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導電用アルミニウム合金の疲れ強さ

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Academic year: 2021

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る20.178.3

導電用アルミニウム合金の疲れ強さ

Fatigue

Stren釦b

of Aluminium Alloys for Electric Conductor Use

西

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Rokur6 Ka下∇-anisbi

高抗張力導電用アルミニウム合金としてのアルドライ合金(AトMg2Si系合金)ほ架空送電線などに最近需要 が非常に多くなってきている。 アルドライ合金ほ析出形時効硬化性合金であり,静的強さ,耐食性および導電率が熱処理条件に大きく影響 されると同様に,架空送電線に使用する場合に問題となる疲れ強さも,熱処理により変化することが考えられ る。 したがって,130∼2000Cの範囲で放高8時間までの焼戻処理を行った場合の疲れ強さを測定した。 得られた実験結果を要約すると (1)焼戻温度が高く,時間が長いほど,疲れ強さは低下する傾向がある。 (2)静的強さと疲れ強さの関係ほ,疲れ墟さが高いもののほうが,静的強さも高くなっている。

1.緒

口 導電用アルミニウム合金として,最近需要の多いアルドライ合金 は,長径間の架空送電線などに広く使用されつつあるが,架空送電 線に使用される材料として,当然風圧により複雑な振動を受けるこ とが考えられる。したがって,このような材料に対しては架設時の 基礎的なデーターとして疲れ強さがどの程度のものであるかを調べ ておくことが大切である。 疲労破壊ほ,変動する応力,または変動的塑性ひずみによって材 料が破壊する現象をいうのであるが,架空送電線がうける応力は,

振り返し応力を周期的に受ける場合もあるし,また変動応力を受け

るときもあり,応力もまた非常に変動することが考えられる,しか し疲労という現象は,応力振幅が静的破壊応力より非常に低い値で あっても起るという事実ほ十分注意しなければならない。このよう にきわめて小さい繰り返し応力を受けて材料が破壊することについ てほ,数多くの研究が(1)(2)なされているが,いまだに明快な解析は されていない,通常巨視的立場から考えると,材料が繰り返し応力 を受ける場合には,応力の分布ほ試料の最外層において最大となる ことが多い。このためにその部分がひずみ硬化を起し.最後にほす べり変形を起すことができなくなり,微細なきれつが発作して内川; のほうに発展し,ついに破断すると考えられている。 疲れ強さを測定するには,疲労試験を行うのであるが,非鉄金属 材料では,鉄鋼材料とことなり繰り返し数が増加しても疲労限が, あきらかに認めがたいので,一般に繰り返し数106∼107川における 疲れ強さを使用している。 アルドライ合金は時効硬化性析㌻tl形合金で(3)あり,熱処理により 機械的強さ,導電率および耐食性などが変化する,これは溶体化処 理により過飽和に固溶したMg2Siが,焼戻処理により析附してく るからである。したがって,7ルドライ合金のように焼戻処理によ 第1表 レし 学 組 成 イ の 材 試 供 化 学 組 成 (%) 料 ア ルド ラ イ 金 高品位アルミ ニウム (99.89%Al) 普通品位アルミニウム (99.76%Al) Fe l Si! Cu 0.12 0.06 0.17 日立電線株式会社電線工場 0.0610.002 Mnl TilMg 第1岡 シュビニソグ式回転曲げ疲労試験機 り,所要の性能をうる材料においてほ焼戻処理条件は十分に考慮す る必要がある。 疲れ強さに影響する内子としては加二亡度,熱処理,結晶粒度,析 川物の形状などが考えられるが,本論文は焼戻条件により疲れ強さ がどの程度変化するかにつき調宜したものである。

2.供試材および実験方法

2.1供 試 材 試料は熱間加工後5200Cで溶体化処理,常温時効後冷間伸緑によ り 2.9mm¢にしたもので,これを130,150,170および2000Cの 各温度で最高8時間まで焼戻処理を行った。 なお,比較のために電気用地金品位のアルミニウムについても疲 れ強さを測定した。 第1表は供試材の化学組成を示す。 2.2 試験装置ほシュビニソグ式Ⅰ巾 ̄Ⅰ転曲げ疲労試験機を使用した。

弟l図はシュビニソグ式回転曲げ疲労試験機の外観写真を示した

ものである。 弟2図は試験機の原理を図解したもので,この方法においては, 試験片の長さにそってのモーメソトが一様であり,1回転ごとに試 験片の各点は練り返し応力をうけることになる。 試料長ほ180mmで,回転軸Cを電動機によって回転すると試験 - 76

(2)

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第2図 疲労試験機 の 図解

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/甘J /■Jb 破断回数(八り /′J7 第3図 アルドライ合金,アルミニウム線の破断 回数と繰返し応力の関係

プカーー 無処嘩 ′が ′が 破断回敬川J / 第4L濱l焼戻し臥し度(130)を一定にしたときの処即 時間の変化による破断回数と繰返L応ノブの関係 けSが回転する,試験片が破断すると電動機が自動的に止まるよう になっており,その破断までの阿転数ほ,回転計Dによって指示さ れるようになっている。

3.実

果 3.1硬引き材の疲れ強さ 第3図は2.9mm¢のアルドライ合金線および電気畑地金品位の アルミニウム線の硬引き材の振返し応力と破断回数との関係を示し たものである。 弟3図をみるとわかるように,アルミニウム線においてほ純度に

より獲れ強さにほ大きな差がない,たとえば107何における限定疲

労限を求めると,高品位アルミニウム(99.89%Al)は±5.5kg/mm2, 普通品位アルミニウム(99.76%Al)は±6.Okg/mm2である,しかる にアルドライ合金は土9.6kg/mm2と高い値を示しており,機械的 強さは静的強さ,動的強さのいずれも電気用地金品位のアルミニウ

 ̄ ̄斎

〃 〃 〃 〃 〃 〃 へへ濾専一b¶只世■+周磯舟 ∵芯■や潜こし¶只ピ+恨仙欝 竹〟 淵 〃 ∬ 卯 伽 / 無処理 //---∠ノう 〟ダ ノβ7 破断凹敬川J 第5図 焼戻し温度(1500C)を一定にしたときの処理 時間の変化による破断回数と繰返し応力の関係

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′′ 〃 川〃 川化 ‥イ /〃 〝U てE㍉卓G小村ロ+刊暫 ′▲J 川ル 古ソノ βカー/ 〟J■ 破断阿数(仙 /♂グ プカ 舞処理 第6岡 焼戻し温度(1700C)を一定にしたときの処押 時間の変化による破断回数と繰返し応力の関係

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ノが ′・■ガ? 破断且放(ノ1ノJ 第7図 焼戻し温度(2000C)を一定にしたときの処理 時間の変化による破断回数と繰返し応力の関係 ムに比較して高いことがわかる。 弟2表はアルミニウム線,アルドライ合金線の静的強さと疲れ強 さをまとめたものである。 3.2 焼戻処理温度を一定にしたときの処羊里時間による疲れ強さ の変化 弟4∼7図は焼戻処理温度を130,150,170およぴ2000Cとそれ ぞれ一定にしたときに疲れ強さがどのように変化するかを示したも のである。 非鉄金属の疲労限は前述したように明らかに認めることはできに くいので,一般にほ,操り返し数107回における疲れ強さをもって 耐疲労性を比較しているが,さらに,繰返し応力と破断回数の関係, すなわちS-N曲線において,その関係曲線の焼きがどのようにな

(3)

-77-910 昭和35年8月 第2表 アルドライ合金およびアルミニウムの機械的強さ 立 試 料 ア ルド 合金 高品位アル ウム (99.89%Al) 曹逼岳師てこう ̄云 (99.76%Al) 引張り強さ (kg/mm2) 35.5 18.5 19.5 降伏強さ* (kg/mm望) 疲れ強さ榊 (士kg/mm2) 32・8

9・6 16.1 l 5.5 17.4

l

6.0 群 0.2%永久伸びを生ずる応力 ** 破断回数10T回における繰り返し応力 第3表 各種焼戻条件の静的強さと疲れ強さの関係 煉炭条件】引張り残さ

撃ぐC)桓間(b)恨g′mm牙)

降伏強さ* け0.2 (±kg/皿1m2) 32.8 31.8 31.4 31.6 31.3 疲れ強さ** OIア (kg/mm2) ¢町__l▼_▼__+し些_______

けβ】しけ0・2+けβノ

ガ ガ 「佃 ■ + (へらヾきニh)一〔㌧仁こ一遇謹

/・3プ℃ ご土フJてr/ 第42巻 第8号 伯フ℃ /■㌍℃ /■√■ユ 加 工 状 態 130 150 170 200 ガ 2♂ 川ル 〃 〃 〃 ん T亡月旦u刊R臼+剋泣 βLT 35.5 乱 乱 L O.一臥 6.5. * 0.2%永久伸びを生ずる応力 ** 破断回数10T回における応力

ノL材1了 よ〃‡( 9.6 / 0.271 8(】09 0・330・330・3。一 /′仰℃ / ノ形℃

竺.149瀾.143.146一個湖.145.147滋.17。.183.182■.183瀾.2。5一

ノβJ ノ`タグ /打 破軒回教(んリ 第∂図 焼戻し時間(2h)を一定にしたときの処理 温度の変化による破断回数と練返し応力の関係 っているかも考慮する必要がある。 第4∼7図のS-N曲線を比較してみると,処f坦温度が高くなる につれてS-N曲線の傾きが低くなる傾向がある。このことほ処理 温度が高いはうが,繰返し応力の大きい場合に早く破断することに なる.。 また,焼戻処理温度が1300Cの場合と,それ以上の温度で処理し た場合では処理時間による疲れ漉さの変化が異なることがわかる。 すなわち,処理温度1300Cでほ疲れ強さは硬引き材に比較して, 良好な耐疲労性を示し,この憤向は処理時間が長いほうが明らかに 認められる,しかし,処理時温度が1500C以上ではやや異なった状

態となり,焼戻処理により耐疲労性は硬引き材に比較してやや低く

なる傾向がある,処理時間が短いときには,S-N曲線は硬引き材と ほぼ同じであるが,処理時間が長くなると疲れ強さは次第に低下し ており,特に弟7図(2000C焼戻材)にみられるように処理温度およ び処理時間が大きいはどS-N曲線は低下している。 アルドライ合金ほ析出形時効硬化性合金であり,焼戻処理条件に ガ 甜 付 〃 〃 ⊥ 〃 T卜■Jぜ∵り小√亡ユ喝′畔此 ′が 破断回敗仙7) /♂7 第9岡 焼戻し時間(6h)を一定にしたときの処理 温度の変化iこよる破断回数と繰返し応力の関係

≠≠

ノ∂■J /βど 破断回数(/■J) /♂7 第10図 焼戻し時間を(8h)一定にしたときの処理 温度の変化による破断回数と繰返し応力の関係 より析出物の形状が変化することが考えられる,したがって焼戻処 理条件により疲れ強さが変化するのほ,アルドライ合金のように熱 処理材においてほ残留応力により疲れ強さが左右されるよりも,析 出物またほ結晶粒度の影響が大きいものと推測される。 3.3 焼戻処理時間を一定にしたときの処理温度による疲れ強さ の変化 弟8∼10図ほ処理時間を2,6および8時間とそれぞれ一定にし たときに焼戻処理温度により疲れ強さがどのように変化するかを示 したものである.ニ 弟8図にみられるように処壬那寺間が短いときにほ,焼戻処こ哩温度 による疲れ強さの差は特に明らかではないが,弟10図に示したよ うに,8時間の焼戻処鞘の場飢こほ処理温度による差が大きくあら われてくることが認められる。これは前述したようにアルドライ合 金は析Hl形時効硬化性合金のために,処理温度の差により析∼1i物の 大きさ,形状が異なることによるとノ且われる。 弟】】図,(a),(bJおよび(c)は厳引き材,130し×引1,および 2000Cx8h焼戻処理した顕微鏡組織を示す。 1300Cx8h処理においてほ析‡1i物は小さく散在しているが,2000C X8h処理の場合にt・ま前者に比較して相当に大きく発達しているこ とが認められる。この駅織の差が疲れ・旗さに影響すると考えられ るq 3.4 静的強さと疲れ強さの関係 疲れ強さと静的強さの関係は疲労比としてあらわされているが, この疲労比をあらわすのに一般に次の式が使用されている。 為=-げ-γ ‖(1) げ月 ゑ=げ-ア/(恥2十げβ)… ー78

(4)

-導

用 ア ル ミ ニ ウ 合 金 の 疲 れ

さ 911 わ 脚 肪 抑 脚 ( 〈ぜr℃〓山瀬燦 ロワ 硬 き 材 ▲加工材 (b)1300Cx8h 焼 戻 し 第11国 供 試 練 の 顕 微 織 〟J ββ 郎 (c)2000Cx8b 焼 戻 し (×600) ▲加工材 ●×人 ∠一7 ガ J/ ぷ JJ J、7 郡長り強乍(ぺこシふ「り 第12図 焼戻し条件の差異による引張り強さと 疲労比の関係 げⅣ:疲れ強さ 恥2:降伏強さ げ月:引張り強さ (2)式はおもに鉄鋼材料において僚川される実験式である。アル ドライ合金ほ熱処理iこより静的強さも変化するから疲労比も熱処理 により当然変化してくる。 弟3表は引虫り強さ,降伏強さ,疲れ強さおよび蚊労比をとりま とめたものである。弟3表をみると疲労比は焼戻温艇が`高くなると 大きくなる傾向がある,すなわち,静的強さが低いほど疲ウノ上ヒほ大 きいことになる。 弟12図ほ疲労比と引張り強さの関係を示したものである。 弟12図をみるとわかるように処押温度が1700Cまででほ引貼り 強さにほ差ほあるが疲労比には大きな差ほないことがわかる,しか し処理温度が2000Cになると引張り強さが低下し,疲労比が高くな っている。 舞】3図は引張り強さと疲れ強さの関稀を示したものである。第 13図の関係ほちょうど引張り紙さと疲労比の関係曲線と逆の性向 にある。すなわち,引張り強さの高いもの,焼戻温度の低いものの はうが疲れ強さが高い傾向にある。これほ弟1】図の顕微鏡組織よ りわかるとおり処理温度が高くなると析H物の形状が大きくなり, この析出物がノッチ効果として作用することにより疲れ強さが次第 に低下するものと思われる。

4.鯖

アルドライ合金ほ高抗張力導電川アルミニウム合金として近来,

へへF、㍉卓一小甘忘傑 プア ∠び 、ブ/ しび し打 、ブ7 弓r張り弓右さ(他ん仰り 第13岡 焼戻し条件の差異による引張り強さと 疲れ載さの関係 架空送電線などに広く使用されているが,この合金は析F_H形合金で あるために熱処理により疲れ強さも,静的強さと同様に変化するこ とが考えられる。 架空送電線として使用される場合にほいろいろ複雑な繰返し応力 を卦ナることが考慮されるので,2.9mm¢アルドライ合金線を使用 し,130、2000C範囲の温度に最高8時間まで焼戻処理を行い,シュ ビニング式疲ガ試験機により,焼戻条件と疲れ強さの関係を検討し, あわせて静的強さとの関係を調べた。 実験結果を総括すると次のとおりである。 (1)疲れ強さは,静的強さにみられるように焼戻処理温度によ る大きな変化ほ認められないが,眈戻処理温度の高いほうが疲れ 強さが低い傾向がある。 (2)焼戻処理時間による疲れ強さの変化ほ,処理温度が1500C以 上になると,処二哩時間が長いほうが疲れ強さが低くなる傾向があ る.二.これほ析糾物の形状の差異によるものと思われる。 (3)静的強さと疲れ強さの関係は,疲れ強さの高いもののほう が,静的強さも高くなっている。 終りに終始ご指導ご激励いただいた日立電線株式会社電線工場, 久本,山本両博士および山路主任,また実験に協力くださった,杉 野,大畠両氏にお礼申しあげる。

-79-参 鳶 文 献 村薦:金属の疲労と破壊の防止(1954) W.M.Murray:Fatigue&Fracture of Metals(1950) J】l西:目立評論4177(昭34-5)

参照

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