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熱海市小売価格統計調査について

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(1)

熱海市小売価格統計調査 について

    はじめに一調査の背景 と意義

1部 平成9年度熱海市小売価格統計調査の概要

調査の概要

調査結果の処理 について

分析のための指数について

地域差指数算出方法の変更点 2部 調査結果 と分析

東京都区部 と比べた熱海市の物価水準 は2年連続で低下

熱海市物価の対全国平均 は

104.1、

2年連続で低下

(1)総

合指数 とその動 き

(2)他

都市 と比べた熱海市の物価

費 目別 にみた熱海市の物価水準

(1)熱

海市の物価 は何が高いのか、安いのか (2対全国格差の動 き

(3冶料

(4)住

居 (5)水 道・ 光熱

(6)家

具・ 家事用品

(7)被

服・ 履 き物類 (8凛健医療

(9)交

通・ 通信 00教 αD教養娯楽 C21諸 雑費

3部 付表

付表1‑1〜10 熱海市の小売価格 と物価水準 付表2      熱海市の消費者物価地域差指数

は じめに一調査の背景 と意義

本稿の目的は、1995(平7)年度か ら1997(平9)年度 にか けて熱海市が実施 した「熱海市小売 価格統計調査」の結果を紹介 し、地方自治体 の物価政策 の意義 と役割 についての検討の素材 を提供する

ことである。

静岡県熱海市 は、周知のように全国に名 を知 られた温泉観光都市であるが、近年では他の観光地 との 競争激化や長引 く不況、伊豆群発地震などの要因による観光客の低迷 に悩 まされている。 また同時に熱 海市は、長期的な人 口数の減少 (1965年 の 54,540人 をピークに1998年では 46,000人 まで減少

)、

近隣 他都市への大型店進出に伴 う購買力の流出、物価高な どの問題 を抱 えている。特に物価高への対策 は、

1994年9月 の熱海市長選挙 において、市民、とりわけ女性有権者の強い声 とな り、川口市雄市長が5大 公約の一つにせぎるを得ないほど、市政の大 きなテーマ となっていった。

‑93‑

(2)

とはいえ、物価 は、基本的には民間の市場経済の原理 に委ね られる問題であり、行政が直接関与でき るのは公共料金の決定や、市場の効率的な機能 を妨げる独占的な価格形成の排除などに限られることは 言 うまで もない。その他に物価政策 としては、インフレーションと景気の管理 を目指す伝統的なマクロ 的な財政・ 金融政策 に加 え、近年では、規制緩和 による内外価格差の是正などミクロ的な価格政策 も活 用 されているが、 これ らはあ くまで中央政府の権限ゆえに可能な物価政策である。

物価問題への自治体の取 り組みは、全国の都道府県や市町村の市民課や消費生活の担当部署で実施 さ れている。 しか しその内容 は、モニター制度 による物価の監視や、主要生活物資の毎月の価格調査など が中心であ り、いかに物価水準が高い地域で もそれに対する有効な政策手段 を持っていないのが現状で ある。カルテルヘの疑惑など仮 に問題があるケースについては、独占禁止法に基づ く排除が可能である が、一般的に言って、「物価 は基本的には民間の問題である」という原則論 を乗 り越 えて、消費者行政が 市民の世論 を背景 に商工行政 を凌 ぐだけの力を発揮するケースは、 日本の現状では少ない。そして市民 もまた、自治体の物価政策 の限界 を知 っているか ら、物価高に強い不満 を持 ってはいて も、地方自治体 に対 して物価対策 を直接期待するということも多 くはなかろう。

もし以上のような認識が仮 に正 しい とすれば、1994年の熱海市市長選挙 に際 し、物価対策 を市政 に強 く期待 した市民は、常識では考 えに くいことを市政 に期待 した ことになるし、それを受 け止め物価対策 を市政の重要な柱 と位置づけた熱海市政 も、極 めて難 しい決断をした ことになる。その理由は何だった のか。

前者、すなわち市民が物価対策 を市政 に期待 した理由は、市民が 日常の買い物行動 を通 した業者の価 格設定への不信感が出発点になっている。例 えば、距離 も時間 もわずかの近隣の他の諸都市のガソリン の価格が 100円 台であるのに対 し、熱海市では 120円 台であるなど常 に20円前後の差があるとか、熱海 市で唯一の大型スーパーであるヤオハ ン熱海店 (現在 はセイフー熱海店)の新聞の折 り込み広告の商品 価格が、やは り新聞折 り込み として入って くる同一系列の西隣の町の店舗であるヤオハ ン函南店の価格 に対 し、かな り高 く設定 されていること、野菜や果物などが近隣他都市のスーパーのそれ と比べて極 め て高い価格であること、などである。こうした現状 に対 して熱海市の消費者は、「週末 に他都市の大型店 に自家用車で買い物や食事 に出かけ、途中でガソリンを入れて帰 る」、といった消費パターンが増 えてい ると言われているが、消費者 としては、 これは当然の合理的な消費選択行動であろう。

熱海市民が物価対策 を自治体 に期待 した背景 と理由は、次の3点に要約できる。

1は、 どこの地域で も存在する大型店 と中小小売店の競争 と対立 をめぐる問題が、地域間の問題 に なっていることである。近隣他都市 (東の湯河原町や小田原市、西の沼津市や二島市、函南町、南の伊 東市)への大型店の出店が、近年急速 に増加 した ことによって、大型スーパー

(ヤ

オハ ン熱海店)の 格設定 も含めた市内業者全体の価格設定への不信感がつの り、大型店 と中小小売店の価格の差異が、「市 内の物価 は高 く、他都市の物価 は安い」といった地域的な価格の差異 として市民 に映 りやすい構図になっ ていることが、市政 に対 し、市民が物価対策 を期待 した大 きな背景である。 この場合、熱海市内の唯一 の大型スーパーであった旧ヤオハ ン熱海店 も、市内小売店 に気兼ね してか地元商店街 とあまり差異のな い値段、近隣他地域の系列店舗 より高めの価格設定 をしているのではないか、という市民の不信感 を買つ た ことが、大型店 と中小小売店の対立軸 を地域間の対立軸 にした もう一つの要因である。

2は65歳以上の高齢者比率が22.2%(1995年『国勢調査報告』。静岡県平均は14.8%)と、人口 の高齢化が他の地域 よりも速 く進行 し、20年後の超高齢社会の姿に既 に近づいている熱海市 において、

若い世代のように、気軽 に自家用車で他都市へ買い物 に行 くといった消費行動ができない高齢者世帯が 増 えていることも、物価問題 を熱海市の地域問題 としているもうひ とつの背景である。

3は、観光地 とい う熱海市固有の物価問題があることである。例 えば熱海市の消費者 は、市内のい わゆる「青物」である野菜や果物の価格が、近隣都市のそれよりもかな り高い水準であるという認識 を 持 つてお り、同時に、熱海市の八百屋の多 くが売 り上 げの半分以上 を旅館やホテルの食材 として納品 し、

その支払い手形の割引料など熱海市固有の商習慣のコス トが消費者 に通常 より高い店頭価格 として上乗

(3)

せ されているのではないか、 といった、不信 と不満 を抱いていることである。 また、ガソリン価格や外 食価格が高いことについて も、観光地であることで一見の観光客へ向けた価格設定のあお りを地元消費 者が受 けているのではないか という不信がある。高いガソリン価格 に象徴 される価格設定の仕方が、観 光客の熱海市 という地域への不信 を招 きかねない という危惧 を抱いている市民 もいる。 こうした熱海市 の業者の営業姿勢への疑問や不信 も、物価問題 を地域の問題 として市民が提起 した背景である。

物価対策 を市政の課題 として市民か ら提起 された熱海市 は、これを正面か ら受 け止め、1995年度か ら 次のような主 に3点の対策 に着手 した。(1)物価担当の専任参事 を企画部 に置 く。(2)物価問題懇談会

(消費者団体代表、業者団体代表などか ら構成。座長筆者)を設置 し、消費者 と業者の意見交換 と相互 理解 を深めなが ら、物価高の要因を把握 し、対策 に向けての提言を作成する。(3)「熱海市小売価格統計 調査」を実施 して、「 どのような費 目あるいは品目が どの くらい高いのか」を把握 し、議論の共通のベー

ス となる客観的なデータを収集する。

1995年度か ら1996年度 にかけた物価問題懇談会では、消費者か らは不満が、中小業者か らは苦境が出 され、時には厳 しい意見の対立があったが、2年間の議論 を重ね る中で、相互の理解 と信頼が深 まった 面 もあった。1997年度か らは、例 えば商店街連合会 と商工会議所などの業者団体が市内の商店 に価格 を 下 げて顧客 を増やす行動 を呼びかける一方で、消費者団体 はそれに呼応 して「市内で買い物 を」 と呼び かける「商業祭」(毎月第1金曜 日)も始 まった。

本来、「 自由放任」と自由競争 を旨とする市場メカニズムに対 し、あたか も逆 らうようなこうした熱海 市の業者 と消費者の行動、それを支援する市政の考 え方の基礎 には、共通の危機感が存在 している。

それは、 もし熱海市の物価高を放置 して このまま事態が進んで熱海市か ら消費者の購買力が流出して 商店街が寂れると、現在観光の主流 となっている家族や友人の少人数づれの観光客 を引 きつける「魅力 ある買い物や、食事ができるお店」 といった観光資源が失われ、基幹産業である観光産業 と熱海市の将 来 に致命的な打撃 を与 えかねない、 という危機感である。物価問題 は、熱海市にとって消費者の問題で あると同時に商店街振興の問題であ り、さらに、熱海市の観光産業 と街づ くりの将来全体 に係わる問題 であるという認識が、あえて自由放任の市場原則 と市場 メカニズムに逆 らうような熱海市政、物価対策 を地方自治体が本腰 を入れて取 り組む という経験 に駆 り立てたのである。

以下で紹介する「熱海市小売価格統計調査」は、市民 と業者 との相互不信 と対立の中か ら相互理解 と 信頼 を生みだ し、街づ くりの共通の問題へ と転換 させてゆ く上で、ベース となった調査である。

1部 平成9年度熱海市小売価格統計調査の概要

調査の概要

(1)目

熱海市小売価格調査 は、熱海市の消費者物価の水準 と特性 を把握するための基礎資料 を得 ることを目 的 として、熱海市民の消費生活上重要な支出の対象 となる商品の小売価格、サー ビス料金及び家賃 につ いて,小売店舗,その他の事業所及び世帯 を対象に調査 している (総務庁届出統計

)。

今回の調査 は、平成7年度および8年度 に続 く第3回めの調査であ り、過去2回の調査結果 と比べて 熱海市の物価水準が どう変化 しているかを知 ることができる。

(2)調査の内容  特徴

本調査 は,熱海市の物価水準 を他地域 と比較 し,その特性 を把握することを目的にしていることか ら

,

調査の対象,時,方法等 を,総務庁統計局が消費者物価指数算出のために毎月全国か ら価格 を採取す るために実施 している「小売物価統計調査」 と同一に保つよう設計 されている。なお,本調査実施 にあ

‑95‑―

(4)

た って は,静岡県 を通 じて総務 庁 へ届 出 を行 い,届出統計 として受理・ 公布 され てい る。

  品 目

総務庁統計局「小売物価統計調査」 の調査対 象 の580品目を調査 してい る。 ただ し,一部 は全 国統一 価格扱 い となってい るた め,総務 庁 の調査結果 よ り価格 データ を得 てい る品 目 もあ る。

調査品目を統合した10大費目は,次のとおりである。①食料品(外食を含む),② 住居 (家,設 修繕など

)、

③光熱・水道、④家具・家事用品,⑤被服及び履物、⑥保健医療(医薬品,診療代など

)、

⑦交通通信、③教育 (授業料など),⑨ 教養娯楽 (宿泊料,月 謝を含む),⑩諸雑費 (理美容サービスな

)

 対象

価格調査 :市 内4地区を設定,品目の特性 ごとに3〜4の店舗又 は事業所か ら価格 を採取 している。

家賃調査 :市 内3地 (国勢調査地 区)を設定 し,地区内の全民営借家の家賃 (家賃採取数46)及 公営住宅家賃 を調査 している。

工 期 日

調査 は,平9年6月 11日 (水)〜13日 (金)に実施 した。ただ し,価格変動の大 きい生鮮食品の一 部 については,他に 6月 上旬及び下旬の計3回調査 し,平均価格 を算出 している。

 方法

調査の方法 は,予め市か ら店舗等関係方面へ調査への協力依頼 を送付 し,当,調査員が店舗 を訪問 ,あるいは売場の長へ書状及び口頭で調査 について説明 し,了解 を得て,調査員が所定の調査票に指 定 された品 目,銘柄の価格 を記入する方法で実施する。

 

調査地区及び店舗 の選定 は,総務庁「小売物価統計調査」で行われている基準 に準 じて行 っている。

地区内で売場面積あるいは従業員規模の大 きい代表的店舗 を,調査店舗 としている。なお,調査地区名

及び店舗名 は一切公表 していない。 また,調査 した価格 は統計的に集計処理 し,個々の店舗の価格 は一 切公表 しない こととなっている。

調査結果の処理 について

(1)価

①各品目の価格及び料金 は,熱海市全域の3〜 4店舗の価格 を平均 した ものである。総務庁の調査方 法 にしたがって,品目によっては中心的商店街の2〜 3店舗の価格 を平均 した もの もある。

②一部 の生鮮食品の価格 は,上,中,下旬の3回調査す ることとなっているため,①に加 えてこ

3回の平均価格 を求めている。

③公表した価格及び料金は,消費税を含む価格である (非課税品については消費税を含んでいない

)。

(2)価格の地域差の算出

得られた熱海市の 580品 目の平均価格及び料金は,総務庁「小売物価統計調査」の他地域の調査結果 (総務庁「物価統計月報・小売価格資料編」)と対比させている。実際には,580品目の小売価格すべて が同資料に掲載されているのは東京都区部だけであるので,東京都区部の小売価格を100と して,熱 市の品目別価格の地域差を算出している。

(例

)

国産米A

熱海市価格Pa 東京都 区部 町 6,274円   6,219円

熱海市指数C

100.9(Pa÷Pi× 100)

(5)

品 目によって熱海市の価格 は、東京都区部 に比べて高い ものや,安い ものがある。物価の総合的な地 域差 をみるためには,各品 目を一定のウェイ ト(家計の支出金額 に応 じた重み)をつけて平均 している。

(ラ

スパインス型加重平均

)。

過去2回の調査 (平7年度、8年度調査)では、ウェイ ト資料 は,熱海市の物価水準 を近隣の他都 市 と比較する目的か ら,他都市の物価水準の地域差指数が算出,掲載 されている総務庁『平成4年全国 物価統計調査結果報告 (第1巻・ 消費者物価地域差指数編

)』

で採用 されたウェイ トを用いた。

今年度 について も過去 と同じウェイ トで指数 を計算 しているが、 この結果 は (参)にとどめ、新た に、総務庁「平成7年基準・ 消費者物価指数」で用い られているウェイ トを基本 として採用 している。

新 しいウェイ トでの指数 は、今年度だけでな く、平成7年度 と8年度 について もさかのぼって計算 しな お している。

(例

)

(1日)     (1日

)

ウェイ ト   地域差指数

H4年全国 (熱/東

)

物価統計

(新)    (新

)

ウェイ ト   地域差指数

H7年消費者 (熱海/東京

)

物価指数

パ じ

/ 食パ ン

あんぱん

101.5注

(1)

111.3 84.5

102.3注

(2)

111.3 84.5 (1){(111.3×50)十 (84.5×29)}÷79=101.5

(2){(111.3×53)十 (84.5×27)}÷80=102.3

ウェイ トを変更した理由は、①価格の地域差を平均する際、なるべ く最近の消費構造を基準にする、

②調査時点の平成9年6月の東京対全国の物価の地域差指数を計算する際、消費者物価指数を利用する が、これ と整合性を保つ、③将来、熱海市の消費者物価指数 (物価の動きをとらえる)を作成する必要 性がでてきたとき、全国や他都市の物価指数 と比較できる、などによる。

分析のための指数について

(1)東京都区部 との物価水準の比較

熱海市の物価が、他都市 とくらべて何がどれ くらい高いか、安いかをみるために、まず 580品 目の価 格データが全部公表されている東京都区部の物価水準 と比較 している。熱海市の「小売価格統計調査」

は、東京都区部を含む総務庁「小売物価統計調査」 と、同じ品目を、同じ方法で、同じ日に調査 してい るので、調査時点 も同一である。

(2)全国平均 との物価水準の比較

熱海市の物価を全国平均 と比較する方法は、上で述べた熱海市の対東京都区部の格差 (地域差指数

)

を求めたうえで、次に東京都区部の対全国平均のデータを使って、計算で求める。東京都区部の価格資 料は、熱海市の対全国比を求める「橋渡 し」の役割をしている。

=蕩R「×L=鷲寿

‑97‑―

(6)

平成7年度 と8年度の調査では、東京都区部の対全国比データは、総務庁「平成4年全国物価統計調 査結果報告 (第1巻・消費者物価地域差指数編

)」

か ら得ている (詳しい費 目別、品目中分類別のデータ や、近隣他都市の指数が掲載

)。

ただ、 これについては、「熱海市 と東京」の物価の差 は平成9年6月 時点であるのに、「東京 と全国」

の物価の差 は平成4年の差 を用いていることにな り、難点がある。「東京 と全国 との物価の差が、平成4 年以降 も変化無 し」 という前提 をおいた上で、熱海市の物価の全国比データを理解する必要があった。

3回目となる今年度の調査ではこの点を改め、「東京 と全国 との物価の格差が平成4年か ら調査時点 ま でにどう変わっているか」を消費者物価指数を用いて計算 し、平成9年6月 の格差 に修正 した ものを用 いている (品目中分類ベース、平成7年6月 、8年6月 も計算 し直 している。本稿 の付表2参

)。

平成4年 東京都 → (格)← 全国平均

(東京都 と全国の物価指数で修正

)

←東京都 → (格)← 全国平均 平成9年  熱海市→ (格

)

6月

修正計算の結果、熱海市の物価水準の対全国比 は、過去2回についてみると、低下 している。

熱海市物価水準の対全国平均 総合指数 (帰属家賃 を除 く

)

平成7年6月 平成8年6月 平成9年6月

旧指数     新指数 107.4         105.7 105.9         104.3 105.2         104.1

この理由は、熱海市の物価水準の対全国比 をみる「橋渡 し」役の東京都区部の物価水準が、全国平均 に比べて平成4年以降、相対的に低下 してきているためである。過去2回の調査・ 分析では、 この「東 京都区部の物価の相対的低下」 という要因を考慮外においていたので、熱海市の対全国比 は、実際 より 高めに推計 されていた。

地域差指数算出方法の変更点

上 に述べた変更点をもう一度、整理 してお く。

1点は、580の 品ロレベルの地域差指数 を、費 目や総合指数にまとめあげる際のウェイ トの変更で、こ れは対東京都区部、対全国のそれぞれの指数について行 っている。

2点めは、熱海市の対全国比 を求める際、東京都区部の対全国比 を、平成4年で固定せず、東京都区 部 と全国の消費者物価指数を用いて、平成9年6月 時点の格差 に修正 した点である。これは、「熱海市対 東京」のデータには影響せず、「熱海市対全国」=全国平均か らみた熱海市の物価水準のデータに影響 し ている。

以下の調査結果の読み とりや分析 においては、 この2点の変更 に留意することが必要である。

(7)

2部 調査結果 と分析

東京都区部 とくらべた熱海市の物価水準 は2年連続で低下

‑97.7(平7年6月)→ 96.0(8年6月)→

95。

3(9年6月)一

熱海市の物価水準 をみるため、消費者家計が1年間に購入す る580晶目の商品 0サ ー ビス・ 家賃 につ いて、熱海市の200以上の店舗 などに御協力いただいて調査 を行 った結果が まとまった (平9年6月 実施

)。

資料の関係か ら、熱海市の580品目の価格や料金 を、唯一直接比較できる東京都区部の価格や料金 と、

まず比べてみた。熱海市の価格 には、東京 より高い もの もあれば安いもの もある。 これ らを平均 した水 (地域差指数)は、東京都区部 を 100と して、第1回の平成7年6月 調査で

97.7、

2回の平成8年

6月 調査で

96.0、

3回の平成9年6月 調査で 95.3と 、3年連続で低下 している。

東京都区部 〒100と した 熱海市の物価水準

熱海市消費者物価地域差指数 (総合指数、東京都区部=100) 1回調査 (7年6月) 97.7

2回調査 (8年6月) 96.0

3回調査 (9年6月) 95.3

e‐o,0000‐0●0フに京=100

Ю

︐ 9

・ ・9

96・

平 成7年 8年  9年

6月  6月   6月

熱海市物価の対全国平均は

104。 1、

2年連続で低下

一総合指数は

105。

7(7年

)、

104.3(8年

)、 104。

1(9年)一

(1)総合指数 とそのうごき

東京都区部 との比較データをもとに、全国平均=100とした熱海市の物価水準を算出した。全国平均を 100と した熱海市の物価水準は、総合指数で平成7年6月

105。

7だ ったが、平成8年6月104.3と 1.4 ポイント下が り、平成9年6月にはさらに下がって104.1となっている。対全国指数は、今回、旧指数 を改善 している。

‑99‑―

(8)

全国平均=100と した

熱海市消費者物価地域差指数 (総合指数、全国平均=100) 1回調査 (7年6月) 105.7

2回調査 (8年6月) 104.3

3回調査 (9年6月) 104.1

H7メ6 H8/6   H9/6

(2)他都市 と比べた熱海市の物価 (全=100)

47県庁所在都市 と大都市 を中心 に消費者物価の高 さを調べた総務庁の資料 によると、熱海市 と比較で きる諸都市の物価水準 は図3のとお りである。

他都市 とくらべた熱海市の物価水準 (平8年

)

(総務庁「平成8年平均消費者物価地域差指数」

)

全国=100

‐111.7

(参

)

旧方式

107.4 105.9

105。

2

1101‐

---a-

- 108.6 t07.8

1081‐ J l‐ 1‐ 107.1‑‐̀――――………‐――――――‑105。7←

r)…

1061‐ ……│  トーl l… 1 1‐ 105.6 104.2 1o4。1‐――――――――,104.3(H8)

1041‐

T

1021¨ 100

東京 横浜 川崎 大阪 京都 浦和 神戸 静岡 名古屋 熱海市

費 目別 にみた熱海市の物価水準‑7費目で全国以上、対全国格差 は6費目で縮小 一 (1)熱海市の物価 は何が高いのか、安いのか

全国平均 を 100と して、熱海市の費 目別の物価水準 をみると表1のような特徴がわかる。

熱海市の物価水準 (全国平均=100、 平成9年6月 調査

)

5%以上高い費 目 食料 (108.6)住 (105.6)教 (107.2) 教養娯楽 (108.0)諸雑費 (106.5) 3〜 4%高い費 目 光熱・ 水道 (103.8)交0通 (104.3) 全 国並 みの費 目 保健・ 医療 (100.4)

全 国 よ り安 い費 目 家具・ 家事 用品

(88。

7)被服・ 履 き物 (85.2)

(9)

(2)対全国格差の動 き (1〜3回調査

)

全国平均 を基準 とする熱海市の物価の地域差 (格)をみると、食料 など3回の調査で低下 している もの もある。

4 10大費 目別 にみた地域差指数の動 き

100 90 80 70

総合指数食料   員 光熱籍 家事

製品   保健医療    教育     諸雑費

履き物   交通通信   教養娯楽 回 平成7年6月 日 平成8年6月 ‐ 平成9年6月

熱海市の消費者物価水準 (熱海市消費者物価・ 地域差指数

)

東京=100と した熱海市物価 (熱海市小売価格調査結果

)

全国=100と した熱海市物価 (調査 をもとにした推計値

)

平成7年6月 8年6月 9年6月 平成7年6月 8年6月 9年6月 総合指数

(参)旧方式

97.7 96.0 95。3 105.7 107.4

104.4 105.9

104.1 105.2

食料

住居

 光熱・ 水道

 家具・ 家事用品

被服及び履 き物

 保健・ 医療

 交通・ 通信

 教育

 教養娯楽

諸雑費

101.4 72.9 104.3 91.1 93.2 101.8 92.9 101.5 94.4 101.5

100.7 75.5 106.1 92.2

85。7 98.9 92.8 98.4 92.6 96.4

99.8 76.5

105。

4 86.7 84.2 99.8 93.4 97.8 95.1 100.5

110.5 103.8 104.5 94.3 96.4 102.2 103.0 111.9 106.4 106.9

109.7 105.7 105.1 94.2 88.5 99.6 103.5 108.3 104.6 102.0

108.6 105.6 103.8 88.7 85.2 100.4 104.3 107.2 108.0 106.5

(3)食料 一食料物価 の格差 は低下傾向。全国比約2割高の青果 と外食

熱海市の食料の物価水準 は全国 とくらべて約10%高となっている。なかで も、野菜・果物 といった青 果品 と外食 の価格が全国 とくらべて約20%前後高いことが特徴 である。飲料や酒類、油脂・調味料、調

‑101‑―

(10)

理食 品な どの全国比 は低下 し、全国並 みの物価 となってい る。3回の調査 をつ うじて、食料物価 の格差 は低下傾 向 を示 してい る。

熱海市の食料の物価水準

Eコ 平成7年6月 間 平成8年6月 ‐ 平成9年6月

(4)住居 一家賃 は上昇傾向で、全国比で1割

全国の家賃の水準 をを 100と すると、熱海市の家賃 は7年

107.7、

8年

109。 2、

9年110.0と上昇傾 向を示 している。

(5)水道・ 光熱一灯油 は全国比約2割高、上下水道 は全国比で低下

水光熱全体の物価 は、全国比で 103.8で ある。他の光熱 に分類 される灯油価格 は全国平均 に くらべ2 割強高 くなっている。上下水道料金は 熱海市では変わっていないが、この間全国的に上昇 したため、平 7年

112.8、

8年

108.7、

9年102.5と 2年間で約10ポイン トと低下 している。

熱海市の光熱・ 水道の物価水準

光熱水道  電気代 ..ガス代  他の光熱 上下水道 口 平成7年6月 日 平成8年6月 ■ 平成9年6月

(6)家具・ 家事用品一家電製品は全国並みに低下、消耗品 も割安

家具・ 寝具 など一部の品目については、銘柄の特定が難 しい もの もあるが、全般 に熱海市でよく出回 る「中級品」の値段 は、割安 となっている。家電製品など耐久財 は全国並みに低下 している。消耗品 も 割安である。

30

2︒

1︒

0︒

90

・縣

30

20

1︒

00

90

・懇

(11)

(7)被服・ 履 き物類 一熱海市で よ く出回る「中級品」 は割安感 のある商品

被服・ 履 き物類 も、商品の価格 を比べに くい ものが多い ことが特徴である。店舗でよ く出回る「中級 品」 を調査 している。価格 は全国平均 とくらべて1〜2割安 くなっている。物価の違い と同時 に、 日常 の衣料品などでは、割安感のある商品を消費者は買つているともいえる。

(8)保健・ 医療 一銘柄 によって高低のある医薬品、医療用品

保健・ 医療の物価 は、総 じて全国平均である。ただ し医薬品の一部や医療用品などは銘柄 によって高 い もの もある。

(9)交0通信 一全国 より10%高の自動車関係費

高いウェイ トを占めているガソリンの価格が影響 している。東京都 区部 108円 、静岡市90円台である が、熱海市では昨年調査 より5円高の 123円 (1リ ッ トル)であった。

熱海市の交通・ 通信の物価水準

交通・ 通信 自動車等関係費 通信 口 平成7年6月 日 平成8年6月 ‐ 平成9年6月

(10)教育 一塾の月謝 は全国 より安 く、授業料 な どが割高

教育費 は、授業料などが全国より約20%高い ことか ら、全体で10%前後の高 さとなっている。ただ3 回の調査では、低下傾向を示 している。

(11)教養娯楽 ―教養娯楽サー ビスが物価 を押 し上 げ

テレビ、カメラ、 ワープロなどの耐久財や、地方紙などは全国より安い水準であるが、教養娯楽サー ビスが高 く、物価 を押 し上げている。

(12)諸雑費 一理美容 は全国平均 より3割

化粧品やシャンプーなどの理美容用品は全国並み、鞄や時計な ど身の回 り用品は安いものの、理美容 サー ビスは全国平均 より3割前後高 くなっている。そして、3回の調査 をつうじて、次第 に格差が広がっ ていることが分かる。

20

10

00

90

80

・無

‑103‑

(12)

熱海市の諸雑費の物価水準

諸雑費    理美容用品    たばこ 理美容    身の回 り品    その他

□ 平成7年6月 国 平成8年6月 ‐ 平成9年6月

3部   

付表1‑1〜10は 、熱海市の地域差指数算出の基礎 となる580品目の熱海市の調査価格 と、東京都 区 部の価格、熱海市の対東京都区部の地域差指数 を掲載 している。

付表2は、付表1で得 られたデータをもとに熱海市の対全国比 を算出 した ものである。熱海市の対全 国比 (上)は、過去2回と同じように東京都の対全国比 を平成4年に固定 して計算 した もの、(下

)

は東京都の対全国比 を平成7年9年時点 に修正 した ものである。

(13)

(全

=100とした指数

)

費 目 年次

(6月 )

総合指数

(参

 

)

旧方式 総合指数

I食

105.7 104.4 104.1

107.4

105。9

105。

2

110.5 109.7 108.6

100。

2

103.7 102.2

100.0 103.6 102.8

97.4 108.0 102.3

109.3 106.8 108.7 全国平均 か らみた熱海市の消費者物価水準 (熱海市消費者物価・ 地域差指数

)

費 目 年次

(6月 )

X諸1澪1青1尋FTIた │そ

書籍 印刷 麟 サービス

106.9 102.0 106.5

100.0 100.0 100.0

(注

)熱海市 の対全国比 の総合指数、費 目指数 は中分類 の対全国比 を積 み上 げてお り、総合指数 どうしを乗 じた数 とは一致 しない。

総合指数 は帰属家賃 を除 く。 ウェイ トは平成7年基準消費者物価指数 ウェイ トで算出。

防式では檄様社げるHま成4釉鯰 縣 腱 肥 辟 諷財 鶴

今回のウェイ トは総務庁の平成 7年基準の消費者

1

海市物価の対全国比の算出に用いた物価の「東京の対全国比」を平成 4年 に固定 しているが、今回はこれ に東京都区部 と全国の物価の変化 を織 り込み、標記の年月に合わせている

(詳

細 は第 3部 を参照

)。

費 目 年次

(6月 )

果物

1生鮮果物

月旨.

調 菓子類 調理食品

飲 料 酒 類 外 食

生 鮮 野 菜

115.8 122.9 126.0

110.0 109.3 104.8

99.6 106.4 97.0

109.8 103.1

100。 1

104。

1

102.8 102.7

費 目 年次

(6月 )

II住 Ⅲ 光熱

家 賃

設備修

繕維持

・ 水道

1雰霙Å        他 の光熱 1上 下水道

104.5

105。

1

103.8

100。

4

102.6 102.6

102.3 107.1 105.8

127.1 123.0 122.1

費 目 年次

(6月 )

藝昂資1需

1場

雹 蒲

1室

内装備品1寝具類 1家 事雑貨 1消耗 品

1家

事‐ ビ不

V被服及 び履物

104.2 102.4

99。

1

106.8 99.5 101.9 費 目

年次

(6月 ) 和 服 洲

│シ

ャツ・セーター1 下着類

履物類 生地・

他被服類 1 生地糸

費 目 年次

(6月 )

Ⅵ 朧

Ⅶ 交通

・医

1医薬品

1驚1季壁唇賓 ・ 通信

交 通

1檜

他 の被服 椰 サービス

114.3 110.4 111.6

費 目 年次

(6月 )

Ⅷ 教育 Ⅸ 教養

通 信

1授

業料等1蓼馨炉 1補

習教育

娯 楽

1他

教養

120.6 122.1 121:3

100。 1

100.4 100.0

106.4 104.6 108.0

106.9 105.1 109.6

102.1 99.8 104.2

̲105‑

(14)

付表1‑1  熱海市の「食料」の小売価格 と物価水準 (平7年ウェイ ト

)

(単

位 :価格=円、指数=東京都区部

100)

品 目

獅榊

平成 9年 6月 平成 8年 6月 平成7年 6月 東京比

(東

=100)

東京比

(東

=100)

東京比

(東

=100) 東京都

  熱海市9年

6月

熱海市8年

6月

熱海市7年

6月

総 合

10000

食料

100。 7

101.4

100。 9

106.7 104.7

米類 うるち米

単一品種A(コシヒカ リ

)

単一品種B(コシヒカ リ以外

)

ブレン ド米 指定標準米 外 国産米 もち米 パ ン

食パ ン あんばん めん類

ゆで うどん 干 しうどん スパゲティ スパゲティ

(輸

入品

)

即席 中華麺 生 中華麺 他 の穀類

小麦粉 もち

・5

・4

・0 2 12

9 2 2 80 53 27 57

・3 9 5

17 14 14

2 12

6216   6274 5268   5280 4568   4652 銘柄 変 更 銘柄 追加

635    597

203    230 1121   1101

100.8

100。

9 100。

9 100.2 101.8

105。 1

101.8 100,7 113.3 98.2

708 . 5742 5088 384〇

一 54 .

  445

84   322 667

・50   85 263  

・97

・033

111.5 111.8 114.0 106.5 104.5 102.3 86.1 102.1 107.5 91.6 103.7

100。

1

137.0

92.3 101.8 100.8 95.1 100.1 94.1

¨

100.7 100.9 103.1 95.6 93.0

101。

9

81.3

108。

9

115.8

95。

4 110。 9

129.2 128.3

84。

3

103.9 110.2 98.2 101.3 97.6

魚介類 91.7

生鮮魚介 ま ぐろ あ じ いわ し かつお かれい さけ さば さん ま た ら たい

ドリ いか た こ えび あさ り か き ほたて貝 塩干魚介

塩 さけ た らこ

. 3 17

6 20 13

・7 3 2 1

・0

・5 20 8 30 10   6 68

・7 20

328 92 67

・86 205

・44

・08

・・7

・82 433 307 88 26 . 470

89 65 38 9︲

18 29 28 27 27 63 2

. 06 01 88 39 05

93.2 70.6 66.7 73.4 85.2 89.4 63.2 85.2 91.8 111.8 134.8 100.3 87.5 90.6 138.6 84.8 162̲1

85。

7

78.6 92.8

426 80 58 209

・3 . 207

・23 70

・58 343 246

・︲2 28 . 327

・02  

・80   2

. 7 538

87.6 90.0 54.2 53.5 73.5 56.1 87.5 111.8 82.4 96.5

119。

6 84.6 91.3 106.3 103.4 103.3 106̲2 101.4 91.5 111.2

. 9

・05 58

・73

・86

・86 95 67

・53 323 250

・25 260 268

・09  

・80  

・88 487

88。

1

68.7 80.3 86.6 74.7 81.5 83.6 95.5 85.7 98.2 110.0 106.7 103.2 109.5 86.9 111.1

98.9 91.1 70.8 99.6

図 2  全国平均 =100と した 熱海市消費者物価地域差指数 (総 合指数、全国平均=100) 第 1回 調査  (7年 6月 ) 105.7 第 2回 調査  (8年 6月 ) 104.3 第 3回 調査  (9年 6月 ) 104.1 H7メ 6 H8/6   H9/6 (2)他 都市 と比べた熱海市の物価 (全 国 =100) 47県 庁所在都市 と大都市 を中心 に消費者物価の高 さを調べた総務庁の資料 によると、熱海市 と比較で きる諸都市の物価水準 は図 3の とお りである。 図 3  他
図 8  熱海市の諸雑費の物価水準 諸雑費     理美容用品     たばこ 理美容     身の回 り品     その他 □ 平成 7年 6月 国 平成 8年 6月 ‐ 平成 9年 6月 第 3部 付    表 付表 1‑1〜 10は 、熱海市の地域差指数算出の基礎 となる 580品 目の熱海市の調査価格 と、東京都 区 部の価格、熱海市の対東京都区部の地域差指数 を掲載 している。 付表 2は 、付表 1で 得 られたデータをもとに熱海市の対全国比 を算出 した ものである。熱海市の対全 国比 (上

参照

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