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中学校柔道部員の体格・体力に関する継続的研究

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全文

(1)

中学校柔道部員の体格・体力に関する継続的研究

尾形敬史*・沢畑好朗榊・添田孝幸榊*・朝倉美広*林㌔菅原則之躰林*

       (1989年9月9日受理)

D

AContinuing Study of the Physique and Muscular Strength of Judo Club Members at Junior High Schools

Takashi OGATバ1, Yoshiaki SAwAHATA**, Takayuki SoEDオ**,      、

Yoshihiro AsAKuRA****and Noriyuki SuGAwARA零*宰紳

(Received September 9,1989)

Abstract

junior high school judo c塾ub members. The results are summarized as foliows:

(1)It was found that beginning students of ludo were superior in physique and muscular strength, but were inferior in motor ability.

(2)It was found that after監earning judo beginning students maintained their terms of superiority over other students with respect to physique strength and progressed with respect to muscular strength. Furthermore, it was shown that beginners progressed with respect to motor abihty and that differences between ludo beginners and other students

       圃 р?モ窒?≠唐?п@over time.

は じ め に

柔道は,日本伝来のスポーツとして唯一オリンピック種目として広く世界に普及し,受け入れら れている。一方で,この度の教育課程の改訂では,学校体育の学習内容としての「格技」を「武道」

* 茨城大学教育学部保健体育講座(Laboratory of Physical Education, Faculty of Education, Iba一 raki University, Mito, Ibaraki 310, Japan).

**那珂湊市立那珂湊中学校(Nakaminato Junior High Schoo1, Nakaminato, Ibaraki).

***茨城工業高等専門学校(Ibaraki National College of Technology, Katsuta, Ibara辰i).

****水戸市立笠原中学校(Kasabara Junior High School, Mito, Ibaraki).

*****土浦第三高等学校(Tsuchiura Daisan High School, Tsuchiura, Ibaraki).

(2)

と改め,我が国の伝統的な文化としての特性を生かした指導の実践が期待されている。

このように「道」としての教育的な特性を持つ柔道であるが,運動学的には「相手と直接的に組 み合い,攻防動作を行う」という技術的な特性を持ち,柔道を行うことによって,いわゆる柔道マン

タイプの体型が形成されるといわれる。柔道に関する運動学的な研究は数多く行われているが,体 格・体力に関しては,渡辺ら(1981)は高等学校から大学にかけて柔道の練習をした者を対象にし た研究で,また飯田(1981)は高校生を対象にした研究で,柔道選手は量育や周育んすぐれ,ずん

ぐりした体型であると報告している。全日本柔道連盟科学研究部(1982)の報告では,中学柔道の トップレベルの選手の体格体力について,全日本の強化選手と比較した結果,中学柔道選手は上下肢 は長い傾向にあるが,皮下脂肪は厚く,肥満傾向にあることが明らかになった。また,中村ら(1973)

や飯田(1981)によると,握力や背筋力で代表される静的筋力においてすぐれる傾向を示すことが 報告されている。

本研究では,学校体育として柔道が指導され,競技としても本格的な練習のスタート時期である 中学校柔道部員に対して,体格・体力に関する縦断的な調査を行い,柔道選手の特性とされる体格・

体力は,練習によってもたらされるものなのか,あるいはもともとその傾向が強いものが柔道を始 めているのか,について検討することを目的とする。

研究内容及び方法

1.対象:茨城県下19の中学校1年男子柔道部員のうち初めて中学校で柔道を始めた者112名。

同3年男子柔道部員のうち昭和56年から3年間の追跡被検者30名。

2.内容及び方法

体格・体力に関する形態測定項目及び体力測定項目は,以下に示すとおりであり,測定につい ては,各学校において「学校身体検査規定」と「スポーツテスト実施要領」にしたがって実施さ れた測定結果を借用した。なお,昭和56年度の記録は尾形研究室の加藤(1982)の卒業研究で,

同様に昭和57年度の記録は江原(1983)の卒業研究で収集したものである。

1>形態に関する項目……身長,体重,胸囲,座高 2)体力に関する項目

敏捷性のテスト・・…・反復横跳 静的筋力のテスト……背筋力,握力

柔軟性のテスト……伏臥上体そらし,立位体前屈 上肢・肩の瞬発力のテスト……ハンドボール投 下肢の瞬発力のテスト……垂直跳,走り幅跳 スピードのテスト……50m走

呼吸・循環機能のテスト……踏み台昇降運動,持久走(1500m走)

(3)

結果及 び考察

1.柔道初心者の体格・体力について

県下19中学校の柔道部新入部員のうち,小学校での柔道経験がなく,中学校で初めて柔道を開 始した者について,体格・体力に関する測定の結果を同年度の県下中学生の平均値と比較したも のを表1に示した。

1)体格について

体格に関する測定項目である身長,体重,胸囲,座高のそれぞれの柔道部初心者の測定結果 は,県全体の同年齢の中学生の平均値よりも優れており,いずれも統計的に有意(P〈0.001)

な差が認められた。すなわち,身長では県平均が149.7cmなのに対し,154.2cmと4.5cm優り,体 重では,同様に41.6kgに対し,51.4㎏と9.8kg優り,胸囲では73.1cmに対して80.2cmと7.1cm,

座高でも79.8cmに対して81.8cmと2.Ocm優っていた。

2)敏捷性について

敏捷性のテスト項目である反復横跳の結果は,39.8回と県の平均40.4回より僅かに0.6回劣る ものの統計的に有意な差は認められなかった。

3)静的筋力について

静的筋力を示す背筋力と握力の結果は,背筋力では90.8kgと県平均の81.1㎏より9.7kg優り,

握力でも28.5kgと県平均の25.9kgより2.6kg優り,いずれも統計的に有意(P<0.001)な差が 認められた。

4)柔軟性について

柔軟性のテスト項目である伏臥上体そらしでは,県平均が49.2cmなのに対し,47.5cmと平均 で1.7cm下回り,統計的に有意(P<0.05)な差がみられた。一方,立位体前屈では,県平均が 8.4cmに対し,9.4cmと1.Ocm優れていたが,統計的に有意な差は認められなかった。

5)上肢・肩の瞬発力について

この項目のテストであるハンドボール投では,県平均が19.6mに対し,20.Omとほとんど差 はなく,統計的な有意差もみられなかった。 軸

6)下肢の瞬発力について

下肢の瞬発力を示す垂直跳と走り幅跳では,県平均より劣り,統計的に有意な差が認められ た。すなわち,垂直跳では県平均が43.lcmなのに対し,39.6cmであり3.5㎝劣り(P<0.001),

走り幅跳では県平均の341.lcmに対し,327.3㎝と13.8cmの差(P<0.01)で劣っていた。

7)スピードについて

スピードのテスト項目である50m走においても,県平均が8.5秒に対し,8.8秒であり0.3秒の 差であるが統計的に有意(P〈0.001)な差として認められ,劣ることが確認された。

8)呼吸・循環機能について

呼吸・循環機能のテスト項目である踏み台昇降運動と持久走(1500m走)でも県平均より劣 り,統計的に有意な差が認められた。すなわち,踏み台昇降運動では,県平均の指数が70.8な のに対し,67.5で3.3の差(P<0.01)であり,持久走(1500m走)では,県平均が399.2秒な のに対し,421.0秒で21.8秒の差(P<0.001)で劣っていた。

(4)

表1 柔道初心者の体格・体力

柔道部初心者 茨城県平均(12歳男子)

T

測 疋 項 目

N

Mean

SD N

Mean

SD

身    長 cm 112 154.2 7.71 *** 20354 149.7 7.50

体     重 112 51.4 12.05 *** 20354 41.6 8.07

胸     囲 cm 112 80.2 8.90 *** 20354 73.1 6.46

座     高 cm 112 81.8 4.71 *** 20354 79.8 4.15

50  m  走 112 8.8 0.87 *** 20354 8.5 0.70

走 り 幅跳 cm 112 327.3 52.81 ** 20354 341.1 44.86

ハンドボール投 m 112 20.0 4.31 20354 19.6 4.04

懸垂腕屈伸 112 2.5 3.01 20354 3.0 3.04

持久走(1500m) 112 421.0 59.71 *** 20354 399.2 45.10

反 復横 跳 112 39.8 5.92 20354 40.4 5.22 垂  直  跳 cm 112 39.6 9.39 *** 20354 43.1 7.42

背  筋  力 kg 112 90.8 21.84 *** 20354 81.1 22.57

握     力 kg 112 28.5 7.83 *** 20354 25.9 6.54

伏臥上体そらし cm 112 47.5 8.67 20354 49.2 7.34

立位体前屈 cm 112 9.4 5.12 20354 8.4 5.70

踏み台昇降運動 指数 112 67.5 13.27 ** 20354 70.8 13.01

(5)

表2 柔道初心者の体格・体力の変化(その1)

昭和56年度柔道部初心者 昭和56年度茨城県平均

測 定 項 目 (昭和56年) T (12歳男子)

N

Mean SD

N

Mean

SD

身    長 cm 30 153.2 6.46 149.6

体     重 kg 30 51.5 9.88 41.4

胸     囲 cm

座     高 cm

50  m  走 30 8.7 0.68 18635 8.4 0.68 走 り 幅 跳 cm 30 327.1 36.73 18635 343.9 44.28

ハンドボール投 m 30 20.0 4.47 18635 19.7 4.10

懸垂腕屈伸 30 2.2 2.94 18635 3.1 2.99

持久走(1500m) 30 428.0 57.17 *** 18635 397.2 42.29

反 復 横 跳 30 38.8 4.91 18912 40.3 5.13

垂  直  跳 cm 30 39.2 7.18 18912 42.8 7.44

背  筋  力 kg 30 90.2 20.18 18912 82.0 22.38

握     力 kg 30 29.7 6.52 ** 18912 26.0 6.49

伏臥上体そらし cm 30 48.2 6.98 18912 49.2 7.09

立位体前屈 cm 30 8.4 4.65 18912 8.5 5.11

踏み台昇降運動 指数 30 69.6 16.08 ユ8912 70.9 13.11

(6)

表3 柔道初心者の体格・体力の変化(その2)

昭和56年度柔道部初心者 昭和57年度茨城県平均

測 定 項 目 (昭和57年) T (13歳男子)

N

Mean SD

N

Mean

SD

身    長 cm 30 160.5 6.84 18948 157.0 8.24

体    重 30 59.0 12;61 *** 18948 46.9 9.45

胸     囲 cm 30 84.5 7.68 *** 18948 76.4 6.70

座    高 cm 30 86.2 4.19 *** 18948 82.8 4.79

50  m  走 30 8.1 0.58 18772 8.0 0.67

走 り 幅 跳 30 366.9 45.83 18772 376.6 49.95

ハンドボール投 m 30 22.7 4.77 18772 22.8 4.61

懸垂腕屈伸 30 5.3 4.63 18772 5.1 4.16

持久走(1500m) 30 409.1 50.13 *** 18772 380.3 44.52

反 復横 跳 30 40.5 2.73 ** 19227 43.1 5.13

垂  直  跳 30 44.8 8.41 *** 19227 49.9 8.44

背  筋  力 30 116.4 28.50 *** 19227 97.5 26.28

握    力 30 35.0 7.49 19227 32.0 7.53

伏臥上体そらし cm 30 52.0 9.42 19227 51.7 7.90

立位体前屈 30 11.4 4.51 19227 9.9 5.50

踏み台昇降運動 指数 30 65.8 13.26 19227 71.7 12.70

(7)

表4 柔道初心者の体格・体力の変化(その3)

昭和56年度柔道部初心者 昭和58年度茨城県平均

測 定 項 目 (昭和58年) T (14歳男子)

N

Mean

SD N

Mean

SD

身    長 cm 30 165.8 6.58 18704 163.2 7.17

体     重 30 65.3 12.53 *** 18704 53.1 9.43

胸     囲 30 89.2 7.38 *** 18704 79.9 6.40

座     高 cm 30 88.2 4.44 18704 86.4 4.13

50  m  走 30 7.6 0.53 18704 7.6 0.60

走 り 幅 跳 cm 30 400.7 44.58 18704 412.4 51.13

ハンドボール投 m 30 25.6 4.22 18704 25.9 4.97

懸垂腕屈伸 ,30 7.6 5.41 18704 7.3 4.97

持久走(1500m) 30 384.3 48.32 18704 370.0 44.23

反 復 横 跳 30 44.8 5.40

@、

18704 45.4 5.00

垂  直  跳 cm 30 52.1 6.43 18704 55.6 8.53

背  筋  力 kg 30 139.8 28.73 *** 18704 116.7 26.91

握     力 kg 30 40.1 8.30 18704 38.2 7.64

伏臥上体そらし cm 30 56.0 6.89 18704 54.9 8.38

立位体前屈 cm 30 12.7 4.39 18704 11.2 6.06

踏み台昇降運動 指数 30 66.4 8.14 18704 71.3 12.69

(8)

9)筋持久力について

筋持久力のテスト項目である懸垂腕屈伸では,県平均が3.0回なのに対し,2.5回とほとんど 差はなく,統計的な差も認められなかった。

以上の結果をまとめてみると,中学校において初めて柔道を開始する柔道初心者は,身長,

体重,胸囲,座高などの体格面において大きいもの,すなわち渡辺ら(1981)や飯田(1981)

らが報告するように量育,周育の面でもともと優れる者が入部する傾向にあるといえる。また,

中村ら(1973)や飯田(1981)の報告の結果と同様に,静的筋力である背筋力,握力において 優れる傾向を示したが,このことは,生理学的には筋力は筋肉の量に比例することがわかって いるので,体重の大きい柔道初心者が筋力においても大きい値を示したことから,妥当な結果 といえよう。しかし,下肢の瞬発力を示す垂直跳や走り幅跳では県平均より劣り,さらにスピ 一ドのテスト項目である50m走においても県平均よりも劣ることは,もともと大きな体格を有

しているにもかかわらず,それだけの身長や体重を支えたり,動的な運動を瞬発的に行うだけ の筋肉の発達が不十分であり,かつ鍛練の不足であることが窺われる。なお,踏み台昇降運動と 持久走においても県平均よりも劣り,呼吸・循環系機能の発達が不足していることが示唆される。

次に,このような体格・体力の特徴を持つ中学校柔道部の初心者が,柔道の練習を重ね経験 を積むことによってどのような身体的な効果が得られるかを検討することとする。

2.柔道経験による体格・体力の変化

中学校で初めて柔道を開始した柔道初心者が,2年生,3年生と柔道部練習を続けることによっ て,体格・体力にどのような影響がみられるか,柔道部初心者と県下の中学生の体格・体力の測 定結果の比較を行い,柔道練習による効果の有無を検討することとした。

このため,昭和56年度に柔道部に入部した初心者の体格・体力について,昭和56年,57年,58 年度と,それぞれ集計し,これに対して同年度の県下中学生の体格・体力の平均値とそれぞれ比 較し,対照したものを表2,表3,表4に示した。

1)体格について

身長については,1年生時(56年度)が153.2cmと県平均の149.6cmより3.6cm優れ(県の平均 に関するSDがないため統計的な比較ができなかった),2年生時(57年度)は160.5cmと県平 均値157.Ocmより3.5cm優れ(P<0.05),3年生時(58年度)では,165.8cmと県平均値163.2 cmより2.6cm優れ(P<0.05)ており,もともと大きい者が,県平均と同様な発育の傾向を示し た。(図1参照)

体重についても,1年生時は,51.5kgと県平均の41.4㎏を10.1㎏上回り(身長同様に比較が できなかった),2年生時(57年度〉は59.Okgになり,県平均の46.9kgより12.1㎏も上回り(P<

0.001),3年生時(58年度)でも65.3kgと,県平均の53.1㎏を12.2kgも上回り(P〈0.001),

身長と同様にもともと体重の重い者が入部する傾向にあったものが,柔道の練習によって更に 体重の増加が計られ,2年生,3年生と学年が進むにしたがっても,県平均に対して有意に優 る傾向を示したものと思われる。(図2参照)

胸囲と座高については,昭和56年度の測定が行われていなかったため,2年生,3年生の結 果を比較した結果,胸囲については,身長,体重と同様に県平均より有意に優れ,2年生時(57 年度)の県平均が76.4cmなのに対し,84.5cmと8.1cmも差(P<0.001)があり,3年生時(58

(9)

C皿 165

       kg

 /

160  ノ

//      ,

〆      /

^       50       /!/

155 /      /

^      〆/

/       /      ノ/       !

/       1!

I       !

/       ♂

^    ・一一一→柔道部々員        40         ・一一一→柔道部々員 150 !6     卜一一4県平均       ←一一→県平均

0 0

12     13     14歳      12     13     14歳 図1 身  長       図2 体  重

cm cm

go

85

@       85

W0      9       /

    戸

@   /

@  !@ /

@ !

@!@ノ

 /^

ひ一一一●柔道部々員

75        ●一一鴫柔道部々員 ←一一→県平均

・一一一→県平均

0      0

12     13     14歳       12     13     14歳

図3 胸  囲       図4 座  高

(10)

年度)の県平均は79.9㎝なのに対し,89.2cmと9.3cmの差(P<0.001)を示し,柔道練習によ る周育への影響が示唆される。一方,座高については,2年生時(57年度)の県平均が82.8cm なのに対し,86.2cmで3.4cmの差(P<0.001)を示し,3年生時(58年度)には県平均が86.4

㎝なのに対し,88.2cmであり,差は1.8cm(P<0.05)と減少し,県平均の方が大きい伸び率を 示していた。 (図3・4参照)

2)敏捷性について

反復横跳については,1年生の時(56年度)は38.8回であり,県平均の40.3回とは1.5回の差 でほとんど差はみられなかったものが,2年生(57年度)では40.5回に対し,県平均が43.1回

とその差が2.6回(P<0.01)に広がったものの,3年生(58年度)では44.8回と伸びを示し,

県平均の45.4回との差が0.6回とほとんど差のない状態となった。(図5参照)

3)静的筋力について

背筋力については,1年生の時が90.2kgであり,県平均の82.Okgより8.2㎏優り(P<0.05),

2年生では116.4㎏となり,県平均97.5㎏より18.9kg上回り(P〈0.001),さらに3年生では 139.8㎏となり,県平均116.7㎏より23.1㎏も上回り(P<0.001),県平均より有意に優るのみ でなく,伸び率の面でも高い傾向を示し,柔道練習の効果が示唆された。 (図6参照)

握力は,1年生の時が29.7kgと,県平均26.Okgより3.7kg上回り(P<0.01),2年生では,

35.0㎏となり,県平均32.Okgより3.Okg上回り(P<0.05),3年生では40.1kgとなり,県平均 38.2㎏より1.9㎏上回る(有意差はなし)結果を示し,県平均よりそれぞれ高い値を示したが伸

び率に関してはにぶる傾向がみられた。(図7参照)

4)柔軟性について

伏臥上体そらしについては,柔道部員が48.2cmから52.Oem,56.Ocmへと変化しているのに対 し,県平均も49.2cm,51.7cm,54.9cmと変化を示し,両者の差はほとんどみられず同様の傾向 を示した。(図8参照)

立位体前屈については,柔道部員が8.4cmから11.4cm,12.7cmへと変化しているのに対し,県 平均は,8.5㎝から9.9cm,11.2㎝へと伸びを示し,両者に統計的に有意な差は認められなかっ たが,柔道部員の方がやや高い伸び率を示す傾向にあった。 (図9参照)

5)上肢・肩の瞬発力について

ハンドボール投は,柔道部員が20.Om,22.7m,25.6mのように変化を示し,県平均も19.7 m,22.8m,25.9mと変化し,両者はほとんど同じ結果であった。 (図10参照)

6)下肢の瞬発力について

下肢の瞬発力の指標の1つである垂直跳では,1年生時(56年度)は県平均の42.8cmに対し 39.2㎝と柔道部員が3.6cm劣り(P<0.05),2年生時(57年度)は同様に49.9cmに対して柔道 部員は44.8㎝で5.1cmの差(P<0.001)となり,3年生時(58年度)も55.6cmに対して柔道部 員は52.1cmで3.5cmの差(P<0.05)がみられ,いずれも柔道部員の方が劣る結果であった。伸

び率については,両者とも同じような傾向を示した。(図11参照)

一方,走り幅跳では,1年生時は,県平均の343.9cmに対し,柔道部員は327.1cmと16.8cm劣 り(P<0.05),2年生時は,同様に376.6cmに対して366.9cmであり差は9.7cmだが,統計的に 有意な差は認められず,3年生時も412.4cmに対して400.7㎝であり,11.7cmの差であるが有意

(11)

kg 150 回       ●

/ノ

      /

S4      //      130

         !       /ノ

40      90      /

       /

80

一→柔道部々員      一一一→柔道部々員

       7038      ←一一→県平均      一一一嶋県平均

o      O

56     57     58年度       56     57     58年度 図5 反復横跳      図6 背筋力

C田

kg      56 40

ノ        54       /

      /  ・   /蕊    /    52  〆      !

 /       ∠

^      50    //

!       ! ノ      ♂ 30       /

!       48

^   /

25

゜56 田 臓   ゜56 57 鰍

図7 握  力       図8 伏臥上体そらし

(12)

13       m

26

12      25

!       24

11       /

 //      23

4

10         〆/       22

/       21

9     / 7

7

20

一柔道部々員 ♂      ・一一→柔道部々員

8    −_唄平均     19 ←一一喝県平均

0      0   56    57     58年度

56    57    58年度 図9 立位体前屈       図10 ハンドボール投

cm

55       /         ㎝      ノ       /

/      /

/       !

/       400      /

/       /

/      /

       /      /50         /      /

!       /

!      /

/      375        〆

!       !

!      /

!       /

!      ! 45    /      /

/      /

!       /

♂      350    !

40        レー一→柔道部々員       一一一柔道部々員

←一一4県平均      ←一一→県平均

      ! O      0

56     57     58年度      56     57     58年度 図11 垂直跳      図12 走り幅跳

(13)

(指数)

.       一一柔道部々員         73

8.5

@      ←一一4県平均      72

、\

\      71

̲ \  \      70  \   \    \    \      69  1I

8.0         、       \

@       \       68      \

@      \

@       \

@       、      67

@      \

@      \

@       、

@       66

柔道部々員 7.5      65

・一一一→県平均 0       0

56     57     58年度 56     57     58年度 図13 50m走      図14 踏み台昇降運動

蜘       回

8.0

伽      

@      7.0      /

6.0      /

400       /       /    へ     \       5,0      〆

\       ∠

        \\      40      /      /380         \、      /

、       ・一一一。柔道部々員

←一一→県平均

0       0

56    57    58年度 56    57    58年度 図15持久走      図16 懸垂腕屈伸

(14)

差は認められなかった。(図12参照)

7)スピードについて

50m走は,1年生の時に,8.7秒であり,県平均の8.4秒との差は0.3秒(P<0.05)であり,

柔道部員の方が劣る傾向を示したが,2年生時は,県平均の8.0秒に対し,柔道部員は8.1秒で ありわずか0.1秒の差となり,3年生時では,県平均,柔道部員とも7.6秒であり全く差はみら れなかった。(図13参照)

8)呼吸・循環機能について

踏み台昇降運動では,1年生時は,県平均の70.9に対して69.6であり,指数の差は1.3とほとん ど差はみられなかったが,2年生時には,県平均の71.7に対し,柔道部員は65.8であり,5.9の 差(P<0.05)となり,3年生時にも,県平均の71.3に対して,柔道部員は66.4であり,4.9の 差(P<0.05)があり,県平均は3年間ほとんど変化を示さないのに対し,柔道部員は2年,

3年と低下する傾向にあった。(図14参照)

持久走(1500m走)においては,1年生時(56年度)は,県平均が397.2秒に対し,428.0秒 と柔道部員の方が30。8秒劣り(P<0.001) 2年生時(57年度)も,県平均が380.3秒に対して,

柔道部員は409.1秒であり,28.3秒の差(P<0.001)があり,3年生時(58年度)では,県平 均が370.0秒に対し,柔道部員は384.3秒であり,差は14.3秒あったが統計的に有意な差ではな かった。いずれも県平均よりも劣っていたが,伸び率はよく,特に3年生において顕著な伸び を示した。(図15参照)

9)筋持久力について

懸垂腕屈伸は,ハンドボール投と同様で,柔道部員は2.2回から5.3回,7.6回へと変化 を示し,県平均の3.1回,5.1回,7.3回とほとんど差がみられず,同じような傾向を示し た。(図16参照)

以上みてきたように,柔道部に中学校で初めて入部する者は,体格面で優れる傾向にあるが,反 面それらの身長や体重を支えるだけの筋力・瞬発力の発達は未熟である傾向がみられたものが,柔 道の練習によっていくつかのトレーニング効果がみられた。もともとすぐれていた身長や体重,胸 囲などの体格面では,優位を保ったまま伸びを示す傾向にあり,体力面については,もともとすぐ れていた背筋力では,県平均の伸び率を上回る伸びを示し,握力では優位を保ったまま同じような 伸び率を示した。また,体力面で県平均より劣る傾向にあった項目でも,50m走,持久走,反復横 跳,走り幅跳などでは県平均の伸び率を上回る伸び率を示し,柔道練習の効果が認められた。

このように,中村ら(1973)や飯田(1981)が報告した,静的筋力である背筋力や握力に対する 柔道の効果だけでなく,スピードや瞬発力・呼吸循環系機能の面でも柔道の練習による効果がみら

れた。

ま  と  め

中学校で初めて柔道を始めた柔道初心者の体格・体力の特性および,それらが柔道の経験によっ てどのように変化をするか検討した結果,次のような知見が得られた。

(15)

1)柔道初心者の入部時の体格・体力については,身長,体重,胸囲,座高等の体格面および,静 的筋力である背筋力,握力では,一般生徒より有意に優れる傾向にあるものの,スピード,瞬発 力,敏捷性,全身持久性等の運動能力面では逆に有意に劣る傾向を示した。

2)柔道初心者が柔道練習の経験後の体格・体力については,体格面ではそのまま有意を保って伸 びを示す傾向にあり,静的筋力においては更に伸びる傾向を示した。また,運動能力面でも伸び がみられ,柔道の練習による効果が認められた。

引 用 文 献

江原隆一 1983. 「中学校柔道部初心者の入部動機と体格・体力及び性格との関連」茨城大学教育学部卒業論

文.

飯田頴男 1981. 「柔道部員の身体の発育・発達に関する一考察」 『武道学研究』13−3,pp.28−31.

加藤幸康 1982. 「中学校柔道部初心者の入部動機と体格・体力との関連」茨城大学教育学部卒業論文.

中村栄太郎.松浦義行 1973. 「種目別にみた運動選手の体力・運動能力の比較検討」 『体育学研究』17−5,

pp.309−318.

渡辺隆嗣,小倉清,中山勝広,高橋邦郎,大薮由夫 1981. 「柔道選手の形態ならびに体力に関する縦断的研 究」 『武道学研究』14−2,pp.94−95.

全日本柔道連盟強化委員会科学研究部 1982. 「中学柔道選手の体格・体力」 『柔道』53−12,pp.79−83.

参照

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