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佐 尾 山 秀 樹

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Academic year: 2021

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商業教育の活性化による魅力ある新高校の実現

高度学校教育実践専攻 学校・学級経営コース 佐 尾 山 秀 樹

I  課題分析 1 課題設定

(1)商業教育の現状と課題

学校基本調査によると,全国での商業 に 関 す る 学 科 の 生 徒 数 は 昭 和 25年度の 181,904人(全体の 9.5判)から増加し,

昭和40年度の857,379人(全体の 16.9判) が最高となっているO しかし,それ以降 は減少し,平成 21年度では, 223,086人 (全体の 6.7判)と生徒数,割合ともに大 きく減少しているO

徳島県においても,平成 12年 度 か ら 平 成 21年度の 10年間の商業に関する学科 の生徒数は,平成 12年度の 3,199人(全 体の 11.2話)から平成21年度の 1,863人 (全体の 8.8%)へと生徒数,割合ともに 減少しており,全国と同様の減少傾向が みられる。

このような商業に関する学科の生徒数 減少は,高等教育への進学を目標とした 普通科志向に加えて,生徒数減少に伴う 統廃合や学科再編,普通科等の他学科と の併設による商業科削減,総合学科への 転換,福祉科・情報科の新設によるとこ ろが大きいと考えられるD

(2)高校教育改革の流れ

徳島県では,社会環境の変化や,生徒 や 保 護 者 の 価 値 観 の 多 様 化 を 踏 ま え , 平

実 習 責 任 教 員 兼 松 儀 郎 実 習 指 導 教 員 佐 古 秀

成 14年2月 徳 島 県 高 校 教 育 改 革 推 進 計画Jを発表し,高校教育改革の基本方 針を示した。それを受けて,平成 18年3 月に「高校再編方針」が策定され,鴨島 商 業 高 校 ( 以 下 勤 務 校Jとする0) と 阿波農業高校の再編統合が決定した。

再編統合決定を受け,吉野川市・阿波 市地域では,平成 18年 10月に「新しい 学校づくり吉野川市・阿波市地域協議会J が発足し,勤務校と阿波農業高校を再編 統合した新しい学校についての検討を行 い,平成 19年 12月に「鴨島商業高校・

阿波農業高校の再編統合に係る報告書J を徳島県教育委員会に提出した。これを もとに,徳島県教育委員会では,平成 20 年3月に「鴨島商業高校・阿波農業高校 の再編統合に係る計画」を策定し,新高 校設置の概要を示した。

(3)勤務校の課題と状況

勤務校では,再編統合を好機と捉え 専門教育のさらなる発展を,平成 24年度 の新高校開校に繋げていくこと,また,

再編統合に向けての生徒や教職員の理解 の深まりや協働体制づくりも,再編統合 成功への重要な要素であり,両校の教職 員の再編統合に関する理解を深め,新高 校開校に向けてモチベーションを高めて いくことが課題となった。

(2)

そこで,これらの課題を解決し,再編 統合を成功させ新高校開校を実現するた めに,実践研究課題を「商業教育の活性 化による魅力ある新高校の実現」とした。

課題設定に先立ち,協働体制のもとで の新しい学校づくりを推進するためには,

勤務校の学校組織の分析と改善が必要と 考え,学校組織アンケートを実施した。

また,勤務校及び阿波農業高校において,

再編統合アンケートを実施した。

2  先行研究

次の三項目について先行研究のレビュ ーを行い,以下のことが明らかになった。

第一は,商業教育の変遷とこれからの 商業教育についてである。学習指導要領 の変遷から,社会変化に即した専門教育 の必要性を理解し,今後の商業教育の在 り方を社会・経済・産業を見極める力J,

「社会起業家精神の育成」の二つの観点 から検討する必要があるとした。そして 具体的方策として,①スペシャリスト育 成の観点からの教育,②将来の地域産業 を担う人材の育成の観点からの地域と連 携した教育,③人間性豊かな職業人の育 成の観点からの教育,の三つの観点を基 本とした教育が有効で、あると考えた。

第二は,先進校の視察による再編統合 のメリットと課題であるO 視察校の特徴 として,学科横断の総合選択制と,地域 連携があげられるO 総合選択制のメリッ トは,他学科の専門科目を選択履修する ことで,学習内容や進路選択に幅を持た せることができるO しかし,その課題と して,学科間での履修状況のアンバラン

スなどがある。また,地域連携について は,教員の多様な専門性を基に,地域で の開放講座,派遣授業を実施し,複数学 科併設のメリットを活かしている。

第三は,特色ある学校づくりの学校活 性化への有効性である。熱海(1985)・渡 辺(1985)から,特色ある学校づくりのポ イントは,魅力ある学校づくり,創意あ ふれる学校づくり,聞かれた学校づくり であると理解し,特色ある学校づくりが 学校での同僚性の深化に結びつくと考え た。また,佐藤(2006)から,学校の活性 化を図るには,オープンシステムによる 聞かれた学校づくりの推進が有効だと考 え,地域連携を重視することとし,学校 と地域の連携を実践研究に組み込むこと した。

3  実践研究の目的

研究の枠組みを【図1】のように構築し,

実践研究の目的として,四項目を設定し た

商業教育の活性化による魅力ある新高校の実現

先 行 研 究

厄 問 の 減 , 日 半 路 状 況 ぬ 化 )

(高校教育改革)課題意識(勤務校の課題) (  学校組織 [ 再 編 統 合 意 識 )

【図1】研究の枠組み

‑2 ‑

(3)

く実践研究の目的〉

l学習活動の充実

2地域連携による地域の活性化 3指導体制の充実と指導者の育成 4学校関連携と同僚性の深化

E  課 題 解 決

1  実践研究の計画・実施

勤務校では,実践研究に関連する校内 の各委員会に所属し,校内組織において 再編統合に関する計画・実施に参加する こととなった。本実践研究の柱を, I商業 教育及び学校の活性化」及び「再編統合 に向けた実践J とし,その実践が魅力あ る新高校を実現させるという構想のもと,

実践研究の方法について具体的に考えた

【図2】O

/ 魅 力 あ る 新 高 校 ¥

‑商業教育及び.学校の活性化

ーネツ:ドビジ .t也記起業家:との:商品開発;

?地域イーペミムイト不の参加日:マ

【図2】実践研究の計画・方法

(1)商業教育及び学校の活性化

商業教育及び学校活性化への方策とし て,次の三つを実践した。

第一は,学校ホームページから積極的 に情報を発信した。教育活動の成果や学 校の情報についてホームページを通して 地域社会や外部に提供することは,聞か れた学校づくりに繋がるといえるO

第二は,特色ある教育の実践として,

オンリーワンハイスクールステップアッ プ プ ロ ジ ェ ク ト 事 業 ( 以 下 オ ン リ ー ワ ン事業Jとするo)に取り組んだ。オンリ ー ワ ン 事 業 で は 地 域 と と も に , 吉 野 川 ブランドの発信」をテーマとし,専門性 の深化に関する「吉野川マーケティングJ, 地域との連携に関する「吉野川パートナ ーシップJ,国際理解・環境ボランティア に関する「吉野川グローバノレハートJ,情 報活用能力の育成に関する「吉野川ブラ ンドの創造Jの四つの学習分野での実践 に取り組んだ【図3。】

地域とともに,吉野川ブランドの発信

吉野川パートナーシップ .企業連携

・出張授業

・起業家講習会など

( 地 域 住 民 話 吉 野111フランドの創造

、ー‑‑‑‑‑可・成果発表イベント

‑鴨商通信rKAMOナビJ

‑ホームページ発信など

【図3】オンリーワン事業全体計画イメージ 第三は,授業公開週間を年間2回実施 した。授業公開を行うことにより,指導 方法や授業形態などを互いに学び合い,

授業改善が図られると考えた。実施後の アンケート結果から,授業参観及び自分 の授業を省察することが,授業者,参観 者の授業改善に結び、つくと考えられた。

したがって,授業公開週間の実施により,

授業を気軽に参観できる雰囲気をつくり,

校内組織において教職員の同僚性を向上 させることで,協働体制の構築に結び、つ

‑ 3 ‑

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いていくのではなし、かと考えた。

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再編統合に向けた実践

再編統合に向けた実践は,次の三つに 集約される。

第一は,再編統合に向けた教育課程の 検討を行った。新高校作業部会教務部会 に参加し,平成 22年度入学生の教育課程 編成に関わった。編成にあたり 3年次 の選択科目で,商業科,農業科の併設の メリットを活かすように留意した。

第二は, I新しい学校づくりJ校内研修 会を勤務校及び阿波農業高校で実施した。

ワークショップ型研修を行い,参加者全 員で再編統合に関する課題の共有を図っ た。抽出された課題は,教育活動全般に 及ぶものであり 両校教職員に対する一 層の情報提供の必要性が明らかになった。

これらの課題は,各作業部会で解決に向 け検討されることになる。

第三は,学校関連携によるネットショ ップを開設し,阿波農業高校が生産する 農産物や加工品,地域特産品のネット販 売により,新高校の特色ある教育へと繋 げる実践に取り組んだ。ネットショップ 運営を通して,地域企業との連携を図り,

地域の起業家を講師とする専門的な講習 会を実施することにより,専門分野での 学習を深めた。

2  実践研究の成果と課題 (1)実践研究の考察

実践研究の最終段階で行った学校組織 アンケート及び再編統合アンケートから,

実践研究の成果として,次のことが明ら かになった。

学校組織アンケートによると,勤務校 の学校組織の特徴として,協{動性が高ま り,統制性を維持しながらも,依然とし て個業性の強さが残っている。今後,新 高校設立に至るまで,教職員が協働しな がら解決すべき課題も多いと思われる。

そのためにも,教職員が組織的に課題を 共有し,改善していく方策が必要である

と考える。

再編統合アンケートによって,顕著で あったのは,再編統合に対する課題意識 の強さである。なかでも,教育環境・設 備の充実への課題は深刻であり,例えば 農産物の生産など,体験活動をともなう 学習については,再編統合後も現在の教 育力を維持するために,徳島県教育委員 会とともに,両校で協議し,新高校で学 ぶ生徒が明るい希望を持って入学できる 教育環境・設備の充実を図ることが必要 であると考える。

(2) 総括的考察

学校ホームページからの情報発信,特 色ある学校づくりとしてのオンリーワン 事業,そして,授業公開週間の実施によ り,商業教育及び学校の活性化を促進し たこと,また,新高校への教育課程編成,

「新しい学校づくり」校内研修会,そし て勤務校と阿波農業高校の学校関連携を 推進し,再編統合に向け実践したことが,

魅力ある新高校の実現に結び、ついていく と考えられる。

今後,新高校が魅力ある吉野川ブラン ドとなるよう,実践研究で得た知見を基 に,来るべき新しいステージに向けたビ ジネス教育を創造・発信していきたい。

‑4 ‑

参照

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