博 士 ( 工 学 ) 柿 本 貴 志
学 位 論 文 題 名
Treatment of pharmaceuticals at source using composting process of human excrement
(し尿のコンポスト化反応を利用した医薬品の発生源処理に関する研究)
学位論文内容の要旨
近年の分析機器の 目覚しい発展により、水中に存在する極性物質の高感度検出が可能にをり、そ の結果、水環境中や 水道水中に医薬品やその代謝 産物がpg/L〜ng皿で存在することが明らかにさ れている。環境中に 存在するレベルの医薬品が水棲生物に慢性的を影響を及ばすとの報告もをされ ているため、環境中 への医薬品の排出量を削減することは、生態学的に安全を水環境の創出には重 要であると考える。
排水処理に一般的 に用いられている標準活性汚 泥法による医薬品の除去率 は低いため、MBRや AOPをどの様々を先端 的を方法を排水処理に適用 し、処理性を改善させる試み が数多くみられる が、著者は医薬品の 主要を排出媒体であるし尿を発生源で水系から分離し処理することにより、医 薬品の排出量管理は 容易にをるものと考える。し 尿中には極めて高濃度の有機物が存在するため に、その処理には生 物処理が必須と考え、本研究では発生源処理の装置としてドライトイレである コンポスト型トイレ に着目し、し尿中に排泄される高濃度の医薬品によるコンポスト化反応の阻害 効果と、し尿のコン ポスト化過程における医薬品の処理性能について評価を行をうことを本研究の 目的とした。
第一章は緒言であ り、医薬品の使用量や人体による代謝・排泄経路、都市水代謝システム内にお ける医薬品の挙動と 処理性能、環境水中の検出濃 度と生態毒性について、既往の研究のReViewを おこをい、医薬品の 環境中への排出量を削減するためには発生源における処理を行顔うことが効果 的であることを述べ ている。また、発生源処理装置としてコンポスト型トイレを提案し、処理装置 として明らかにする べき研究課題を示している。
第二章では使用量 が多い抗生物質(Amo虹cmin)が糞便のコンポスト化反応に与える影響につい て検討を行をった。 抗生物質濃度を段階的に設定してコンポスト化反応が進行する条件に設定した 結果、抗生物質は素 早く分解されたが、現実的に考えられる抗生物質の濃度でコンポスト化反応を 阻害することが分か った。糞便のコンポスト化反応のモデルを用いて抗生物質の影響を検討したと ころ、抗生物質は抗 生物質添加後の生菌数を減少させ、更に生菌の増殖速度や基質の加水分解速度 を低下させることが 示唆された。また、低下したコンポスト化細菌の活性を高めることを目的とし て糞便の間欠投与試 験を行をった結果、糞便中の細菌とコンポスト化細菌とは異をるものであり、
糞便によルコンポス ト化細菌を植種することはできず、コンポスト化反応の活性を早く回復させる に は 、 抗 生 物 質 投 与 後 の 生 菌 数 を 高 く 保 つ こ と が 重 要 で あ る こ と が 明 ら か に を っ た 。 第三章、第四章で は、日本国内で主に使われているとされる系統の抗生物質4種類(ベニシリン
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系(Amoxicillin)、テトラサイクリン系(Tetracycline)、マクロライド系(Azithromycin)、フルオロ キノロン 系(Levofloxacin))のコンポ スト化過程における安定性と、安定性に及ばす影響因子につ いて検討 を行をった。滅菌したコン ポストと滅菌処理しをいコン ポスト中での抗生物質濃度の変 化を調べ た結果、Levofioxacinはコンポスト化反応においては非常に安定であったが、その他の抗 生物質は 分解され、それは無機化学的を反応により引き起こされていることが分かった。文献調査 により、 ペニシリン系とテトラサイ クリン系の抗生物質について はりン酸、アンモニア、pHによ り分解が 促進される可能性が明らか にをったため、次にコンポス ト化反応槽で標準的をpHである pH7〜9の りン酸、アンモニア各溶液 中における抗生物質3種類の 分解速度を調べた。アンモニア とりン酸 、ヒドロキシルイオンそれ ぞれの分解速度定数を線形結 合し包括的な反応速度定数を求 め、コン ポスト中のりン酸、アンモ ニア、pHのレベルから予想さ れる抗生物質の分解パターンと 実測デー タを比較した結果、予測値 と実験値がほば一致したため 、検討対象とした抗生物質のう ち、Amoxicillin、Tetracycline、Azithromycinは無機化学的に分解すると考えられた。分解生成物 質の抗菌 活性を評価するために、リン酸アンモニウム水溶液中で抗生物質を分解させた後、最小発 育阻止濃 度試験を行をった結果、分解生成物質は抗菌活性を失っていることが示された。これによ り、コン ポスト化反応槽内で生成された抗生物質の分解生成物質は抗菌作用を失っていることが示 された。
第五章 では、し尿のコンポスト化 過程における抗生物質を除く 医薬品の挙動と分解に及ばす影 響因子に ついて検討をした。微生物 担体であるコンポストに対す る糞便の負荷を乾燥重量で5%、 15%、20%としたときの医薬品の分解 を調べた結果、5qoの場合は 検討対象の酸性・塩基性両医薬 品がほば 同じ速度で分解されていた が、15%、20%と負荷が高くを るに連れて、塩基性医薬品の分 解速度の みが高くをった。担体のpHを測定した結果、分解速度が 高まる条件においては医薬品が 一部非解 離状態で存在しており、医薬品の分解性と解離状態には関係があることが示唆された。次 に弱アル カリ性条件下で医薬品の分 解試験をし、途中でpHを中性 に変化させたところ、生物活性 が維持さ れているにも関わらず、医薬品の分解速度は低下した。これにより解離状態と医薬品の分 解性には 関係があり、解離状態の医薬品は非解離状態のものと比較して分解性が低いことが明らか に なっ た。 コ ンポ スト 化反応槽の担体のpHはし尿 から生成するアンモニアに より約7〜9の幅に ある。こ の条件下において酸性医薬品の多くは解離状態で存在するため、処理が困難であるが、塩 基性医薬 品はその一部が非解離状態で存在するためにため比較的速い速度で処理が可能であると考 えられた 。
第六章 では、コンポスト型トイレの操作可能因子である糞の負荷と反応槽温度の医薬品分解速度 に与える 影響について検討を行をった。その結果、反応槽内で医薬品と共存する糞由来の有機物は 検討範囲 内(5%〜20%)において医 薬品の分解を阻害しをいことがわかった。また20℃〜50℃の 範囲で医 薬品の分解速度の温度効果について調べた結果、この温度範囲において医薬品の分解速度 はアレニ ウスの式により評価可能であることがわかった。また、解離状態・非解離状態の医薬品の 分解速度 を各々算出して温度効果を調べた結果、非解離状態の医薬品の分解速度に影響しているこ とが明ら かにをった。これらの結果 からコンポスト化反応槽の温 度を低くしてもpHを高くするこ とにより 、医薬品の分解速度を制御可能である可能性が示された。また構造の類似性と解離定数の 値 よ り 、 コ ン ポ ス ト 化 反 応 槽 内 で 処 理 可 能 と 思 わ れ る 医 薬 品 の 推 定 を 行 顔 っ た 。 第 七 章 は 本 研 究 の 、 各 章 の ま と め と 今 後 の 課 題 ・ 展 望 に つ い て 述 べ た 。
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学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主査 教授 船水尚行 副査 教授 渡辺義公 副査 教授 高橋正宏
副査 教授 寺沢 実(農学研究院)
学 位 論 文 題 名
Treatment of pharmaceuticals at ●
source uslngCOnlpOStingprOCeSSOfhumaneXCrement
(し尿のコンポスト化反応を利用した医薬品の発生源処理に関する研究)
近年の分析機器の目覚しい発展により、水中に存在する極性物質の高感度検出が可能にをり、そ の結果、水環境中や水道水中 に医薬品やその代謝産物がpg/L〜ng皿で存在することが明らかにさ れている。環境中に存在するレベルの医薬品が水棲生物に慢性的を影響を及ばすとの報告もなされ ているため、環境中への医薬品の排出量を削減することは、生態学的に安全な水環境の創出には重 要であると考える。
排水処理に一般的に用いら れている標準活性汚泥法に よる医薬品の除去率tよ低いため、MBRや AOPをどの様々を先端的を方 法を排水処理に適用し、処理 性を改善させる試みが数多 くみられる が、著者は医薬品の主要極排出媒体であるし尿を発生源で水系から分離し処理することにより、医 薬品の排・出量管理は容易にをるものと考える。し尿中には極めて高濃度の有機物が存在するため に、その処理には生物処理が必須と考え、本研究では発生源処理の装置としてドライトイレである コンポスト型トイレに着目し、し尿中に排泄される高濃度の医薬品によるコンポスト化反応の阻害 効果と、し尿のコンポスト化過程における医薬品の処理性能について評価を行をうことを本研究の 目的とした。
第一章は緒言であり、医薬品の使用量や人体による代謝・排泄経路、都市水代謝システム内にお ける医薬品の挙動と処理性能 、環境水中の検出濃度と生 態毒性について、既往の研究のReviewを おこをい、医薬品の環境中への排出量を削減するためには発生源における処理を行なうことが効果 的であることを述べている。また、発生源処理装置としてコンポスト型トイレを提案し、処理装置 として明らかにするべき研究 課題を示している。
第二章では使用量が多い抗 生物質(Amoxicmin)が糞便のコンポスト化反応に与える影響につい て検討を行をった。抗生物質濃度を段階的に設定してコンポスト化反応が進行する条件に設定した 結果、抗生物質は素早く分解されたが、現実的に考えられる抗生物質の濃度でコンポスト化反応を 阻害することが分かった。糞便のコンポスト化反応のモデルを用いて抗生物質の影響を検討したと ころ、抗生物質は抗生物質添加後の生菌数を減少させ、更に生菌の増殖速度や基質の加水分解速度 を低下させることが示唆された。また、低下したコンポスト化細菌の活性を高めることを目的とし て糞便の間欠投与試験を行橡った結果、糞便中の細菌とコンポスト化細菌とは異をるものであり、
糞便によルコンポスト化細菌を植種することはできず、コンポスト化反応の活性を早く回復させる
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に は 、 抗 生 物 質 投 与 後 の 生 菌 数 を 高 く 保 つ こ と が 重 要 で あ る こ と が 明 ら か に を っ た 。 第三章、第四章で は、日本国内で主に使われて いるとされる系統の抗生物質4種類(ベニシリン 系(Amoxicillin)、テ トラサイクリン系(Tetracycline)、マクロライド系(Azithromycin)、フルオロ キノロン系(Levofloxacin))のコンポスト化過程 における安定性と、安定性に及ばす影響因子につ いて検討を行をった 。滅菌したコンポストと滅菌 処理しをいコンポスト中で の抗生物質濃度の変 化を調べた結果、Levofloxacinはコンポスト化反応においては非常に安定であったが、その他の抗 生物質は分解され、 それは無機化学的を反応により引き起こされていることが分かった。文献調査 により、ベニシリン 系とテトラサイクリン系の抗 生物質についてはりン酸、 アンモニア、pHによ り分解が促進される 可能性が明らかになったため 、次にコンポスト化反応槽 で標準的をpHである pH7〜9の り ン酸 、ア ンモニア各溶液中における 抗生物質3種類の分解速度を 調べた。アンモニア とりン酸、ヒドロキ シルイオンそれぞれの分解速 度定数を線形結合し包括的 を反応速度定数を求 め、コンポスト中の りン酸、アンモニア、pHのレ ベルから予想される抗生物 質の分解パターンと 実測データを比較し た結果、予測値と実験値がほ ば一致したため、検討対象 とした抗生物質のう ち、Amoxicillin、Tetracycline、Azithromycinは無機化学的に分解すると考えられた。分解生成物 質の抗菌活性を評価 するために、リン酸アンモニウム水溶液中で抗生物質を分解させた後、最小発 育阻止濃度試験を行 をった結果、分解生成物質は抗菌活性を失っていることが示された。これによ り、コンポスト化反 応槽内で生成された抗生物質の分解生成物質は抗菌作用を失っていることが示 された。
第五章では、し尿 のコンポスト化過程における 抗生物質を除く医薬品の挙 動と分解に及ばす影 響因子について検討 をした。微生物担体であるコ ンポストに対する糞便の負 荷を乾燥重量で5%、 15%、20ゲ。としたときの医薬品の分解を調べた結果、5ゲ。の場合は検討対象の酸性・塩基性両医薬 品がほば同じ速度で 分解されていたが、15ゲ。、20%と負荷が高くをるに連れて、塩基性医薬品の分 解速度のみが高くを った。担体のpHを測定した結 果、分解速度が高まる条件 においては医薬品が 一部非解離状態で存 在しており、医薬品の分解性と解離状態には関係があることが示唆された。次 に弱アルカリ性条件 下で医薬品の分解試験をし、 途中でpHを中性に変化させ たところ、生物活性 が維持されているに も関わらず、医薬品の分解速度は低下した。これにより解離状態と医薬品の分 解性には関係があり 、解離状態の医薬品は非解離状態のものと比較して分解性が低いことが明らか にを った 。 コン ポス ト化 反 応槽 の担 体のpHは し尿から生成するアンモニア により約7〜9の幅に ある。この条件下に おいて酸性医薬品の多くは解離状態で存在するため、処理が困難であるが、塩 基性医薬品はその一 部が非解離状態で存在するためにため比較的速い速度で処理が可能であると考 えられた。
第六章では、コン ポスト型トイレの操作可能因子である糞の負荷と反応槽温度の医薬品分解速度 に与える影響につい て検討を行をった。その結果、反応槽内で医薬品と共存する糞由来の有機物は 検討範囲内(5%〜20ゲ。)において医薬品の分解を阻害しをいことがわかった。また20℃〜50℃の 範囲で医薬品の分解 速度の温度効果について調べた結果、この温度範囲において医薬品の分解速度 はアレニウスの式に より評価可能であることがわかった。また、解離状態・非解離状態の医薬品の 分解速度を各々算出 して温度効果を調べた結果、非解離状態の医薬品の分解速度に影響しているこ とが明らかにをった 。これらの結果からコンポス ト化反応槽の温度を低くし てもpHを高くするこ とにより、医薬品の 分解速度を制御可能である可能性が示された。また構造の類似性と解離定数の 値 よ り 、 コ ン ポ ス ト 化 反 応 槽 内 で 処 理 可 能 と 思 わ れ る 医 薬 品 の 推 定 を 行 な っ た 。 第 七 章 は 本 研 究 の 、 各 章 の ま と め と 今 後 の 課 題 ・ 展 望 に つ い て 述 べ て い る 。 これを要するに, 著者はコンポスト型トイレに尿やふん便とともに投入される医薬品についてそ の分解反応やコンポ スト反応に与える影響について有用を知見を与えl,コンポスト型トイレが環境 における医薬品の管 理に有効であることを示している.これらの成果は衛生工学に発展に寄与する こと大であると認められる,よって,著者は北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるも のと認める,
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