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要旨 1 人当たり県民所得 を始めとする統計データをみると 沖縄県の所得は全国最低水準にとどまっている 沖縄県の場合は 雇用者の所得 だけでなく 企業の所得 も全国最低水準となっているのが特徴であり 折角の好景気を必ずしも十分に活かしきれていない点に問題の本質がある そうした状況下では 潤沢でない

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Academic year: 2021

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うちな~金融経済レビュー

沖縄県の所得水準はなぜ低いのか(現状・背景・処方箋)

2018 年 10 月 5 日 日本銀行那覇支店 本レポートの内容について、商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行 那覇支店総務課までご相談ください。転載・複製を行う場合は、出所を明記してく ださい。 【本レポートに関する照会先】 日本銀行那覇支店 総務課(098-869-0136)

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要旨 ・「1人当たり県民所得」を始めとする統計データをみると、沖縄県の所得は全 国最低水準にとどまっている。 ・沖縄県の場合は、「雇用者の所得」だけでなく、「企業の所得」も全国最低水 準となっているのが特徴であり、折角の好景気を必ずしも十分に活かしきれて いない点に問題の本質がある。 ・そうした状況下では、潤沢でない「企業の取り分」を削って、「雇用者の取り 分」を増やしても、本質的な(長続きする)解決策にはならない。今後は、「生 産性の向上等を通じて、企業の収益力(稼ぐ力)を強化し、雇用者の待遇改善 につなげる」ことが課題といえる。 ・経営者の意識改革や大小様々な工夫を通じて、収益力を強化し、現在の景気 拡大を十分に取り込めば、所得水準を向上させる伸びしろは決して少なくな い。 ・当支店としても、今後、そうした取り組みをサポートできる情報発信(全国 および県内企業の具体的な取り組み事例の紹介)等を検討していきたい。 1.現状:沖縄県の所得水準 ・8月31日、内閣府は、47都道府県が推計・公表した「2015年度・県 民経済計算」(GDPの都道府県版)の取りまとめ結果を公表した。この結果、 沖縄県の「1人当たり県民所得」は、27年連続で全国最下位となった。 ── 約217万円と、全国平均(約319万円)の7割弱の水準。 ・他の主要統計をみても、沖縄県民の所得は全国最低水準となっている。 ① 勤労者世帯の年間平均収入(総務省・家計調査、2017年): 全国46位(約573万円、全国平均<約722万円>の8割弱の水準、 最下位は青森県の約569万円) ② 常用労働者1人当たりの月間現金給与総額(厚労省・毎勤統計、2017 年):全国最下位(約25万円、全国平均<約32万円>の8割弱の水準) ・最近では、今年度の最低賃金(10月3日から適用)が時給762円(前年 度比+25円<過去最大の上げ幅>)となり、6年振りに全国最下位を脱した が、なお最低水準にとどまっている(最下位は鹿児島県の761円)。 2.背景:「県民経済計算」を用いた分析、今後の課題 (1)「1人当たり県民所得」とは何か ・県民経済計算における「1人当たり県民所得」は、「県民1人当たりの所得」 ではない(この点は、誤解され易い)。

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・県民経済計算は、いわば「都道府県版のGDP」。GDPと同様、3つの面(「生 産」、「支出」、「分配」)から捉えられる(3面等価の原則)。 ── 「県内の各産業の活動(「生産」)の結果が、企業の利益や県民の所得 に「分配」され、それらが個人消費や設備投資等(「支出」)に回る」と いう「経済活動の全体像」を表したデータ。 ・県の経済活動を「分配」面から捉えたものが、「県民所得」である。「県民所 得」は、①「企業所得」(概ね企業の経常利益に相当)、②「県民雇用者報酬」、 ③「財産所得」(非企業部門の受取利子等)の3つの合計。従って、「県民所得」 は、県民(個人)の所得水準を示すものではなく、県の経済活動全体の水準を 示すもの。 ・「1人当たり県民所得」とは、「県民所得」÷「県の総人口」。大まかに言えば、 「県民1人当たりのGDP(付加価値)」に近いイメージ。 (2)背景の分析、今後の課題 ・沖縄県の産業構造は、第3次産業のウエイトが高く(約84%)、東京都(約 86%)に次ぐ全国第2位であることが特徴。第3次産業は、労働集約的な性 質があり、製造業に比べ、生産性や付加価値が低くなりがちな傾向がある。従 って、沖縄県の「1人当たり県民所得(付加価値)」が相対的に低くなるのは、 ある程度不可避と言える。 ── 実際、東京都を除くと、製造業のウエイトの大きな県が、「1人当た り県民所得」の上位を占めている(1位:東京都、2位:愛知県、3位: 三重県、4位:栃木県、5位:富山県)。 ・また、「県民1人当たりの所得」に近いデータとして、「1人当たり県民雇用 沖縄 鳥取 宮崎 鹿児島 長崎 佐賀 秋田 熊本 青森 奈良 高知 愛媛 北海道 大分 島根 山形 福岡 和歌山 岡山 兵庫 岐阜岩手 山口 新潟 山梨 千葉 徳島 香川 長野 福島 京都 石川 埼玉 神奈川 宮城 滋賀 広島 茨城 大阪 群馬 福井 静岡 富山 栃木三重 愛知 50 55 60 65 70 75 80 85 2.1 2.4 2.7 3.0 3.3 3.6 第 3 次 産 業 割 合 ( % ) 1人当たり県民所得(百万円) 東京 80.0 90.0 5.0 5.5 6.0 (図表1)第3次産業割合と1人当たり県民所得 ※近似曲線は、(経済規模が大きく異なる)東京都を除くベースで算出。

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者報酬」(「県民雇用者報酬」÷「県民雇用者数」)をみても、44位(45位: 宮崎県、46位:鹿児島県、47位:秋田県)となっており、(最下位でこそ ないが、)最低水準のグループにとどまっている。 ── 「1人当たり県民雇用者報酬」は、約378万円と、全国平均(約 466万円)の8割強の水準。 ・次に、「労働者の取り分」を示す「労働分配率」(県民雇用者報酬÷県民所得) をみてみる。グローバル金融危機の後、全国では労働分配率の低下傾向が続い ている一方、沖縄県は、上昇こそしていないが、概ね横ばい基調で推移してい る。 沖縄 鳥取 宮崎 鹿児島 長崎 佐賀 秋田 熊本 青森 奈良 高知 愛媛 北海道 大分 島根 山形 福岡 和歌山 岡山 兵庫 岐阜 岩手 山口 新潟 山梨 千葉 徳島 香川 長野 福島 京都 石川 埼玉 神奈川 宮城 滋賀 広島 茨城 大阪 群馬 福井 静岡 富山 栃木 三重 愛知 50 55 60 65 70 75 80 85 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 第 3 次産 業割 合( % ) 1人当たり県民雇用者報酬(百万円) 東京 80.0 90.0 5.0 5.5 6.0 ※近似曲線は、(経済規模が大きく異なる)東京都を除くベースで算出。 (図表2)第3次産業割合と1人当たり県民雇用者報酬 60 65 70 75 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 沖縄 全国 (%) (年度) (図表3)労働分配率(県民雇用者報酬/県民所得)

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・一方、「企業の取り分」である「企業所得」については、詳細なデータが公表 されていないが、上記のような状況から考えると、「企業所得」も全国最低水 準にあることが推察される。 ・以上から、沖縄県は、マクロ的にみると、①産業構造の特性(製造業が殆ど なく、第3次産業のウエイトが高い)もあり、「雇用者の取り分」と「企業の 取り分」の双方ともに全国最低水準にとどまっており、②「今回の景気拡大と いう追い風を必ずしも十分に活かしきれていない面がある」ことが読み取れる。 ── 例えば、日銀短観(9月調査)をみると、沖縄県の業況判断DIは、 全国よりも相当高い水準だが(沖縄県:+34、全国:+15)、売上 高や経常利益は、全国とほぼ同水準の伸び率となっており、マインド先 行で、必ずしも経営実態が追い付いていない(景気の好調さを必ずしも 十分に取り込めていない)面があるともいえる。 ・こうした状況下では、潤沢でない「企業の取り分」を削って、「雇用者の取り 分」を増やしても、本質的な(長続きする)解決策にはならない。従って、今 後は、「生産性の向上等を通じて、企業の収益力(稼ぐ力)を強化し、雇用者 の待遇改善につなげる」ことがマクロ的な課題といえる。 ── 沖縄県の非正規雇用者比率(2017年)は約43%と、全国で最高 水準にあり(全国平均は約38%)、この点も県民の所得水準を押し下 げている要因。背景として、「産業構造の特性」や「企業体力の低さ」 が指摘されており、企業の収益力向上は、「正規雇用者の増加」という 経路をも通じて「所得増加」につながることが期待できる。 ・また、「企業の収益力向上→所得増加」の実現は、沖縄県の大きな課題である 「子供の貧困」や「人材育成」の解決にもつながると考えられる。 ── 沖縄県の高校等進学率や大学等進学率は全国最下位が続いており、 「→教育(人材育成)機会の逸失→その後の所得水準への影響→子供の 教育(人材育成)機会の逸失→」といった、世代間の連鎖を断ち切って いく必要がある。 3.処方箋:課題解決に向けた取り組み等 ・沖縄県は、産業構造の特性(第3次産業のウエイトが高い)から、「1人当た り県民所得」が相対的に低くなりがちではあるが、行政等とも連携しつつ、生 産性を向上させ、企業の収益力(稼ぐ力)を強化し、現在の景気拡大を十分に 取り込めば、所得水準を向上させる伸びしろは決して少なくない。 ・「生産性の向上等を通じた企業の収益力(稼ぐ力)強化→雇用者の待遇改善」 に向け、例えば、以下のような取り組みが挙げられる。

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(1) 既存企業(主に非製造業)の生産性(アウトプット/インプット)向上 →収益力(稼ぐ力)の強化 ① アウトプットの引き上げ(売上高や利益を増やす取り組み) ② インプットの引き下げ(経費節減等の取り組み) ・主力の観光業等では、「絶好の追い風を活かしきれていない企業(特に地 場企業)が少なくない」との声が多い。 ・基本的には、各企業の自助努力が重要だが、ノウハウ・情報の不足も目立 つ。全国および県内の企業をみると、経営者の意識改革や、大小様々な工 夫の実践により、収益力(稼ぐ力)を向上させている企業が少なからず存 在する。今後、当支店としても、そうした取り組みをサポートできる情報 発信(全国および県内企業の具体的な取り組み事例の紹介)等を検討して いきたい。 (2)沖縄県の特性(経済特区制度等)を活かした産業(主に製造業)の推進 ①付加価値の高い企業(半導体製造・IT、医療・バイオ、航空関連企業等) の集積の一段促進 ・今後も、こうした企業の進出ニーズを的確に取り込むため、魅力のある産 業団地の確保・整備が重要。 ・こうした企業の集積は、那覇空港の物流機能の発展にもつながる。 ②観光業に関連する製造業の推進 ・例えば、「観光客の増加に伴い、土産品も相応のマーケットに成長してい るが、県外に生産・製造を依存している部分が少なくなく、折角のビジネ スチャンスが漏出している」との指摘も少なくない。 以 上

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