レポー ト添削指導 に関する事例報告
《資 料》
レポー ト添削指導に関する事例報告
1 03
田 町 典 子
Abst ract
Thi si sar e po r to nt hec a s es t udyo ft her e po r twr i t i nge xe r c i s e, whi c h i sami xt ur eo fl e c t ur ea ndpe r s o na li ns t r uc t i o no fr e po r tc o r r e c t i o n;t o l e a r n ,t r y,ge tf e e d ba c k,a ndr e t r yl Sade s i r a bl ef r a me wo r kt ode ve l o p t hewr i t i ngs ki l l .Thi sr e po r ti nt r o d uc e st hec or r e c t i onc r i t e r i ao ff i ve c l us t e r s: (1 ) s pe c i f i c a t i on , (2 ) f o r ma ls t r uc t ur e , く 3 ) s uppl e me nt a l co mpo ne nt s , く 4 ) l o gi c a ls t r uc t ur ea nd ( 5 ) J apa ne s el a ngua ge ,and o ve r vi e wse a c hpe r f or ma nc ewi t hc a s ee xa mpl e s・
Keywords:r e po r twr i t i ng
,c o r r e c t i o nc r i t e r i a
,c a s ee xa mpl e so f c o r r e c t i o n
1.は じめに
想定外 とい うわけで もないが,大学 に赴任 して,学生の書 く文章 に頭の痛 い思いをさせ られている。経験 か らみて も,大学 を出て就職 したばか りの新 人たちの文章でさえ相当な ものだったのだか ら,学生な らまあ こんな ものな のだろう。我が身を降 り返 って も,指導教授 に付 くまではきちん と文章を書 く指導 をして もらった記憶 がない。初等 ・中等教育で も読書感想文やエ ッセ イは書 いたが,レポー トの指導はなかった。
しか し,事実や意見を文書で きちん と伝 える能力は,社会人 として不可欠
の技能である。 どこかで きちん と身につけるべ き技術であることは間違いな
い。昔な ら,新入社員は先輩や上司にいろいろ指導 して もらえたが,最近で は即戦力 としての働 きが期待 される。それに対 して大学は,その技能 を育成
しているだろうか。
卒論 に着手する段階になって初めて,この ような技能が全 く培われていな い ことが判明する。学生生活で相当数のレポー トを こな し,論述式の試験 も 潜 り抜け,単位 を獲得 して きたはずの学生たちが,であ る。考 えてみれば, レポー トや試験 は出 しっぱな しでフィー ドバ ックがない。読む指導教官の頭 痛の種 になるだけでお蔵入 りにな り,学生はレポー トを書いた という自信ば か りを積み上げてい く。 レポー トの書 き方の本を紹介 して も, 自信 と疑似成 功経験 を積んだ学生は 目を向け ようともしない。そ して卒論執 筆 に入 って初 めて, もはや基礎 を学ぶ時間的余裕 もないことに気づ く。
やは りもっ と早い段階で, レポー トの書 き方を身 につけさせ る必要がある に違いない。本を紹介するだけでは 目もくれず,輪読 させて も自分の担当部 分 しか頭 に入 らない学生が少な くないなかで,また,書いて も書 きっぱな し で しかない現状では,単にレポー トを提出させるだけではな く,添削 して修 正 させ る とい うフ ィー ドバ ックが必要だろう。ただ,この作業は指導側 もか な り負担が大 きい。なにしろ読むだけで頭の痛 くなるレポー トの方が多いの だ。 とはいえ, とりあえず既存の演習のクラスで試行 してみることに した。
以下は,その結果を取 りま とめた ものである。
2
.指導の枠組み1 )集合教育
テキス トを利用 して レポー トの書 き方を指導す ることは,①効率的な学習
のために整理 された知識を提供する,②後で必要 に応 じて参照する場合にも
有効, という利点がある。ただ,文章 を書 くことは一種の技術なので,具体
例 に即 して理解する,実際 にや ってみる, とい うプロセスが伴 って こそ身 に
レポー ト添削指導に関する事例報告
1 05
つ くといえよう。そ こで,今回の演習では,豊富な具体例,多 くの練習問題, 自習可能性を考慮 して,詳 しい解答例のついたテキス トを採用 した1。比較 的易 しいものを選んだつ もりだ ったが,難 しかった,知 らない ことが多かっ た, という学生の感想をみる と,妥当な水準だったのだろう。
2
)個人指導技能 を身につけるには 自ら経験することが不可欠である。このため,レポー トを提 出させ,添削 して, 自ら修正 させるサイクルを, レポー トの内容が一 定水準 に達す るまで繰 り返す。添削は,レポー トを受け取 ってなるべ く早い タイミング (1‑ 2日)でコメン トをつけて返却,1週間以内に修正 して提 出させ る枠組で行 う。これを
4
ヶ月の演習期間に3
回 (各月1
本)実施 した。今回の レポー ト指導では,文章 を書 く能 力に主眼を置いた2。そのための 手法 として,課題図書をベースに情報を整理 し,それを論拠 として結論 をま
とめさせた。
レポー トがレポー トであるためには,問題を設定 し,論拠 を示 して,結論 を述べ ることが不可欠である。問題意識を念頭 に課題図書を読 ませ るため, 初 回はあ らか じめ問題を設定 して レポー トを作成 させた
3
。2
回 目以降は, 各 自に課題図書を選定4
させ,問題意識 も各 自設定 させた。なお,確実 にレポー ト作成 ・修正を行わせ るために,締切 に減点方式 を設 定 した
5
。一方 ,添削に従 って修正 させ るので添 削終了時 には一定の レベル には達 しているはず, とい うやや楽観的な想定の下,達成度 についての評価1
浜田他( 1 99 7 )
2
資料 ・デー タの収集 ・分析手法については,今回の指導対象 としていない。3
課題図書はハフ( 1 9 8 3 ,Appe ndi x
1.参照)。問題設定は,Appe ndi x2.
の②③。4
リス ト( Appe ndi x 1.
参照)か ら選択 させ,重 な らないように調整。 これによ り盗作 を防 く小目的 もあ る.5 Appe ndi x3.
参照。は行わなかった
6 。
3
)集合教育 と個人指導 との連携テキス トで身 につけた知識や技術を レポー ト作成の経験 として習得 してい くことは効果が高い と考 え られるが,それには両者が有機的に連携されなけ ればな らない。 しか し,4ヶ月の演習期間では,テキス トで学習 した後で レ ポー トを作成す る時間的余裕がない。 このため,テキス ト未履修部分の指導 を添削で行 うことにな り,個人指導の負荷が高 くなる。学生に とって も非効 率であろう。 この点は改善の余地があ る (後述)。 ただ,テキス トで学習済 みの内容 について も,それを踏 まえた形では作成 されていないレポー トが多 いので,両者の連携 を改善することによって どの程度の負荷軽減になるか疑 問 もある。
4
)個人指導か らの脱落演習参加者は当初
2 0
名, うち1 3
名が単位を取得 した。脱落 した7
名の うち4
名は第 1回 レポー トを提 出せず,2
名は第 1回 レポー トで盗作が発覚 し た7
。残 り 1名は添削 に対す る修正 を途 中で放棄 した。7
名 とも,以後 は集 合教育か らも脱落 している。 このほか,1
名が第3
回レポー トを提出で きな かった8 。
個人指導は
1 4
名9
を対象 としていたが,それで も指導す る側の負担 として ははば限界に近い状態であった。今後 同様の演習を実施するとして も,人数 や レポー ト数な どを軽減せざるをえないだろう。6 実際には時間切れ (成績評価の締切 まで添削を繰 り返 して も合格 に至 らない)の レポー トもあ ったが,特に減点の対象 とは しなかった。
7 ‑万が他方の レポー トを盗用。
8
追加 レポー ト (添削対象外)を提 出 して最終的 に単位は取得 した ものの,個人指導 か らは脱落 した ことになる。9
途中で1
名が脱落。レポー ト添削指導に関する事例報告
1 0 7
今回の演習は集合教育 と個人指導の併用を基本 としていたので,レポー ト を提出で きなかった学生が集合教育か らも脱落す るのに任せて しまったが, 学生のスキル育成 とい う観点か らみる と,集合教育だけで も参加すればそれ な りの技能取得はで きたはずである。 レポー ト作成を単位認定の要件 とした ことによって,集合教育の機会をも失わせた ことは残念ではあ る。一方, レ ポー トを作成 させ添削に対する修正をさせる とい う,学生に とってかな り負 担の高い作業は,単位認定 に結び付けない限 り継続が難 しいであろう。その 意味で,単位認定や評価の方法 についてはさ らに改善の余地がある。
なお,盗作問題は最近の学生 レポー トにおいて大 きな問題である。今回は 提 出された
1 6
本の うちの2
本がほぼ同じ内容だ ったので容易 に発見で きた が,ウ ェブか らのカ ット アン ド・ペース トを行 っている場合は,本人が書い た部分 とよほ どレベルの違 いがない限 り識別 は難 しい。 レポー トの書 き方 を 学 ぶ演習なので,割窃や引用 についての考 え方 は丁寧 に指導 したつ も りだが,事前 に罰則を明示 してお く必要があるのかもしれない。
3. レポー ト添削の概況
1)・チ ェックポイン ト
レポー トの添削は,表
1
の項 目を中心に行 った。 ここではその項 目をさ ら に,( 1
)形式上の仕様,(2)構造化,( 3
)関連情報の記載方法,( 4
)論理構造,く
5
)日本語,に分類 した。添削を行 う都合上,( 2
)にあ る程度対応で きてい ない と( 4
)く5
)の指導は難 しい。 このため,まずく2
)についての指導 を先行 させ,全体構成がみえるようになった段階で( 3
)( 4
)く5)の指導 に入 った。く1)では,表
1
の項 目の うちの (1)を執筆前の段階で指示 し, ( 2)
は対応で きていないもののみ事後的に添削 した。( 2
)については,最初の段階 (第 1回レポー トの初回提出時)で対応で き ていた者は皆無だった。 日本語がお粗末で論 旨があやふやで も,せめて要所要所 にサブタイ トル (見出 し)があれば,何 を言 いたいのか想像で きる。そ こで,形式だけで も序論 と結びを独立 させ,残 りの部分は内容 ご とにま とめ て表題 をつけるよう指導 した。内容による文章のグルーピングは,重要 と思 われる文 (主題文) にアンダーラインを引かせ,主題文がパラグラフに対応 す るように整理 した うえで,関連パ ラグラフをグルーピングす るように指導 した。 ここまでやってある と筆者の意図がある程度わかるようになるので, 意味論や論理構造 を踏 まえての具体的な指導が可能になる。なお, この段階 での構造化は とりあえずの ものであ り,論理構造 に対応 した構造化の指導 は
く
4
)で行 った。( 3
)では引用 ・参考文献の提示方法が指導の中心 とな った。剰窃の問題 も あ り,集合教育で も個別指導で もかな り力を入れたつもりである。なお, こ の項 目以下は,レポー トフ ァイルに直接書 き込む形で添削を行 った。く
4
)では,問題意識 と結論が きちん と対応 し,その論証がわか りやすい形 で組み立て られ配置 されているか,論 旨は妥当か, とい う点に着 目した。特 に序論では, レポー トの位置づけ と問題意識 が明示 され 論証の方法 とその 流れが概観 されている必要 がある。 さらに, レポー トの内容がその概観 と整 合 している必要がある。 これ らは最終的にレポー トの存在意義 にかかわる問 題 なので,時間の許す限 り全体の整合性について指導 した。( 5
)については,基本的な 日本語の知識はあるが推敵が足 りないだけだ と 考 えたい。項 目( 2 2 ) 〜( 3 0 )
はレポー トのみな らず 日本語一般の問題であるが,( 3 0 )
以下 はレポー トに特有の要求である1 0
。接続詞の用法や句読点は,誤用 す ると文意が違 って くる。主語 と述語など係 り受けの関係が対応 していない と意味がわか らな くなる。逆接 が続 くと論 旨がわか らな くなる。いろいろな 意味に取れる文章 もあるし,同 じことの繰返 しで読む気が しな くなるもの も あ る。 レポー トらし くない表現を避ける訓練 も必要であろう。 これ らについ1 0
日本語 は暖 昧 さの 中に美 しさがあ るが, レポー トでは客観的 かつ誤解 を与 えず冗長 で ない こ とが求め られ る。レポー ト添 削指導 に関す る事例報告 1 0 9
ては個別具体的に指摘 しない となかなか認識 で きない面 もあるが,指導の結 果 として推敵の習慣 がつかない限 り,誤用は減 らない。
2
)添削の状況表 2は,学生が提 出何回 目で合格 したかをま とめた ものである。時間的制 約な どか ら未完の もの もあ るが,合格 までの提出回数は第 1回に比較 して第
2
回 と第3
回は 目に見えて減少 している。 これは,表3
に関連 して後述す る 通 り,く2
)構造化が身について きた結果 と言 えよう。また, この数値 には表 れていないが,レポー トの数を重ねる毎に論理構造な どについて より踏み込 んだ指導 を行 ったので,条件をそろえれば表 2の第 2回 と第 3回 目は必ず しも逆転 していない と見ている。
Ap pe nd i x4
は,表2
におけ る達成状況を,チ ェックポイン ト(1)〜く5
)毎 に整理 した ものであ る。ただ, 1)で も述べた通 り,(2)がある程度達成で き ない とそれ以降の指導が難 しい という事情 もあるので,必ず しもその項 目に 要 した添削回数を意味 しない。く
1
)形式上の仕様これについては,
1‑ 2
回の指摘ではば問題な く対応で きていた。事実上 見落 としレベルの問題だが,Wo r d
機能の習熟 もひ とつの要因である11 。
く
2
)構造化第
1
回 レポー トの初回提 出時 か らこれに対応で きていた者 は皆無 であ っ た。 1)(2)の個人指導でレポー トを構造化す る経験を積む と,次の レポー ト では,少な くとも形式的には,最初か ら構造化 された ものを書けるようになll 1ページの行数, 1行の文字数,行間隔,ページの挿入 とページ番号の位置などの指 定方法 を習得 していない者があった。また,ウェブなどからの コピーを多用 した結果,
ファイル形式を自分でコン トロールできな くなる例 もあった。
った。表
3
か らもわかる通 り, レポー トを重ねるご とに,構造化 にかかる回 数は減少 している。ただ,1)で も述べた通 り,ここでの構造化は形式的な も のであ り,意味論 か らみて きちん と構造化 されているかについては(4)
論理 構造の段階を待つことになる。個人指導においては,構造化 された レポー トというモデルを理解 させるの に難航 したケース もい くつかあ り,指導方法 には改善の余地がある とみ られ る。まず 自由に書かせてか ら添削を通 じて構造化 させる という手順で進めた ために,筆のお もむ くままに書 き散 らした ものを内容ご とに整理する とい う, かな り大変な作業を要 した。学生に とって最初のハー ドルだった といえよう。
その教訓 によるものか,第 2回 レポー トか らは,最初か らある程度構造化 さ れ整理 された文章 になった。
この ような手順は非効率であ り,短 い
(3‑ 5
ページ) レポー トだか らこ そ可能 といえる1 2
。一方,まず論理構造を作成 させてか ら文章 を書かせ る ト ップダウン方式のライテ ィング ・スキル1 3
を指導 していれば, この ような作 業 も不要だっただろう。 とはいえ,ひ とつには,最初の レポー ト作成段階で テキス トのその段階までの内容 をカバーすることは不可能であ った。集合教 育 との連携が重要 となるゆえんである。 もうひ とつには,書 きなれたエ ッセ イの ようなレポー トか ら決別する効果を期待 したのであ り,ある程度達成で きた とみ られる。(3)
関連情報の記載方法意見 と引用の書 き分け方 については,残 された問題が多い。①引用である ことを正直に明記す るコンプライアンスの欠如,(9引用 (文献の要約) と自 分の意見 (文献の見解 に賛成)の同一視,③引用である旨を明記する技術が 不足,の面で問題が残 った。
1 2
例 えば卒論では,まず 目次を作成 させない と収拾 がつかな くな る。1 3
照最華子( 2006)な ど参照。
レポー ト添 削指導 に関す る事例報 告
1 1 1
①では,文献やウ ェブを丸写 しにしなが ら引用の事実を明記 しようとせず, 引用を明記せ よとの指導を無視 し続ける例があった
1 4。
(参では,一時的には対応で きて も,次の レポー トでは身についていない こ とが露呈する例が少 な くない。
( 4
)とも関連するが,引用 と自分の意見の論 理的な区別に問題がある可能性がある。文献 を参考にしなが らエ ッセイを書 く習慣 か ら抜 け きれない1 5
とみ られ,また文献 を批判的 に読 む習慣 がない1 6
ことにも起因する。
③では,
( 5
)とも関連す るが,無理な形で引用 を明記 しようとす るためか えって文章が不整合 になった り,文脈がわか りに くくなるな どの問題が発生した。
く 4
)論理構造2‑2)で も述べた とお り,今回の レポー ト指導では,論拠 を示すための
情報収集を軽減するため,情報源 として課題図書を選択 させた。 これが仇 と なって,読書感想文 になって しまった例が少な くない
1 7。
1 4
留学生は 日本語 に 自信がないせ いか特 に引用を多用す る傾 向にあるが,本人 との 日本 語の レベルが違 いす ぎるので容易 に識別で きるし,識別で きれば,最近の優秀 な検索 ソ フ トのおかげで,原典を探 し出すのは難 し くない。 日本人学生 も幸 か不幸か 日本語の レ ベルがあま り高 くないので,識別 で きる場合 も少な くない。 この ような場合,基本的 に は引用であることを明記す るように指導す るが,応 じない場合 は盗作 として扱 うしかな いのだろう。1 5
特 に,最初 に参考 図書名を記載 し,以下 ほ とん どの紙面を要約で埋 め,最後の数行 だ け感想 を善 くとい う読書感想文ス タイルか らなかなか抜 け出せない。 この場合,引用の 要約を特 に引用 とは明示 しない癖 がついているので,全て筆者の意見であるかの ようにもみえる。
1 6
論証 のために都合 よ く引用を織 り交ぜて出 した結論 について も,本の著者 が書いてい るのだから著者の責任であ る (その内容をその論証 に使用 した責任 には 目をつぶって),と強弁する例 もあった。
1 7 Appe ndi x6. ( l l ) ( 1 3 )
参照。 タイ トル,序論 か ら既 に読書感想文 を書 くつ もりにな っ ている。レポー トであるには,問題‑論証‑結論の関係をはっきり意識 させ ること が前提 となる。第 1 回 レポー トでは こち らで問題 を設定 した 1 8 ので,結論
( 主張 ・意見)はそれな りに示 されていたが,論証は弱 く,単なる課題図書 の要約になっていた ものも少な くなかった。そ して,各 自で問題設定 をさせ た 1 9 第 2回 ・第 3回 レポー トでは,問題設定 も結論 も暖味なエ ッセイや感想 文 が出て きた。その結果,課題図書の情報か ら論証できそ うな問題意識 と結 論の組合せを捻 出す る,という面倒で邪道な作業が必要 になった 2 0 。しかも, 見かけの構造化の場合 と違 って, レポー トとしての論理構造の形成が最終的 に身についたのかどうかは定かでな い 21 。
ここでの指導のポイン トは,( ∋序論 ,( ヨパ ラグラフ,であった。①は,育 景情報 ・問題意識 ・全体構成 を含んでいること,問題意識は結論 と対応 し, 全体構成の記述はレポー トの構成 に対応 していることが求め られる。( 参は, 各パ ラグラフがひ とつの主題 を含み,前後のパ ラグラフ との関係が整理 され ている必要がある。 このため,パ ラグラフ自体を分割 ・統合 ・再編す る必要 が生 じる。 さらに,論 旨を判 りやす くするために,パラグラフの順序 を入れ 替 え,あるいはパ ラグラフの中の文章 を整理することも必要 となる。 これ ら の具体例 は App e n d i x6. に示 した。
1 8 Appe ndi x2.
参照。1 9
自分 な りに問題 を設定す る経験 は,学生 レポー トとしては有用 であ る。課題 図書 に示 されてい る問題意識 を活用 で きるため比較 的容易 と想定 したが,必 ず しも期待通 りでは なかった。2 0
このため,例 えば( 1 4)
問題意識 と結論 の対応 (結論 は問題意識 に対応 してい るか) に ついては,既 にあ る結論 や論述 に見合 う問題意識 を後 か ら作 り上 げて序論 に書 き込む こ とになった。21 Appe ndi x5.
をみ る と, レポー トの回数 を経て達成時の提 出回数 が少な くなっているよ うに見 えるが,実際 には( 4 )
はく2
)を達成後 に指導 してい るので,差 し引 きす る と効果 は あま り認 め られない。レポー ト添削指導に関する事例報告
1 1 3
く
5 ) 日本語
日本語 として問題があるものは もちろんだが, レポー ト指導 として重要な のは, ( 28) 暖味な表現 (日本語 として暖味な文章 はないか) , ( 33) 冗長な表 覗 ( 簡潔 ・明快な文章 になっているか)であ る。 これに対応で きて初めて,
( 4 ) 論理構造の問題点が認識で きた例 も少な くない。その意味で, レポー ト の存在意義 にもかかわる項 目と言 える。
Appe ndi x7 . に主要項 目の添削例 を示 した。意味が全 く変 わって しま う 誤用 も少な くない。
推敵が足 りないための誤 りも少な くないが,具体的な修正例 を示 さない限 り修正できない例が多いのには驚かされる。一方,修正例を示す と,例えそ れが間違 っていて も気づかずにそのまま丸写 しにする例 も多 く,添削の手法 に限界 を感 じる。添肖帽旨導 によって推顧す る習慣 がつけば救いはあるが,か えって推敵 しない習慣を助長 しているのではないか との不安 もある。
4. 指導の枠組みに関する問題点
1 )集合教育 と個人指導の連携
理想 とするプログラムは,① テキス トで学び,②身につけた内容をレポー ト執筆で実践 ,③それに対 して添削を行 ってフ ィー ドバ ックし修正 させる,
④ その繰返 しによって レポー トを完成,⑤その経験を踏 まえて別の レポー ト を書 く, とい うことである。 これを数回繰 り返 してレポー トを書 く技術を身 につけることが望ま しいのだが, 4 ヶ月の演習期間では時間が足 りない。集 合教育 と個人指導を並行 させなが ら,集合教育で間に合わない部分 を適宜個 人指導で補 うしかないが,それでは指導の負荷がかな り高い。 とりあえずの 中間的な措置 として,テキス トとは別 に,す ぐ使 えるノウハウ集の ような も のを提供することが考 えられるのではないか。
また,単位取得 との関係で個人指導をあ る程度横並びで行 うことになるた
め,進捗が遅 く積極的でない学生は途中で放棄 して しまいやすい。その際に 集合教育だけで も継続 させ ることには,個人指導の継続のインセンテ ィブ と の横並びで考 える と限界がある。
2)構造化のための トップダウン ・アプローチ と逐次修正アプローチ
3‑2)で も述べた通 り,書 き流 したものを後で構造化する という手順は
非効率である。 レポー トの本来あるべ き姿 として,まず問題設定を行い,情 報収集 ・分析 しなが ら論拠提示の構造 を決定 していけば, この ような問題 は 発生 しなかっただろう。 また,卒論 をは じめ,将来 に向けての経験 として も 有用であるに違 いない。
しか しなが ら今回は,演習期間 とい う時間的制約か ら,①情報収集 ・分析 の部分を捨象,(∋課題図書の選択 と並行 して 自分で問題設定を行わせ る, と い う枠組みを設定 した。 ここでく
2
)構造化の指導 に要 した時間を考慮すると,トップダウン法による構造化の指導にはさらに時間を要するとみ られ る。そ の場合,
4
ヶ月の演習期間中に複数の レポー トを作成 させ ることは困難 とな ろう。学んだ ことは使 ってみない と身 につかない, とい う点を考慮すれば, 改善の方向 としてぼ悩ましい ところである。3
)事実 と意見を書 き分けるこれについては
3‑2)く 3
)で述べた。特 に(参の,これまでの読書感想文 の経験2 2
か らであろうか,文献の内容 と,それに基本的 には賛成であ る自分 の意見が論理的に区別できない, とい う点については指導が難 しい。文献 を 批判的に読む習慣を身につけさせ ることが重要であろう。一方,①の剰窃問題 については, レポー トの書 き方の指導で もあるので, 罰則を明示 し,それをきちん と適用すべきであろう。その観点か らも,②③ の指導は重要 になる。
レポー ト添 削指導 に関す る事例報 告
1l l ‑ )
5 .おわ りに
本稿の執筆 に当たっては,平成
1 7
年度長崎大学学長裁量経費の支援を受け た。 ここに謝意を表するものである。 さらに,事例を提供 して くれた学生た ちに謝意を表する。なお,本稿
Appe ndi x
で掲載 した事例は,わか りやす さのため,修正段階 の異なるものを編集 した ものが少な くない。 また,修正案は示 した ものの改 定版が提出されなかった もの も含まれていることをお断 りしてお く。 これ ら の事例の編集 について,一切の責任は筆者 に帰す るものであ る。参 考 文 献
(1)浜 田麻里 ・平尾得子 ・由井紀久子
( 1 99 7 )
『大学生 と留学生のための 論文 ワークブ ッ ク』 くろしお出版(2
)木下是雄( 1 9 81 )『
理科系の作文技術』中央公論新社 (3)木下是雄( 1 9 9 4 )
『レポー トの組み立て方』筑摩書房(4
)小笠原書康( 2 0 02 )
『大学生のためのレポー ト 論文術』講談社(5
)吉 田健正( 1 99 7)
『大学生 と大学院生のための レポー ト ・論文の書 き方』 ナカニシ ャ出版(6
)戸 田山和久( 2 0 02 )
『論文の教室』 日本放送出版協会(7)石坂春秋 ( 2 0 0 3 )
『レポー ト .論文 ・プ レゼン スキルズ』 くろ しお出版(8
)照屋華子( 2 0 0 6 )
『ロジカル ・ライティング』東洋経済新報社(9
)倉島保美( 2 0 0 3 )
『論理的な文章が 自動的に書ける !』 日本実業出版社( 1 0 )
西村克己( 2 0 0 6 )
『論理的な文章の書 き方が面 白いほど身につ く本』中経出版22
読書感想文 では,著者の心情 に何処 まで寄 り添 えるかが評価 され るため,文献の内容 と自分の意見 ・心情 が一体化 して しまう。表 1 レポー ト添削のチ ェックポ イン ト
く
1 ) 形式上の仕様 (1)用紙サ イズ, 1ページの行数, 1行の文字数 ,フ ォン ト, ( 注
1)ページ番号,表題 ,執筆者名 ( 注 2)
(2 )パラグラフの形 ( 注 3)
く 2 ) 構造化 (3 )序論 .本論 .結びの明示的な区分
(4 )章 .節 を建 て,見やすい形の表題 をつける ( 注 4) (5 )階層化 :表題 に番号をつける
(6 )全体構成がわか りやすい章建てになっているか
く
3)関連情報の記 (7 )意見 と事実 . 引用 が明示的 に書 き分け られているか ( 注 5) 載方法 (8)参照 . 参考 に した文献 . ウ ェブサ イ トの記載はあ るか ( 注 6)
(9 )図表 には表題,引用番号 ,出典等 が記載 されているか ( 注 7) ( 1 0 ) 注釈の記載 は一貫 してい るか ( 注 8)
く 4 ) 論理構造 ( ll )表題 は内容や問題意識 を表わ しているか ( 1 2 ) 序論 に問題意識 と背景情報が示 されているか ( 13) 序論 に全体の構成 が示 されてい るか
( 1 4) 結論 は問題意識 に対応 しているか ( 15) 結論 は論証 されたか
( 1 6 ) 結論 を導 くために妥当な論理構成 ( 章建て)とな っているか ( 1 7 ) 表題 ( 章 . 節な どの)は内容を よ く表現 してい るか
( 18) 各パ ラグラフの主題は明確 か ( 注 9) ( 1 9 )パ ラグラフ間の関係は整理 されているか ( 20 )論 旨はわか りやすいか
( 2 1 )文脈は論理的か
く 5 )日本語 ( 2 2 ) 常体 と敬体 が混在 していないか ( 23) 接続詞は適切 か
( 24)逆説の接続詞が連続 しないか ( 25) 句読点や括弧の位置は妥 当か ( 26 ) 主語 と述語 は対応 してい るか
( 27 ) 日本語 として不整合な文革 はないか ( 28 ) 日本語 として暖味 な文章 はないか ( 29 ) 誤字脱字がないか
( 3 0 ) 適切な語が使用 されてい るか ( 症l o )
(3
1 ) 口語的表現 が多 くないか ( 注
11)( 32 ) 主観的 . 情緒的な表現が多 くないか ( 注 1 2 )
( 注 1 )異なる仕様 もあ りうるが,この事例ではこの様式を採用。
( 注 2)Wo r d , 日本語横書 ,A4 縦 ,3‑5 ページ ,1 ページ 3 6 行 ,1 行 4 0 文字 ,1 0. 5 ポ
イン ト ,MS 明朝体,ページ番号を下中央に入れる。表題は先頭行にセンタリング,
履修番号 と著者名は右寄せ, 1 行空けて本文を開始する。
レポー ト添 削指導 に関す る事例報告 i l Hi
( 注 3 )パラグラフの先頭を1 文字下げる,パラグラフ問は空行を入れない。
( 注 4 )表題の前を 1行空け,表題を太字 ・ アンダーラインなどで見やす くするなどの工夫 も含む。
( 注 5 )引用は 「 著者名 ( 発行年
)」の形で明記。参考文献 リス トをつけない場合は初出箇 所に書名 ・ 著者名 ・ 発行年 ・ 発行元,を記載。
( 注 6 )文献 リス トを作成 し,文献については書名 ( 論文の場合はその表題 ・ 掲載誌名な ど を含む) ・ 著者名 ・ 発行年 ・ 発行元,ウェブサイ トについてはタイ トル・ 作成著名 ・ サ イ ト名 ・ ア ドレス・ 最終アクセス 日時,を記載。ただ し件数が少ない場合は,本文 または脚注での対応 も可 ( 文献 リス トを添付 した レポー トは少なかった) 。
( 注 7)該当な し ( 図表を使用 したレポー トはなかった) 。
( 注 8 )該当な し ( 統一を必要 とするほど多 くの注釈を含むレポー トはなかった) 0 ( 注 9 )各パラグラフがひとつの主題で構成されるよう,分割 ・統合 ・再編する。
( 注 1 0) 専門用語には適宜注釈を入れることを含む。
( 注1 1 )論文 ・ レポー トに馴染 まない語や言い回し,体言止や倒置を避ける。
( 注 1 2 ) 「 私 」 「 筆者」の多用,強調表現や定性的な修飾の多用を避ける。
( 注 1 3 ) 冗長な文,同 じ語の繰返 しな どを避ける。文脈を極力シンプルにする。
表
2レポー ト合格 までの提 出回数 の変化
提 出回数 レポー ト Ⅰ レポー ト
Ⅱレポー ト
Ⅲ学生 A 5 6 4
学生
B4 4 3×
学生
C7 3 1×
学生
D5 6 4
学生
E6 3 5
学生 F 6 3 4
学生 G 6 2 ××
学生
H2× 4× 3
学生 Ⅰ 3 3 4
学生 J 9× 4× ××
学生 K 7 3 3
学生 L 6 4 4×
学生 M 6× 6 3×
学生
N5 4× 6
( 注)
××は未提出,数値 ×は未完。平均値は未完分を除 く。
表 3
く構造化〉の達成 状況 の変化 (達成時 の提 出回数 ) 提 出回数 レポー トⅠ レポー トⅡ
レポー トⅢ学生A
2
1 1学生B
4 3
1学生
C 4 1 1
学生
D 3 2 1
学生
E 2 3 1
学生
F 2 1 1
学生
G 3 1 ××
学生H
2× 3
1学生 Ⅰ
3 1 1
学生
J 3 1 ××
学生
K 5 1 1
学生L
3 1 1
学生M
6 4 1
学生N
3 4 4
(荏)
×
×は未提 出,数値 ×は未完。平均値 は未完分を除 く。Appe ndi x 1
.課題図書 リス ト第 1テーマ (全員共通
,1 0
月末締切)(1)ダレル ・ハ フ
( 1 9 8 3 )
『統計でウソをつ く法』講談社ブルーバ ックス 第2
テーマ (以下か ら選択,
11月末締切)(1)大竹文雄
( 2 0 0 5 )
『経済学的思考のセンス』中公新書 [経済図書館](2
)楠木俊詔( 2 0 0 4 )
『家計か らみる 日本経済』岩波新書 [中央 ・経済図書館](3)佐藤俊樹
( 2 0 0 0 )
『不平等社会 日本‑ さよな ら総中流』中公新書 [経済図書館](4
)山田昌弘( 2 0 0 4 )
『希望格差社会』筑摩書房 [経済図書館](5
)三浦展( 20 0 5 )
『下流社会一新たな階層集団の出現』光文社新書 [中央 ・経済図書館](6
)丸山俊( 2 0 0 4 )
『フ リー ター亡国論』ダイヤモン ド社 [経済図書館](7)小杉礼子
( 2 0 0 3 )
『フ リー ター という生 き方』勤草書房 [経済図書館](8
)楠木俊詔 ・森剛志( 2 0 0 5 )
『日本のお金持ち研究』 日本経済新聞社 [経済図書館](9
)高橋伸彰( 2 0 0 5 )
『少子高齢化の死角一本当の危機 とは何か』 ミネルヴ ァ書房 [経 済図書館]( 1 0 )
藤本健太郎( 2 0 05 )
『日本の年金』 日経文庫 [経済図書館](ll)鈴木厚
( 20 03 )
『日本の医療 に未来はあるか』ち くま新書 [経済図書館]( 1 2 )
水野肇( 20 0 6 )
『医療は どこへ向かうのか』草思社 [経済図書館]( 1 3 )
宇都宮健児( 2 0 02 )
『消費者金融一実態 と救済』岩波新書 [中央 ・経済図書館]( 1 4 )
山田真哉( 2 0 0 5 )
『さおだけ屋はなぜ潰れないのか』光文社新書 [中央 ・経済図書館]( 1 5 )
小笠原書康( 2 0 05 )
『議論のウソ』講談社現代新書 [経済図書館]( 1 6 )
森暢平( 20 0 3 )
『天皇家の財布』新潮新書 [経済図書館]
レポー ト添 削指導 に関す る事例報 告
11 9
( 1 7 )
笠原英彦( 2 0 0 3 )
『女帝誕生‑危機 に立つ皇位継承』新潮社 [経済図書館]( 1 8 )
金賛汀( 2 0 0 4 )
『朝鮮総連』新潮新書 [経済図書館]( 1 9 )
三土修平( 2 0 0 5)
『靖国問題の原点』 日本評論社 [経済図書館]( 2 0)
上坂冬子( 2 0 0 6 )
『戦争 を知 らない人のための靖国問題』文春新書 [経済図書館]( 2
1)木佐芳男( 2 0 0
1)『戦争責任 とは何か』中公新書 [中央図書館]第
3
テーマ (以下か ら選択,1 2
月末締切)(1)何清漣
( 2 0 0 2 )
『中国現代化の落 とし穴一噴火口上の中国』草思社 [経済図書館](2
)関志雄( 2 0 0 5 )
『中国経済q)ジレンマー資本主義への道』ち くま新書 [経済図書館](3
)ジャスパー ・ベ ッカー( 1 9 9 9 )
『餓鬼 (ハング リー ・ゴース ト)一秘密にされた毛沢 東中国の飢薩』中央公論新社 [経済図書館](4
)アン ドリュー・
S ・ナチオス( 2 0 0 2 )
『北朝鮮飢餓の真実‑ なぜ この世 に地獄が現 れたのか?
』扶桑社 [経済図書館](5
)今村弘子( 2 0 0 5)
『北朝鮮 「虚構の経済」』集英社新書 [経済図書館](6
)川上和久( 2 0 0 4)
『北朝鮮報道 情報操作を見抜 く』光文社新書 [経済図書館](7)呉善花
( 2 0 0 0 )
『韓国併合への道』文春新書 [経済図書館](8
)島敏夫( 2 0 0 6 )
『中東世界を読む』創成社新書(9
)保坂修司( 2 0 0 5 )
『サウジアラビア』岩波新書 [中央 ・経済図書館]( 1 0)小杉泰 ( 1 9 9 4 )
『イスラーム とは何か』講談社現代新書 [中央図書館](ll)石井彰 ・藤和彦
( 2 0 0 3 )
『世界を動かす石油戦略』ち くま新書 [経済図書館]( 1 2 )
ジ ョセフ・E
・ステイグ リッツ( 2 0 02 )
『世界を不幸 にしたグローバ リズムの正体』徳間書店 [経済図書館]
( 1 3 )
ウ ィリアム ・イースタ リー( 20 0 3 )
『ェコノミス ト 南の貧困 と闘 う』東洋経済新報 社 [経済図書館]( 1 4 )
レ‑チ ェル ・)レイス ・カーソソ( 2 0 04 )
『沈黙の春』新潮文庫 [中央図書館]( 1 5 )
高橋裕( 2 0 0 3 )
『地球の水が危ない』岩波新書 [中央 ・経済図書館]( 1 6 )
中村靖彦( 2 0 0 4)
『ウォーター ・ビジネス』岩波書新 [中央 .経済図書館]( 1 7 )
モー ド ・バーロウ( 2 00 3 )
『「水」戦争の世紀』集英社新書 [経済図書館]書
y
[経済図書館]( 1 9 )
最上丈二( 2 0 0 2)
『バイオテロ と医師たち』集英社新書 [経済図書館]( 2 0 )
竹 田いさみ( 2 00 6 )
『国際テロネ ットワークー アルカイダに狙われた東南アジア』講談社現代新書 [経済図書館]
( 2
1)ダグラス ・ファラー( 2 0 0 4 )
「テロ・マネー‑ アルカイダの資金ネ ッ トワー クを追 っ て』 日本経済新聞社 [経済図書館]( 2 2 )
高木徹( 2 0 02 )
『戦争広告代理店一情報操作 とボスニア紛争』講談社文庫 [経済図 書館]Appe ndi x2
・第 1回 レポー トに求め られた内容① 課題図書の要約
② 今後あなたが統計 を見る場合に,最 も注意すべ きと考 える点 (∋ 今後あなたが統計資料を作成する場合に,役に立つ と思われる点
Appe nd i x3.
演 習 の評価 基準項 目
配
点 内訳
集合教育への出席
2 0
点 欠席 1回に付 き3
点減点 (3
回まで) レポー ト作成 一修正2 0
点×3
本 締 切1
日遅れに付 き 1点減点 (修正 も含む)Appe nd i x4.
添 削によるチ ェックポイン トの達成状況 (達成時の提 出回数)学生
レポート
提 出回数 仕様く1 )
構 造化く2 )
引用等く3 )
く4
序論)論 理構造 (他注) く一般 5
)日本語 (論文注)A Ⅱ Ⅰ 5 6 2 1 2 1 3 2 3 2 4 6 5 5 3 3
Ⅲ 4 1 1 1 4× 4 3 4×
B Ⅱ Ⅰ L 4 l 1 1 4 3 3 4 4× 4 4 2 4× 3 3 3
Ⅲ 3× 2 1 2 2 3 2 2
C Ⅱ Ⅰ 7 3 2 1 4 1 5 1 3 3 6 2 7 3 7 3
Ⅲ 1× 1× 1 2 1 1 1× 1×
D
Ⅱ Ⅰ 5 6 1 1 3 2 4 1 3× 2 4 5 5 3 5× 1
Ⅲ 4 2 1 2 1 2 2 4
E Ⅱ Ⅰ 6 3 2 1 2 3 3 3 4 2 5 3 6 3 3× 6
Ⅲ
5 2 1 3 1 5 4 4
F Ⅱ Ⅰ 6 3 1 1 2 1 3 1 3
16 3 6 3 4 3
Ⅲ
4
11 4
12 3 2
G Ⅱ Ⅰ 6 2 4 1 3 1 5 2 2 2 4 2 6 2 6 2
Ⅲ ×× ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑
H Ⅱ Ⅰ 4× 2× 2× 3 2× 3 2 3 ‑ 4 ‑ 4 ‑ 4 4× ‑
Ⅲ 3 1 1 2 2 2 3 2
Ⅰ Ⅱ Ⅰ 3 3 2 1 3 1 3 2 3× 3 3 3 3× 3 3 1
Ⅲ 4 1 1 1 2 4 2 1
∫ Ⅱ Ⅰ 9× 4× 2 1 3 1 4× 9 3 2 4 1 4× 4 4× 1
レポー ト添 削指導 に関す る事例報 告
1 21
K Ⅱ Ⅰ 7 3 4 1 5 1 4 3 4 2 5 3 7 3 5 1
Ⅲ 3 2 1 1 1 1 2 1
L Ⅱ Ⅰ 6 4 2 1 3
14 2 3 2 4 4 5 3 5 3
Ⅲ ‑ 4× 2
12 1 3 3 3
M Ⅱ Ⅰ 6× 6 3 2 6 4 6× 6 6 6 3 5 6× 3 6× 2
Ⅲ
3× 1 1 3× 1 3 3 3
N Ⅱ Ⅰ 4× 5 3 2 3 4 4 4 5× 3 4× 5 5× 4× 5 3
(注 1)
×
×は未提出,数値 ×は未完。(注
2
)数値 は学生が何回 目の添削で達成で きたかを示す。必ず しもその項 目達成 に要 し た添削回数を意味 しない。( 注 3
)く4
)論理構造では,「序論」 が( l l )( 1 2 )
,「他」がそれ以外。( 5
)日本語では,「一
般」が
〜( 3 0 )
,「論文」が( 3
1)〜。Appe ndi x5
・く論理構造〉の達成状況の変化 (達成時の提出回数) レポー トⅠ レポー トⅡ
レポー トⅢ
学生
A 3 2 4×
学生
B 4× 4 2
学生
C 3 3 1
学生D
3× 2 1
学生
E 4 2 1
学生
F 3 1 1
学生
G 2 2 ××
学生H
2× 4 2
学生Ⅰ
3× 3 2
学生
J 3 2 ××
学生
K 4 2
1学生L
3 2
1学生
M 6 6
1学生
N 5× 3 2
(注)
×
×は未提出,数値 ×は未完。平均値は未完分を除 く。App e nd i x6 .
く論理構造 〉の指導例(ll)表題は内容や問題意識を表わ しているか
第
1
テーマは共通の課題図書を使 ったが,レポー トの問題意識 を体現するような表題 は少ない.また②では, レポー トを読書感想文 と同等 と認識 していることが露呈 した。① 表象 としての表題
統計でウソをつ く法
,
「統計でウソをつ く法」 について,基礎ゼ ミ題1
テーマ,第1
テーマ 「統計でウソをつ く法」,第 1テーマ 「統計でウソをつ く法」 レポー ト,ダレ ルハフ著 『統計でウソをつ く法』についての要約 と見解(参 いかにも感想文 という表題
「統計でウソをつ く法」の感想
,
「統計でウソをつ く法」についての感想,ダレル ・ ハ フ著 『統計で嘘 をつ く方法』 を読んで,ダレル ・ハ フ著 『統計で嘘をつ く方法』を読 んで
③ 内容を感 じさせ る表題
統計 にだまされないために,私 たちは統計 にだまされていた,統計 を信 じるか信 じ ないか,統計を活用するための知識 と方法,統計のウソを知 る
( 1 2 )
序論 に問題意識 と背景情報が示 されているか( 修 正 前)
第2
次世界大戦以後 か ら2 0
世紀後半 にかけての,大戦 による荒廃か らの速や かな復興の勢 いに乗 り, 日本をは じめ として開発の成果 を上げた国々は,その成果 を 詣歌 し,それ に伴 う生活水準の向上 を満契 した。 しか しそれは人間の節度を欠 いた活 動であった。 1 9 70
年代以降,環境問題が先進 国を中心 に重大な課題 とな り,地球の水 問題 も強 く意識 され るようになった。都市化,工業化 と共 に世界的に蔓延 した河川や 湖沼の水質悪化,人 口急増 に間に合わない水の供給が,各地 に深刻な水不足 を発生 さ せた。高橋裕の 『地球の水が危ない』( 2 0 0 3
、岩波新書)ではこれ らの水問題について述 べている。本稿では, 日本の水問題 について焦点 をあててみてい く。 まず,上述文献 を もとに 日本の水問題 について要約 し、解決策を検討 した うえで,著者の考 えを述べる。
(コメン ト) 背景情報だけで問題意識 が明示 されていない。
( 修 正 前)
本稿 では,中村靖彦著 『ウ ォー ター ・ビジネス』( 2 0 0 4
,岩波書店)について の要約 と考察 を行 った。最近 コン ビニな どで販売 されている飲料の中に, ミネラルウ ォー ターの割合が増 え て きている。今まであま り注 目されていなかった ミネ ラルウ ォー ターが,なぜ今にな って注 目されているのだろ うか。 また,大量の ミネラルウ ォー ターの販売は地球環境 に影響 を及ぼさないのだろ うか。 これ らの疑問を持 った ことが,今回 この文献 を選 ん
レポー ト添削指導 に関する事例報告
1 23
だ理 由であ る。
中村
( 2 0 04 )
は,世界各国のボ トル ・ウ ォーター市場の違 いにも触れなが ら,ウ ォー ター ・ ビジネスをい うものが現在 どの ような状態 にあるのかを検証 している。そ してその実態 を明 らかにしてい く過程 を通 して,水 というものが一体誰の ものであるのかを考察 している。(コメン ト) 序論 に書 くのは,文献を選んだ理 由ではな く問題意識であるべ き。
(修 正 後) 近年 ,コンビニエンスス トアな どで販売 されている飲料の中に,ミネラ)L'ウォー ター の割合が増 えて きている。水が当た り前の ようにお茶やジ ュースな どと一緒に店頭 に並ぶ こ
とは,数年前では考 えられないことである。
今 まであま り注 目されていなかった ミネラルウ ォー ターが,なぜ今にな って注 目されてい るのだろうか,そ して,本来公共で使われるべ き水をビジネスに用いて よいのだろうか。
本稿では,中村靖彦著 『ウ ォー ター ・ビジネス
』( 2 0 0 4
,岩波書店)についての要約 と考察 を行い,早 くか らウ ォーター ・ビジネスが行われている他国の例 も挙げなが ら,日本のウ ォー ター ・ビジネスの現状 とその将来性 について論 じる。そ して,ウ ォー ター ・ビジネス と水の 公共性が共存で きる方法を考 え,水に対する意識を高める必要があ ることを提唱す る。( 1 3)序論に全体の構成が示 されているか
(修 正 前) 小林
( 2 0 03 )
は,フ リー ターに関する独 自の実態調査を行い,調査分析 し,デー タ をもとに実態 を書 き下 ろしている。それに基づ き,思った こと ・感 じた ことを綴 ってい く。(コメン ト) (レポー トではな く)感想文を書 くつ もりの前書 き.
(修 正 前) 以下 ,何清漣
( 2 00 2 )
を参考 にしなが ら,現在の中国経済 と政治の光 と影を検討 し よう。(コメン ト) ほ とん どな きに等 しい全体像。
( 1 5 )結論 は論証 されたか
(修正後 :丸数字 は筆者)Ⅰ.は じめに
近年, コンビニエンスス トアな どで販売 されている飲料 の中に, ミネラル ウォー ターの割 合が増えて きているO水が当た り前の ようにお茶やジ ュースな どと一緒 に店頭に並ぶ ことは, 数年前では考 え られないことである。
今 まであま り注 目されていなかった ミネラルウ ォー ターが,なぜ今にな って注 目されてい るのだろうか,そ して,本来公共で使われるべ き水をビジネスに用 いて よいのだろうか。
本稿では,中村靖彦著 『ウ ォー ター ・ビジネス
』 ( 2 0 0 4
,岩波書店)についての要約 と考察 を行い,早 くか らウ ォーター ・ビジネスが行われている他国の例 も挙げなが ら,日本のウ ォー タ一 ・ビジネスの現状 とその将来性 について論 じる.そ して,ウ ォー ター ・ビジネス と水の 公共性が共存で きる方法を考 え,水に対す る意識を高める必要があることを提唱す る。Ⅱ. 日本のウ ォーター ・ビジネスの現状
( 1 )
なぜ,いま水なのか (略)( 2 )
世界のボ トル ・ウ ォー ター市場 (略)( 3 )
アメリカの水争い (略)( 4)
地下水源は大丈夫なのか日本の地下水源で, (中略)圧倒的に使用量が多いのは,化学工業や紙加工品製造 な どである。 しか し,将来的にミネラルウ ォーターの生産量が増 える可能性は高いため, 水の資源量を常に点検する必要はある。
( 5 )
水は一体誰の もの貴重な水源が一部の企業 に独 占されて しまう可能性 も十分にある。
この問題 を解決す るための方法 として,企業側だけでな く,地域住民 にも環境保全 の負担 をして もらうというのが一例 として挙げ られる。 (中略) この ように, ミネラル ウ ォーターの需要が高まった として も,環境 を維持で きる方法 を探 していかなければ な らない。
I I I.
今後のウ ォーター ・ビジネス日本のウ ォー ター ・ビジネスは今ますます広 がってい くと予測す る。 しか し, 日本 もいずれは例 に挙げたフランスの ように,市場が成熟 してい くであろう。
そ こで,① 日本の企業 もアメ リカの大手飲料 メーカーの ように,海外への販売 を積 極的 に行 うべ きであ る。 日本人 に 「エビアン」 な どの硬水を好 む人がいるように,港 外に も日本の軟水を好む人が数多 く存在するはずである。
しか し,水 とい うものは人間に とって必要 な ものであ り,その全てをビジネスに し て しまうの には疑問がある。最低 で も,②水の公共性 だけは保 つ必要 があるのではな いだ ろうか。 そのために,企業,そ して我 々が協力 し,すべてが共存 で きる手段 を考 えてい く必要 があるだろう。③その具体的な案 は無知 な筆者では述べ ることがで きな 生 型, この問題 を基 に,④水 に対す る意識を高めてい くことが,今後 の解決策への第 一歩 となる と考 える。
(コメン ト) ① については Il(2)が論拠 となっている。(参は Il(3)〜 (5)で論証 された ことに したいが,海外 と日本では水事情 が違 うこと,水需要 の うちボ トルウ ォーターだけ考 えて も全体像 が見 えない こ とを考 える と,改善の余地 がある。③ は,提案がで きない のな ら序論の方 向付 けの部分で 「方法 を考 え」 とするのに無理 がある。④は序論 と結 論で繰 り返 しただけだが, とりあえず対応 している。
( 16 )結論 を導 くために妥当な論理構成 (
章建て) となっているか( 修 正 前)
序論
(中略)本稿では,関志雄の 「中国経済のジ レンマ‑ 資本主義への道
」 ( 2005.
筑摩レポー ト添 削指導 に関す る事例報 告
1 2 5
書房)を用いて,まず急成長を遂 げる中国は どの ような問題を抱 えているのか焦点を当 ててい く。次に,問題点の 1つであ る格差問題 について具体的な事例 を挙げ,詳 し く 述べ る。最後 に,格差問題 を改善すべ く政府が行わなければな らない課題を挙げてい
く。
1.中国が直面す る
1 0
の問題 (略)2.
中国の貧困 と格差問題 (略)前文で挙 げた
1 0
の問題点の中で,筆者は,現在危機 的状態 にある中国の貧困問題 に ついて焦点を当てた。以下では中国の貧困問題 について詳 しく述べてい く。① 都市 と農村の格差 (略)
② 東部 と西部の格差 (略)
③ 貧富の格差 (略)
この ように,現在の中国ではさまざまな格差問題が起 こってお り,拡大 し,固定化 しつつあ ることがわかる。中国経済の不公平化 がますます進 む と,いずれは,中国で の反政府の革命が起 こる可能性 も秘めている。
3.
結論(中略)中国政府 は,これまで採 って きた効率一辺倒の戦略 をあ らため,公平 にも目 を配 る,「全面的な小康社会」の建設 とい う戦略 を打ち出した (関 .
p 1 9 7 )
。 しか しなが ら, これだけでは不十分で, (中略)「法の支配( r u l eo fl a w)
」,民主政治採用,農業 分野の充実,貧困地域の社会保障の充実,所得の再分配による貧富の格差を是正す る ための制度 を取 り入れてい く必要がある。(コメン ト) 格差問題 が主要 テーマであるな ら 10の問題 を漠然 と列挙 し詳述す るのは無 意味O これを入れ るな ら,その中で格差問題がいかに重要 か,他の問題 に どう影響 を 与 えるのか とい うような関連付けがあ るべ き。 また,格差が固定化 しつつあ る点につ いては論証 されていない。
(修 正 後) 序論 (略)
1.現代中国の諸問題 (略)
2.
中国が直面す る格差問題 (略)① 都市 と農村の格差 (略)
② 東部 と西部の格差 (略)
③ 富裕層 と貧困層の格差 (略)
④ 格差の固定化 (略)
⑤ 格差問題の危険性 (略)
3.
格差問題の改善 (略)(∋ 農業問題の改善 (略)
(参 地域間q)所得格差の是正 (略) (9 企業 と政府の癒着改善 (略)