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特 集 新 た な 地 域 開 発 金 融 の あ り 方

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特 集 新 た な 地 域 開 発 金 融 の あ り 方

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圭 ̲ 号 室

三重事ミ‑ : ; ‑ ; = I ' : 章二 ̲ ; ; I , ; ̲ i :

1997年 11 月、北海道拓殖銀行( 以下、「 拓銀

)

の経営破

綻に北海道が票醸 した。拓銀の破綻は、北海道の金融仲 介 を機能不全に陥れるのみならず、様々な摩擦 を伴いな

が ら、実物経済の収縮 をもたらしている

この間、日銀特融 をはじめとする一連の行政措置が講 じられたほか 、98年11 月には拓銀の営業が譲渡 され、金 融安定化のための前提条件が整えられてきた。

だが、それでもなお相次 ぐ企業倒産のなかで、信用不 安 と雇用不安は高まりをみせている。拓銀破綻は、株式 会社 として存立する銀行の私企業性 と、それが担 う金融 仲介機能の公共性 をあらためて問 うとともに、北海道経 溝に内在 し続 けてきた構造的な脆弱性 をも露わに した。

北海道の金融 システムの現状 と今後の方向について、

小樽商科大学商学部の斎藤一朗助教授に、お話 を伺 った。

拓 銀 の 破 綻 に つ い て

拓銀 の破綻 は、拓銀 の経営 に将来 的 な「 地政学」的 特質 ‑東京 と札幌 の二元経営体利 一 と営業推進 と一 体化 した リス ク管理 、そ して業態序列 に基づ いた金 融行政が遠 因 といわれてい ます。 どの都銀 で も、バ ブル期 は営業推進 に軸足 を置 いた とい われ ますが、

拓銀 の場合 は、他 の都銀 よ り時期が遅 れて営業へ の

まくとう 秋 季弓一Volume5OAulum n 1998 ⑳

集/新たな地域開発金融のあり方

傾斜が加速 した こと、都銀最下位 かつ地元 マ ーケ ッ トの立 ち後 れ とい う状況 に焦 りが あ った こ とが傷 を 深 くした といわれてい ます。

拓銀 が都銀 として北海道 で集 めた資金 を首都 圏で 運用す る ことがで きる仕組 み を持 っていた こ とは、

貸 出ポー トフ ォリオの分散 や収益源泉の厚 み を増 す とい う点で、大 きなメ リッ トが あ りま した。 しか し、

実際 はそれが逆機 能 して しまい ま した。実物経 済 と 金融経 済が乗離 し、 この仕組 みが資産 ス トックに資 金が向か う排水路 と して作用 した ことが、拓銀 を厳

しい状況 に追 い込 んだ と思 い ます。

問 :拓銀 は「 北海道経済 の よい童

の よ う

イ ンバ ンク」と言 って も 後 、北海道経済 に ど

よっか。

北 海道経 済 は、今 まで 中央 か らの財 政 トラ ンス フ ァー に よって支 え られて きた経 済で した。その よ うな中での拓銀 の機能 とい うのは、公 的需要の中で 生 まれ るキ ャ ッシュフロー を行 内で一度集約 し、そ れ を基盤 に実物経済活動 に対す る資金供給 を行 うと い うもので した。

財政 トラ ンス フ ァー とい うのは、額 に若干 の変動

はあ るに して も必ず入 って くる とい う意味 で確実性

を帯 び た もの で す 。 そ して 、 そ の 財 政 トラ ンス

フ ァー にぶ ら下が る形 で北海道経済が成 り立 ってお

(2)

り、そ こか ら生 まれるキ ャッシュフローは必ず末端 の家計 まで届 く仕組みがで きあが ってい ま した。

その ような中で、拓銀が仲介す る金融取引 は、財 政 トランス ファー を源泉 とす るキ ャ ッシュ ・フロー の確実性 を引 き当て として行 われてい ま した。

通常、民 間経済主体部 門に基盤 を置 く経済構造 に おいては、取引相手 に関す る情報の非対称性注1 ) が存 在す るため、情報生産 に裏打 ちされた信認が重要 な 役割 を果 た します。 しか し、北海道経 済は公的需要 を基軸 として特定 の取引チ ャネルに依存す る場合が 多 く、取引関係 も長期 固定的な もの となっていたた め、拓銀 は金融業 として本来持つべ き審査や債権管 理 とい った「 情報生産機能」を磨 かず に、いわば集権 経済的な金融仲介業 に依存 し続 けて きたわけです。

同様 に、残存す る金融機 関 も今 まで拓銀 を頂点 と す る北海道的な金融秩序 のなかで、分権 的な経済 に 適合 した「 情報生産機能」を有 して きませ んで した。

拓銀 の破綻 によって、今 まで拓銀が果 た して きた 機能が喪失 された と同時 に、北海道金融全般 におけ る「 情報生産機能」の不在が、拓銀破綻 に伴 う影響 を 増幅 している と言 えます。

鱒図

l/

金融仲介の基本機能

金融伸介機能

「情報生産機能

〔…

権管≡ ≡

資産返還機能

〔三三三…≡

借 り手の 返 済能 力 に 関 す る 情 報の非 対 象性 の解消

借 り手の 返 済努 力に関 す る 情 報の非 対 象性 の解消

借 り手 の返済能力に関す る 情報 の不確実性の解消

貸 し手 の将来支 出に関す る 情報 の不確実性の解消

決済機能 二‑奴的交換手段 の提供

拓銀 は ピーク時で8兆円、破綻前で6兆円 とい う大 変大 きな資金量 を有 してい ました。拓銀 は、 これだ けの資金量 を背景 に北海道 と首都 圏で運用 を行 って きま した。 リス ク的 に脆弱 な北海道経済 に とって、

この ようにインター ・リージ ョナルでポー トフォリ オを抱 え られ る銀行がが っち りと構 えていたことは 大 きなメ リッ トで した。 しか し、その ような銀行が な くなるのですか ら、その影響 は大 きな ものです。

今後残 る銀行 の資金量 は、最大 で も

5

兆円ですか ら、拓銀 と同等 の リス ク負担 を求め ることはで きま せ ん。そればか りか、逆 に拓銀破綻 によって リスク 管理 を強化す る傾 向 を強めてお り、 この ままでは リ ス ク管理機能低下 による信用収縮 を引 き起 こす可能 性 もあ ります。

注 1)金 融 取 引 に お け る情 報 の 非 対 称 性 と は 、約 定 どお り返 漬 さ れ る金 融 取 引 に お け る可 能 性 が どれ く らい あ る か を判 断 す る た め の 情 報 が貸 し手 側 で不 足 して い る こ と

どのようにみていますか。

拓銀 のバ ラ ンスシー トが解体 されるプロセスにお いて、経済活動の「 負の連鎖」が北海道経済全般 に拡 が る可能性があ ります。拓銀破綻 の影響 の第一段 階

担図

2/

経済発展における実物経済と金融仲介機能

金融仲介機能の発展(F) F=f(R

)

R=「(F)

出所)輿E 日英

宿 黒柳雅明編著 賢人門閥発会軌 日本評論社、1998、33‑34

A点 より右方の領域では実物経清 と金融仲介機能は相互促進的な関係にあり、左方の領域 では相互抑制的な関係にある。

北海道では、財政 トランスファーによって投資G が行われることで、実物経溝全体の反応 関数

R+G‑r(F)+G

は図中に位置すると考 えられるOこのため、北海道における金融仲介機 能は相互促進的なもの となっている。

特集/新 たな地域開発金融のあ り方⑳ 李範はくとう秋季号

volume5OAutumn19')8

21l 滋泌 鷲従業符

(3)

特 集 新 た な 地 域 開 発 金 融 の あ り 方

は、拓銀の機能停止 を引 き金 とす る倒産 とその連鎖 です。次 いで、営業譲渡先である北洋銀行 による道 内貸 出債権 の引 き継 ぎ拒否の影響 とその連鎖 、 さら に第三段 階は、第一段 階 と第二段 階で倒産 した企業 に繋が る企業の倒産です。

これ らの影響が どの ように発現 してい くかは簡単 に予測で きませ ん。北海道 における

98

1

月か ら

9

月 に発生 した

791

社 の倒産 と

6,400

名以上の失業が影響 の第一段階であった と考 える と、今後 もその影響 は 段階的に表れる と考 え られ ます。

間 :実物経済のり い く

最近 のデー タをみ る と、北海道 の貸 出総額 は

、1

‑0.5

ポ イ ン トの微 々たる減少 にお さまってお り、

量 的には信用収縮 は まだ見 えてい ませ ん。 しか し、

これ を貸 出先別 にみる と、地方公共団体 に対す る貸 付が増 えてお り、お金の流れが変化 して きているよ うに感 じられ ます。拓銀破綻 のつけが結果的 に地方 公共団体 に持 ち込 まれた可能性が高い ようです。

この ことは、借 り手である企業の立場 か ら言 えば、

直接 的な資金供給が減 り、その分が公共投資等 を通 じた間接 的な供給 に振 り替 わって きている とい うこ とにな ります。それが果 た して北海道の実物経済の 収縮 を防 ぐ方法 として効果的なのか どうかは議論 の 分かれる ところです。

今後の北海道における

金融システムの構築について

現在 、北海道 における金融仲介機能は「 情報生産

と「リス ク負担」とい う二つの側面 において不全 をき た していることが問題 です。 この機能不全が行 き過 ぎる と、いわゆる「 貸 し渋 り」が発生 します。

それ を阻止す るため にすべ きことは金融仲介機能 の基本 に立 ち環 る こ とです。す なわち、「 情報 の不

秋季

等・volume5()Autumn1998

◎ 特 集 / 新 た な 地 域 開 発 金 融 の あ り方

医図

3/

北海道における新たな金融秩序の構築に向けて

審査機能の リニ ューアル .北海道経済の発展 を展望 した審査 ノウハ ウの醸成 1

担保徴求による審査機能の代替か ら、キ ャッシュフロー重視 の審査機能へ

適切な リスク ・コン トロール :資産背骨の乏 しいなかでの リスクテイクのあ り方 1

担保 に依存 した個別案件管理か ら、 リスク分散 を基本 とす るポー トフォリオ管理へ

新たな金融秩序の構築 に伴 うい くつかの課題 ●

ィ.審査 ノウハ ウの醸成 に必要な専門能力 と経験 ロ.地場企業の経営 ノウハ ウと情報開示のあ り方 ハ. リスク負担を補完す る債務保証の制度設計 こ.銀行 と協 同組織金融機関の機能補完

基本命題 .北海道経済の発展 に必要な資金 を、如何 に円滑に嘗額 し融通す るか

確実性注

2

) 」や「 情報 の非対称性」を前提 とした市場型 の金融 システムをどう再構築 してい くのか とい うこ

とです。

そ して、 それ は実物経 済 の構 造 変革 とセ ッ トで 行 ってい く必要があ ります。 自立的な経済 を目指す のであれば、実物経済 と金融 システムの相互促進的 な関係 を構築す る必要があ ります。

2)例 え判断材料 となる情報 が手 に入 った と して も、 それに よって明 らかになるのは返済の可能性 が どれ くらいあるか であ り、将来 に亘 る返渚 には不確 実性 が伴 う。 これ を金融 取引における情報の不確実性 とい う

問 :実物経済の動 きを見 る と 化

北海道の実物経済の転換 は、約

20

年前 にあ った と み る こ ともで きます。つ ま り 、70年代 頃か ら石油 シ ョックを背景 とした重厚長大産業の凋落、農産物 の輸入 自由化

、200

海里規制 、エ ネルギー需要の構 造転換等 による基幹産業の衰退 といったことがあ り、

この ころか ら実物経済 は変化 していたのか もしれ ま せ ん。 しか し、 この間 も、金融仲介のあ り方 に大 き な変化 はみ られ ませ んで した。

現在 も、北海道では リス ク管理対策 として信用保

証協 会 に依存す る傾 向がみ られ ますが、今後の新規

事業 の育成等 を考 える と、今 こそ創造的な審査機能

と厚 みのある リスク負担機能 を育 てる必要があ りま

(4)

す。 これ までの リス クをとらない金融活動か ら脱皮 すべ きです。

確かに、北海道の金融機関は、その地理的条件 一 広域性 ‑か ら規模 の経済性や集積 の利益 を得 ること がで きず、 コス ト高であるとい うことがあ り、その

ことをどの ように埋め戻 してやるべ きか とい う議論 は必要です。 しか し、その議論の前 に、情報の非対 称性が どれだけあるのか、つ ま り自分の審査能力で 知 り得 ない情報が どれだけあるのかを明確 にするこ とが重要です。非対称性が解消 して もなお残 るもの が「リス ク」だか らです。相手の情報がないことと、

相手の先行 きが分か らないことは別のはずです。

ですか ら、本来取 らなければならない「リスク」が どの くらいであるのか を知 る情報生産活動 をサポー トす る仕組 み と、明 らか になった「リス ク」を どう やって負担す るのか とい う仕組みの二つ を考 えてお

く必要があると思い ます。

例 えば、北海道の金融機関が情報 を把握 しきれな い時に、道や市 などの公共機 関が中小企業相談所等 を通 じてス トックしている中小企業情報 を積極 的 に 還元す るとい う方策が考 えられます。 これには守秘 義務 の問題 もあると思い ますが、北海道 とい うイン ナーサークルにおける緊急対策 として、金融機関の情 報生産機能 を代替する仕組みが必要だと思います。

また、 よ り積極的には、地場企業が 自らの情報 を 能動的に公開で きる情報ステ ィング( 登録) 制度の よ うなもの を考 える必要があ ります。その際のポイン トは、情報公 開企業 に対 して、 どの ような社会的ス テータスを与 えてい くか とい うことです。

政策金融機関は、 プロジェク トベースでは、従来 か ら民間の情報生産機能 ・リスク負担機能 を補完 し て きたわけです。 しか し、 この ような深刻 な金融危

機 に対処 してい くには、それだけでは不足で しょう

だか らといって、運転資金分野 における政策金融の 安易 な発動 は問題 も多い と思います。

今最 も懸念 されることは、中小金融機関が貸付先 を兄いだせ ない ときに、道外での運用に走 ることで す。資金運用 を通 じて、道外あるいは外資系の金融 機関 との資金系列化が進 むならば、運用効率 の点で、

地元での貸出が過小 になることが考 えられ ます。い ままさに日本版 ビッグバ ンの最 中、市場 メカニズム に従 った資金運用の効率化が資金の域外流出を加速 化することは、想像 に難 しくあ りませ ん。それゆえ、

民間金融機関の余剰資金 を集め利子補給や補助金 を つけて再投資す る北海道 ファン ドや、政策金融機関 の債権 を流動化 して地場金融機関に売却 し、それを 政策金融機関が再投資す るような仕組みなどを考 え てい く必要がある と思います。

後 のような

企業 を育てるのは金融の責任です。 これまでは、

財政 トランスファーを背景 とした「 つな ぐ金融」で よ かったわけですが、これか らは「 つ くる金融」が求め られます。そのためには、審査能力の向上等や らな ければならないことはた くさんあ りますが、その要 は人材の育成です。 これ までの ような全国均一的な セ ミナー方式 による人材育成か ら脱却 し独 自の人的 資本の蓄積 を行 うことが必要です。

そ して、今後、地方分権等で地域が 自立 しなけれ ばならない ときに、金融機関 として どの ように地域 を育てるかを真剣 に考 えるべ きです。地域密着は も うお題 目ではあ りませ ん。今後の金融機関は、空間 的に地域 にこだわるか世界 を相手 にす る しかあ りま せ ん。地域 の実物経済 は まさに金融機 関 に とって

「 宿 り木」であ り、地域 と「 共生」してい くという意識 が切実 に求め られて くるはずです。

特集/新たな地域 開発金融のあ り方⑳ 季報ほくとう秋季号

volume5OAutumn1998

23 冠喜鋳造藍遼寧

参照

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