表 した。 その他 、環境 問題 に対 して

、1 9 9 9

年 には 「環境保全 コス トの把握及び公表 に関す るガイ ドライ ン」の 中間取 りま とめを公表 し

、2 0 0 0

年 に 「環境会計システ ムの導入のための ガイ ド ライ ン」

、2 0 0 2

年 と

2 0 0 5

年 にそれ ぞれ 「環境会計 ガイ ドライ ン

2 0 0 2

年度版」と

(6)

国 際経 営 フォーラムNo.19

「環境会計ガイ ドライ ン

2 0 0 5

年度版」な ども公表 してい る。

一 方 、GRIはCERES (Coalition R)r EnvironmentalResponsible Economies)

「環境 に責任 を持 つ経 済 のた めの連合」や 国連環境 計画 (UNEP)な どが 中心 とな って立 ち上 げた非政府組織 で

、2 0 0 6

年 に第3版 のガイ ドライ ン

( C3)

を 公表 した。GRIガイ ドライ ンは、持続 可能性 実現 のためには経 済 ・環境 ・社会 的側面か ら企業経営 にアプ ローチす る必要がある との認識 か ら、経済 ・環境 ・ 社会 の3要素 (トリプル ・ボ トム ・ライ ン) を含 んだ報告書 の作成 を求 めてい

るのが特徴 である。本 ガイ ドライ ンは、世界の2

, 3 0 0

以上10の非財務報告書 な ど で利用 されてい る。

その他 、報告書 に関す るガイ ドライ ン以外 には、社会的責任 に関す るISO規 格 で あ る

I S O2 6 0 0 0

や 国連 の グ ローバル ・コンパ ク ト、 日本経 団連 の 「企 業行 動憲章」 な どがあげ られ る。

非財務情報 の開示 に対す る法規制 としては、 「環境情報 の提供 の促進等 に よ る特定事業者等の環境 に配慮 した事業活動の促進 に関す る法律 (環境配慮促進 法)」が ある。 この法律 は、特 定事業者 の環境報告書 の作成 と公表 の義務付 け 等 について規定 してお り、特定事業者 と利害関係者 との間の コ ミュニケー シ ョ ンの円滑化 と信頼性 向 上を 目的 としてい る。本法律 に よって作成 され る環境報 告書 には、事業活動 に係 る環境配慮 の方針や取組 、製品等 に係 る環境配慮の情 報 な どが記載 され ることが求 め られてい る。

3.

非財務情報 に対する審査 ・保証

1)審査 ・保証 の意義

環境 問題 が深刻化す る中で持続 可能 な開発 とい う意識 が高ま り、利害関係者 に とって も企業 に とって も社会的責任 とい う概念 は、重要 なキー ワー ドになっ てい る。 そのため、企業は 自らが社会的責任 を果 た してい る事 を利害関係者 に 開示す る必要があ り、その コ ミュニケー シ ョン手段 として環境報告書な どの非 財務情報が利用 され るよ うになって きてい るのである。 上述の よ うに、企業が 開示す る非財務情報 は年 々増加 してお り、その役割 も拡大 してい るとい える。

国連環境計画 とサ ステ イナ ビリテ ィー社 、格付 け機 関のスタンダー ド&プアー

(7)

研究論文●非財務情報に対する保証の現状と課題

ズ社 は、世界各 国で開示 され てい るCSR報告 書 の格 付 けを行 ない、 2006年 に

「グローバル ・レポー タース〜明 日の価値〜」 11を公表 した。本報告書によると、

日本企業は上位50社 に富士 フイル ムや ソニーな ど5社が ランクイ ン してい る。

一方 、残念 なが ら上位50社 には選 ばれ なかった ものの、 レベルの高い報告書 を 作成 してい る として 「その他 の50社」の ランキングも作成 され 、 日本企業か ら は、東京電力 とサ ン トリー、エーザイな ど5杜が選 ばれ てい る。 この調査結果 か ら、 日本 の非財務情報の開示 については、世界的に見て も決 して遜色がある

ものではな く、企業の積極的な姿勢が伺 える。

しか し、 この よ うな積極 的な取組 の中で保 険会社 による保険金 の不払い問題 や 、製紙業界の不祥事事件 な ど非財務報告書の信頼性 を大 き く損 な う事件 が発 生 した。大手保険会社である損害保険 ジャパ ンは保険金の不払い問題 に関 して、

2006年5月 に金融庁 よ り保 険業法第133条の規定 に基づ く業務 の一部停止命令 お よび同法第132条 の規 定に基づ く業務 改善命令 を受 けた。 その前年 の同社 の 非財務報告書で ある 「CSRコ ミュニケー シ ョン レポー ト」 の 中では、 「お客様 のニー ズに応 えた質の高い保険商品の提供」や 「カスタマーセ ンターや ホー ム ペー ジな どの多様 な窓 Hを通 じて、お客様 の声 を収集、その内容 を分析 し、サー ビスの改善に活 かす」な どを社会的責任 の一つに挙げてい るが、実際には保険 金 の不払 い問題 が発生 してお り事実 とは違 う内容 になって しまってい るのであ る。 この よ うな事件 か らも非財務報告書の信頼性確保 が今後の重要な課題 にな る と思われ る。

この よ うな問題 が発生 した背景 には、現在の非財務情報に対す る審査 ・保証 の規制がな く、基本的に報告書の内容 は 自由に作成す ることが可能 となってい ることが挙 げ られ る。 しか し、今 日にお ける非財務情報が、利害関係 者の意志 決定に重要な役割 を果た していることを考慮す る と、非財務報告書の信頼性確 保 が必要不可欠である といえる。 そ して、そのための 手段 として考 え られ てい るのが、第三者 による非財務情報の審査 ・保証 である。非財務情報 に関す る報 告書の審査 を受 ける ことで、報告書その ものの信頼性 を高めることが可能 とな る。 さらに、第三者 による審査 によ り報告書の内容の正確性 に加 え、利害関係 者 が求 める情報 を正 しく認識す ることで、情報の有用性 ・適正性 について も高 めることを期待す ることがで きる

(8)

国際経 営 フォーラム No.19

日本 では、環境省が非財務情報 の信頼性 を高めるための手引き として 「環境 報告書の信頼性 を高 めるための 自己評価 の手引 き」 を公表 してい る。本手引き は、2005年に施行 され た環境配慮促進法 を受 けて公表 され た もので、同法は特 定事業者 に環境報告書 を作成 し、毎年度公表す ることを義務づ けてい るが、 さ らに特定事業者 自らが環境報告書 の記載事項等 についての評価 を行 うことを求 めてい る 「自己」評価 であ る ところに客観 的 な信頼性 としての問題 が指摘 で きるが、環境報告書の 自己評価 を報告書の信頼性 向上の手段 の一つ として 「評 価す ることの重要性 を認識 してい る点が注 目され る。

2)

審査 ・保証 の概要

非財務情報 の審査 ・保証 については、報告書作成組織 に よる自主審査 と第三 者 による審査 に分 けることが出来 る。 また、第三者 による審査 は、公認会計士 や監査法人な どに よる審査 と第三者意 見 と言 われ る専門家 な どに よる意見表明 に分類す るこ とが出来 る。本稿 では、非財務情報の審査 を、上記の 「自主審査」

及び 「第三者審査」、 「第 三者 意見」に分類 し、考察 をす ることとす る

まず、 自主審査 とは、報告書作成組織 自身 による審査の事で、環境配慮促進 法の中で も求 め られ てい る ものである。 た とえば、前出の環境省による自己評 価 の手引 きに よる と、環境報告書の基本的機能 を満 たす ための一般的報告原則 として、 目的適合性及び信頼性 、理解容 易性 並びに比較容 易性 とい う特性 が必 要である とした うえで、報告書の信頼性 を高め る手段 としての 自己評価 には、

(丑自己評価の実施、② 内部管理 の徹底 、③ 内部監査基準や環境報告書作成基準 等 の公 開、④社 内監査制度等の活用、⑤社会的に合意 され た環境報告書作成の 基準‑ の準拠 、が あ る と してい る ここでの 自己評価 は、環境省 が作成 した

『環境報告書 ガイ ドライ ン2007年度版』 で求 め られ てい る29項 目について記載 事項 を確認す る方法 を とってい る そ して、 もし報告書 に記載 しない項 目があ る場合 には、掲載 しない理 由について説 明す ることが求 めてい る。

次に第三者 に よる審査及び意 見では、企業外部の視点で評価 が行われ ること になる。第三者 による審査では、 一定の規格 に従 って非財務情報の審査 を行 わ れ る た とえば、新 日本 イ ンテ グ リテ ィアシュア ランスでは、AAIOOO 12の基本 原則である重要性 ・完全性 ・適応性 の3つの視点でイ ンタビューや レビュー を

(9)

研 究論文●非財務情報に対する保証の現状と課題

す ることで非財務 報告書 を評価 し、第三者 の立場 か ら所 見 を表 明 してい る。 こ のケー スでは、一定の規格 に従 って非財 務報告書 の審査 を行 うこ とで、前年度 以前 の状態 との比較や他社 との比較 が可能 とな ってい る。

一 方 、第 三者 に よる意 見 とは、非財 務 報告 書 の評価 に対 して

NPO

NGO

、 CSR研 究者 が独 自の見地 か ら報告 書 を評価 し、第三者 の立場 か ら意 見 を表 明す るものであ る。 現在 、非財務報告書の第三者 に よる評価 では、 この方式 を採 用 す る企業 が多 くな ってい る。

第三者審査 では、一定の規格 に従 って審査 が行 われ る事 が多 いため、他社 と の比較 が可能 とな るが、第三者意 見では、それ ぞれ が独 自の見地 で評価 を行 う ため、評価項 目の違 いな どか ら他社 との比較 が難 しくなってい る とい う相違点 が ある。

3)審査 ・保証 に関する基準

非財務情報 の審査 に関 しては、い くつかのガイ ドライ ンや フ レー ム ワー クが 公表 され てい る。

AAI O O

O保 証基 準 は、非財務情報 の保 証業務 を行 う際 の基 準の一つ で、イ ギ リスの

NPO

で あ る

Ac c o u n t Ab i l i t y

が作成 した

AAI O O

Oシ リー ズの一 部 を構成 して お り、次 の 7項 目と 2つの付録 で構成 され てい る。1L与

1.信頼性 の ギャ ップ を埋 め る 2.基準の概要

3.アカ ウンタ ビ リテ ィの コ ミッ トメン ト

4.

A

AI O O

O原則

5.証拠 6.保証報告書 7.保証提供者 の基準 付録A 保証 の側 面 一用語 付録

B AAI O O

Oシ リー ズ

A

AI O O

O保 証基 準 で は、 同基 準 を採 用す る組 織 に対 して包括性 を実践 を公約 す る ことを求 めてい る。 同基準 で求 め る公約 の範 囲は、社 会 ・環境 ・経済 のパ フォーマ ンスや その影響 だ けでな く、意志決 定や企業行動 を利害 関係者 に説明

(10)

国際経営フォーラムNo.19

す るこ とな どとなってい る そ して、AAIOOO保証基 準では、次 の3項 目を基 本原則1Jlとして提示 してい る。

・重要性 (materiality)

利害関係者 の意志決定や判断のために十分な情報 が開示 されてい るか

・完全性 (completeness)

開示すべ き情報 を完全 に認識 してい るか

・対応性 (responsiveness)

利害 関係者 に対 して的確 に対応 してい るか。

企業な どの組織 が非財務報告書 を作成す る際に、 これ らの3項 目について確 認す ることで説 明責任 を果 たす ことが期待 され る。 また、第三者審査 において AAIOOO保証基準が利 用 され るケー ス も多 くな って きてい る 現在 、AAIOOO保 証基準 を利用 してい る報告書 は、世界 で100以 上もあ り、 日本で も富士 フ イル ムや東芝 、東京電力な ど8社15が利 用 してい る。

一 方、AAIOOO保 証基準 に対 して、従 来の財務監査 か ら派生 した基準 として 公表 されているのがISAE3000 (InternationalStandardonAssuranceEngagements 3000:財務情報 の監査 とレビュー以外の保証業務 に関す る国際基準)である。

ISAE3000は、国際会計士連盟 (IFAC)の国際監査 ・保 証基準審議 会が作成 し た非財 務情報 を対象 とす る国際保証 基 準 とな ってい る そ の ほか、SA8000

(socialAccountability 8000)やGRIガイ ドライ ンな どを利 用す る方法 も考 え ら れ てい る

4.

非財務情報 における審査 ・保証の状況

1)AAIOOO保証基準 を利用 して いるケース

本稿 では、AAIOOO保 証基準 を利 用 してい る企業 と して富士 フ イル ムの報告 書 を事例 として とりあげる。 富士 フ イル ムは、 日本 に本社 を置 き光学デバイス や記録 メデ ィア、画像 関係 の製造 を主要事業 としてい る。 同社は1960年代後 半 か ら日本 ・米 国 ・欧州 を中心 に世 界規模 で輸 出を拡大 し、現在 はアジアを含 め た200以上の国 と地域 で事業 を展 開 してい る 連結ベー スの売上高 にお ける海 外比率は50%に達 してお り、欧米での売 り 上げは35%となっている。

(11)

研 究論 文●非財務情報 に対する保証の現状と課題

同社 は、CSRを誠 実かつ公正 な事業活動 を通 じて企業理念 を実践 し、 ビジ ョ ンを実現す ることによ り、社会の持続 可能 な発展 に貢献す るこ とと捉 え、第‑

に経済的 ・法的責任 を果 たす ことに加 え、社会的要請 に もこたえるよ うに企業 市民 として社会 にお ける文化 ・技術 の発展や環境保全 に寄与す ること、第二に 同社 のCSR活動 が社会 の要請や期待 に適切 に応 えてい るか を利害関係者 との対 話 を通 じて確認す ること、第三 に事業活動 に対す る説 明責任 を果たすために、

積極的に情報公 開を進 め、透 明性 を高める、 ことを重点課題 に挙 げてい る。

同社 は非財務情報 の開示手段 と して 「サ ステナ ビ リテ ィ レポー ト」 (90ペー ジ :2007年度版) を公表 してお り、HPで も閲覧す ることが可能 となってい る 報告書 は、AAIOOOシ リー ズを参考 に作成 され てお り、 ステー クホル ダー との 関わ りや地球環境 との関わ り、第三者 による評価 な ど7項 目か ら構成 され てい る。 同社 はステー クホル ダー を従業員、調達先、地域社会、株 主 ・投資家、取 引先 、NPO ・NGO、顧 客、将来世代 、業界 団体 ・行政 ・ビジネ スパ ー トナー (順 不 同) に分類 し、それ ぞれ の関わ りにつ いて情報 開示す ることで、マテ リ ア リテ ィ (重要仕) を認識 してい る。

同社 の非財務情報 に対す る第三者審査 は、 日本 の大手監査法人の関係企業で あるあ らたサステナ ビリテ ィ認証機構が、AAIOOO保証基準に従 って評価 を行 っ てい る。評価 では、同認証機構 が前年 までの評価項 目と過去の レポー トの記載 項 目、ステー クホル ダー ・ダイア ログの結果 か ら重要である と思われ る19の項 冒 (図表1参照) を抽 出 し、それぞれ をAAIOOO保証基準 に定め られ た重要性 、 完全性 、対応性 の3つの視点で評価 を行 う。評価 の実施 方法は、報告書の中間 原稿や最終原稿 の閲覧、ステー クホル ダー ・ダイア ログや読者意見交換会‑の 立 ち会 い、担 当者‑の ヒア リング、経営者層‑のイ ンタ ビュー といった形 で行 われ た。

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国際経営フォーラムNo.19

図表1 AA 1000保証基準による審査項目一覧

重要性 完全性 対応性

4つのパラメータ 開示の対象範囲 開示の有無 ーポレート・ガパナンス あり 4 コンブライアンス&

圏内 あり

リスクマネジメント

マネジメントシステム圏内 あり

お客様対応国内 あり

お 客 様

製品の安全管理圏内 あり

株主・投資家 IR活動1

あり グリーン調達・

圏内 あり

調 達 先 含有科学物質管理

CSR調達国内 あり

人事教育研修本体 あり

従 業 員 多様性と機会均等本体 あり

労働安全衛生本体 あり

社会貢献活動 社会貢献活動圏内 あり

グリーンポリシー あり

環境配慮、設計1 あり

環 境 活 動 科学物質管理 あり

地球温暖化防止 あり

省資源... あり

地 域 住 民 地域住民との対話 あり

生物多様性 生物多様性に関する方針

(出展.富士フィルム『サステナビリティレポート』 2007より抜粋、一部加筆)

−重要性

「コンプライアンスに関するパフォーマンス

J

と「方針に関するパフォーマン ス」、「同業者を基本とした規範」、「ステークホルダーを基本とした重要性Jの

4つのパラメータのうち、いくつをカバーしているのかを検討

−完全性

理解すべき範囲として「経営上・法律上の責任が伴う事業活動、製品、サー ビス、組織Jを定めている。そして、図表1の19項目について、開示情報がカ バーする組織の範囲(全社 ・圏内グループ。会社・本体・それ以外)の開示情報 を評価

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研 究論 文●非財務情 報 に対する保 証の現状 と課題

・対応性

図表1の19項 目が、具体的に レポー ト内で開示 され てい るか ど うかを検討 今回の審査では、調査対象 となった19項 目の うち環境 問題 に関す る項 目の評 価が高 くなってお り、同社が環境 問題 ‑の取 り組 み を積極的に行 なってい るこ とがわか る。 図表1は、それぞれ の項 目ごとの記載状況 を一覧表 にま とめた も のだが、非財務報告書の簡単な成績表 になってい る と言 える。 この状態だ と、

その報告書の開示 レベルが一 目瞭然 になってお り、比較 も容易になる と思われ る。 しか し、それぞれ の項 目については、対応 してい るか ど うかの判断が加 え られ るだけであるため、その記述内容 の質 までは審査対象 とはなっていない と い う問題 もある。

2)保証基準 を利用 していないケース

ここでは、AAIOOO保証基準等 の基準 を利 用 していないケー ス と して、損害 保険 ジャパ ンの報告書を事例 として とりあげ る。損害保険 ジャパ ンは、 日本 に 本社 を置 き保険商品の販 売 を中心 と した事業 を展 開 してい る 日本 国内に500 以上の支店 ・営業所 を展 開 し、代理店 は57,000店 を超 える。2006年度 の保険料 収入 は約 1兆6,000億 円で、その うち50%近 くを 自動車保 険 に よる収入 が 占め てい る。

同社 は、損害保険会社 としての事業活動 の強み を社会的問題 の解決 に活か し て利 害関係者 の期待 に応 えてい くためにCSR活動 を 「本業の領域 (リス クマネ ジメン ト・金融)」、 「社会貢献の3領域 (福祉 ・美術 ・環境)」、 「社員 の全員参 加 に よる活動領域」において展開す る としてい る。 また、 これ らの領域 の中で も重点課題 と して、 「気候変動‑の適応 と緩和」、 「安全 ・安心‑の リスクマネ ジメン ト」、「CSR金融」、 「地域 にお ける協同の促進の4つ を挙げてい る。

同社 は非財務情報 の開示手段 と して、「CSRコ ミュニケー シ ョン レポー ト」

(85ペー ジ :2007年度版) を作成 し、HPで も閲覧す ることが可能 となっている。

本報告書 は、6章構成 になってお り、同社 のCSR‑の考 え方を示す とともに、

利害関係者 を顧客、代理店、株主、従業員、環境、地域社会の6項 目に分類 し、

項 目ごとにCSR情報 を開示 してい る。 同社の非財務報告書は、環境省 の 「環境 報告 書 ガイ ドライ ン」 と 「GRIガイ ドライ ン」 を参 考に作成 され てい るが 、

(14)

国際経営フォーラムNo.19

AAIOOOシ リー ズな どの保証 を含 めたガイ ドライ ンは利 用 していない。 また、

保険金不払い問題 を背景 とした信頼 回復のため 「損保 ジャパ ン再生プ ラン」 に 10ペー ジ近 くのスペー スが かれ てい る。

本報告書 は、AAIOOO保 証基準等 の基準 を利用す る代 わ りに、NPOに よる第 三者意 見を採用 してい る。評価項 目は 「高 く評価すべ き点」 と 「一層 の努力 を 求 めたい点」で、

CS R

活動 について

4

つの重点課題 を提示 した点や顧 客か らの 苦情 をホームペー ジ上で公 開 してい る事 な どが高 く評価すべ き点 に挙げ られて い る 一方で、一層 の努力 を求 めたい点 には、全社的 な

CS R

の推進体制 を、中 期的な 目標 か ら今年度の 目標 を立て、次年度 の 目標 と重点対第‑ と発展 させ て い く

PDCA

サイ クル の確 率 と拡 充 を急 ぐことや障碍 を持つ従業員 の雇用 の促進 な どが挙 げ られ てい る。 また、前年度 に第 三者意見 として指摘 された問題点に ついて も、その対策 と成果 が記載 され てい る。マテ リア リテ ィについては、報 告書の作成時点では考慮 されてい るものの、報告書の評価 の際に考慮 した とい

う記述 はない。

3)

保証 の有無 による非財務情報の相違点

本稿 のケー スで取 り上げた 2杜の非財務報告書 を見てみ る と、業種が違 うた め単純 な比較 は難 しいが、

2

社 とも

CS R

‑の切 り目が違 うため報告書の構成 が 違 うものの、 どち らも90ペー ジ前後 と内容的 には充実 してい る。 また、損害保 険 ジャパ ンは、2000年 に第4回環境報告書大賞の受賞 を皮切 りに2001年以降 も 数 回受賞 してい る。 そ の ほか、

Do wJ o n e sS u s t a i n a b i l i t yI n d e x e s

‑組 み入れ ら れ るな ど、損害保険 ジャパ ンの

CS R

活動 は社会か ら高 く評価 され てい る といえ る 一方、富士 フイルムの報告書 は、サ ステナ ビ リテ ィー社 に よる

CS R

報告書 に関す る調査で上位50社 に位置づ け られ るほ ど海外での評価 は高 くなっている。

どち らの報告書か らも利害関係者 を正確 に認識 し、適切 な対応 を行 ってい ると い う印象 を受 けることができた。以 上の事か ら、報告書の作成の際に、AAIOOO 保証基準 を採用 してい る報告書 と採用 していない報告書について、内容的に大

きな違 いはない よ うに思われ る。

第三者 に よる審査 に関 しては、AAIOOO保証基準 を採用 してい る富 士フイル ムの報告書では、重要性 と完全性 、適応性 の3つの視点か ら総合的に審査 され

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研究論文●非財務情報に対する保証の現状と課題

てい る点で分か りやすい審査報告書 となっている。 一方で、独 自の視点で審査 され てい る損害保険 ジャパ ンの第三者意見では、評価 され るべ き点 と改善すべ き点の両方 を示す ことで、報告書の問題 点 も明 らかに してい るものの、評価視 点が報告書の評価者 の視点に偏 って しまってい るとい う問題 もある。そのため、

他社 の非財務報告書の審査結果 との比較可能性 が保 たれ ていないのである。

5. おわ りに

本稿 では、非財務情報の開示 に関 して、報告書の保証基準 を採用 してい る非 財務報告書 と採用 していない非財務報告書の比較 を通 して、非財務報告書の保 証 に関す る現状 と課題 について考察 した。 その結果 、保証基準 を採用 している か否 かに よって報告書 の質 に大 きな違 いは確認 で きなか った。 しか し、何 らか の基準を利用 していない ことで、他社 との比較可能性が損 なわれ て しまった り、

保証付与者 の偏 った視点のみの審査 になって しまった りとい う問題点が明 らか とな った. 一方 で、AAIOOO保 証基 準は利 害 関係者 の利便性 を高め るために3 つの視点で報告書 を作成す ることを求 めてい るが、基準その ものは範 囲が広 く 暖味な点が残 され てい るo 同 じAAIOOO保証基準 を採用 した報告書であって も、

完全 に比較可能 である とは言 えない。 また、必要な情報が記載 され てい るか ど うかが判断基準 となってい るため、情報 の質 については問われ ていない とい う 問題 もあ るo そのため、AAIOOO保証基準 をク リア していた と して も、その内 容 には疑問が残 る可能性 もある。 しか しなが ら、何 らかの保証基準 を利用す る

ことで報告書の客観 的な信頼性 を高めることが期待 で きる。

現在 、多 くの企業が非財務情報 を開示 してい るが、企業側 も報告書の信頼性 を高める必要性 がある との認識 を持つ よ うになって きた。環境省の調査 による と、 「環境報告書の普及や 質の向上のためには、 どの よ うな 方策 が必要 と考 え ますか」 とい う問いに対 して、環境報告書 に関す るガイ ドライ ンの見直 しや優 れ た報告書の表彰な どが必要だ と回答 してい る。 この調査結果か らも、何 らか の方法で報告書の信頼性 を高めることが重要になって きてい るこ とが分か る。

CSR情報 を認識 し、開示す ることで社会的評価が得 られ る とい う段階は終わ り、

利害関係者 に とって必要な情報 を認識 し、正 しい情報 を開示す ることが評価 の

(16)

国際経 営フォーラムNo.19

対象 に移 って きてい る と言 える。本稿 では、 この よ うな状況の中で非財務情報 を積極 的に開示 してい る企業 を中心 にその保証状況 と内容 について考察 して き たが、何 らかの保証基準 を採用 してい る企業が少 ないため、事例研 究 にはい く つかの問題点が残 されている。 これ らの点 は、今後の研究課題 として取 り組み、

非財務情報の信頼性確保 に関す る研 究に繋 げてい きたい。

1 特 定事業者 には、独 立行 政法 人や 国立大学法人 な どの公的法人 が指 定 され てい る。

2 環境省 が毎年 実施 してい る 「環境 にや さ しい企業行 動調査 」 で 、東京 、大阪 、名 古屋 の 各証券 取 引所 の1、 2郡 上場企 業2,695社 お よび従 業員 数500人以 上の非 上場企 業等3,749 社 、 合計6,44(,1社 を対象 と してお り、平成188月に調査 開始。有効回答数 は、上場企業1,213 (450/.)、非 上二場 企業等1,478社 (39.4%)、 合計2,691社 (41.8%)となってい る。

3 (財)日本規格 協会編 『CSR企 業の社会的 責任 事例 に よる企 業活動最前線』(財)日本規格 協会、2004、p.114所収

・1環境 省 に よる 「環境 にや さ しい企業行 動調査」

5 厚生 年金基金連 合会 の コーポ レー ト ・ガバナ ンスファン ドの詳細 につ いては、

http://www.pfa.or.jp/index.htmを参 照 され たい0

6 グ ッ ド ・カ ンパ ニー の評価 基準 には、環境 に関す る経 営 方針や 環境 会 計 、環境 負荷 削減 の取組 、社 会活 動 へ の積極 関与 な どが挙 げ られ てい る。 詳 しくは 、 日本総 合研 究所編 『わ が国企業 のCSR経 営 の動 向2004』2005年 を参照 され たい。

7 本調査 は、内閣府 が各都 道府県 の国民生活モ ニ ター (2,300名 )を対象 に、2001830 か ら2001911[」までに行 った もので あ る。 有効 回答者数 は、2,242名 (回収 率 :97.5%)0 8 環境 省編 『環境 にや さ しい企 業行 動調 査』

9 本卓 での非財 務情 報 開示 のた めC/)報 哲 書名 の移 り変わ りにつ い て は、みすず 監査法人 に よる トレン ドウオ ッチ 「ステー クホル ダー ・エ ンゲー ジ メン トに向 けて〜2006年発行 のCSR 報告 書 に 見る u本 企業の 関心」 を参 考に した。 詳 しくは、みすず 監査 法人 のHPを参照 さ れ たい。

10 http://www.corporateregister.com/ 現 在、GRlガ イ ドライ ンに準拠 した2,381の報 告 書 が 掲載 され てい る。 日本 では、189の報 告書 がGRlガイ ドライ ンに準拠 してい る。

11 本報 告 書 につ い ては、http:′ソwww.sustainability.com/index.aspを参 照 され た い。 隔 年 の発 行 となってい るO 評価方法 は、会 社概 要 な どの 基本情 報 か らパ フ ォー マ ンス情報 な ど29

目で、評価 の際 の視点 はパ フォーマ ンスの優 劣 ではな く報告書 の質 とな ってい る

12 AAIOOOは、イ ギ リスの\POで あ るAccountAbilityが開発 した農本原 則 お よび保 証基準 で、

重要性 ・完全性 ・適応性 の3要素 か ら構成 され てい る。 非財務 報告 書 の審 査基準 と して利 用 され るO 詳細 は 、第3章第3項 を参照 の こと

13 上 妻義 直著 『環境 報告書 の保 証』 同分館、2006、p.108所収

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研 究論 文●非財 務情報 に対する保 証の現状 と課題

14 AccoutAbility"/4AIOOOJ/1sL,‑uranceStandard"2003詳細 は、http://www・accountability.org.uk を参照 され たい。

15 AAIOOO保証基 準 を利 用 してい る企 業 の調査 は、http://www・corporateregister.comに よる。

日本 では、富士 フ イル ム

順 コ‑デ ィア′レ証券 、 日本製紙 、 タ クマ 、 三菱東京UF

J 銀行、

東京 電力 、東芝 、あいお い損保 の計8社 が利 用 してい る。 2008年4月現在、 corporateregister にはあいお い損保 を除 いた7社 が登録 され てい る

参考文献

上妻義 直著 『環境 報告書 の保 証』 同 文舘、2006 環境 省編 『環境 にや さ しい企業行動調査』環境 省、2007 環境 省編 『環境 報告書 ガイ ドライ ン』環境省、2003年

環境 省編 『環境 コ ミュニ ケー シ ョンの更な る広 が りを 目指 して〜環境配慮促 進 法 につ いて〜』

環境 省

環境 省編 『環境 報告書の信頼性 を高 め るための 自己評価 の 手引 き』環境 省、2007 環境 省 ・[体 公認 会計士協会編 『csR情報審査 に関す る研 究報 告』 2007

園部克彦 ・伊 坪徳宏 ・水 口剛著 『環境経 営 ・会計』 有斐閣 アルマ、2007 柴 田英樹 ・梨 岡英理 千若 『進 化す る環境 会 計』 中 央経 済社、2006 水 口剛著 『企業評価 のた めの環境 会計』 中 央経 済社、2002 宮崎修行 著 『統合 的環境 会 計論』創成 社、200

AccountAbility"Stakeholderr:ngtlgementstandardTllxp()suedr,,jft"

(http‥//w w.accountability21.net/)

AccountAbilityHAjllOOOjlssLlranCeStandaI・dHAccountAhiJity,2003 (http://www.accountahHity21.net/)

GlobalReporting InitiativeHsuslal・nai"rJJ.tyReportl・ng ().Ulde/1neM2006 (http://www・globalreporting.org/H.me)

F体 公 認 会 計士協会編 csIマ ネジ メ ン ト及 び情 報 開示 並 び に保 証業務 の基本 的 考え方 につ いて」『経 営研 究調 査会研 究報告 書26 』 2005

と妻義 直著 「日本型csR報 告 書の特性 」『会計』 第173巻第4弓一、森 1順 店 吉見宏著 「非財 務情報 の監査」『会計』 第173 号、森 山書店 損 害保 険 ジャパ ン『csRコ ミュニ ケー シ ョン レポー ト2007』

損 害保 険 ジャパ ン『csくコ ミュニ ケー シ ョン レポー ト2006』

富士 フイル ム 『サ ステナ ビ リテ ィレポー ト2007』

富士 フイ ′レム 『社会 ・環境 レポー ト2006』

参照

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