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森芙美 論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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森芙美 論文内容の要旨

主 論 文

Association of the GCKR rs780094 Polymorphism with Metabolic Traits Including Carotid Intima-Media Thickness in Japanese Community-dwelling Men, but Not in Women

(GCKR rs780094 多型は、日本人一般住民男性において頸動脈内膜中膜厚を含む 代謝関連因子と関連があるが、女性では関連しない)

森 芙美、林田 直美、安藤 隆雄、池岡 俊幸、中里 未央、関田 晴孝、

阿比留 教生、山﨑 浩則、前田 隆浩、川上 純、高村 昇

掲載雑誌名・

Clinical Chemistry and Laboratory Medicine. 印刷中

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科放射線医療科学専攻

(主任指導教員:高村 昇教授)

緒 言

Glucokinase(以下 GCK)はインスリン分泌や解糖系・グリコーゲン合成など糖脂質

代謝において中心的な役割を果たす酵素であり、glucokinase regulator protein(以下

GKRP

)によってその活性を調節されている。

GKRP

は主に肝臓に発現しているが、

一部膵臓にも発現しており、空腹時には核内で

GCK

と結合して

GCK

の酵素活性を抑 制する。食後高血糖時にはこの結合は乖離し、

GCK

は細胞質内で活性を持つ。GKRP をコードする

glucokinase regulator gene

GCKR

)の遺伝子多型である

rs780094

は、

2

型糖尿病(T2DM)の疾患感受性に関連することが知られており、A アレルは多人種 において、中性脂肪高値、HDL-C 低値、空腹時血糖低値、HOMA-IR 低値、T2DM リ スク低下などの多数の糖脂質パラメーターとの関連が報告されている。しかし、実際 の動脈硬化進展への寄与に関しては、

T2DM

患者やメタボリック症候群患者での報告 はあるものの、一般住民における報告はない。我々は、地域一般住民を対象として、

動脈硬化の指標として頸動脈内膜中膜複合体厚(CIMT)を用い、GCKR rs780094 多

型との関連を検討した。

(2)

対象と方法

2008

年から

2010

年の期間に長崎県五島市において特定健診を受診した地域一般住 民のうち、調査に同意が得られた

2,491

人(男性

907

人、女性

1,584

人)を対象とし て、問診、身体的計測、血液学的検査、生化学的検査及び頸動脈エコーによる

CIMT

測定を施行した。同時に末梢血から抽出した染色体

DNA

を用いて

GCKR rs780094

の 遺伝子多型解析を行い、動脈硬化関連因子との関連について統計学的解析を行った。

結 果

GCKR rs780094

AA

群は

GX

GG+GA

)群と比較し、男性でのみ有意に、中性脂 肪高値、HDL-C 低値、血糖低値、HbA1c 低値であったが、女性ではすべての因子で 有意差は認められなかった。また、種々の交絡因子(年齢、BMI、代謝関連因子、喫 煙、投薬の有無)で補正後も、

AA

群は

GX

群と比較し、男性でのみ

CIMT

が有意に 低値であったが、女性では有意差を認めなかった。

考 察

GCKR rs780094

多型の分子病態学的なメカニズムは現時点では解明されていない

が、最近の研究によりごく近傍にあり強い連鎖不均衡を示す

GCKR rs1260326

(P446L)

ではメカニズムの一部が解明されつつある。この多型は、GCKR rs780094 と同様に中 性脂肪高値、血糖低値に関連するが、遺伝子産物である

GKRP P446L

では

wild type

の GKRP と比較し

GCK

との乖離が比較的低い血糖濃度でも起きやすいことが示され ている。これにより、高血糖環境下でなくとも

GCK

が細胞内で活性を持ち、糖代謝 が促進され、血糖上昇が起こりにくいと考えられるが、今回の標的遺伝子多型である

GCKR rs780094

でも同様の機序が推測される。また、

AA

群における中性脂肪高値は、

GCK

活性が高まり脂質生成が起きることによる中性脂肪の上昇であると考えられる。

本研究では、日本人地域一般住民において、男性では

GCKR rs780094

が糖脂質代謝

因子に有意に関連していたが、女性では有意性が認められなかった。また、AA 群で

GX

群と比較し

CIMT

が低値であったが、これも同様に男性のみで有意であり、女

性では有意性が認められなかった。一般に動脈硬化性疾患や生活習慣病を含む多くの

疾病の発症には、性差があることが広く知られており、ApoE 遺伝子や

APOA1

遺伝

子といったいくつかの遺伝子でも今回の結果と同様、遺伝子多型と生活習慣病関連因

子との関連に性差が存在することが報告されている。本研究結果は、地域一般住民に

おいて

GCKR

遺伝子と生活習慣病関連因子との関連に性差が存在することを示すも

のであり、遺伝子多型解析においては性が重要な交絡因子であることが示唆された。

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