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博士(地球環境科学)柴田美奈子 学 位 論 文 題 名 Synthesis and CharacterizatlonofMaltoheXaOSe‐ linked POrphyrinSaSaNeWPhotOSenSitiZer inPhotodynamiCTherapy

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Academic year: 2021

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博士(地球環境科学)柴田美奈子

     学 位 論 文 題 名

Synthesis and CharacterizatlonofMaltoheXaOSe ‐ linked     POrphyrinSaSaNeWPhotOSenSitiZer

    inPhotodynamiCTherapy

( マ ル ト ヘ キ サ オ ー ス 連 結 ポ ル フ イ リ ン の 合 成 と     そ のPDT光 増 感 剤 へ の 応 用 )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  近 年の レ ー ザー 機 器 の発 展に 伴い、 ポルフィ リンお よびその 誘導体は 高い腫 瘍細胞集 積 性 お よ び可 視 領 域に 強 い 吸収 を 示 すた め に 、ガ ン の 光 線力 学 治 療(PDT)に お ける 光増感 剤 や 光 診断 薬 と して 注 目 され ている 。しかし 、一般に ポルフ ィリン分 子は水 に難溶で ある た め 、 実際 に 薬 剤と し て 応用 するこ とが困難 である。 そのた め、さま ざまな 水溶性置 換基 を 導 入 した 水 溶 性ポ ル フ ィリ ンの開 発が求め られてい る。そ こで本研 究は、 水溶性お よび 腫 瘍 細 胞親 和 性 が期 待 で きる オ リ ゴ糖 を 腫 瘍集 積 性 の 高い ポ ル フィ リ ン 分子 に 導入 した 新 し い 水 溶 性 糖 連 結 ポ ル フ ィ リン の 合 成 とそ のPDTに お ける 光 増 感剤 へ の 応用 を 目 的と し た。

  本 研究 は 、 オリ ゴ 糖 であ る マ ル卜 ヘ キ サオ ー ス を 、PDTにおけ る光増 感剤とし て臨床学 的 に も 応 用 さ れ て い る ヌ 夕 ― ヒド 口 キ シ テト ラ フ ェニ ル ポ ルフ ィ リ ン(m‑THPP)に 導 入 し た新しい ポルフ ィリン糖 クラスタ ーの分 子設計を 行った 。さらにそれらの分子の光物性、

腫 瘍 細 胞 親 和 性 お よ び 光 細 胞 毒性 を 評 価 する こ と によ り 、 そのPDT光 増 感 剤と し て の有 用 性の検討 を行っ た。

本論文 は5章 から構 成されて いる。

第1章 は序論で あり、 本研究の 背景およ び目的 について 述べた 。

  第2章 では 、 種 々の マ ル トヘ キ サ オー ス連結 ポルフィ リンの合 成を行 い、合成 した化 合 物の 水 に 対す る溶解性 および それらの 親・疎水 性のバ ランスに ついて 検討を行 った。 骨格 で あ るm‑THPPは、 酢 酸 亜鉛 を テ ンプ レ ー トと し た3― ア セ トキ シ ベ ン ズア ル デ ヒド と ピ 口ール のBF3.Et20を用い た環化縮 合反応 により合 成した 。その結 果、従来 法に比較して、

収率 が 著 しく 向上した 。オリ ゴ糖ユニ ットであ るヨウ 化プ口ピ 口キシ マルトヘ キサオ シド とm‑THPPの 連 結 は 、DMF溶 媒 中 、 炭 酸 カ リ ウ ム を 用 い た カ ッ プ リ ング 反 応 によ り 行 っ た 。 そ の 結 果 、1本 鎖 か ら4本 鎖 ま での2つ の構 造 異 性体 を 含 む5種 類 の マル ト ヘ キサ オ ース 連 結 テト ラフェニ ルポル フィリン が合成で きた。 また、こ れらの 亜鉛錯体 に関し ても 同様 の 反 応に 従い、高 収率で 合成する ことがで きた。 さらに、 水溶性 の糖ユニ ットだ けで なく 疎 水 性 ユニ ッ ト であ る 長 鎖ア ル キ ル基 を 導 入し た 両 親媒 性 ポル フィリン の合成 も行 った 。 こ れら 新規ポル フィリ ン類の水 に対する 溶解性 を調べた 結果、 マル卜ヘ キサオ ース

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鎖を1本導入したポルフアリンでさえも著しく高い水溶性を示し、また糖鎖の数に比例し てその溶解度は増加した。また、マルトヘキサオース連結ポルフィルンの1−オクタノー ル/水ニ層系における分配係数(LogP)を見積もった結果、本研究で合成したポルフィリ ン類はLog P=‑l.99〜0.34と広範囲な値を示した。従って、糖鎖の導入数の違いや疎水性 基の導入によルポルフィリン類の親・疎水性のバランスはコン卜口ールできることが示唆 された。

  第3章では、マルトヘキサオース連結ポルフィリンの光物理学的特性を調べるため、水 溶液中での分子の挙動を吸収および螢光スベクトルなどの分光学的手法を用いて検討し た。その結果、4本鎖連結ポルフィリンは広範囲の濃度にわたルモノマー状態で存在して いることが示され、また、1本鎖連結ポルフィリンは最小濃度でさえも分子間の相互作用 による消光現象が見られた。2本鎖連結ポルフィリンにおいては、糖鎖の置換された位置

(CISおよびtrans位)の違いにより、会合体の形成に違いが見られた。すなわち、マルト ヘキサオース鎖は水溶性を向上させるだけでなく、ポルフィリン分子間の相互作用へも影 響を与えることが明らかにされた。また、ジフェニルベンゾフランを補足剤とした一重項 酸素の相対量子収率を見積もったところ、すべてのマル卜ヘキサオース連結ポルフィリン はm‑THPPに比較して高い収率を示した。よって、糖鎖の導入により、一重項酸素の発生 効率が増加することが見出された。

  第4章では、マル卜ヘキサオース連結ポルフィリンのin vitroでの腫瘍細胞集積性およ び光細胞毒性について、HeLa細胞を用いたMTTアッセイ法に基づき評価を行った。マル トヘキサオース連結ポルフィルンの暗所毒性はフリーベース体では全く見られなかった が、亜鉛錯体では若干の毒性が確認された。光照射下での細胞の生存率を見積もった結果、

1本鎖および2本鎖連結ポルフィルンに関して光細胞毒性が観測された。特に1本鎖連結 ポルフィリンでは、m‑THPPに匹敵する高い殺細胞効果が見られた。また、2本鎖連結ポ ルフィリンにおいては、糖鎖の置換された位置(cisおよびtrans位)の違いにより、その 活性に違いが見られた。実際に螢光顕微鏡を用いてポルフィリン誘導体のHeLa細胞への 集積性を観測したところ、高い光毒性を示す1本鎖連結ポルフィリンは他の化合物に比べ て著しく細胞膜に集積していることが明らかになった。さらに分子の親・疎水性のバラン スの物理的バラメーターである分配係数(LogP)と光毒性の関係から、LogP=0.4付近 で活性の極大点が見られた。以上のように、マルトヘキサオース連結ポルフィリンの光細 胞毒性はその腫瘍細胞集積性に大きく影響されることが明らかにされた。また、その細胞 集積性は、化合物の適度な親・疎水性のバランスだけでなく、分子構造にも依存すること が示唆された。

  最後に第5章では、すべての章の総括として、マルトヘキサオース連結ポリフィリンの 光 増 感 剤 と し て の 有 用 性 に つ い て ま と め 、 今 後 の 展 望 に つ い て 述 べ る 。

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学 位 論 文 審 査 の要 旨 主査

副査 副査 副査 副査 副査

教授 教授 教授 教授 助教授 助教授

西    則 坂 入 信 山 崎 矢 野 重 覚 知 豊 野 水 基

巌 (工学研究科)

信 (奈良女子大学 人間文化研究科)

     学位論文題名

Synthesis and Characterization of R/Ialtohexaose‑linked     PorphyrlnSaSaNeWPhotOSenSitiZer

    inPhotodynamiCTherapy

     ( マ ル ト ヘ キ サ オ ー ス 連 結 ポ ル フ イ リ ン の 合 成 と      そのPDT 光増感剤への応用)

  近年のレーザー機器の発展に伴い、ポルフィリンおよびその誘導体は高い腫瘍細胞集積 性およ び可視領 域に強い 吸収を 示すため に、ガンの光線力学治療(PDT)における光増感 剤や光診断薬として注目されている。しかし、一般にポルフィリン分子は水に難溶である ため、実際に薬剤として応用することが困難である。そのため、さまざまな水溶性置換基 を導入した水溶性ポルフィリンの開発が求められている。本論文は、水溶性および腫瘍細 胞親和性が期待できるオリゴ糖を、腫瘍集積性の高いポルフィリ冫分子に導入した新しい 水溶性糖連結ポルフィリンの合成とそのPDT、における光増感剤への応用を目的とするも のである。

  本論文は5章から構成されている。

  第 1章 は 序 論 で あ り 、 本 研 究 の 背 景 お よ び 目 的 に つ い て 述 べ て い る 。   第2章では、種々のマルトヘキサオース連結ポルフィリンの合成を行い、合成した化合 物の水に対する溶解性およびそれらの親・疎水性のバランスについて検討を行った。オリ ゴ糖ユ ニッ卜で あるヨウ化プ口ピ□キシマルトヘキサオシドとポルフィリン骨格である m'ヒド口 キシテト ラフウ ニルポル フィリン(m‑THPP)の連結は、DMF溶媒中炭酸カリウム を用い たカップ リング反応により行った。その結果、1本鎖から4本鎖までの構造異性体 を含む5種類のマルトヘキサオース連結テトラフウニルポルフィリンおよびそれらの亜鉛 錯体が合成できた。これらの水に対する溶解度を調べた結果、1本鎖の導入でさえもその

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水溶性の著しい向上が見られ、また糖鎖の数に比例してその溶解度は増加した。また、水 溶性の糖ユニットだけでなく疎水性ユニットである長鎖アルキル基を導入した両親媒性ポ ルフィルンの合成についても述べた。これらの合成したマルトヘキサオース連結ポルフイ ルンの1−オクタノールの水に対する分配係数を見積もった結果、糖鎖数の違いや疎水性 官能基 の導入 により親 ・疎水 性のバラ ンスを コン十口 一ルでき ること が示唆さ れた。

  第3章では、マルトヘキサオース連結ポルフィルンの水溶液中での分子の挙動を吸収お よび螢光スペクトルなどの分光学的手法を用いて検討した。その結果、マルトヘキサオー ス鎖は水溶性を向上させるだけでなく、ポルフィルン分子間の相互作用をコントロールで きるこ とが明ら かにされ た。ま た、ジフェルベンゾフランを補足剤とした一重項酸素の 相対発生収率を見積もったところ、すべてのマルトヘキサオース連結ポルフィリンは糖鎖 のない 問‑THPPに比較して高い収率を示した。よって、糖鎖の導入により、一重項酸素の 発生効率が増加することが見出された。

  第4章では、 マルトヘ キサオ ース連結ポルフィリンのinvitroでの腫瘍細胞集積性およ び光細 胞毒性に ついて、HeLa細胞を 用いたMTTアッ セイ法に 基づき評価を行った。マル トヘキサオース連結ポルフィリンの暗所毒性はフリーペース体では全く見られなかったが、

亜鉛錯 体では若干の毒性が確認された。光照射下での細胞の生存率を見積もった結果、1 本鎖連 結ポルフィリンにおいて著しく高い殺細胞効果が観測された。また、2本鎖連結ポ ルフィリンにおいては、糖鎖の置換された位置(cisおよびtrans位)の違いにより、その 活性に違いが見られた。これらの結果より光細胞毒性は化合物の分子構造に依存すること が示さ れた。ま た、実際 に螢光 顕微鏡を用いてポルフィリン誘導体のHeLa細胞への集積 性を観 測したところ、高い光毒性を示す1本鎖連結ポルフィリンは他の化合物に比べて著 しく腫瘍細胞に集積していることが確認された。すなわちマルトヘキサオース連結ポルフ ィリンの光細胞毒性は腫瘍細胞集積性に大きく影響されることが明らかにされた。さらに 化合物 の親・疎 水性のバ ランス の物理的バラメ一夕ーである分配係数(LogDと光細胞毒 性の関係を見積もったところ、LogP:0.5付近で活性の極大点が見られた。よって、高い 光細胞毒性を得る上で、マルトヘキサオース連結ポルフィリンの適度な親・疎水性のバラ ンスの重要性が明らかにされた。

  最後に 第5章では、すべての章の総括として、各章で得られた結果を簡潔にまとめ、マ ルトヘ キサオ ース連結 ポリフ ィリンの 光増感 剤として の有用性 につい て述べて いる。

  本論文は、オリゴ糖であるマルトヘキサオースをテトラフェニルポルフィリン骨格に導 入した新しいポルフィルン糖クラスターの分子設計を行い、さらにそれらの分子の光物性、

腫瘍細 胞親和性および光細胞毒性を評価することにより、そのPDT光増感剤としての有用 性を示した。今後、組織特異性を示すオリゴ糖鎖などの導入により、より効果的な腫瘍細 胞へのターゲッティング素子としての応用が期待される。

  審査員一同はこれらの成果を高く評価し、申請者が北海道大学博士(地球環境科学)の 学位を授与される資格を有するものと判定した。

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参照

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