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学位論文内容の要旨【緒言】

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 医 学 )    宮 本 憲 幸

学 位 論 文 題 名

    Clinical Efficacy and Improvement in Hepatic Interventional Radiological Procedures: Transcatheter   Arterial Embolization and Radiofrequency Ablation

(肝疾患に対するInterventional Radiology の臨床的有用性とその発展:

     経カテーテル的動脈塞栓術とラジオ波焼灼術)

学位論文内容の要旨

【緒言】Interventional Radiology (IVR)とは 画像ガイド下に行わ れる手技であり放射線医学の〜

分野である 。IVRは 診断目的の検査のほ か、低侵襲な治療 手段として広く今日普及している。IVRの 範囲は胸部 、腹部、四肢、頭 頚部と広く全身に わたり血管系IVRと非血管系IVRに分類されている。

血管系IVRとしては 動脈塞栓術、血管拡 張術、ステント留 置、透析関連IVR、経頚静脈的肝内門脈肝 静脈短絡術(TIPS)、血管奇形 などに対する塞栓 術があげられる。一 方、非血管系IVRとしては超音 波やCT等の 画像ガイド下生検 術、ドレナージ術 、ラジオ波やマイク ロ波などによる焼灼術、凍結治 療などがあ げられる。これら のうち肝動脈塞栓 術と肝腫瘍に対する ラジオ波焼灼術(RFA)は肝腫瘍 の治療手段 として重要な位置を占めている。本論文において日常診療で広く行われている肝疾患に対 する動脈塞 栓術と経皮的ラジ オ波焼灼術に関し2つの研究 を行い臨床的有用 性と発展性に関して検 討を行った 。動脈塞栓術に関しては、術後出血に対する肝動脈塞栓術の研究を行った。肝胆膵領域の 悪性腫瘍に 対して外科的な切除が根治的な治療法であるが、術後の合併症として動脈性出血がある。

動脈性出血 は致死的であり罹患部位の塞栓術やステント留置が行われている。しかし術後動脈出血に 対する肝動 脈塞栓術の治療成績と予後の検討は報告がない。今回我々は肝動脈塞栓術後の血管造影所 見から塞栓 術後の予後因子を 明らかにした。RFAはその低侵襲性と治療効果により肝腫瘍に対する局 所治療とし て広く普及し良好な治療成績も報告されている。また、腫瘍のサイズや個数、肝予備能の 低下により 切除不能困難な肝 腫瘍に対してRFAの果たす役 割も大きいと考えられる。しかしRFAの限 界として以 下の2点 が指摘されている。(1)脈管による冷却効果:一回の焼灼で得られる焼灼範囲は Jcm程度でありそれ を上回る腫瘍に対し ては治療困難である。また門脈や肝静脈などの脈管に接した 腫瘍は焼灼 が不十分になるこ とがある。(2)腫瘍視認性: 通常のRFAは超音波ガイド下に行われるた め超音波で 病変が確認できない場合穿刺が困難となる。また背景肝の不均一さや治療後の再発は病変 の検出を難 しくする。このような限界を克服するため、脈管近接の大型肝癌に対して経皮的血流遮断 下 RFAと 超 音 波 に て 検 出 が 難 し い 肝 癌 に 対 し て 造 影 超 音 波 の 有 用 性 を 検 討 し た 。 1.外科手術後に生じた肝動脈出血に対する塞栓術の検討

【 対象 と方 法】1995年6月 ー2001年6月の問に術後出血 に対して肝動脈塞栓 術を施行した10例 を後 方視的に検 討。男性9例、女性1例。年齢37−80歳。出血徴候は術後7→64日 目に生じた。右大腿動 脈よルカテ ーテルを挿入し腹腔動脈、上腸間膜動脈を造影、造影剤漏出または仮性動脈瘤を出血と判 断し0.018/0. 035inchの金属coilまたは液状塞栓物質(N―but yl cyanoacrylate)にて塞栓術を行った。

血管造影所見、手技的成功、塞栓術後の経過に関して検討した

【 結果 】原 疾 患は 膵管 癌4、 胆 嚢癌2、胆管癌2,十ニ 指腸癌1, 肝細胞癌1、術式は膵頭十ニ 指腸 切 除5, 肝拡 大右 葉 切除2,拡 大胆 嚢 摘出1,胆 管空 腸 吻合1,生 体肝 移 植1で あった。10例 、11 本の血管に 出血を認めた。6血管で仮性 動脈瘤、5血管に造影剤漏出 を認めた。肝内動 脈枝を4例で 塞栓、肝外 動脈は6例で塞栓された。肝 外動脈の内訳は固 有肝動脈4例、総肝動脈が2例であった。

8例で塞栓は成功し た。2例は 血管攣縮またはカ テーテル挿入困難で 塞栓できなかった 。臨床的に8 例で止血効 果が得られそのう ち6例は肝 不全徴候なく退院 可能であった。退院可能であった6例はい ずれも肝動脈塞栓術後に肝外からの側副血行路が発達していた。

2―1)大型肝腫瘍に対する肝動静脈遮断下RFA

【 対象 と方 法】切 除困難であった肝 腫瘍4例、4結飾。 肝細胞癌3結節、転移性肝癌1結節。腫 瘍径 は42―57mm(平均50.2mm):肝動脈塞栓術とバルーンカテーテルによる肝静脈遮断を行い一期的にRFA を行った。′

【結果】最 大焼灼長径は50―60mm(平均56.5mm)であった。3結節で完全焼灼が得られた。1結節は

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追加焼灼が必要であった。観察期間内に局所再発を1例認めたが治療関連の重大な合併症は認められ なかった。

2―2)且干細胞癌に対するソナゾイド造影超音波ガイド下RFA

【対象 と方法 】2007年6月 から2008年5月まで の問に 肝細胞 癌に対 してRFAを 行った42例の患者。

男性36例 、 女性6例 、 年 齢は44か ら87歳 。体重 は41から93kg(平 均61. 2kg)。35例40結節は 初 回治療 の肝細 胞癌であった。7例12結飾は肝細胞癌の局所再発であった。超音波装置はProSounda10 (Aloka Co.,Ltd,Japan)を使用した。造影超音波はソナゾイドO.5ml/body静注10分後にクッパー 相を観察し、局所再発に対してはクッパー相後にソナゾイドを再度O. 5ml急速静注し、動脈血流の有 無を観察した(defect re―perfusion imaging)。クッパー相ガイドにRFAを施行した。B−mode、ソナ ゾイド超音波による病変検出率、初発と局所再発のB―modeとソナゾイド超音波の画像所見に関して 検討を行った。

【結果】結節径は7―30mm(平均16. 8mm)であった。体表から病変までの深さは6.8土5.8cmであった。

初発の肝細胞癌27結節(67.5%)はB−modeで検出可能であった。ソナゾイド造影超音波のクッパー 相では38結節(95% )が欠 損像と して明瞭に描出され検出率はソナゾイド造影超音波で有意に高か った。 局所再 発12結節はすぺてソナゾイド造影超音波のdefect re―perfusion imagingで同定可能 であった。一方、B―mo deでは5結節(41.7%)でしか確認できなかった。局所再発もソナゾイド造 影超音波で有意に検出率が高かった。ソナゾイド造影超音波のクッパー相の所見は46結節(88.5%)

で明瞭 な欠損 を認めたが4結節(7.7%)で不明瞭であった。不明瞭な4結節は組織生検にて全て高 分化型 肝細胞 癌であ った 。50結節(96.5% )でRFAが可 能であった。48結節(96%)で完全焼灼が 得ら れ た 。RFAを 施 行 し た結 節 は 平 均7.50月 の 観察 期間中 に局 所再発 は認め られて いなぃ 。

【考察】肝動脈塞栓術に関する研究により、肝胆膵領域の術後出血に対して動脈塞栓術は有用である が、肝動脈塞栓後に側副血行路の有無が子後を左右するニとが示された。本知見は止血後の治療方針 の決定やIVRのデバイス選択の参考になると思われる。しかし側副血行路発達に与える因子に関して は今後 の研究 が必要である。RFAに関する研究により、血流遮断、造影超音波はRFAの補助手段とし て有用であると考えられた。これらの補助手段により、RFAの治療適応拡大が可能となると思われる。

しかしさらなる普及には、血流遮断下RFAは標準的な治療法である肝切除との比較検討が必要と思わ れ造影超音波RFAも局所再発や長期成績に関して非造影超音波RFAとの比較検討が必要と考えられる。

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(3)

学位論文 審査の要旨 主査 副査

副査 副査

教授 教授 教授 教授

玉 木 長 良 武 冨 紹 信 坂 本 直 哉 自土 博樹

学 位 論 文 題 名

    Clinical Efficacy and Improvement in Hepatic Interventional Radiological Procedures: Transcatheter Arterial Embolization and Radiofrequency Ablation

( 肝 疾 患 に 対 す る Interventional Radiology の 臨 床 的 有 用 性 と そ の 発 展 :      経 カ テ ー テ ル 的 動 脈 塞 栓 術 と ラ ジ オ 波 焼 灼 術 )

  Interventional Radiology (IVR) とは画像ガイド下に行われる診断・治療手技であり放 射線医学の 一分野であり、全身の様々な領域で行われている。本論文において日常診療で 広く行われ ている肝疾患に対するIVR と して動脈塞栓術と経皮的ラジオ波焼灼術に関し2 つの研究を 行い臨床的有用性と発展性に関して検討を行った。動脈塞栓術に関しては、術 後出血に対 する肝動脈塞栓術の研究を行った。肝胆膵領域の悪性腫瘍の根治術後の合併症 として動脈 性出血がある。動脈性出血は致死的であり罹患部位の塞栓術やステント留置が 行われてい る。しかし術後動脈出血に対する肝動脈塞栓術の治療成績と予後の検討は報告 がない。今 回我々は肝動脈塞栓術後の血管造影所見から塞栓術後の予後因子を明らかにし た。RFA は肝腫瘍に対する局所治療として広く普及し良好な治療成績も報告されている。し かし腫瘍径 が3cm を超える場合、超音波 で病変が確認できない場合治療が困難であり、こ の よ う な 困 難 を 克 服 す べ く血 流遮 断下 RFA と 造影 超音 波下 RFA の有 用性 を 検討 した 。 1 .外科手術後に生じた肝動脈出血に対 する塞栓術の検討。

  1995 年6 月―2001 年6 月の問に術後出血に対して肝動脈塞栓術を施 行した10 例を検討。

10 例、11 本 の血管に出血を認めた。6 血 管で仮性動脈瘤、5 血管に造 影剤漏出を認めた。

肝 内動 脈を 4 例で 塞栓 、肝 外動 脈は 6 例で 塞栓 した (固有肝動脈4 例、総肝動脈2 例)で あ った 。8 例 で塞 栓は 成功 した。臨床的に8 例で止血効果が得られそのうち6 例は肝不全 徴候なく退 院可能であった。退院可能であった6 例はいずれも肝動脈塞栓術後に肝外から の側副血行 路が発達しており、側副血行路の有無が生存に関与する ことが示唆された。

―350ー

(4)

2. 大 型 肝 腫 瘍 に 対 す る 肝 動 静 脈 遮 断 下RFAの 研 究 。

  切 除 困 難 で あ っ た 肝 腫 瘍4例 、 4結 節 。 肝 細 胞 癌3結 節 、 転 移 性 肝 癌1結 節 。 腫 瘍 径 は 42−57mm( 平 均50. 2mm)。 肝 動 脈 塞 栓 術 と バ ル ー ン カ テ ー テ ル に よ る 肝 静 脈 遮 断 を 行 い 一 期 的 にRFAを 行 っ た 。 最 大 焼 灼 長 径 は50―60nuu( 平 均56. 5mm)で あ っ た 。3結 節 で 完 全 焼 灼 が 得 ら れ た 。1結 節 は 追 加 焼 灼 が 必 要 で あ っ た 。 観 察 期 間 内 に 局 所 再 発 を1例 認 め た が 治 療 関 連 の 重 大 な 合 併 症 は 認 め ら れ な か っ た 。 重 篤 な 合 併 症 な く5cmを 超 え る 焼 灼 範 囲 が 獲 得 さ れ 本 法 は あ る 程 度 の 効 果 が 期 待 で き る こ と が 判 明 し た 。

3. 肝 細 胞 癌 に 対 す る ソ ナ ゾ イ ド 造 影 超 音 波 ガ イ ド 下RFAの 研 究 。

  2007年6月 か ら2008年5月 ま で の 間 に42例52結 節 の 肝 細 胞 癌 に 対 し て ソ ナ ゾ イ ド 造 影 超 音 波 ガ イ ド 下RFAを 行 っ た 。35例40結 節 は 初 回 治 療 の 肝 細 胞 癌 で あ っ た 。7例12結 節 は 肝 細 胞 癌 の 局 所 再 発 で あ っ た 。B−modeで の 病 変 検 出 は 初 発 肝 細 胞 癌27結 節(67.5% ) の に 対 し ソ ナ ゾ イ ド 造 影 超 音 波 で は38結 節(95% ) 有 意 に 検 出 が 向 上 し た 。 ま た 局 所 再 発12 結 節 のB−modeで は の 検 出 は5結 節(41.7% ) で あ っ た の に 対 し ソ ナ ゾ イ ド 造 影 超 音 波 で は 全 例 検 出 が 可 能 と な り 、 初 発 、 再 発 含 め50結 節(96.5% ) でRFAが 可 能 で あ っ た 。 肝 動 脈 塞 栓 術 に 関 す る 研 究 に よ り 、 肝 胆 膵 領 域 の 術 後 出 血 に 対 し て 動 脈 塞 栓 術 は 有 用 で あ る が 、 肝 動 脈 塞 栓 後 に 側 副 血 行 路 の 有 無 が 予 後 を 左 右 す る こ と が 示 さ れ た 。 側 副 血 行 路 発 達 に 与 え る 因 子 に 関 し て は 今 後 の 研 究 が 必 要 で あ る 。 血 流 遮 断 や 造 影 超 音 波 はRFAの 補 助 手 段 と し て の 有 用 性 が 示 唆 さ れ た が 、 多 数 例 、 長 期 観 察 例 で の 比 較 検 討 が 必 要 と 思 わ れ る 。   口 頭 発 表 に 際 し 、 副 査 竹 富 教 授 よ り 術 後 出 血 に 対 す るTAEの 際 の 留 意 点 と 塞 栓 物 質 の 選 択 、 固 有 肝 動 脈 を 塞 栓 時 の 側 副 血 行 路 を 予 測 可 否 、 術 前 血 流 改 変 と 術 中 血 行 再 建 術 の 優 劣 に つ い て の 質 問 が な さ れ た 。 次 い で 副 査 坂 本 教 授 よ り 血 流 遮 断 下RFAに 関 し て 肝 動 脈 遮 断 と 肝 静 脈 遮 断 の 適 応 と そ れ ぞ れ の 焼 灼 範 囲 比 較 に 関 し て 質 問 が な さ れ た 。 ま た 肝 動 静 脈 遮 断 下RFAに 関 し て 手 技 の み で は な く 安 全 性 、 長 期 予 後 に 関 し て の 検 討 が 必 要 で あ る と の 指 摘 を 受 け た 。 副 査 自 土 教 授 よ り 肝 動 静 脈 遮 断 下RFA中 の 血 流 モ 二 夕 リ ン グ に 関 し て 質 問 が あ っ た 。 最 後 に 主 査 玉 木 教 授 か ら 本 研 究 の 結 果 、 画 像 診 断 的 側 面 か ら の 研 究 応 用 に 対 す る 質 問 が な さ れ た 。 い ず れ の 質 問 に 対 し て も 、 申 請 者 は 研 究 結 果 に 基 づ き 、 あ る い は 文 献 的 知 識 に よ り 概 ね 適 切 な 回 答 を 行 っ た 。

  こ の 論 文 は 肝 疾 患 に 対 す るIVRの 有 用 性 を 示 唆 し た 研 究 で あ り 、 今 後 さ ら な る 症 例 の 蓄 積 お よ び 比 較 検 討 に よ り 重 要 性 が 高 ま る と 期 待 さ れ る 。

  審 査 員 一 同 は 、 こ れ ら の 成 果 を 高 く 評 価 し 、 研 究 生 期 間 に お け る 研 鑽 や 業 績 な ど も 合 わ せ 、 申 請 者 が 博 士 ( 医 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 十 分 な 資 格 を 有 す る も の と 判 定 し た 。

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