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[紹介] マックグレーガー著『企業に於ける人間的 側面』 Douglas McGregor ; The Human Side of Enterprise, 1960.

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[紹介] マックグレーガー著『企業に於ける人間的 側面』 Douglas McGregor ; The Human Side of Enterprise, 1960.

著者 鯰江 城夫

雑誌名 關西大學經済論集

11

5

ページ 518‑537

発行年 1961‑12‑20

URL http://hdl.handle.net/10112/15498

(2)

5 I 

本書は米国における経営学研究者並びに実務家の間に於てそ

の業績を高く評価されているダグラス・マックグレーガーの著

書であるが︑此書物の全篇を通じ一貫して流れるところの基調

は人間性の尊重であって︑此点に本書の特徴が見出されるもの

である︒従来米国における経営学の展開は主としてテーラーの

科学的管理法以来︑経済的合理主義の飽なき追求にもとめられ

随つて又その事は兎角︑他面人間性を無視する事となり勝ちで

︱ ︱ 1 

︱ ︱ ︱ ︱ ︱ ︱  

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a s Mc Gr eg or  

﹃ 企 業 に 於 け

マックグレーガー著

部の人間関係を見直し︑逆に米国のそれに示唆を与え得る点が ては米国人間関係論の指摘する方向に於て︑却つて我国企業内

る 人 間 的 側 面

あり︑此点に合理主義の限界を見出す事から近年は反動的にヒ

ューマン︑リレーション論が盛んに唱導され︑之が又我国経営

学を刺戟︑人間関係論の華々しい展開を見るに至ったものであ

米国におけるそれとは基盤を異にするものであり︑却つて我国

に於ては封建的人間関係の残滓を払拭し経済的合理主義を指向

する事の方が︑より喫緊事のようにも考えられるが︑或点に於 るが︑本来我国における国民経済︑産業構造︑企業の内容等は

TheH

i n

S i d e   of n t   E e r p r i s e ,   1 96 0.  

(3)

Sl9 

第二部

V I

︹ ︐ "

x

X I

X l l

璽 部

x v

構成は

I V

人材の育成

指導権の分析

経営発展計画

経営教育 経営の理論的前提個人目標と企業目的の統一実務における新しい理論目的統一と自己統制による経営作業評価に対する批判給与︑昇級についての管理スキャンロン︑プラン経営参加経営環境スタッフ︑ライン関係スタッフ︑ライン協力関係の改善

マックグ>ーガー著﹁企業に於ける人間的側面﹂

技術と考え慣習︑経験のみに頼り︑経営活動の背後の理論を考

経営の理論的前提

経営と科学的知識

ように人間活動を組織することであり︑それは将来に対する予 見の適否と人間活動の統制如何にか

Aるものであり︑将来有能

な経営者たるものは科学的知識に明る<理論的な研究成果を理 礎をおくものであって経営者の行動を律するものは此理論であ

り︑理論と実践とは不可分の関係にある︒第二に経営を︱つの し勝ちであるが︑すべて経営活動は仮定︑普遍化︑等理論に基

然るに経営者は第一に経験にのみ頼り社会科学の知識を無視 ①経営活動は理論に基礎をおく

解し得る能力を持つと同時にそれを実行に移す手腕をも持つ人

企業経営に於て重要な事の一っは企業の経済的目的に役立つ

I m第一部

I I

I経営と科学的知識

管理︑統制の方法

管理と統制に関する従来の見解

二 ︑

第一部

あるとも思料されるものがある︒以下に於て紹介するに本書の

X V I

よりなっているがその内容を章に従って略述すれば次の通り

集団経営

(4)

520 

ある︒経営者は高度な倫理的基準の維持という重大な責任を負

伝統的な在来の理論における権限の概念は上から下への支

的価値が維持され保護される限度内に於てのみ許されるべきで

︑ ︒

'  

経済的目的を遂行する役割をもちつAその遂行は倫理的︑人間

るが権限は社会的な統制及び管理の方法の中の一形態にすぎな

者の社会的責任を果す道である︒経営者は利潤追求なる企業の 的︑意識的に倫理的規律を通じて自己統制を行なうことが経営 等に対する法制に見られたが︑人間的価値に敏感であり︑稜極 斯様な経営者倫理は児童労働︑婦女雇用︑労働賃金︑団体交渉

と企業管理におけるその重要性をも理解しなければならない︒

も少なくないが詳細にこれらの前提を再検討してみる必要があ 価値に対する感受性に於ても鋭くならねばならず︑社会的価値

⑧古典的組織理論の想定する前提は部分的には正しいもの 経営者は科学的知識の利用に於て専門化するにつれ︑倫理的

政治的︑社会的︑経済的環境の重要性を無視している︒

③ 

R古典的な組織理論は組織の形成とその経営実践における 上の決意と活動はすべて人間活動に関する理論に基礎をおく︒

要な点で異つている︒ 研究から生まれたものであるが︑今日の近代的な組織体とは主

い︒経営活動に於て管理とは経営者の求める諸現象の本質を知

①在来の原則は主として軍隊組織の如きものを対象とした 経営者は人間活動における管理の本質を正しく把握していな

が︑その理由としては A

その理論的原則の妥当性さえ危ぶませる事態を招来した

企業体に関する在来の理論は経営活動に大なる影響を及ぽし

マックグレーガー著﹁企業に於ける人間的側面﹂

慮しないならば理論が実践と艇々矛盾する場合理論を否定する 管理とは適応するものを取捨選択することである︒

り︑これが管理に適合した手段を選択する事に他ならない経営

管理と職業的倫理 管理︑統制の方法

伝統的理論の中心をなす想定は権限が経営手段の最も中心的 要素であり︑組織とは権限関係の組織であると云う考え方であ

I I

八四

(5)

マックグレーガー著﹁企業に於ける人間的側面﹂

現代の錯綜した社会では何人も完全に他人から独立して生活

依存関係における心理学此問題に関する従来の見解は経営活動の一般的︑基本的理論 組織への依存度は大きくなった︒m管理と統制に関する従来の見解 の権限に頼る経営は益々不可能になりつAあり︑経営者の下部とは即ち統制力をも喪失するとした点にある︒ 許されず企業経営の社会的︑経済的︑政治的分野に於て権力者することである︒在来の理論の誤りは権限の行使を放棄するこ 益に奉仕することにあるのであるから︑一方的な権利の行使は もなく企業は社会的有機体であり︑その究極の目的は社会的利 に見られたような不況期における権限の乱用︑例えば大量解雇等を正当化することになる︒然し単に企業においてのみならずるだけでなく︑後者もまたその業務上の地位如何に拘わらず前者に依存しなければ円滑な企業の経営はなされない︒謂うまで に耐え︑同時に不必要な心配のない限度内で一定の独立を確保

従来組織体における労務管理の変遷には二つの経路が存在し

た︒第一は露骨な物理的強制手段による統制から形式的な権限

に有効とは限らない︒権限による統制が所期の目的を達し得な

いような条件が存在する場合にはむしろ問題は権限の強弱如何

にあるのではなく他の統制手段を如何に用いるかにあるのであ

る︒管理統制とは即ちその場の条件に適合した方法を取捨選択 部組織にある人々が労働する上で上部組織にある人々に従属すある︒権限による統制は一定の条件の下では有効であるが︑常 における人間関係の特徴は高度の﹁相互依存関係﹂である︒下の行使への推移であり︑第二は権限そのものA相対的縮小化で の団結による団体交渉の発達がそれである︒斯くして近代産業 復手段の有効性が自覚されてきたことにある︒たとえば労働者 漸次喪失しつAある︒この原因は企業の場合︑権限に対する報 一般に社会的統制手段としての﹁権限﹂の機能はその有効性を物理的強制手段による統制から適合した手段の選択による

組織体における権限の概念を直接企業体にあてはめると︑過去特徴であり︑過度の欲求不満に陥らない程度で一定の依存形態 配︑下から上への従属が一般的であるのは当然である︒斯様なすることは不可能であつて︑相互依存こそは現代社会の顕著な

(6)

とは別の理論を構成し︑それによって従来説明し得なかった人

従来の理論は人間の有つ特性の一部分のみを提えて︑構成さ における創造力等に対するものである︒ は自己満足への欲求であって︑之は潜在能力︑自己成長︑広義 かったが︑科学的経営を行なうには非常に要である︒次のそれ 対する欲求である︒此動機については従来余り考應されていな

い︒薔し過去四半世紀間に得られた社会科学の知識から︑これ ての人間活動が此原則の中に基本的に包摂せられるものではな

マックグレーガー著﹁企業に於ける人間的側面﹂

心を抱くよりも寧ろ第一に安全性を求めるものである︒

而して斯様な理論は現在アメリカ産業の多くの分野に於て経 から導き出されているものが多い︒然しながら此原則は企業に 間の活動に関する仮説をつくり上げる事が可能となったからで

ある︒此新しい理論は柴︑試論的段階にとゞまるものではある が企業における人間活動統制のための良き礎石となり得る︒

人間活動の動因に関する諸前提に於て人間はすべて欲望の動

自尊心︑確信︑自律︑教養︑能力︑知識等に対する欲求と名声 乃至評判に関連するもので地位︑他からの感謝︑評価︑尊敬に

おける人間活動の一側面を提えた理論ではあるが︑現実にすべ

要な意味をもつ主我的な欲求である︒之は自己評価に関連する 係︑愛情関係等の︶であり︑次のそれは経営者にとつて最も重

営上の諸方策に甚大な影響力をもつており︑経営原則は此理論

つて安全性を求める︒次の動機は人間の社会的欲求︵友人関 欲求の強い動因となる︒経営者もその部下︑同僚への依存によ 予期せざる経営政策等はすべての労働者にとり安全性確保への

⑧元来人間は他から指令を受けて之に従うことを望み︑野

欲求である︒独断的経営︑雇用の不安定性︑情実︑差別待遇︑

来ない場合の代償は罰則である︒

欲望の充足の次は危険︑恐怖︑損失に対する保護︑安全性への を払うため強制︑管理︑指令︑威嚇を必要とし︑任務が履行出

動機となり得ない︒従来の理論は此点を看過している︒第一の R此性質の故に多くの人々は企業目的の完遂に適当な努力

一度充された時には肉体的欲望は最早活動の

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'  

それである︒肉体的な欲望が充されない状態は人をその充足の て経営者は当然斯様な人間の性質に逆つて行動せざるを得な

此新しい欲望を順次充す為に努力する︒第一の欲望は肉体的な

①元来人間は本能的に労働から逃避する性向を有し︑従っ

︱つの欲望が充足されると次の欲望が生じ︑人間は

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523 

マックグレーガー著﹁企業に於ける人間的側面﹂

は企業目的遂行の為の努力の直接的な結果であって最も重要な

既述の様に従来の理論の企業原則は権限による管理︑統制の

③企業に於て企業目的への努力を行なわしめるものはその

の人間を取扱う経営者の能力如何によって決定されるという点 人間の本質的性格によって定められるのではなく︑素材として

ではなく︑人間は目的遂行にあたつて自己統制︑管理を行ない

可能性をも含むものである︒第二は企業における協働の限界が

②外的強制度及び罰則は企業目的遂行のための唯一の手段

的統制権を前提とするに対し︑統制手段の選択の可能性を含む

①労働に際して為される肉体的︑精神的努力は娯楽︑休奨

展の可能性を有つていることである︒従来のものが唯一の絶対 次の二点で異なる︒即ち第一に静的でなく動的であり︑成長発

最近における種々の体験︑現実の判断よりして従来の理論が

り実際の役に立たない︒

I V

れているが現実には人間の特性はそれだけに限られていない︒従つて斯様な前提の下に構成された理論は特殊なものであり︑特殊な経営上の方策の︱つの結果を現わしたもにのすぎない為に人間の真の特性を表現するものではなく︑却つて真に有意義な経営上の方策を獲得する事に障害とさえなる︒不適切な前提に立つ理論から導き出される方策は終りに人間の潜在能力を発見し︑之を効果的に用いる事は出来ないものである︒

個人目標と企業目的との統一

一般論としては単純であり不適当な場合︑新しい経営理論の原

理は如何なる前提から構成さるべきか︒

と同様自然的なものである︒

得るものである︒

目的の完成によって与えられる報酬である︒例えば自我の満足

⑥近代社会に於ては人間の潜在的知的能力はその一部分よ する能力を多くの人が所有している︒

⑥企業における諸問題の解決に際して必要な創造力を発揮 によって得たものである︒ 如︑受動的態度は一般に人間の先天的な性質ではなくして経験

④  報酬である︒`

元来人間は適切な条件の下では単に責任を受容するのみ

それを自ら求めるものである︒責任逃れ︑野心の欠

等の諸前提から成り立つものであり︑従って従来のそれとは

ものであり︑且つ諸前提の最大公約数的なものでなく︑潜在的

(8)

524 

何を要求するか︒R一定期間内における目標の設定︒③その期 事の出来る条件を見出す事に重点があり︑①与えられた仕事が 新理論の実践活動への適用は目的の統一●即ち労働者が企業目

④上役が部下に対してその判断を述べ討論を重ね忠告を与 何︑潜在能力︑昇級の可能性等である︒

的へ努力を傾注する事によって最もよく個人的目標を達成する

度︑他との協調性︑判断の適否︑ストレス下における反応の如

経営上の諸方策について実務の面から検討を加えるならば︑⑧ 

上役は規準化された評価形式により部下の作業を定期的

に評価する︒評価の対象は︑部下の作業の量︑会社に対する態.

︹ > ︺

目的統一と自己統制による経営

制︒作業の適否を判断し︑誤りの訂正と困難な問題の発生に対 第二部実務における新しい理論

②①の地位の限界内における上役による日常的な管理統

応じて労働過程を自己統制するものである︒人になすべき作業を明確ならしめる︒

する事によって企業にあって与えられた目標の大きさの程度に

ついての責任を明らかにし︑権限の限界を定める事によって各 る目的統一の原則は人間が本来的に有つ自己統制の本能を利用

①各人の地位に関してスタッフ︑グループによって作業に 適用とその管理が有効に為され得るものであり︑その前提とす

る ︒ 新理論は此二つの目的が統一されて始めて企業における人材の

策上重要な役割を果し︑

それは次の様な過程を経て行なわれ 労務管理に於て之等二つの理論は全く異なるものである︒即ち

事が多いが︑管理の目的で使用される場合には︑それは経営方 に役立てる様にする事︶を達成すべく努力する事が即ち︑企業 目的の追究と一致する意味における目的の統一であり︑企業の

作業評価は人事管理の︱つの技術にすぎない様に考えられる

V I

作業評価に対する批判

標︵例えば自己の能力︑知識︑熟練等を伸ばし︑それ等を有効

て︑新理論がどのように適用されるかを考察せねばならない︒

である︒而して此︑目的統一とは企業における個人が自己の目

される目標を達成する間の人間関係における相互関係につい 原則であり︑他方︑新しい理論の主要な原則は目的統一の原則

マックグレーガー著﹁企業に於ける人間的側面﹂

間中の経営実践︒④成果の評価の順序により企業において要求

八八

(9)

作業評価の管理目的

マックグレーガー著﹁企業に於ける人間的側面﹂

作業評価の目的の第一は管理に関するものであって給与管下の抵抗弁解を生ずる事になる︒批判が重大なものである程部 る手段たりえない反面︑逆に具体例を示す場合それに対する部

的な場合は説得力に乏しく部下にとつては作業の誤りを訂正す か︑指図や組織化を行なう計画立案者の必要を満たすことが出部下に評価結果を伝達する事の困難は︑それが一般的︑抽象 る︒他面︑之は給与体系︑雇用配置等のための指標となるほ作業評価の情報伝達目的 地位にあっても︑各々の能力︑熟練︑条件が異なるからであ しめ︑各々の権限を自覚させる事によって相互干渉をなくする

又それは給与体系を作成する上にも有効である

が︑部下になすべき事を知らせる唯一の方法ではない︒同一の あり︑作業とその管理方法は相互依存的な関係にある︒要する 見解の比較を可能ならしめ︑より適正な方策を導出する︒評価制する︒例えば評価計画によって︑幹部は作業が適正に行なわれていない部門を見出し︑部下に自らの判断を伝達する事が容

らわれでもあるという点である︒例えば︑ごく僅かの自由を与

多く与えられる管理方法の下では作業能率が低下する可能性が

に﹁作業評価﹂は給与管理︑昇給計画等の︱つの手段に過ぎな

①は幹部に企業の概要についての知識と部下への要求を知らえられている状態に於て最も能率を上げ得る者は︑自由がより

第二は各人の作業が彼の管理されている管理方法の︱つのあ し得るのはこの限界内においてのみである︒ 計画は部下の行動の組織的統制のみならず︑幹部の行動をも統とは出来ない︒作業評価の結果を給与管理︑昇給計画等に利用 る危険性があり︑資料の正確さ以上に正確な評価を期待するこ 斯様な評価の手続きは上役の判断の客観度を高め幹部相互のる︒従ってこの様な管理方法は現実と極めて遊離したものにな

条件と評価される人の個人差によって評価が異なることであ ⑥給与︑昇級︑経営計画等について︑他の公的評価を利用Aでの困難は第一に評価の規準が確立されておらず︑所与の

理︑昇級︑人事移動︑退職その他に評価の結果が利用される︒

(10)

526 

一の原則﹂であつて︑評価の作業動機誘発目的は︱つには︑基 ら公正と認め得る報酬を確保する事が出来る︒第二は﹁目的統 る︒第一︑経済的な報酬平等の原則︒此問題解決のためには組

ることは容易ではないから僅かの給与を多くの人に差別給付ナ

によって与えられた給与が目的統一の原則に照し︑作業動機ナ と作業評価における多くの問題のゆえである︒この従来の方i 給与支払︑適正な地位と配置が必要である︒斯くして各人は自る従来の方法は公正ではない︒それは客観的な作業規準の欠如 織的な市場調査︑生活費に対する配慮︑一般水準を下廻らない 第四に︑乍然現在企業に対する各個人の貢献を正しく評定ナ 賃金︑俸給管理給与管理を合理的に行なう為には︑次の諸点に注意を要す 観的測定の可能な限りの部門別業績に対する報酬︒この報酬2

各部門内部では各人の基本給の割合に応じて分割される︒

V i l

給与︑昇級についての管理

チーフとさせる事にある︒いわば作業評価の自動制御的役割で があり︑しかも抵抗をうけることが少ない︒同時に幹部はこれによって部下の幹部に対する要求を聞くことが必要であり︑個第三︑基本給に加算される諸報酬には四つの範疇がある︒e

は利益︑損失の様に業績の客観的規準に直接結びつけられ得ス

もので︑この種の報酬を受け得る人はかなり限定される︒②勧

にこの種の報酬は労働に比例して公平に支払われ難いもので太

るから︑評定の誤差をできる限り少なく為し得る様な作業分緒

が必要となる︒作業評価がその誘発目的を達成し得る為にはふ

Aる労働に対する相当大巾な給与の引上げが必要である︒④ナ 展に関する自発的な評価を行なわしめ︑以て作業効果向上のモ 最後に作業評価の第三の目的は部下に自己の作業の成長︑発務時間の増加によるもの︒⑧特殊な労働にに対する報酬︒一皿 作業評価の動機誘発目的 人面接は両者の相談の機会ともなるべきである︒ 問題が解決されなければならないのである︒ なる︒この困難を克服するには︑個人面接による評価の伝達が最も効果的である︒この方法によれば公的なそれよりも説得力る機会を与えることによって達成される︒かくして誘発目的の 下はそれを受け入れ難くなり︑強制は両者を離反せしめる事と マックグ>ーガー著﹁企業に於ける人間的側面﹂

本給の形での公正な報酬の給付によって︑又︱つには企業目的

へ向けられた努力により各人がより高度の満足を得る事が出要

(11)

527 

マックグレーガー著﹁企業に於ける人間的側面﹂

又我々は重要な仕事が何であり︑どの作業が如何なる程度の好

る ︒

この働きの強さを測定する適当な尺度がないのである︒而して限による一方的な管理はこれを全く排除することは不可能であ あるにも拘わらず︑等しく企業目的遂行の働きを為し︑しかも ある︒又各個人の能力はそれぞれ異なっており︑作業も別個で あって︑一定の条件下に於て多くの変数を含んだ︱つの函数で

①まず労働に対する要求は静的なものでなく動的なもので 新しい理論に基づくこの管理の問題点は次の如くである︒昇給及び配置管理に於ては︑権限の行使を全く除去する必要 より高い生産性を上げ得る様な給与体系の確立にも連なる問題 体系として取り入れられなければならない︒此事は又同時に︑ には﹁目的統こと﹁自己統制﹂に準拠した管理方法が新しい 働者に労働への意欲を生み出させるような給与体系を確立する

昇級及び人員配置管理ければならないということ︒

④目的統一と自己統制を支柱とする経営方策下になされた

すという関係が成立するということ︒ ⑧  方法は条件の選択による最善の方策の適用を無視しており︑労いるかという事である︒ 方法に頼つて来た事を端的に示すものである︒従来の給与管理 理論の立場による時︑上の結論は我々がこれまで不適当な管理 理する為に為されてきた従来の様な判断は必要がない︒新しい 要するに幹部経営者は特殊な労働に携わる人を除き報酬を管 誘発するに十分なものであるか否かは疑わしい︒

②  成績をおさめ又それがどのような理由によるものであるか等について︑判断を下す十分な知識をも持ちあわせていない︒この様な理由から個人の作業への適否如何は機械的なプロセスとしては把握し得ないという事が第一の問題点である︒

従って第二の問題点は人員配置が如何に適正になされて

昇級及び配置管理に個々人が稽極的に働きかけ︑彼自身

の目標と必要がまた彼の経歴を左右する企業決意に影響を及ぼ

部下に関する判断は豊富な資料と経験に裏づけされたものでな

はない︒管理の為の真に客観的規準が存在しない場合︑何らか

の形で一方的な管理︑統制を必要とする︒此場合上役が権限を

行使することが何らかのマイナスの要因をもたらさざるを得な

くなる事を諒解せねばならない︒昇級及び配置管理に於ては権

(12)

528 

利益を配分するものであってその指標として労務費用と附加価 た役割︑貢献の程度に比例してその費用を逓減せしめた部分の に於ては企業の全面的︑経済的成果の改善に対して個人の果し 通常の利益分配に於ては個人の役割︑その貢献の度合とは直 による問題があり︑オートメ化の進展した状況下では技術研究 企業に之を適用する事に於て困難がある︒即ち利潤計算の分割 スキャンロン︑︒フランに対する問題と批判としては第一に大

門との関係を改善し︑スタッフとラインの課題を解決するもの とする問題は目的統一と自己統制による管理である︒之は協働る秘密裡における競争の助長より効果を挙げ︑労務者と管理部 による利潤の分配と経営参加を考えるものであって︑之が対象経営に参加せしめるものであり︑此方法は従来の提案制度によ に加算支給するものであり︑基準貨金と個人の勤労貢献の度合 費が基準人件費比率を下廻った場合︑それぞれ該増加額を給与 又︑スキャンロン︑プランは管理における統合の面に於て企 之は経営実績を基礎として給与の管理を行なうものであっ

マックグレーガー著﹁企業に於ける人間的側面﹂

スキャンロン︑プラン

て︑売上高に対する基準人件費比率を設定し︑売上高の増加に

比例して人件費を増加せしめる場合と︑実際に支払われる人件

の方策を発達させた産業生活の方法であって︑従って本書の新

しい理論とその理論的基礎を等しくし︑組織全体に適用される

点に於て異るもその基礎の政策的配慮に於ては等しいものであ

る ︒

費用逓減分の配分

接的な関連性はなくなり︑賞与は企業の成果に対する個人の寄

与の度合と関係が少ないものであるが︑スキャンロン︑プラン 値との割合を用うるものである︒

効果的な経営参加

業における人間の価値を無視する如き伝統的従来の理論を排除

し︑従来の奨励制度における手段と異る方策を採用し︑下級の

部門別委員会と上級の審査委員会に於て改善案を討議する形で

の他には改善︑変革の余地はない様に思われるが︑然し乍ら人

間の行動の影響はオートメ化が進む場合に於ても想像される以

上に大なるものである︒

第二はスキャンロン︑︒フランの協同的努力は被雇傭者が不況

下にあってその職域を守る事の動機から為されるものであるが

故に好況の時代には成果を挙げ得ないものと批判されたが︑実

(13)

529 

マックグレーガー著﹁企業に於ける人間的側面﹂

参加がより大である場合が存在する︒而して参加が大である事x

の参加が殆んどない場合と他方︑権限の行使が︑相対的に小でることにより︑企業目的統一にも役立つものである︒ の度合に於て企業における権限の行使が完全であり︑下部から なる選択の自由を獲保することを意味するものであって︑新し決策を練る︒②独立の確保︑自己の運命決定への参加︒③問題解決への貢献をみとめられることの満足感を満たす機会を与え 下層労働者の経営への参加は種々に論じられるが︑その参加

l X

い理論の前提に立つ参加は︑①部下の自我の問題を捉えその解 公平と動機づけがより適当な手段となっている︒ を低下させるとの不安が論議されたが斯様な結果は発生せず︑譲であり︑部下がその責任に応じてより大なる統制と︑より大 するものであり︑此事は高度の生産性を有する個人がその能率 際は好況の時代にも実行され︑又一方財務的に賞与が大きい場合は成功するも不況の場合は役立たないとも批判されたが︑経済情勢にかAわりなく心理的利益が実現され︑此点に於て従来

個人的人格に負うものと云われているが︑事実は彼の病中及び

死後に確立されたものである︒

く説得と論理による討論︑専門的援助︑必要な事実に対する認 営者の熟練度︑等々の諸要因如何によって異ならざるを得ず︑参加は単に幹部経営者とその部下との間にのみならず最高権力る︒参加のなされる形態及びその種類も上記の要因のほかに︑その企業が現在おかれる水準如何によっても当然異る︒

参加の主要目的の︱つが部下の成長及び責任︑能力の促進で

ある以上︑経営者は討論︑決定事項の相談等に際して適切な問

題点を採上げる事を要する︒近代企業の特徴たる相互依存関係

し︑弦に参加の存在する意義がある︒之は本質的には職権の委 第五に之を採用した企業では殆んど個人的な刺戟計画を放棄一方的な企業の決定機構は修正を必要と 識に基づくものである︒ 第四に之は組合を積極的に認め︑管理者の権威に頼ることな 第三にスキャンロン︑︒フランの成功はスキャンロンその人の者と幹部との間にもみられ︑又グループ間にも生じる現象であ の利益分配計画との相異点が見出されている︒ の度合は提起された問題の如何︑部下の態度︑過去の経験︑経 が必らずしも優れるものでなく︑個々の企業にとり適正な参加

(14)

530 

於て自己の目標を達成し得る可能性はきわめて限定されるであ に左右され︑これに順応し或いは依存せざるを得ない︒この点で環境の重要性は指導者の型︑性格の如何よりも大である︒部

ろう︒次に︑平均的水準にある人々の知性と能力をかなり高く

評価し︑人間はすべて成長︑発展する能力︑責任を果す能力︑

目的を完遂する能力をもつものと考え︑部下を彼の責任を果す

上での援助者と考え︑この援助者を有効に用いることの出来る

条件の獲得につとめる新しい理論によって創り出される人間関

係の環境は前者とは非常に異ったものとなる︒後者は彼の指揮 て︑大きく影響される︒彼は人間関係における環境によって常

方︑人間一般に関する理論上の信念等を外にして︑無能︑不正 勿論これには部下の態度も関係する︒上役は部下の態度︑考え 相互依存的な上下関係に於て主導権をとるのは幹部である︒

経営環境を決定するもの な政策が企業によって異った結果を生ずるのはこの環境の作用 下は統制され指尊を受けて動くものという従来の理論は部下に対する彼の日常的な行動の中に現われ︑部下がこの人間関係に よって決定されるものであり︑斯様に経営環境のもつ影響は極めて微妙であり︑経営環境が正しく確立されていないならば人事管理の政策が綿密に立案され︑監督の技術とヒューマンリレーションヘの配慮が巧みになされていようとも︑部下はこれらを巧妙な搾取のための一連の策略と受けとるものである︒同様 われによって︑又︑上役の部下に対する考え方の自然な発露に 部下が彼の目標を達成し得るか否かは上役の態度如何によっく︑上役のもつ基本的な経営概念の無意識的な或いは微妙な現 人間関係における環境

な環境は政策及び上役のタイ︒フによって決定されるものではな

られるのに反して︑新しい理論は人間関係の本質を利用して自

己統制的な方向へ管理をすAめ︑能力を最大限に利用出来る様

な環境をつくり出すことを要する︒

以上の事から明らかなことは上役︑部下の関係における重要 助力者として効果的に用いることが出来︑部下の信頼を高める して付与すること︒従つて︑専ら管理統制の技術に注意が向け代表する者となる︒彼は問題の解決に当つて部下をその有力な 従来の理論は企業目的の達成に必要な要求を上からの統制と 9マックグレーガー著﹁企業に於ける人間的側面﹂︵鯰江︶

下に部下の能力を発展せしめる機会を与え︑彼自身部下を真に

(15)

マックグレーガー著﹁企業に於ける人間的側面﹂

訓練︑問題分析と解決のための技術は近代企業が発展する上に て多くの複雑な問題の解決口を提供する︒彼らの知識︑専門的

九五 第二はスタッフ・グループの本来の任務はあらゆる階層の経 人間関係が存在する以上経営者の権限と責任は全面的に重合す 技術的︑科学的︑法律的︑経済的分野及び人間関係の分野に於原則の不適当性が認識されることである︒企業に於て相互的な 第一は指揮の統一︑権限と責任との同等性という従来からの

の権限からくる影響は当然この相互依存関係に入りこんで来ざ 経営方策が管理と統制のそれである限り︑スタッフ・グループ 欲求充足能力に影響を与えるという関係を意味する︒基本的な

X l l

ぽし彼等の統制機能は企業の管理︑統制を大きく左右するので

X I

り︑彼等の知識︑技術は重大な決定に際して︑大なる影響を及 ゆだねる事により益々企業の支配的な中核となりつAある︒明 面に関しても︑経営活動に大きな影響を及ぼすものは実践活動 も下から上への依存度が大きく︑この事は上役の政策︑技術に 直︑敵対心を有する部下を信頼する事は出来ないからである︒然しながら上下の関係において一般に上から下への依存度より関してのみならず人間関係の環境を決定する日常的な行動の側の基底を為す理論的前提であり︑理論構成の重要性が存在する

スタッフ︑ライン関係

産業組織は相互依存関係から成る錯綜した複合体であり︑相︐

互依存関係は個人又は集団が︑他の個人又は集団の目的達成と

るを得ない︒近代的企業の中で指導力を掌握しつAあるのは之

等スタッフ・グループである︒スタッフ・グルー︒フは財政的︑

欠くべからざる要件である︒従来上からの指図を下に伝える﹁ 権限の鎖﹂であつたライン・グループは多くの専門化したスタッフ・グルー︒フに益々依存の度合を高めつAあり︑同時に指揮

統一の論理的必要性の故に艇々権限を行使することの出来ない

助言団体であったスタッフ・グルー︒フは︑第一にその知識と熟

練の重要さの故に︑第二に経営者が彼等に統制機能の代表権を

らかに今日の企業はスタッフ・グループによって動かされてお

スタッフ︑ライン協力関係の改善

新しい理論に基づいて︑スタッフ︑ライン協力関係が改善さ

れ︑相互の信頼が生み出される為には次の様な諸条件が充され

(16)

任を有つ︒経営者はいずれも マックグレーガー著﹁企業に於ける人間的側面﹂

営者に対して専門的な援助を与えることにあり︑特定のものに

よって制約を受けること︑及びその顧客との人間関係が不適当

とが出来ない︒経営者グループと適正な関係にあり︑相手に適

応した適切な援助を与えて始めてその任務が果されるのであ

第四は経営管理の中心をなす原理が自己統制の原則でなけれ

ばならない︒この原則はスタッフとラインが資料と情報を利用

することの出来る限界を画する︒

実際問題今日猶︑企業目的を遂行するスタッフ︑ライン関係

は解決を下されていないが経営者の部下に対する正しい役割は

而して一定の限界の内でのみ権限を有ち得るものである︒更

①その知識︑熟練︑経験を他の に経営者はスタッフとラインとを問わず相互協力をなすべき責 一般的には先雖であり︑専門的助力者であり︑同僚であり︑相 限られた人のみがこれを所有する能力を有つもの︑否指導権を

0年代以前には指導権は個人的所有物であって︑極︑

︹ 立

第三部

指導権の分析

持つ事の出来る特有な能力は努力によって獲得されるものでは

なく先天的に受け継がれるものであると考えられていた︒然る

0 年以降この分野における社会科学の発達に伴つて指

導権の性格が実は従来考えられていたものとかなり違うことが

明らかになった︒就中以下諸項目は経営者にとつて特に重要で

る ︒

る ︒ 要するに近代産業は相互依存関係の膨大な複合体なのであ

である場合︑責任を十分に果し活動の規準を正しく維持するこ源を有効にその配分と相互関係を関連的に活用することが必要 策に最大の効果を産み出すことにあるが故に︑あらゆる人的資 ある︒有能な相談役は彼の援助がそれを受ける人の能力如何にの区別によって妨げられてきたのであるが︑最終目的は経営方 第三はスタッフの適切な役割は顧客に対する相談役の役割で依存の関係にある︒この依存関係は従来のスタッフとラインと 対してのみなさるべきではない︒助を受ける事︒⑧自らの仕事を統制する事︒の三点に於て相互

人々に利用させる事︒②自己の責任を果す上で他の人々から援

(17)

!J 

マックグ>ーガー著﹁企業に於ける人間的側面﹂

知るためにはこれらの特徴がどのようにして獲得されるかを知 近年の研究成果から得られた一般的特徴として指導者の基本権︑産業界における指導権︑軍事教育における指導権等がそれぞれ異るのもこの為であり︑一企業内にあつても部門別の相異来ないと考えられていた基本的な諸特徴が実は成功した指導者と然らざる者を区別する指標とはならず︑それらの特徴が企業

最後に指導権の必要欠くべからざる特徴と考えられる熟練と

適正な態度とは先天的なものでなく努力次第で後天的に獲得さ

れ得るものである︒活動の計画と実行︑問題の解決︑情報の蒐

集︑業務の履行︑社会的活動一般を行なう熟練さ等は学びとり

身につけることが出来るのである︒従つて指導権の何たるかを る︒①指導者の特徴︑R部下の態度︑.要求及びその他の個人的特徴︑⑧目的構成︑仕事の性質の如き企業の特徴︑④社会的︑ろのーつの複^圧倅であるということであり︑指導力は潜在的にはかなり多くの人々がもつものであり︑多くの分野で多様な種

経営発展計画

経営者の成長に影響を及ぽす重要な環境的条件は三つに大別

その企業の政策及びその実行であり︑第三は隣接の上役の行動

であるが︑第一の企業の経済的及び技術的特質については︑成

長の途上にあり技術革新が盛んに行なわれている企業と停滞に

より革新投資の余り行なわれていない企業とでは明らかに経営

者の成長のための環境が異る︒環境条件の統制についても最高

にある企業でも経営者の能力如何で成長の度合いに相異が生ず 経営層に意見の相異が生じるであろう︒また遂に同じ環境の下 に於て成功を収めんとする者にとり︑必要な要因であることもされる︒その第一は企業の経済的︑技術的特徴であり︑第二は

X l V

相互に補完的な関係にある︒また指導者にとつて欠くことの出類の経営指導者が要求されていると云うことである︒ によつて指導権の性格も異る︒この意味でそれぞれの指導権は 有物ではなく四つの変数を含むそれらの複合体の上に立つとこ は与えられた環境によって異ならざるを得ない︒政治的指導経済的︑政治的環境以上により指導権は一定の個人に特有な所 的性格︑能力は唯一である事はあり得ない︒彼等に共通な特徴

指導権の性格を変化せしめる独立変数は少なくとも四個あ

(18)

つているのであるが︑この場合昇級した経営者は仕事に不慣れ件をつくり出すということである︒ 以ではない︒又或る種の会社では転任は即ち栄転であると考え

られている︒つまりローテーションが昇給のためのはしごとななことは上役に適正な行動をとらしめるような環境乃至経営条 企業の将来を左右するものであるとするならばまず第一に必要 然し所謂﹁椅子を温める﹂ことは経営者の成長をもたらす所なる︒要するに﹁企業は人材﹂である︒人材の開発こそがその の適否は企業の性格とその将来を大きく左右する︒ 適当であるかは企業によって異り︑しかもローテーション管理 である︒ローテーションは経営者の経験範囲を広め能力をつける上に必要なことではあるが︑どのような方法によるのが最も 責任を感じているかはその企業の置かれた環境と条件によって異る︒経営者はその部下の成長と発展に責任があるが︑経営者の中には自身の行動と賞罰にとらわれ部下の成長を顧みないも

のもあるが︑かAる保身的行動は成長を阻害する︱つの要因と う︒次に経営者の将来に大きな影響を及ぼす要因は転任の問題下の行動に大きく影響し︑之をどの程度認識しどの程度それに ねられることが可能になり︑

ひいては彼の成長を促すであろ

の行動を反映しているのである︒斯様に上役の日常的影響は部 から得られる満足感を得ることによってより一層の責任をゆだのを教えているのである︒また部下の態度や慣習や期待も上役

面︑自由に扱い得る仕事の範囲が広く︑自我の満足︑自己表現

他諸々の活動を行なう事は同時にその部下に対して何らかのも

格をもつ企業では個々の経営者は多くの責任をもたされる反 その実施にあらわれた経営者のもつ理論や企業構造は逆にまた マックグレーガー著﹁企業に於ける人間的側面﹂

第二の企業構造︑政策及び実行のもたらす影響︒企業の政策

経営者の将来の成長を左右する︒たとえば.中央集権的︑階層的

︑な構造をもつ企業に於ては個々の経営者が新しいアイディアを

試み︑自己の判断を実行に移す機会は極めて限定されており︑

かミる企業構造は成長を阻害せざるを得ない︒反対に分散的性

でなされねばならない︒ い︒彼には重い圧迫がかAつてくることになる︒ローテーショ

ンは故に︑かミる形ではなく経営者の経験と能力を高める目的

第三︑上役の行動が与える影響︑︹x︺で述べられた様にこの

要因は経営者の成長発展に極めて大きな影響を与える︒上役が

仕事を与え叱責し︑賞讃し︑幹部会議を開き給料を引上げその で部下に適切な指図を与えることが困難であることが少なくな

(19)

535 

にも絶対に欠く事を得ない要因である︒⑧学問は学ぷもの

A

動的な働きかけを必要とする︒④経験を積むこと及び理論と実 践とを有効に組合せることの二点はあらゆる学問の本質的主眼 目であり︑この場合も例外ではない︒熟練さが要求されるとき に理論一点張りでこれに欠けるような教育は無意味である︒⑥ 社会的相互依存関係の何たるかを理解し︑これを具体的に知っ

マックグ>ーガー著﹁企業に於ける人間的側面﹂

や熟練度の向上等を得たいと云う欲求︶は如何なる問題を学ぶ れてしまう︒②個人的目標を達成せんとする動機︵新しい知識

経営内部における目的の一致が重要な問題である事は多くの る︒そうでない企業では教室で得られた収穫は短期間に払拭さ

X V I

グループ経営のあり方

長を可能ならしめるような経営環境に於てのみ有効に駆使し得

問題解決の方法に熟達すること︑第三に社会的事象の相互依存 性を現論及び実践の両面から認識すること︑第四に企業経営を 円滑に行なうために必要な諸手段の修得であろう︒勿論経営能 力は実践にあるが実際の経営に当つて必要な知識や方法論を理 論として十分理解することは非常な強みである︒教育を現実と は余り関係のないものとすることでは教育の真の成果を上げる 事が出来ない︒その問題点としては①教室で得られた知識は成

教室でなされる教育の主眼は第一に知識一般の獲得︑第二に

︹ 双

て熟達する事は経営者にとつて最も必要な事であるが同時に教 室では最も修得しがたい問題である︒教室での教育は一般にこ 能ならしめるような新しい教育法も生れつ

Aある︒⑥以上のよ

うに教室での経営能力修得に際しては種々の困難な問題が存在 するが実践に当つてよりよき環境を創り出すことの出来る能力

に経営者の手腕がかA

つており︑教育はその基礎を築き上げる ために重要であるということである︒経営環境の影響力を無視 する様な教育が誤った結果をもたらすであろう事は今更謂うま 経営者の知るところであるが︑此一致はグループの緊密な団結

によってのみもたらされる︒従来の経営陣は個人の単なる集合 であり︑多くの経営者が相互に権力と地位を奪い合い企業内部 の相互協力の水準︑相互の疑惑と対立は大きい︒

個人による経営とグループによる経営 企業活動は個人のみによってもまたグループだけの力によっ

てもなされ得るものではなく個人に適した活動分野︑大グルー の点で大いに欠けるものであるが︑近年理論と実践の統一を可

(20)

第二にグルー︒フ経営の効果を左右する諸要因の理解とそれを

有効に用いるための熟練の修得が必要である︒このことは就中 求は前者を犠牲にして始めて満たされるのだという謬見を捨て 第一に個人とグループが必然的に対立関係にあり︑後者の要

④ 

充たされねばならない︒⑧  の成長以外の何ものでもない︒グループ活動こそ社会的相互依 く理解しかつ協働の必要性を熟知することは彼の経営者として ら両者は矛盾するものではなく円滑に運営されているグループにある個人は最も深い満足を得ることが出来︑チームワークとグループ経営によって相互協力関係と管理統制に関する幾多の問題に解答が与えられる︒しかしそれには次のような諸条件が 緊密なグルー︒フは個人と同様に重要な企業単位である︒これ グルー︒フ活動のもつ潜在的可能性 マックグレーガー著﹁企業に於ける人間的側面﹂

プに適したものもある一随つてグループ活動の必要性を無視し

個人の活動を中心に問題を解決しようとする事は非常に偏よっ

た方法であるが問題の解決をグループ活動によって得ることに

はかなり不慣れである︒これはグループ活動のもつユニークな

特色を理解し︑それに熟達することに欠けているがためであ

第三にグルー︒フ経営に適するものとそうでないものとを識別

する能力を養うこと︒

完的な関係にある︒

有能な経営グループは個人の成長発展のための可能性を

つくり出す︒経営者が自己の機能以外に他の人々の機能を正し

存関係の何たるかを知るための恰好の試錬場である︒

重要な目標の設定作業評価等はグループ経営によって更

に一層発展せしめられるであろう︒グルー︒フの成員は個人的目

標︑グルー︒フ目標︑企業目的の三者の統一をなしとげる事が出

有能な経営グルー︒フにあっては目的統一によって経営者

間の弱肉強食的現象は姿を消し︑しかもその為に個人の発展が 何にして創り出すべきかを知らなかったのである︒られない利点が得られる︒二つの目標は相互排除的ではなく補 り︑グループの中における個人の成長と完成のための条件を如

①グループ目標の設定により個人的目標のみによっては得 斯くする事によって経営は

る ︒ 号個人がグルー︒フの一員としての地位に熟達する事を意味す

10 0 

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