長崎県における複式教育の実情と附属小学校における実践事例
村田義幸, 松本和昭 ,水戸一幸 、浦田武
(長崎大学教育学部)(長崎大学教育学部附属小学校)
1 長崎県の小学生,中学生の数および学校数
平成17年度学校基本調査(速報)によると,長崎県内の学校数ならびに小学 生及び中学生の人数は表1に示すとおりである。
表1 長崎県における′J、学校児童数,中学校生徒数ならびに学校数
区 分
学 校 数 (校 ) 児 童 ・生 徒 数 (名 )
1 3 年 1 4 年 1 5 年 1 6 年 1 7 年 1 3 年 1 4 年 1 5 年 16 年 1 7 年 小 学 校 4 35 4 30 4 26 4 19 4 16 98,02 4 95,747 94,226 92,2 19 90,363
中 学 校 2 17 2 15 2 14 2 16 2 14 56,26 8 53,865 51,685 50,020 49,101
※ 平成17年度学校基本調査結果を基に作成
平成17年度の小学校の数には国立学校1校,私立学校5校が含まれているの で公立小学校の数は410校である。その内,休校している小学校が県下で10校
あるので,実質は分校を含めて400校である。また,中学校数には国立学校1校,
私立学校13校が含まれており,現在の公立中学校の数は県立校2校を含めて199 校である。
平成17年5月現在の児童数は平成16年度と比較して1,856名の減少であり,
これは25年連続の減少である。国立学校及び私立学校に在籍する児童を除いた,
公立小学校に通学する児童は88,839名である。また,中学生数は5万人を割り,
前年度比較919名減で,これは9年連続の減少となっている。
2 長崎県における複式学級保有学校数及び複式学級数
(1)複式学級を保有する学校数
小学校の学級編制については,学校教育法施行規則第19条「小学校の学級は,
同学年の児童で編制するものとする。ただし,特別の事情がある場合においては,
数学年の児童を一学級に編制することができる。」とある。また,中学校の学級編 制についても,この19条が準用される。そして,公立義務教育諸学校の学級編 制及び教職員定数の標準に関する法律の第三条において「公立の義務教育諸学校 の学級編制は,同学年の児童又は生徒で編制するものとする。ただし,当該義務 教育諸学校の児童又は生徒の数が著しく少ないかその他特別の事情がある場合に おいては,政令で定めるところにより,数学年の児童又は生徒を一学級に編制す ることができる。(以下略)」と規定し,「二の学年の児童で編制する学級」の児童 または生徒の数を,小学校では16名(第1学年の児童を含む学級にあっては8 名),中学校においては8名を基準として示している。
−65−
休 校 中 の 公 立 小 学 校 を 除 く
4 0 0
校 の う ち 複 式 学 級 を 保 有 す る 学 校 数 は9 3
校 で あ り , 県 下 の 公 立 小 学 校 の2 3 . 3
0/0が 複 式 教 育 を 行 っ て い る こ と に な る 。 公 立 小 学 校 以 外 に , 国 立 大 学 法 人 長 崎 大 学 教 育 学 部 附 属 小 学 校 に2
学 級 ( 平 成1 8
年 度 に 高 学 年 複 式 学 級 を 開 設 す る 予 定 で あ り , 来 年 度 は 3学級となる。), 諌 早 市 内 小 長 井 町 に あ る 私 立 聖 母 の 騎 士 小 学 校 に 3学 級 開 設 さ れ て い るo中 学 校 に つ い て は , 長 崎 市 に 4校 ( 土 井 首 中 学 校 開 成 分 校 , 伊 王 島 中 学 校 , 高 島 中 学 校 , 池 島 中 学 校 ) 五 島 市 に4校 ( 嵯 峨 島 中 学 校 , 久 賀 中 学 校 , 蕨 中 学 校 , 椛 島 中 学 校 ),松浦市に 1校 ( 青 島 中 学 校 ) の 計 9校 に 複 式 学 級9学 級 が 編 制 さ れ て い る 。 長 崎 市 内 の 4校 に つ い て , 土 井 首 中 学 校 開 成 分 校 は , 長 崎 県 の 児 童 自 立 支 援 施 設 開 成 学 園 に 開 設 さ れ て い る 土 井 首 中 学 校 の 分 校 で あ り , 伊 王 島 , 高 島 , 池 島の 3校 は , 市 と 町 の 合 併 に よ り 平 成 17年 度 か ら 長 崎 市 立 と な っ た 中 学 校 で あ るo い ず れ も , 炭 鉱 の 町 と し て 栄 え て い た 町 の 学 校 で あ っ た が , 炭 鉱 閉 山 後 は 急 激 に 人 口 が 減 少 し , 今 日 で は 過 疎 地 と な っ て い る 島i興 部 に あ る 中 学 校 で あ る 。 ま た , 五 島 市 の 4校 も 福 江 島 本 島 の 属 島 で あ る 久 賀 島 , 嵯 峨 島 , 椛 島 と い う 人 口 の 減 少 の 著 し い 地 域 に 在 る 学 校 で あ り , ま た , 松 浦 市 立 青 島 中 学 校 は 松 浦 市 の 沖 合 約
6.5km
, 伊 万 里 湾 の 入 り 口 に 浮 か ぶ 農 業 と 養 殖 漁 業 を 中 心 と し た 第 一 次 産 業 中 心 の 島 に 在 る 小 学 校 と 併 設 の 中 学 校 で あ るo表 2は , 公 立 小 学 校 に お け る 複 式 学 級 に つ い て , 地 域 別 に ま と め た も の で あ るo
表 中 複 式 学 級 数 欄 の 各 地 域 上 段 は
r 7 5
条 学 級J も 含 め た 各 地 域 の 全 学 級 数 に 占 め る 複 式 学 級 数 の 割 合 を 示 し た も の で あ る 。 対 馬 市( 2 2 . 4 % )
,北松浦郡(20.0%)
, 新 上 五 島 町( 1 6 . 7 % )
, 五 島 市( 1 5 . 4 % )
,平戸市( 1 5 . 3 % )
と,島l興 部 に 多 い こ と が 分 かるo し か し , 長 崎 県 の 複 式 教 育 に つ い て 語 ら れ る と き , 島i興 部 の 学 校 が 注 目 さ れ が ち で あ る が , 雲 仙 市 や 南 島 原 市 の 山 間 部 の 学 校 に も 焦 点 を あ て る こ と を 怠 つ て は な ら な い こ と が 分 か るo( 2 ) 小 学 校 に お け る 複 式 学 級 の 編 制
1 8 6
の複式学級の内,3
・4
学年(中学年)の学級数が6 5
学 級(34.9%
) と 最 も 多 く , 次 い で5
・6
学年(高学年)の6 0
学 級(32.3%)
,1
・2
学年(低学年)の3 0
学 級(16.1%)
の 順 と な っ て い る 口 学 校 の 事 情 に よ っ て は ,2 . 3
年 学 級( 1 6
学級)や4
・ 5年 学 級(8学 級 ) と い う 変 則 複 式 学 級 を 編 制 し な け れ ば な ら な い 場 合 も あ り , と び 学 年 複 式 学 級 も6
学 級 編 制 さ れ て い るo2 . 3
学年の変則複式学級では,2
学 年 で は生活科の授業があり, 3学 年 で は 総 合 的 な 学 習 が そ れ に 変 わ る , ま た , 4・5学 年の変則複式学級では,5
年 生 で 家 庭 科 が 新 た に 加 わ る な ど , 教 科 指 導 上 の 困 難が生じる恐れもある。
現 在 の 複 式 学 級 は 2個 学 年 で 編 制 さ れ て い る が , 過 去 に は 3個 以 上 の 学 年 で の 編 制 や 全 て の 学 年 の 児 童 を 1つ の 学 級 に 編 制 す る 単 級 と 呼 ば れ る 学 級 も 存 在 し て い た が 公 立 義 務 教 育 諸 学 校 の 学 級 編 制 及 び 教 職 員 定 数 の 標 準 に 関 す る 法 律jの
‑66‑
表 2 地 域 別 に 見 た 長 崎 県 の 複 式 学 級 数 ( 平 成 17年 度 児 童 ・ 生 徒 数 か ら 作 成 )
複式学級 二 つ の 学 年 の 組 み 合 わ せ
地 域 複 式 学 級 数
保有校数 1'2年 2・3年 3・4年 4'5年 5'6年 そ の 他 長 崎 市 8校 17(1.9%) 3学 級 1学 級 8学 級 0学 級 5学 級 0学 級 24,371名 891学 級 19名 14名 82名 0名 52名 0名
佐 世 保 市 7 14(2.7%) 2
。
6。
6。
14,744名 516 11
。
59。
50。
大 村 市 2 4(2.0%) 1
。
1。
2。
6,241名 205 4
。
14。
22。
平 戸 市 8 18(15.3%) 3 1 7 1 6
。
1,965名 118 17 10 67 16 72
。
松 浦 市 3 6(7.0%) 1 1 2
。
2。
1,705名 86 8 13 16
。
17。
対 馬 市 18 35(22.4%) 6 3 13
。
11 2 (3・5,2・4)2,370名 156 36 26 121
。
93 12壱 岐 市 4 10(7.8%) 3 1 3
。
3。
1,976名 128 5
。
8。
7。
五 島 市 11 23(15.4%) 5
。
8。
7 3 (1・3,4・6)2,735名 149 28
。
80。
57 10西 海 市 4 7(6.1%) 1
。
3。
3。
1,992名 115 3
。
15。
27。
雲 仙 市 5 6(3.3%)
。
1 2 2 1。
3227名 181
。
15 10 26 6。
南 島 原 市 10 19(10.8%) 1 6 4 1 6 1 (4・6年)
3,206名 176 8 65 32 16 64 4
東 彼 杵 町 2 3(11.1%)
。
1。
1 1。
540名 27
。
10。
14 11 01新 上 五 島 町 8 17(16.7%) 3 1 6 2 5 1
,
601名 102 13 15 46 31 31
。
北 松 浦 郡 3 7(20.0%) 2
。
2 1 2。
289名 35 9
。
15 2 11。
計 93 186 30 16 65 8 60 6
一ー一一一一一一一一L一一一
注1 平 成 17年 度 長 崎 県 児 童 ・ 生 徒 数 資 料 を 基 に 作 成 し た 。
注2 平 成 18年 1月 に 実 施 さ れ た 市 , 町 の 合 併 に よ る 新 市 に 基 づ い て 作 成 し た 。
注3 南島原市は,平成 18年 3月 31日 に 発 足 す る が , 合 併 予 定 の 町 を 合 計 し て 作 成 し た 。 注4 北 松 浦 郡 の 3校 は , 小 値 賀 町 立 小 値 賀 小 学 校 大 島 分 校 と 小 値 賀 町 立 斑 小 学 校 , 宇 久 町 立
‑67ー
神 浦 小 学 校 で あ る 。 宇 久 町 は 平 成 18年 3月 31日 に 佐 世 保 市 と 合 併 が 予 定 さ れ て い る が こ の 資 料 で は 北 松 浦 郡 と し て 集 計 し た 。
改正とともに複複式学級は認められなくなり, 1974年 以 降 は 2個 学 年 に よ る 複 式 学 級 が 編 制 さ れ て い るo
3 複 式 教 育 実 践 上 の 諸 課 題
長 崎 大 学 教 育 学 部 附 属 小 学 校 で は 平 成 16年 4月に 1・2学 年 の 複 式 学 級 を 創 設
し,その年度の初等教育研究発表会において「第 1回複式教育について語る会」を
開催した。引き続き,平成 17年 度 に は 3・4学年の複式学級を開設するとともに,
f第 2回 複 式 教 育 に つ い て 語 る 会Jを開催した。第 1回,第 2回 と も に 百 数 十 名 の 参 加 者 と と も に , 複 式 教 育 の あ り 方 に つ い て 熱 心 な 協 議 が 展 開 さ れ た 。 ま た , 教 育 学 部 の 教 員 や 附 属 小 学 校 の 副 校 長 , 複 式 教 育 室 の 教 員 を 中 心 に 県 内 あ る い は 他 県の学校を訪問し,複式教育に関する研鎖を深めてきた。そのなかで多くの教師,
学校関係者から訴えられた課題の幾っかについて述べてみたい。
( 1 ) 教 科 等 の 指 導 に か か わ る 課 題
複 式 学 級 で の 学 習 は , 異 学 年 の 児 童 が 同 じ 教 室 で 学 習 を 進 め て い く の で あ る か ら,指導方法の工夫が必要となるo 教 科 等 の 特 質 を 考 慮 し て 適 切 な 指 導 方 法 を 採 用 し て い く こ と に な るo 児 童 の 発 達 段 階 や 教 科 に お け る 系 統 性 を 重 視 し た 学 習 指 導を考えるならば学年別指導を行うことになるが,その際の「ずらしJや「わたり J の あ り 方 を 工 夫 す る 必 要 が あ る 。 あ た , 間 接 指 導 に お い て 児 童 一 人 ひ と り が 自 力 解決に取り組んでいるとき,教師はもう一方の学年の直接指導に当たっており,
子 ど も の つ ま ず き や つ ぶ や き へ の 支 援 が 十 分 に で き る の か が 問 題 と な るo 間接指 導 の 充 実 も 重 要 な 課 題 と な っ て い るo
逆に,同単元指導を行う場合,例えば, AB年 度 方 式 を と る 場 合 , 転 出 入 , あ る い は 教 科 書 等 の 変 更 な ど に よ る 未 学 習 の 問 題 が 発 生 す る お そ れ が あ るo 逆に,
既 に 学 習 し て い る 内 容 を 再 度 学 習 す る 場 合 も 出 て く るo こ れ は 繰 り 返 し 案 の 指 導 で も 言 え る こ と で あ り , 学 習 意 欲 に 影 響 す る こ と も 考 え ら れ る 白 教 科 等 の 指 導 に か か わ る 課 題 に つ い て は , ① 間 接 指 導 の 充 実 に む け た 子 供 た ち 同 士 の 学 び 合 い の あ り 方 , ② 子 ど も た ち の 多 様 な 考 え 方 を 聞 き 合 い , 練 り 合 い } 高 め , 深 め 合 う た め の 手 だ て , ③ 集 団 で の 学 習 が 必 要 な 内 容 に つ い て の 工 夫 , ④ 2 つ の 学 年 の 児 童 数 が 大 き く 異 な る た め に , 一 方 の 学 年 の 指 導 に 時 間 が か か っ て し ま う , ⑤ 課 題 作 りや学習材の準備等に 2学 年 分 の 量 を こ な さ な け れ ば な ら な い , ⑥ 基 礎 学 力 の 定 着 が 困 難 な ど の 課 題 が あ げ ら れ るo ガ イ ド 学 習 , 集 団 学 習 , 合 同 学 習 な ど に つ い て の 研 究 を 深 め る 必 要 も あ るo
( 2 ) 教 科 外 の 指 導 に か か わ る 課 題
特 別 活 動 や 生 活 指 導 に 関 連 し た 課 題 も 多 い 。 ① 特 別 活 動 等 で 活 動 計 画 を 実 践 す る 場 合 , 子 供 一 人 ひ と り の 役 割 分 担 が 多 く な り 負 担 が 大 き い , ② 学 校 行 事 な ど で
‑68‑
家 庭 や 地 域 の 協 力 な く し て は 実 施 が 困 難 で あ る , ③ 掃 除 な ど で の 子 供 た ち の 負 担 が大きい,④学級活動その他の話し合いにおいて新しい意見や考えが出にくく「例 年通り J で 進 め て い く 傾 向 が あ る , ⑤ ク ラ ブ 活 動 で は , 少 人 数 の た め に 1クラブ し か 編 成 で き な い , ⑥ 教 師 が 手 を か け す ぎ て し ま い , 子 供 の 依 頼 心 を 強 め て し ま
う傾向がある,⑦友人関係、が固定化し,また濃厚になる傾向があるo 集団内での
地 位 の 固 定 化 , 遠 慮 し て 自 己 主 張 を し な い , 競 争 心 が 育 た な い , 視 野 の 広 が り が 不十分で柔軟性にかけるなど社会性の発達が不十分になりやすいなどの傾向が,
複 式 学 級 を 担 当 す る 教 師 か ら 指 摘 さ れ るo か か る 課 題 に 対 処 す る 努 力 が 必 要 と な っているo
( 3 ) 学 校 運 営 , 教 員 研 修 に か か わ る 課 題
複 式 学 級 を 保 有 す る 学 校 で は , ① 教 員 数 が 少 な い , ② 事 務 職 員 が 配 置 さ れ て い な い た め に 教 頭 の 負 担 が 大 き く な る , ③ 校 務 分 掌 が 多 岐 に わ た り 教 職 員 の 多 忙 感 が 強 い , ④ 研 修 の た め の 出 張 に も な か な か 行 け な い , ⑤ 各 種 行 事 を 実 施 す る 際 に 全 職 員 全 児 童 で 事 に あ た ら な け れ ば な ら な い な ど , 学 校 運 営 上 の 困 難 は 多 い 。 ま た , 極 小 規 模 校 の 不 利 な 点 を 補 お う と し て 他 校 と の 交 流 学 習 を 計 画 す る 場 合 に も 近 隣 に 学 校 が 少 な く , 交 通 費 な ど の 経 費 の 面 で 苦 慮 す る こ と も あ る な ど の 問 題 も あるo 今 日 の 学 校 に お い て は 組 織 と し て 多 く の 教 育 上 の 課 題 を 解 決 し て い か な け ればならないし,学校内の研修を通して教員としての資質や能力の向上を図る,
さらには,教員相互の関係、の中で心身の健康の維持・増進を図ることが必要とな っている。多くの学校では,良好な対人関係、の中で子供たちの成長発達を支援す る た め の 資 質 や 能 力 の 高 め る 努 力 を し て い る の で あ る が , や は り 教 員 の 数 の 少 な さが問題となる。長崎県では複式教育支援講師を派遣する制度を活用しているが,
派 遣 さ れ る 講 師 の 数 は 必 要 と す る 数 の
1/3
程度であり,また,継続して派遣さ れ る わ け で は な い 。 学 習 指 導 案 や 学 習 財 の 作 成 を 含 め , 複 式 学 級 を 担 当 す る 教 員 を組織的に支援する必要があるo 県 や 市 の 教 育 セ ン タ ー に よ る 支 援 , 定 期 的 に 開 催 さ れ て い る へ き 地 教 育 研 究 会 等 の 研 修 機 会 な ど と と も に , 教 員 養 成 を 目 的 と し て い る 大 学 学 部 に お け る 養 成 段 階 で の 取 り 組 み や 研 究 体 制 の 整 備 と 学 校 へ の 支 援 を充実していくことが必要である白( 4
) 社 会 教 育 施 設 に か か わ る 課 題情 報 機 器 の 発 達 や メ デ ィ ア の 発 達 は , 情 報 に 関 す る 地 域 差 を 大 幅 に 縮 小 し た と いえる。遠隔教育を実施することで,多様なものの見方,考え方を開き合うことも
可能になってきているo しかし,図書館,美術館その他公共施設などが地域にな
い こ と の 不 利 は 大 き い 。 移 動 図 書 館 , 修 学 旅 行 の 活 用 な ど い ろ い ろ と 工 夫 は さ れ て い る が , こ の 課 題 を 克 服 す る こ と も 大 切 で あ るo 保 護 者 の 学 習 意 欲 を 高 め , 子 供 た ち と と も に 学 ぶ こ と が で き る 環 境 を 作 っ て い く た め に も 生 涯 学 習 の 場 を 地 域 の中に作る工夫をする必要がある。
‑69‑
今 回 は , 複 式 教 育 が 抱 え る 課 題 を 中 心 に 述 べ た が , 複 式 教 育 の よ さ を 生 か し て い く た め の 取 り 組 み を 積 極 的 に 進 め て い か な け れ ば な ら な い 。 長 崎 大 学 教 育 学 部 附 属 小 学 校 で の 複 式 教 育 研 究 の 取 り 組 み は ま だ 始 ま っ た ば か り で あ り , 意 図 的 に 作 ら れ た 複 式 学 級 と い う 場 で の こ と で は あ る が , 複 式 学 級 の よ さ が 着 実 に 生 か さ
れてきているo 保護者の理解と協力を得るための努力には厳しいものがあるが,
着 実 な 成 果 を 直 接 感 じ 取 っ て い た だ く こ と で 大 き な 理 解 と 協 力 が さ ら に 得 ら れ る ものと信じているo さ ら に 研 究 を 深 め , 地 域 の 教 育 の 中 に 生 か さ れ て い く こ と が できれば幸いである。
4 長 崎 大 学 教 育 学 部 附 属 小 学 校 に お け る 複 式 教 育
600余 も の 多 く の 島 を も っ 長 崎 県 の 地 理 的 な 条 件 と 少 子 化 に よ る 児 童 数 の 減 少 に 伴 い , 複 式 学 級 は 増 加 す る 傾 向 に あ るo 北 海 道 , 鹿 児 島 県 に 続 い て 複 式 学 級 の 多い長崎県にある教育学部附属学校として,
r
複 式 学 級 で の 効 果 的 な 学 習 指 導 の 在 り 方 を 組 織 的 か っ 専 門 的 に 追 究 し て い く こ と が 必 要 で あ るjと の 考 え か ら , 平 成 16年 度 に 低 学 年(1・2年生),平成 17年 度 に 中 学 年(3・4年生)の複式学級を開設 した。そして,平成 18年 度 に は 高 学 年(5・6年生)の複式学級を開設するo 各 学 級 の 児 童 数 は , 低 学 年 も 含 め て 16名(各学年 8名 , 男 女 各 4名)であるo複 式 教 育 に は , 多 く の 課 題 が あ る が , 組 織 的 に 研 究 を 深 め る こ と で 2個 の 学 年 が 共 に 学 び 合 う こ と の よ さ を 高 め て い く こ と , な ら び に , そ の 成 果 を 公 表 す る こ と を 通 し て 長 崎 県 を 始 め , 広 く 教 育 の 場 に 貢 献 す る こ と 目 指 し て 研 究 の 緒 に つ いたばかりであるo
(1) 学 習 面 に お け る 実 践
複式学級の指導形態としては,それぞれの学年別に学習を進める学年別指導と,
2つ の 学 年 で 編 制 さ れ る 学 級 を 1つの学級とみなし, 2学 年 同 一 の 学 習 を す る 指 導 形 態 (4下 位 類 型 に 細 分 さ れ る ) に 大 別 さ れ るo 本 校 で は , 複 式 学 級 を 創 設 す る に 当 た り , 児 童 が 複 式 学 級 に 在 籍 す る 期 間 は 原 則 2年 と す る こ と で ス タ ー ト し た 現 状 を 踏 ま え , 各 教 科 等 の 指 導 を 表 3のように実施している。
表 3 本 校 に お け る 各 教 科 等 の 学 習 指 導 形 態
学 年 学 年 別 指 導
AB
年 度 方 式 指 導低 学 年
国 語 , 算 数 , 生 活 科 国 語 , 社 会 , 算 数 , 理 科
( 1 ・ 2
年) 北斗の子体夢(総合的な学習の時間)中 学 年 音楽,図工,体育,道徳、,
音 楽 , 図 工 , 体 育 , 道 徳 , 学 級 活 動 (3
・
4年) 学級活動」 一 一 一
平 成 17年 度 の 本 校 初 等 教 育 研 究 発 表 会 に お い て 公 開 し た 低 学 年f算 数 Jの指導 案を学年別指導例,中学年「道徳jの指導案を AB年度方式の指導例として示す。
な お , 学 習 指 導 に お い て , 本 年 度 よ り 複 式 教 育 支 援 講 師 を 1名 配 置 し たo (2) 対人関係、づくり
‑70 ‑
『司 』ー
算数科 第1学年A組 単フE20より大きいかず E 学習の組織 単元の目標
O
身の回りの数量に関心をもち,数を進んで用いようとする。 O 数の構成に着目し,同じ大きさをまとめながら個数を調べようと するDO
位取り表や数直線を用いて数系列を明らかにし,順序や大小を判 断することができる。O
十進位取り記数法による2位数と3位数の表し方が分かる。 子供の実態 O 子供は1学期のf10までのかずJの単元において,並べ方や 唱え方を理解し,数の構成や書き表し方を学習してきている。2学 期のf20までのかずjの単元では,20までの数の唱え方や書き表 し方を理解し,足し算と引き算の計算を行うことによって,20ま での数についての概念を深めてきている。 O 日常生活の中で,20をこえる数を用いたり,表現したりする経 験を積んできているが,数の構成や十進位取り記数法を十分に理解 しているとは言えない。 教師のわゆ=わりo
20を超える数に対する疑問や欲求を抱くことができるよう,単 元初発にカレンダーを用いた活動を設定する。 O 数理追究・獲得場面では2位数と3位数の表記法や順序・大小 を判断することができるよう数直線や図を用いた活動を設定する。O
単元終末においては,獲得した数理の有用さを実感することがで きるように,fカードとり2Jという活動を設定する。 O 本時においては,最初の直接指導において,トランプを用いた活動 を行い,枚数の分かりやすい数え方に着目できるようにする。 二回目の直接指導においては,10ずつまとめることのよさを全体に 広げることにより,十進位取り記数法による2位数の表し方について の理解を図ってしだ。また,追究活動や練習問題に取り組む過程では, 円滑に進めることができるよう,複式支援講師がかかわりをもっ。且4 十習案 第2学年A組 単フE E 学習の組織
自10:05 平成18年2月10日(金)至10:50 授業者学級担任水戸一幸 複式支援講師内田香 10000までの数 単元の目標
o
10000までの大きい数に関心をもち,進んで数を読んだり書き表 したりしようとする。o
10000までの数の表し方を,既習の1000までの数の仕組みから 類推して調べようとする。o
10000までの数を読んだり書き表したりすることができる。o
10000までの数について,数の読み方や書き表し方,数の構成や 系列,順序,大小などが分かる。 子供ゐ実態 O 子供は1年時,f20より大きいかずjの単元で,100までの数の 並べ方や唱え方を理解し,数の構成や書き表し方を学習してきてい る。2年生のf1000までの数jの単元では,1000までの数の唱え 方や書き表し方理解し,10まとまると次の位へ移るという十進法 の考えを基に,1000までの数の構成をとらえている。 O 日常生活の中で,金額を表す際に4"‑'5桁の数を読んだり書き表 したりしている子供もいるが,数の構成や十進位取り記数法のよさ を十分理解しているとは言えない。 教師のね瓦わりo
10000までの数に対する疑問や欲求を抱くことができるように, 単元初発に「数え棒つかみ取りJという活動を設定する。 O 数理追究・獲得場面では,数の構成や加法・減法の仕方を明らか にするために,丸図や位取表を用いた活動を設定する。O
単元終末においては,獲得した数理のよさを実感することができ るように,fつかみ取り2Jとしづ活動を設定する。O
本時においては,最初の直接指導において,単元初発に用いた数え棒の点 数を表すよう投げ掛け,数の表し方と唱え方に着目できるようにする。二回目 の直接指導においては,空位がある場合の点数の表し方を考える場を設けるこ とにより,0を用いて表すことのよさに気付くことができるようにする。また, 練習問題や追究活動に取り組む過程では,円滑に進めることができるよう,複 式支援講師がかかわりをもっ。( 1時間)「つかみ取引を行い,学習計画を立てる。
皿第2学年・学習計画(全8時間) 「一寸E 計 画 ミL 案 1 1 20より大きな数と出会い,学習計画を立てる。(1時間) O カレンダーを用いた活動を基に,100までの数の読み方や 書き方に対する疑問や欲求から学習計画を立てる。
匝第1学年・学習計画(全12時間) 「一一 計 画 立 案
/
or
つかみ取りjの仕方を知り,点数を表す。O
合計点数を求め,紹介し合う。O
合計点数を求める活動の中で生まれた疑問を基に学習計画を 立てる。2,‑20より大きな数の数え方と唱え方について調べる。【本時】(1時間)o r
カード取りjの仕方を知り,枚数を数える。O
枚数の分かりやすい数え方や見方を考える。o
10の位,1の位を知る。2 10000までの数の書き表し方を試す。(1時間)O
紹介し合った方法を試すことで,1000を超えるの数の書き 表し方,それぞれのよさと問題点を実感する。/
数理追究数理追究 3 10000までの数の書き表し方を考える。(1時間)
O
それぞれの根拠を基に10000までの数の書き表し方が分か る。 O 十進位取り記数法の仕組みのよさをとらえる。( 1時間) (4時間)
3 100までの数の書き方について調べる。
O
枚数の知らせ方を考える。 O 数字で表す方法を知る。 4 100まで、の数の大小について考える。O
数の大小について考える。O
数の線の必要感を抱く。O
適用問題を解くo4 10000までの数の唱え方と書き表し方を理解する。体制(I時間)o
10000までの数の書き表し方や唱え方が分かる。o
0を用いて表すことのよさに気付く。数理獲得
数理獲得
5 10000までの数の相対的な大きさや構成を理解する。(2時間)
o
10や100などを基にして,10000という数の相対的な大きさ や構成が分かる。o
1,10,100,1000を基にして,10000までの数の構成を理解する。( 1時間)5 99までの数の順序,数列について調べる。
o
100までの数の大小を調べる。 O 数字カードを大きいj煩に並べる。o
{立に着目しながら比べればよいことに気付く。‑J
芯l6 10000までの数の系列,順序,大小について理解する。(1時間}
O
数直線の目盛りを読んだり,数を表したりする。o
4位数の系列や順序や大小が分かる。/数理活用
(3時間)6 100までの数の順序を調べる。
o
10 X 10の方眼紙を見て,気付きを出し合う。o
100までの表を完成する。O
表を見た気付きから,100までの数の順序をとらえるロ ( 1時間)︒うす︒る う行感 行を実 をjを
IJn4hツ
り取高2りま 取ドの ド一己 一カ自 カf
fOO
ヴe
( 1時間)7
r
つかみ取り2Jを行う。o
10000までの数を唱えたり,書き表したりする。Oを用
W 本時の学習 1 ねらい 10000までの数の唱え方と表し方を理解するとともに, いて表すことのよさに気付くことができる。
N
本時の学習 1 ねらい 「カード取りjを行い,20より大きな数の数え方と唱え方につ いて調べることができる。 関展 教師のかかわりの答た 童誤つ 児'行 むりを 組たス りしイ 取握バ に把ド 題をア 問況る︒
習状する 練捗対す 進にり 支
ま定供棒た 時設子えし 前をる数認 '場来'確 しるてりを 示返出たと 提り'しこ を振でかす'
ーをこ生表ら 材習こををが 習学︒一言数な 学のる発点し ですののり 担
一つ一
2入一
44AV瓦
ふ晶γ'内υ ・
摺棒筒一
1 ぇ封一
一数た一
2 学習の目当て をもっ。
~
て=し=
表=を=
数一一
hふ=
ふ人︑=
'E‑= ︒
て.q=る
当づ一一す 目付う一淀
=︑ J・︑==一 ‑‑HH
=i九=を 一一み=
J一文カード‑コ :数え棒の得点: ;を表したもの: 支自力解決を進める子供に対 し, ・前時までの学習を生かして 活動しているか (停滞している子供には, 前時までの学習の振り返 りを行う。)
3 目当ての自力 解決を行う。
2 開展2 担学習材1を提示し,ゲ}ム を行うことを知った子供は, やってみたいという意欲を表 明したり,ルールについて尋 ねたりしてくるであろう。 そこで,子供の発言を生か したり,教師がゲームの演示 をしたりしながらー文カードーコ 目当て
H:
ゲームのルー: トランプが何枚あるのか分11:ル説明 かりやすく並べよう。11,一学習材1‑‑. :練習問題 : プリント
子供の取組 1 練習問題に取 り組む。
子供の取組
唱'4 ・
材プ一 習ン一 学ラ一
‑vhι ・
1 本時の学習の 目当てをもっ。
教師のかかわり
用とて行 をる当を プす目決 ン動'解 ラ活に力
EPf︑ ‑4D白同︒
︒ゐ
いとのう決追場示直'立 解'るる提'え手 カしすいをは伝る 自'認握て容︒容へめ
のし確把し内る内任進 て対をを滞のわた担に 当に方子停習かしる滑 目供べ様で既か握た円 '子並の方は)で把当を︒
後るの動べにる点でにいる 動め自活並合す視こ導合す 活進各究(のこ指きと
を・と接関て を設定する。 支
ー斗ωl
基を'た︒
をい位いる 決合の用知 解き十をを 力関'位方 自'いのし に行一表
QU
'しががと し名供なこ 類指子しむ 分をるり進︒
を表あたにる 法代がけ滑す 方に明掛円に 決と説げがう 解ご足投いよ の方補か合る 供め'いきき 子とりな関で またいらが 担
との視点、でかかわる。 特に,位取りについての定 着が弱し、と感じられる子供が いた場合には,直接指導を行 う担任へ伝え,聞き合いの中 で再度振り返ることができる ようにする。
'明がと方書をめ
t
し説なこえ︒の場とゴ 類足しむ唱る合るま沖︑
分補り進︒です場えこ 1ζ し
を'たにる中認る考引ごす 法りけ滑すの確あてよ柱内 方た掛円にいをがいの比バ
決しげがう合方位つ下降
W
解名投いよきし空に以の坊 の指か合る開表'方'め一日 供をいききのきたししと十一町 子表な関でこ書ま表定︒ま百ゴ 代がらがやき設る千川 担
基をや知 をい方を 決合え方 解き唱し 力開'表 自'いき︒
に行書る 4
一︑
¥1 .'し/ヌ・2とてを一 材令状つの紙一 習引なも周一 学︒にいる一
一一 ω
束なけょっ数付︒にとと 'のかて気る供こま でとなけがす子うに しこき分供にを行う
通るで'子う 2をよ
をめがいらによ材動の いとと扱がさる習活下 合まこのなよき学作以 きつるドしので'操' 関子め一ととが後'て のげ!とカ点ことのしし︒
こKさまた論るこそ布通る
をえく配をめ まとめ 10の束と,束になって いないものを分けて数える とよし、
4 練習問題に取 り組む支学習材3を配布し,本時の,一学習材3‑‑. 学習内容を振り返ることがで;友達の枚数を; きるようにする。記入するプリ: その際ント ・10の束を使うことのよさ' に気付いているか。 (プリントに記入した児童 に問い掛ける) との視点でかかわりをもっ。
ー吋品 l
O(知識・理解)ホワイトボードへの記述や開き合いにおける発言か ら評価する。 十進位取記数法による四位数の表し方が分かる。A A 10の束を使った数え方が良いことを根拠を基に説明することがで きる。 B 10の束を使った数え方が良いことが分かる。
O(
数学的な考え方)学習で用いたプリントの記述から評価する。 それぞれの位に数字を入れ,数えることができる。B (位取りをきちんとできなかった子供には,事後に個別指導を行う。)(10の束を使った数え方をできない子供には,事後に個別指導を行第3・4学年A組
道 徳 学 習 案
I 主題名 勇気をもって (勇気 1一④)
E 学習の組織
主題の目標
自9:ω 平 成 18年 2月 10日(金)至9:45
授 業 者 浦 田 武
O 正しいと思ったことは,迷わないで勇気をもって行おうとする心情を育てる。
子供の実態
O
子供たちは,様々な場面での学習活動や生活を通して,自分の意志をはっきりともっている子供が多く,それを主張することもでき,学級の雰囲気としては不正を憎み,正しい行動をし なければいけないという意識は育ってきている。
O 上学年は下学年に対し,思いやりの気持ちをもちながら学級をリードし,下学年は上学年に
対し,あこがれの気持ちをもちながら生活を共にしている。
O
道徳の時間においては,学年の枠をこえて,自分の考えを表出できるよさがある。O
子供一人一人に目を向けると,自分の感情を常に優先する子供,自分なりの判断ができない子供,正しい判断ができても実行できない子供もおり,そのため主張の強い上学年の子供に抗 されて追随したり,注意しでも分かつてくれないとあきらめたりする子供もいる。
O
本主題においては,資料「ドッジボーノレjにおける登場人物の言動について考えることを過して,正しいと思ったことは,迷わないで勇気をもって行おうとする心情を高めることができ ると考える。
教師のかかわり
本 主 題 は 言 う , 言 わ な い Jに対する考えを開き合うことによって,正しいと思ったことは,
迷わないで勇気をもって行おうとする心情を高めていこうとするものである。
O
異年齢の学級であるため,まず下学年の考えを表出させ,その後,上学年の考えを表出させるなど,学年差を考慮し,意図的に指名を行っていく。
O
正 し い こ と は 勇 気 を も っ て 行 う こ と に お い て 道 徳 的 価 値 を 見 詰 め る 力jをはぐくむこと ができるよう,子供の身近な問題を取り上げると共に,資料に関する子供の発言から課題を導 いていく。O
子供自身が問題意識をもつことができるようr
登場人物のその後の行動Jが示されていない資料を活用する。
O 正 し い こ と は 勇 気 を も っ て 行 う こ と に お い て 自 己 を 見 詰 め る カ J をはぐくむことができ
るよう,勇気ある言動の振り返りを
r
ノレールを守るJということだけではなく,いろいろな場面での勇気ある言動について振り返ることができるようにする。
‑75 ‑
皿 本 時 の 学 習
1 ねらい
資料「ドッジボールjにおける明君の言動に対する考えや根拠を開き合うことによって,正しい ことは勇気をもって行おうとする心情を高めることができる。
2 展 開
過程 子供の取組 教 師 の か か わ り 時間
め12 資料「ドッジボーノレ一学習材2一一
o
資料「ドッジボ}ノレJ(一部改作)をに道徳的価値を見いだ)資料
j
聞いた子供は,る│ し , 課 題 「 明 君 は 言 っ ド ッ ジ ボ ー ノ レ こ の 後 , 明 君 は は ど う し た の だ ろ う ? た方がよし、か?Jを 設 : 一部改作 : ・言ったのではないかな?
定 す る 。 一 一 … 一 一 一 一 一J ・いや,言つてないと思うよ!
などと述べてくるであろう。
そこで,それらの発言を生かしながら
「明君は言った方がよいか?J という課 題を設定していくロ
/ O
プリント配布後,自分の考えや立場をその理由とともに記すように言葉掛けを 行う。子供は,
【言う}
1 本時の資料に対する 関心をもっ。
1・t
ド一 材
E
一 一
習ヨテカ⁝
学 空 文 一 み
イコ
/
3 自分の考えや立場を,一‑学習材3 ‑‑ 記した後,考えを開き( 道徳プリント ' 合うことによって,勇'
気をもつことについて
ひ│
考える。ろ
~f
ふ か め る
O
子供が遊んでいる様子の写真を提示す ると,遊んでいるときの様子や気持ちを 述べてくるであろう。そこで,文カード「遊んでいてどんな時楽しいか,また,
どんな時楽しくないかjについて話し合 うことにより,本時の資料への導入を図っ ていく。
10
‑正しいことはきちんと言わないといけ ない。
・明君は自の前で見ていたのだから言う べきだ。
‑言うことがみんなのためにもなる。
【言わない}
・言うと一緒に遊んでもらえなくなる。
・周りの友達もバウンドしていると言っ ているから。
‑言うとけんかになってしまうかも知れ ないから。
・言っても分かつてもらえないから。
【中立}
‑言った方がいいと思うけど,言うと遊 んでもらえなくなるし…。
などの根拠を記してくるであろうo
‑76 ‑
「勇気をもって言った方がいいか。」に対する自分の見方や考え 方をもつことができたかを道徳プリントの記述から見取ってい く。自分の立場や根拠がもてない子供には,これまでの経験を 想起できるような言葉掛けを行い,子供自身が考えを明らかに
て〉 できるようにかかわっていく。 【道徳的価値を見詰めるカ} 20
ろ
lア その後,それぞれの考えを聞き合う場
を設ける。その中では,それぞれの根拠
ふ を大切にしながら,立場の違いが明らか
カ= になるよう意図的に指名したり,発言を
め 板書したりしていく。その際には,学年
る 差を考慮し,まず下学年の子供から発言
させ,その発言を聞いてどのように思う かという視点で上学年に発言させる。
さらに教師は,ル}ノレを守っていない のに黙っていてもよいのか,また,本当 に言えるのかというゆさぶりを掛け,勇 気ある行動とはどういうことなのかを考 えていくことができるようにする。
/ /
4 自分たちの暮らしに,ー・学習材4・
O
子供たちが,正しいと,思ったことを勇 おける勇気のある言動; 道徳プリントj
気を出して行った経験をプリントに記す について振り返る。 ' 。・・・・・・・・・・・・・・・ー̲.1 場を設ける。その際,r
そのような自分き をどう思いますか?J という視点を与え
ることにより,よりよく生きょうとして いる自分に気づくことができるであろう口
づ l()
本時における開き合いや自分自身の暮らしをふり返ることを
く 通して,正しいと思ったことは,迷わないで、勇気をもって行う
ことの大切さに気付くことができたかを道徳プリントから見 取っていく。振り返りが進まない子供には,その子供が勇気を もって行動していた具体的な姿を伝え,その時の気持ちなどを
記すように言葉掛けを行っていく。 【自己を見詰める力】
/ /
ふ 5 教師の話を聞き,実
O
正しいと思ったことは,迷わないで勇く 践の意欲をもっ。 気をもって行おうとする意欲をもつこと 5
ら ができるように,教師の思いを語る。
ま す
‑77
ー複 式 学 級 を 豊 か な 生 活 の 場 と し て っ く り あ げ て い く た め に は , 対 人 関 係 を 活 性 化 し て い く こ と が 重 要 と な る 。 学 級 内 に 2年 齢 集 団 が 存 在 し て い る と い う 特 徴 を 生かし,児童が協同し,
r
教 え る 一 教 え ら れ るjの 役 割 を 交 代 し な が ら 互 い に 学 び 合 う 風 土 を つ く り あ げ て い く こ と で あ るD 本 校 で は , 複 式 学 級 へ の 所 属 意 識 を 高 め る 方 策 と し て 複 式 学 級 を rA組 J と呼んでいるo 低 学 年 学 級 , 中 学 年 学 級 の 児 童が,r
自分たちは A組 の 仲 間 で あ るjと い う こ と に 誇 り を も っ て 生 活 で き る よ う に 学 校 生 活 を 組 織 し て い るo ま た , 給 食 , 学 校 行 事 , 栽 倍 活 動 な ど 様 々 な 機 会 に 縦 割 り 活 動 を 積 極 的 に 実 施 し , 単 式 学 級 で は 十 分 に は 体 験 す る こ と の で き な い 1 年 生 か ら4
年 生 ま で の 異 年 齢 集 団 に よ る 活 動 を 数 多 く 体 験 で き る よ う に 工 夫 し たoA
組 給 食 : 本 校 に あ る ラ ン チ ル ー ム を 活 用 し , 低 学 年 及 び 中 学 年 の 児 童32
名 が 一 緒 に 給 食 を と り , 終 了 後 に は 全 員 で 遊 び を 行 う 活 動 を 毎 学 期 4回 程 度 実 施したロA組 菜 園 で の は ぐ く み 活 動 : 複 式 学 級 独 自 の 菜 園 を rA組 菜 園 J と呼び, 5月 の土作りからスタートし,キュウリ, ト マ ト , ゴ ー ヤ , か ぼ ち ゃ , ズ ッ キ ー ニ , 大 根 , 小 豆(2種類),へちまなど全部で 10種 類 の 野 菜 を 栽 培 し た 。 単 式 学 級 で は 学 年 単 位 で 実 施 し て い る 活 動 を 複 式 学 級 で は 4学 年 合 同 で 実 施 す る
こ と で , 当 番 の 責 任 を 果 た す こ と の 大 切 さ , 上 級 生 へ の 尊 敬 と あ こ が れ , 下 級 生 に 対 す る 思 い や り の 心 な ど を 学 ぶ こ と が で き た 。 副 校 長 や 栄 養 教 諭 も 参 加 し た 栽 培 活 動 , 収 穫 の 喜 び , 自 分 た ち が は ぐ く ん だ 命 を 食 べ 物 と し て い た だく体験は, A組 の 児 童 に は 貴 重 な 宝 と な っ て い るo
音 楽 集 会 : 文 化 ・ 芸 術 月 間 の 取 り 組 み と し て 実 施 さ れ た 北 斗 祭 ( 音 楽 集 会 ) には 1...4年 の 児 童 が 一 緒 に な っ て , 全 校 児 童 の 前 で 歌 と 表 現 を 行 っ た 。 そ の 成 果 は , 単 式 学 級 の 子 供 た ち ゃ 学 校 教 職 員 か ら 高 く 評 価 さ れ る も の で あ っ た 。 そのた:保護者も一緒に行った「親子遠足j,長崎市立浪平小学校との交流,
合同授業などを実施した。
( 3 )
保 護 者 と の 連 携本 校 で 複 式 教 育 を 開 始 す る と き の 重 要 な 課 題 の 一 つ が , 保 護 者 の 理 解 と 協 力 を ど の よ う に し て 得 る の か と い う こ と で あ っ た 。 こ れ は , 児 童 数 の 減 少 に 伴 っ て , 公 立 学 校 に お い て も 複 式 学 級 を 作 ら な け れ ば な ら な く な っ た と き に 必 ず 生 じ る 課 題 で あ るo 平 成 17年 度 に 交 流 を 実 施 し た 長 崎 市 立 浪 平 小 学 校 も 平 成 18年 度 に は 複 式 教 育 を 始 め る 予 定 で あ る が , 本 校 の 複 式 学 級 と 交 流 を 進 め る 祭 に , 保 護 者 に も 参 加 し て い た だ く こ と で , 保 護 者 の 方 々 に 理 解 と 安 心 を 提 供 で き た の で は なし、かと思う o
平 成 17年 度 , 本 校 の A組 で は 月 に 1回程度 A組 通 信 「 ぐ ん ぐ ん す て き に J を 発 行 し て き たoその内容は,取り組んでいる活動や,複式学級での学びの特徴,
保護者からの便りなど多岐にわたるが,情報を共有することができるだけでなく,
‑78ー
連 携 し て 行 動 す る た め の よ り ど こ ろ と も な っ て い る 。 ま た , 定 期 的 に 保 護 者 と の 懇 談 会 も 開 催 し て い るo
本 校 に お け る 複 式 教 育 研 究 は , ま だ , そ の 緒 に つ い た ば か り で あ る が , 教 育 実 習において複式学級での授業実習を実施することも可能になってきた。それにあ
わせて,学部学生の中に卒業論文のテーマとして「複式学級Jを取り上げる学生も
出てきた。今後,さらに研究を深め,複式教育の充実に努めると共に,教員の養 成 ・ 研 修 に 生 か し て い く 努 力 を す る 必 要 が あ るo
参 考 文 献
1
文 部 省1995
小 学 校 複 式 学 級 指 導 資 料 算 数 編 東 洋 館 出 版 社2
文 部 省1995
小 学 校 複 式 学 級 指 導 資 料 家 庭 編 東 洋 館 出 版 社3
全 国 へ き 地 教 育 研 究 連 盟2001 21
世 紀 を 拓 く 教 育 シ リ ー ズW
ふ る さ と 発『生きる力』を育む教育の創造ーへき地・複式・小規模学校の課題解明へのア プ ロ ー チ ー
4
全 国 へ き 地 教 育 研 究 連 盟2004
新 し い 時 代 を 拓 く 心 の 教 育 シ リ ー ズH
ふるさとに立ち,逗しく生きる力を育む教育の在り方 へき地・小規模・複式学
級 を 有 す る 学 校 の 地 域 に 根 ざ し た 学 校 ・ 学 級 経 営 の 実 践 事 例 集
5
全 国 へ き 地 教 育 研 究 連 盟2005
新 し い 時 代 を 拓 く 心 の 教 育 シ リ ー ズ 皿 個 性 を 生 か し , 確 か な 学 力 を 育 む 教 育 の 在 り 方 一教育に展望をもっへき地・小 規模・複式学級を有する学校の自ら学ぶ態度・能力を身につけ,共に高まっていく 学 習 指 導 の 実 践 事 例 集 一
6
演 田 葉 子2006
小 規 模 校 に 関 す る 研 究 一 複 式 学 級 の 学 習 指 導 法 及 び 人 間 関 係 一 長 崎 大 学 教 育 学 部 卒 業 研 究7
松 本 め ぐ み2006
複 式 学 級 の 実 際 と 課 題 長 崎 大 学 教 育 学 部 卒 業 研 究‑79一