• 検索結果がありません。

中学校家庭科被服領域における新しい教材提案

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "中学校家庭科被服領域における新しい教材提案"

Copied!
11
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

中学校家庭科被服領域における新しい教材提案

著者 田中 恒子, 中谷 和

雑誌名 奈良教育大学教育工学センター研究報告

巻 8

ページ 41‑50

発行年 1985‑03‑16

その他のタイトル An attempt to introduce coeducational

clothes‑teaching at the Junior high school.

URL http://hdl.handle.net/10105/4591

(2)

中学校家庭科被服領域における 新しい教材提案

田 中 恒 子・中 谷   和

(家政科)

An attempt to introduce coeducational clothes‑ teaching at the Junior high school.

by

Tsuneko Tanaka and Kazu Nakatani (Department of Home Economics)

Abstract

Coeducationl clothes‑teaching at a junior school was planned and attempted Considerable diffrences were observed on the effects of learning between boys and girls.The differences lie not only in their knowledge but also in their interest and desire of learning.

Based on this investigation authors will try to utilize Visual aid for cloth‑

ing teaching.

Key words : Coeducation, Clothes teachingt Visual aid

I 研究目的

中学生の衣生活事情及び衣服学習に対する興味と関心、着装に対する心理作用等についての現 状分析並びに消費社会における被服類の消費に関する諸状況と資料を基にして、被服領域での男 女共学を可能にする教育内容確立に寄与する教材開発を行うことである。

Ⅱ 新しい教材提案の動梯・背景 1 )男女共学疎外の現状

昭和56年度から実施された現行学習指導要領に依り、中学校技術・家庭科に男子にも家庭系列

4領域の中から最低1領域は履習させる、いわゆる「相互乗入れ」学習とそれに伴なう男女共学

が実現した。以来3年余、学習内容の精選や授業時間数の削減などの問題はあったが、男女共学

は一応定着し、成果がみられるo Lかし、男女共修の考え方には巾があり、その概念規定や内容

(3)

など共修の理念構造が不明確なために、食物領域を除く他の3領域(被服・住居・保育)では未 だに殆ど男女共学は実現していない。中でも被服領域における共学は最も困難とされ、男子にとっ ても学習価値の高い重要な領域であるにも拘らず、事実女子単独の履習形態が維持されており、

その学習内容も被服製作が圧倒的多数を占めている。このような実態の根底には、①被服製作に 限らず家事労働は女性の仕事とする男女役割の固定化思想と、それを容認してきた歴史的事象に 起因する誤った教育概念が存在していること、㊤被服領域の教育計画、指導内容の中に衣生活の 本質的内容が欠落していること。従って、実践教科としての認識が極めて皮相的にしか捉えられ ず、物作りの教科と勘違いされている、と云った傾向がある。

2)激動する社会情勢に対応出来る消費者教育の必要

近年の合成繊維工業の発達と繊維・織物加工技術の進歩により、衣生活の内容は著しく豊富に なり、便利で快適な着装が可能になった。同時に消費構造も高度経済成長とマスメディアの発展 によって高度化した。これに伴ない衣料の選択、着装、管理などの諸面で、人間性不在の文明が もたらす諸種の問題、例えば、衣料障害や健康障害が多発化し、深刻化してきている。このよう な社会的情勢の折、心身共に成長、発育期に当る、そして、未来の消費者である生徒に対して、

経済社会における消費の意義と立場を理解させ、着装の基本的概念に対する正確な知識と適正な 被服の選択、衣服設計のできる主体的能力と実践能力を養成することが急務と考えられる。

3) 生徒の衣生活認識能力の向上・育成

「主体的にたくましく生きる力」が最も強く要求される現代社会の中で、その必要性とは全く 逆に生徒・若者達の3無傾向が一般化しつゝある。つまり、自己中心、物質中心の剃郡的衣生活 志向が強く、衣生活を創り出していこうという本来の生活感覚、認識が薄れてきている。こうし た状況から、着実な衣生活観と漸新で弾力性のある着装感覚及び適応性のある衣生活力・創造力 育成のためには、今日の被服教育の見直しと対応策が必要である。

以上、3点から義務教育における被服領域での男女共学は重要課題であり、単一目標・内容に よる衣生活教育の早期実践が望まれる。当面は、各学校の実状に即して検討されねばならないが、

指導計画は勿論のこと、教材開発や指導方法の改善、工夫に努力することが肝要であろう。教師 の一方的、断片的な知識の注入を排除して、生徒自らが衣生活の現象を正確に把握し、着装の原 理を理解して主体的に衣服設計出来るように、指導計画が立案され、教材が用意されねばならな い。著者らは先に映像による学習の教育的効率が高いことを実証した。そこで、衣生活に関する

1)

事例を具体的に把握させる手段として、VTR、スライドなどの視聴覚利用による基礎的資料や 異体的資料などを活用するのが、校外見学や実験学習よりも、より有効であると判断した。

Ⅲ 研究方法

衣生活教育の目的である「何を、如何に、着るか」を映像によって修得させるには、映像化の 前に、生徒達の衣生活や着装及び被服学習に対する興味、関心などの実情把握が必要である。又、

男女共学の被服学習の効果を高めるためにも女子の場合と異なる男子生徒の種々の問題点の集約

が必要と考えられる。そこで、先ず、男女中学生を対象とした着衣実態調査と意識調査を行った。

(4)

中学校家庭科被服領域における新しい教材提案

次いで、調査結果を基にして、健康を維持、増進させるような着衣について考案させる資料を 映像化した。

1)着装に関する実態調査

調査は1983年6月と11月に奈良県生駒郡内で隣接する2つの中学校(S中学とH中学)の1年 生から3年生までの全員男子340名と女子333名計673名及び1984年9月本学附属中学校3年生 女子認名の合計711名を対象に行った。調査内容は次に示す6項目17細眉で、調査方法は無記名

による質問紙法を採用した。

① 着衣(組合せ、材質など)の実態

㊥ 着装に対する興味と関心の程度

③ 衣生活に対する認識と問題点

④ 家庭科被服学習における生徒の現状と認識

㊥ 既習学習についての知識の定着度

(り 被服学習の日常衣生活への実践度

調査分析結果については省略するが問題点を幾つか指摘することが出来る。例えば図1)−1

0    20    40    60    80   100%

S:S junior high schooI H:H junior high school

図1)−1 肌着着用状態

⊂コ with

閻 with out

E≡コindistinct

(5)

は肌着の着用状態を示しているが、学校間に差はみられるものゝ男女共に一年を通じて2割から 5割までが肌着(シャツ、スリップ、ズボン下など)を着用していないことがわかる。近年各年 令層別着衣構成に特徴が顕著であるが、若者に肌着離れが進行しているのもそのひとっである。中・

高校生が求めているのは「かっこよさ」だけの見かけのよさだけであって、健康で快適な衣服で はない。健康障害などには全く無関心であ 表1)−1 皮膚障害の内容別催患率      ることは中学生で既に被調査者の23%が足

(重複回答)% 部皮膚障害に躍っていることからも明らか

対 象 者 女  子 男  子

障 害 の 内 容 n =こ12 0 n ニ=4 2

水 虫 に な っ た 13 .3 3 1 .0

水 庖 ・皮 膚 が 剥 離 し た 4 1.7 43 .0

赤 くふ くれ た ユ8 .3 19 .0

か ゆ く な っ た 4 2 .5 3 1 .0

じ め じ め して 血 が 出 た ・ 3 5 .8 2 6 .0 悪 臭 が し て 皮 膚 が 柔 か く な った ユ7 .5 2 6 .0

そ  の  他 0 .0 5 .0

n:皮膚障害催患者数

である。表1)−1にみられるように重症 者はかなりの数に達する。靴下と靴の着用 時間増、症状の多様さからくる診断の誤認、

容体の軽視・放置などの理由で、今後益々 足部皮膚障害者は増加するものと思われ、

足部に限らず、身体各部の皮膚障害につい ても調査し、その対応策について、生徒達 に検討させることは今日的課題として意義 深いと考える。

2)スライド作製

着装に関する実態、意識調査の結果を検討して抽出された問題点を整理し、生徒にとって最も 身近な衣服に関する題材を設定し、それについての基礎的資料、具体的資料を映像教材としてス ライドにした。

(力 制服について

冬の上衣の型 中学校 ・男子制服

● b  l

中学 校 ・女子 制服

d ● l 。l

馴狛餌拍愉

図2)−1 制服の型と種類

表2)−1 制服指定に対する賛否の理由

賛否の別       理    由 賛否の別       理    由

賛    精神面     集団意識を養 う 否    精神面     没個性的である

( 芸 芸 拒 訂莞莞警 ( 窯芸 が ) 経 済 上 蓋 ; 三 重 曇 三豊 詰る

保 健上         機 能 的 でな い

華 美 に流 れる のを防 ぐ 不 潔 で あ る   ・

経 済上         経 済的 で あ る そ の他

そ の他

(6)

中学校家庭科被服領域における新しい教材提案

我が国では国民の大半が少年期又は幼年期から青年期にかけての長い期間、ほヾ毎日着用して 育つという、極めて主要な衣服が制服である。奈良県下の中学校の殆どは制服を定めている。図 2) ̄lと表2) ̄1は東京都の智学校を対象に制服の指定状況と制服に対する考えなどにつ いてアンケート調査された調査結果の一部を示したものである。これらは近視眼的見方でなく、

同年代の者が着用する衣服について、更に制服そのものについて、例えば制服制定の歴史的過程、

社会的背景、文化的背景など広範な内容にもふれ、制服の功罪を考究させるのに役立つと思われ る。果たして学校制服は機能的であるかどうか。図2)−1からも明らかなように中学校では女 子はセーラー服が最も多く、男子はつめ衿服が圧倒的に多い。着脱の難易性、衣服型による気候 調節作用などから考えて機能性に劣ることは明瞭である。又、学校制服の洗濯について調査した

2)

結果では、商業クリーニングに依頼する人が殆んどで、洗濯頻度は学期毎、つまり年3也が至極 当然となっており、衛生上好ましくないと云える。表2)−2は北里大医学部微生物学教室が全 同クリーニング環境衛上目司業組合連合会の依頼で行った調査結果で、制服1着から滅菌水5ゼ中 に洗い出した菌数を示す。この結果は如何に制服が汚れているかを生徒に認識させ、衛生観念の 育成に役立つ筈である。

表2)−2 女子用冬の制服の付着細菌数

培   地

一 学 期 着 用  後 ド ラ イ ク リー ニ ン グ 後 米

l  A    B    C D      E      F

ト リブ ト ソ イ 寒 天 培 地 好 気 培 養 l

j  5 ・8 ×1 0 4 14 ・0 ×1 0 4  6 ・9 ×1 0 4

5 .0 ×10 2 13 .5 )く10 2  8 ,5 × 1 02 嫌 気 培 養 i  7 .3 ×1 0 4 13 .5 ×1 0 4  9 .0 ×10 4 4 .5 ×1 0 2 16 .0 ×10 2  3 .0 ×10 2 G  A  M 寒  天 培 地

好 気 培 養 嫌 気 培 養 l

10 .8 ×1 0 4 13 .8 ×1 0 4   2 .7 ×1 0 4 1 .0 ×1 0 4  2 .3 ×10 4   0 .6 ×10 4

16 .5 ×1 0 2  2 0 .0 ×10 2  6 .5 ×1 0 2

[ 2 ・0 ×10 2  6 ・5 ×10 2 1 ・0 ×1 02 サ ブ ロ ー 寒 天 培 地 5 .0 ×1 0 4  7 .8 ×1 0 4   3 ,6 ×1 0 4 8 .5 ×1 0 2  22 .0 ×1 0 2 15 .5 ×1 0 2

*ドライクリーニング後20日室内に壁掛放置した状態

(郭 適正衣服の選択と衣料管理について

衣服の消費生活を円滑に行うためには、適正な衣服の選択能力と完全な衣料管理法が身につい ていなければならない。表2)−3は奈良県下における昭和58年度中の消費生活相談受付け件数 を、図2)−2は最近5年間の消費相談件数の中に占める被服品についての相談件数を集約した

3)

結果で、被服品についての相談、トラブルが増加傾向にあることを示しており、既習の科学・知 識(繊維製品品質表示、衣料管理用絵表示、デメリット表示等)が衣料消費生活に生かされてお

らず、家庭科教育における消費者教育の在り方に問題を投げかけると共に、より強力で徹底した

被服教育の啓蒙を示唆している。この他、幾多の関連教材スライドを用意することで、至適衣服

選択を容易にし、管理上のトラブルを減少させ得ることが出来よう。それは、消費者の権利を自

覚したかしこい衣生活経営者の早期育成を可能にするものと考える。

(7)

表2)−3 昭和58年度消費生活相談統計

総 合 計

商          品

役  務 生活「般 未 分 類 食 料 品 住 居 晶 光 熱 水 晶 被服 品 雑  品 土 地 ・住宅 小 計

受 付  件  数 2,4 72 4 7 9 4 64 1 6 3 55 4 6 6 9 9 1.8 7 9 2 6 1 3 2 5 7

うち苦 情相 談 9 0 7 7 7 1 74 10 2 3 1 2 07 6 2 7 6 1 1 1 5 3 0 1

南 ロロ口

項      目 受 付

件 数

内   容   別   該   当   数

安 全 衛 生

品 質

機 能 規 格 計 量

量 目 価 格 料 金

表 示 広 告 包 装

販  売

方 ・

契  約 サービス

ク リー

ニ ン グ 買 物 そ の 他 計

被 服 ロロ「l

計 3 5 5 9 13 4 1 1 4 2 0 24 9 1 1 2 8 7 3 2 4 6 0

和          服 4 4 1 1 2 1 25 1 1 3 5 3

洋         服 13 2 1 5 0 4 1 4 9 1 5 7 7 9 17 0

シ  ャ  ツ  ・ 下  着 4 9 1 9 2 1 1    4 6 24 1 4 6 2

他   の   衣   料 7 7 3 3 2 1 2 9 6 3 3 10 4 6 1 0 6

身 の ま わ り品 ・そ の 他 5 3 5 22 4 4 4 1 2 6 2 1 0 6 9

う  ち  苦  情  相  談 (2 3 1 ) 6 ) ¢6 ) (5 ) (1) (1 2) (1 2) (6 2) (1 塑 (5 ) (2 9 7 )

生活科学センター発行「消費生活相談のまとめ」より

最近5年間の比較

食 料 品

光      土役

熱      地      未 水      住      分 住 居 品 品 被服品  雑 品 宅務生活一般 類

496件 ( 99件 ) 。 冒 去 3); 紛 糾 轟 締 り

29・ 9 %       は 9  チ7 13・ 6 / 16・ 8  丹 2 5  12. 4 i l 525 件

( 87 件)

。 温 第 割 。 冒轟 錫 可

27・ 9 % . . ′ ′ ′ 19・ 6 , ノ ク1 ・ 5 ノ 2・ 6  18・ 2  ! 2・ 白 4・ 5 12・ 5 ; 盲

633件 。 鵠 撥 猥 l

709          74 144 30 1

(110件) ( 417 )     8 5)

l

0 乃 ( 6)

23. 5%           15. 5 1: 7  13, 3

1 26. 3      . 2. g 5. 4

′  ノ 11. 2 iO 500件 430

(138 )

503      84 247 33 2

( 91件) ( 234 )   ¢2)

l

( 1 13 ) q 8)

20. 1 %       17. 2 l・ 9 15・ 0    20・ 2  朋   9・ 9 ; 13. 3

4 79件 。 ‡‰ 収 用 l

466      99 26 1 325

( 77件) ( 207 )   6 2 ( 1 15 ) 8 0)

19,4%  18.8  0.6 14.4    18.8  4.0 10.6  13.1 0.3

1,657件……相談件数

(599件)…‥うち苦情

0.3日.相談件㌔数 の比率%)

1,881件

(529件)

2,693件

(904件)

,3

2.491件

(844件)

2,472件

(907件)

0       20      40       60      80     100%

生活科学センター発行「消費生活相談のまとめ」より

図2−2 相談総数からみた商品別割合

(8)

中学校家庭科被服領域における新しい教材提案

(初 皮膚障害について

衣服による健康障害のうち、衣料公害として最も指摘の多い皮膚障害についてと、衣服圧によ る障害例をスライドにした。32コマの映像は日本産業皮膚衛生協会や皮膚科医院の提供に依る臨 床例で、そのうちの11コマを写真1−11に示した。

写真2)−1

−ナイロン・ストッキングによる皮膚障害−

写真2)−2

−ゴム紐による皮膚障害−

(アレルギー性接触皮膚炎)

写真2)−3

−ベンジンによる皮膚障害(薬傷)

衣料による皮膚障害は、衣料の材質が直接 原因になって、健康な皮膚に湿疹皮膚炎症の 皮疹が生じる場合と、物理的刺激、例えば下 着やパンティー等の締めつけなどによる人工 ジンマシンのはか、材料の吸湿性や通気性の 不良などが原因で発生する皮表浸軟性皮膚症 など、種々の発生機序が考えられる。

写真2)−1は中年女性の両下肢、特に大 腿内側に痛棒性皮疹がナイロンストッキング の着用により発現したもので、ストッキング 着用を禁じて1ケ月後に完治したものゝ、以 後ナイロン製衣服着用時には同様皮疹が必ず 生じ、全身に拡大した例である。写真2)−

2はパンツのゴム紐が締まる部位にミミズ状 皮膚炎が発生した例で、ゴム紐の締めつけが 強い場合に圧迫摩擦による皮表の障害が生じ、

ゴム紐から添加された化学物質が汗や皮脂を 媒介として身体内部に侵入し、アレルギー性 皮膚炎となることが指摘されている。又、写 真2)−3はベンジンによる刺激性皮膚炎、

毒物接触性皮膚炎で、ベンジンは日常茶飯時 に汚れを落すために衿元や袖口などに使用さ れているが、完全に乾燥させてから着用しな いと危険であることをこの例は示している。

日本産業皮膚衛生協会(河合享三氏提供)

(9)

▼進行性指事角皮症 写真2)−4

写真2)−5

▼掌把膿癌症

写真2)−6

▼皮膚カンジダ症

写真2)−7

▼腹部白痴(たむし)

写真2)−8

▼址闇びらん型(ジクジク型)

写真2)−9

▼小水庖・落屑型(カサカサ型)

(10)

中学校家庭科被服領域における新しい教材提案

写真2−4から写真2)−9までは、いずれも被服材料の物理的性状のうち吸湿性、吸水性な どの水分に関わる性質と被服の組み合わせ方(着方)などの複合作用で真菌・白癖菌による皮膚 障害が発生した臨床例を示したもので、適正な被服の選択と、正しい着装の習慣および清潔な着 衣に留意することの必要性を印象づけるのに好適である。

写真2)一10 写真2)−11

冠入爪になった 足の親指

(高屋道子氏提供)

衣服圧が内臓の位置形態に及ぼす影響(藤田他、和洋女子大紀要)

4)

写真2)−10は加圧による胃の変形を示したもので、コルセットや着物の帯、ベルト等による 締めつけで上段写真左側の正常な胃が右側写真にみられるように胃高が5・3cmも伸び、巾は1cm 狭くなり、胃の先端部では下段右写真の矢印の部分のように形態は極端に細長くなる。これと同 様の現象は女生徒の大部分が使用している整形用ファンデーション着用によって生じ、呼吸運動 が著しく阻害されたり、肋骨弓の下部に変形が起り、そのために臓器に異常を来たし、健康障害 に陥ることが屡々ある。

5)

写真2)−11は足の爪の第二址寄りが肉にまで食い込んだ映像で、先の細い靴に部厚いソック スを履き続けたりすると現代の纏足になることを警告している。

以上、現代の中学生の意識に強く訴えるような印象的映像の作製に留意した。又、小学校にお

ける同一題材との関係を重視し、系統性・一貫性を持たせるように配慮するとともに他教科との

関連も充分検討し、学際的・総合的被服教材づくりにつとめた。教科書の抽象的な文章からは着

衣の本質を捉えていくような真の能力や前向きの姿勢は育成されそうにない。生徒自体の体験や

(11)

知識を文章に対決させ、反応させ乍ら考究するという動的プロセスが伴うことが必要で、その際、

映像教材は広範な異体的資料を提供し得る最も有効な手段であり、生徒の消費生活における世界 観を拡げ、多人数の集団での教育活動を可能にする点で優れており、心身の形成過程にある生徒 の基礎的知識と問題解決への主体的態度を養うのに大きく貢献するものと云えよう。

Ⅵ まとめ・今後への課題

この教材提案は万有する情報社会の中にあって、生活科学に基礎をおいた衣生活情報の伝達を 中心に、小学校からの被服領域内容の系統性、一貫性を考慮し、男女共学を志向して行ったもの で、衣生活々動を総合的に手身近なものから捉え、課題に気付き、実践的に解決できる創造的能 力育成に役立ち、今までの着衣に対するイメージは映像教材利用によって大きく変革され、理想 的な衣服追求へと生徒達を導くものである。

今後は、短期間で明確な結果のでない、効果の解りにくい着装実験やリスクの大きい人体生理 反応と被服との関係の実験などに、先端技術工学の成果を折り込んだ映像教材なども考案、作製

し、合わせてその実践効果を次の機会に期待したい。

引用文献

1)中谷 和・田中恒子:視聴覚機器の利用による技能教育の効率化、奈良教育大学教育工学センター研 究報告、第7号(1984.3)。

2)酒井豊子、三井紀子、学校制服の意味と功罪、衣服文化振興シリーズ、No4、衣服研究振興会、

り984.3)。

3)「奈良県消費生活相談のまとめ」、奈良県生活科学センター報告書、1980〜ユ984の5年間分10冊。

4)藤田とら他、衣服による内臓々器の変化、和洋女子大学紀要。

5)足立則夫、なぜ土を子供達から奪うのか、暮らしと商品の情報誌(たしかな目)、国民生活センター、

No.14、(1983.5)

参考文献

1)青山光子、自衛誌、7、3、4、p41、1953

2)被服と人体、日本人間工学会衣服部会編、人間と技術社、1970 3)川村一男・田口秀子、被服衛生学、建昂社、(1973)

4)衣料障害の現状と対策、日本皮膚衛生協会講演集。

5)技術・家庭科教育における男女学習の検討、愛知教育大学技術・家庭科研究会、(1982)

参照

関連したドキュメント

Ⅴ.治療に関する項目 1.効能又は効果 ··· <セチリジン塩酸塩錠5mg/OD錠5mg「サワイ」> 〔成人〕 アレルギー性鼻炎 蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症

 ニットの伸長性については,糸の曲げ,ねじれ,ついで糸のすべり,さらに糸が伸びて

4 血 液 内 科 消 化 器 内 科 皮 膚 科

ル苔癬、その他の神経皮膚炎、脂漏性皮膚炎、進行性指掌角皮症、その他

性の自覚+の具体的反応例として「家庭においてもこのようにコンピュータで食事分析

この1週間で、湿疹のため に皮膚の痒みがあった日は 何日ありましたか?

ば産業教育、職業教育、技術教育の性格を持つ可能性がある。

8%と大幅に増加した。浴衣の着