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雑誌名 奈良教育大学附属自然環境教育センター紀要

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Academic year: 2021

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

池の魚類生態系調査活動が生み出す地域の学びの場 : 魚たちが教えてくれたこと

著者 松山 豊樹

雑誌名 奈良教育大学附属自然環境教育センター紀要

巻 6

ページ 55‑60

発行年 2004‑03‑31

その他のタイトル A Learning Field Produced by an Activity of Investigating an Ecological System of Fish in a Pond : What We Learn from Fish

URL http://hdl.handle.net/10105/283

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池 の魚 類 生 態 系 調 査 活 動 が生 み 出 す地 域 の学 び の場 一魚たちが教えてくれたこと一

松 山 豊 樹

奈 良教 育大 学物 理 学 教 室

2生

Learning Field PrOduced by an Activity of lnvestigating an Ecological System of Fish in a Pond

-What We Learn from Fish-

Toyoki Matsuyama

Department of Physics, Nara University of Education

1.  は じめに

本学 の立地す る奈 良盆地 は大和文化の重要 な拠点であった。そ こに点在す る野池 は農業用水 の 貯水 に利用 されていた り、海のない本県 にあっては魚類 を育 む場 として、古 くか ら住民の生活 と 密接 に結 びつ いて きた。近年益 々加速 される世界規模 の環境破壊 の中で、地域住民が切実 に知 り たいのは身近 な環境 で起 きていることではないだろ うか。

我 々は、 身近 な環境 の一つであ る野池 で、その管理 を行 っている水利組合 と連携 し、地域の住 民 と共 同で調査活動 を行 って来た。その調査の学術的な成果は、松 山 (2003)及 び松 山。田中 (2003) によって公表 されている。

一方、 この調査活動 は様 々な教育実践の起爆材 となった。時 としてそれは我 々の想定 を越 える 範 囲に広 が って行 った。そ こでの体験 を鑑み るに、ぜ ひ とも環境教育の実践の記録 として残 し、

今後 の発展 の糧 とすべ きであ る との考 えに至 った。以下では、本学の授業 を活用 した教育実践、

大学 院生の修士論文指導、地域 との連携、地元住民 。高校生の協力 とい った観点 ごとに環境教育 の実践 を報告す る。

2.教 育実践 の試 み

野池、河川 は我 々の身近 な環境 の変化 を体感 させて くれる格好の フィール ドである。 さらに、

そ こで魚類生態系 の調査 を行 うことで、漫然 と見てい る環境 の変化の中に確 固たる法貝 1が 存在す ることを見 出す ことがで きる。それは将来の環境 をよ り良い状態 に管理 してい くための指針 を与 えて くれる。客観的デー タの採取 とそのデー タの科学的分析 を通 して、未来 を見つめるとい う教 育実践 の一例 を提示 で きれば と考 える。

(1)総 合演習

新規総 合演習の カ リキュラム開発 が、我 々の活動の 目標 の一つであった。そのため、当時すで に展 開 されていた総合演習「科学技術 の進歩 と人間生活」 (久 保、松 山、 中村 担 当 )の 受講生 か ら魚類生態系調査 に参加 して くれる学生 を募 った。 また、 この情報 を聞いて授業 とは全 く関係の ない学生が飛 び入 り参加 をして くれ、学生 4名 、補助 の大学院生 1名 、教官 1名 の計 6名 で調査 班 を編 成 した。安全性 を考慮 した とき、ち ょうど良い人数であった。

機材 の扱 い方の指導 な どの事前の準備 に、通常の時間割で 1か 月 をかけた。初めての試みなので

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安全性 にかな り留意 したのは言 うまで もない。本調査 は、何分 に も自然が相手で天候 に左右 され、

また時間を細切 れに切 って行 うのは効率が悪す ぎるので、終 日調査 を 4日 間に集 中させた。季節 的 に調査対象魚 は在 来魚、 中で も鯉 を中心 に した。

11月 中旬であったため、夕刻 にはか な り気温が下が つて寒 く、結構ハ ー ドな調査 となったが、

学生 たちは熱心 に調査 に参加 して くれた。おかげで全員が大型 の鯉 (50cmク ラス )を 捕獲 す るこ

とに成功 した。 ほ とん ど生 まれて初めての体験 であったため、大喜 びであ った。

捕獲個体 の体長 と体重 を記録 し、標識 をつ けて放流 した。時期 的 にか な り捕獲 が困難 だ ったた め再捕獲 はで きなかったが、資料か ら体長 と体重の相関曲線の作成 を行 った。それによる と、 こ の池の鯉の栄養状態 は標準 よ りは悪い と言 う結果 となった。

平成 15年 度 には、新規 の総合演習「飛 び出せ

│、

フイール ド探検隊」 をス ター トさせ た。 この 総合演習 は魚類生態系調査班 だけで な く、畑 での作物作 りの班、 ビオ トープ作 りをす る班 の計 3 班 か ら編成 されてい る。授業 の展 開時期 も天候 ・気温 な どの 自然条件 に配慮 して後期 か ら前期 に 移 した。総合演習の履修調整で は、履修希望者が大 き く増 えた。 しか し、他 の総合演習 の定員 を 埋 めるための調整作業で、我 々の総合演習 には結 局 13名 が配置 された。その うち 2名 が魚類生態 系調査 を担 当 した。

この年度 も前年度 と同様の メニュー を課 したが、そ こで痛感 したのは学生 によっては、調査作 業 に集 中 させ るこ とが極 めて困難 な場 合があ る とい う点 であ る。前年度 は、非常 に良 く作業 に集 中 して くれたが、その年 は、調査 を持続 させ るの に苦労が多か った。 この ような場合、学生の調 査へ の動機付 け を どの ように形成 した らよいのか と言 う課題が残 った。 こうした経験 を踏 まえ、

今後 もノウハ ウの一層の充実 を計 りたい。

(2)生 活科

生活科 は小学校低学年向けに設定 されてお り、生態学の高度 な専 門性 よ り、取 りあえず は生 き 物 との触 れ合いが優先 され る。 しか し、その触れ合 い を実現 させ るため に、教 師側 は対象 となる 生 き物 の生態 についてかな りの知識 を持 っていなければな らない。 さらに、生 き物 を捕獲 した体 験が ほ とん どない生徒 に、授業 の中で どうい う指導 を してい くべ きか、思 った よ り難 しい問題で ある。今 回、本学 の生活科 を履修分野 とす る学生対象 の本学 の前 田先生 の授 業の中の、河川での 魚類捕獲 の野外演習 に実際 に参加 させ て もらい状況 を具体 的 に見 聞 した。

前 田先生 の授業 で非常 にユ ニー クだ ったのは、魚類 を捕獲す るための釣具 を自作す る ところか ら始めている点である。竹やぶか ら竹 を採取 し、それに仕掛 けを付 けて釣具 とす る。昔の人たち は、専 門の釣具 メー カー もな く、 こうして 自作 を行い、 また、道具 に改良 を施 して独 自の漁法 を 生み出 して行 ったはずであ る。 ただ、短い授業時 間ではなか なか 自前 の道具で捕獲 を行 うのは困 難 な ようで、参加学生 はあ ま り捕獲が うま くいか なか った ようであ る。最後 は、前 田先生御 自身 が川 に入 り手づ かみで捕獲 していた。 これには、一同、大変驚 いた。

(3)附 属小学校 の生徒達 と共 に

近年、附属小学校 の生徒 が研究室 に遊 びに来 るようになった。 だいたい顔ぶれが固定 している のであるが、  4〜 10人 が放課後、なだれ込んで くる。いろいろ研究室内を物色 し様 々な質問 を浴 びせ て くる。物理学実験 の コンピュー タ演習 に参加 した りも した。

調査活動が始 まって しば ら くしたあ る 日、 この生徒 たちに衝撃が走 った。その ころ魚 に付 ける

標識 の魚 に与 える影響 や、標識 の脱落 までの期 間な どを調べ る水槽実験 を行 っていた。研 究室 に

大型水槽 を設置 し、 ライギ ヨとブラ ックバス を飼育 していた。それ を生徒 たちが見つ けたのであ

る。 もう、大騒 ぎで、特 に一見異様 な姿 を した ライギ ヨは大人気 であった。それか ら興 味深 い こ

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とが起 きた。 ライギ ョやブラックバ スの餌 は、基本的に生 きた小魚である。生徒 たちは、 日の前 で ライギ ョやブラックバスが生 きた小魚 を丸飲 みす るシー ンを目撃 して しまったのである。生 き 物が生 き物 を補食す る光景 に衝撃 を受 けた ようで、「かわいそ う」が最初の感想 だった。「食物連 鎖」 の説明 を し、普段 自分たち も意識 していないが生 き物 の命 を奪 って食物 を得ていることを話 す と、生徒 たちは何や ら神妙 な顔で考 え込んでいた。聞 くと見 るとでは大違いで、習 って頭で知 っ ている ものの、 日の前の捕食 シー ンは最 も明示的である。相当なイ ンパ ク トを生徒 たちに与 えた ようである。

その他 に も、飼育中に死亡 したライギ ョの解剖 を本学の松井研 究室の大学院生の指導の下、附 属小学校 の生徒 たちに見て もらった。本調査活動 を行 ってい る大学院生や調査 に協力 して もらっ ている高校生 に、 ライギ ョの生態の説明を して もらった。参加 メ ンバーを見た とき、通常ではあ り得 ない組 合わせの人たちが和気調 々で交流 している。そ こには何 の強制 もない。 これが、本当 の教育 なのだろうな との感 を強め、私 自身教 え られる思いであった。

(4)修 士論文指導

魚類生態系の調査 と未来予測 を、今回、教育学研究科理科教育専攻の大学院生の修士論文の課 題 に設定 し、その修論指導 を行 った。その成果 は前述 の ように松 山 。田中 (2003)に 譲 る。

修± 1回 生 では非線形科学の基本的手法の習熟 に務めた。ゼ ミ形式で、非線形現象 を数理モデ ルによって解析す る手法や、 よ り具体的に、採取 したデー タをコンピュー タを援用 して統計処理 す る方法 を学 ばせ た。 フィール ドの状況 を見 なが ら修± 1回 生 3月 頃か ら、実際 にフ ィール ドに 出てデー タの採取 を開始 した。調査 は天候 に依存す るが週 に 3回 以上 のペ ースでデー タ採取が行 われた。一 日のスケジュールは、魚の活性 に依存 して調整 される。寒い時期 は水温 の高い昼過 ぎ の時間帯、暑 い時期 は水温が下が った朝夕の時間帯 に調査の ピー クを持 って きた。朝 は早い時で

4時 か ら、夕刻 は 日没 まで調査 を実施 した。デー タは、その 日の うちにパ ソコンに入力 を済 ませ た。ねば り強 くデー タ採取 を続 けたが、  7月 後半か ら 8月 前半 には、暑 さのせいで外来魚の活性 が一時落 ちるが、 この間に外来魚の主食であるモ ツゴの個体数調査 を実施 した。 2回 生 の 9月 後 半 で外来魚 は反応 しな くな り、以降、調査対象の主力 を在来魚 に移 した。同時 に調査 デー タの解 析 を開始 し、  1月 半 ばには結果 を出す に至 った。

この課題 は、生態学、非線形数理科学、物理学、環境科学、等 々のい くつ もの専門分野にまた が り、非常 に総合 的な課題である。その意味で、各専 門の教官が密 に連携 で きる、教育学研究科 の利点 を最大限に利用で きる課題であると考 える。 また、近年の初等、中等教育での教科の総合 化 の需要 に即 した課題であ り、モデルケース として大変有意義 な研究であると考 える。多教科 を 横 断 した学際的な研究 は、益 々、重要度を高める もの と思われる。その ような研究課題 を開拓 し

てい く必要がある。

3.地 域 との連携

環境教育 を実践す る上 で欠 くこ とので きない重要 な要素の一つが この地域 との連携 である。今 まで述べ て きた成果 も、実 は、 この地域 との連携 な くして実現 しなかった。特 に、野外生態系調 査では地域住民の方 々に大変お世話 になった。

(1)水 利組 合、 自治会の協力

まず は、調査池の選定である。野池 は農業用水 の貯蓄のために地域 の水利組合で管理 されてい

る。決 して学術研 究 を目的 とした存在ではない。水量、水質 は、農業が最適 に営めるように季節

に応 じて調整 されてお り、場合によっては、池の水 を完全 に抜 いて しまうことがある。そ うなっ

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た ら生態系 は完全 に破壊 されて しまう。継続的な生態系調査 を行 うためには、単 に調査の許可 を 得 るだけでな く、地域住民 に調査の学術 的意義 に賛 同 して もらう必要があ る。その意味で、池の 選定 にあたっては、か な り慎重 に事 を運 んだ。最終段 階で、奈良市 内の鹿野 園町 と東 九条町 に所 在す る野池 に絞 り込み、水利組合 との交渉 に当た った。その際、大変お世話 になったのが、鹿野 園町水利組合 の木本馨組合長 と東 九条町水利組 合の竹村健組合長 であ る。両組合長 とも非常 に協 力 的であった。 当初、  2つ の野池の調査 を同時進行 させ ることも考 えたが、人員 と機材の不足 か ら無理 と判断 し、諸条件 を熟慮の上、最終的に東九条町の野池 を選定 した。以後、竹村組合長に は、並 々な らぬお世話 になって しまった。

(2)釣 り人たち

こうして始 まった調査 中、数多 くの地域住民の方 々 と交流す ることがで きた。 まず は、釣 り人 たち との交流 であ る。我 々が メイ ンターゲ ッ トとした外来魚 は、 フ イッシュイー タ魚 と呼 ばれ、

生 きた小魚 を主食 とす る。その習性上、ルアー と呼ばれ る疑似餌 でない と捕獲 で きない。 (当 初、

網 を投 入 して捕 獲 しようとしたが、池 の水 中に不法投棄 された大型 ゴ ミが多す ぎて、その方法 は 無理 であ った。 )こ ち らか ら、積極 的 に場所 を移動 してポ イ ン トにルアー を投 入 し、 ルアーで生 き魚 をイ ミテー トして魚 に食いつかせ る とい う動 的 な釣 りであ る。一方、 日本 で古 くか ら親 しま れて来た釣 りは、ヘ ラブナ釣 りに代表 され るように、一 カ所 に腰 を据 え、撒 き餌 を打 って魚 を寄 せ、場 を静 まらせ て釣 る とい う静的な釣 りである。動 と静、その特性 の違いのため、従来、両者 間 にほ とん ど交流 が発 生 しなか った。そ れ どころか、釣 り場 で トラブルが発 生す る事 が耐 えな か った。場 を静 めて、 さあ、釣 るぞ とい うときに、す ぐ側 にルアーがバ ンバ ン投 げ込 まれた り、

逆 に釣 れそ うなポ イ ン トをヘ ラブナ釣 り師が大挙 して占拠 し一 日中動 か ないためルアー を投入 で きない、等 々。今 回の調査池 に も、ヘ ラブナ釣 り師たちがた くさんいた。 しか し、学術的調査で あ る事 を説明 した ところ、実 に協力 的 に調査 を支援 して くれた。特 に、 この池 に 15年 以上毎 日の ように通 っているリー ダー格 の甲斐 さんか らは、様 々な貴重 な証言 を得 ることがで きた。毎 回、

調査 開始前 に挨拶 を交 わ し、その 日の状況 を教 えて頂 いた。 間近へ のルアー投 入 を快諾 して頂 い た り、数 々のポイン トを教 えて頂いた り、大型魚が ヒッ トした とき取 り入れの補助 を して頂いた り、数知 れずお世話 になった。何 も知 らない他の釣 り人が、ヘ ラブナ釣 り師 とルアーマ ンの この ような友好関係 を見た ら、首 を傾げることであろ う。

ただ、その後、水利組合 によ り池 は我 々の調査 を除いて全面釣 り禁止 とな り、以後、池で出合 うこ とはな くなった。

(3)ボ ラ ンテ イアたち

調査池 にはその他 に も様 々な人々が訪 れては、我 々の調査 に関心 を示 して くれた。特筆すべ き は、地元 の小学生、 中学生、高校生、それに不定期 な仕事 を している若者 たちである。釣 りとい う一種 の遊技 に楽 しみ を求 めて池 に来てい る彼 らに とって、その傍 らで捕獲魚 に標識 を付 けた り 体重、体長 を計 った り、記録写真 を取 った りしている我 々は、 当初 、異様 だ ったに違 い ない。事 情 を説明 し、彼 らが捕獲 した魚か らも、デー タを取 らせ て もらった りす る うちに、単 に釣 る以上 の意義が少 しずつ彼 らの中にも芽生えて来たようである。ついには高校生 には標識の付 け方、デー タの採取の仕方 を教 え、機材 も一部貸 し出 しして調査 に協力 して もらった。小学生、中学生 には、

安全面 か ら池へ は保護者 と来 ることや、釣 りをす る上 でのマナー を指導 した りした。池 での彼 ら

とのつ き合いは、実 に単純明快 である。大 人だ、子供だ、教官だ、学生だ、 は釣 りの前では一切

関係 な くなる。釣 った者が ヒー ロー なのである。以後、彼 らはある若者 を リー ダーに我 々の調査

をサ ポー トす る強力 なボ ラ ンテ イア・テーム となってい る。一年 目の調査終 了時 には、本学学部

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生、大学院生、そ して このボランテ ィア・テームが合同で池の清掃活動 を行 った。調査活動 を通 じて愛着 を持 った池 を彼 らは黙 々 と掃除 していた。

彼 らは、 この ような調査 を行 ってい る当研 究室 に興 味 を持 った らしく、研究室 を訪れて来 るよ うになった。そ して、物理学 の話 を聞いていった り、大学 院生 にコンピュー タの使 い方の指導 を 受 けた りした。彼 らの中には、必ず しも恵 まれた環境 にない子等 もいた。家庭 や学校 にいろいろ 大 きな問題 を抱 えていた りす るのである。詳 し くは述べ られないが、彼 らと相 当深 い ところ まで 話 を した こともあった。最後 には、 この研究室来れ るな ら奈良教育大学 に入 るため に頑張 ってみ て も良い とい う嬉 しい言葉 を聞かせ て くれた。本調査活動が生み出 した胸 を張れる大 きな成果の 一つであると確信す る。

4.ま とめ

今回の調査活動 は、魚類生態系 、特 に各種魚類 の個体数 を把握す るのが第 1の 目的であ った。

ところが、人 々が集い、協力が生 まれ、そ して池端や研究室 に全 く自発的に学 びの場が誕生 して しまった。池は工夫次第で格好の教材 になる。 これが魚たちが教 えて くれたことである。

最後 に、 もう一つ学 んだ こと、実 に残念 で はあ るが 目を背 けてはいけない現実 を述べ て結 び と したい。池 にはビン、 カン、ペ ッ トボ トルをは じめ、冷蔵庫等の家電品、 自動車用バ ッテ リー、

物干 し竿、消 火器、 タイヤ、 自転車、バ イク、等 々莫大 な量 の ゴ ミが不法 に投棄 されてい る。前 述 の ようにボ ランテ ィアの清掃活動 を行 ったが絶望 的な量 の ゴ ミであ る。バ イクな どは泥 に埋 も れてお り、大型 重機 で もない と除去 で きない有 り様 である。 これ ら全 ては、当然の こ となが ら 我 々人間が した こ とであ る。調査 の きっか け となった外 来魚 問題 に しろ、魚 を移動 させ た人間が 元 凶であ る。世界規模 の環境破壊 に しろ、そのほ とん どは人 間が引 き起 こ した こ とであ る。頭 で は分かっているが、実際 に池 を掃 除 して ものす ごい量の ゴ ミを目の当た りに した とき、愕然 とす る。

自然 を破壊 し多 くの種 を絶減 に追いやった人類が、今度は、 自らの身にその危機が迫 っている。

環境 問題 と銘打 って、その事実 を空洞化 させ てはな らない。環境教育 の実践 もまたその事実か ら 出発すべ きであ る。

謝辞

本研究 は、平成 14年 度奈 良教育大学学長裁量経費 プロジェク ト「地域 と連携 した奈良盆地の野 池 。河 川の魚類生態系調査 と環境教育教材 の開発」 の一環 として行 われた ものです。本 プロジェ ク トを支援 して頂いた大久保哲夫前学長、本 プロジェク トに参加 し助言 をして頂いた奈良教育大 学 附属 自然環境教育 セ ンターの前 田喜四雄先生、生物学教室 の松井淳先生、理科教育教室 の松村 佳子先生、物理学教室 の中村 元彦先生 に感謝致 します。野外生態学 の初歩か ら具体 的な調査機材 につ いてな どいろい ろ とア ドバ イス を頂いた奈良教育大学 自然環境教育セ ンターの鳥居春己先生 に感謝致 します。

調査 にボラ ンテ ィアで協力 して くれた、優 くん、 たか、かず、大 山君、蔵前君、 はや と、竹 内 君、稲葉君、大 串 さん、安 田 さん、土井 さん、絵美 さん、千頭 さん、名 も知 らない高校生、地元 住民、その他 た くさんの人 々に感謝致 します。

最 後 に、過酷 な条件下で共 に野池魚類生態系 の調査 を行い、常 日頃、議論 の相手 を務 めて くれ た田中淳君 に感謝致 します。

参考文献

松 山豊樹 。 2003.連 続 的標識再捕獲 の時系列解析 に よる個体数推定 の新手法 .奈 良教育大学紀

(7)

要 (自 然科学 ),52(2):1‑5。

松 山豊樹・ 田中淳。 2003.外 来魚が移入 された野池 の魚類生態系調査 と数理生態学的手法 によ

る未来予測 .奈 良教育大学紀要 (自 然科学 ),52(2):7‑18。

参照

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