Title
沖縄本島におけるコンクリートの強度および2、3の性質
Author(s)
具志, 幸昌; 和仁屋, 晴謹
Citation
琉球大学理工学部紀要. 工学篇 = Bulletin of Science &
Engineering Division, University of the Ryukyus.
Engineering(1): 71-80
Issue Date
1968-05
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12000/23752
71
沖縄 本 島 にお ける コ ンク リー トの強度 お よび
2
、
3
の性質
具 志 幸 昌
和仁屋
暗
譜
Strength CharacteristicsandSomeOtherPropertiesofConcrete onOkinawa
YukimasaGUsHI* and HaruyoshiWANrYA* SynopsIS
There are three typical kinds of coarse aggregates in Okinawa Islands, namelynorthem-area crushed stone, middle- Southem-area crushedstoneand coralfinger.
In thispaper,strengthdifferences betweenconcretesusedthosetypicalcoarse aggregatesareindicatedandc/W- 028 relationsestablishedandtheir formular presented.
Itisalsoclarified in thisstudy thatcoral finger concrete canbeusedin constructionworksasfarasstrength isconcerned, butitssegregationproperty isapriorioneandisagreatedifficultyinpracticalhandlingofconcrete.
Ⅰ
はじめに 現在沖縄本島ではコンクリー ト粗骨材 として、大体2種 の砕石 とさんご砂利 が用 い られて い る。前者 は普通一般 の コンクリー ト工事に使 われ、北部 の本部半島に産す る古生代 の石灰 岩 と、中南部に産す る第3紀末 の新 らしい石灰岩に大別 され る。 さんご砂利 は海岸 の造礁 さ んごが破砕 されてできた もので最 も新 らしい石灰岩 と云えるO これ らについてはすでに調査 (6) (7) され発表 されてい る。 その大体 の特徴 を述 べると、 本部砕石 は聖夜で比重大 (約2.7)であ るが、20mm以下では石質 に由来す るのかその形は一般 に属平なものが多い。表面は滑 らか であるが原石は風化 した土 を至 る所 に含んでいるため、それが砕石 の中に混入 してお り、使 用 に当って取 り除 くことができない。 中南部砕石 性多孔質石灰岩で比重やや/ト (約2
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5)で あ り、粒形は概 して良好 であ り、砕石表面はぎざぎざである。 しか し微石粉 が附著 し て お り、使用す る際やは り取除 くことがで きない。含 まれている土や石粉は強度や ワ-カビ リチ に恵影影 を及ぼす程ではない様である。 さんご砂利 は多 くは細長い さんごの残 がいの破片で 粒形粒度共に悪 く、 比重ノト (約2.2)で手で折 ることができる程軟 らかい、 只穀等 も含んで お り、宵配合 にしない とワーカー ビ リチのよい コンクリー トが得 られない. しかし戦前は軽 便鉄道 の道床材 に使われてお り、恐 らくコンク リー ト用粗骨材 として重用 されてい た と 思 う。戦後はアメ リカ軍が砕石 を使用 し始 め、沖縄 のコンク リー ト工事 も自然 に砕石使用 にふ みきったので、 さんご砂利 は家庭での土間 コンクリー ト等 にしか使用 されてない。 しか し離*
理工学部土木工学科72 具志 ・和仁員 :沖縄本島におけるコンクリ- トの強度および2、 3の性質 島での コン ク リ- ト工事では原石 をノ、ンマ∼等 で割 って砕石 を作 った り、船 で沖縄本島か ら 輸送 した りした例 もあるので、 もしその離島 に さん ご砂利 があればそれ を使用 した方 がず っ と経済的であ ると考 え られ る。 しか しそのためには工学的 に さん ご砂利 が使用可能 であるこ とを証 明 しな くてはな らない。 これが本研究 の 目的の一つである。又 、アメ リカ軍工事では 現在 中南部産 の砕石 は用 い られず本部砕石 のみが使用 されてお り、政府工事 もそれ にな らう 傾 向がある。一方民間工事 には これ まで も中南部砕石 が使用 されてきてお り、現在 も使 われ てい る。 中南部砕石 を使用 してな らないな らその理 由があ るわけで、その理 由を知 りたい と 云 うのが この研究 の第
2
の動機 である。筆者 の1
人具志 は数年前 に那覇近効 を中心 に コン ク (3) リ- ト工事 の実態調査 を行 ったが、その時 コン ク リ- トが実際 どの程度 の水セ メン ト比で作 (5) られてい るか知 ることがで きなか った。その後調査報告 によると、 コンク リー ト構造物 の損 傷 は海岸近 くで相 当進行 してい る様 であ り、 コン ク リー トの耐久性 については水セ メン ト比 が重要 な役割 を占めてい ることを考 えて、実際 の沖縄 での コンク リ- トが どの程度 の水 セメ ン ト比で作 られ てい るか を知 りたい と考 えた。それ には水 セ メン ト比 と圧縮強度 との関係 を 知 るのが必要 であ る。 本研究 は こ う云 う目的 ももってい る。本研究では上述 の3種 の粗骨材 を使 って、 コンク リ ー トの供試体 を作 り圧縮試験 を行 って強度差 があ るか否か をしらべ、 コン ク リ- ト強度上か らの これ ら粗骨材 の得失 を研究 した ものであ り、あわせて数種 の実験 を行 って強度以外 の事 項 も観察 した。実験 に先立 っての見通 しとしては、2
種 の砕石 では強度上 の差 が殆ん どない だろ うと云 うことと、 さんご砂利 コン ク リ- トは強度 は砕石 コンク リー トに くらべれば劣 る が使用可能 であろ うと云 うことであ った。本研究 によってそれが大体 に於 て正 しい と云 うこ とが実証 された と思 ってい る。Ⅰ
使用材料及び実験条件 本研究 に使用 した骨材 の性質 はTable1、 2の通 りである。 実体 は約10ケ月にわた って行 なわれたが、使用骨材 はず っと同 じもの を使 った。骨材 はすべて1日の実験 の途 中に於 て一 部取出 し、含水量 を測定 し、後程真 の配合 を定 めた。 さん ご砂利 は2
4
時間以上吸水 させた も のを使用 した。砕石 は使用 に先立 ってふ るいわけ し、2
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以下の もの を取除いた。 さん ご砂利 は大 きな只穀や石 を取 り除いた他 は 自然状態 のまま使 った。砂は海 (7) 砂 で5
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以上 の ものは捨 てた。 尚、 本実験 に使用 した さんご砂利 は文献 によると晶質の悪 い方 に属 してい る。Table1. Physical
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琉球大学理工学部紀要 (=学績)
TabJe2.Physicalpropertiesoffineaggregateused
73 セメン トは貯蔵施設がないので、使用 の度 に購入 し、必ず強度試験 を行 い、比重試験 も約半 分位 に実施 した。比重は 3.16-3.17であ り、 4週圧縮強度は 310kg/C〝ヂ∼420kg/C〝ヂの間 に あったO 主実験は11月か ら5月始 め迄 の間に行 ったので養生水槽 の温度や気温 は20oc士4ocの間に 保 っ ことができた。 コンクリー ト供試体 の製作 は重量計量 によ り、実験重用可候 ミキサーで混練 した。締固め は棒付 き方法によったが、一部はバイブレータ-を使用 した。供試体 は製作後一 日実験室に 放置 し翌 日キャッピングを行い、更 に一 日経過 してか ら脱型 し養生水槽 に入れ、28日目に取 出 し圧縮試験 を行 った。
皿
粗骨材による強度差 3種 の骨材 を使 って、同一 日中に同 じセメンで水セ メン ト比 を3-5種変えて コンクリー トを製作 し強度 を比較 し、配合 を色 々かえて くり返 した。同一 日中に作 った コン クリー トは 各種骨材 コンクリー ト毎にセメン ト水比 と28日圧縮強度 (628)の間に大体直線関係 が得 ら れた。 しか し砕石 コンクリー トでは450kg/cntをこえると、又 さんご砂利 コンク リー トでは 400kg/cmaをこえると直線関係 か らはずれて横 にねて くる. その大体 の有様 はFigl、Fig 2 の通 りである。 (図中の1点はいづれ も同一時 に作 った3個 の供試体 の平均値 を示す。) ー 矧 tJ・A
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Fig.2Relationshipbetweenc/w and q28(Crusbdstoneconcretb)74 具志 ・和仁星 :沖縄本島におけるコンクリー トの強度および2、3の性質 骨材 の種類 に よる強度差 はは っき りと認 め られ た. まず本 部砕石使用 の コン ク リー トと中 南部砕石 使用 の コン ク リー トとの間 には同一水 セ メン ト比で約10kg/cntか ら30kg/cd 位 の 差 があ る.予想 に反 して軟 かい石灰 岩砕石 で あ る中南部砕石使用 の コン ク リ- トの方 が強度 が大 きか った。 これ は砕石 表面 の状況 の差 と粒 形 の差 が原 因で あ る と考 え られ る。 尚、水 セ メン ト比 が小 さ くな るに従 って強度差 は小 さ くな る傾 向 にあ った。 次 に本 部砕石使用 の コン ク リー トとさん ご砂利 コン ク リー トとの強度差 であ るが これ はは っき りとみ とめ られ 、同一水 セ メン ト比で80kg/C〝ヂか ら130kg/C〝ヂ位 の差 があ り、 本 部 コ ン ク リー トがは るか に高 い。 しか しさん ご砂利 コン ク リー トも水 セ メン ト比50%位 で 最 低 240kg/cm'の強度 はで るので強度上 か らは使用可能 であ るO Ⅳ (水セ メン ト比-圧縮強度)式の提案 コン ク リー ト配合 上 の資料 を得 るた めに、 本 実験 で得 られた結果 をセ メン ト水 比 (C/W) と28日コン ク リー ト圧縮強度 の関係 に し て、最小 自乗法 を使 って直線式 を求 め て み た。 (2) (4)
Table3及 び Fig 3 に示す。参 考 のた めに Fig 3中には土木学会 、 日本建築学会 、 ACIの 諸式 をも併記 してあ る。土木学会標準示方書 の式 が さん ご砂利 コン ク リー トの下限式 を下梱
る ことは注 目してよい と思 う。
琉球大学理工学部紀要 (工学篇) ・
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その他の考察実験は水セメン ト比 と強度 との関係 を得 るための他 に色 々の 目的のために行 ったので、そ こで観秦又は考察 して得 られた結果 を箇条書 きで記す ことにす る。
76 具志 ・和仁畠 :沖縄本島におけるコンクリー トの強度および2、 3の性質 1 さん ご砂 利 コ ン ク リー トに つ い て T)分難の傾向が強い こと さんご砂利 コンクリー トをね ってそのままおいてお くと粗骨材 とモル タルが分離す る。か な りス ランプの小 さい富配合 のコンクリー トで もそ う云 う現象がみ られ る。又、締固めの際 突 くと水 が分離 して上昇 しブ リージングが非常に多い。砕石 コンクリー トの数倍以上 もあっ た。更 に供試体型枠底 か らの水 もれ も多い。脱型 した供試体の側面には水みちが相 当多 くつ いているもの もあ り、実際 のコンク リー ト打込みの際、水が型枠か らぬけてしまった り、鉄 筋下端 の空隙 を作 り易い と考 えられ るので注意 しなければならない。 この欠点に対 し て は
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材等 の使用 が考 えられ るのであるが、それについては今後 の研究課題 としたい。 2)強度はスランプの影響をうける 強度はワーカビリチー又 はスランプの影響 を砕石 コンクリー トよ りも強 くうける。例ばえ Fig4
、Fig 5の様である。 これは締 め固めの難易 と 分離の程度によるもの と考え られ る。 一般 にスランプが大だ と同一水セメン ト比で強度 は大 き くなるが、大 きす ぎでも分離の面か ら強度 は低下す る。 ー ∴ J (隻
) 1.5 2.0 2.5 3.0 c/V .Fig.4 Ralationshipbetween Q28andslumpva]uJe I 「28 ノ
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0・ 5 10 .15(cm) スランフ` -iFig.5 Relationst滋pbctw8en q28 ands】umpvaIlle
3)強度は単位粗骨材量 に関係する
同一水 セメン ト比な ら単位粗骨材量が小 さい程強度 は大 き くなる。勿論 これ も程度問題で あるが、 普通のスス ランプ値 のコンクリー トな ら・こ う云 う傾向がみ られ る。 (Fig6) この ことは さんご砂利 コンクリー トの弱点が粗骨材 にあるか ら当然である。
琉球大学理工学部紀要 (工学篇) 77 ・1 2 ( 誓 5 ' b 240 '^ 200l \ 160 \ヽ′/ ー\ l I I
4)
ワーカ ビリチーは悪い 普通 の砕石 コンク リー トに くらべ るとワーカ ビリチーはず っと悪 いOプ ラスチシチー ・コン システ ンシー共 に同一ペース ト量でず っと悪 く な ってお り、 1)で述 べた如 く分離 の傾向 も強 い。 庫他粗野勅書(髄粛 豆 類 ) 一・・一-FiG.6Relationsr,ipbetween q28and coars3aggregatesCOntent(when w/ckeptconstant)
5)スランプと (単位水量十単位ペース ト量) との関係 絶対容積表示の (単位水量 +単位ペース ト量) とスランプ との間に相関関係 が得 られたの で図示す る (Fig7). 適用範囲は水セメン ト比37%一70%の間のさんご砂利 コン ク リ ー トで、細骨材率54%-47%の間のものをと り、 これ以外 の細骨材率の ときは図の横 軸 値 に 0.95を乗 じてプ ロッ トしてある。その関係式 は次の様 に表わす ことができる。 S-ll.3
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WE.p- )-52.5 但 し、Sはスランプ (cm)、WとPは夫 々単位水量 と単位ペース ト畳 (ど)である。78 具志 ・和仁畠 :沖縄本島におけるコンクリー トの強度および2、 3の性質 5 ∩
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FiG.7Re]ationsl滋pbe亡weens一umpvalueand (W
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2
砕 石 コ ン ク リー ト (4) 1) 日本建築学会 の調合表 は軟練 り部分 を除 いて (軟練 りコン ク リー トは この実験 では練 らなか った。)配合 の大体 の 目安 として使用 で きる。 2)同一水 セ メン ト比 な ら当然 なが らワ- カ ビ リチ-の よい コン ク リー トの強度 が 大 き い.但 しワー カー ビ リチーが悪 くて も十分締 め固 めれ ば強度 に対す る影響 は さん ご砂利 に く らべ て小 さい。3)5
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m2以上 の コン ク リー トを得 るのは両 方 の砕石 とも仲 々むつ か しい.水 セ メン ト比 を小 さ くして も強度 の増加 は僅 かで あ り、逆 に変動 が大 き くな る。 4)供試 体 の破砕面 は砕石 がわれ てい るものが多 い。 しか し低強度 の もので も相 当数 の砕 石 が割れ てお り、高 強度 の もので も可成 りの部分 が滑 って破砕 してい る0 5)高強度 の ものは一般 に爆 発的 に大音響 を発 して破 壊 し、そば に立 ってい るのは危 険で あ る。最高荷重 に達 してす ぐに破裂 し、荷重 を戻す のが間 に合 わ なか った。Ⅵ
む す ぴ さん ご砂利 コン ク リー トは強度 の面 と単位 セ メン ト量 の面 か ら難 点 があ る と考 え て い た が、水 セ メン ト比5
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で 250kg/cm2の強度 がで る し、 それ に要す る単 位 セ メ ン ト量 は 400kg/mJでス ランプは約 8cm位 とな るので、 一応使用 可能 と云 う結 論 とす るが、分離 の傾 向 が強 い と云 う新 らしい施 工上 の難 点 が判 明 した。 これ はAE
材 等 の使用 によ って どの程度 軽 減 で きるか今後 の課題 であ る。又砕石 コン ク リ- トや さん ざ砂利 コン ク リー トの引張 、曲 げ強度 、弾 性或 はその他 の物理的性質 につ いて も今 後 、継続 して研 究 してい きたい。 引 用 文 献1)ACI 613-54、 :ACI Standard,RecommendedPracticefor Se一ecting Proportionsfor Concrete,Jo・drnalofACl,p.p.49-54(Setpt.1954) 2)土木学会 ;コンクリー ト標準示方書、P.67(昭和31年) 3)具志事昌:沖縄におけるコンクリー ト施工の現状とその問題点、琉球大学農家政工学部 学 術 報 告、 11、PP.19 9-204(1964) 4)日本建築学会 :建築工事頗準仕様書、同解説B、PP.98-99、PP.120-124、 (1957) 5)大域武 :沖縄における橋梁調査とその問題点、 琉球大学農家政工学部学術報告、 13号、PP.223 -231(1966) 6)上原方成 :沖縄諸島における骨材調査第1報、琉球大学農家政工学部学術報告、 11号、PP.20 5-222(1964) フ)上聞清 :沖縄本島に産する海砂利の分布及び物理的性質、 琉球大学農家改工学部学術報告、 11号、 PP.223-233(1964)