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変形聴覚フィードバックの摂動量と補正動作の関係について

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Academic year: 2021

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Japan Advanced Institute of Science and Technology

JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title 変形聴覚フィードバックの摂動量と補正動作の関係に

ついて

Author(s) 田中, 貴文

Citation

Issue Date 2006‑03

Type Thesis or Dissertation Text version author

URL http://hdl.handle.net/10119/1987 Rights

Description Supervisor:党 建武, 情報科学研究科, 修士

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変形聴覚フィードバックの摂動量と補正動作の関係について

田中 貴文(410078)

北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 2006年2月9日

キーワード: 聴覚フィードバック,フォルマント, 補正, 摂動, 聴覚系.

1 はじめに

発話時における聴覚フィードバックの役割については,音声知覚・生成の相互作用に関 わる研究として古くから様々な研究がなされてきた.聴覚フィードバックが発声・発話 に重要な役割を果たしているという知見は,雑音環境下において通常の発話より発話音 量,基本周波数が上昇するLombard効果やLeeらが行った時間遅延聴覚フィードバック

(DAF)の研究により報告された.しかし,DAFの実験は人間の正常な発話を妨げる破 壊的な実験であったため,聴覚系と発話系の相互作用のメカニズムを説明するには不十 分である.一方,河原らは,非破壊的な実験パラダイムとして変形聴覚フィードバック

(TAF)を提案した.この研究により,聴覚系が発話系の基本周波数制御に重要な役割を 果たすことが明らかとなったが,フォルマントの影響については明らかにされなかった.

そこで,松岡らがフォルマント変形に対する発話器官の補正動作について,音声のスペク トルグラム及び筋電信号を用いて検証したところ,生成系による実時間レベルの補正動作 が確認された.しかし一方で斉藤らが日本語母音を音声資料とした場合の補正反応は確認 されていなかった.また,複数の調音点の補正が相互に絡み合っている可能性が示唆され たが,フィードバック音声の摂動量や音素の違いに対して補正動作が生じる割合などにつ いての定量的な観測も行われていなかった.そこで,本研究では日本語母音を用いて変形 聴覚フィードバックにおける摂動量と補正反応との関連について考察を行うことにした.

2 変形聴覚フィードバック実験

本研究では,実時間でフォルマントを変化させた音声を話者にフィードバックすること による音声生成過程への影響を計測する.ここでは,基本周波数や振幅包絡の時間情報も フィードバック音声として重要な物理量であることから,音声に話者の個人性を保持した ままフォルマントを変形することがとても重要である.

Copyright c°2006 by Takafumi Tanaka

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被験者に持続母音/e/を発話するように指示し,発話途中で被験者の母音/e/のF1とF2 を/a/, /i/, /u/の方向へ20,40,60,70,80,100%の割合でそれぞれ変動してフィードバック した.つまり,摂動量が100%である場合のフィードバック音声は完全な/a/, /i/, /u/と なる.そのため,被験者の音声/a/, /i/, /u/を事前に分析してF1とF2を求めておいた.

変形された音声をヘッドフォンを通じて被験者に呈示した.摂動ありの場合,摂動を与 えるまで被験者の音声をフォルマント変形なしでフィードバックし,その後の2秒間で フォルマントの変形による 摂動あり の音声をフィードバックした.その後再び 摂動 なし の音声を呈示した.2種類の異なる摂動開始時間のパターンと摂動なしのパターン のうち一つをランダムに被験者の発話途中に呈示した.このような1回発話を1トライア ルとし,1セットは3トライアルからなる.各トライアル間は3秒間の休憩を挟み,各摂 動量(フォルマント変形量)に関して10セット連続して実験を行った.10セット中の3 割は摂動なしのトライアル,7割は摂動ありのトライアルをランダムに行った.

3 結果と考察

補正反応ありと判断されるトライアルの割合は,フィードバック音声を/a/, /i/及び/u/

の方向へ変化させた場合でそれぞれ異なる傾向を示した.このことにより補正反応は摂 動量として与える母音に依存することがわかった.また,摂動量が増加するにつれて補 正が生じたトライアルの割合が減少する傾向が多く見られた.これより,摂動量が大きい 場合,補正反応が起きにくいことがわかる.また,補正反応の生じた割合が摂動量の60

%をピークとした山形となる傾向も比較的多くみられた.これは小さな摂動量を与えた場 合では、フォルマントが変化しても音韻の変化が知覚されないため、補正反応が生じない のに対し,大きな摂動量を与えた場合には、音韻の変化が知覚されるため,補正反応が生 じるということである.つまり,摂動量による音韻の変化を知覚したことに対して補正動 作を行っているのではないかと考えられる.フォルマント別では,F1における補正反応 の生じた割合はF2のそれよりも大きくなっている傾向を示した.これより,F1とF2と の補正動作には、それぞれ別々の調音器官がはたらいている可能性が考えられる.F1は 主に下顎や口唇が動きやすいので比較的補正が起こりやすい.一方F2は舌の前後運動に 深く関連するため,生理学的な拘束により補正しにくくなると考えられる.

4 まとめと今後の課題

本研究では,日本語母音を用いて変形聴覚フィードバック実験を行った結果,補正反応 が確認できた.補正反応は摂動量の大きさや変動方向への音素に依存することがわかった.

F1とF2の補正動作には、それぞれ別々の発話器官が調音運動をしている可能性が考え られることより,発話時の音声知覚・生成の相互作用についての検討には下顎や口唇,舌 などの調音器官に関して筋電(Electromyogram)計測やEMA(Electro-magnetic Artic-

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ulography)などを用いた定量的な分析が必要であると考える.

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参照

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