− 307 −
アサーショントレーニングと野外教育との関係性
教科・領域教育専攻
生活・健康系コース(保健体育) 中 本 貴 規
I はじめに
アサーションとは,コミュニケーションを表 現する技法のひとつで、あり,それには3つのタ イプが存在する.その 3つ の タ イ プ と は ノ ン・アサーティブJ
r
アグレッシブJi'アサーテ ィブ」であり,この中でも「アサーティブ」は「自分の意見を言う ことができ,相手の意見に も耳を傾;けることができるJといったようなも のである.このようなコミュニケーションの技 法は現代の人間関係にとって必要なものであり,
学校現場においてもその重要性が示唆される
(平木2008).
アサーションは,大きく分けて「自尊感情」
「他者理解J
r
コミュニケーションの技術」の 3 要素から構成されている.これらすべてがうまく組み合わさり,バランスの取れた状態を「ア サーティブ」といい,どれかが欠落すると「ア グレッシブ」または「ノン・アサーティブ」に なりうる可能性がある.
近年,野外教育活動に関する研究において,
「野外教育活動Jと「自尊感情J,または「他者 理解」に関するものも多く見受けられ,それら の関係性はすでに実証されている. しかしなが ら,野外教育活動において「コミュニケーショ ンの技術」に焦点を当てたような活動は見'られ ない.つまり,野外教育活動のみの実施では,
「ノンアサーティブ」及び「アグレッシプ」が
「アサーティブ」以外のものに変化してしまう
指導教員 南 隆 尚
危険性もそのどこかに秘めていることが考えら れる.よって,本研究では「野外教育活動」と
「アサーショントレーニング」との関係性を明 らかにしつつ,野外教育活動にアサーション的 コミュニケーション技術教育を組み込みその効 果を検討していくこととする.また,コミュニ ケーションの量や質,身体活動量がそれぞれど のように相互作用し合っているのかを明らかに しコミュニケーションの質と量,身体活動量 の関係性を考察することとする.
E 方法 (1)研究対象
2017年(平成29年)8月9日'"'‑'8月19日に 札幌市滝野自然学園を拠点として開催された
「ふくしまキッズin空知Jtこ参加する小中学生 27名(男子 10名,女子 17名)を対象に調査 を行った.27名を2つのグループに分け, 1つ を実験群,もう一方を対照群としてアサーショ ントレーニングを実施するタイミングを変えて 実験を行なった.
(2)研究方法
参加者全員に,児童用アサーション尺度(半 田2007),ソシオメトリーの調査を行った.ソ シオメトリーに関しては,視覚的評価スケール を用いて,他者評価によるものをコミュニケー ション得点として数値化した.身体活動量につ いては, 3軸加速度センサーの活動量計を睡眠 時以外携帯してもらい,検出された運動量の項
− 308 − 目を身体活動量とした.
E 結果と考察
(1)アサーションについて
実験群,対照群のアサーション得点に注目す
ると,実験群においてアサーション,アグレツ シブの得点がアサーション的コミュニケーシ ョン技術教育後,改善されていることが明らか となった.このことから,アサーション的コミ ュニケーション技術教育を野外教育活動に組 み込むことの有効性が示唆された. しかし,対 照群の結果から,アサーション的コミュニケー ション技術教育の即効性の少なさも伺うこと ができた.そのため,野外教育活動においてア サーショントレーニングは 1回限りのものと して独立させて実施するよりも,活動の日数に 応じて長期的な見通しを持ち,プログラムを展 開していくことが,効果を維持向上させていく ために重要であることが考えられる.(図'1,2)
アサーティブ
30.00 29,0
。
28.00
:'27∞
告26.∞ '1' 25∞ 主24.∞
23.00 22.00 21.00
ι / ででゴ
4‑.ー実 駿 鮮 平 均・..対照軍事平崎re midl mid2 mid3 post
図‑1
アグレッシブ
13.00
叩∞∞
1 9 7
唖瞳
ha hv Ah hn
‑+‑実験車草平鈎 4ー対 照 群 平 幼・
*
5.00
3.00 *
P開 mldl mld2 mld3 post
図‑2
(2)アサーションとソシオメトリーについて アサーションとソシオメトリーのそれぞれの 項目を重回帰分析にかけたところ,ソシオメト リーの向上に起因していたものとじて,ノンア サーティブ得点の向上が明らかとなった.これ
は,非主張的な態度及び考え方などを変えてい くことにより,全体へのアサーション得点を向 上,コミュニケーションの質に関与し,それが コミュニケーションの量を向上させていること に繋がることを示している.また,その過程で は,自己表現能力や他者受容,コミュニケーシ ヨン回数, 一緒にいる時間,共感などが密接に かかわって来ることも考えられた.
ソシオメトリーと身体活動量の観点において,
コミュニケーション量から身体活動量への一方 向性を見ることができ,先行研究を支持したこ とが伺えた.また,今回得られたデータより図 3のようなコミュニケーション量から身体活動 量へのつながりが推測される.
図‑3 N まとめ
本研究において,野外教育活動におけるアサ ーショントレーニングの有用性,またそこから 見えたコミュニケーションの質と量,身体活動 量の関係性や相互作用のプロセスを考察する ことができた. しかし,アクティピティごとへ のアプローチや個に焦点を当てたような考察 が本調査ではできなかったため,今後検討する 必要性が考えられた.
V 参考引用文献
平木典子 (2009)改訂版アサーション・トレー ニング ーさわやかなく自己表現)のために,
金子書房, 1‑190.
半田将之 (2007)児童用アサーション尺度作成 の試み,創価大学大学院紀要, 29,239‑255.