児童が主体的に学び合うための授業づくり
一教師と児童、児童と児童のコミュニケーションを中心にー 専攻 高度学校教育実践専攻 コース 教員養成特別コース 氏 名 福 本 朔 太 郎 1.研究の背景 私は「児童同士が主体的に学び合うことの できる授業」を理想として考えている。そう した授業を行うことで,児童らは自ら課題を 解決する力を身に付けることができるとと もに,学習内容を深く理解することができる のではないかと考えるからである。 そのように考えるようになったきっかけ として,大学院 1年次後期の実習で,r
鉄ぼ う運動」の授業実践を 1単元通して行った経 験がある。 その授業では,得意児童と不得意児童とが 混ざ、ったグループを作って練習を行い,得意 児童が不得意児童に教えることのできるよ うな授業のかたちをとった。すると,今まで 鉄棒に触ることのなかった児童も,得意児童 に教えてもらったり,励まされたり勇気づけ られたりすることで,実際に鉄棒に触れてみ て練習を行うことができていた。結果として, 児童が児童同士のコミュニケーシヨンをも とに主体的に活動に取り組む姿を見ること ができたのである。そこで,私はこのような 「児童同士のコミュニケーション」とそれを 生みだすことができた,r
グループワーク」 に焦点を当てた授業づくりを行うことで,児 童の意欲や主体性を高めることができるの ではないかと考えr
児童が主体的に学び合 うための授業づくり」をテーマとして本研究1
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。こ 実習担当教員 実習指導教員 実習指導教員2
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研究の方針と手立て 藤 原 伸 彦 木 下 光 三 葛 上 秀 文 「児童が主体的に学び合う授業」を作るた めに,以下の 2つの手立てや支援を取り入れ た授業づくりを行い実践することで本研究 を進めていくこととした。 ①グループワークを取り入れた授業づくり主丘三
L 私がこれまでに行った授業では,一斉授業 を 行 う 際 に は 教 師 特 児 童 」 の コ ミ ュ ニ ケ ーションに偏りがちで,他の児童との「児童 特児童」のコミュニケーションが生まれにく し、傾向がある。また,一斉授業でも手を挙げ て発言できる児童もいれば,なかなか発言で きない児童も生まれやすいと考えられる。 そのため,授業の中に「グループワーク」 での学習活動を取り入れることで,児童の聞 にコミュニケーションが生まれ,課題につい て考え,話し合い,教え合い,交流すること で,他の児童とのつながりから,意見や考え を深めあうことができるのではないかと考 えられる。 ②グループワークに必要な支援や手立てを亙旦ム&ゑ♀
授業の中で児童に課題をさせる際に,ただ 単にグループで作業をさせるだけでは,児童 の話し合いやコミュニケーションは生まれ にくい。グループワークを取り入れた授業を 行う際には,児童の話し合いやコミュニケー ションが生まれるために,課題設定や教師の 支援が必要になってくると考えられる。授業実践の実践日とその単元内容は次の通 りである。 授業実践①・第 4学年算数科「何倍でしょう」 (2011.5. 30) 授業実践②:第 4学 年 国 語 科 「 一 つ の 花J (2011.7. 15) 授業実践③:第 4学年国語科「ごんぎつね」 (2011. 10. 30/2011.11.2)
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授業実践による分析と考察 児童のコミュニケーションを学習活動に 取り入れた授業実践を行い,児童の反応や, 話し合い活動で児童がどのように話し合い を進めたのかを,プロトコルやワークシート をもとに分析していった。 授業実践①:第4学年算数科「何倍でしょう」圭主エ
-児童一人ひとりにワークシートの課題を考 えさせた後,グループワークでの話し合い を行い,各班で小型ホワイトボードに考え をまとめさせ,説明をさせた。盛塁
.グループワークを取り入れた授業づくりを 行ったことで,児童同士のコミュニケーシ ヨンを促すことができた。 ・グループワークをさせる前に,児童一人ひ とりに問題を考えさせる時間を設けたこ とで,話し合いに深まりをもたせることが できた。 ・理解の浅い児童には,問題を解く際に補助 教材としてヒントカードを配ったり,机間 巡視の際に個別で指導を行っていくこと で,問題に対しての自己の考えを持たせる ことができた。蓋彊
・児童の中には,グループワークで話し合い に上手く参加できない児童も見られた。そ のため,グループワークをさせる際に,課 題をグループで話し合うことが難しいの ではないかと予想される児童をあらかじ め把握しておき,授業の中で助言や言葉が けを行っていく必要があると考えられる。 このことは,先行研究で佐藤も述べていた とおりて、あった。 -児童の教材の本質に迫るような発言に対じ て,教師がそれを生かすことができていな い場面が見られた。また,実践②を行った 後に,次のような気づきをえた。 -各班の発表を行う際にr
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倍の反対は半 分ってことちゃうり」と外から見ていた児 童Kが発言した。そのとき,教師が rKく んがいいこといってくれたねoJr
なんで、, そう思ったの?Jといった「問い返し」が 行えていれば,児童の考えを引き出し,深 めることができたのではないかと考えら れるo 授業実践②:第4学年国語科「一つの花」主主エ
・授業実践①での課題を生かして,グループ ワークを行う際に,話し合いを行うことが 苦手な児童への机間指導,助言を行うこと とした。一斉指導でr
一つの花」の第3 場面を読み説いた後,グループワークでワ ークシートの課題の考えを,共有させて新 たな気づきを書かせた。盛塁
・児童一人ひとりに課題を考えさせる時間を 設けたことで,児童がグループワークでの 話し合いを行うことができていた。 ・話し合いに参加することが難しいと想定さ れる児童や,読み取りや書きが苦手な児童 を想定し,そうした児童の所属する班に, 積極的な助言や言葉がけを行ったことで, 児童の新たな意見を引き出し,話し合いを促すことができていた。 翠翠 ・教師が児童の発言に対して,適切な「問い 返し」ができていなかったため,児童の読 みや考えを深めることができていなかっ たロ ・教材研究が不十分であったため,本文を読 み解く際に,叙述に即していない「想像」 と叙述に即した「事実」とが区別されない まま読んでしまっていた。 ・教材研究と発問の吟味が不十分であったた め,課題の内容が他の課題と答えが重なる ものであったり,答えが解りきっているも のであったため,児童の想像が膨らまず, 児童の思考を深めることができなかった。 ・教師の児童への,グループワークマの話し 合い方,課題の書き方,の説明が不十分で あったため,話し合い活動が正しく行えて いなかったり,ワークシートに白紙の部分 が目立った。 授業実践③:第4学年国語科「ごんぎつね」
主主エ
-授業実践②では,児童の発言に対して「問 い返し」が行えていなかったことが,教師 自身にとっての大きな課題であると感じ た。授業実践③では,物語文「ごんぎつね」 の山場であるr
6 Jを読み取る場面であ るため,読み取りに時間をかけた授業を行 いたいと考えた。 そのため,グループワークでの話し合い は授業実践③では取り入れず,特に授業実 践②の課題であった,児童の発言に対する 教師の「問い返し」を積極的に行うことで, 児童の読みや考えを深めるような授業を 行いたいと考えた。 盛塁 ・児童の発言に対する教師の「問い返し」が 行われたことで,児童の発言を引き出し, 考えを深めることができていた。 ・児童の発言に対する問い返しを行うことで, 児童の叙述に即していない「想像Jの読み を,叙述に即した「事実」の読みにつなげ ることができた。 ・読みが深まったことで,結果として全ての 児童が r6Jの場面を読み取りワークシー トに,書きこむことができていた。 翠題 ・児童の発言に対して問い返した内容を,ク ラス全体に広げるとともに,児童主体での 話し合い,考えの深めあいにつなげること ができていない。 ・発問の内容・数のしぼりこみができていな いために時間が不足して,教師が一方的に 話をしてしまうことで,児童に発聞を考え させる時聞が少なくなってしまう。 4 研究のまとめ 授業を実践したことで得られた成果と課 題を整理したことで明らかとなった「児童が 主体的に学び合う授業」に必要な要素は以下 のとおりである。 l 1.グループワークを取り入れた授業づくり1 グループワークを取り入れた授業を行う 際に児童のコミュニケーションが生まれる ために必要な要素として以下の6つが挙げ られる。以下の6つを取り入れた授業づくり を行ったことで,児童らの主体的な学び合い を促すことができるのではないかと考えら れる。 【手立て 1】グループワークで話し合いをす るのに適した課題設定 話し合いが生まれやすいように課題の内 容を吟味する。以下の4つを取り入れる。 「今まで学んできた知識を元に考える課題」 「皆の考え方をまとめる課題」「何通りかの考え方を元にして解決を図る ような課題」 「答えが1つではない,もしくは答えのない 課題」 【手立て2】個々で考える時間の確保 児童一人ひとりが課題についてじっくり 考える時間を設ける。 【手立て3】何を話し合うのかの明確な提示 何を話し合えばよいのか,時間は何分で行 うのかといった教師の明確な指示をだす。 【手立て 4】教師の机間巡視圃助言 班の中で,もれなく児童が話し合いを行う ため,教師が言葉がけを行っていく。 【手立て5】補助教材の活用 ヒントカードの作成などを行い。児童が自分 の考えを持てるようにする。