は じ め に
「合格(うかる)勉強とは」
1、 試験に合格するのに絶対的に必要なことは、問いに正しく答えることである。 このあたりまえのことを考えたこと有りますか。 2、 試験問題の出題(=作問)の仕方から勉強方法を考える。 択一試験では、必ず「正・誤」が問われるのでついつい思考が二者択一的な発想の 勉強になりがちである。 つまり、結論重視の暗記勉強になってしまいます。 3、 具体的にどの様な勉強=思考をすべきか、平成18年の過去問を使い検討してみよう。 「権利関係・・・H18・6」 「A、B及びCが、持分を各 3 分の 1 として甲土地を共有している場合に関する次の記述のう ち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。」 1、甲土地全体がDによって不法に占有されている場合、Aは単独でDに対して、甲土 地の明渡しを請求できる。 2、甲土地全体がEによって不法に占有されている場合、Aは単独でEに対して、Eの 不法占有によってA、B及びCに生じた損害全額の賠償を請求できる。 3、共有物たる甲土地の分割について共有者間に協議が調わず、裁判所に分割請求がな された場合、裁判所は、特段の事情があれば、甲土地全体をAの所有とし、Aか らB及びCに対し持分の価格を賠償させる方法により分割することができる。 4、Aが死亡し、相続人の不存在が確定した場合、Aの持分は、民法第958 条の 3 の特 別縁故者に対する財産分与の対象となるが、当該財産分与がなされない場合はB 及びCに帰属する。 各肢の検討、 第一(前提)・・・柱書 「甲土地をA、B及びCが共有(持分を各 3 分の 1)している場合」を前提として、各肢の正誤 が問われている。 第二各肢の検討、 肢の1では、「①甲土地全体がDによって不法に占有されている場合(小前提)、②A は単独でD(=不法占有者)に対して、③甲土地の明渡しを請求できる」か。 つまり、②共有者の 1 人Aは、①不法占有者Dに対して、③甲土地の全部の明渡し を請求できるか、例外は認められるかである。 この場合は、共有者の1人が共有物の甲土地全部に対して権利行使ができるか否か、 当該共有持分権の範囲しか権利行使できないのが原則であるが、共有状態で、しかも 他の共有者の不利益とならない場合には、例外として全部に対して権利行使を認めて もよいので「正しい」となる。ことがわかる。 肢の2では、「①甲土地全体がEによって不法に占有されている場合、②Aは単独でEに対して、③Eの不法占有によってA、B及びCに生じた損害全額の賠償を請求でき る」か。 つまり、肢の1との違いは、「損害全額の賠償を請求できる」か、例外の理解がポイントで ある。 この場合、上記土地との違いは、お金は持分の範囲で分割して請求できるので例外となり、 「誤り」となる。 肢の3では、「①共有物たる甲土地の分割について共有者間に協議が調わず、裁判所に 分割請求がなされた場合、②裁判所は、特段の事情があれば、③甲土地全体をAの所 有とし、AからB及びCに対し持分の価格を賠償させる方法により分割することがで きる」か。 つまり、共有者はいつでも共有物の協議による分割請求が可能であるが、協議不調で裁 判所に分割請求した場合、特段の事情があれば、甲土地全体をAの所有とし、Aから B及びCに対し持分の価格を賠償させる方法により分割の例外が認められるかの問題 である。 この場合、「特段の事情」の具体的内容の例外の理解がポイントであり、甲土地を分割す ることで全体の価値が極端に低下する場合や、共有者の1人が以前から甲土地に居住 している場合等であり、「正しい」。 肢の4では、「①Aが死亡し、相続人の不存在が確定したことを前提に、②Aの持分は、 特別縁故者に対する財産分与の対象となるが、③当該財産分与がなされない場合はB 及びCに帰属する」か、例外の理解がポイントである。 つまり、相続人なくして死亡し、しかも単独所有物で特別縁故者に対する財産分与 の対象とならない場合には原則として国庫に帰属するが、共有物については、例外が 認められるかであり、国と私人の共有関係を認めることは好ましくないことから、例 外として他の共有者であるB及びCに帰属する、ので「正しい」。 * 権利関係問題解法のコツは、例外を意識することであり、 誰と誰の対立利益を前提に、誰が・誰に・何を主張したいのか。 肢1・・共有は持分権の範囲でしか権利行使は原則できないはずであるが、未分割 の状態であれば、他の共有者の不利益とならない場合には共有物の全部に対し て権利行使ができる例外が問われている。 肢2・・肢1と異なり分割できる場合には、持分権の範囲でしか権利行使はできな い原則が問われている。 肢3・・共有物の分割は、公平の観点からすれば、当該共有物そのものを現実に分 割するのが原則であるが、「特段の事情がある場合」の例外が問われている。 肢4・・相続人不存在の場合、国庫に帰属するのが原則であるが、共有物の場合の 例外が問われている。
4、受験対策は、 以上のことから分ることは、権利関係の理解とは、誰と・誰の対立利益の処理に際して 民法の「原則を出発点として、例外(・必要性・許容性)を確実・正確に把握すること」 で、応用力を養うことである。 むやみに「暗記」することではない。 「宅建業法・・・H18・41」 「宅地建物取引業者Aが行う業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違 反しないものはどれか。」 1、Aは、自ら売主として売買契約を締結したが、履行の着手前に買主から手付放棄に よる契約解除の申出を受けた際、違約金の支払を要求した。 2、Aは、建物の貸借の媒介において、契約の申込時に預り金を受領していたが、契約 の成立前に申込みの撤回がなされたときに、既に貸主に預り金を手渡しているこ とから、返金を断った。 3、Aは、自ら売主として行う造成済みの宅地の売買において、買主である宅地建物取 引業者と、「Aは瑕疵を担保する責任を一切負わない」旨の特約を記載した売買契 約を締結した。 4、Aは、自ら売主として工事完了前の土地付建物の売買契約を締結するとき、契約書 の記載事項のうち、当該物件の引渡時期が確定しないので、その記載を省略した。 各肢の検討、 肢の1では、「①(宅建業者)Aは、自ら売主として売買契約を締結したが、②履行の着 手前に買主から手付放棄による契約解除の申出を受けた際、③違約金の支払を要求した。」 つまり、「①誰が、(宅建業者)Aは、自ら売主として売買契約を締結したが→③誰に対 して・何を・主張したいのか、(買主に対して)違約金の支払を要求したいのか」、それは、 「②どの様な状況を前提に、履行の着手前に買主から手付放棄による契約解除の申出を受 けた」状況での可否が問われている。 この場合、「解約手付」の法的性質を理解しているか否かであり、手付け金を交付した買 主が、当該解約手付けによる解除権を行使したもので、業者の履行着手前に手付放棄によ る契約解除の申出をしたものである以上、「違約金の支払を要求」はできないので、「違反」 する。 肢の2では、「①(宅建業者)Aは、建物の貸借の媒介において、契約の申込時に預り金 を受領していたが、②契約の成立前に申込みの撤回がなされたときに、既に貸主に預り金 を手渡していることから、③返金を断った。」 つまり、「①誰が、(宅建業者)Aは、建物の貸借の媒介において、契約の申込時に預り 金を受領していたが→③誰に対して・何を・主張したいのか、(借主に対して、預かり金の) 返金を断りたい」、それは、「②どの様な状況を前提に、契約の成立前に申込みの撤回がな されたが、既に貸主に預り金を手渡している」状況での可否が問われている。
この場合、「預り金」の法的性質を理解しているか否かであり、預り金交付した借主が、 当該契約の成立前に申込みの撤回したものである以上、契約の拘束力は生じていないので、 たとえ既に貸主に預り金を手渡しているとしても「返金を断こと」はできないので、「違反」 する。 肢の3では、「①(宅建業者)Aは、自ら売主として行う造成済みの宅地の売買において、 ②買主である宅地建物取引業者と、③「Aは瑕疵を担保する責任を一切負わない」旨の特 約を記載した売買契約を締結した。」 つまり、「①誰が、(宅建業者)Aは、自ら売主として行う造成済みの宅地の売買におい て→②誰に対して・買主である宅建業者と→③何をしたのか、「Aは瑕疵を担保する責任を 一切負わない」旨の特約を記載した売買契約を締結した」ことの可否が問われている。 この場合、「瑕疵を担保責任」の業者間適用の可否であり、能力の均衡した業者間では私 的自治にまかせ排除の特約も有効であり「違反」しない。 肢の4では、「①Aは、自ら売主として工事完了前の土地付建物の売買契約を締結するとき、 ②契約書の記載事項のうち、当該物件の引渡時期が確定しないので、③その記載を省略し た。」 つまり、「①誰が、(宅建業者)Aは、自ら売主として工事完了前の土地付建物の売買契 約を締結するとき→②誰に対して、契約書の記載事項のうち、当該物件の引渡時期が確定 しないので→③何をしたのか、その記載を省略した」ことの可否が問われている。 この場合、工事完了前の土地付建物の売買契約と「物件の引渡時期が確定しない」こと の可否であり、引渡時期が確定しないことは買主である一般購入者の利益保護に欠け許さ れないので「違反」する。 宅建業法問題解法のコツは、 消費者保護の観点を前提に、①誰が・②誰に対して・③どの様な状況で・④何を主張し たいのか、である。 5、受験対策は、 以上のことから分ることは、各種制度については①業者自身に対する規制、②業者対一 般購入者(消費者)との関係に対する規制、③業者間取引でも適用される規制内容を確実・ 正確に把握することで、応用力を養うことである。 むやみに「暗記」することではない。 「法令制限・・・H18・18」 「都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。」 1、地区計画は、建築物の建築形態、公共施設その他の施設の配置等からみて、一体と してそれぞれの区域の特性にふさわしい態様を備えた良好な環境の各街区を整備 し、開発し、及び保全するための計画であり、用途地域が定められている土地の 区域においてのみ定められる。 2、都市計画事業の認可の告示があった後においては、当該都市計画事業を施行する土
地内において、当該事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更を行 おうとする者は、都道府県知事及び当該事業の施行者の許可を受けなければなら ない。 3、都市計画事業については、土地収用法の規定による事業の認定及び当該認定の告示 をもって、都市計画法の規定による事業の認可又は承認及び当該認可又は承認の 告示とみなすことができる。 4、特別用途地区は、用途地域内の一定の地区における当該地区の特性にふさわしい土 地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定 を補完して定める地区である。 各肢の検討、 肢の1では、「地区計画は、①(目的)建築物の建築形態、公共施設その他の施設の配置 等からみて、一体としてそれぞれの区域の特性にふさわしい態様を備えた良好な環境の各 街区を整備し、開発し、及び保全するための計画であり、②(指定できる場所)用途地域 が定められている土地の区域においてのみ定められる。」 つまり、「地区計画」の目的と「指定場所」の問題である。 この場合、目的については概略を、「指定場所」については正確に把握すること。 本問では、②の「用途地域が定められている土地の区域においてのみ定められる」とす るのは・・・×。 肢の2では、「①都市計画事業の認可の告示があった後においては、②当該都市計画事業を 施行する土地内において、③当該事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更 を行おうとする者は、④都道府県知事及び当該事業の施行者の許可を受けなければならな い。」 つまり、誰が・どこで・何をする場合・誰の許可・届け出が必要かを正確に把握するこ と。 本問では、都道府県知事の許可を受けなければならないのであり、④「都道府県知事及 び当該事業の施行者の許可を受けなければならない」とするのは・・・×。 肢の3では「①都市計画事業については、②土地収用法の規定による事業の認定及び当該 認定の告示をもって、③都市計画法の規定による事業の認可又は承認及び当該認可又は承 認の告示とみなすことができる。」 つまり、異なる制度との競合関係の取り扱い方に関する問題である。 この場合、より上位の法令である「都市計画事業については、都市計画法の規定による 事業の認可又は承認の告示をもって、土地収用法の規定による事業の認定の告示とみなす ことができる」のであり、下位の②「土地収用法の規定による事業の認定及び当該認定の 告示をもって」ではないので・・・・×。 肢の4では、「特別用途地区は、用途地域内の一定の地区における当該地区の特性にふさわ しい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を
補完して定める地区である。」 つまり、肢の1と同様に「目的」と「指定場所」を正確に把握すること。 本問では、「特別用途地区は、用途地域内の一定の地区における当該地区の特性にふさわし い土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補 完して定める地区である」ので・・・○。 * 法令制限問題解法のコツは、 1、各種制度の「目的」と「指定される場所」は、 2、各種制度の適用場面では、「誰が」・「どこで」・「何をする場合」・「誰の許可・ 届け出」が必要か、また例外の有無は、を理解する。 6、受験対策は、 以上のことから分ることは、各種制度の「目的」と「指定される場所」は、適用場面 では、「誰が」・「どこで」・「何をする場合」・「誰の許可・届け出」が必要か、また例外 の有無は、を確実・正確に把握すること」で、応用力を養うことである。 むやみに「暗記」することではない。 最後に、この「プレミアム過去問題集」は上記諸点に留意して作成したもので、これを 活用し多くの受験生が合格の栄誉を手にされることを願っています。 以 上