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FE-EPMA によるコンクリート試験体の分析 −面分析、標準試料分析、定量分析−

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Academic year: 2021

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(1)

FE-EPMA によるコンクリート試験体の分析   

−面分析、標準試料分析、定量分析− 

 

三重大学工学部工学研究科技術部     

○ 和藤  浩  watoh@arch.mie-u.ac.jp

1.はじめに

コンクリート構造物の耐久性および劣化診断の測定方法は数多くあるが、これらのなかの一つとして、

近年、電子プローブを照射したときに得られる特性X線の情報から固体表面に存在する複数種類の元素 の分析を行う EPMA(電子プローブマイクロアナライザー)が注目されており、EPMA を用いて測定した診 断報告、研究成果なども少なくはない。筆者も数年前から三重大学社会連携研究センターに設置されて いる EPMA(以下、旧 EPMA)を用いてモルタルやコンクリートの分析を行ってきており、その操作方法、

分析技術など、ようやく習得した段階であったが、この度、社会連携研究センターでは、これまでの旧 EPMA に替わり、FE(Field Emission)電子銃が搭載された FE-EPMA (JEOL 製 JXA-8530F:写真 1)が設置さ れた。今回その操作方法も新しくなったため、コンクリート試験体を用いてその分析の方法を習得した ので、その紹介を行う。 

 

2.測定方法   

測定に用いた試料は、A 用水路から採取したφ100mm コアを用いた。そのコアを精密コンクリートカ ッター(丸東製 TS-45:写真 2)で写真 3に示すように 20×20×2 (厚さ) mm にカットし、♯1500 耐水ペ ーパーを用いて表面を研磨し、超音波洗浄機(ASONE USK-1R:写真 4)で洗浄を行い、真空チャンバーで 真空乾燥を行った。その後、オートファインコーター(JEOL 製 JFC-1600:写真 5)で白金のコーティング を行った。FE-EPMA では、まず面分析を行った。 

面分析の測定条件は、土木学会の規準(案)1)の測定条件値に基づいてその範囲内で表1に示す条件で 行い、写真 6に示すホルダーに試料を設置し測定を行った。なお、測定を行った元素は、コンクリート の劣化に関する Cl、Na、K、S、Si、Ca の 5 元素とした。その分析結果を図 1に示す。 

20mm 

20mm 

写真 1  FE-EPMA  写真 2  精密コンクリートカッター  写真 3  試験体  表−1  EPMA の測定条件  試験体寸法  20×20mm 測定範囲  10×20mm ピクセルサイズ  50μm  加速電圧  15kV  照射電流  100nA  プローブ径  50μm  単位測定時間  40ms  分析点の移動  試料台移動 ピクセル点数  200×400 写真 4  超音波洗浄機  写真 5  オートファインコーター

(2)

標準試料分析では、前述した 5 元素を分 析できる以下の標準試料を用いた。 

C:Calcite(方解石)CaCO3、 

Cl:Halite(岩塩)  NaCl 

Ca、Si:Wollastonite(けい灰石)  CaSiO3  S:Anhydrite(アンハイドライト、無水石       

膏)  CaSO4 

それらを写真 7に示すホルダーに設置さ せ分析し、5 元素の質量パーセントのデー タを得た。測定条件は、面分析を行った表 1の条件と揃えた。 

定量分析は、試料の任意の 5 点について

標準試料分析で得られた各元素のデータより分析を行った。そして、以下に示す土木学会の規準(案)1) の式(1)により、濃度換算を行った。 

C=(I−B)/A  ---  (1) 

ここに、C:測定元素の質量濃度(mass%)、    I:測定元素の特性 X 線の強度(count/(ms・μA)) 

        B:分析試料のバックグラウンド位置での X 線強度(count/(ms・μA)) 

        A:標準試料のピーク位置での特性 X 線の強度からバックグラウンド位置での X 線強度を引 いた値を、標準試料中の測定元素の質量濃度で除したもの(count/(ms・mass%・μA)) 

 

3.FE-EPMA によるコンクリート試験体分析の利点および問題点 

FE-EPMA は、FE 電子銃の搭載により、プローブ径を 1/2〜1/10 に 絞ることができ、低加速電圧、WDS 分析電流範囲 (10〜100 nA) でも微小プローブが得られるため、低加速電圧を用いた高い X 線空間分解 能の分析が実現可能なことなどが利点である。また、鏡筒軸合わせも容易になった。さらに、これまで 試験体の測定毎に行ってきた標準試料分析も測定条件が同一であれば、これまでに得られているデータ を用いることで信頼性の高いデータも得られるようになった。このことは測定時間の短縮にもつながる。 

しかし、上記の特徴などから FE-EPMA の試料室内は、旧 EPMA より高真空に保たれており、特にコン クリート試験体は事前に真空乾燥を念入りにしても、ある程度のガスを発生しているため、旧 EPMA で は、測定できた写真 8に示すような 40×40×10(厚さ)mm の大断面の試料も FE-EPMA では測定が困難と なってしまった。 

 

4.まとめおよび今後の課題 

  今回、測定で基本的な操作方法を習得することができた。しかし、大断面の試験体の分析については、

今後、検討していく必要がある。また、コンクリートの劣化現象について知識を得る必要がある。 

 

[参考文献] 

1)土木学会:コンクリート標準示方書(規準編)、土木学会規準および関連規準、EPMA 法によるコンク リート中の元素の面分析方(案)(JSCE-G574-2010)、pp. 333-343、2010. 

図 1  面分析の結果  写真 6  試料ホルダー 

40mm 20mm 

厚さ: 

2mm 

厚さ: 

10mm 

写真 8  旧 EPMA の試料(下)  写真 7  標準試料ホルダー 

参照

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