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 為等処罰に関する法律違反被告事件︶刑集五八巻二号一三三頁

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(1)

判例研究

﹁控訴審の職権調査の限界と破棄差戻しの適否﹂

最高裁平成一六年二月一六日第二小法廷判決︵平成一四年︵あ︶第八七六号︑暴力行

 為等処罰に関する法律違反被告事件︶刑集五八巻二号一三三頁

渡 邊 一 弘

       りにしていた本件ナイフを︑このときも箸の代わりにするつもり ︻妻の警︼         で携帯していた・コン三から弁当が出るまで少し時票誓た

 被告人は︑公園を本拠として生活をし︑銅線を拾い集めたり︑  ため︑被告人は︑パチンコ店で涼もうと思い︑ついでにトイレを

コンビニから賞味期限切れで出される弁当を拾うなどして生活を  借りることにした︒

していた者であり︑日頃︑拾い集めた銅線のビニールの被覆をは   トイレの前でパチンコ店の従業員であるAに出会ったところ︑

がすのに使ったり︑箸代わりに使うために︑折りたたみ式のナイ  Aが咳払いをしてトイレ室に入っていったので被告人も後につい

フ︵刃体の長さ約8.9センチメートルのもの︒以下﹁本件ナイ   て行くと︑男子トイレの中でAが被告人を見て﹁何ですか﹂と小

フ﹂とする︶を携帯していた︒      馬鹿にしたようにいったので︑被告人は馬鹿にされたと思い︑

 被告人は︑平成一二年八月一四日︑コンビニから賞味期限切れ ﹁﹁お前︑何か﹂と言ってズボンの後ろのポケットから本件ナイフ

の弁当が出る時間になったので拾いにいくことにし︑日頃箸代わ  を取り出し︑﹁もう嫌がらせするな﹂と言ってAを脅すつもりで︑

﹁控訴審の職権調査の限界と破棄差戻しの適否﹂       ︵都法四十八ー二︶ 五一三

(2)

五三二

ナイフの刃を引っ張りだす素振りをしたところ︑Aは逃げていっ   検察官は︑平成一二年一二月一五日付け起訴状︵以下︑﹁第二

た︒このため︑被告入は本件ナイフの刃を出すに至らず︑Aに対  起訴状﹂︶において︑﹁被告人は︑平成一二年八月一四日午後九時

してナイフの刃を向けることはなかった︒       二〇分ころ︑福岡市内のパチンコ店内において︑同店従業員Aに

 その後被告人はナイフをポケットにしまい︑トイレを済ませ︑   対し︑﹃お前︑何か︒﹄などと語気鋭く申し向け︑所携の本件ナイ

パチンコ店を出てからコンビニの弁当が出ているかを見たが︑ま   フを示すなどして同人の生命︑身体等に危害を加えかねない気勢

だ出ていなかったため待っていたところ︑弁当が出たのでそれを  を示し︑もって兇器を示して脅迫した﹂という暴力行為等処罰に

拾い︑本拠にしている公園に帰って食べようと思い︑本件ナイフ  関する法律一条違反の罪で追起訴した︵以下︑﹁本件公訴事実﹂

をポーチにしまい︑自転車の前かご内に入れ帰ろうとしていたと  という︶︒

ころ︑警察官に呼び止められ︑ナイフの不法携帯の罪で現行犯逮   第一審裁判所は︑両事件を併合して審理し︑以下の内容の判決

捕された︒       を言い渡した︒

 検察官は︑被告人につき︑平成一二年八月二五日付け起訴状   ①第一起訴状記載の公訴事実︵路上での自転車前かごにしまっ

︵以下︑﹁第一起訴状﹂︶において︑﹁被告人は︑業務その他正当な  たポーチ内でのナイフの不法携帯︶については︑無罪とする旨を

理由による場合でないのに︑平成一二年八月一四日午後九時五三  理由中で説示するとともに︑主文において無罪を言い渡した︒

分ころ︑福岡市内の路上において︑本件ナイフを携帯した︒﹂︵銃   ②第二起訴状記載の公訴事実︵パチンコ店従業員に対する示兇

砲刀剣類所持等取締法三二条四号︑二二条違反︶の罪で起訴し  器脅迫︶については︑﹁兇器を示して脅迫した﹂という暴力行為

た︒      等取締に関する法律一条の構成要件に該当する行為には至ってい

 その後︑検察官は︑平成=一年↓二月四日付けをもって︑第一  ないというべきとし︑理由申で被告人の行為は暴力行為等処罰に

起訴状記載の公訴事実について︑路上での自転車前かごにしまっ  関する法律には該当しないものであると説示した︒

たポーチ内でのナイフの不法携帯という訴因から﹁パチンコ店内   ③第二起訴状記載の公訴事実︵パチンコ店従業員に対する示兇

でのナイフ不法携帯﹂という訴因に変更しようと申請したが︑弁  器脅迫︶については︑上記のように暴力行為等処罰に関する法律

護人が公訴事実の同一性を欠くとの意見を表明したことを受け︑  には該当しないものであると説示したが︑﹁しかしながら﹂とし       ︵1︶ 結局︑訴因変更請求を行わなかった︒      て︑被告人は︑トイレ内において︑本件ナイフを取り出した当

(3)

時︑被害者であるパチンコ店従業員を脅すつもりであったことが  によって本件公訴事実に関する原判決の事実認定を審査すること

認められ︑そうすると︑そのナイフの携帯には正当な理由は認め  は許されないから︑控訴審としては︑原判決を破棄した上︑本件

られず︑違法なものであるから︑銃砲刀剣類所持等取締法︵以  公訴事実について︑主文中で無罪を宣告すべきである︑とも主張

下︑﹁銃刀法﹂︶違反に該当するものというべきであるとの理解を   している︒なお︑検察官は控訴しなかったため︑第一審判決中の

示し︑﹁本件事実関係に照らせば︑暴力行為等処罰に関する法律  第一起訴状記載の事実︵路上での自転車前かごにしまったポーチ

違反の事実には︑銃刀法違反の主張も含まれているものと解され  内でのナイフの不法携帯︶についての無罪部分は確定した︒

るので︑訴因変更の手続は不要と考える﹂と判示して︑第二起訴   原審である福岡高裁第二刑事部は︑控訴趣意をいれ︑以下の判

状記載の公訴事実の中から﹁パチンコ店内における刃物不法携  断を示した︒

帯﹂の事実︵以下︑﹁本件犯罪事実﹂という︶を縮小的に認定し   ①暴力行為等処罰に関する法律一条に定める示兇器脅迫行為と

て︑主文で被告人を罰金十万円に処する旨を言い渡した︒     銃刀法二二条で禁止されている刃物の携帯とは︑法益︑罪質はも

 被告人は︑第一審判決中の有罪部分について控訴を申し立て  とより︑行為態様といった構成要件要素や違法性阻却事由の内容

た︒控訴の趣意は︑第一審裁判所は第二起訴状記載の暴力行為等  も異にしていることからすると︑両者は︑吸収︑包含される関係

処罰に関する法律違反の公訴事実については無罪としつつ︑同公  にはなく︑また︑一個の行為が二個の罪名に触れる場合であると

訴事実には銃刀法違反の主張も含まれているものと解して︑同法  も認められないのであって︑これらの法条に触れる行為は別個の

違反の事実を認定し︑被告人に対し︑罰金十万円に処する旨の判  犯罪として成立し︑両罪は併合罪の関係にあると解することはで

決を宣告したが︑これは刑事訴訟法三七八条三号後段の﹁審判の  きないし︑原審記録によって認められる審理経過に照らしても︑

請求を受けない事件について判決をした﹈場合に当たり︑いわゆ  本件公訴事実について︑検察官が本件犯罪事実のような銃刀法違

る不告不理の原則に違反しているから︑原判決を破棄した上︑被  反の罪についても処罰を求める意思があったと認めるに足りる事

告人に無罪の言渡をすべきであるとの主張である︒また︑いわゆ  情は見出せないのであるから︑本件公訴事実には銃刀法違反の主

る攻防対象論を論拠に︑被告人のみが控訴を申し立て︑検察官に  張も含まれると解して本件犯罪事実を認定した原判決には︑審判

おいては控訴を申し立てていない以上︑本件公訴事実は当事者間   の請求を受けない事件について判決をした違法があると言うべき

における攻防の対象から外されたことになり︑控訴審が職権調査   であり︑破棄を免れない︒

﹁控訴審の職権調査の限界と破棄差戻しの適否﹂       ︵都法四十入ー二︶ 五三三

(4)

五三四

 ②暴力行為等処罰に関する法律一条に定める示兇器脅迫行為と   ては処罰意思を持ち合わせておらず︑公訴を提起もしていなかっ

銃刀法二二条で禁止されている刃物の携帯とは︑一罪の関係には  たのであって︑これらの事実に関する第一審判決の認定判断は明

なく︑併合罪の関係にあることからすると︑パチンコ店従業員に  らかに検察官の当初の処罰意思に反するものであるから︑検察官

対する示兇器脅迫行為について被告人は無罪であると判断したの  が控訴を申し立てなかったことをもって︑検察官としては︑本件

であれば︑その旨主文においても言い渡さなければならないが︑  犯罪事実について被告人に刑罰を科すことで満足し︑その代わり

上記のとおり︑原判決はパチンコ店従業員に対する示兇器脅迫行  に本件公訴事実についての処罰意思を放棄したものと認めるには

為につき︑被告人は無罪であることを理由中で説示しながらも︑   いささか飛躍があること︑以上のような諸事情からすると︑本件

その旨主文では言い渡していないのであって︑この点では︑審判   は攻防対象論が妥当する典型例とはいいがたい︒

の請求を受けた事件について判決をしなかった違法があり︑刑事   ④職権調査の対象とするのを禁止されているということから︑

訴訟法三七八条三号前段の事由によっても破棄を免れない︒    控訴審としては︑原判決の事実認定に拘束された上で︑原判決が

 ③控訴審が職権調査によってパチンコ店従業員に対する示兇器  脱漏した主文を控訴審の判決主文中で宣言するために自判する義

脅迫行為に関する原判決の事実認定を審査することは許されない  務をも負わされているということが必然的に導き出されるわけで

との主張については︑暴力行為等処罰に関する法律一条に定める  はないものと思われるし︑先に指摘したとおり︑原判決には少な

示兇器脅迫行為と銃刀法二二条で禁止されている刃物の携帯とは  からぬ問題が認められることからすると︑本件については︑まず

一罪の関係にはないため︑第一審判決は︑刑事訴訟法三七八条三   は原審に差し戻し︑原判決の不備を是正し︑あるべき姿に整えさ

号前段︑後段の事由に該当することは明らかで︑違法性の程度が  せるのが肝要であると思料される︒

大きく︑この誤りを是正すべき必要性が強いこと︑このような破   原審は︑第一審判決中の有罪部分を破棄し︑自判はせず︑本件

棄事由が認められることからすると︑パチンコ店従業員に対する  を第一審裁判所に差し戻した︒

示兇器脅迫行為について適法に無罪とされたとするには疑問の余   弁護人は︑判例違反︑憲法三七条一項違反等の理由で上告し︑

地があること︑本件公訴事実と本件犯罪事実の罪数関係に関する  原判決は︑第一審判決を破棄した上︑示兇器脅迫行為の事実につ

第一審での審議経過を併せ考えると︑検察官としては︑本来︑本   き無罪を言い渡すべきであった旨を主張した︒

件公訴事実については処罰を求めていたが︑本件犯罪事実につい

(5)

︻判ビ日︼       る・このような訴訟の経過にかんがみると・被告人の控訴申立て

破棄自判︒       を契機として︑原審裁判所が︑職権により本件公訴事実を有罪と

 最高裁は︑上告趣意のうち︑判例違反︑憲法違反の主張につい  する余地があるものとして第一審裁判所に差し戻し︑あるいは自

ては刑事訴訟法四〇五条の上告理由に当たらないとしたうえで︑  ら有罪の判決をすることは︑職権の発動の限界を超えるもので

職権で調査し︑主文において﹁原判決及び第一審判決中有罪部分  あって許されないというべきである︒そうすると︑本件公訴事実

を破棄する︒平成一二年一二月一五日付け起訴状記載の公訴事実  については︑第一審判決の無罪の結論に従うほかないのであるか

につき︑被告人は無罪︒第一審判決が認定した罪となるべき事実  ら︑原審裁判所としては︑本件を第一審裁判所に差し戻すのでは

につき︑公訴を棄却する︒﹂と判示した︒       なく︑自判して被告人に対し無罪を言い渡すべきであったといわ

 最高裁の判断は︑以下のように整理できる︒      ねばならない︒

 ﹁原判決が︑第一審判決には刑訴法三七八条三号前段および後   また︑本件犯罪事実については︑公訴提起がなかったにもかか

段の違法があるとしてこれを破棄した点は正当である︒﹂      わらず︑第一審裁判所がこれを認定して有罪の判決をしたため︑

 ﹁原判決が︑本件を第一審裁判所に差し戻した点は︑是認する  上記控訴申立てに伴い事実上原審に係属するに至ったものである

ことができない︒﹂      から︑本件犯罪事実については︑公訴提起の手続がその規定に違

 ﹁第一審判決は︑罪数に関する法解釈を誤ったことが原因であ  反したため無効である場合に準じて︑公訴棄却を言い渡すべきで

るとはいえ︑絶対的控訴理由である同号前段及び後段の違法を犯  あったと解される︒﹂

していたのであるが︑検察官は控訴せず︑被告人のみが控訴し   したがって︑﹁原判決は︑上記の点において判決に影響を及ぼ

て︑第一審判決には同号後段の違法がある旨主張していたもので  すべき法令の違反があり︑これを破棄しなければ著しく正義に反

ある︒被告人は︑本件公訴事実については︑第一審判決の理由中  すると認められる︒﹂

において無罪とされており︑不服を申し立てる利益がなかったこ        ︻評釈︼ とから︑竺審判決中の有罪部分である本件犯罪裏についての 一罪数問題と刑訴法三七八条三号前段゜後段の理由の存否

み控訴を申し立てたが︑本件犯罪事実は︑被告人の控訴申立てに

伴い︑法律上当然に原審に移審継続するところとなったのであ   本件は︑第一審における罪数判断に関する違法に起因する手続

﹁控訴審の職権調査の限界と破棄差戻しの適否﹂       ︵都法四十八ー二︶ 五三五

(6)

      五三六

上の過誤の処理をめぐる控訴審での蓮のあり方が争占⁝となった ことに異論は見られ麓・しかし・銃砲又は刀剣類を示して暴行

事案である︒      罪︑脅迫罪または器物損壊罪を犯した場合︑両罪は成立の時期︑

 第一審は︑第二起訴状記載の公訴事実から︑﹁パチンコ店内で  規制の態様︑法益を異にし︑また︑通常手段結果の関係にあると

の刃物不法携帯﹂という銃刀法違反の事実を認定するに際し︑公   はいえないから︑例外的な場合を除いて︑暴力行為等処罰に関す

訴事実にこの主張も含まれているので︑訴因変更の手続は不要で  る法律違反と銃刀法違反と併合罪の関係にあることになるとさ あると判断した︒         離・判例も・刃物不法携帯との示兇器脅迫との関係に三て

 ここで問題となるのは︑暴力行為等処罰に関する法律一条と銃  は︑牽連犯や観念的競合の成立を否定し︑併合罪の関係にあると

刀法二二条との関係である︒暴力行為等処罰に関する法律蘂 の理解を示して境・

は︑暴行罪︑脅迫罪︑器物損壊罪という三種類の犯罪が︑所定四   本件第一審は︑﹁本件事実関係に照らせば﹂︑暴力行為等処罰に

類型のいずれかにあたる危険な態様で行われる場合に︑それぞれ  関する法律違反の公訴事実には︑銃刀法違反の主張も含まれてい         の刑を特に加重したものである︒暴力行為等処罰に関する法律に  るものと判示し︑第二起訴状記載の公訴事実について︑﹁縮小認

規定される諸犯罪は︑特定の類型の場合における傷害・暴行・脅 定﹂的な手法により銃刀法三二条四号・一三条違反を認定L⊇・

迫.損壊罪の加重類型を中心に構成されているといってよく︑同  この認定の際に︑第一審が考慮した本件の事実関係については︑

法は︑﹁個人的法益﹂を保護するための特別刑法として位置づけ  検察官が当初第〜起訴状について訴因変更申請をしつつも︑結局       ヨ  られるとされる︒これに対し︑銃刀法は︑銃砲︑刀剣類の所持に  行わず︑その後第二起訴状において︑パチンコ店内での示兇器脅

起因する危害予防の目的を︑憲法二九条の趣旨に鑑み︑財産権の  迫の事実のみを追起訴したという経緯と解し︑第一審が行った

保護との調和の下に護しようとするもので友麗・   ﹁縮小認定﹂三いては・このような訴訟の経緯をふまえ・追起

 確かに︑暴力行為等処罰に関する法律に違反する罪と銃刀法に  訴された第二起訴状記載の事実の中に︑第一起訴状記載の公訴事

違反する罪との関係については︑暴力行為等処罰に関する法律一  実である銃刀法違反についての検察官の処罰意思も反映している

条にいう﹁兇器﹂に︑﹁銃刀法﹂に規定される銃砲︑刀剣類が含 と解したことによるものとの理解が示されて広罷・しかし・前述

まれること︑及び︑暴力行為等処罰に関する法律一条の二第一項   のように︑両罪は立法趣旨や保護法益等を異にし︑吸収関係には

にいう﹁銃砲又は刀剣類﹂が︑﹁銃刀法﹂の銃砲︑刀剣類を指す  ないのであり︑このような第一審の認定について・刑訴法三七八

(7)

条三号後段の理由に該当するとの控訴審および最高裁の判段は適   いのであれば︑被告人のための片面的職権調査をする余地もない

当である︒      として︑﹁パチンコ店内における示兇器脅迫﹂の事実については︑

 なお︑第一審判決に刑訴法三七八条三号前段の理由に該当する  第一審で無罪判決が出たものと捉え︑当該部分につき移審効果を        ︵13︶ 違法があったとの判断については︑示兇器脅迫の事実に関しては  認めないとするほうが筋の通った方策であったとの指摘もある︒

判決理由中では無罪と述べていることをふまえ︑主文では無罪を   弁護人は︑控訴審における職権調査のあり方について︑攻防対

言い渡してはいないという形式的要請を遵守しなかっただけであ  象論に関する最高裁判例を引き︑この法理が本件にも適用される

り︑裁判所の意思表示内容は明確であるとし︑その違法の存在を  と主張する︒攻防対象論とは︑最高裁大法廷が新島ミサイル事件         ︵10︶ 疑問視する見解もある︒しかし︑刑訴法三七八条三号前段の理由   において︑牽連犯または包括一罪の関係にある訴因の一部事実を

に該当するかどうかは︑判決の主文と理由とも総合して決すべき  理由中で無罪と判断した第一審判決に対し被告人からのみ有罪部

ことがらであるから︑理由中で判断を示していても主文中でこれ  分に限って控訴された場合であっても︑﹁第一審判決に対する控       ︵11︺ を示していなければ︑同理由にあたるといえよう︒        訴提起の効力は公訴事実の全部におよび︑無罪部分を含めた全て

       が控訴審に移審継続するとしつつも︑無罪部分は攻防の対象から

一一

]効果と職権調査の対象      外されたものであって・控黍が刑事訴訟法三九二条一璽よつ

 本件公訴事実に関し︑パチンコ店従業員に対する示兇器脅迫罪   て公訴事実全部を有罪と判断し︑第一審判決を破棄し自判したの

の事実については︑第一審判決の理由申で無罪とされており︑被  は︑職権調査の許される限度を超え違法である﹂と判示し︑採用       へ14︶ 告人には上訴の利益がないのであるが︑被告人の有罪部分に関す   した法理である︒その後︑大信実業事件判決において︑観念的競        ︵15︶ る控訴の申立に伴い︑この部分についても原審に移審することと  合の場合にも︑この法理が適用されると示されている︒なお︑こ

なった︒本件における控訴審での職権調査の範囲に関し︑原審  れらの判決を通じて︑最高裁は︑上訴審における審判の範囲は何

が︑示兇器脅迫の事実について調査を加え︑第一審判決を破棄す   によって画されるかという問題も含めて︑具体的基準として訴因       ︵16︶ るにとどまらず︑同事実が適法に無罪にされたとするには疑問の  に着目していると考えられる︒当事者主義︑検察官処分権主義を

余地があるものとして第一審に差し戻したことについては︑職権  根拠とする攻防対象論からすると︑検察官からは控訴が申し立て       ︵12︶ 調査の限界を超えるものとの指摘がある︒また︑上訴の利益がな  られず︑検察官の処罰意思が示されなかった訴因については当事

﹁控訴審の職権調査の限界と破棄差戻しの適否﹂      ︵都法四十八−二︶ 五三七

(8)

五三八

者により攻防の対象から外されたものとして︑基本的には裁判所  は︑控訴趣意に対する義務的調査であるが︑同号前段の理由に関       ︵17︶ の職権調査の範囲から外されるべきであろう︒      しては︑職権による調査であった︒もっとも︑本件においては︑

 本件は併合審理された二つの起訴状記載の公訴事実について︑  被告人が控訴した有罪部分である銃刀法違反事実︵パチンコ内で

第一審裁判所が罪数評価に関する判断を誤り︑第二起訴状記載の  の刃物不法携帯︶については︑第二起訴状記載の公訴事実である

事実について﹁縮小認定﹂を行い︑これを受けて有罪とされた部   パチンコ店従業員に対する示兇器脅迫の事実から﹁縮小﹂的に認

分について被告人のみが控訴した事案であり︑牽連犯または包括  定されたものであり︑こうした罪数関係に関する法解釈の誤りの

一罪の関係にある訴因について︑有罪部分と無罪部分が可分で両  存在をふまえれば︑ここでは暴力行為等処罰に関する法律違反の

立しうる事案に妥当するとされる攻防対象論が妥当する典型例と  事実と銃刀法違反の事実は密接な関係にあり︑被告人のみの控訴

は事案を異にするのではあるが︑控訴審が基本的には事後審であ   で︑有罪部分についての刑訴法三七八条三号後段の違法のみが主

るとの建前を採るのであれば︑新島ミサイル事件決定が示したの  張されているとはいえども︑罪数関係の法解釈の誤りの存在を判

と同様に︑公訴事実全体について移審効果を認め︑その上で検察  断するためには同号前段の理由についての調査もおのずと関連し

官の処罰意思が示された訴因のみを審判対象とすることで職権調  てくるのであり︑同号前段の理由の有無について職権調査を及ぼ       ︵18︶       ︵21︶ 査の範囲を制限していくとの理解が適切であろう︒        し得ないとするのは適切とはいえまい︒

 もっとも︑検察官の処罰意思に基づく攻防対象の設定という点   もっとも︑本件においては︑最高裁も認定しているように︑暴

に関しては︑本件においては︑検察官としては︑第一審裁判所の  力行為等処罰に関する法律違反︵パチンコ店内での示兇器脅迫︶

罪数判断の誤りによるものであるが︑起訴した事件について﹁縮  の事実については︑第一審判決の理由申において無罪とされてい

小認定﹂はされたものの有罪判決を得られたと考えたため︑控訴   ることから上訴の利益が無いのであり︑銃刀法違反事実︵パチン

しなかったものとの理解し得るから︑検察官が控訴しなかったこ  コ内での刃物不法携帯︶の認定は刑訴法三七八条三号後段の理由

とをもって︑検察官が処罰意思を放棄したと考えることは困難で  に該当する以上︑第一審判決を破棄するしかない︒これについ ︵19︶        あり︑この点においても攻防対象論の典型事例とは事情が異なる  て︑﹁実質的無罪部分につき職権調査を認めながらも︑出すべき   ︵20︶ といえる︒       結論としては破棄・無罪自判しか認めないという理屈も理解が困        ︵22︶       °  本件においては︑刑訴法三七八条三号後段違反に関する調査  難である﹂との指摘がある︒しかし︑控訴審での職権調査には︑

(9)

法令違反の是正を含め︑刑事上訴審特有の﹁著しく正義に反す  段の理由については︑請求を受けた事件についてのみ判断できる        ︵23︶      ︵28︶ る﹂ことのないように保障する役割もあり︑また︑当事者が控訴   ので︑自判可能であるとして問題はないであろうが︑同号前段の

理由として挙げた以外の控訴理由についても︑実体的真実の発見  理由については︑通常︑この理由に該当する場合︑原判決の判決

ないし刑罰法令の適正な実現という刑事訴訟の目的を達成するた  が存在しないのであるから︑原審で審理・判決をさせるため︑事        ︵29︶ めに︑例外的に︑職権調査義務が生じる場合もあると考えられる  件の全体を原審に必ず差し戻さねばならないとされている︒       ︵24︶ こともふまえれば︑本件については︑刑訴法三七八条三号前段の   本件において原審が示した差し戻しの理由を見てみると︑第一

違法と同号後段の違法とは密接に関連し︑完全に独立の関係にあ  審裁判所による罪数判断に関する法解釈の誤りに基づく手続上の

るとはいえず︑第一審裁判所による罪数関係の法解釈の誤りに基   過誤は︑刑訴法三七八条三号前段︑後段の理由に該当し︑違法の

つく手続上の過誤を改めるためには︑たとえ︑結論として有罪部  程度が大きく︑この誤りを是正する必要が強いこと︑このような

分を破棄し︑第一審判決の理由中で無罪と述べられた判断に従わ  破棄理由が認められたことからすると︑第二起訴状記載の公訴事

ざるを得ず︑また差し戻しは認められないということになろう  実について適法に無罪とされたとするには疑問の余地があるこ

と︑刑訴法三七八条三号前段の理由についても職権調査を行うべ  と︑第一起訴状記載の犯罪事実と第二起訴状記載の犯罪事実の関          ︵一b2︶ き事案といえるであろう︒      係と第一審の審理経過を合わせて考えると︑検察官が控訴の申し

       立てをしなかったことをもって︑検察官が処罰意思を放棄したも 三破棄差戻しの適否        のと認めるには飛躍があること・などの事情を挙げ本件は攻防

 現行法における控訴審の事後審的性格にあっても︑破棄自判に  対象論が妥当する典型例とは言い難いとしている︒さらに︑﹁原

ついては︑例外的に﹁続審﹂による判決手続を認めたものとさ  判決の事実認定に拘束された上で︑原判決が脱漏した主文を控訴

︵26︶

れる︒そして︑刑訴法四〇〇条但書の﹁直ちに判決することがで  審の判決主文中で宣言するために自判する義務をも負わされてい

きる﹂との要件に関し︑原裁判所が訴訟条件の欠如を看過して実   るということが必然的に導き出されるわけではないものと思われ −

体判決をしたことを理由とする場合はこれに該当するとされ︑こ  るし︑⁝原審には少なからぬ問題が認められることからする

のような場合には︑差戻・移送をせずに︑自ら公訴棄却又は免訴  と︑本件については︑まず原審に差し戻し︑原判決の不備を是正        ︵27︶ の判決をすべきと説明されている︒なお︑刑訴法三七八条三号後  し︑あるべき姿に整えさせるのが肝要であると思慮される﹂と

﹁控訴審の職権調査の限界と破棄差戻しの適否﹂      ︵都法四十八ー二︶ 五三九

(10)

五四〇

し︑破棄・自判の必要性を否定した︒      おいては銃刀法違反の事実については処罰を求めていないなか︑

 これら原審の挙げた理由のうち︑第一審裁判所による罪数判断  第一起訴状における銃刀法違反の事実についての無罪判決に対し

についての法解釈の誤りに基づく手続上の過誤の点に関しては︑  控訴を申し立てていない以上︑その活動内容からは︑銃刀法違反

暴力行為等処罰に関する法律違反︵パチンコ店内での示兇器脅  の事実についての検察の処罰意思は断念されたと評価すべきであ

迫︶の事実については︑理由中で無罪としているものの︑主文で  る︒となると︑本来の二つの起訴状記載の公訴事実については実

無罪とする旨の言い渡しをしていないのではあるが︑実質的には  質的に無罪と判断され︑それに対し検察官は控訴しなかったので

裁判所の判断は表明されていると考えられるのであって︑これに  あるから︑控訴審が︑その判断内容に職権で介入していくことが        ︵33︶ ついては︑事実認定がなされていないことを理由に事件全体を原  できない場合と考えられよう︒

審に必ず差し戻さねばならないとされる刑訴法三七入条三号前段   結局︑本件は刑訴法三七入条三号前段および同号後段の理由の        ︵30︶ の典型事例とは言えないであろう︒       存在により第一審判決を破棄せねばならない事例であるが︑前述

 適法に無罪とされたとするには疑問の余地があると述べる点に  のように︑刑訴法三七八条三号前段の理由については︑通常︑こ

ついては︑ここでの﹁適法に無罪とされた﹂という趣旨は︑第一  の理由に該当する場合︑原判決の事実認定が存在しないのである

審判決宣告手続に無効事由等がないことを意味しているとされ  から︑原審で審理・判決をさせるため︑事件の全体を原審に必ず ︵31︶      ︵43︶ るが︑第二起訴状記載の公訴事実についての第一審判決の無罪部  差し戻さねばならないとされているが︑本件においては︑有罪部

分についての判断に関しては︑そのような意味で︑﹁適法﹂にさ  分については︑第一審判決の理由中で無罪と述べられており︑そ          ︵32︶ れなかったわけではない︒      の旨に従わざるを得ないのであり︑本件については︑事件が自判        ︵35︶  検察官の処罰意思の評価に関しては︑すでに検討したように︑  適状に到達していると認められよう︒原審裁判所としては︑本件

仮に第一審裁判所が︑第二起訴状記載の事実の中にナイフ不法携  を第一審裁判所に差し戻すのではなく︑自判して被告人に対し無

帯の事実についての検察官の処罰意思を読み取り︑さらに︑控訴  罪を言い渡すべきであったといわねばならないと示した本件最高        ︵36︶ 審は︑検察官としては︑起訴した事件について﹁縮小認定﹂はさ  裁の判断は適当であろう︒

れたものの有罪判決を得られたと考えたため︑控訴しなかったも       四 公訴棄却について のと理解していたとしても︑検察官は︑追起訴した第二起訴状に

(11)

 最高裁は︑最高裁昭和二五年判決一〇月二四日第三小法廷判決   ︵6︶伊藤ほか・前掲︵注四︶四三六頁以下︒なお︑いかなる場合が

を引き︑第一審裁判所が認定したパチンコ店内でのナイフ不法所     ﹁例外的な場合﹂とされるのかについては明確にはされていな       へ む 持という事実を公訴棄却すべきであると判示した︒引用した判例     し       ︵7︶ 寺崎嘉博﹁判批﹂早稲田法学八十巻二号︵二〇〇五︶一六三頁 も本件についても︑第一審裁判所の違法な判断に起因して控訴審     ︵注一︶掲載の判例・松代剛枝﹁判批﹂判例タイムズ一二二二号

に訴訟係属することとなったものである︒このような事例におい︐    ︵二〇〇六︶六七頁︵注四︶および︵注五︶掲載の判例参照︒

て︑刑訴法三三八条四号の規定を非限定的な包括規定と解し︑訴   ︵8︶第一審裁判所は判決において丁・・暴力行為等処罰に関する

訟条件を欠くとして公訴棄却とすることは︑現実的な処理方法と     法律違反の事実には︑銃刀法違反の主張も含まれている﹂との

して許容しえ鉋・      理解を示している︑﹂とから︑︑﹂︑﹂では縮小認定の方法を採用し       たものと解されるが︑罪数関係を考慮すると違和感は否めない 以上︑本判決の結論については︑本件のようなやや複雑な事実  ため・以下顧小認定Lとの表現をもって・笙嚢判所の認

関係を背景として生じた下級審の罪数判断に関する違法に起因す     定方法を表現することとする︒

る手続上の過誤に対する現実的な処理という観点からは︑適当な   ︵9︶寺崎・前掲︵注七︶一六一頁︒また寺崎教授は︑﹁第一審裁判

判断を示したものと評価出来よう︒      所は...検察官の追起訴︵ナイフを示した脅迫︶の中に︑︵店       内でのナイフ携帯︶についての訴追意思を読み取ったと解する

      のが︑実態に近いのでないか︑と思われる︒﹂との理解を示され  ︵1︶ この経緯について︑美奈川成章﹁刑事弁護レポート 銃刀法・      ︑       ている︵傍点筆者︶︒寺崎・前掲︵注七︶一六二頁︒    暴力行為違反事件﹂季刊刑事弁護二九号︵二〇〇二︶七二頁以       ︵10︶ 中川孝博﹁判批﹂法学セミナー五九七号︵二〇〇四︶一一六    下︒ ︵2︶伊璽樹ほか編﹃藷特別刑法第二巻゜準刑法編﹄︵立花書房  頁︒       ︵11︶ 伊藤栄樹ほか﹃注釈刑事訴訟法﹇新版﹈第六巻﹄︵立花書房︑    一九八二︶二二三頁︵内田文昭執筆部分︶︒        一九九八︶一〇三頁︵小林充執筆部分︶︑平場安治ほか編﹃注解  ︵3︶ 同前二二二頁︒       刑事訴訟法・下︵全訂新版︶﹄︵青林書院新社︑一九八一︶八八  ︵4︶ 伊藤栄樹ほか編﹁注釈特別刑法第七巻・公害法危険物法編﹂﹂    ︵立花書房元八七︶三八七頁︵阿部純二゜北野通世執筆部  夏中武晴夫執筆部分︶︒また︑仙ムロ﹈.向裁昭和二九年六月三日       判決︵高等裁判所刑事判決特報三六号八二頁︶においては︑﹁併    分︶︒       合罪として起訴された事実の一部に犯罪の証明がない場合に︑  ︵5︶ 伊藤ほか・前掲︵注四︶四三六頁以下︒

﹁控訴審の職権調査の限界と破棄差戻しの適否﹂       ︵都法四十入ー二︶ 五四一

(12)

五四二

  無罪の言渡をしないことは︑刑事訴訟法三七八条三号前段に当      対象からは外れるとする最高裁の攻防対象論に対して︑無罪判

  る︒﹂と示され︑仙台高裁昭和三一年三月一九日判決︵高等裁判      断部分について審理がおよばないことについては︑移審継続す

  所刑事裁判特報三巻六号二六七頁︶においては︑審判の請求を      る公訴犯罪事実も縮小された訴因に対応する部分に限るという

  受けた事件にっき︑判決理由中に事実を認定しながら︑主文に      理論構成により説明を試みる見解として︑鈴木茂嗣﹃刑事訴訟

  おいてその刑を遺脱したのは︑刑事訴訟法三七八条三号前段に    法︵改訂版︶﹄︵青林書院︑一九九〇︶二五三頁以下︒また︑庭

  当る︒﹂とされている︒      山英雄﹁控訴審における審判対象︵いわゆる一部上訴を含む︶﹂

︵12︶ 平木正洋﹁判解﹂ジュリスト一二八三号︵二〇〇五︶二一六      熊谷弘ほか編﹃公判法大系W﹄︵日本評論社︑一九七五︶一二八

  頁︒       頁以下においては︑上訴されない部分も移審係属しつつ︑攻防

︵13︶ 中川・前掲︵注一〇︶=六頁︒      対象から外れるという理論構成は中途半端であるとし︑検察官

︵14︶︑最大昭和四六年三月二四日決定刑集二五巻二号二九三頁︒        の上訴のない無罪部分に対して裁判所は職権発動できないとい

︵15︶ 最一昭和四七年三月九日判決刑集二六巻二号一〇二頁︒        うふうに理論構成するか︑さもなければストレートに審判対象

︵16︶ 宮城啓子﹁職権調査の限界﹂刑訴法の争点﹇第三版﹈︵有斐閣︑     から外されると理論構成すべきであったと述べられている︒

  二〇〇二︶二一三頁︒       ︵19︶ 平木・前掲︵注一二︶二一七頁

︵71︶香城敏磨﹁判批﹂刑事訴訟法判例百選第五版︵一九八⊥ハ︶一二二   ︵20︶ 他方において︑第一審が絶対的控訴理由に当たる重大な違法を

  二頁︒伊藤ほか・前掲︵注一一︶二五一頁︵小林充執筆部分︶︒      犯しているにもかかわらず︑公益の代表者たる検察官がこれを

  なお︑岩瀬徹教授は︑予備的訴因を認定した第一審判決に対し︑     是正するために控訴しなかったことも︑本件の特徴的な点とし

  被告人のみが控訴した事例を検討する上で︑﹁事柄は︑個別ケー      て指摘されている︒平木・前掲︵注一二︶二一六頁︒

  スにおける検察官の処罰意思の問題ではなく︑制度的枠組みと    ︵21︶ 岩瀬徹﹁判批﹂平成一六年度重要判例解説︵二〇〇五︶二〇五

  して類型的にどう考えるかである︒﹂と主張した上で︑﹁⁝︑     頁︒

  一般論として︑非両立の事実関係にある場合には︑両者はまさ    ︵22︶ 中川・前掲︵注一〇︶一一六頁︒

  に表裏一体の関係にあるのであるから︑一方が攻防の対象から   ︵23︶ 宮城・前掲︵注一六︶二=二頁︒

  外れるということはないであろう︒﹂とされる︒岩瀬徹﹁いわゆ   ︵24︶ 平野龍﹈﹃刑事訴訟法﹄︵有斐閣︑一九五八︶三一七頁︑高田

  る攻防対象論について﹂﹃小林充先生・佐藤文哉先生古稀祝賀刑      卓爾﹃刑事訴訟法︵二訂版︶﹄︵青林書院︑一九八四︶五二九頁︑

  事裁判論集﹄︵判例タイムズ社︑二〇〇六︶三八七頁︒      鈴木・前掲︵注一八︶二七七頁︑田宮裕﹃刑事訴訟法︵新版︶﹄

︵18︶ 上訴されていない部分についても移審効果を認めつつ︑攻防の      ︵有斐閣︑一九九六︶四八〇頁︑松尾浩也﹃刑事訴訟法下︵新版

(13)

  補正第二版﹄︵弘文堂︑一九九九︶二二四頁︑三井誠ほか編﹃新      件のものと認められる権限規定であり︑義務規定とは解してこ

  刑事手続皿﹄︵悠々社︑二〇〇二︶四=二頁︵久保眞人執筆部      なかった本条ただし書きが義務性を帯びることもあることを示

  分︶︑池田修・前田雅英﹃刑事訴訟法︵第二版︶﹄︵東京大学出版     した一例となろう︒﹂と述べられている︒岩瀬.前掲︵注二こ

  会︑二〇〇六︶四四七頁など︒      二〇六頁︒

︵25︶ 本件については︑例外的とされる職権調査義務が生じうる事案    ︵37︶ 昭和二五年判決の趣旨についても︑このように理解するものと

  の一例が示されたものともいえよう︒      して︑団藤重光﹃刑事訴訟法綱要︵七訂版︶﹄︵創文社︑一九六

︵26︶ 伊藤ほか・前掲︵注=︶三四六頁︵香城敏麿執筆部分︶︒ま      七︶一五八頁以下︒本件に関し︑刑訴法三三八条四号により公

  た最大判昭和三十年六月二二日刑集九巻八号一一八九頁︒        訴棄却として処理することに疑問を提起するものとして︑寺

︵27︶ 伊藤ほか・前掲︵注=︶三五三頁︵香城執筆部分︶︒      崎.前掲.︵注七︶一六三頁︒

︵28︶ 伊藤ほか・前掲︵注一一︶三五八頁︵香城執筆部分︶︒

︵29︶ 伊藤ほか・前掲︵注一一︶三五八頁︵香城執筆部分︶︒

︵30︶ この点に関し︑岩瀬教授は︑﹁本件は無罪の判断過程手続それ

  自体に重大な違法があるというのではなく︑罪数に関する法解

  釈の誤りに起因する手続上の違法をいうものであるから︑その

  違法の重大性は︑破棄事由に当たるとしても当然に差し戻すべ

  きだということにはならない︒﹂とされる︒岩瀬・前掲︵注二

  一︶二〇五頁︒

︵31︶ 藤永幸治ほか編﹃大コンメンタール刑事訴訟法︵第六巻︶﹄︵青

  林書院︑一九九六︶三二八頁︵原田國男執筆部分︶︒

︵32︶ 岩瀬・前掲︵注二一︶二〇六頁︒

︵33︶ 岩瀬・前掲︵注二﹈︶二〇五頁︒

︵34︶ 伊藤ほか・前掲︵注一一︶三五八頁︵香城執筆部分︶︒

︵35︶ 松尾・前掲︵注二四︶二三八頁以下︒

︵36︶ なお︑岩瀬教授は︑刑訴法四〇〇条の関係に関し︑本件は﹁極

  めて極端な例ではあるものの︑これまで︑あくまでも一定の要

﹁控訴審の職権調査の限界と破棄差戻しの適否﹂      ︵都法四十八ー二︶ 五四三

参照

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