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学位論文題名Studies on Human-Oriented Intelligent Assistive Device Systems

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 侖    文 偉

     学位論文題名

Studies on Human‑Oriented Intelligent     Assistive Device Systems

( 人 間 指 向 型 知 的 補 助 機 器 シ ス テ ム に 関 す る 研 究 )

学位論文内容の要旨

  近 年, 老人 化, 福 祉化社会のニーズに応え,メカトロニック ス技術の進歩により,筋電義手,機 能的 電気 刺激 ,パ ワ ーアシストのような,人間の運動機能を補 助する機械システム,すなわち,補 助機 器シ ステ ムが 多 く研究,開発され実用に供されてきた.工 学的見地からすると,これらは大自 由度 を持 ち, 使用 者 からの生体信号を利用してその制御コマン ドを発生させうることが大きな特徴 とな って いる .一 方 それらを利用する人間サイドの視点からす ると,補助する機能の種類が複雑多 様であり,今日のりハビリテーション 現場にも見られるように,これらを十分に使い込むためには,

補助 機器 シス テム の 持つ諸機能を,人間が努カして学習し補助 機器システムに適応しなければなら なぃ 問題 があ る. こ のため使用者は相当複雑な運動技能を習得 する必要があり,結果として長時間 の訓 練と 精神 的苦 痛 を余儀なくされている場合も少なくない, 如何にしてこのような訓練時間と患 者の 苦痛 を軽 減す る のかは,補助機器使用者の日常トレーニン グやりハビリテーション臨床現場に おい て, 大き な課 題 として残されている.この問題を解決する ために,補助機器システムも自らそ の使 用者 たる 個人 に 適応していき,人聞の習熟過程を容易にし うる,いわゆる人間指向型知的補助 機器システムの研究開発が求められて いる,

  人間 指向 型知 的補 助機器システムの研究開発において,まずその制御に 関しては,人間の運動特 性 ,特 に生 体信 号に 反映される運動の特徴,すなわち時間変化性,個人差 ,非線形性は考慮されね ば なら ない .ま た, 使用者と知的補助機器からなる統合システムの制御を 考える場合,補助機器の 知 的制 御と 使用 者の 上位中枢系は人体と補助機器の相互作用を考慮する必 要がある.システム設計 論 の立 場か らす ると ,このようなシステムは,それぞれが相互に作用し合 う同時並列制御システム となる.他方,人間‐ 機械相互作用システム論の視点からすると,協調系を形成することが必要とな る .さ らに ,訓 練過 程における試行錯誤を通して新しい補助機器システム の使い方を学習していく 場 合 , 使 用 者 と 知 的 補 助 機 器 は ー つ の 相 互 作 用 を 伴 う 相 互 適 応 系 が 構 成 さ れ る .   上 述 の 使 用 者 と 補 助 機 器 が 相 互 シ ス テ ム と し て 絡 み 合 う 相互 適応 系が 実世 界の 日常 生活ADL (Activity of Daily Living)に役に立っための必要条件は,次の5っである,すなわち,1)使用者と 補助機器が相互に学習 していく系の柔軟性ーAdaptability;2)補助機器システムが環境変化への実時 間反応性‑Reactiveness;3)現在の系の状況に基づき,適応を行うべく機能性―Situatedness;4)系 の時間遅れやフイード バック信号のタイミングのあいまいさにも可対応性―Temporal Robustness; 5)系からの応答が不十分の場合,使用者の指示情 報の不当によるものか,それとも補助機器側の不 備によるものかの可判 別性―Relational Robustness.

  本論 文は ,上述の必要条件を満たすような補助機器シ ステムを実現することを目的として,対象 相 互適 応系 の各要素,及び要素間の関係を分析し,それ らに基づぃて人間指向型知的補助機器シス

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テム を設計 製作した 基礎研 究成果を コアとし て,実 現したシステムの有用性を検証するために,適 応フ イール ドを筋電 義手, 機能的電 気刺激, 個人適 応型筋電キーボードなどのりハビリテーション 実 践 応 用 ヘ 導 入 , 評 価 し た 一 連 の 応 用 研 究 成 果 を ま と め た も の で あ る .   本論 文では ,まず使 用者側 が状況に 応じ, 教示また は評価信号を機械側に与え,機械側がその外 部信 号に基 づき,デ ータ管 理機構に より,内 部評価 部を形成 し,その内部評価部を用いて,識別機 構を 決定境 界の時間 変化に 対応し, かつ決定 境界を 微調整さ せるようなオンライン学習法を確立し た.  、

  次に ,認識 動作に対 する生 体信号の 情報量 を反映す る条件っきエントロピーに基づく情報量基準 を提 案し, これを用 い,シ ステムの 固有の時 間遅れ や教示信 号のタイミングのずれを情報処理の立 場か らの判 断,調整 のみな らず,今 まで解剖 学的知 識や経験 による生体信号の検知部位やチャネル 数と いった 信号源も 情報処 理的選択 できるよ うにな る.

  さら に,あ る使用者 から計 測された 生体信 号の識別 容易性を議論するため,信号の再現性に基づ く訓 練到達 度の提案 を行っ た.到達 度は使用 者の学 習進度を 表現可能であり,それを考慮すること によ り,識 別器の性 能が不 十分であ る場合に ,その 原因が識 別器にあるのか使用者にあるのかの判 定が 可能で あること を明ら かにした .

  その 三つの 提案手法 を主幹 とするシ ステム の有効性 を検証す るために,筋電義手の制御,歩行の 機能 的電気 刺激のスイッ.チング制御,及び個人適応型筋電キーボードの実用検証を行った.ここで は, 筋電信 号を生体 信号の 例として 使用する のは, 筋電信号 が一般の生体信号の基本特性,非線形 性 , 個 人 差 及 び 時 間 変 化 性 を 有 し , 一 般 性 が 失 わ な ぃ と 考 え ら れ る か ら で あ る .   筋電 義手へ の応用に おいて ,識別信 号源は 定常状態 にある筋 電信号であるが,動作筋肉の集約度 より ,識別 動作数と 比べ少 ない筋電 チャネル 数で認 識を行う 必要がある.オンライン学習法を構成 するTeaching Unit,Adaptation Unjt,Data Management Unitによって,3〜4個の筋電センサによる検知 され る表面 筋電位信 号を用 い,健常 者及び前 腕切断 者の識別 実験を 通して,10‑20分 の実時間で,

前腕6〜10動作を85%以上の正解率で識別できることが確認された.

  機能 的電気 刺激への 応用の 場合,歩 行の動 的過程を 表す筋電 信号時系列から,電気刺激が必要と する 瞬間の 信号パタ ーンを 正確に検 出しなけ ればな らない. それを実現するために,オンライン学 習法 におけ る教示データセットの構成法に拡張を加えた.その拡張されたオンライン学習法を用い,

大腿 直筋, 中殿筋, 背筋群 ,ハムス トリング に配置 する4個の筋 電センサ の信号源 から, 立ち上が り の た め の 刺 激 on/o ff, 歩 行 周 期 の た め のon/o ff制 御 が で き る こ と が 確 認 さ れ た .   個人 適応型 筋電キー ボード ヘの応用 の場合 ,大入力 自由度を 実現するために,シングル識別動作 をべ ースに ,コーデ ィング を行う必 要がある .ここ では,シ ングル動作の誤認識率を考慮し,最小 の動 作の回 数でキー の入カ ができる ホフマン コーデ ィング法 の導入 すること によっ て,3チャンネ ル の 筋 電 位 信 号 に よ っ て , 64個 の キ ー コ ー ド を 実 現 し た こ と が 確 認 さ れ た .   これ らの3つの応 用結果 によって ,提案手 法によ り構成さ れるシ ステムは 前述の 分析によって明 らか になっ た人間一 補助機 器系が持 っべく5つの 特性を有 し,提 案手法が 相互適応 系に有 効である と結論付けることができる.

  以下に 本論文の 構成を示 す.本 論文は7章か ら構成さ れている .

  第1章 は序論 であり, 本論文 が取り扱 う相互 作用,相 互学習が 存在す る系に関 する研 究の背景,

関連研究 例,及 び知的補 助機器 の制御に おいて ,そのよ うな研究を取り上げる意義について述べて しヽる,

  第2章 では, 相互適応 系の各 要素,及 び要素 間の関係 の分析を 行い, 知的補助 機器に おける相互 適応系に 必要な5つの 特性を 導出する .さらに ,系の 全体像を 明らか にし,問 題点の 整理を行って いる,

    ―256〜

(3)

  第3章は前章の分析に基づき,相互適用システムの根幹となる3つの方法の提案を行ったもので ある,本章は3節からなり,それぞれにおいて,3つの提案方法,すなわち,オンライン学習法,

情 報 量 基 準 及 び 訓 練 進 行 度 の 基 本 的 な 考 え を 述 べ , 定 式 化 を 行 っ て い る .   第4章から第6章の3章では,第3章の提案によって構築したシステムを筋電義手の制御,機能 的電気刺激のスイチング制御,及び筋電キーボードの実現への適用を記述したものである.それぞ れの応用の特徴に応じて,検討が加えられ,実験目的,条件を明記した上に,実験結果を用い,相 互適応系の性質を議論している.

  第7章において,本論文によって明確にした問題点と,これらの問題点を提案手法によってどの ように,どこまで解決できるかをまとめ,論文全体の総括を行う,さらに,知的補助機器の研究開 発分野において,提案システムの将来展望も述べている.

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学位論文審査の要旨

     学位論文題名

Studies on Human‑Oriented Intelligent     Assistive Device Systems

   (人間指向型知的補助機器システムに関する研究)

  従 来の生体 機能補 助機器シ ステム では使用 者が機器 を使用するのに、複雑な設定と長い訓練 期 間が必要であり、使用者や,訓練を担当するセラピストにとって,大きな負担となっていた。

こ のような 訓練時 間と負担 を軽減す ること は,リハ ビリテーション臨床現場において,大きな 課 題として 残され ている. この問題 を解決 するため に,補助機器システムも自らその使用者に 適 応してい き,人 間の習熟 過程を容 易にし うる,い わゆる人間指向型知的補助機器システムの 研 究開発が 求めら れている .また, 使用者 と知的補 助機器からなる統合システムの制御を考え る 場合,補 助機器 の知的制 御と使用 者の上 位中枢神 経系や人体と補助機器の相互作用を考慮す る必要がある.

  本論文は,対象となる使用者と生体機能補助機器,及び要素間の関係を分析し,それらに基づ い て人間指 向型知 的補助機 器システ ムを設 計製作し て,システムの有用性を検証するために,

筋 電義手と ,機能 的電気刺 激のりハ ビリテ ーション での実践応用ヘ導入し,評価した一連の臨 床 研 究 の 成 果 を ま と め た も の で あ る . 本 論 文 の 主 要 な 成 果 は 次 の3点 に 要 約 さ れ る . (1)相互適 応系の 各要素, 及び要素間の関係の分析を行い,知的補助機器における相互適応系に 必 要 な5つ の 特 性 , す な わ ち ,1) 使 用 者と 補 助 機器 が 相 互 に学 習 し てい く 系 の柔 軟 性 ー Adaptability;゛2)補助機器システムが環境変化への実時間反応性‑Reactiveness;3)現在の系の 状況に基づき,適応を行うべく機能性一Situatedness;4)系の時間遅れやフイードバック信号の タイミングのあいまいさにも対応可能ーTemporal Robustness;5)系からの応答が不十分の場合,

使 用 者 の指 示 情報の不 当によ るものか ,それ とも補助 機器側の 不備に よるもの かの判 別可能

―Relational Robustness,を導出したこと.

(2)相互適 用シス テムの根 幹となる3っ の方法, すなわち,使用者側が状況に応じ,教示を機械 側 に与え, 機械側 がその外 部信号に 基づき ,デー夕 管理機構により,識別機構を決定境界の時 間 変化に対応し,かつ決定境界を微調整させるようなオンライン学習法;認識動作に対する生体 信 号の情報量を反映する条件っきエントロピーに基づく情報量基準;さらに,ある使用者から計

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生 郎

行 和

野 嶋

真 長

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

測された生体信号の識別容易性 を議論するため,信号の再現性に基づく訓練進行度の提 案を行 ったこと,

(3)以 上の 提案 によ って構築 したシステムを筋電義手の制御および,機能的電気刺激 のスイチ ング制御ヘ適用し,これら臨床 応用によって,提案手法が相互適応系に有効であると結 論っけ ることができたこと.

  公開発表にあたって,副査の 安田和則教授から 複数動作を識別するために,少数のチャンネ ルの筋電位信号からの情報抽出 法について質問があった.申請者は情報抽出の質問に対し,複数 筋 の 運 動 情 報 を 少 数 (2チ ャ ン ネ ル ) の 筋 電 位 信 号 か ら 分 離 す る た め ,Fast Fourier Transformationと移動平均操作 によって得られた平滑化した周波数域において,高次元 の特徴 ベクトルの抽出を行っていると 回答した,次いで,副査の長嶋和郎教授から,生体機能補助機器 システムにおける知能のあり方 について質問があった.申請者は本研究によって実現さ れたシ ステムにおいて,機械側に学習 機能が備えているが,人間との相互作用によって,その機械シス テムが使用者の特性に追従する ことができ,人間と機械のインタアクションによって知能が生ま れたと回答した.最後に,主査 の真野行生教授から,視覚以外の感覚情報をフィードバックに利 用及び予想される効果について 質問があった.申請者は国内外の研究例を紹介し,特に身障者の 機能回復の場合,触覚,圧覚な どの感覚フイードバックは安定かつ頑丈な機能補助の実現にとっ て,重要であると回答した,

  本論文はりハビリテーション 現場の臨床応用上高く評価され,今後の更なる実用化が期待され る.

  審査員一同は,これらの成果 を高く評価し,申請者が博士(医学)の学位を受けるのに充分な 資格を有するものと判定した.

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