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Kyushu University Institutional Repository
チクリン ヲ トリマク チイキケイカン ノ ホ ゼン ニ シスル チイキジュウミン ニ ヨル タケ ノ リヨウカノウセイ ニ カンスル ケン キュウ
栗田, 融
Faculty of Design, Kyushu University
https://doi.org/10.15017/17128
出版情報:Kyushu University, 2009, 博士(芸術工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
第4章 立地特性からみた地域住民が関わりやすい竹林の条件
本章では、1 章で示した主要な研究目的「②立地特性からみた地域住民が関わりやすい竹 林の条件を明らかにすること」に対応するため、大分県の各竹林の立地する傾斜度、建物・
集落から竹林までの距離、道路から竹林までの距離を把握し、地域住民が関わりやすい竹林 の条件を検討した。この地域住民が関わりやすい竹林の条件は、地域住民による竹の利用可 能性を検討するうえでの活用条件の 1 つを示すものとして、7 章での検討の前提条件となる ものである。
4̶1 大分県における竹林の立地状況の把握
本節では、3-3 で把握した大分県の竹林に対し、さらに立地状況を把握するため、各竹林 の立地する傾斜度、建物・集落から竹林までの距離、道路から竹林までの距離を把握・検討 した。
4̶1̶1 大分県における竹林の立地する傾斜度
竹林の立地する傾斜度は、地域住民を含む人が竹林での活動を行う際の容易さ66)を踏まえ
「0~5 」「6~10 」「11~15 」「16~20 」「21 ~」と 5 刻みで区分を設定した。21 以上は急勾配であり、地域住民を含む人が竹林で活動を行うことを前提とした場合の影響は 同様とみて 1 つの区分とした。
竹林の立地する傾斜度区分ごとの竹林数は、図 4̶1 に示す如く、平地である「0~5 」が 96 箇所とやや少なく、「6~10 」「11~15 」「15~21 」はそれぞれ 131 箇所、171 箇所、
168 箇所とほぼ同数で、「21 ~」が 633 箇所と最も多かった。
大分県における竹林の立地する傾斜度は、平均して約 28 であり、「21 ~」が全体の約 半数を占め、比較的急な勾配の竹林が多いことを把握した。
4̶1̶2 大分県における建物・集落から竹林までの距離
建物・集落から竹林までの距離については、竹林への往来を想定し日常的な歩行距離67)を 参考に「0~250m」「251~500m」「501~1000m」「1001~2000m」「2001m~」と区分を設定した。
2001m 以上は、地域住民を含む人が平地を時速 4km で歩いた場合約 30 分以上かかる距離であ り、車両を前提とした距離と判断して 1 つの区分とした。
建物・集落から竹林までの距離区分ごとの竹林数は、図 4̶2 に示す如く、「0~250m」が 895
箇所と圧倒的に多く、「251~500m」が 220 箇所、「501~1000m」が 72 箇所であった。「1001
~2000m」「2001m 以上」はそれぞれ 9 箇所、3 箇所と少なかった。
大分県における建物・集落から竹林までの距離は、平均して約 207m であり、「0~250m」「251
~500m」の範囲に全体の約 9 割が立地しており、平地で 10 分以内の徒歩圏にある竹林が多い ことを把握した。
4̶1̶3 大分県における道路から竹林までの距離
道路から竹林までの距離については、道路と竹林との間の道具や竹材などの運搬作業を想 定した人の労力を前提として、伐竹業の対象距離 48)を参考に「0~50m」「51~100m」「101~
150m」「151~200m」「201m 以上」と 50m 刻みで区分を設定した。道路のないところでの運搬 作業等を考える場合の 201m 以上は十分離れた距離であり、地域住民を含む人の利用を前提と した場合の影響は同様とみて 1 つの区分とした。
道路から竹林までの距離区分ごとの竹林数は、図 4̶3 に示す如く、「0~50m」が 501 箇所と 最も多く、「51~100m」が 113 箇所、「101~150m」が 190 箇所、「151~200m」が 107 箇所であ った。最も遠い「201m~」が 288 箇所とやや多いことが把握された。
大分県における道路から竹林までの距離は、平均して約 159m であり、「0~50m」という比 較的道路に近接した竹林が全体の約 4 割を占める一方、「101~150m」「151~200m」「201m~」
を合わせると 585 箇所となり、作業を前提とした場合に比較的道路より離れた場所に立地す る竹林が約半数あることを把握した。
4̶2 大分県における竹林の利用対象者の検討
本節では、竹林へ人が関わる場合、どのような人が利用対象者となるか検討した。
3̶1 では、大分県では歴史的に竹に関わる産業への従事者が多く、現在でも各種竹産業が 成立していることを把握した。この中で竹林へ直接関わる利用対象者としては、図 3̶5 で示 したように、竹林所有者と竹材を供給する立場にいる元従事者を含めた伐竹・製竹業者が挙 げられる。また、これまで消費者として竹産業に従事していない地域住民は、最も人口比率 の大きい利用対象者として考えられる。以上の検討結果を、表 4̶1 に示した。
図 4̶1 竹林の立地する傾斜度区分ごとの竹林数
図 4̶2 建物・集落から竹林までの距離区分ごとの竹林数
図 4̶3 道路から竹林までの距離区分ごとの竹林数
表 4̶1 竹林の利用対象者
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4̶3 竹林の立地特性からみた地域住民を含む人の関わりやすさ
本節では、竹林の利用対象者が、竹林を利用する場合の竹林の立地特性からみた関わりや すさを検討した。4̶1−1~4−1−3 の結果から、竹林の立地する傾斜度、建物・集落から竹林ま での距離、道路から竹林までの距離について利用を前提とした地域住民を含む人の関わりや すさに対する難易度条件を設定した。また、難易度条件ごとの竹林数を把握する(表 4̶2)
とともに、難易度条件に対する竹林の立地特性を図化し図 4̶4 に示した。
竹林で活動しやすい傾斜度の条件設定では、ほぼ平地であり多様なレクリエーション活動 が容易とされる「0~5 」を「活動容易傾斜」、次いでなだらかな傾斜面で多様な活動が可能 な範囲とされる「6~20 」を「活動可能傾斜」、きつい傾斜面で活動に制約の大きい「21
~」を「活動困難傾斜」とした。大分県における竹林で活動しやすい傾斜度ごとの竹林数は、
「活動容易傾斜」で 96 箇所と最も少なく、「活動可能傾斜」で 470 箇所、「活動困難傾斜」で 633 箇所と最も多く全体の約半数であった。
接近しやすい建物・集落から竹林までの距離の条件設定では、日常利用を目的として容易 に歩いて接近できる「0~500m」を「接近容易距離」、次いで日常的に接近可能な「501~1000m」
を「接近可能距離」、それより離れる「1001m~」を「接近困難距離」とした。大分県におけ る接近しやすい建物・集落から竹林までの距離ごとの竹林数は、「接近容易距離」が 1115 箇 所と圧倒的に多く全体の 9 割強を占め、「接近可能距離」は 72 箇所、「接近困難距離」は 12 箇所とわずかであった。
作業しやすい道路から竹林までの距離の条件設定では、人の労力を前提に伐竹業者が原則 として伐竹の対象とする48)「0~50m」までを「作業容易距離」、伐竹業者が伐竹を行う場合も ある48)「51~100m」までを「作業可能距離」、それより離れる「101m~」を「作業困難距離」
とした。大分県における作業しやすい道路から竹林までの距離ごとの竹林数は、「作業可能距 離」が 501 箇所と全体の約 4 割を占め、「作業可能距離」は 113 箇所、「作業困難距離」は 585 箇所と最も多く全体の約半数であった。
表 4̶2 地域住民を含む人の竹林への関わりやすさの難易度条件
図 4̶4 関わりやすさの難易度条件ごとの竹林の立地特性
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4̶4 地域住民を含む人の関わりやすさからみた立地特性による竹林の関与タイプの設定 本節では、4̶3 で設定した関わりやすさの難易度条件の組み合わせから、表 4̶3 に示す如 く竹林の関与タイプを設定した。
「竹林の立地する傾斜度」「建物・集落から竹林までの距離」「道路から竹林までの距離」
の 3 条件とも「容易」の場合は“関与容易 A タイプ”、2 条件が「容易」で 1 条件が「可能」
な場合は“関与容易 B タイプ”とした。3 条件のうち1条件が「容易」で 2 条件が「可能」
な場合は“関与可能 A タイプ”、3 条件とも「可能」な場合は“関与可能 B タイプ”、1 条件の み「困難」な評価がある場合は“関与困難 A タイプ”、2 条件以上「困難」な評価がある場合 は“関与困難 B タイプ”とした。
“関与容易タイプ”は、利用者への制約が比較的少なく、“関与可能タイプ”は、利用者へ の制約がともない、“関与困難タイプ”は、利用者への制約がたいへん厳しい条件である。立 地特性からの検討の結果、以上の利用者の関わりやすさに対する難易度条件に従って、3 つ の基礎的な関与タイプに各 2 タイプの計 6 つの竹林の関与タイプが設定できた。
4̶5 地域住民が関わりやすい竹林の条件
本節では、4̶4 で設定した関与タイプについて、4̶2 で示した利用対象者の視点から、竹林 への直接的な関わりを検討し、地域住民を含む人が関わりやすい竹林の条件を類型化した。
専門家である竹材供給業者は、関与タイプすべての竹林が対象となる。“関与困難 A タイプ”
は関わり方への制約が大きいが、竹林への関与が不可能ではないものである。“関与困難 B タ イプ”は、専門業者であっても竹林への関与が困難なものであり、利用への制約がたいへん 大きいものである。
地域住民は、利用目的や利用方法の設定次第で、竹林へ直接関与する利用対象者として十 分に考えられる。しかし、竹との関わりに経験が不足しているため、竹林での活動に経験者 のサポートが前提となる。“関与容易 A タイプ”はたいへん関わりやすい竹林であり、経験者 のサポートを得て、日常的な行動の中で地域住民が竹林を利用できる可能性の高いものであ る。“関与容易 B タイプ”はやや関わりやすい竹林であり、経験者のサポートを得て地域住民 が竹林を利用できる可能性のあるものである。“関与可能 A タイプ”は関わり方に制約があり、
経験者のサポートを得て地域住民が竹林を利用することが不可能ではないものである。“関与 可能 B タイプ”“関与困難 A タイプ”“関与困難 B タイプ”は、専門業者であっても制約条件 が大きく、地域住民の利用対象としては考えにくい。
関与タイプごとの竹林数は、“関与容易 A タイプ”が 69 箇所、“関与容易 B タイプ”が 193 箇所、“関与可能 A タイプ”は 47 箇所、“関与可能 B タイプ”は 5 箇所、“関与困難 A タイプ”
は 551 箇所と最も多く、“関与困難 B タイプ”は 334 箇所であった。“関与容易”な竹林は A、
B 合わせて全体の約 2 割、“関与可能”な竹林は A、B 合わせても最も少なく、“関与困難”な 竹林は A、B 合わせて全体の約 7 割と最も多かった。表 4̶4 に以上の結果を整理した。“関与 困難”な竹林が多いのは、傾斜度の急な斜面に立地する竹林の多さに起因する。マダケ林を 多く擁し、各種竹産業との結びつきの強い大分県においては、竹材供給者による竹林への関 与が前提となってきたことがうかがえる。
表 4̶3 関わりやすさの難易度条件からみた竹林の関与タイプの設定
表 4̶4 竹林の関与タイプと利用対象者との関係
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4̶6 考察結果
本章では、竹林の立地特性からみた地域住民が関わりやすい竹林の条件として、以下の諸 点を明らかにした。
・4̶1 節では、地域住民を含む人が竹林へ関わる場合の難易を判断するため、竹林の立地す る傾斜度、建物・集落から竹林までの距離、道路から竹林までの距離を把握・検討し、竹 林の立地状況を明らかにした。具体的には、大分県における竹林は、比較的急な勾配に多 く立地し、建物・集落からは比較的近い徒歩圏に多く、道路からは比較的近接したものと 離れたものがほぼ半数ずつ認められた。
・4̶2 節では、竹林の利用を検討するうえで前提となる利用対象者を明らかにした。具体的 には、竹林の利用対象者として竹材供給者である竹産業従事者(元従事者含む)と地域住 民を挙げた。
・4̶3 節では、竹林の利用対象者が竹林へ関わる場合の立地特性からみた難易度を明らかに した。具体的には、竹林の立地する傾斜度より「活動容易傾斜」「活動可能傾斜」「活動困 難傾斜」を、建物・集落から竹林までの距離より「接近容易距離」「接近可能距離」「接近 困難距離」を、道路から竹林までの距離より「作業容易距離」「作業可能距離」「作業困難 距離」を難易度条件として示した。
・4̶4 節では、4̶3 で示した難易度条件の組み合わせから、竹林への関与タイプを設定した。
具体的には、「竹林の立地する傾斜度」「建物・集落から竹林までの距離」「道路から竹林ま での距離」の 3 条件に従い、“関与容易タイプ”“関与可能タイプ”“関与困難タイプ”各 2 タイプの計 6 タイプを設定した。
・4̶5 節では、4̶4 で設定した竹林への関与タイプについて、4̶2 で示した利用対象者との関 係を類型化し、地域住民が関わりやすい竹林の条件を明らかにした。具体的には、竹林へ の関わりやすさについて、竹産業従事者への制約はそれほど大きくはないが、地域住民が 関わりやすい竹林の条件は“関与容易 A タイプ”“関与容易 B タイプ”であり大分県におけ る約 2 割の竹林が該当した。次いで、地域住民が関わりやすい竹林の条件は“関与可能 A タイプ”で大分県における約 0.4 割の竹林が該当することを示した。