• 検索結果がありません。

つくばリポジトリ H20

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2018

シェア "つくばリポジトリ H20"

Copied!
88
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

筑波大学大学院図書館情報メディア研究科博士前期

課程学位論文抄録集(平成20年度)

雑誌名

筑波大学大学院図書館情報メディア研究科博士前期

課程学位論文抄録集

平成20年度

発行年

2009- 03

(2)

筑 波 大 学 大 学 院

図書館情報メディア研究科博士前期課程

学 位 論 文 梗 概 集

平成

2

0

年 度

(3)

は じ め に

平 成2 0年 度 筑 波 大 学 大 学 院 図 書 館 情 報 メ デ ィ ア 研 究 科 図 書 館 情 報 メ デ ィ ア 専 攻 博 士 前 期

課 程 修 了 者 の 修 士 学 位 論 文 梗 概 集 を 刊 行 い た し ま す 。 本 梗 概 集 に は 本 研 究 科 の 多 様 で 先 端

的 な 研 究 の 成 果 が 集 結 し て お り ま す 。 こ こ に 学 生 の 皆 様 の 修 士 論 文 作 成 ま で の 努 力 を 讃 え

る と と も に 、 指 導 教 員 、 副 指 導 教 員 や 査 読 者 を 始 め と す る 論 文 作 成 に 関 わ ら れ た 教 員 各 位

お よ び 学 生 の 研 究 活 動 を 支 え ら れ た 支 援 室 の 職 員 の 方 々 に 感 謝 申 し 上 げ ま す 。 ま た 、 皆 様

と と も に 研 究 生 活 を 送 り な が ら 、 志 な か ば で 逝 か れ た 菊 地 尭 君 の ご 冥 幅 を 心 よ り お 祈 り 致

します。

図 書 館 情 報 メ デ ィ ア 研 究 科 は 、 「 情 報 メ デ ィ ア に よ る 社 会 の 知 識 共 有 と そ の 仕 組 み に 係 る

研 究 を 発 展 さ せ 、 新 し い 時 代 に 向 か っ て 社 会 を リ ー ド す る 人 材 を 養 成 す る こ と 」 を 使 命 と

し て か か げ 、 「 社 会 に お け る 知 識 ・ 情 報 の 共 有 や 、 そ の 仕 組 み と し て の 図 書 館 や 情 報 ネ ッ ト

ワ ー ク 」 を 対 象 に し た 、 人 文 学 、 社 会 科 学 、 理 工 学 等 の 多 様 な ア プ ロ ー チ か ら の 総 合 的 ・

複 合 的 な 教 育 ・ 研 究 を 行 っ て お り ま す 。 そ の よ う な 多 面 性 を 実 現 す る た め に 、 情 報 メ デ ィ

ア マ ネ ー ジ メ ン ト 分 野 、 情 報 メ デ ィ ア 社 会 分 野 、 情 報 メ デ ィ ア シ ス テ ム 分 野 、 情 報 メ デ ィ

ア 開 発 分 野 の 四 つ の 教 育 研 究 領 域 を 設 置 し 、 ま た 修 士 の 学 位 も 図 書 館 情 報 学 、 情 報 学 、 学

術 を そ ろ え て お り ま す 。 ち な み に 本 年 度 に お け る 本 研 究 科 の 修 士 学 位 取 得 者42名の内訳は、

教 育 研 究 領 域 別 で は 情 報 メ デ ィ ア マ ネ ー ジ メ ン ト 分 野 が 15名 、 情 報 メ デ ィ ア 社 会 分 野 が 8

名 、 情 報 メ デ ィ ア シ ス テ ム 分 野 が 10名 、 情 報 メ デ ィ ア 開 発 分 野 が9名 、 ま た 学 位 の 種 類 別

で は 図 書 館 情 報 学 が 18名 、 情 報 学 が 21名 、 学 術 が 3名でした。

博 士 前 期 課 程 の 修 了 者 は 、 公 的 機 関 や 企 業 等 で 図 書 館 情 報 メ デ ィ ア に 係 る 専 門 家 と し て

実 務 に 携 わ る も の 、 将 来 こ の 領 域 の 先 駆 的 な 研 究 者 に な る べ く 博 士 後 期 課 程 に 進 学 す る も

の な ど さ ま ざ ま で す 。 ど の よ う な 職 に つ か れ よ う と も 、 修 了 生 各 位 が 、 本 研 究 科 で 学 ん だ

事 や 修 士 論 文 を 完 成 さ せ る ま で の 研 究 生 活 の 中 で 得 た 知 見 を 活 か し 、 知 識 情 報 社 会 の フ ロ

ン テ ィ ア と し て 活 躍 さ れ る こ と を 期 待 し ま す 。

こ の 修 士 学 位 論 文 梗 概 集 は 一 論 文 当 り 2 ペ ー ジ と い う 分 量 を 設 定 し て お り ま す 。 研 究 領

域 に よ っ て は 不 十 分 で は あ る か も 知 れ ま せ ん が 、 学 会 等 の 講 演 予 稿 集 程 度 の 分 量 で あ り 、

研 究 内 容 の 骨 格 を 知 る に は 十 分 と 考 え ま す 。 修 了 生 や 本 研 究 科 の 教 員 ・ 学 生 は も と よ り 、

関 連 す る 研 究 に 興 味 を 持 た れ て い る 多 方 面 の 方 々 に ご 利 用 い た だ き 、 図 書 館 情 報 メ デ ィ ア

研 究 の 発 展 に 役 立 て て い た だ け れ ば 幸 い で す 。

2 0 0 9年 3月

(4)

《修士(図書館情報学) 》

野村聡美

F R BR

の実体モデルに基づくマンガのためのメタデータスキーマ

………

l

井 上 拓 ボローニャ・プロセスとポルトガルの大学図書館における学習支援

笠 原好美

寒 河 江 朋 美

佐藤容子

鈴 木 小 百 合

高瀬洋子

武子恵 子

品 本壽 子

滑 川 貴之

西村有香

野口麻美

森 祥 子

レ加りィッツ紀 子

大谷 裕

城山 泰彦

機能の発展 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

小島為善献上の料理書につしヽて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

中国の祠廟につしヽてのデータベース作成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

7

日本の公立図書館における雑誌資料

一都道府県立・政令指定都市立図書館の場合ー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・9

博物館資料情報の電子化について∼民具資料を中心として∼

………

・11

日野市立図書館における図書館サービスの形成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13

電子番組案内を指向したビデオコンテンツのためのメタデータモデル …

15

大学図書館の機関リポジトリにおけるArt i cl es コンテンツの検証

………

17

中小事業者の情報行動からみた公共図書館のビジネス支援サービス

… ・

1

9

日本の国語科教育における大村はまの読書生活指導

… … … ・

2

1

大学生の情報リテラシーにおける批判的思考 ・・・・・・…. . ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2

3

大学図書館における業務アーキテクチャの研究

… … … ・

2

5

命題間の連接関係に基づくマクロ構造の分析

ーマニュアルテキストを対象として一 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27

日本の新聞に取り上げられる科学論文の傾向につしヽて

… … … ・

2

9

開発途上国研究者の情報生産と利用

ー医学分野におけるHI NAR I イニシアチブが与える影響ー

………

・・31

芦 川 肇 横浜市図書館におけるサービス・運営の改革につしヽて

… … … …

・33

常世田 良 浦安市立図書館の運営に関する考察

《修士(情報学) 》

麻原生 子

尾池竜 太

大内 真

川 原三 嗣

木 内 泰

ー主として

1

9

8

5

,....___,2

0

0

0

年を対象に一

3

5

研究者の論文生産性と特許生産性の相互関係

3

7

イメージ操作における色と形の統合に関する心理学的研究

……… ・

3

9

強相関ペロブスカイト型酸化物Ca V 0 3 の電子状態

……….

.

41

個体差を考慮した楽器の音源同定に関する研究

… … … …

・43

携帯を利用したコミュニケーションの影響と教育実践への応用

(5)

木 村友秋

小 坂 貴 恵

坂 田正伸

佐々木 智

島 田 諭

高 野恵義

中村怜子

Tam

ot su N

om

ur a

橋本 泰治

福島雄司

藤 井美 緒

堀田久 貴

三島 侑子

三 森 祐 一 郎

高,

紅霞

評判情報の検索における隠語的造語法の応用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・47

We bサイト閲覧時の注目点の移動とその誘因

一認知心理学的実験による検討ー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49

視覚運動性手続き系列の記憶に関する心理学的研究 … … … …・51

回答の根拠を提示するヘルプデスク型質間応答システム … … … …・53

語の反復度と共起関係を用いた包括的We bナビゲーションに関する

研究 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55

高校生を対象としたメディア・リテラシー育成のための授業の開発と

評 価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・57

代数方程式のガロア群と折紙による解法につしヽて •………•……··59

Pr omot i ng t he Ut i l i zat i on of Legal I nf or mat i on i n Revol ut i onar y

a n d I nnovat i ve Ti mes・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・61

境界音場制御の原理を利用した音場の局所再生および音の指向性制御

方法の研究 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63

X P a th充足可能性問題の多項式時間可解な部分間題に関する研究 … …・・65

場面の連鎖構造を用しヽた物語の表現 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・67

説明に用しヽられる視点に着目した知識メタデータの構築 … … … …・69

青少年とインターネット

ー違法・有害情報対策に関する近年の動向ー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・71

分散ファイル群高度管理のためのミドルウェアの開発 ••………··73

キリルモンゴル語We bページの縦書きモンゴル語への自動変換シス

テ ム ・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75

《修士(学術) 》

大 崎純

新規プロセスで作製されたシリコン微細

MO S

トランジスタの

ED

1R

分光研究 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・77

鹿児島県立図書館長・椋虹鳥十 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・79

日常的な学習環境を活かしたメディア・リテラシー育成のための体験型

(6)

F R B R

の実体モデルに基づくマンガのためのメタデータスキーマ*

1

.

.

はじめに

マンガの配信メディアの多様化に伴い、マンガ

に関する情報要求の多様化が進んできている。

しかし、・マンガを利用する人の要求が多種多様

になってきたなかで、マンガ作品の物理的構造

や知的内容に関する情報や書誌データなど、

様々な側面を総合的にとらえたマンガメタデータ

が必要であると考えた。

本研究では、マンガのためのメタデータのモデ

ル開発に取り組んできた。以下の3つのメタデー

タのモデルを基礎として、それらを統合し、マン

ガのためのメタデータモデルを作成した。

書 誌 事 項 を 表 す メ タ デ ー タ :F une廿onal

Requi r ement s f or Bi bl i ogr aphi c Rec or ds

( F RBR)の実体モデル

知的内容を表すメタデータ: Wi ki pedi a の記

述フレームワーク ( Wi ki pedi a のマンガ作品

における記事で提供されている目次やテン

プレートから、マンガ作品の内容を表すた

めに必要な項目を整理したもの。)

マンガの物理的構造を表すメタデータ:

TV- Any t i me メタデータ(サーバ型放送シス

テムにおいて、ビデオコンテンツを効率よく

配信するために提供されたもの。)

2 関 連 研 究

Comi c Bo o k Ma r k up L anguage( CBML ) [ l ]は、

アメリカンコミックを X M Lで記述するために、マン

ガのページ画像と XM L を対応させることを意図

して作られたメタデータである。

*

" Met adat a Sc hema for Mang a based on the Enti ti es

of Funct i onal Requi r ement s for Bi bl i ographi c Recor ds ( FRBR) " by Sal omi NOMU R A

野 村 聡 美 ( 学 籍 番 号 200621329)

研 究 指 導 教 員 : 杉 本 重 雄

マンガのコマを基礎として構造を表現する点は

同様であるが、書誌情報や知的内容の表現を指

向したものではない。

Fi ct i on Fi nder [ 2]は、O C L CがWor l d Cat から抽

出した書誌レコードにおいて F R B R モデルに基

づいた検索・表示をさせることができる。小説を

対象としておりストーリーを持つ実体を扱う点で

は本研究と同様であるが、マンガを直接的に対

象とはしていない。

3 マンガメタデータのモデルとスキーマ

3.1 マンガメタデータのモデルの提案

本研究では、 F R B R の実体モデルをベースに、

書誌情報、物理的構造、知的内容それぞれの視

点からマンガのためのメタデータモデルを作成し

た(図 1)。

まず、 F R B R の実体モデルを参考にして、内容

を持った作品 ( Wor k)を、表現方法の異なる表現

形 ( Expr essi on) に対応づけ、それらをメディアの

異なるもの体現形 ( Mani f est at i on)に対応づけて

あらわした。そして、 Mani f est at i on の下に構造記

述として、 1話、ページ、コマまでの構造に分けた。

ここでは、 T V- Any t i meにおけるビデオコンテンツ

を時間で区切った Segment (セグメント)を、マン

ガのコマに対応させた。話とページの間にシーン

を追加した。シーンは、論理的な構造であり知的

内容に基づきストーリー構造を表現するために

導入したものである。

メタデータとして扱う上では、 F R B R の第 3 グル

ープとWi ki pedi aの記述フレームワークを組み合

(7)

lo

血 四 西 ' ! )

I

匹 RGr . 1 》

むI Ul G<. 3)

Y lo ャ

I

セ@

:這

: : :

Jt

:!!.1

1

-0

)

戸 声 ] に ー ブ 匹 ・11!111匹 、 峙 代 名 ・所11人枷 Q セi

セセ

ス 渾 蔓

i ] .作品1::731:1るキーワード

図1 マンガメタデータ全体図

以上、 3 つの視点を組み合わせ、関連を持た

せることにより、すべての視点からリソースやマン

ガ作品の情報にアクセスすることができる。

3. 2 マンガメタデータの表現

提案したモデルに基づき、いくつかのマンガを

例として、 Topi c Ma ps によるメタデータ記述を行

った。メタデータ記述およびメタデータの利用実

験には、Ont opi a社の O K S を用いた。この実験で

は、Wi ki pedi a からいくつかマンガ作品の記述要

素を、提案したモデルに基づきメタデータを表現

した。メタデータのクラスやエレメントどうしの関連

を示した図2 は、「 S L A M D U N K」に関する記述

を行ったものの中から、トピック: S L A M D U N K を

中心として関連トヒ゜ックを表示したもので、多数の

関連を持っていることがわかる。

図2

4

本研究は、マンガの統合的・形式的なメタデー

タモデルを作ることを目的として研究を進めた。メ

タデータの形式的モデルを定義するには、記述

対象実体のクラスを定義する必要がある。そこで、

本研究では、F R B Rの実体のグループをクラス分

けの基本と使用としたが、 F R B R の実体定義が役

割と実体の種類に基づく定義になっているため

に、そのままでは知的内容の視点からのクラス分

けとの整合性を欠くことが明らかになった。本研

究では、F R B Rの第 3グループ実体の定義を拡

張することでこの問題を解決した。このように、

F R B Rの第 1 3グループの実体の種別をそのま

ま知的内容の表現と組み合わせると矛盾をきた

すことに気づいた点が、本研究から得られた基

礎的知見の一つである。

提案したモデルの有用性を確認するには実際

のマンガに対して数多く適用してみる必要がある

が、本研究で進めた Topi cMa ps による試験的実

現により、本モデルの基礎的な検証ができたと考

えている。

文 献

[ 1] " C BML : Comi c Book Ma r k up Language" .

2006. School of Li br ar y and I nf or mat i on

Sci ence, I ndi ana Uni versi t y. ( onl i ne) ,

avai l abl e f r om

<ht t p: / / www. cbml . or g/ cont act . ht ml >

[2] " OCLC- Fi c t i on Fi nder ". 2007. OC L C

Onl i ne Comput er Li br ar y Cent er, Inc.

( onl i ne) , avai l abl e f r om

(8)

ポローニャプロセスとポルトガルの大学図

における学習支援機能の発展拿

1

.

はじめに

現在E Uにおいては、高等教育の競争力を強化す

る目的で、ボローニャ・プロセス( Bol ogna Pr ocess) と

いう計画が建てられ、その取組みが積極的に推進さ

れている。ボローニャ・プロセスにおいては、学習成

果(ラーニング・アウトカムズ)の設定を適切に行うこ

とが目指されている。このような学習成果を志向する

高等教育改革を実質化していくにあたっては、学生

の自主的な学習を支援する学習の場の確保・整備

が必須であり、大学図書館の学習支援機能にも大き

な影響を与えていると考えられる。

そこで本研究では、ボローニャ・プロセスの進展に

おける高等教育の実質化の実態を明らかにする。特

に大学図書館の学習支援機能に着目し、ボローニ

ャ・プロセスの進展がそれらに与える影響について

考察する。具体的な対象国はポルトガルとし、E Uの

高等教育政策が与えた影孵を、ポルトガルの大学図

書館において検証する。

2 文 献 調 査

まず、文献調査により、E Uにおける高等教育政策

の概歴およびボローニャ・プロセスの概要を把握し、

ボローニャ・プロセスと大学図書館との関わりを検証

した。

ボローニャ・プロセスにおいて大学図書館への直

接の言及は見られないものの、学習成果や生涯学

習を重視するボローニャ・プロセスの実質化に際し

て、 E Uの大学図書館では、学生が自立的に問題解

" B

ol ogna P

ro

cess an

d

D

evel opm

ent o

f Leam

i ng

Su

p

p

o

rt

Fu

n

ct i o

n

s

in

P

o

rt u

gu

ese

Academ

i c

Li b

ra

ri e

s" by Taku I NOUE

井上拓(学籍番号

200721517)

研 究 指 導 教 員 : 溝 上 智 恵 子

副 研 究 指 導 教 員 : 平 久 江 祐 司

決を行うための学習活動を支援するサービス・設備

が必要であるとの認識が高まっている。

一方、アメリカの高等教育においても、学習成果へ

の関心が高まっており、現在多くの大学がそれぞれ

のミッションに基づく学習成果の開発と育成に乗り出

しているが、特に大学図書館によるアプローチの1

っとして、新しいタイプの学習支援スペースである

「インフォメーション・コモンズ」が挙げられる。

インフォメーション・コモンズとは、一般的に電子的

資料やコンピュータ資源、情報ネットワークなどの環

境を整備し、グループ学習などの学生の自主的な

学習、そしてそれを支援するための人的リソースに

特に重点が置かれている学習スペースのことをさす

言葉である。インフォメーション・コモンズの明確な定

義は未だに存在しないが、様々なリソースにアクセ

スできるデジタル環境・オンライン環境、グループ学

習室、そして、司書、もしくは司書とコンピュータ・サ

ービス職員の両方が配置されたレファレンス・デスク

が主な特徴であり、デジタル環境と学生の自立的学

習の支援を重視した学習スペースであると定義され

る場合が多い。

ボローニャ宣言をきっかけとして設立された欧州

高等教育質保証協会( Eur opeanNet wor k for Qual i t y

Assur ance) が発表した『欧州高等教育圏における質

保証の基準とガイドライン』においては、学生は学習

を支援するための「図書館やコンピュータ等の物的

リソースから、チューターやカウンセラー、その他の

アドバイザーのような人的支援まで」多様なリソース

を利用するべきであると述べているが、インフォメー

ション・コモンズという概念には、これらがすべて内

包されている。このことから、ボローニャ・プロセスの

(9)

ンズの導入は十分に考えられることであろう

そこで、本研究では、先行研究の内容を検討し、イ

ンフォメーション・コモンズの定義を行ったうえで、そ

の概念を軸に、ポルトガルにおける大学図書館の実

態を検証することとした。

3.

質 問 紙 調 査

プレ調査として、ポルトガルの全大学図書館 139

館に対し、全体的な傾向を把握するための質問紙

を郵送した。この質問紙調査の結果から、「ポルトガ

ルの大学図書館においてはインフォメーション・コモ

ンズのようなモデルは普及してはいないものの、ボ

ローニャ・プロセスの進展に際してはグループ学習

室や電子的資料へのニーズの高まりがあり、図書館

はそれらに対する対応を行っている」という仮説を立

てた。この仮説を実証するため、現地での事例調査

を行った。

4.

事 例 調 査

事例調査は、アルガーヴェ大学中央図書館、セト

ゥーバル・ポリテクニク教員養成スクール図書館(以

下 CRE ) 、リスボン新大学科学技術学部図書館、お

よびポルトガル・カトリック大学ジョン・パウロ 2 世図

書館の4 館を対象に行い、本研究におけるインフォ

メーション・コモンズの定義に従って、 ( 1) 電子的資

料及びそれらにアクセスが可能な設備、 (2)人的支

援その結果、(3) 自律的・主体的な学習を支援する

ための設備、(4) 大学内外の他部局との連携に着目

し、図書館員に対するインタビュー等を行った。そ

の結果グループ学習室や情報ネットワーク環境、

子的資料などの学習支援機能が整えられていると

いう動きは各々の図書館でみられたものの、ボロー

ニャ・プロセスの影審は、現段階では機関の教務部

門において見られるものであって、図書館への直接

的な影響はまだ先であり、現在の整備状況はボロー

ニャ・プロセスの影響ではない、と図書館員には考

えられているということが明らかとなった。

また、ポルトガルにおいてインフォメーション・コモ

ンズはまだそれほど普及していないことがわかった

が、今後ボローニャ・プロセスが進展するにつれて、

名称は異なれどもインフォメーション・コモンズヘと

昇華していきそうな芽を、特にC R Eにおいて見つけ

ることができた。 C R E のコンセプトにはインフォメー

ション・コモンズとの共通点が多く見受けられ、また、

図書資料以外にも、多様なリソースや設備をC R E内

の異なる部局がそれぞれ管理している。これらのリ

ソースや設備は授業や課題等で使用されているた

め、大学の教員や他部局との連携を行いやすい環

境にあるといえる。これらの設備を図書館が管理し

ていることは、今後、インフォメーション・コモンズの

重要な要件である大学内の他部局との連携に広が

っていく可能性を感じさせる。

5

本研究では、ボローニャ・プロセスにおける質保

証の観点、とりわけ学習成果への重要視が、ボロー

ニャ・プロセスと大学図書館とを繋ぐキーワードであ

ることを明らかにした。また、ボローニャ・プロセスが

大学図書館の学習支援機能に与える影響の実態を、

アメリカの大学図書館における新しい動きであるイ

ンフォメーション・コモンズを軸としてポルトガルにお

いて検証し、図書館員にその自覚はないものの、電

子的資料や設備、利用者教育、そしてグループ学

習室にその影響が見られることが明らかとなった。さ

らに、インフォメーション・コモンズはポルトガルにお

いてはまだそれほど普及していないものの、今後イ

ンフォメーション・コモンズヘと発展していきそうな萌

芽を指摘することができた。

文 献

[ l ] Beagl e, D. The J nf ormat J ・on Commons Handbook.

Neal - Sc human Publ i shers. 2006.

[ 2] Ferrei ra, M. and Abr ant es,

J

.

0 Cent r o de Recur sos numa Escol a Superf or de Educar; . 且o

- Cont r i but o par a adef i m⑫ oda sua . i l osofi a, da sua

organi za⑫ oeda f or ma⑫ odos seus responsave1s.

Gabi net e Coor denador das Act i vi dades do Ens mo

(10)

小 島 為 善 献 上 の 料 理 書 に つ い て *

1. はじめに

江戸時代末期、小島為善は「料理人並」として加

賀藩前田家に仕え、料理人として修業を重ねる過

程で、『御料理調進方』『真砂子集』『真砂子集聞

書』(いずれも、金沢市立玉川図書館近世史料館

所蔵)の三点の料理書を書き残した。これらの資料

は、幕末期の前田家で食された料理の調理方法

について書かれた貴重な資料であるが、これまで

に翻刻や研究はなされていない。本研究では、こ

れら三点の料理書の翻刻を行い、内容を明らかに

する。また、江戸時代中期に前田家に料理人とし

て仕えた舟木伝内の料理書ともあわせて、食材や

料理ごとに分析を行い、料理の時代的変遷や嗜好

の特徴等についても考察する。

2 小 島 為 善 に つ い て

小島為善は、「料理人並」としては注目されてこな

かったが、俳人としては早くから注目されていた。

俳号を「文器」という。

為善の経歴は、明治三年( 1870) に士族長に提

出された、為善の手による「祖由緒井一類附帳」

(金沢市立玉川図書館近世史料館所蔵。半紙本、

写本、一冊、仮綴)によって知ることができる。為善

は 文 化 十 三 年( 1816) に生まれ、明治二十六年

( 1893) 四月十九日に没した。享年七十七歳であ

る。為善が「料理人並」になったのは、慶応元年

( 1865) 十二月であるが、「料理人並」は明治二年

( 1869) に廃止されたため、在任期間は僅かであ

る。

3. 『御料理調進方』について

*" A s t udy of cooki ng books by Koj i m

a

Tam

ey os hi " by Yos hi m

i K A S A H A R A

笠 原 好 美 ( 学 籍 番 号 200721524)

研 究 指 導 教 員 : 綿 抜 豊 昭

『御料理調進方』には、魚介類と鳥類について、

食材ごとに特徴や調理方法が記されている。全部

で468項目あり、魚類が 347項目、鳥類が 73項

目、貝類が4 8項目である。海産物が大半を占めて

いる。魚類で特に記述の多いのは、鯛、鮭、鰹、鯉、

鮎である。食材の特徴や調理方法の他に、加賀と

江戸での名称の違いが記されている項目も見られ

る。鳥類では、鴨、小鳥、雉子等が多く見られる。

雉 子 の 羽 盛 や 山 陰 汁 な ど 、 鳥 料 理 に は 故 実 や 供

する際の決まり事が存在する場合があり、それらに

関する記述も見られた。貝類は1項目を除き、全て

飽に関する記述である。飽を用いた料理の他に喫

斗に関する記述もある。

4. 『真砂子集』について

『真砂子集』は上下巻から成り、上巻と下巻では

内容が大きく異なる。

上巻には、加工食品の調理方法がまとめられて

いる。項目数は全部で 321 項目ある。加工食品の

種類としては、項目数の多い物に、豆腐、摺り身、

魅、塩辛、たまご等がある。摺り身の加工食品とは、

蒲鉾やはんぺんの類である。

下巻には、約一年分の公的な場合での料理の献

立が月ごとに示され、巻末には配膳の作法に関す

る事柄も併せて記されている。献立部分は、その月

の汁数菜数とともに、料理名と材料のみが記されて

いる。配膳の作法では、何をどのタイミングでどの

位置に出し、それと同時に引き替えに何を下げる

か等が詳しく書かれている。

5. 『真砂子集聞書』について

『真砂子集聞書』は、『真砂子集』下巻の献立に

(11)

料 の 切 り 方 や 下 処 理 の 仕 方 、 味 付 け 等 が 、 具 体 的

に記述されている。「聞書」とは、師匠に聞いて教え

られたことを書き留めたという意味である。

ただし、聞き書きは『真砂子集』下巻にある献

の全てに対応しているわけではなく、『真砂子集』

下 巻 の 末 尾 ニ ヶ 月 分 の 献 立 に 対 し て は 聞 き 書 き が

な さ れ て お ら ず 、 九 月 か ら 十 一 月 の 記 述 に 関 し て

は、『真砂子集』の下巻の献立内容と異同が見られ

る部分もある。

6 食 材 、 料 理 別 の 分 析

食材や料理別の分析は、鯉、鯛、魅鶴、じぶ煮の

五点について行った。

6.1 鯉

鯉 は 饗 応 の 膳 に は 欠 か せ な い 食 材 と さ れ て い た 。

加賀藩では、なます・さしみ料理の一つである「小

川たたき」には、事典類に解説される一般的なもの

と加賀藩独自のものの二通りの調理法が存在した。

こ れ は 、 饗 応 の 膳 に 鯉 を 続 け て 出 す 場 合 に 配 慮 し

て考案されたものであった。鯉の身に関しては、脂

気の少ないものが好まれていた。

6. 2鯛

鯛 に つ い て は 、 江 戸 時 代 を 代 表 す る 料 理 書 で あ

る『料理物語』よりも多くの鯛料理が存在していた。

また、鰭のない鯛は毒があると認識されていたよう

で 、 鯛 の 吸 物 に は 無 毒 の 証 明 と し て 鰭 を 一 緒 に 供

する習慣が見られる。

6. 3魅

魅 は 加 賀 藩 と 縁 の 深 い 食 材 で あ る 。 今 日 の 加 賀

料理の代表であるじぶ煮に欠かせない「すだれ魅」

は 舟 木 伝 内 が 考 案 し た も の で あ る 。 舟 木 家 の 料 理

書にも、為善の料理書にも「すだれ魅」の作り方は

示されていなかったが、中世から改善されることの

な か っ た 魅 の 欠 点 を 克 服 す る 方 法 が 記 さ れ る 等 、

魅 の 発 展 史 に お い て は 注 目 す べ き 記 述 が 多 く 見 ら

れる。

6. 4鶴

鶴 、 特 に 丹 頂 鶴 は 長 寿 の 象 徴 と し て 貴 ば れ て き

た が 、 食 用 に さ れ た の は 黒 鶴 や 真 鶴 で あ っ た 。 鶴

の 種 類 に 関 し て は 、 加 賀 藩 で は 成 長 段 階 で も 名 称

が分けられており、本草書類や図鑑類よりも多くの

種類が存在した。鶴の料理では、『料理物語』には、

汁 物 や 酒 浸 が あ げ ら れ て い る が 、 加 賀 藩 で は 汁 物

にされる事が主だったようで、煎鳥の他に酒浸等の

記述は見られなかった。

6. 5じぶ煮

前 述 の 通 り 、 じ ぶ 煮 は 今 日 の 加 賀 料 理 の 代 表 で

ある。じぶ煮は、それとよく似た料理である麦鳥と内

容が混乱して今に至る。

江戸中期に成立した『ちから草』の頃、両者は混

乱されることなく存在していたが、麦鳥の方が現在

のじぶ煮に近いものであった。『料理の栞』の頃に

なると混乱が見られ、両者は別物であるという注記

がなされている。両者の混乱は訂正されることなく、

幕末に成立した『御料理調進方』では、『ちから草』

にあったじぶ煮と麦鳥の内容が入れ替わっていた。

ま た 、 今 日 で は す だ れ 魅 や 野 菜 が 取 り 合 わ さ れ て

い る が 、 当 時 は わ さ び 以 外 の 取 り 合 わ せ は 見 ら れ

なかった。

7. おわりに

以上、述べてきたように、為善の料理書は、幕末

の 加 賀 藩 前 田 家 の 食 に つ い て 詳 し く 知 る こ と が で

きる資料であるだけでなく、舟木家の料理書とあわ

せることによって、食材に対する加賀藩独特の考え

方を知ることや、料理内容の変遷をたどることもで

き、加賀料理を研究するうえで貴重な資料であると

いえる。

参 考 文 献

[ 1] 大 友 信 子 ほ か : 加 賀 藩 料 理 人 舟 木 伝 内 編 著

集 桂 書 房 , 2006, 2 9 6 p

[ 2〕 川 上 行 蔵 , 小 出 昌 洋 : 日 本 料 理 事 物 起 源 .

(12)

中 国 の 祠 廟 に つ い て の デ ー タ ベ ー ス 作 成 *

1, rまじめに

祠廟とは、中国の神仏を祀る施設の事で、日

本の神仕と同様に地域の人々によって運営され、

日本と違い、儒教の神々、仏教の仏・菩薩、道

教の神々、そして、その地方独特の神々が共に

祀られている。その祠廟について記載した史料

のひとつとして、地方志というものがあり、本

研究では、地方志を用いて、祠廟の情報を収集・

整理し、実際に研究者にとって役立つデータベ

ースを作成することを目的とした。

この研究は、私が卒業研究で行なっていたもの

を継続させたものであるが、卒業研究では最終

的に大きな課趙を 2 つ残してしまうことになっ

た。まず1つ目の課題は、実際に研究者にとっ

て役立つデータベースを作成するために、研究

者の要求をどのようにデータベースに反映させ

ていくか検討するということである。 2 つ目の

課題は言葉の統制を施すことである。これは地

方志の記述を比べていくと、祠廟名などが異な

っているものがあったためである。例えば、ニ

国志の英雄である関羽の祠廟名は、関帝廟、関

王廟などのように名称が変わってしまっていた。

これらに何も対策を講じないでおくと、検索し

た際に検索もれが多くなってしまう。そのため、

言葉の統制を施すこととした。

本研究では、これら 2つの課題に取り組み、

中国の祠廟のデータベース作成を試みた。

2 祠 廟 に つ い て の 史 料

地方志の「祠廟」などの項目に見える記録は、

*

" Maki ng of dat a base about shri nes in

Chi na" by T omomi S A GA E

寒 河 江 朋 芙 ( 学 籍 番 号 200721532)

研究指導教員:松本浩一

副研究指導教員:緑川信之

あ る 一 つ の 地 域 に 存 在 す る 祠 廟 の 名 称 、 祀 ら れ

ている神、創建の経緯、重修・再建・損壊の沿

革 、 霊 験 、 著 名 人 が 記 し た 廟 記 な ど の 内 容 が お

さめられている。そして、その中におさめられ

ている「廟記」とは、祠廟の創建や再建の顛末、

祭祀儀礼、霊験などを書き記したもので、内容、

書き方のスタイルは多種多様となっている。

本 研 究 で は 浙 江 省 の 嘉 興 府 を 対 象 と し 、 嘉 奥

府 の 地 方 志 の ひ と つ で あ る 『 光 緒 嘉 興 府 志 』 巻

10 壇廟を見ていくこととした。しかし、『光緒

嘉 興 府 志 』 は 、 そ れ 以 前 の 地 方 志 を 参 照 し て 編

纂していることが考えられることから、記事を

比較し、テキストの校訂作業を行なった。

次に、その記事がどのようなものか見ていき、

地 方 志 に お け る 祠 廟 の デ ー タ 構 成 を 明 ら か に し

た 。 そ こ か ら 、 一 度 目 の デ ー タ 項 目 の 設 定 を 行

うこととし、まず、データベースに入力するデ

ータ項目を「祠廟名」「場所」「主神名」「祀られ

ている人物の名前」「創建年」「創建者」「由来」

「霊験」「賜額」「賜号」「壇制」「敷地の規模」

「重修」「再建」「損壊」「廟記のタイトル」「廟

記の著者」「廟記の記事」「備考」とし、検索項

目を「祠廟名」「主神名」「祀られている人物の

名前」と設定した。

3 研 究 者 の 視 点 と そ の 視 点 に よ る 地 方 志 の 使

われ方

本研究の 1つ目の課題に対し、まず人類学か

らの祠廟の研究を見ていくこととした。そこか

ら、人類学者が祠廟についての調査を行う際の

見方・とらえ方をまとめ、祠廟についての質問

(13)

次に、歴史学からの祠廟の研究を見ていき、

どのようなことを述べるためにその地方志を引

い て い る の か を 見 て い く 作 業 を 行 な っ た 。 そ の

作 業 か ら 人 類 学 者 に よ る 見 方 ・ と ら え 方 が 、 歴

史 学 者 が 過 去 の 祠 廟 の 状 況 を 調 べ て い く 際 の 見

方 ・ と ら え 方 に も 反 映 さ れ て い る こ と が 確 認 で

きた。

史 料 と し て し ば し ば 引 用 さ れ て い る の が 廟 記

で あ る が 、 廟 記 は 地 方 志 に お け る 祠 廟 の 記 事 を

構 成 し て い る も の の ひ と つ で あ り 、 そ の 構 造 に

そ っ て 電 子 化 を 行 う と 、 廟 記 と い う ひ と つ の ま

とまった形で電子化されることになる。しかし、

研 究 者 は 祠 廟 を と ら え る 際 、 自 分 の 視 点 に そ っ

たデータが史料中にあるかどうかを見ていく。

も し 自 分 の 欲 し い デ ー タ が 見 つ か れ ば 、 そ の 該

当 箇 所 を 取 り 出 し て い く 。 そ の た め 、 地 方 志 に

おける祠廟の記事の構造のまま電子化すると、

研 究 者 の 祠 廟 を と ら え る 視 点 の 構 造 と 一 致 し な

く な る 。 そ こ で 、 本 研 究 で 作 成 す る デ ー タ ベ ー

スでは、研究者の祠廟をとらえる視点の構造と

地方志における祠廟の記事の構造をつなぐため、

廟 記 の 記 事 の 内 容 を 示 す よ う な キ ー ワ ー ド を 付

与することとした。

4. データベースに入力するデータ

研 究 者 が 祠 廟 の ど の よ う な 側 面 に 注 目 し て い

るのか見てきた結果、データベースに入力する

データ項目を修正することとした。

ま ず 、 デ ー タ ベ ー ス に 入 力 す る デ ー タ 項 目 に

ついては、「廟記のキーワード」をデータ項目と

して追加することとし、入力するデータについ

て は 、 人 類 学 の 研 究 者 の 視 点 を ふ ま え て 作 成 し

たキーワードを入力することとした。

次 に 、 検 索 項 目 に つ い て で あ る が 、 こ こ で は

新たに「賜額」「賜号」という項目を追加するこ

ととした。これは、祠廟をめぐる研究を見てき

た と こ ろ 、 研 究 者 は 祠 廟 の 賜 額 ・ 賜 号 と い う も

のにも注目していたからである。

入 力 す る デ ー タ に つ い て は 、 祠 廟 名 な ど を 統

制することが課題となっており、本研究では、

祠 廟 名 、 主 神 名 、 祀 ら れ て い る 人 物 の 名 前 を 対

象とし、各々の代表する表記の形を一つに決め、

そ れ を 「 代 表 の 表 記 」 と し 、 別 称 を 「 そ の 他 の

表 記 」 と し て 対 応 表 を 作 成 し 、 デ ー タ ベ ー ス に

組 み 込 ん だ 。 本 研 究 で は デ ー タ ベ ー ス 化 す る た

め の ソ フ ト と し て 、 マ イ ク ロ ソ フ ト 社 の

Mi cr osof t Ac c es s 2003 を用い、新たにデータベ

ー ス シ ス テ ム を 構 築 し 、 祠 廟 名 な ど に つ い て は

代 表 の 表 記 と し た も の か ら で も 、 そ の 他 の 表 記

としたものからでも検索を行えるようにした。

また、廟記の記事を画像データとして取り入れ、

データベースを作成した。

5 考 察

本研究の 1つ 目 の 課 題 で あ る 、 実 際 に 研 究 者

にとって役立つデータベースを作成するために、

研 究 者 の 要 求 を ど の よ う に デ ー タ ベ ー ス に 反 映

さ せ て い く か と い う こ と に 対 し て は 、 祠 廟 に つ

い て の 研 究 を 見 て い き 、 研 究 者 の 祠 廟 を と ら え

る 視 点 の 構 造 と 地 方 志 に お け る 祠 廟 の 記 事 の 構

造 を つ な ぐ た め 、 廟 記 の 記 事 の 内 容 を 示 す キ ー

ワードを付与することとした。 2 つ目の課題は

言 葉 の 統 制 を 施 す こ と で あ り 、 本 研 究 で は 祠 廟

名 、 主 神 名 、 祀 ら れ て い る 人 物 の 名 前 に つ い て

統制を行い、代表の表記としたものからでも、

そ の 他 の 表 記 と し た も の か ら で も 検 索 を 行 え る

ようにした。それにより検索漏れを減らすこと

が で き た 。 ま た 、 廟 記 や 碑 文 を 画 像 デ ー タ と し

て 取 り 入 れ た こ と に よ り 、 研 究 者 の 要 求 を 反 映

させたデータベースが作成できたと考えられる。

文 献

[1

J

松 本 浩 一 . 宋 代 の 道 教 と 民 間 信 仰 . 汲 古 書

院, 2006, 425 p.

[2] 小島毅.城陸廟制度の確立.思想, 1990,

(14)

1. はじめに

雑誌は,出版界,図書館のいずれにおいても 重要な資料であり,特に図書館において雑誌は 有用性が高い。しかし,公共図書館における雑 誌を取り巻く状況は厳しく,・全体的に軽視され ているため,今後は一層の充実が求められる。

都道府県立図書館では,十分な雑誌資料の提 供 を 行 う こ と に よ っ て 市 区 町 村 立 図 書 館 を 支 援する役割を担う一方で,政令指定都市立図書 館との関係を検討する必要がある。また,近年 の 国 立 国 会 図 書 館 の 雑 誌 記 事 索 引 の ウ ェ ブ 上 での無料公開や,雑誌記事の遠隔複写サービス の開始,無料公開電子雑誌の増加を受け,図書 館 で も こ れ ら の サ ー ビ ス や 電 子 資 料 の 利 用 の あり方を検討する必要がある。しかし,公共図 書館における雑誌に関する文献は少なく,研究 文献はほとんどない。

本研究では,文献調査,統計調査,質問紙調 査,聞き取り調査によって,全国の都道府県立 図書館,政令指定都市立図書館における雑誌資 料の提供の現状を明らかにし,効率的な雑誌資 料の提供に必要な要件について考察した。

2. 文 献 調 査

2.1 調査方法

図書館関係の法律,政策に関する報告書,図 書館情報学テキスト・解説書を用いて,雑誌資 料の位置づけを整理した。また,主に雑誌記事 を用いて,年代ごと,項目ごとの議論を調査し た。米国の公共図書館や国内の大学図書館,専 門図書館との比較も行った。

•"The Magaz i ne in Publ i c Li brari es in J apan: the Case of the Pref ect ures and the Ordi nance- desi gnat ed Ci ti es" by Yoko S AT O

佐 藤 容 子 ( 学 籍 番 号 200721535)

研 究 指 導 教 員 : 薬 袋 秀 樹

2. 2 調査結果

全体として, 日本の公共図書館における雑誌

が 図 書 に 比 べ て 重 要 視 さ れ て い な い と い う こ とが分かった。図書館情報学テキストや報告書 等からは,年代を下るほど雑誌が重要視される ようになり,様々な視点から論じられるように なるが,他の種類の資料と比較したときの位置 づけは変わらないことが明らかになった。

また,雑誌をめぐる識論の変遷については, 一時期盛り上がりを見せたものの,最近ではあ まり盛んに議論されていないことや,問題とす るところが変わらず,議論の積み重ねがないこ とが分かった。

さ ら に , 各 項 目 の 議 論 に 関 し て は そ の 時 点 で の 自 館 な い し 地 域 内 で の 取 り 組 み を 報 告 し ているものが多く,図書館における雑誌の全体 像が明らかになっていないこと,特に近年では 実証的な研究がほとんどないこと,一つ一つの 議論が浅く表面的であること,課題とされてい る 問 題 は 相 互 に 連 関 し て い る こ と も 明 ら か に なった。

3

.

統 計 調 査

3.1 調査方法

『日本の図書館 統計と名薄』掲載の 1963

年度から 2007 年度までのデータのうち,県立

図書館,政令指定都市立図書館中央館・全館に おける購入種数と,新聞雑誌費決算額,資料費 決 算 額 に 占 め る 新 聞 雑 誌 費 決 算 額 の 比 率 に お

ける全体の経年変化のデータと 2006 年度の各

図書館の個々のデータを調査した。

3. 2 調査結果

(15)

こ と が 明 ら か に な っ た 。 一 方 で , 資 料 費 全 体 に

占 め る 新 聞 雑 誌 費 の 比 率 は , 年 々 増 加 傾 向 に あ

る も の の , 比 率 が き わ め て 低 い 状 態 は 変 わ っ て

いないことが分かった。

2006年度の各図書館のデータからは,購入種

数 や 新 聞 雑 誌 費 の 充 実 度 に , 全 国 的 な 格 差 が 見

ら れ た ほ か , 充 実 し て い る 図 書 館 の ほ と ん ど が

都 市 部 に あ り , 県 立 図 書 館 の 場 合 は 政 令 指 定 都

市を有する県が多いことが分かった。

4 質 問 紙 調 査

4.1 調 査 方 法

都 道 府 県 立 図 書 館 と 政 令 指 定 都 市 立 図 書 館 の

計74館 を 対 象 に 質 問 紙 を 郵 送 し て , 雑 誌 資 料

の 収 集 , 保 存 , 提 供 状 況 等 に つ い て 調 査 し た 。

4. 2 調査結果

全 体 と し て は , ど ち ら か と い う と 図 書 を 重 視

す る 傾 向 に あ る 。 ま た , 永 年 保 存 の 傾 向 が 強 い

が 雑 誌 の 保 存 ス ペ ー ス が 少 な い 館 , 予 算 が 不 足

し て い る と 考 え て い る 館 が 多 い 。 他 館 と の 協 力

に 関 し て は , 分 担 協 力 は 多 く の 館 で 行 わ れ て い

る わ け で は な く , 政 令 指 定 都 市 立 図 書 館 と 県 立

図 書 館 と の 協 力 は 行 っ て い な い 地 域 も 多 い 。 一

方 で , 国 立 国 会 図 書 館 の サ ー ビ ス を 利 用 す る 館

は 多 く , 特 に 雑 誌 記 事 索 引 が ウ ェ ブ 上 で 公 開 さ

れ た こ と に よ っ て 雑 誌 に 対 す る 意 識 の 変 化 が 起

きている館が多い。また, 自館独自の雑誌記事

の 遠 隔 複 写 サ ー ビ ス は 利 用 が 少 な く 不 便 な 場 合

が 多 く , 無 料 公 開 電 子 雑 誌 の 活 用 は , 全 体 的 に

まだ不十分である。

5 聞き取り調査

5.1 調 査 方 法

質 問 紙 調 査 対 象 館 の う ち 3館 と 国 立 国 会 図 書

館 に 聞 き 取 り 調 査 を 行 い , 各 館 の 取 り 組 み の く

わしい現状を調査した。

5. 2 調 査 結 果

公 共 図 書 館 の 聞 き 取 り 調 査 か ら は , ど の 館 も

保 存 ス ペ ー ス , 予 算 が 少 な い こ と に 苦 慮 し て い

る 現 状 が 明 ら か に な っ た 。 一 方 で , 国 立 国 会 図

書 館 へ の 期 待 が 強 く , 雑 誌 記 事 索 引 の 遡 及 入 力

や 採 録 誌 拡 大 へ の 要 望 が 多 か っ た 。 他 館 と の 協

力 に 関 し て は , 積 極 的 意 見 と 消 極 的 意 見 に 分 か

れ た が , 県 立 図 書 館 と 政 令 指 定 都 市 立 図 書 館 と

の 協 力 に 関 し て は , 両 者 の 役 割 の 違 い が あ る 等

の 理 由 か ら , 両 者 の 消 極 的 な 姿 勢 が 明 ら か に な

った。

国 立 国 会 図 書 館 の 聞 き 取 り 調 査 か ら は , 遠 隔

複 写 サ ー ビ ス は 個 人 申 込 が 多 く , 今 後 も 増 え る

と 思 わ れ る こ と , 申 込 数 が 公 共 図 書 館 に 比 べ 圧

倒 的 に 多 く , 支 払 方 法 も 便 利 で あ る こ と , 雑 誌

記 事 索 引 は , 冊 子 体 分 の 遡 及 入 力 は 今 年 度 で 終

了 す る 一 方 で , 財 政 難 に よ り , 採 録 誌 の 拡 大 は

難しいこと等が明らかになった。

6. 考 察

考察では,これまでの調査に基づき, 日本の

図 書 館 に お け る 雑 誌 資 料 の 全 体 的 な 傾 向 を 分

析し,それぞれの問題について詳細に検討した。

そ の 上 で , 具 体 的 に 取 り 組 む べ き 課 題 を 提 示 し

た。

結論として, 日 本 の 公 共 図 書 館 に お け る 雑 誌

資 料 に は , ① 位 置 づ け が 低 い , ② 収 集 タ イ ト ル

数 が 少 な い , ③ 保 存 年 限 を 長 く 設 定 す る 意 向 は

あ る が , 保 存 ス ペ ー ス の 制 約 が あ る , ④ 予 算 が

少 な い , ⑤ 資 源 や 取 り 組 み の 充 実 度 が 全 体 で 二

極 化 し て い る , の 5つ の 問 題 点 が あ る こ と が 分 かった。

こ れ ら の 問 題 の 解 決 策 と し て , 財 政 が 困 難 な

状 況 の 下 で は 各 図 書 館 に お け る 資 源 の 充 実 に

は 限 界 が あ る こ と , 分 担 収 集 や 分 担 保 存 の 実 現

は 困 難 で あ る こ と か ら , 第 一 に , 国 立 国 会 図 書

館 の 雑 誌 記 事 索 引 と 遠 隔 複 写 サ ー ビ ス を 積 極

的 に 利 用 す る こ と , 第 二 に , 地 域 館 同 士 で 雑 誌

資 料 の 閲 覧 を ス ム ー ズ に 行 え る よ う に 協 力 す

る こ と , 第 三 に 無 料 公 開 電 子 雑 誌 を 積 極 的 に 案

内することの3点を提案した。

文 献

[ l ] これからの図書館の在り方検討協力者会議.

これからの図書館像:地域を支える情報拠点をめ

ざして:報告〔東京〕,〔文部科学省〕,2006, 94p.

[ 2] 日本図書館協会図書館調査事業委員会編.日

本 の 図 書 館 : 統 計 と 名 簿 . 東 京 , 日 本 図 書 館 協

(16)

博 物 館 資 料 情 報 の 電 子 化 に つ い て ∼ 民 具 資 料 を 中 心 と し て ∼ *

鈴木小百合(学籍番号

200721538)

研究指導教員:松本浩一

副研究指導教員:宇陀則彦

1. はじめに ( B)のメリットを実現するためには( 3)の条件を満た

近年,技術の発達とともにインターネットが普及 しておく必要があることがわかる.

し,人々の情報取得の手段にも変化が起こりつ このような条件を満たすために間題となってくる

つある.博物館が持つ資料情報の提供方法にも 点として,人材・予算の不足,著作権の間題とい

変化が求められてきており,資料清報のデジタ)レ った経営面での問題,データ標準の間題などの

化が進められてきている.しかし,いまだテジタ 技術面の問題が挙げられている. [3]

ル化を行っていない博物館も多くある.そこで,

本 研 究 で は , 多 様 な 分 野 の 博 物 館 資 料 の 民 具 3. 標 準 化 の 動 向

資料を対象とし,デジタル化を行っていない博物 博物館資料情報に対する標準として,表]に示

館において何が問題となってくるのか,実際の博 すものが考案されている.

物館の業務をふまえて考察することを目的とする. 表]:標準と提唱団体

まず,デジタル化の現状と標準化の動向を探り,

次に、デジタル化を行っていない博物館に対し

て調査を行った

2. デジタル化の現状

文化庁では,資料情報をデジタル化するメリット

として,資料整理の処理が早くなること,迅速・柔

軟な検索ができること,蓄積が容易であること,流

通が容易であることを挙げている. [l ]これらのメリ

ットは, ( A) 原資料のハックアップとして活用でき

ること, ( B)資料提供の場が広がること,の二つに

分けることができる.この二つのメリットを実現す

るためには,いくつかの条件を満たすことが必要

だと考えられる.

例えば,田良島哲は,ミュージアムにおけるデ

ジタルアーカイプの条件として, ( 1)真 正 性 が 保

証できること, ( 2)長期保存が可能であること, ( 3)

利用・共有が容易であること, ( 4)適正なコストで

作成できること,の四つを挙げている [2]前述の

二つのメリットとこの条件を照らし合わせると, ( A)

のメリットを実現するためには( 1) ( 2)の条件を,

*

"

D

i gi t i zat i on of t he m

u s e u m

obj ect

i nf or m

at i on :

m

ai nl y f ocusi ng on f o

l k

i m

pl em

ent s " by Sayur i S UZ UK I

提唱団体 博 物 館 ド キ ュ メ ン テ

ーション標準

I COM

CI DOC

MI

C MO

I GM

OI

C I DOC C R M

C

ol l ect i on

Tr ust

S P E C T R UM

博 物 館 情 報 処 理 に ミュージアム資料情

関 す る 調 査 研 究 プ 報 構 造 化 モ デ ル

ロジェクトチーム

DC M

I

D

ubl i n Cor e

このような標準を利用する取り組みや評価が行

われ,データ標準に関する問題の解決が図られ

てきている.しかし,このような取り組みを行って

いる博物館はごく一部であり,いまだデジタル化

を行っていない博物館が多数存在している.で

は,デジタル化を行っていない博物館では,どの

ような業務の流れで資料情報の取り扱いが行わ

れているのか,次章にて見ていくこととする.

4. 博 物 館 に お け る 資 料 情 報 管 理

新 潟 県 立 歴 史 博 物 館 と 士 浦 市 立 博 物 館 の 民

俗担当の学芸員に対して調査を行い,業務の流 れと,問題意識について調査を行った.ここでは,

土浦市立博物館の結果を見ていくこととする. 土 浦 市 立 博 物 館 の 資 料 情 報 を 管 理 す る 業 務

(17)

民俗台帳,ラベル,受領書,借用書,予算案,参

考資料,の八つの書類が作成されていた.

これら作成された書類の項目のほとんどは,民

俗資料台帳に記載されている項目であり,土浦

市立博物館においては集中した情報管理がなさ

れていることが伺える.

5. 考 察

5. 1. 標準とのマッピング

土浦市立博物館で作成されている民俗台帳の

項目と標準とのマッピングを行った.マッピングを

行った標準は, I GMOI , ミュージアム資料情報構

造化モデルの二つである.

I GMOI とのマッピングで対応付けることができ

なかった項目は,「提供者住所」,「提供者電話

番号」,「数量」,「種類」,「出展歴(場所)」,「出

展歴(期間)」,「出展歴(展覧会名)」,「保存処理

番号」,「資料方法」,「備考」の 10 項目である.

また, ミュージアム資料情報構造化モデルとの

マッピングで対応付けできなかった項目は,「提

供者住所」,「提供者電話番号」,「種類」,「保存

処理番号」,「使用方法」,の 5 項目である.

この結果,後者のミュージアム資料情報構造化

モデルのほうが、日本の博物館においては利用

に適しているといえる.しかし,どちらの標準にお

いても対応付けができなかった項目は重要な項

目であり,土浦市立博物館において標準を利用

することは難しいと考えられる.

5. 2. 博 物 館 に お け る 問 題 意 識

調査において博物館における五つの問題点が

明らかになったまず,最初にあげられるのは, 2

章でも挙げた,経営面での問題である.デジタル

化を行うためには,現在行っている業務に加えて,

新たにデータを入力する作業などを行う必要が

でてくる.しかし,人材・予算が不足していて新た

な業務を行う余裕はない,という現状があった

二 つ 目 に 挙 げ ら れ る の は , 標 準 の 必 要 性 が 認

識されていないことである.標準の存在を知って

はいるが,それに対して対応をする予定はないと

いった回答もあり,標準化の必要性が認識され

ていないことが伺える.今後,博物館に標準化の

必要性をどうやって認識してもらうかが重要な課

題となってくると考えられる.

また,この二つのような,デジタル化に際して出

てくる問題とは別に、元々,博物館において資料

情報の記述において問題となっていた点もある.

三 つ 目 の 問 題 は , 民 俗 資 料 名 の 記 述 方 法 が 統

制されていないことである.民具資料は使用目的

や形状が同じであっても地域によって違う名称が

ついている場合がある.地域で使われている名

称を記述するのか,一般名を記述するのかは各

博物館によって判断されている.この問題は,検

索システムを利用する際に検索結果に影響を与

えるため,きちんと統制しておく必要性がある.

四 つ 目 の 問 題 は , 複 数 の 分 野 を ま た が る 資 料

をどう取り扱うのかである.二つの博物館ではい

ずれも分野ごとに資料情報を記述する台帳を分

けていた.そのため,資料をどちらの分野で扱う

かによって,もう一方の分野で必要な情報が記

述できないなどという問題があった.

五 つ 目 の 問 題 は , 他 の 博 物 館 か ら 引 き 継 い だ

資料の取り扱いが挙げられる.土浦市立博物館

で は 前 身 の 郷 土 資 料 館 時 代 館 の 資 料 を 引 き 継

いでいたが,館の成り立ちや収集方針が違って

いたために,資料情報の構造が違い,必要な情

報が記述できないということが問題とされていた.

6.

デジタル化の現状と標準化の動向を探り,博物

館における資料情報管理の流れと問題意識を明

らかにした.今後デジタル化を進めていく際には,

すでに明らかになっているデジタル化の問題点

に加えて,元々,博物館が持っていた問題に関

しても,考慮していく必要があると考えられる.

文 献

[l ] デジタルアーカイブ推進協議会編.デジタ

ルアーカイブ白書 2001. デジタルアーカイ

ブ推進協議会,2001, 223p

[ 2] 田良島哲:ミュージアムの未来とデジタルア

ーカイブ, 21 世 紀C O E " 次世代ユビキタス

情 報 社 会 基 盤 の 形 成 ” 第 14 回シンポジウ

ム . 2008- 01- 15.

[3] デジタルアーカイブ推進協議会編.デジタ

ルアーカイブ白書 2004. デジタルアーカイ

(18)

日 野 市 立 図 書 館 に お け る 図 書 館 サ ー ビ ス の 形 成 *

1' 研 究 の 背 景

日野市は東京都多摩地区に位置する人口十余

万人の郊外都市で、日野市立図因館は、現在、中

央図書館と 7 分館( 1館は市政図書室)、 1自動車

図臀館から構成されている。 1965年に 1台の自動

車図書館で開館し、その後貸出活動を活発に行い、

1973年に中央館が開館した。

日野市立図書館は、 1980年代前半までは、その

時伏を代表する先進的図書館として高く評価され、

雑註等で頻繁に取り上げられてきたが、近年はほ

とんど取り上げられていない。

な ぜ 、 日 野 市 立 図 書 館 は 、 初 期 に は 図 書 館 サ

ービスにおいて成果を上げたにもかかわらず、そ

の後取り上げられなくなったのだろうか。そのため

には、日野市立図害館の図書館サービスの変遷を

たどる必要があるが、これまで日野市立図書館の

サービスの歴史についてほとんど研究が行われて

しヽなし‘。

2. 研 究 の 目 的

本論文の目的は、 日野市立図書館における図

書館サービスの変遷をたどることによって、初期に

は成果を上げた同図書館が、その後取り上げられ

なくなった経過とその背景を明らかにすることであ

る。そのため、次の 2 つの研究課題を設定した。同

図書館は、①開館直後どのようなサービスを行って

いたのか、②その後は新しいニーズに対応してき

たのか。

*" For m

at i on of t he Li br ar y Ser vi ce i n t he

Hi no Ci t y Li br ar y "

by Yok o T A K A S E

高 瀬 洋 子 ( 学 籍 番 号 2 0 0 7 2 1 5 3 9 )

研 究 指 導 教 員 : 薬 袋 秀 樹

3 . 研 究 方 法

研究方法としては、日野市立図書館に関する文

献を網羅的に収集し、図書館サービスとその運営

方法の考え方の変化、住民ニーズとの閲係につい

て分析するとともに、 1985年以後の図書館内の

事 情 に つ い て 、 同 図 暑 館 に 内 部 資 料 に 関 し て 間

い合わせを行い、

査を行った。

同図告館の職員に聞き取り調

4 . 先 行 研 究

日野市立図書館のサービスについては、これま

で、 日野市立図書館の歴史や図書館サービスに

ついて網羅的にまとめた研究文献はない。しかし、

日 野 市 立 図 書 館 の 歴 史 に つ い て は 、 前 川 恒 雄[I]

や 関 千 枝 子[2]らの文献がある。また、当時の日野

市立図書館の状況を記録したものに『業務報告』閲

がある。

5. 日 野 市 立 図 書 館 の 歴 史

日 野 市 立 図 書 館 は 、 館 長 で あ る 前 川 が イ ギ リ

ス 視 察 で 学 ん だ 地 方 目 治 と 民 主 主 義 を 基 礎 と す

る 市 民 図 書 館 の 理 念 と 、 合 理 的 な 図 書 館 技 術 の

影響を受けており、「いつでも、だれでも、どこでも、

なんでも」をモットーとし、貸出サービス、児童サー

ビス、全域サービスの3つのサービスに重点を置い

ていた。

1990 年代以後、大きな変化はないが 1999 年に

は、日野市の厳しい財政状況を踏まえた運営の見

直しとして、人員 3 名の削減、移動図書館車の廃

止等が打ち出されるなど、図書館サービスの大幅

な変更を求められ、 2005 年には貸出カウンターの

委託を求める意見が出されている。また、近年では

図 1 3 つ の 基 本 モ デ ル の 統 合
図 2 関 連 付 け に よ る 記 事 の ネ ッ ト ワ ー ク に お い て は , ナ ビ ゲ ー シ ョ ン 経 路 の ネ ッ ト ワ ー クがスモールワールド性を有するようにリンク を 生 成 す れ ば , 利 用 者 を 短 い 距 離 で 多 数 の 情 報 へ 到 達 さ せ る こ と が で き , 多 様 な 情 報 へ の ア ク セス性が確保できると考えられる. ま た , 網 羅 性 を 示 す キ ー ワ ー ド を , 共 起 語 の ネ ッ ト ワ ー ク に お
図 2 : O v e r he a d Rat i o,   Savi ng Rat i o
図 1 I nf oSpace  Gov er nor のアーキテクチャ

参照

Outline

関連したドキュメント

 当図書室は、専門図書館として数学、応用数学、計算機科学、理論物理学の分野の文

の見解では、1997 年の京都議定書に盛り込まれた削減目標は不公平な ものだったという。日経によると、交渉が行われた 1997 年時点で

4-2

キャンパスの軸線とな るよう設計した。時計台 は永きにわたり図書館 として使 用され、学 生 の勉学の場となってい たが、9 7 年の新 大

 大学図書館では、教育・研究・学習をサポートする図書・資料の提供に加えて、この数年にわ

 活動回数は毎年増加傾向にあるが,今年度も同じ大学 の他の学科からの依頼が増え,同じ大学に 2 回, 3 回と 通うことが多くなっている (表 1 ・図 1

大村 その場合に、なぜ成り立たなくなったのか ということ、つまりあの図式でいうと基本的には S1 という 場