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学位論文審査の結果の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

( 資 源 循 環 学 学 専 攻 長 取 出 伸 夫

( 副 専 攻 長 木 村 哲 哉

む 証 明 )

{貫) ) 

、ム今−1I 

学位論文審査の結果の要旨

資源循環学専攻 松 田 智 子

教 授 梅 川 逸 人

⑮ 

ベ ヨ 雪 、

l 教 授 粟 冠 和 郎 審 査 委 員

jl 教 授 奥 村 克 純

可極

( |  

准教授 西 尾 昌 洋

建 屋 ♂

論 文 題 目 高品質かぶせ茶の生産技術開発と骨の健康に資する茶葉中成分に関する研究 (Improvement of production method for highqualityKabuse‑chaand study on 

useful components of tea leaves on bone health) 

︶ 出 回

具有

J

tt \一弘同

 

三重県茶業の振興,ならびに茶を通じた消費者の豊かな食生活,健康寿命延伸への貢献を目標とし,商品質 茶葉の生産技術,骨の健康維持に有効な茶葉および茶加工品の生産技術の開発に取り組んだもので,以下 の研究を実施した。

まず初めに,三重県の特産品であるかぶせ茶について,その栽培の特徴である遮光と茶葉中成分含有量の 関係を調べた。その結果,光環境によってアミノ酸,カテキンの一部,フイロキノンの含有量が変化し,また遮光 の方法によってそれぞれの含有量が異なる挙動を示すことが明らかになった。特に茶品質の指標の一つである アミノ酸でほ,三重県下でもっとも栽培面積の多い やぶきた の一番茶において,遮光開始すなわち茶樹の受 光量が減少してから5日後に含有量が最大になることを見出した。これを活用し,現行のかぶせ茶栽培の遮光 方法「14日間85%遮光」を改良し,「9日間85%遮光後98%遮光(85%遮光資材を二枚重ねにすることで実 現できる)5日間Jとすることで,収量を確保しつつアミノ酸含有量の高い茶葉が得られる技術として完成させた。

この技術は県下の生産現場に導入され,新たな商品へとつながった。

次に,茶の健康機能性に着目した。高齢化の進む現代日本において,高齢者が要介護になる原因の11.8

%を占める「骨折・転倒」を予防するため,健康機能の中でも特に骨の健康が非常に重要であると考えた。そこ で,茶葉中の骨への効果が期待される成分,エピガロカテキンガレート(EGCg)とフイロキノン(ビタミンK)につい て,これらの含有量の高い茶葉を得る栽培技術の開発を目指した。特に,茶菓中フイロキノンに関する知見はこ れまでほとんど報告されておらず,フィロキノン含有量は, 3業期以降は新芽の生育段階に関わらず一定の傾 向であること,茶期による差は大きくないものの二番茶において多い傾向にあること,上位葉と茎に少なく下位 葉に多いこと,遮光によって増加することなどを本研究で新たに見出した。この知見とEGCgの遮光に対する反 応を考え合わせると,遮光したうえ若芽で収穫することでフイロキノン, EGCg両方が高含有となると想定される が,フィロキノンを高めるためにはある程度遮光の期聞が必要になるため,含有量だけに注目して両方を最大に するという目標は達成が難しいと考えられた。そのため,これらの成分をどのバランスで含む茶菓がもっとも有効

(2)

氏 名 松 田 智 子

性が高いか明らかにすることの必要性が浮かび上がった。

そこで,栽培技術開発におけるスクリーニング、に,成分含有量だけでなくバイオアッセイによる機能性評価 を取り入れることを試みた。食品は多様な成分の集合体であるため,バイオアッセイによって含まれる成分の 相加・相乗効果や措抗作用なども加味して評価することは重要と思われるが,農業の栽培技術開発分野で はあまり取り入れられていないのが現状である。骨代謝は多様な細胞が関与しており複雑な相互作用が存在 するため,本研究で行ったバイオアッセイはその作用の一部のみに焦点を当てたものではあるが,「食品の総 合的な健康機能性評価」の実現に向けた第一歩を踏み出せたことは重要と考えている。本研究を起点とし て,農業の栽培技術開発の分野において食品の総合的な健康機能性評価を取り入れることでよりスピーディ ーな健康機能農産物の開発に貢献していきたい。

また一方で,茶が破骨細胞に及ぼす効果を調べる中で,茶抽出物およびEGCgがDCSTAMPの発現を増 加させるという学術的に新しい知見を見出した。破骨細胞においては茶抽出物およびEGCgの分化抑制効 果に影響を与えるもので時なかったが,細胞融合は破骨細胞以外の細胞でも様々な役割を果たしているた

め,この知見の活用のポテン、ンャルは高い可能性が考えられる。

最後に,食品を経口摂取する場合,食品そのものが高い効果を有していても,腸管から吸収されなければ

生体内で効果を得ることはできないことに着目した。健康機能性効果を有する食品の開発を行う際,含有量

I O

やそのものの機能性評価だけでなく,消化吸収代謝についても評価を行うことで,生体において効果の高い 食品が提案できると考えられる。これを確認するために,フィロキノンについて消化吸収に関する研究を行っ た結果,茶粉末の粒子径によって腸管からのフイロキノンの吸収効率が変化する可能性を見出した。このこと から,健康機能性効果を得るうえで消化吸収工程の評価が非常に重要であることが示唆された。

以上の通り,本研究では,研究成果起点の栽培技術を生産現場に導入するという一事例を実現し,一方 で健康機能性の総合評価のためのバイオアッセイの導入,消化吸収率の評価の導入を行い,今後,健康機 能性に着目した農産物の栽培技術開発をよりスムーズに行うための基礎的な知見を得ることを達成した。

本研究は,学術雑誌であるFood Science  and Technology  Researchにl編,茶業研究報告に1編が 提出者を筆頭著者として掲載されている。このように,本博士論文は博士(学術)の学位を授与に 値する優れた業績と認めることができる。

参照

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