研究報告 :秋 田大学医学部保健学科紀要12(2):138‑144,2004
看護学生の 「 注射法」の学習方法 に対す る保護者の意識
佐 々木 真紀子 石 井 範 子 長谷部 真木子 工 藤 由紀子
要 ヒHユ
本研究では,看護学生の 「注射法」習得のための学習方法に対す る保護者の意識を明 らかにす ることを目的に調査 を実施 した.対象者 はA看護系短期大学部の保護者240名であ り,調査票の回収数216(回収率90%)であ った.
調査の結果,看護学生が 「注射法」の技術を習得す ることに対す る保護者の意識 として次の ことが明らかになった.
1.卒業 までには注射がで きるようになることを期待 している.
2.免許を持 たない学生であって も技術の習得のためには 「人」 や 「学生同士」で授業で注射を行 うのはやむをえ ないという意識であった.
は じめに
平成14年3月に公表 された文部科学省の看護学教育 の在 り方 に対す る検討会報告 「大学 における看護実践 能力の育成 の充実 に向けて」1)において,「注射法」 は 看護学 の学士課程で習得すべ き基本技術 として位置づ
け られている. 同時 に,同報告では 「注射法」 などの 身体 に侵襲 を及 ぼす看護技術 の学内実習 について,強 化す る方法 を様 々に工夫 している大学がある一方で, 実習 しな くて も良 いとす る大学があることが報告 され てお り,「注射法」 の習得状況 は様 々で あ ると考 え ら れ る.
「注射法」が学士課程で習得すべ き基礎技術 に位置 づ け られなが らも,教育方法が異 なる理 由には,看護 系大学が急増す るなか,看護技術の とらえ方や到達 目 標, および教育方法 が多様化 してい る24)ことや, 香 護師の免許 を持 たない学生が,患者役 としての学生 や 患者 に注射 をす ることの安全管理上 の問題 や,患者の 権利擁護 の観点か ら学生 の実習の機会が制限 されてい る5)ことなどがあげ られ る.「注射法」 の習得にあたっ て はこれ らの問題点 を解決 しなが ら教育 を行 ってい く 必要がある.
現在,我 々は 「注射法」 の教育 目標 を 「対象 の安楽 に配慮 し,安全かっ正確 に注射法が実施で きる」 と設 定 し,注射部位 の確認 は身体で行 うが,注射針 の刺人 についてはシ ミュレーシ ョンモデルを使用 した演習を 行 っている. しか しシ ミュ レーシ ョンモデルによる演 習だけで は,情意領域 における対象への配慮 や,精神 運動領域 における安全確保 の技術 などの学習 目標の到 達 には限界がある.「注射法」の看護技術 の能 力 を さ らに高めるためには,人体 に対 して注射 を実施す るこ とも含 めた教育方法の検討が必要であると考 え る.人 体 に対 して注射 を行 う演習で は,学生が患者役 とな り 注射を受 けることが必然的 にな り,身体侵襲 を うける ことになる. このような 「注射法」 の教育 における倫 理的配慮 としては,十分な安全管理を行 うこと,学生 の同意 を得て行 うことはもちろんであるが,学生 の大 部分が未成年者であることか ら,更 なる配慮 が必要 で ある.研究 における倫理指針67)や患者 の権利 に関す る リスボ ン宣言8)では,未成年者 を対象 とす る場合 に おいては,その人の法的に責任のある代諾者か らイ ン フォーム ド・コンセ ン トを入手すべ きであると謡 われ てお り, これを教育 に準用す ると,未成年者 の学生 が
秋 田大学医学部保健学科看護学専攻 KeyWords:看護学生 保護者 注射法 学習方法
佐々木真紀子/看護学生 の 「注射法」の学習方法 に対す る保護者の意識
身体侵襲 を うけ る 「注射法」 の実施 に は,保護者 の同 意 が必要 で あ る と考 え られ る.
近年 「注射 法」 な ど身体侵襲 のあ る看護技術 につ い て は学生 の同意書 を得 て実施 して い る教育施設 もあ る が,保護者 を対象 と して行 って い るのか, また同意書 に対 す る保護者 の反応 な どにつ いて は報告 された もの は見 あた らな い.
我 々 は今後保護者 の同意 を得 て学 内演 習 を行 うこと も検討 中で あ るが, 同意 を得 るため には保護者 がその 内容 につ いて十分理解 して い る ことが前提 とな る. そ こで本研 究 で は,今後 の 「注射法」 の教育方法 を検討 す る基礎 資料 とす るために,保護者 が看護技術 の教育 内容 や 「注射 法」 の教育方法 につ いて どの よ うな認識 で あ るのか を明 らか にす る ことに した.
Ⅰ.研 究方 法 1.対象
看護 系短 期大学看護学科1‑3年次 に在籍 す る学 生 の保護 者240人 (学生1人 あた り保護者 は1人 と し
た)
2.調査期 間
平成14年12月下旬 〜平成15年1月 中旬
3.調 査方 法
調 査用紙 は学生 を介 して保護者 に配布 し,学 内 に 回収箱 を設 置 して回収 した.
4.調 査 内容
質 問 は以下 の内容 と した.
1)対 象者 の背 景
①学生 との関係
②職 種
③ 病気 や けがで看護 師 に看護 され た経験 の有無 2)「注射法」 の教育 に対 す る認知状 況
設 問 は 「看護教育 に看護技術 の学習があることを知 っ て い るか」 と し, 回答 は 「知 って い る」「知 らな い」
の2肢択一 と した.
3)卒業 時 の 「注射 法」 の習得状況 に対 す る意識
(35)
設 問 は 「卒業 までに看護 の対象である人 (以下 「人」) 人 に対 して安全 に注射 がで きるよ うにな るべ きと思 う か」 と した. 回答 は, 「おおいにそ う思 う
」
「そ う思 う」「どち らと も言 えない
」
「あ ま り思 わな い」
「思 わな い」の5肢択一 と した.
4)学生が 「人」 に注射 をす る ことに対 す る意識 この場合 は, 注射 モデルでの十分 な学 習後 の実施 で あ る ことを条件 と した.
5)授業 で 「学生 同士」が 注射す る ことに対 す る意 識
この場合 は,授業 で希望 す る学生 に個別 に教官 が付 き添 い,安全 の確保 を最 優先 して行 うことを条件 と し た.
4) 5)の回答 は,「技術習 得 の た め に は行 うべ き だ (以下,行 うべ きだ)
」
「技術習得 の ため に はやむを えない (以下, やむ をえない)」
「免許 が ないのだか ら 行 うべ きで はな い, 注 射 モ デ ルで練 習 を積 む べ きだ (以下,行 うべ きで はな い)」
「そ の他 」 の4肢 択 一 とし, 自由記述欄 を設 けた.
なお,4) 5)の質 問 の前 に,看護 師 の免許 を持 た な い学生 が注射 を実施 す る ことの問題点 や看護基礎教 育 にお ける 「注射法」技術 の教育 の経緯 を質 問紙上 で 説 明 した (資料1).
5.集計 ・分析
各質 問項 目の回答数 と割合 を算 出 した. また質 問項 目の3) 4) 5)につ いて は, 「注 射 法 」 の教 育 に対 す る保護者 の認知状況 お よび保護者 の背景 との関連 を 検討 す るためにカイ二乗検定 を行 った.統計 用 ソフ ト
に はSPBS(Ver9.4)9)を用 いた.
6.倫理 的配慮
学生 と保護者 には文書 で研究 の主 旨を説 明 した. ま た学生 と保護者 には,結果 の公表 にあた って匿名性 を 確保 す ること,本研究 の 目的以外 に用 いな い こと,調 査 へ の協力 の有無 は自由であ り, また学生 の成績評価 と一切 関係 しな い ことを確約 した. 回答 は無記名 と し た.
資料 1.看護基礎教育における 「注射法」技術の教育の経緯についての説明文
注射 は治療行為であ り,医師,看護師など免許を持 った職種 にのみ認 め られている行為 です. しか し看護教育で は,教育 の特色上,授業の一環 として十分 な指導 の もとに学内や 臨床実習で,学生が学生 や患者 に注射を行 って きた経緯があ ります.
しか し近年,倫理的な問題や学生,患者 の安全確保の観点 か ら,基礎教育 の段階では人 体への注射 を実施 しない教育機関が増えています.本学 で も数年前 か ら人体 には行 わず, 注射用 モデルを用 いた実習を行 っています.注射用 モデルとは,注射す る部分だけ身体 に つ けて, あるいは注射の実施がで きるようになっている人形 などの教材です.
Ⅱ.結 果 1.回収結果
回収人数 は216人,回収率 は90%であった.
2.対象者の背景
1)対象者の年齢 は24‑64歳で平均年齢 は48.7歳 で あ った.学生 との関係 は,母親が129人 (59.7%), 父 親が85人 (39.3%), 兄弟 ・姉妹 が1人 (0.5%), そ の他が (1人,0.5%)であった.
2)対象者の職種 は, 非 医療関係者 が190人 (88.0
%),医療関係者が24人 (ll.1%)であった.
3)病気やけがで看護師により看護 された経験 は,
「ある」が183人 (84.7%),「ない」 が32人 (14.8%),
「忘れた」が1人 (0.5%)であった.
3.「注射法」の教育に対する保護者の認知状況 看護師の教育内容 に「注射法」の学習があることにつ いては,「知 っている」が193人 (89.4%),「知 らない」
は23人 (10.6%)であった.
4.卒業時の 「注射法」の習得状況に対する保護者 の意識
学生が卒業 までに 「人」 に対 して注射を安全 にで き るようになるべ きかについては,「そ う思 う」が117人
(54.1%), 「おおいにそ う思 う」 が69人 (31.9%),
表 1.学生が 「人」に注射をすることに対する意識 (各回答肢ごとの自由記載) 回 答 肢 記載音数 記載 内容
技 術 習 得 のた め ll ・患者 さんの痛み,苦 しみ がわか る
には行 うべき ・患者側 に立 って考 える と十分 な技術 を身 につ けてほ しい モデル と人体では感覚的 に違 うところが ある
・血 管の感触 を知 ってお く うえで必要
・人 間 とモデルでは,注射す る側 , され る側 の気持 ち (不 安) を知 る上で違 う
・注射用モデル学習後 な ら大丈夫 と思われ る
・注射用モデル と人 間では大変 な違 いがあ る.モデル で十 分 な学習後指導者 がきちん とついて指導 してほ しい
・最近 の医療事故, ミス に心 を痛 めてい る.立派 な医療技 術者 を育成 してほ しい.
・一度 も実技 な しに免許 を取 るの もおか しい 他 技 術 習得 のた め 8 ・国家試験 に合格すれ ば専門職 とみ な され るのでそれ な り
には の技術技能 を有す るべ きだ
やむをえない ・̲患者 は一人一人違 うが,一度や二度 の経験 で も本人達の 自信 につなが る.
・モデル と人体では違 うので,十分 な配慮 を した うえで実 施 してほ しい
・注射 の技術が習得 で きれ ば,卒後即戦力 にな る
・何 かあった時が問題 にな る.対応 がきちん とな され てい ることが条件 とな る.
・学 内での指導徹底 が大前提 他
免許がないので 2 ・医療事故等 も考 え行 うべ きでない
行 うべ きでは ・注射 をす るための レベルテス トが あ り,それ を ク リアすれ ない ばすれ ばできるよ うに法 的に働 きかける
その他 4 ・看護学科 の看護師 (教員)が見守 る中で行 うべ き
・実践 の必要は理解 で きるが, どうい う人 (例 えば患者) に 対 してで きるかは問題 が あるのではないか
・患者 が学生の練習対象 になるのは避 けた ほ うが よい.学生
同士で練習す るこ とは必 要 他
佐々木真紀子/看護学生の 「注射法」の学習方法に対する保護者の意識
「どち らとも言えない」が20人 (9.3%),「あま り思 わ ない」が4人 (1.9%),「思わない」 が6人 (2.8%)
であった.
5.学生が 「人」に注射を行 うことに対する意識 学習 として学生が 「人」 に対 して注射を行 うことに 対 しては,「やむをえない」が116人 (53.7%)で最 も 多 く,次 いで,「行 うべ き」 が69人 (31.9%), 「行 う べ きで はな い」 は27人 (12.5%), 「その他」 が4人
(1.9%)であ った.
また 「行 うべ き」あるいは 「やむをえない」 と回答 した保護者の自由記述 の内容 は, 『患者 の痛 みや苦 し みがわかる』『モデルと人体では感覚的な違 いがある』
『国家試験 に合格すれば専門職 と見 な され る』 な どで あった. また「行 うべ きではない」では 『医療事故等 も 考え行 うべ きでない』『注射をす るための レベルテス トがあ り,それをク リアすればで きるように法的に働 きかける』であった (表1).
6.授業で 「学生同士」が注射をすることに対する 保護者の意識
授業で 「学生同士」が注射をす ることは 「やむをえ ない」が123人 (56.9%)で最 も多 く, 次 いで 「行 う
(37)
べ き」が78人 (36.1%),「行 うべ きではない」 が11人
(5.1%),「その他」が4人 (1.9%)であった.
また 「行 うべ き」「やむをえない」 と回答 した保護 者の自由記述では,『実体験 こそ技術習得 の第一歩』
『志が一緒な ら行 ったほうがよい. 専門職 のたま ごと 思 っている』『就職 してか らでは遅 いと思 う』『国家試 験 に合格すれば専門職 と見なされ る』『自信 や 自覚 に つながる』『卒後即戦力 として求め られる現状がある』
『安全の確保を最優先』などであ った.「その他」 と回 答 した保護者の記述 は,『前提条件が しっか りして い ればよいが,よ くわか らない』『学生同士 といって も, 本人の同意があるかを しっか りと確認 しないといけな
い』などであった (表2).
7.保護者の背景 と学生が 「人」に注射をすること に対する意識 との関連性
保護者の学生 との関係や,医療職か非医療職か, ま た看護を受 けた経験が学生 の 「人」 に注射をす る事 に 影響す ることが考え られたため, これ らについて関連 性を検討 した.学生 との関係では回答者の99%を父, 母が占めたため,父 または母であることと学生が 「人」
に注射をす ることに対す る意識 に関連があるかを検討
表2.授業中に 「学生同士」で注射をすることに対する意識 (各回答肢ごとの自由記載) 回 答 肢 記載者数 記載 内容
技術習得のため 9 ・.実体験 こそ技術習得 の一歩 には行 うべき ・.絶対 の安全性 を確保
・.志 が一緒 な ら行 った ほ うが よい,専 門職 のた ま ごと思 つ てい る.
・.注射す る気持 ち, され る気持 ち (不安) を知 る
・「行 うべ きで ない」 に しよ うと恩 つたが,就 職 して か ら のス ター トでは遅 い と思 う.
・この場 での経験 がなけれ ば,習得す る機 会 がない
・仮免許 の よ うな制 限付 き許可 を与 え,学生 に よる注射 の違 法性 をな くす こ とはで きないか 他 技術習得のため 5 ・.看護 師イ コール注射 がで き る人 とい うイ メー ジがある.
には 自信や 自覚 につなが‑る と思 う
やむをえない ・卒後 即戦力 として新人 も求 め られ る現状 が あ る
・.親 の了解 を得た場合 ,すべ き
・安全 の確保 を最優 先 他
その他 4 ・前提条件 が しっか りしていれ ば よいが, よ くわか らない
・学生 同士 とい って も,本人 の同意 が あるか を しっか りと 確認 しない といけない
他
田行うべき E3やむをえない d行うべきではない
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知っている知らない図 1nn==121.91「注射;
0
i60% 「 」 p く0. 05
\
% 20% 40% 60% 80% 1 0
∩‑212 (単位 :人)
したが,有意 な関連 はなか った. また職種や看護 を う けた経験の有無 と意識の関連のいずれにおいて も,育 意 な関連 はなか った.
8.「注射法」の教育 に対する認知状況 と, 学生が
「人」に注射をすることへの意識 との関連
保護者の 「注射法」の認知状況 と,学生が 「人」 に 注射をす ることへの意識 との関連では,教育内容を知 っ ていると答えた保護者 は,知 らないと答えた保護者 に 比 べ, 「行 うべ き」 の回答 が多 い傾 向 にあ った (p
<0.05)(図1).
Ⅲ.考 察
本研究では,「注射法」の学習方法 に対 す る保護者 の意識 を明 らかにす るために調査を行 った.その結果, 卒業 までに学生が 「人」 に対 して注射がで きるように
なることについては,保護者の大半が 「大 いにそ う思 う
」
「そ う思 う」 と 「注射法」 の技術 の習得 を積極 的 に期待す る回答であった.看護師の職業 に対す る一般 の人 々の認識 についての先行研究10)では,看護師の仕 事 内容 として 「注射をす る人」が上位を占めてお り, 一般的にも 「看護師」 と 「注射がで きる」 という意識 は密接 に関連 している.保護者の回答 には, このよう な意識が反映 されていることが考え られ る. また保護 者の自由記述 には 『最近の医療事故, ミスに心を痛め ている.立派 な医療技術者を育成 してほしい』 と,確 かな実践力の基礎 を身 につけた医療職の養成を期待 し ていることが考え られ る.また学生が 「注射法」を習得す るための学習方法 と して 「人」や患者役の学生 に対 して注射を行 うことは, 技術習得のためには 「行 うべ きだ
」
「やむをえない」と実施 に肯定的な意見が大半 を占め,最 も多か った回 答 は 「やむをえない」であった. これは自由記述 にも あるように,国家試験 に合格後 は専門職 として見なさ れることや,就職後 は看護の即戦力 として期待 され る 現状が影響 していると考え られる.従 って,保護者 と しては免許を持たない学生 ゆえの様々な制約があるに して も,基礎教育 の中で十分な教育を期待 したいとい う意識であると考え られる.そのため,モデルでは習 得 しきれない人体 に注射す る感触を学生の うちに体験 してほ しい,それが学生の自覚や自信 になってほ しい という保護者の期待が込め られていると察せ られる.
一方,免許がないので 「行 うべ きで はない」 で は,
『法的に働 きかけ,免許がない学生 が合法的 に行 え る システムづ くりを望 む』 とい うことが あげ られた.
「行 うべ きで はない」 とする保護者 で も, 条件 を整 え て,で きるだけ 「注射法」の習得を望みたいとい う意 識であると考え られる.
今回の調査 により,保護者 は免許を持たない学生が 注射をす ること, また未成年者である子 どもが他の学 生か ら注射をされること対 しては 「やむをえない」で はあるが肯定的であった.従 って 「注射法」 の教育方 法 として 「学生同士」が注射をす ることに対 しては, 保護者の同意 はほぼ得 られると予測 される. しか し,
「注射法」の教育内容を良 く理解 していない場合 には,
佐々木真紀子/看護学生 の 「注射法」の学習方法 に対す る保護者の意識
同意 を得 られないことも考え られることか ら,今後同 意 を得 る際には,保護者が 「注射法」の教育内容を良 く理解 し明確な判断がで きるように,学習方法や安全 確保の対策 など十分な説明を行 うことが必要であると 考える.
Ⅳ.結 論
看護学生 の 「注射法」技術の習得 に対す る保護者の 意識 は,
1.卒業 までには注射がで きるようになることを期待 している
2.免許 を持 たない学生であって も技術の習得のため には 「人」や 「学生同士」で授業で注射を行 うのはや むをえない, とする意識であった
3.学生が 「人」 に注射をす ることに対す る保護者の 意識では,教育内容を知 っていると答えた保護者 は, 知 らないと答えた保護者 に比べ 「行 うべ き」の回答が 多 い傾向にあった. しか し保護者の背景 とは関連がな か った.
おわ リに
保護者 の 「注射法」 に対す る意識 に関す る今回の調 査結果か らは,学生が 「人」や 「学生同士」で注射す ることにはほぼ肯定 的で あ り,保護者 の同意 を得 て
「学生同士」で注射を行 うことは可能 であ ることが示 唆 された.「注射法」の技術教育 において,基礎教育 の卒業 までに一度 も人体 に対す る注射の経験を もたず に卒業す ることに対す る疑問の声 も聞かれるが,基礎 教育では何をどこまで教授すべ きか,可能 な範囲で, よ り実践的な技術を安全 に責任を もって教授すること の必要性が高 いと考える.今後 「注射法」 の授業 にお いて学生同士で実施す る場合 には,今回の結果を踏 ま えて保護者 の同意を得 るための具体的な手続 きについ
(39)
て検討 していきたい.
なお本研究の要 旨は, 日本看護学教育学会第13回学 術集会 において発表 した.
稿を終えるにあた り,調査 ご協力いただいた皆様 に 深 く感謝致 します.
文 献
1)看護学教育の在 り方 に関す る検討会報告 :大学 におけ る看護実践能力の育成の充実 に向けて,文部科学省高 等教育局医学教育課,27,2002
2)高橋有里,柴田千衣 ・他 :医療の進歩 と看護 ニーズの 変化に対応す る 「基礎看護学」 の教育内容の検討 一基 礎看護技術科 目の分析か ら‑.岩手県立大学看護学部 紀要3:113‑120,2001
3)阿曽洋子 : 「身体侵襲を伴 う看護技術教育」を考える.
看護展望27(10):17‑22,2002
4)松田たみ子 :大学教育 における 「身体侵襲 を伴 う看護 技術」教育の実際 と課題. 看護展望27(10):23‑28, 2002
5) 日本看護系大学協議会広報 ・出版委員会編 :看護学教 育学生 ・教員 ・体制,7‑25,2003
6) ヘ ル シ ンキ宣 言 (2000年 版) :< 入 手 先 :http// www.med.or.jp/wma/helsinkiOO‑j.html>
7)厚生労働省 :臨床研究に関する倫理指針,<入手先 : http//:www.mhlw.go.jp/topics/2003/07/tpO730‑
2b.html>
8)患者の権利 に関す るWMAリス ボ ン宣 言 (1995年修 正 ) :< 入 手 先 :http://www.med.or.jp/wma/ lisbon.html>
9)村田勝敬, 矢野栄二 :EvidenceBasedMedicineの ための医学統計SPBSの活用方法,南江堂,2002. 10)内閣府政府広報室 :看護 に関す る世論調査.平成5年
版世論調査年鑑,115‑118,1993
TheAttitudesofNursingStudents'Guardianstowards lnjectionTechniqueLearningMethods
MakikoSasaki Norikolshii MakikoHasebe YukikoKudoh
CourseofNursing,SchoolofHealthSciences,AkitaUniversity
Inthisstudywecarriedoutasurveyintoattitudestowardsstudents'methodsoflearninginjectiontech‑ niquesheldbystudents'guardians.Thesubjectsofthestudywere240guardiansofstudentsat"A"nursing college.Questionnaireswerecollectedfrom 216participants(90% returnrate).
Theresultsofthisinvestigationdemonstratedthatthefollowingattitudeswereheldbystudents'guardト anS:
1.Itwasexpectedthatthestudentswouldattaintheabilitytocarryoutinjectionsbygraduation.
2.2.Itwasthoughtnecessaryforallstudents,eventhosenotholdinganursinglicense,tocarryoutinjections oneachotherinordertoobtainthenecessaryskills.