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中学校数学教育の問題点(皿)

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(1)

中学校数学教育の問題点(皿)

数学研究室 佐  藤  瑛  一

〃  宮 田 龍 雄

(昭和48年10月27日受理)

ま え が き       指導が行なわれている。これに対して中学校の教科書で さきに,中学校数学科の新指導内容の中で,数・式の  の平行線の定義やその性質の取り扱いは,次のようにな 領域および関数の領域における問題点と考えられるいく  されている。たとえば, 方向が匡Uじ2直線,すなわち,

つかの事実を述べてきど相はさらに図形の領域につ 同じ平面上にあってどこまで延ばしても交わ煎』こ2 いて考察してみることにする。      直線を平行線という。2直線ABとCDの方向が同じで あるというのは,図(1)のように,AB・CDが他の1

図  形      つの直線XYと交わってできる2っの角∠κ・∠yが等       6)小学校算数科における図形の指導では,基礎的な平面  しいということである。 と定義して・同位角,錯角を定

図形,立体図形を直観的な見方・考え方を通して学習さ  義した後,・・平行線の性質は,次のようになる・平行線 せ,主として経験的あるいは帰納的考察を行なわせると  と同位角一国平行線では,同位角は等しい・囮同位角

「う方法が用いられてい♂この手旨導内容には,いくつ 碍しけれ1ま,・直線は平行である. と述ぺられて・・

ゥの購点納包されていることは以前1。も指胤ボ るカ㍉これでは糠と性質との間備理の稲槻乱を

中学校の図形指導はこれを受けて,これら小学校におけ  ひきおこすおそれがある・あるいは・ 2つの直線が,

る図形学習を基魁bさらにその内容を「統一的噸同じ緬上にあ・て交わらな・ とき,この2醐よ平行 W的に考察し,より論理的な考察ができるようになる」  であるという。 と定義し・2っの三角定規を用いて1

ことがねらいとされている。      つの直線に平行な直線を引く方法を問い・ 平行線をひ くとき三角定木の90°や60°の角

X        を使って,同位角が等しくなるよヱ      ぎ

@      うにしたが,90°や60°でなくて

C D      C      D

@      も同位角を等しくすれば,いつで

》       ン        も平行線がひける と断定し,そ

A         B     A      8      れらをまとめて,平行線となるた x      Y       めの条件として同位角や錯角が等

図  1       しいこと・またその性質として,

第1学年における指導内容の1つとして「図形をいろ   平行線に1つの直線が交わってできる同位角,錯角は等 いうな観点から考察し,図形についての理解を深める」  しくなる とまとめているが,平行線の定義から2直線 ものとして,「直線と直線,平面と平面および直線と平  が平行となるための条件,平行線の性質を発見的,論理 面との位置関係。直線が円との位置関係によって分類さ  的に求めさせる指導のなされる余地はなく・その過程を        、 黷驍アと。また,平面と球との位置関係についても同じ 上から与えるという形が強く出ていると言えより。この

ように考えられる」ことなどが挙げられている。平面上  教材について,論理的な学習を課することはそれ程困難 での2直線の平行・垂直の関係は小学校第4学年から指  であるとは思われない。あるいはまた,平面上の2つの 導されるが,そこでは平面上での2直線の平行を 1つ  直線の位置関係から,上と同様のi操作を通して平行線の の直線に垂直な2直線は平行である として平行線の定  性質,平行となるための条件を挙げているものも見られ 義を行っている教科書が大部分である。さらに平行線の  る。例示すれば・ 図(2)は直線αに平行な直線6をか 性質として 平行な2直線に他の1直線が交わってでき  いたところを示している。どの角とどの角が等しくなる る同位角,錯角は等しい 等を計測を通して理解させる  ようにかいたのか と問い,ただちに 1つの平面上に

(2)

耀襲糖癬暑欝撫層轍筆 αと同じ平砒ある{欝る『 :::8

この作図によって作った直線は特殊な角を用いたもので     αと同じ平面上にない       ・(3)。

あるから,他の角を ¢   同様に, 空間にある直線αは・1っの平面Pとの位置 用いたことと一致す

驍ニいう証明が与え 轤黷ネい限り・

ス行線と断定してよ

    .〜》㌔  難櫨鍛㌶接篇を3澱なぜ臓訪ゴ粥欝饗講喫無難懲

いのかわからない。 説明に用いられている例では・有界な一般性をもたない さらに,小学校にお      図2       図形が使われているという事実は,指導の場で生徒に困 ける平行線の定義で      惑をひき起こすこともあると思われる。教科書によって は90°が用いられていることとの関連も忘れられてい  は, 1っの直線1と1つの平面Pとが,どこまで延ば

、 A!  P、 r r、 、 、_

る。すなわち特定な同位角が等しいことのみから,一般  蛇烈交わらないとき,直線1と平面Pとは平行である

の同位角が等しいということとの論理的関連が全く不十  という。2つの平面PとQとが,どこまで延ばしても交       、/、 、/、v、ノ、 ㌔  一 〉 −v い

分であるといえる。このことは教科書により平行線の定  わらないとき,この2つの平面は平行であるという。 義の方法に差があるとしても大同小異である・     ように・すでに与えられた直線や平面の概念に抵触する

平行線間の距離については・ 2直線のδが平行である  と思われる述べ方がみられる。さらに,前者のような表 とき,α上のどの点からδに垂線をひいても・それらの  現の仕方を取ると,直線と平面が平行になることと,直 長さはみな等しい , ……この垂線の長さは,点をどこ  線が平面に含まれることとの区別が不明確になってこよ にとっても変らな、 のように述べている教科書がある  う。また,平行2直線のもつ性質との関連がつきにくく が,これもあまりにも直観的な記述と言えないだろう  なるとも言える。あるいは,空間における平行関係が推 か。この学年で3角形の合同条件について学習すること  移律を満たすことを扱っている教科書が多いが,それに

をふまえて,それ以前にこれを指導するにしても,3角  っいては形式的に与えているだけで,事実だけが述ぺら 形の合同条件の指導の後でもう一度子行線間の距離につ  れていたり,これらが直観的には成り立ちそうであると いて論理的な根拠を与えることへの配慮はなされるべき いうことだけで結論づけているものも見られる。平面の だろう。第1学年の図形指導のねらいからしても定義と  平行関係についても同様である。このように,いたずら それから導かれる性質との間の論理関係を判然とさせ・  な論理性のない直観の積み重ねの得失については反省が 将来の図形指導の基礎づけに堪えられるものとしなけれ  なされるぺきであろう。

ばなるまい・また直観的に把え易いとしても,数学的に   直線と平面の位置関係の1つとして,直線と平面との 曖昧な用語,たとえば どこまで延ばしても とか 同  垂直関係も指導されることになっているが,「平面上の

じ方向 等はなるぺく避ける配慮があって欲しい。   交わる適当な2つの直線だけをとって,(与えられた直 つぎに,空間における直線と直線,直線と平面の位置  線が)それらに垂直であるかどうかを確かめればよいこ 関係の指導について見てみると, これからは,直線は  とを具体物についてわからせる」としているが,平面上 限りなくのびているものと考え,平面は限りなく広がっ  で交わる2本の直線との垂直性のみで,直線と平面が垂 ているものと考える。 としていながら, つぎの図(3)  直である事実を把握させることは困難であろう。指導書 は,正6角形を底面とする角柱である。各辺を延長した  に準じて各教科書においても, 直線σと平面Pとの交 F   ε 直線のうち,直線EFと同じ平  点0を通りP上にひいたどの直線もαに垂直ならば,σ

A l  I 1 D 面上にあるものはどれか・また, とPとは垂直であるといい・σ⊥Pと書き表わす。 と直

B8 C 3 直線EFをふくむどんな平面を  線と平面の垂直を定義し,図(4,5)のように,えんぴ   3

@ 1』一一.

f

3終  考えても,それらの平面のどれ つ,三角定規,机の面(本の背と机の面)を使って,・1

か。  を問として,つぎにすぐ

H   I        につけたままで,鉛筆をかたむけることができるか。定 g1つの直線αを基準にとると,  規2枚を違った方向から鉛筆にあてるとどうか。 として

図3@ 空間にある・以外の直線は,・ ・直線と平面Pとの鯨。樋り,P上にひいた・直線 との位置関係によって,つぎの舜2髭鋤巨藁3_   OA, OBがどちらも¢に垂線ならば,σは0を通る平

(3)

A

嚇馬

.翻麟難  アB

画,一一一一一

一e

図4       図 5

@      A

α

「毎

0

AB       O

ρ 1 o

B H

C

図 6 図 7

面P上のど辺直緯些三も垂直琵蛮り↓£↓£こ蚕変墾嬢  らかにする」指導がなされるようになっているが・教科 ということだけから,ABは平面Pに垂直になる。 図  が発見的にではなく・最初から与える形で扱われている

一一    へ一

(7)のように,1組の三角定木の直角の1っの辺をあわ  ように思われる。また,このとき円の接線と接点を通る せ,直角の他の辺を机の面P上におく。すると,AH⊥HB, 半径との関係についても学習させるのであるが,これも AH⊥HCである。このとき, A Hを固定したまま,平  形式的にその関係が述べられているだけのように思え 面P上で,HBもHCも自由に動かすことができる。こ  る・たとえば・ 中心0の円があるとき,ある直線αに れは直線AHが, Hを通る平面P上のどの直線にも垂直  平行な直線が0を通る位置からしだいに遠ざかるとき,

であることを示している。このような直線AHと平面P  円と出会う点の数は       8 ニは,垂直であるといい,直線AHを平面Pの垂線とい  どのように変るか う。  の程度の取り扱いとなっている。ここでもまた,  として,図(8)のよ

定義とそれから導かれる性質の望ましからぬ交錯の指導  うな変化をさせた後, 0 o

が操返される。不可避の重要な基礎概念を除いては,こ   1平面上の直線は,

のように事実のみを与えるにとどまる程度の指導の意味  この平面上の1つの

円0との位置関係に がどこにあると言えるのであろうか。さらに,平面P上

にない1点Aから平面Pへの垂線AHの長さが・点Aと  よって,つぎの邑2

平面Pとの最短距離(点Aと平面Pとの距離)であるこ  !三命けゑ拠掻曇        図8 とも指導されるが,これも 垂線AHは・点Aと平面P      円0と2点で出会う直線   …(1)

上の点とを結ぶ線分のうちで,もっとも短かいものであ      円0と1点だけで出会う直線 …(2)

る・のように,教材の配列さえくふうすれば論理的考察      円0と出会わない直線     (3)・

の可能な事実も形式的にその事実を不用意に与えたり,  として,接線,接点の定義を与えている・これでは,2 あるいは実測してみる程度にとどまっているのが大部分  点で出会う場合から1点で出会う場合までの変化を直観 である。      的に見させるだけであろう・また,図(9)のように,直 円と直線の位置関係については,1っの円による平面  線9を円0と交わる位置から,9に垂直な半径の方向に 上の直線の分類という観点から,「円と直線とが交わる, 平行移動していったとき,交点A,Bが近づいて, Tで 接する,出会わないの3つの場合に分けられることを明  一致することは直観的にはわかるであろうが,Tで一致

(4)

S        すること。すな  関係」についても・この学年で学習することになってい わち,9と円0  る。そして小学校において「平面図形について,包摂関 は1点だけを共  係に着目して,いろいろな観点から論理的な関係をはっ 有していること  きりさせ,統合的に考察することができるようになって

0 が真に生徒に把  いる」ので,中学校においては,「定義や図形相互の関 A     H 握される保証は  係を明確にして,図形についての理解を深める」とされ

、     

\    6 7 ないように思え  ている。一般に,図形の包含関係の考察においては常に

\ミ  尋 7 1 る。これは,図  普遍集合を明示しておくことが必要である。多くの教科

T (8)の場合も同  書では,4角形や3角形の集合について・それらの部分 様である。この  集合を決定する条件を附加することによって,図形相互

ように,連続的  の包含関係をベン図に示していくが・その過程で,条件 図 9       に移していくと  を附加することと,条件を附加することによって決定さ き直観的・視覚的にとらえさせるだけで結論づけてしま  れる集合が,もとの集合の部分集合になることとの関係 うことになる。すなわち,曖昧な極限概念を先入観とし ははっきりさせないうちに,暗黙のうちにあるいは直観 て植えつけるおそれが多分にある。3角形の合同条件に  的にそれが行われているように思える。このことも,教 ついて学習した後,接線の定義を行えば,これらのこと  材の配列をくふうすることによって明確化されるだろ

も論理的に指導できることであるから,この教材の配列  う。また条件を附加することによってできる図形の集合 を考えるか,あるいはもう一度理論づける手続きがとら  のうち・重要と思われるものには名称が付けられる,す れるぺきであろう。      なわち・用語についての定義がなされる。たとえば,

平面と球との位置関係についても同様である。すなわ   台形のうち,底辺の両端の角が等しいものを等脚台形 ち,「直線と円との位置関係から類推して考えることが  という のような定義がなされるが,このとき等角で定●  ・

o  ●

できるようにする」とされているが,教科書では, 直  義されたものに等脚という名が付けられる理由の根拠な 線と円の場合と同じように,空問にある平面は,1っの  どについての指導もなされるべきであろう。さらに定義●  ●

●  ●

球0との位置関係は,つぎの3つに分けられる。    するということに関して,教科書では, あることばの 球0を1つの円で切る平面  く1)    意味を明確に述ぺたものを,そのことばの定義という 球0を1点だけで出会う平面……(2)     というように,用語や記号の意味を 明確に述べた文章 球0と出会わない平面   一(3)。      はっきりいい表わしたもの 明らかに述ぺたもの としたり,あるいは, 円0とその中心を通る直線〃{に  を 定義という のような形で述べているが,このこと 垂直な直線」を彿を軸として回転させる ことから  と無定義述語との関係についての配慮がなされていな

円と直線の位置関係をもとにして,3つの場合に分け  い。さらに,教科書によって定義に相異があることにも ることができる。 のように扱われている。これでは生  問題があろう・

徒自らに類推させることにならないだろう。たとえこの   この学年において1図形の移動により,図形の相互関 ことを類推させるにしても,少くとも,直線と平面,直  係や性質を見い出す」ことの指導もされる。すなわち 線と円の位置関係については,単に直観的な考察だけに  「図形の移動として,平行・対称および回転の32璽堤 終ることなく,いま一歩踏み込んだ論理的な指導が必要  作を通して・見い出すことができるようにする」と5れ になろう。これらの位置関係の指導を通して,「平面上  ているが,3つの操作に限定してよい理由は示されない の直線や空間にある平面をある観点から分類する」こと  し,考察させようともしていない。小学校における学習

も指導することになっているが,実際には教科書では,  のときから,いろいろなi操作を通して,漸次この3っの このようにして,これらのものは分類することができ  操作で十分であることが理解される方向への指導がなさ と単に分類の観点を示しているだけに過ぎない。そ  れなければならないだろう・これらの図形の移動に際し のような観点を立てての分類によって,どのような事実  て,「その形や大きさを変えないで移動している」こと を明確になしうるのか,また分類の意義についても考察  や「平行線の定義と性質を明確に理解させ,他の図形の させようとしている指導が見うけられないのが実情では  性質を平行線の性質を用いて演えき的に導くことができ ないだろうか。      るようにする」指導もなされるが,具体的には教科書で

「基本的な平面図形や空間図形,およびこれらの間の  は,これらのねらいと合致した指導が見られない。たと

(5)

えば,その基礎となるべき平行線の定義と性質は,以前  の例を用いて平行移動等の定義をする前に,これらのこ にも述べたように・「明確に理解させる」ことは期待で  とをもっと取り扱うという方法をとった方がよいのでは

きない。したがって・ 図形の性質を調べたり確かめた  ないだろうか。

りするのに・図形を移動させることがある として,平   小学校での合同の概念も基礎にして,この学年では,

行・回転・対称移動の3つのi操作とその例を扱うだけに  「3角形が合同になる条件は何であるかをまとめて,合 とどまることになるのである。すなわち, 1つの図形  同条件について理解させる」こと,および「この合同条 を,形や大きさを変えないで(長さや角の大きさを変え  件を用いて,2等辺3角形などの基本的な性質を理論的 ないで)・他の位置へ移すことを移動という。 として  に確かめることができるようにする」ような指導がなさ

一定の距離だけ動くように移動させるとき,この移動を  わせることのできる2つの図形は合同である と図形の 平行移動という。 と定義して, 平行移動では,団対応  合同を定義し,合同な2つの図形について, 対応する する2点を結ぶ線分は,長さが等しく平行である。回平  辺や角がそれぞれ考えられること,対応するところはど 行移動してできた図形は,もとの図形と合同である。   こもその大きさが等しいこと についての指導がなされ

、一@}、>v   )一ハ 、/v1、  1  >>>>一〉 \

とあるが,これらのことが成立する根拠である平行線や  てきている。これに対し,中学1年では,2つの図形が,

平行4辺形の性質,3角形の合同条件を用いての指導は  特に2っの3角形がどのようなときに合同になるかをま なされていない。また,移動によって,たとえば直線が  とめあげていくことになっているが,多くの教科書では,

直線に移ることを扱っていないものもある。さらに,  小学校での学習を一応基礎としつつも・僅かな例から合

     o  o  ●

ス行移動を平面上という2次元空間に限定してしまって  同条件を結論している。特に,合同の概念は多角形に限 いることにも問題があろう。このことは回転移動,対称  定縮小され,その他の一般の図形についての合同はほと 移動についても同様である。さらに,大部分の教科書に  んど見られないか・せいぜい多角形の場合と同様である ついて言えることであるが,図形の移動では移動する対  として 形が同じで,大きさが等しい2つの図形は合同 象として図形そのもののみとし,図形を点の集合として  である と上から与える形で断定しているようである。

とらえさせる指導はほとんど見られない。したがって,  たとえば多角形の合同については, 辺の数が同じ2っ 移動において点の移動には重点がおかれず,辺や角の移  の多角形は,辺の長さが順にそれぞれ等しく,かつ,対 動のみに注意が向けられているように思える。このこと  応する角の大きさが順にそれぞれ等しい場合に合同にな は,すぐ後で指導される合同変換とのつながりを薄くす  る と・いくつかの例示的に与えられた多角形の中で,

るおそれもあり,移動を写像の特殊者として把えさせる   対応する辺の長さがそれぞれ等しい図形,対応する角         ηことをも困難にする。あるいはまた,平行移動を図(10) の大きさがそれぞれ等しい図形 を判断させるだけで,

のように,図形を1つの方向に,ある距離だけずらす移  2つの図形の合同を無理に結論している。さらに,合同

●  ●

1戸 N駒… 「 A・  Pヴ

:       l

堰@  ci

対応の概念との異同について明確化されていないため ノ,生徒によっては疑問をもつことが考えられる。また,

;  s二ご ll        : マ§で華c・

どのようにして2つの図形が合同となる対応づけが得ら 黷驍ゥという観点からの前向きの指導もなければなるま

;B    l い。図形の合同を論ずるとき 平面上で,2つの図形の

」.・一一一.・.一_一一一一,」 一方が,移動によって他方の図形に移るとき,この2っ

0 σ        の図形は合同である というように,2次元空間にi縮小 図 10      してしまっての指導にも消極性が感じられる。

として定義した後, 点Aを,OOノの方向に0,0    「3角形の合同条件について理解させる」ことについ の距離だけ移す平行移動で,点Aに対応する点をAノと  て,教科書では,合同となる条件を3っの場合に限定し するとき,AAノ〃00 ・AA =00ノである ,同様に,  てしまっているものが大部分である。3つに限定しても 回転移動についても定義した後・ 点0を中心とする回  よいことの根拠についての指導はなされていない。した 転移動で,点Aに対応する点をAノとするとき,OA=  がって,指導要領の目標とする合同条件を「理解させる」

OAノ・∠AOAノは回転角に等しい ことを確かめさせる  ということは,単に3角形の合同条件を学習させるとい ことを問としているが,このとき,3角形などについて  う浅薄な意味しかもたないことになろう。3角形をいく

(6)

つかの方法で書かせることから, 3角形の6つの要素  うしを1つの集合にまとめて,形と大きさによる分類を のうちのいくつかが満たされていることがわかりさえす  することができる。すなわち・3角形の集合は合同とい れば,2っの3角形は合同であるといえそうである。   う関係によって類別することができる ある3角形と として, 合同であるかどうかを調べる1つの方法は,  合同であるかどうかに目をつけて,つぎつぎに新しい集 合同のとき対応すると思われる3組の辺の長さをそれぞ  合を作っていくと,すべての3角形の集合は限りなく多 れ比べることである 合同のとき対応すると思われる  くの部分集合A,B,一・・に分けられることになる。

2組の辺の長さと,それらがはさむ角の大きさを,それ  3角形の合同条件は・2つの3角形が同じ集合の要素で それ比ぺることである , 合同のとき対応すると思われ  あるかどうかを判断するのに使われるのである のよう る1組の辺の長さと,その両端の角の大きさを,それぞ  な指導がなされる。しかしここでの指導に当っては・十 れ比べることである ,と3っの場合だけを与え,それぞ 分な注意が必要であろう。合同という関係で図形を題劉 れの場合に2つの3角形が合同となる理由を述べて,い  鍛謬ζ力肇懲蚤ということと・実際に与えられた図形

きなり3角形の合同条件としてまとめてしまっている教  の集合を,いくつかのi購妊麺量野む蚤ということと 科書が大部分である。かかる合同条件の指導の方法がと  は次元の異なる異質のものである。これと同様のことは られている限り,図形の移動についての指導との間に不  集合の指導の際にも見られることで,ある条件を満たす 要な異質感を抱かせることとなり,これ以後の変換の考  ものの集合Aがあるとき,ある任意の要素をもってきた

■  ●  ●  ●  ●  ●  o  ■  ●

えに発展させていくこととの結びつきは非常に困難に  とき,それがAに属するか否かがはっきり定っていると なってくると思われる。      いうことと,具体的に与えられたものが,Aに属するか

●  ●  ●  ●  ●  ●  ●

さて,3角形の合同条件をまとめた後,どの教科書で  否かを実際に判定することは別のことであることと同じ も,与えられたいくつかの3角形からなる集合を類別す  であろう。さらに言えば・図(11)のような3角形の集合 ることの指導がなされる。これは「図形の集合がある場  に対して「合同という関係から,互いに合同になってい 合に,それをある関係によって類別できるようにする」  るものはどれか,合同になっていないものはどれかとい ことと関連する。この場合には,3角形の集合を合同と  う観点から考察させ,集合Mを・落ちや重なりがないよ いう関係から類別させることをねらつているわけで,教  うに3つの真部分集合に分けることができるようにす 科書においても, すべての3角形は・合同な3角形ど  る」指導がなされることになっているが・この場合には,

中学1年の生徒にとって,㊨と◎の2つ AB=6(㎝)・∠B−4α一辺が4・5㎝の三角形の集合      の3角形は合同であるか否かを判定する

  @

@        @,!・、         /!:Jr       ㌦       ことは,たとえ直観的・計測的にはなし

    @  

@《bタ  !! ⑤ 40

          ・        !   1m。馬雛∠   40°       :   〆   40.    ,ノ             , えたとしても,理論的には困難であろ

、。したがって,合同ではないという保 リもないので,この集合Mを3つの部分

      

A      ゆ

j一S.5㎝・−9一 集合に分類するか,それ以下にするかは

理論的には判断できない。さらに図(12)

のような 3角形の集合Uから合同な3 角形どうしで部分集合を作ると,集合U ヘいくつの集合部分に分けられるか いう問題で,⑦と合同な3角形の集合に

⑳,◎を含ませるとしているが,含ませ てよいか否かはやはり不明であろう。あ るいは,図(13)において, どれとどれ

が合同か という問題で,全部を合同で

?驍ニしてしまうのか,2つの合同な3角 形に分けられるのかも不明である。これ

らと同様ののことが多くの教科書で取り 上げられている。したがって図形の集合 図11      を与えるにあたっては,生徒を困惑させ

(7)

u

㎞⑦伽

       7cm7αn       lOcm

7cm

?@ 醍m/%m 52 1。,mqc恥       ⑦      ◎       44       8cm

図 12

①    A    ②   D     ③      G

4㎝  ゲ

@     4㎝

40°   60°      60 4αへ

B④ 5㎝   C   E   5㎝   F  H      M

@J    ⑤       ⑥P

5㎝   r Tcm   R

4㎝        5伽 60°    6ぴ       軌

       一牽㌧

S0°      40°         4㎝

K    5㎝   L   N        o  ,−      Q

図 13

ないような十分な注意が必要である。         のか」ということに対する配慮もほとんど見られない。

「与えられた条件を満たす図形を作図したり,それを これでは,せっかく集合の条件規定に格好な教材である 確かめたりする」ことの指導において,「1つの直線に  作図の指導の重要な位置を放棄してしまっているといっ 平行な直線,角の2等分線,線分の垂直2等分線,円な  ても過言ではあるまい。

どが,ある条件を満たす点の集合であるとみられるこ

と」を要請しているのであるが,これらの図形をそれぞ      A

れ点集合とみなしていくことの指導はなされていないと       ③

セえる。大部分の教科書においては,作図方法の説明,       M

実際の作図の練習および合同条件を用いてその作図が正       C       Eしいことの証明に終始していると言えよう。たとえば・

図(14)のように,与えられた角の2等分線のひき方を番

号つけて示し,同様な作図をいくつか課した後,∠AOB       O=∠BOEになっている理由を手順を与えて説明させて

D①      B

いくという方法がとられている。他の図形の作図につい       図 14

ても同様のことがうかがえる。さらに,作図の指導にお  図形の計量の指導においても,「おうぎ形の弧の長さ いて,点集合という見方が全く指導されていないために, と面積,すい体や球の表面積と体積」が扱われることに

「条件を満たす点をどのような集合の中で考えている  なっている。ここで「すい体の体積,球の表面積および

(8)

体積の求積式を数学的に厳密に導くことは中学校として  の図形の境界であったことを反省しなければならない。

は困難iである」としつつも「どのようにすれば求積する  つまり,実験等を通して確かめさせるとき,水を入れさ

ことができるかをいろいろと考えさせ,生徒の納得のい  せたりするが,そのとき容器となるぺき図形は閉じてい       一

かし・実際の取り扱いでは,「生徒の納得のいく形」で  数を数えさせたりする指導が前もって行われているから の指導とはほど遠いという印象をうける。また,生徒に  である。このような事例を体験させれば,数学とはまこ わかりやすくしようとするためか,いろいろな技法が用  とに便宜主義の言いのがればかりのものであるという印 いられてはいるが・そのため却ってその考え方または技  象を生徒にもたせることになろう。さらに,円すいの表 巧に疑問をもたせてしまうのではないかと思われること  面積を求める際に,曲面を無雑作に平面化したり,曲線 もある。たとえば小学校において,円の面積を求める式  を無理に直線化することも見られるが,これらは数学に を導き出すときの手法が,おうぎ形や球の求積に踏襲さ  おいて,ある意味で本質的である極限の概念を含むもの れていることは一考を要すると思われる(図15)。    であるから,取り扱う以上は最大限の留意を払って本質

       

f        7

に触れる部分を大切に オたいものである。

   ㌢狽

@       帆一       噛轟 怒  、も

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.    .      中学2年の図形指導  ..    ㌦・.

@ 唖        においては,まず「変換   一閥

@  r      の考えを用いて,図形

@  識   の頗を擦すること心:湧  ができるようにする1    、      として,「図形につい

 甲  畠

、・・ °@        変換・相似変換の意味

図 15      を理解させる」ことに 他の求積公式にしても,直角柱の体積は・(底面積)×(高  なっている。そこでは「小学校6年における相似の意味 さ)で塞嚢嬢蜘登。斜角柱の体積も,まったく同じよう  についての理解,中学1年の合同の概念の理解」の上に に求められることが塑」を靱北る改とか,角すい・円す  「相似の概念を明らかにする」とされている。さらに,

いの体積についても,円すい状の容器に水を入れて,こ  「変換の考えで図形の性質を考察し,新しい図形の見方 れを底面と高さが等しい円柱状の容器へ移す操作を行い  ができるようにする」ことがねらいとされている。合同 乏酸と立塗墜i験疑登」ζ,円すいの体積は,その円す  変換では「点は点に,直線は直線に変換され,対応する いと底面・高さがそれぞれ等しい円柱の体積の1/3であ  線分の長さや角の大きさは不変であり,したがってもと 魚とがわかる・として公式・y−S・乃・寺,を与え,の図形と銅になること画積も変らな・ ことについて

       理解さ度」,相似変換の指導においては「対応する角の球についても球の半径がrcmのとき,その球の体積       大きさは不変であること,対応する線分の長さは変るがをV・蛇麺灘S・晩すると,γ一戸×π×遷,そ砒は変らないことなど,合同変換と鑓いについて

S=72×π×4であることが塑.i獲蕊よ登 などのような  型難逢」とされている。また,このような「相似変 指導が行われている。その後は・これらの求積公式を用  換による・図形の相似の性質についての考察」は3角形 いて与えられた図形の求積の練習がくり返されるという の相似条件についての学習との「関連が深いので,適切 方法がとられている。これらの事実が,「生徒の納得の  磯糞君戴ゑ必要がある」と述ぺられている。しか一、

いく形での指導」といえるであろうか。さらに・このよ  し,教科書では,上の要求に沿った指導や,内容の選択 うに相当無理な方法まで用いてまで,たとえば球の表面  が実際に行われているようには思えない。導入として,

積などの公式を指導する必要性はどこにあるのだろうか  たとえば,影をスクリーンに写したりして,図形の拡大 という疑問が生まれてくる。球の体積や表面積の公式を 等についての概念を得させようとしているが,素朴な意 知らなくとも,あとの学習に何の支障もないことを考え  味での拡大(たとえば,平行平面間の射影でない場合)

るべきだろう。さらに,これらの図形の求積の指導を行  と,ここで目指している拡大の概念との違いに対する配 うとしても,図形の構成成分となっていたものは,元来そ  慮が足りない。そして,与えられた図形を拡大縮小する

(9)

のに,いくつかの相似の中心となる点の取り方があるこ 考えさせ,見い出させることが大切であろう。相似の定 とを示し, それからの図形の間で,対応する線分の比, 義を 一方を拡大または縮小した図形が他方の図形と合 角の大きさが等しいが否か計測してみる 指導がされる  同であるとき,もとの2っの図形は相似であるという

(図16)。しかしこのとき,相似の中心となる点の取り  のように与える以上, 合同な場合も,相似の特別な場 方を始めから生徒に与える形式をとる前に,生徒自身に  合と考える というのは不適切な指導であろう。

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@       図 16

相似の条件を求めるに当って,たとえば,4角形を  うか。相似の位置や中心についての学習もされているの 使って 対応する辺の比がみな等しい。対応する角の大  であるから,これを用いての方向で定義してはどうだろ

きさがみな等しい ことをみさせることにより,以上の  うか。さらに,第1学年での合同との関連は言及されて 2つの条件を満たしている4角形は相似になゲているこ  いない。あるいは,相似の概念の前に平行線の性質を指

とを確かめさせ,これを直ちに一般化して多角形の相似  導しているのであるから,これら平行線に関する線分の 条件をまとめている。これは大部分の教科書についてい  比の活用を考えてみてはどうだろうか。これについーては えることである。またある教科書では相似の定義を 1  相似条件との配列の前後を考慮せねばならないことはい つの図形の形を変えずに,各部分の線分の長さを一定の  うまでもない。

比で拡大またに縮小したとき,もとの図形とできた図形   ここで最も問題視したいことは,合同・相似の指導と とは,たがいに相似であるという としているが,この  合同変換・相似変換の概念の指導との関連が結びついて 場合曲線で作られる図形についての配慮が余り重視され  いないことである。点集合を基礎とした図形の考察がな ていないのではないかと思われる。また, 相似な図形  されていないために,形式的に概念を並列せざるをえな

は,線の長さと角について,次の特微がある として  いものと思われる。たとえば,方眼紙上で1っの図形を      V

対応する線の長さの比はすぺて等しい。対応する角の  平行・回転・対称移動させたとき 線分の長さ,角の大

vV〜      一

大きさは,それぞれ等しい のような述べ方がされてい  きさ,面積,平行・垂直関係がどのように変るか を問 るが,相似比との関連からいってこれには問題があろ  にし,これから, 合同な図形に移る と結論して,

う。他の定義同様,相似の定義においても教科書によっ   これらの移動およびそれらを続けて行う移動を合同変 ての違いが見られるが,できうれば統一してはどうだろ  換という のように曖昧な形で指導している。相似変換

(10)

についても同様に,1点を中心とする拡大を考えさせた  に相似な立体図形の体積比は,相似比の3乗に等しく

あとで, 1つの図形を1点を中心にして拡大または縮小  なっていることを理解させる」こととされている。しか      、    、ハ 

し,それを他に移すことを相似変換という のように定  し,これらについての指導についても,合同条件の指導 義している。すなわち,図形を境界のみの欝成要素から の問題点と同様のことが言えよう。たとえば,与えられ 成るものと見なし,それらを内部を含めた意味での点集  た3角形と相似な3角形を書かせることを通して,3角 合とめなすことが後退しているので,境界線上の点のみ  形の3辺の比のすべてと,すべての角について調べなく

を移動させ,他の点は曖昧なまま触れないでおかれるか, ても これらのうちのいくつかが満たされれば相似であ または直観的な見方にまかせるという印象を受ける。た  るといえそうだ ということから,調べる1つの方法は とえば・・ゴム膜上}ごある絵 をたて,よこに伸ばした図  相似であるととしたとき,対応すると思われる3組の辺 形について, 形はちがっているが,一方のある部分と の比を,それぞれ比べることである。2組の辺の比とそ 他方のある部分とを,必ず対応させることができる と  のはさむ角とを比べることである。2組の角を比べるこ

して, 一般に,2つの図形F,F があって,図形F とである。 と比ぺる部分を始めから与えてしまう。し

の上の点に図形F の上の点を1対1に対応させること  たがって,3つの相似条件を調べればよいことについて、/ 、∫ 、 一β         v一

ができるとき・この対応のさせ方をFから・F への変換  の根拠,または,それ以外のものについての検討は不必 という。 のように変換を定義しているが,これもやは  要なのかということについての指導はなされていないと り変換の真の意味での指導とはいえないだろう。変換は  いうことになる。ついで,これらを3角形の相似条件と

はり変換の指導にあたっては・その背景にある関数の概  形の集合の中から相似な3角形を集めて真部分集合を作 念を生かすものでなければならないであろう。     る問題を課している(図17)。このときもやはり前と同

つぎに,3角形の相似条件については・「3角形の相  じように,十分な注意が必要であろう。さらに,面積比,

似条件を明らかにし,合同条件や相似条件を用いて・図  体積比についても,相似比が1:3である2つの3角形に 形の性質の理解を深める」とされている。ここで「図形  ついてその面積比を求める例題,また相似比が1:kであ の性質を論証によって考察するとき,その根拠とする事  る2つの3角形について同様の問題を与え,その結果か がらの一つとして,3角形の相似条件を明らかにし」こ  ら, 相似形の面積比は,相似比の2乗に等しい と一

、〆  〃「) 、/、!一

のとき,「相似条件を合同条件と対比して,同じ点はど  般化された結論が行われている。立体図形については,

こか,違う点はどこかなどを明らかにして,理解を容易  さらに粗雑で,たとえば,円柱を用いて相似比が2:3の にし,明確にとらえさせるとともに,それらを的確に活  とき,1:kのときの体積比から,一般の立体図形に対する 用できるようにすることがたいせつである」とされてい  結論を出している。このことは大部分の教科書で同様の る。さらに,「簡単な立体図形の相似,および相似形の 方法が用いられている。また・ここでも前と同様 相似 相似比と面積比・体積比との関係」の指導にあっては  比が々の3角形をかけ として・その方法に 次の鋤.

「相似な平面図形において,対応する平面図形は相似に  Q変迭嬰あ」裂 と・その3っの方法を, ①3辺が々α・肋 なっているが,その面積比は相似比に等しくならず,い  勉のような△A/B/C をかく・②2辺が,たとえば々α・

つもその2乗に等しくなっているとを理解させる。同様  々δで,そのはさむ角が∠Cに等しいような△A/B/C をかく。③1辺が,たとえ

(ア)       (イ)      (単位は㎝)  ば々α,その両端の角がそ

      12       1エ)      れそれ∠B,∠Cに等しい      (ウ)       82°  67       ような△AB℃ノをかく

W  9 114  8 72 6として与えて・・る・また3

(オ

撃嘯U 1α5 (カ)642(キ) 灘擬獅象

       8ム  翼 として3角形の相似       8       条件を列挙していくという      42

P4     7「42    11.2       形が多い。したがって,こ こでの指導のねらいとされ 図 17       ていることからはほど遠い

(11)

ものになってしまうと思われる。      学の指導が著しく不整備である上に,ユークリッド的で さらに,図形の基本性質として・ 平行線の性質,3  ない幾何学を搬入している。ここでは,平面や空間がそ

角形の合同条件,3角形の相似条件を証明のためのより  の空問にある「閉じた曲線(多角形や円など)や閉じた       一〆、

年に課する教材の質からいっても,このことは論理性の  けられること。多面体の頂点,辺および面の間の関係」

放棄といえよう・たとえば・3角形の相似条件を証明の  を取り扱うとされている。そのとき「平面上の図形を,

根拠とする事柄の1つとして明らかにすることの意味が  1対1に連続的に変形することを考える」というのは,

 、 /㍉ ,   /   ) 、,  ゾ〉      ゾ㌔{        、    、  ㎝ 、

現実の取り扱いと関連していろいろの解釈がなされるで  「具体的には,ゴムの薄板の上に正方形をかいたもの,

あろう・やはり,証明の指導が可能なものは,整理して  あるいはゴムの細いひもで正方形を作っておいて破った おくことが必要であり,上述の3性質のみが「証明のよ  り折り曲げて重ねたりすることはしないでいろいろの方

りどころ」とはなりえない。このような図形指導の方向  向に引張り,正方形をさまざまな形に変形することであ づけには納得できないとするのは筆者のみではあるま  ると考えてよい」ということと説明されている。そして い・      この変形においては,「辺の長さや角の大きさは変わり,

中学3年においては・まず「直角3角形について,三  さらに,図形の形や大きさ,辺の垂直関係や平行関係,

平方の定理を理解させる」ことになっている。ここでは  面積などは変っている。しかし,点や線のつながり方は

「直角3角形のそれぞれの辺を1辺とする3っの正方形  変っていない。この意味で,これらの図形は位相的に同 の面積の間には,一定の関係があるという幾何学的な意  じといわれる」ことを理解させるような指導をするとあ 味を理解させる・また,この関係を代数的な等式で表わ  る。しかし,数の概念ですら連続の指導がなされていな

すことによって,図形と数式とを統合的に把握させる。  い(当然であるが)ことから考えても,ここでいう「1      注)したがって・この定理は,面積の関係を表わすとともに,  対1に連続的に変形する」ことについての理解をどのよ

長さの関係を表わすものとみることができる。」 ような  うにして実現するのか疑問である。連続という概念は解 指導がなされることになっている。これらの学習につい  析学の基本であり,かかる安易な形で与えて間違った先 て教科書では,上でねらいとしていることが達せられる  入観を植えつけることになるかも知れない。また,この ような指導とは見られない。たとえば,直角3角形の各  ようなつながり方に着目して図形を考察していくことか 辺上にある正方形の面積につていどのような関係がある  ら,「直線,平面および空間の広がりについての理解を か実験によって求めさせることから・タイルや方眼紙の  深める」とされているが,どのようにして空聞の広がり 目を用いて確かめさせる操作を通して,三平方の定理を  に対する理解を深めていくのか実際の指導にあたっては 掲げて,それの証明という古典的ユークリツド幾何学の  困難であろうと思われる。図形に対して上のような変形 指導方法をとっているのが大部分の扱い方である。さら  をし,そのつながりに着目することだけで空間への認識 に,直角3角形となる条件,定理の逆が成り立つことを  が高まっていくとは思われない。また,「直観的,帰納 列挙していくという方法がとられている。したがって,  的な考え方によりいろいろな図形の見方を豊かにするの

これだけからは,指導要領でねらいとしている,「図形  がねらいであるので,生徒に特に興味ある学習ができる       \V  V 、〆 )>V /V )》》VV >脇

と数式を統合的に把握させる」指導や,3辺の平方の関  ようにくふうすることがたいせつである」と言われて 係が「長さの関係を表わすものとみることができる」よ  も,一筆がき,メービウスの帯,ドーナッ型の曲面やオ うな指導が表に出てこないように思える。また,三平方  イラーの多面体定理をトピックス的に羅列するだけに終 の定理の証明方法をいくつも紹介している教科書もある  始してしまっている印象をうけるし,また,それらを教 が,どのようなことをねらいとしているのか不明確であ  材としてとり上げてくることに対する数学教育的な意義 る。なお・図形と数式との結合をねらいとするならば,  も不明とも思える。実際,教科書で扱われている取り上 たとえば,座標の考えなどをもっと活用できるので,三  げ方をみてみると, ゴム膜上に書かれた円を変形した 平方の定理の指導において,特に強調されなければなら  とき(図18),(ガの円周上の点は,すべて㈲,(ク)の閉じ ぬ理由もあるまい。      た線上に移される。  このとき, 円周上の異なる2点

つぎに,この学年において,「点,線,面のつながり  は異なる2点へ移される。また円上の異なる点の順序は       ド  1、ハ/、 、r  」 V\〆、  一  、

方に着目して図形を考察し,位相的な見方など図形や空  やはり同じである ということを直観的に,その具体物       一、!、, )一、  v一い

間についての見方を豊かにする」ことの指導がなされる  について見させている。しかし,この導入時において,

ことになっている。すなわち,ユークリッド空間の幾何  周上の点のみが議論の対象となり周上にない点がどのよ

(12)

(カ》         {キ)      (ク)        あ と が き

P      以上図形の領域における問題点を考察

P してきた。前にもしばしば指摘したこと

1),2)

であるが,指導内容の現代化とは新しい R       T

ていくことと思われるような印象が,特 図 18      にこの領域では強い。現代の数学の中か うに移るかについては議論されていない。これは実際に  ら,中学生にでも理解できそうだと思われることを,教 用いられる具体物によっては,それらの見方ができない  育的には無理をしてまで与えようとする意図の理解に苦

こともあろう。さらに,合同変換などと著しい様相の差  しむものである。ある章は数10年前のユークリッド幾何      、

があることに教育的注意が払われていない。また図形の  学の教科書と寸分違わないかと思われ,ある章は大学初 内部,外部についての指導も 自分自身とは交わらない  年級の副読本のように見うけられる。その中に「連続」

閉じた曲線は,平面を2つの部分に分ける とし,そこ  とか「変換」とか数学教育上からは目新しい用語が飛び 円の内部(外部)の点全体が移ってできる点の集合  出してくるが,既習の「数の連続」, 「関数」, 「集合 を・その閉じた曲線の内部(外部)という のように,  の考え」などとは結びつかない。すなわち,図形は,数 直観的にこの概念を与えているにとどまっている。ここ  と異なる顕著な集合をなしているにも拘わらず,それに で・内部・外部は全体集合における・ある集合とその補  集合の考えを結びつけないから,変換も関数的な扱いが 集合に関することも忘れられている。さらに・ 線のつ  できないのである。これでは集合や関数指導の意味の大 ながり についても 図形や大きさなどは問題にしない  部分が失われてしまうのではないだろうか。なぜなら で,線が交わる・離れている,閉じている,開いている, 数・式の取り扱いには集合,関数の指導の教育的意味は 点が線の上にある・……といったような性質があるか,  この段階では,むしろ少ないと言えるのであるから。さ ないかなどを問題にして,図形の性質を調べることもあ  らに論理の指導の恰好の場である図形の領域であるにも というような扱い方がなされているので・どうして  拘わらず反論理または超論理の場が多すぎる。なお残念 このようなことだけを問題にするのか・生徒にはその必  なことに数学を学ぶ上で重要な基本的概念が含まれる事 要感といったものは,そこからは出てこないのではない  実を粗雑に扱い,しかも安易に流用しすぎている。これ だろうか・これは他の教材についても同様で,たとえば, が将来どのように影響するかは断言できないことして オイラーの多面体定理についても 多面体の頂点・辺・ も,少くとも数学の基礎となる概念は大切に育てたいも 面の数の間の関係について諏製占身! と問い・それの表つ  のである。

くりを通して・それらの間に(頂点)+(面)=(辺)+2が  現代化の流れに押し流されることなく,特に図形の領 成り立つことを確かめることの指導がなされている・こ 域では教材の精選,指導内容・方法などのあり方を,先

こで問題として課される題材について・どうしてそのよ  入観を排し,深く探索し直す必要があろう。相当の決断 うに考察していくことが必要なのかということについて  なしでは,図形の領域の現代化はありえないのではあま は,取り上げられていないと思われる。実際には,重要  いか。

であり難しい内容をもつものでも,直感として明らかな

      参  考  文  献ことを問題として意識させるとき,そのもののもつ意味,

または数学的方向性を見い出し得なくては,数学教育に   1)佐藤・宮田,中学校数学教育の問題点(1)・茨城大学 おける教材として取り上げる対象にはならないであろ         教育学部紀要・第22号

う。現場の教師が数学の専門家ではない事実を考えれば   2)佐藤・宮田・中学校数学教育の問題点(H)・茨城大学 なおのことである。位相的な性質は,それが数学で重要         教育学部教育研究所紀要・第5号 かつ高度の概念であるので,その指導には最初から困難  3)小学校指導書算数編文部省・昭和44年

       4) 佐藤・宮田,算数教育の問題点(皿),茨城大学教育学が予想される。論理性のある指導を望めないからといっ

部教育研究所紀要,第4号

て,ただ単に百科事典的な知識程度のものから,生徒に       5) 中学校指導書数学編,文部省,昭和45年 真の数学への指向が生まれるだろうか。その教育的な意      (以下,「……」は指導書よりの引用)

味を何処へ求めればよいのであろう。余りにも安易にさ   6)新しい数学, 東京書籍株式会社,昭和47年 れすぎていることを付言しておこう。       数学    啓林館,    昭和46年

参照

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