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学 位 論 文 要 旨

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Academic year: 2021

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(別紙様式第3号)

学 位 論 文 要 旨

氏名: 工藤 渚

題目: Specific nutrition of halophyte in relation to salt tolerance

(塩生植物の塩に対する応答と耐塩性)

現在、塩集積土壌は世界中の農地で拡大し続けており、土壌劣化や収穫量の低下など農業 生産に深刻な影響を及ぼしている。

本研究では乾燥地域の農地における塩害の調査と、塩集積土壌の改良に用いることができ る可能性のある塩生植物の塩に対する応答と耐塩性を調査した。また、高塩条件下での窒素 (N)吸収機構についても調査した。

1. メキシコ南バハカリフォルニア州の農業地帯における塩害の実態調査

メキシコ南バハカリフォルニア州の農業地帯では、無計画な灌漑により塩類集積が引き起 こされている。塩害を回避するためには、塩害の実態を正確に把握することが重要である。

本研究では、塩害の深刻度の異なる 3 つの農業地帯の灌漑水質、土壌溶液の化学的特性、

作物の栄養状態を調査した。

1)土壌溶液組成と果樹葉身の障害

障害葉/健全葉の元素含有率比と可視的な障害および土壌溶液の無機元素含有率との間に は、一定の関係性は認められなかった。一般的に理解されている元素の欠乏・過剰と視覚的 な症状との関係は単純ではなく、葉身における無機元素量・比、土壌の無機元素濃度、樹種 などの複合的な要因により決定されることが考えられた。

2)灌漑水・土壌溶液組成および作物による塩類の取り込み

3つの地域の灌漑水のECは0.97-1.26 dS m-1、Na濃度は3.7-6.2 mmol L-1と低-中程度 の塩害が懸念される値であるが、降水量と蒸発量を考慮すると、長期的な節水灌漑計画が必 須である。土壌溶液中のNaはその他のイオンと比べて非常に高濃度であった。土壌溶液中 のNaと ECおよび Na とpH との間に有意な正の相関が認められたことから、土壌中の NaがECおよびpHに影響を与えていることがわかった。調査した作物種の生育時期、塩 に対する感受性は様々であったが、長期的に灌漑栽培を行う上で、Na過剰害が最も懸念さ れること及びNa耐性が作物の生育と収量に大きな影響を及ぼすことが示唆された。

2. 植物のナトリウム(Na)耐性の指標

塩ストレス、特にNaストレスは、植物体内の必須カチオンや微量元素のホメオスタシス が攪乱されることで生育と収量に深刻な影響を与える。本研究の目的は、1)カチオンバラ ンス(([K]+[Ca]+[Mg])/ [Na]) 2)微量元素の吸収能という本研究で提案する2つのNa害の 指標の有用性を検証することである。

耐塩性強とされるアッケシソウ、中とされるビート、中‐弱とされるトウモロコシ及び弱 とされるインゲンの4つの植物種を塩無添加土壌(CO)、塩性土壌(SA)、アルカリ土壌(SO) および強アルカリ土壌(HSO)を用いて栽培した。アッケシソウはSOで最も良好な生育を示 し、地上部の生長部位に多量のNaを蓄積した。ビートはSAで最も良好な生育を示し、十 分な生育にNaを必要とすることがわかった。このことにより、両植物種は塩生植物に分類 される。アッケシソウとビートにおいて、生育とカチオンバランスとの間に相互関係は認め

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られなかった。トウモロコシとインゲンは全ての塩処理土壌で生育が低下した。特にインゲ ンは著しい生育低下を示した。カチオンバランスはトウモロコシがインゲンよりも高い値を 示した。したがって、トウモロコシやインゲンなどの中生植物においては、カチオンバラン スをNa耐性の指標として用いることができる。アッケシソウとビートは塩処理土壌で積極 的な微量元素吸収を示した。トウモロコシとインゲンでは、塩処理により、微量元素吸収が 抑制され、抑制度合いはインゲンの方が大きかった。したがって、微量元素の吸収能は塩生、

中生植物に関わらずNa耐性の指標となる。

3.高塩条件下での塩生植物Salicornia bigelovii L.のN吸収機構

高塩条件下において、植物はCl-とNO3-との拮抗作用によりNO3-吸収が低下するが、海 岸地帯に自生するアッケシソウはN欠乏を呈さない。このことは、肥沃度の低い塩集積地 で栽培する際に有用である。そこで、本研究では、高塩(200 mmol L-1 NaCl)条件下で、低

-中濃度(1, 2, 3, 4mmol L-1)のNH4+またはNO3-を用いてアッケシソウのN栄養特性を調 査した。低N条件下では、NH4+区でNO3-区より良好な生育を示した。このことから、ア ッケシソウは高塩条件下でNH4+を有効に利用していることが示唆される。NO3-区では地上 部のN含有率のみ生育との間に有意な正の相関が認められたが、NH4+区においては、K含 有率のみ生育との間に正の相関が認められた。このことから、アッケシソウにおいてN栄 養源がNO3-の場合、生育制限要因はNであり、NH4+の場合はKが生育を制限することが わかった。

参照

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