• 検索結果がありません。

歴史系博物館における子ども向け展示会

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "歴史系博物館における子ども向け展示会"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

歴史系博物館における子ども向け展示会

著者 宮前 千雅子

雑誌名 阡陵 : 関西大学博物館彙報

巻 43

ページ 11‑12

発行年 2001‑09‑30

URL http://hdl.handle.net/10112/00024062

(2)

歴史系博物館にお ける子ども 向け展覧会

1. はじめに

ここ数年、博物館において子ども向けの展覧 会が開催されることが多くなってきた。夏休み ともなると、その数はさらに増える。例えば今 年の8月にどのような子ども向け展覧会が開催 されたのか(ワークショップや展示解説等の行 事 も 含 む ) を 認 べ て みた ( 『 博 物 館 研 究

J

Vol.36 No.7  2001年7月25日)。美術系では掲 載されている館の1割強にあたる24館、歴史系 ではおよそ2割の37館あった。もちろん、タイ

トルだけでは子ども向けだと判明しない展覧会 もあるだろうから、実際にはもう少し多いので はないかと思われる。

2. "子ども"ブームの到来

このような 子ども ブームは、なぜ起こっ たのだろうか。元々、日本の博物館において、

子ども向けの展示が盛んに行われてきたとは言 い難い。しかし最近になり、海外での子ども博 物館の取り組みが紹介されたり、生涯学習の振 興、そして学校週5日制に向けての取り組みな どが進むにつれ、博物館全体が子ども向けの展 示に関心を示すようになってきたし東京青山の こどもの城やキッズプラザ大阪など、いくつか の子どものための博物館及び相当施設も建設さ れた。しかし、その数は非常に限られたもので ある。

このような現状を考えると、一般博物館にお いての子ども向けの展覧会は、数少ない子ども 博物館を補完するものとしての位置付けが出来 るであろう。

また1999年から3年間の予定で実施されてい る文部省(現文部科学省)による「親しむ博物 館づくり事業」は、一般博物館においての子ど も向け展示、とりわけ参加型の展示や取り組み を後押ししている。さらには2002年から教育現 場で実施される「総合的な学習の時間」や、同 じく2002年度から完全実施される学校週5日制 の導入に伴い、子どもと博物館の関係は今以上 に親密になることが期待されている。

宮 前 千 雅 子

3. 子ども向け展示の内容

では、子ども向け展覧会としてどのような展 示がおこなわれているのであろうか。歴史系の 薄物館の展示を見てみよう。

ここでは、実際に筆者が訪れた辰馬考古資料 館(兵庫県西宮市)と、亀山市歴史博物館(三 重県亀山市)の二つの事例を紹介したいと思う。

辰馬考古資料館は、毎年夏休みを含む時期に、

子ども向けの展示として夏季教室展を開催して いる。今年の夏季教室展は、 6月16日から9月 2日の間、「考古学入門教室」と題しておこな われていた。そこでは、「考古学はなにをしら べるか」「年代のきめかた」「地層のはっくつ」

「家のはっくつ」「文化のうつりかわり」「文化 のひろがり」「物のかんさつ」「考古学でわから ないこと」「あたらしい考古学」といった項目 についての展示がおこなわれていた。全て初歩 的なものであり、放射性炭素年代測定法なども 簡単にわかりやすく説明がなされていた。印象 的だったのは、考古学というと展示資料につい ての説明が多いように思うが、もちろんそれに ついての説明はあるのだが考古学とは何かを説 明することに主眼が置かれていた点である。

それに一役買っていたのが、「土偶さん」と

「埴輪くん」による会話形式のパネルである。 関西弁でときには冗談を交えながらの2人の会 話パネルが、そのまま展示内容の説明にもなっ ていた。 最後の部分には、いわゆる参加型、ハ

ンズ・オンのコーナーである士器を手で触るこ

4 1 ,  

ハンズ・オンのコーナー (辰馬考古資料館)

11 

(3)

とのできる展示も設けられていた。

小学校低学年には少し難解かも知れないが、

それ以上、そして考古学にあまり興味の無い大 人にも、十分耐えうる内容であるように思う。

考古学ファンならいざ知らず、一般の人間には なんとなく近寄りがたいイメージのある考古学 が、身近に感じられる展示であった。

次に亀山市歴史博物館の事例を紹介しよう。

亀山市歴史博物館では、毎年夏休みに「こども も!おとなも!調べて体験博物館」と題して、

企画展示をおこなっている。今夏は「和紙でで きたもの・和紙をつかったもの一どうやってで きとるの?」というタイトルのもと、 7月20日 から9月2日まで展示がおこなわれた。展示構 成は「和紙で香いた書類や手紙」「和紙にすっ

た印刷物」「裏方としての和紙」「和紙の意外な つかい方」となっており、文書の他、屏風や蛇 の目傘、行灯などが展示されている。また掛け軸 を自分で掛けることができるコーナーもあった。

筆者が特に典味をそそられたのは、立体物だ けではなく文書も対象とした展示であることで ある。文害の展示というと子どもを対象とした 展示でなくても、「地味で質素な」というイメ ージがあり、とかく敬遠されがちである。その 文書を、子どもも範疇に入れた展示で正面から 扱うというのは全国的にも非常に珍しい。

筆者が訪れた際には、残念ながら子どもが展 示を見ている光漿にはお目にかかれなかった。

しかし団体で見学に来ていた大人たちが、とて も真剣に、また楽しそうに博物館の展示を見学 している姿が仰象的だったu

また参加型、ハンズ・オンの部分も上手く紺 み込まれていたように思う。見学者には展示を 見る前に調査ノートが手渡され、あらかじめ4 か所に穴が開けられたそれを自分で糸と針を持 って綴じることから始まる。つまり、和綴を体 験することになる。展示を見学する際にはその

ノートを手にして、書き込んでいく。

4. おわりに

歴史系博物館の子ども向け展示を見てきた。

最後に、歴史を扱う子ども向け展示で、何が大 切なのか考え得る範囲で述べてみたいと思う。

まず一般的に歴史をテーマとした子ども向け 展示は難しいのではないかと思われるしという のも、歴史をテーマとした展示で扱われている

12 ‑

展示に見入る見学者(亀山市歴史博物館)

資料の殆どは、現在の生活ではあまり使用され ていないものであり、特に子どもにとっては見 たこともないものも多いであろう。それへの好 奇心をどういざなうか、工夫が必要な点である。

また、子ども向け展示には参加型の要素が不 可欠である。これまで歴史系で参加型というと、

考古学関連で「土器・石器を触ろう」 「勾玉を 作ろう」などといったもの、また民俗学関連で

「農具を使おう」などといったものが多かった ように思う。亀山市歴史博物館の事例は、文書 を用いた場合も、参加型が可能であることを示 唆しているように思う。博物館資料としてはか なりの数にのぽるはずの文書を、上手く使いた いものである。

亀山市歴史博物館、そして辰馬考古資料館の 例からも、子ども向けとして開催されている展 示ではあるが、大人も十分に楽しめるものであ ることがわかる。子どもだけで館を訪れること が少ない現状を考えると、そうあるべきであろ う。またそこで用いられている参加型という手 法は、これまでの博物館から見学者への一方向 の流れだけでなく、見学者から博物館への流れ も含めた双方向の関係を生み出す。見学者の意 見を確実に展示に反映させることになり、展示

の充実にもつながるに違いない。

緒についたばかりの子ども向け展覧会である が、今後、どのような展示が各館でおこなわれ ていくか、輿味深く見続けていきたいと思う。

付記:本稿をまとめるにあたり、亀山市歴史薄物館学芸 員の小林秀樹氏、及び辰馬考古資料館学芸貝の矢野健一 氏のご教示を賜りました。ここに記してお礼申し上げます

参照

関連したドキュメント

教育・保育における合理的配慮

1-1 睡眠習慣データの基礎集計 ……… p.4-p.9 1-2 学習習慣データの基礎集計 ……… p.10-p.12 1-3 デジタル機器の活用習慣データの基礎集計………

子どもが、例えば、あるものを作りたい、という願いを形成し実現しようとする。子どもは、そ

と言っても、事例ごとに意味がかなり異なるのは、子どもの性格が異なることと同じである。その

目標を、子どもと教師のオリエンテーションでいくつかの文節に分け」、学習課題としている。例

 親権者等の同意に関して COPPA 及び COPPA 規 則が定めるこうした仕組みに対しては、現実的に機

□一時保護の利用が年間延べ 50 日以上の施設 (53.6%). □一時保護の利用が年間延べ 400 日以上の施設

◯また、家庭で虐待を受けている子どものみならず、貧困家庭の子ども、障害のある子どもや医療的ケアを必