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富山県における台風 に伴 う強風

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人間発達科 学部紀要 第 1巻 第 2号 :71‑77(2007)

富山県における台風に伴 う強風

田畑 弾 *0田 上 善 夫

The Strong Wind from Typhoon over the Toyama Prefecture,Central」 apan Dan TABATA,  Yoshio TAGAMI

E― mail:[email protected]― ho.nejp,[email protected]― toyama.acJp

キーワー ド:強風害、台風、フェーン現象、気候景観、富山県

KeywOrds:disaster due to strong wind,typhoon,foehn phenornena,clirnate landscape,Toyarna prefecture

I は じめ に

富山県の平野部各地に見 られるスギな どの高木で 家屋の周 りを囲む屋敷林 は、富山県の特徴的な景 観であ り、たとえば青山ほか (2000)に おいても、

気候景観 として特徴的なもの とされている。 また、

小り││(2001)の 「井波風」 も、岩 田 (1999)の 、 富山市大沢野地区における不吹堂の分布 も、 どちら もフェーン現象に伴 う高温で強い南成分を持 った風 を対象 としてお り、 日本海に低気圧が存在すること によって吹 く強風を仮定 して論 じているが、実際の フェーン現象は、台風が トリガー となって発生する 強風であることも多い。富山県の中でも有数の伝統 行事である、富山市八尾町の 「おわ ら風の盆」の、

厄を払 う対象 となっている 「大風」 も、開催時期の 関係を考慮すると、低気圧性のフェーンよ りもむ し ろ、台風によるフェーン現象による 「大風」である と考 える ことができる。 また、 この行事 は、 田口 (1941)の 風祭の一種 とも考えられる。

富山県の平野部の市街地 では、 フェー ン現象 に よって大火事がたびたび発生 してお り、た とえば、

1956年の台風 12号による魚津大火は、死者を多数 出 し、市街地が全滅 した大災害である (たとえば、

読売新聞社、2006)。魚津市では後に、 これを教訓 に防火地域を設定 し、火災に強い街づ くりを進めて いる。

本稿では、 1981〜 2000年 における台風 の位置 と富山県 における強風の関係を解析 した ものであ る。富山県の強風 については、吉野・福岡 (1967) の気圧配置型を用いた気圧配置 ごよみ (吉野・山川、

2002)を 用いてⅥ型 (台風型)に 分類 された 日の

強風に関 して、また他の型であっても台風を伴 う風 と判断 した事例を用いた。

Ⅱ デ ー タ と対 象事例

強風について、図1に示 されている、富山県内で 風向風速を計測 しているAMeDASお よび、富山地方 気象台・伏木測候所 (現在は、特別地方気象観測所) で 1981ん 2000年 に計測された風向・風速データか ら、「最大風速」データを使用 した。

図1 強 風 を調査 した地域 口気象庁観測所の位置

■は官署 、●はAMeDAS

台風経路のデータは、気象庁電子閲覧室の 「台風 資料」のデータベースの中か ら、「1950年からの台 風経路図」1)を

用いた。

取 り扱 う事例であるが、原則 として、吉野 ・福岡 (1967)に おける、複合 ・移行型 も含むⅥ型 (総観 規模の天気図の規定範囲内に台風が存在する型)が あ りの、富山県の気象官署 O AMeDAS全地点のいず

*富 山大学大学院教育学研究科研究生

(2)

該当する台風を事例にする。また、Ⅵ型が表記 され ない 日であつても、台風が 日本海上、もしくは北陸 地方を通るもので、 1 0   m O s ・以上の風が観測される

日も対象 とする3 ) 。

Ⅲ  富 山県 にお ける台風 に伴 う強風 1。概観

対 象 期 間 で あ る 1981年 か ら 2000年 までの富 山県 に強風 を 及ぼ したすべての台風の位置を 図2に 示す。

概観的に述べ る と、富山に近 く、 日本海上の経路を とる台風 が もた らす強風の風速が強いの は当然であるが、能登半島沖か ら北北西 に、北緯41°付近 まで その分布 が延 びてい る。 また、

最大 風 速 18mOs・以 上 の強風 を もた らした台風 は、北上 した も の ほ ど多 くな る傾 向が み られ る。台風の規模 までは時間の関 係で触れ る ことができなか った が、台風 に関連す る渦の大 きさ に関係す るもの と思われ る。

富山よ り南 に経路を もつ台風 も、通過の際に富 山に強風を も た らすが、富山よ り北 に経路を もつ台風の方が圧倒的 に強風 を 引き起 こしやすい。

2 . 年 ごとの台風 と強風の関連

1 9 8 1 年〜 1 9 8 4 年 にお け る富 山県 内で強 風 が発 生 した ときの台風の位置 との関係を図 3 に 挙 げる。

日本 海上 にあ る事例 で も、北 陸地方 か ら西側 に あ る事 例 で は、 富 山県 が 1 3 m ・s ・以 上 に な る事 例 がない。 1 3   m O s ・以上の事例 は、 日本海 だ と8 2 1 0 、 8 4 1 0 、 三 陸 沖 の8 1 2 4 、 本 州 南 岸 の8 2 1 8 、 8 3 0 6 、 8 3 1 0 、 沖 縄 付 近 の8 3 0 5 で あ る。 図 4 に 、 1 9 8 5 年 か ら1 9 8 8 年 に お い て富 山県 内で 強 風 が発 生 し た ときの台 風 の位 置 との 関係 を示 した。8 5 1 2 は 、

1 3 m ・s ・以上 の強風 の要 因 とな る台風 が多 く位置 す る場所 であ る佐渡付近 にあ るが、8 5 1 2 は 本研究 を 行 う上で、最初 に解析 した吉野 0 福岡 ( 1 9 6 7 ) の Ⅵ

外 されていた事例である。台風が 日本海 に回った と きには勢力が衰 えていた可能性がある。

13mes■以上 の強風 の要 因 とな る事例 は、 日本 海 上 で は8605、 8616、 8712、 8718で あ る。 ま た、

日本の南岸では、8713と 8824が 当てはまる。

図 5に 、 1989年 か ら1992年 において富 山県 内で 強風 が発 生 した ときの台風 の位 置 との関係 を示 し

図 21981〜 2000年 に富山県に強風をもたらした台風の位置分布集成図

★ が 1 8 m / s 以 上 、■が 1 3 〜1 7 m / s 、● が 1 0 〜1 2 m / s 、議 が 9 m / s

た。 図 4の 8512の よ うな事 例 が、9007と 9216で 見 られ る。

18m・ s・以 上 の 値 を 示 した 台 風 と して、9118 が 挙 げ られ る。 デ ー タ を 読 む と、 泊 ・伏 木 で 18 mOs・、富 山で 19 mOs・の値 が で てお り、魚 津 と砺 波 で 10 mOs・以上、氷見 で 9 mOs・の値 がでてお り、

強風害の報告がある。風 向は、 ともに南成分がみ ら れ る。

青森県 な どで リンゴな どの果実 に甚大な被害を及 ぼ した9H9は 、富 山県 で も18 mes■以 上 の値 を示 してい る。 1991年 9月 28日 のデー タを見 る と、泊 で26 mes■、氷見 で22 mes■、砺波 で 19m・ s・が観 測 され てい る。 この ほか の地 点 で も、魚 津 ・伏 木 ・ 富 山・八尾 で 13m・s・以上 の強風 が観測 されてお り、

強風害の報告がなされている。氷見では風 向が観測

‑72‑

(3)

ヽ 回

図 31981〜 1984年 に富山県に強風をもたらした 台風の位置分布図

´

^・

図 4 1 9 8 5 〜 1 9 8 8 年に富山県に強風をもたらした 台風の位置分布図

で きな くな ってい るが、泊 と砺波 でS W 、 他 の地点 ではS S W の 風 向 となってい る。 このほか、 1 3   m O s ・ 以 上 の 強 風 を も た ら した 台 風 は、8 9 1 7 、 9 0 1 4 、 9 0 2 1 、  9 0 2 8 、  9 2 1 0 、  9 2 1 8 、  9 2 2 8 で ある。

図 6 に 、 1 9 9 3 年か ら1 9 9 6 年に富山県 に強風 を も た らした台風の位置分布 を挙 げた。9 3 1 3 と 9 5 0 7 は 両方 とも泊で 1 8   m O s ・以上を観測 した事例 である。

9 3 1 3 は 、氷 見 と富 山で 1 5   m O s ・、伏木 と砺 波 で 1 3   m O s ・が観 測 され た。 強風 害 の被 害 報 告 が 出て い る。

9 5 0 7 は 、富 山県 で は強風害 の被害報告 が出てい ない。泊のみ、 1 8 m ・s ・を観測 したが、他 の観測点 で は砺波 で 1 0 m ・s ・、氷 見 と富 山で 9   m O s ・を観 測

しているのみである。

富 山県 にお ける台風 に伴 う強風

図 5 1 9 8 9 〜 1 9 9 2 年に富山県に強風をもたらした 台風の位置分布図

図 61993〜 1996年 に富山県に強風をもたらした 台風の位置分布図

このほか、 13mOs 1以上 を観 測 した事例 は9307、

9426、 9612の 3例 である。

図 7に 1997年 か ら2000年 に富山県 に強風を もた らした台風 の位置分布を挙 げた。9807と 9810は 両 方 とも、泊で 18 mOs・以上を観測 した事例 である。

9807(1998年 9月 22日 )は 、 氷 見 で 18 mOs・を 観 測 した。 この ほか、 泊 ・伏木 ・富 山 で 16 mOsJを、

八尾 で 14 mOs・を、砺波 で 12 mOs・を観測 した。風 向は、 この事例 に関 しては泊 ・氷見 ・魚津 ・伏木 と福 光 では、北成分 の強い風 向であるのに対 し、富 山で はWNW、 砺 波 で はW、 八 尾 で はWSWと 西 成 分 が 強い。 このよ うに、富山県 内で風向が分 かれ るのは、

9807の 中心 が富 山県 を通 ってい るためであ り、 そ の渦 に対 して吹 き込む風を最大風速 として計測 した

一畠

(4)

9810(1998年 10月 18日 )は 、 シ自で 19 mOs 1 を観測 している。その他の観測点では、氷見が 1 3 m O s ・、富山で1 2   m O s ・、伏木 でH m ・ s ・、砺波 ・福 光で 1 0 m e s ・が観測 された。風向は、S 〜 W が 卓越 してい る。 このほか、 1 3   m O s ・以上 の強風 を観測 した事 例 は9 7 0 8 0 0 9 、9 8 0 5 、9 9 1 8 の3 例 で あ る。

9 7 0 8 ・0 9 の二つの台風が発生源 となった1 9 9 7 年6 月2 8 日の事例では、泊・氷見で1 6 m ・s ・を観測 し、

た。

3.台 風時の富山県における強風

図 8は 、富 山県 内で台風 による強風が多 く見 られ た地点、すなわち泊 0氷見 ・伏木 ・富山・砺波 における、

風 向別の累積風速である。 日本海お よび北陸地方 に 台風があった ときに発生 した強風 の、風 向別累積風 速 を薄 い色 で、東 海 ・関東以南 。以西 の 日本 と、太 平洋上 0東シナ海上 な どに台風 があ った ときに発生 した強風の風 向別累積風速 を濃い色で、それぞれ示 した。 なお、本稿 では前者 を 「日本海 ・北陸型」、後 者を 「南方型」 と略記す る。

各観測点の特徴を述べ る前に、全体的な特徴 を述 べ る と、 日本海 ・北陸型の事例 と、南方型の事例を 比較す る と、風向分布が正反対 になる。台風 も渦の 一種であるので、北半球では反時計回 りの渦を巻 く が、その渦 に向か って風 向を持つ こ とを考 える と、

台風 の位 置 に対 して一定 の方 向か ら風 が吹 くこ と は、通常 は考 え られない。 しか し、地形の影響が存 在 す るため、例 えば泊 ではSWか NEか 、 どち らかの 風 になる。

各観測点の特徴 であるが、泊では、前述 した とお り、 日本海 ・北陸型の場合 はSWを 中心 とした風 向、

南方型 で は、NEを 中心 と した風 向であ り、台風 の 位置の違いで風向が正反対にな る。

氷見の特徴 は、 日本海・北陸 型 の場合 はWSWで 、南方型 は NEで ある。泊の場合はSW方 向 に地形の障害がないため、 日本 海・北 陸型 の場 合 はSWが 卓 越 風向になっているが、氷見の場 合は、宝達丘陵の地形の影響が あ り、峠を経由する風の関係で WSWに なると推測される。

伏木の特徴は、南方型の強風 事例 は多いが、 日本海0北陸型 の強風事例の場合は、ばらば ら な分布 にな っている。 これは、

伏木 以南 の平野部 の広 が り方 が、南西方向に開けているか ら であると考えられる。

富 山の特徴 は、Wと Sに卓越 図 7 1 9 9 7 〜 2 0 0 0 年に富山県に強風をもたらした

台風の位置分布図

図8 富 山県内主要地点における台風時の風 向別累積風速図

‑74‑

(5)

富山県における台風に伴 う強風

表 1 気 象 庁 に強風 害 と報 告 され た富 山 県における台風事 例

番 号 期 間 該 当事例 気象災害名

1982   5 1983   12 1987   13 1987   16 1990  20 1991   12 1993   15 1994   19 1996  21 1996   22 1997   10

8  2 9  27 〜 8  31 10 17

9  19 〜 9  27 〜 9  4 9  29 〜 8  14 〜 9  22 6  28 〜

8210  海 上 波浪 0強風 ・洪 水 28  8310  強 風 ・浸 水 ・山がけ崩 れ

8712  強

8719  山 がけ崩 れ ・強風

20  9019  洪 水 ・浸 水 ・山がけ崩 れ ・沿岸 波 浪 ・強風 28  9119  強

9313  強 30  9426  強

15  9612  強 風 ・山がけ崩 れ 9617  強 風 ・陸 上視 程 不 良

29 9708・ 09 強 風 0地すべ り・海 水 浸水 ・山がけ崩 れ

てい る。

最 も被 害 が 多 か っ た 事 例 は、 1990年 の 20番 で あ り、 これ は 9019に 相 当 す る8こ の台風の中心 は太平洋 か ら紀 伊 半 島 に 上 陸 し、 本 州 を 北 東 進 し た。 この途 中で大雨が 降 っ た と考 え られ る が、それに伴 って強風 が 発 生 した。 富 山 で 19 mOs・、 泊 ・伏 木 で 風向があ り、特にWに 偏っている。 この要因として

は、呉羽丘陵の存在が無視できない。南方型の場合 は、NNE〜 NEに 卓越風向をもつ。

砺波の場合 は、 日本海・北陸型の場合 はWSW〜

Wの 卓越風向をもつが、南方型の場合は、他の観測 点に比べると、かな り弱い。 この要因 としては、海 岸からの距離 との関係を考えることができる。つま り、富山の場合は、石坂の地方気象台の位置が、神 通川の左岸にあ り、海側に開けているのに対 して、

砺波の場合は、 10km以 上離れた内陸部 に存在する ためである。

Ⅳ 考 察

1。 災害事例 として気象庁に報告された事例 との比 較

第 Ⅲ章では、台風事例 と強風の関係を述べたが、

災害は、人間が感知 しては じめて発生するものであ るので、実際の災害報告事例をもとに考察を試みる。

気象庁提供、気象業務支援センター発行の 「気象災 害の統計」CD―ROMを 用いて、 1981年 か ら1997年 にかけて、富山県内での災害発生事例、すなわち、

午前 9時 の天気図において総観場に台風が発生 して いた日に、富山県内において強風害が発生 したと気 象庁への報告があった事例を、表 1に まとめた。な お、 1997年 以降の事例 に関 しては、資料の都合で 割愛 したが、これは 「気象災害の統計」のフォーマ ッ トで発行されていないためであ り、災害記録そのも のは、気象庁ホームページ内の 「災害をもたらした 気象事例」のに記載されている。

この中で、 1987年 の13番 (8月 31日 )の 事例を 除いては、吉野0山川 (2002)で もⅥ型 と記載され

18 mOs・を記録 している。

強風害 として、最大 の被害である と考 えることの で きる事例 は、 1991年 の 12番 (9月 27日 〜 28日 ) であ り、9H9に 相 当す る。台風 の中心 は福 岡か ら 函館 まで、 日本海を一直線 に北東進 し、青森県で リ ンゴの落果被 害 が多発 した事例 として知 られ てい る。富山県 内の観測点 では、泊26 mes■、氷見で22 mOs・、砺波が 19 mOs・を記録 している。

1993年 の 15番 (9月 4日 )も 、 泊 で 19mOslの 強風 を観測 してお り、他の地点で も1 3 rr10s・以上の 強風を観測 している。 このほかの事例 は、 13 mes■

以上 の強風 を観測 してい る事例が6例 存在す る。 い ずれの事例 も、強風 の詳細 は第 Ⅲ章第2節 の該 当項 を参照 していただきたい。

強風害 と台風の関係 については、時間の関係 で資 料を欠いた 1998年 か ら2000年 にかけての事例 も解 析す るべ きであるが、 これは今後 の課題 とす る。

2.屋 敷林 と台風に伴 う強風の関係

富 山県 の 平 野 部 に は カ イ ニ ョ とよ ば れ る屋 敷 林、 す なわ ち家屋 を 囲む よ うに植 え られ た木 々を 指 し、 も とは 「垣根」 の意味を持 ってい た (佐伯、

1988)、 といわれてい る。

田畑 (2000)で も、屋敷林 と強風の関係を解析、

考察 してい る。 1974年 に国土地理 院 によ って撮影 され た空 中写真 を も とに、25,000分 の 1地 形 図 に 屋敷林の方 向を転記 し、地形 図に lkmメ ッシュを引 いて、 メッシュ内の屋敷林 の割合を求め、それを分 布 図にま とめた。砺波平野では丼波風が強い ところ、

峠か ら吹 き込 む風 の影響 を受 ける と思 われ る地域、

射水市では、砺波平野を回つた風 と、小矢部〜高 岡

(6)

それぞれ屋敷林所有率が高い。富 山平野 では、富山 市大 山地 区で、おろ し風 とだ し風が合流する と思わ れ る地域 に屋敷林所有率が高い地域が散在す る。

田畑 (2000)で は、屋敷林 は、該 当す る地域 の 住民が、 自然環境を経験的に とらえた結果である と 仮定 した。つ ま り、気候景観を、一種の気候モデル と仮 定 して、 1996年 〜 1998年 の 3年 間 の強風 の 際の風 向 と風速のデー タとの比較を、気圧配置別 に 行 ってい たのであ るが、 た とえば散居村 ・屋敷林 の 存在意義を聞き取 りによって調査 した報告 (砺波屋 敷林研究会、 1992)で は、屋敷林 を残 す意義 の 中 で、金銭的問題で伐採 していないだけ とい う家 も少 な くない ことが挙 げ られている。 さらに、甚大 な強 風事例 と して扱 った9H9は 、 た とえば、入善 町墓 の木集落ではスギの巨木が屋根 に当た り、屋根が損 傷 したほか、集落の中で も屋敷林が倒壊 した家屋が 74軒 中 12軒、 と くに敷地面積 の広 い区画 で発 生 し ている。 また、小矢部では この 日、大火事が発生 し ている。台風 による屋敷林 の倒壊 は、屋敷林 の気候 景観的意義 に疑間を投げかける事象 であった。倒壊 した木 の種類を読む と、短い時間で高木 になるスギ な どが当てはまる。屋敷林 に使 った本 は、家屋 の建 て替 えの ときに使用す るな どの二次利用が行われ る が、最近 は、 この二次利用 も減 ってきている。

日本海 0北陸 に台風 が存在す る ときには以上の よ うな屋敷林 の倒壊 な どの被害が出ることもある。逆 に、本稿で 「南方型」 と定義 した事例 の場合 は どう なるのか、 とい うことが問題 になる。 この問題 に関 しては、現在有力な資料が不明であるため、本稿 に おいては言及 できないが今後の調査の課題 としたい

と思 う。

V ま とめ と今後 の課題

本稿では、 1981〜 2000年 における富山県の強 風を、吉野・福岡 (1967)の 気圧配置型を用いた気 圧配置 ごよみ (吉野・山川、2002)を 用いてⅥ型 (台 風型)に 分類された台風を伴 う強風、また、他の型 であって も台風を伴 う風 と判断された事例 に関 し て、台風の位置 と富山県における強風の関係を解析

した。本稿で解析されたもののまとめを以下に記す6

① 富 山県に13 mOs・以上の強風をもたらす台風の 分布は、能登半島よ りNNW向 きに延びている。

また、関東 0東海方面に中心を持つ台風 も、 13

風速 18 mOs・以 上 を引 き起 こす台風 の位置 は、

主 に富 山県沖の 日本海か ら秋 田沖 にかけての範 囲である。

日本海 ・北 陸 に台風 の中心が あ る場合 は、 日本 海 に低気圧がある場合 に富山平野 に強風が観測 され た事例 と似 た よ うな風 向・累積風速分布 が 現れ てい る。 その他、その 中には関東 ・東海 の よ うな本州南岸、太平洋、東 シナ海に台風があ る型 であ る場合 は、 日本海 ・北陸 に台風 の中心 がある場合 の正反対の風向風速分布を示す。

今後 の課題 であ るが、前書 きで述べ た、 1956年 の魚津大火 に代表 され るよ うに、台風 によるフェー ン現象 は、風の勢い も強 くヽ高温 で乾燥 しているこ とか ら、 たびたび大火事 にな りやすい。 (1日)新 湊 市史 (1964)で は、放生津の大火 は 1696年 か ら記 録 され、 1912年 までに42例 を数 えた。 また、魚津 の大 火 (魚津 市、 1968)は 、 「約28年 ご とに 1回

」 と呼 ばれ るほ ど頻発 してお り、 1945年 か ら先 は 頻繁 に発 生 してい た。富 山県 内のほかの地域 で も、

フェー ンによる火事 の事例 は多 く見 られ る と思われ る。強風 にあわせて、湿度の変化、気温の変化 とと もに解析す る一方で、歴史時代の火災 に も言及でき ることがあれば、次の研究テーマ となる。

また、屋敷林の植林方 向 と台風 に伴 う強風 に関 し ての考察がまだ不十分 であることが否めない。 さ ら に、報告書 な どをま とめ、足 りない ところは調査 に 出て、本稿で取 り上げることのできなか った問題を 解決す る必要性がある と思われ る。

文 献

青山高義 (2000):砺 波平野.青 山高義 ・小川 肇 ・ 岡 秀 一 ・梅本 亨 編 『日本の気候景観―風 と樹

風 と集落―』古今書院、 111‑H4.

岩 田和 己 (1999):富 山県 における不 吹堂 と強風 に ついて。 自 然 と社会―北陸一 、65、 31‑39.

小 川 剛 史 ( 2 0 0 1 ) : 局 地 風 「丼 波 風 」 の 中 気 候 学 的研 究. 砺 波 散 村 地 域 研 究 所 研 究 紀 要、 1 8 、

1 9 ‑ 3 3 .

佐伯安一 (1988):く ら しの歴史 か らみ た屋敷林.

砺波散村地域研究所研究紀要、5、 H.

新湊市 (1964):放 生津大火 と天保改革 ・新湊市史 編集委員会編 『新湊市史』937‑943.

‑76‑一

(7)

富 山県 にお ける台風 に伴 う強風

田畑 弾 (2000):砺 波平野 と富山平野における気 圧配置による強風特性の違いに対する屋敷森の形 態への影響.法 政大学人文科学研究科修士論文.

田口龍雄 (1941):『続風祭』古今書院、 191p.

富山県散村屋敷林研究会 (1992):富 山平野の散村 地域における屋敷林の現況 と住民意識調査.砺 波 散村地域研究所研究紀要、9、 10‑85.

魚津市 (1968):魚 津の火災について。魚津市史編 集委員会編 『魚津市史 上 巻』、394‑407.

読売新 聞社 (2006):大 火 を乗 り越 え50年、発展 する魚津。読売新聞北陸支社富山12版2006年 9 月 1 0 日  ( 第4 6 8 7 6 号) 、  2 4 面。

吉野正敏・山川修治 (2002):気 圧配置 ごよみ、吉 野正敏 ・気候影響利用研究会編 『日本の気候 I』

二宮書店、253〜 267.

吉野正敏 ・福岡義隆 (1967):半 旬別の気圧配置 ご よみ。天気、 14(7)、 10‑15。

注記

1)気 象庁ホームページ 「台風経路図」

インデックスページは

http://―w.data.kishou.goJp/yohou/typhoon/

route̲map/index.htnll

2 ) 各 気圧配置型は以下のように分類 される ( 吉 野 ・山り││、 2002、 吉野 ・ネ冨岡、 1967)。

I:西 高東低の冬季モンスーン型

Ⅱa:北 海道付近に低気圧が存在する型

Ⅱb:日 本海に低気圧が存在する型

Ⅱc:太 平洋に低気圧が存在する型

Ⅱd:日 本海 と太平洋に同時に低気圧が存在する 型

Ⅲa:日 本の北方に移動性高気圧が進む型

Ⅲb:日 本列島上に移動性高気圧が進む型

Ⅲc:帯 状に移動性高気圧が進む型

Ⅲd:日 本の太平洋岸 または南方を移動性高気圧 が進む型

Ⅳa:日 本列島上を東西に走る停滞性の前線型

Ⅳb:太 平洋岸 または 日本南方を東西に走 る停滞 性の前線型

V:北 太平洋高気圧型

Ⅵa:南 九州より南方の海上に台風が存在する型

Ⅵb:本 州およびその接岸地帯に台風が存在す る 型      ̀

Ⅵc:北 日本に台風が存在する型

3)気 象庁が気象業務支援セ ンターを経由 して発 1行 している 「気象災害の統計」によると、1981 年か ら1997年 までの総観規模で見 ることの出来 る台風の 日における強風害の事例 と、「デー タと 方法」の方法に従 って解析 された事例 に、 1例 だけ食い違いが見 られた。 この事例は1987年 の T8712に よる強風で、富山において 14.2m・slの 記録がある。 この 日の吉野・山川 (2002)に よる 気圧配置 は、 Ⅱa十Ⅳbの ため、Ⅵ型 において取

り扱 うと解析の中で、除外されて しまう。

4)気 象庁ホームページ 「災害をもたらした気象事 例」

http://―wodataokishou.gojp/bosai/report/

indexohtinl

本文 で も説 明 したが、 この事 例 解 析 の フ ォー マ ッ トと、気象庁が気象業務支援セ ンターを経 由 して発行 している 「気象災害の統計」 とは県別の 災害デー タがないな どのフォーマ ッ トの相違があ る ため、 1998年 〜 2000年 の災 害 事 例 を用 い る ことができなかった。

(2006年 10月20日受付) (2006年12月 6日 受理)

参照

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