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イギ リスにおける公益情報開示法の 形成 と展開

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(1)

イギ リスにおける公益情報開示法の 形成 と展開

‑ 労働者 による内部告発 と 企業活動のあ り方に関する一考察 ‑

くに たけ ひで .

園 武 英 生

目 次

日本の間悪状況

研究の考察対 象 と視角の設定 本稿 の位置付 け とその構成

第‑章 公益情報開示法以前 の コモン ・ローの理論 第‑節 公益 に関する情報開示法理の形成過程

‑ 情報開示 と労働者 の守秘義務 公益 に基 づ く正 当事 由の形成過程 第二節 正 当事 由の成立条件

開示 内容 とその正 当事 由 一般的考慮事 由

第二章 公益情報 開示法 の成立 第一節 公益情報開示法成立の背景

立法の背景 立法 目的

第二節 公益情報開示法の基本構造 適用対象者

保護 され る情報開示 救済

第三節 公益情報開示法 の意義 第三章 公益情報 開示法以後 の展開

第一節 労働 法改革 『職場 における公正 (FairnessatWork)』 との関連

第二節 紛争事例

335556678891010101011121213161818

(2)

‑ BladonvALM MedicalServicesLtd事件

AzmivOrbisCharitab一eTrust事件

FernandesvNetcom Consultants(UK)事件 第三節 公益情報開示法の展開

仮救済

解雇事由の立証責任 推論

四 損害賠償 小括

終章

イギ リス公益情報開示法の特徴 ‑ 若干の比較法的考察 本稿のまとめと残された検討課題

911222223334122222222222

(3)

本稿 は,イギ リスのThePublicInterestDis closureAct1998(以下,公益情報開示法) とそ の理論 的背景を構成するコモン ・ロー上の労働者 による企業情報開示の基礎理論を分析 ・検討 しよ うとす るものである。本稿の分析 ・検討対象は, 我が国 において最近つ とに社会現象 として浮上 し つつあ る 「内部告発」 と称 されるものであ り,覗 衣,我 が国において も内部告発者保護法の立法化 が検討 されている状況にある1

日本の問題状況

問題の所在

企業 は,営利法人 として法主体性 を認め られて いる以 上, 自然人 と同様 に法令を遵守 しなければ ならな い。法令の遵守 は,企業に求められる最低 限の基 本的義務である。

しか しなが ら,近年,企業の不正行為が新聞紙 面 を賑 わ していることは周知のとお りである。企 業の不 正行為は,水俣事件に代表される環境汚染 公害 に よって顕在化 し,大和銀行ニューヨーク支 店の国債不正取引に代表 される1990年代のバ ブ ル期か ら崩壊期 における数々の不正融資事件 を経 て,近年 の

J O

C東海村臨界事故,雪印食中毒事件, 三菱 自動車工業のクレーム降し事件, 日本ハム輸 入牛肉混入事件,東京電力原発検査虚偽記載事件

まで脈 々 と続いている。

なぜ企業の不正行為 は発生するのであろうか。

主に, 次の三点が単独 または複合的な要因 と考 え られる20

第‑ に,企業組織内に不正行為を是正 しに くい 雰囲気 が形成 されてい るとい う事情 があげられ る。長 期的な安定 を重視する取引慣行や労使協調 を強め る労働組合 とあいまって,日本の企業は, 集団主義的,年功序列的労使関係秩序を形成 して きたo そのような企業におhて労働者 は,企業利 益優先 の行動に順応せざるをえない3。そのため, 不正行 為が存在 し七 も, これを企業で内部的に是 正 しに くい雰囲気が企業組織内に形成 されてい

るo結果的に,労働者の一部 は,不正行為 と知 り ながら会社への奉公の一部 として不正行為に積極 的に加担することになる。

第二に,企業監視機関が機能 していないという 事情があげられる。その最たる原因は,企業内部 の情報が十分に公開されていないことである。経 営内部の情報が閉鎖的に共有 ・管理 されているた めに,監査役や外部監査機関,行政 といった企業 監視機関は,容易に企業内部の情報を収集 しにく い状況にある。 また,企業 と監視機関のなれあい の関係 も機能不全の‑因 と考 えられるQ

第三に,企業倫理が欠如 しているという事情が あげられる。不正行為を常態 とする企業 は少な く ない。社会的費任を軽視 した利益優先の企業姿勢 が見え隠れ している。不正行為発生後の対応 も, 無責任 といわざるをえない ことが多い。

こうしたなか,平成14年の会社法改正 により,

「コーポレー トガバナンス改革」が,従来の監査役 制度 と併存する形で立法化 された4。これは,企業 の不正行為防止強化 をも視 野 に入れた ものであ る。では,本稿の研究対象である労働者 による内 部告発は, これ らの企業の不正行為防止策の中に おいて, どのように位置付 けられるであろうか。

一般的に,内部告発は,企業内部の不平不満分 子 もし くは組織か ら脱線 した問題人物 の行動 と いったネガティブなイメージをもたれる傾向にあ る。 これは,内部告発が企業組織に背 く行動であ ること,「密告」もしくは 「告げ口」といった悪い イメージと重なること,組合闘争や私益 ・復讐 目 的で利用 されていること,「和」を尊重する日本の 精神 に反すること,などの理由に起因する5。しか し,内部告発者は,企業の不正行為是正のために 行動する人, という側面 を有する。 この側面に着 目すれば,内部告発は, コーポレー ト・ガバナン スや監査役 といった不正行為防止策 と同様の機能 を果たしうる。 もっとも,内部告発はこれらの制 度 と目的を異にしている。すなわち, コーポレー ト・ガバナンスおよび監査役の目的が企業 を害す る不正行為 を是正することに焦点を置いているの に対 して,内部告発の目的は,公共の利益 (社会)

(4)

北大法学研究科ジュニア・リサーチ・ジャーナルNo.92002 を害する企業の不正行為を是正することに焦点を 置 いている。

企業内で閉鏡的に情報が共有 ・管理 されている 現状 においては,労働者か らの不正行為に関する 情報提供 は,企業外の第三者 を不正行為の被害か ら守 るという公共の利益 (社会)に とって有益で あ る。 また,企業にとって も,不正行為の未然防 止,公正な企業活動維持の観点か ら有益である。

2 裁判例及び学説の動向

まず,わが国における内部告発に関す る労働者 及 び使用者の基本的な法的関係 を確認 しておきた いO

労働者の内部告発は, (a)市民 としての立場で行 う言論 ・表現の自由 (憲法21条), もしくは, (b) 組合活動権 (憲法28条)Jこ基づ く権利行使 と解 さ れている6。もっとも,使用者 は,経済活動にとも な う社会的評価 (名誉,信用)7,営業秘密8,企業 秘密9について法的保護 を受 ける権利 を有 する。

そ して,労働者は,就業規則や労働契約 に定めが な くとも信義則上の付随義務の一環 として守秘義 務 を負い, これに遠反して企業情報 を開示するこ とはで きないiO。ただし,法令で企業の違法行為の 情報 開示が奨励 されている場合, または情報開示 に対 する不利益取 り扱いが立法ないし指針等で禁 止 されている場合,労働者は,法令の効果 として 守秘 義務 を免責される11。

ここで,内部告発に関する裁判例について概観 す る と,組合活動 として行われ る場合 と労働者個 人の活動 として行われる場合の2つのパターンに 大別 することができる。前者のパターンでは, ど ラ配 り,情宣活動 といった組合活動の正当性が問 題 となる。

後 者のパターンは,内部告発 を理由とした懲戒 解雇 および普通解雇事例,解雇以外の懲戒処分事 例, 名誉穀損事例に大別できる。その多 くは懲戒 処分 事案であ り,就業規則 に該当する企業秩序違 反行 為 に対 す る懲戒処分 の可 否 が争 わ れ て い

12。

裁 判例では,開示情報の公益性 を前提 として,

労働者の開示 した事実の真実性の有無が中心的な 争点である。労働者の開示 した事実が虚偽であり, 労働者が真実であると信 じることに相当の理由が あるといえない場合,特段の事情のない限 り,懲 戒処分は有効 とされてい る13。

これに対 し,労働者の開示 した事実が真実であ る場合, または,真実であると信 じたことに相当 の理由がある場合,多 くの裁判例は,開示の主体, 開示の相手方,公表の仕方,公表事実の内容,公 表の目的,公表の経緯な どを判断要素 として,懲 戒処分の効力を総合的に判断 しているO しか し, これ らの要素がいかなる関係 にあるかは必ずしも 明らかではない。

い くつかの裁判例 をみて もわかるように,労働 者による内部告発が企業の不正行為防止策である とい う共通理解が労使双 方 に存 しない現状 にあ る。労働者は組合活動の一環 もしくは私益目的 と して内部告発 を行い,他方,使用者は内部告発者 の存在を嫌い,正当 と認 められるべき内部告発に 対 しても解雇や懲戒 といった不利益処分を行 う傾 向にある。

たしかに,内部告発 は,企業内外への企業情報 の開示を伴 う,使用者の社会的評価 を一定程度侵 害する行為である。 また,個人情報に関する内部 告発の場合には,企業 ・上司 ・同僚 ・顧客など利 害関係者のブライブァシーの権利 と抵触する可能 性を有することか ら,無制限に許 される行為では ない140

しかしなが ら,企業にコンプライアンス (法令 遵守)経営が強 く求め られている現状 に鑑みれば, 労働者による内部告発 は,企業 自身の管理する不 正行為防止策の一つ として,その意義を捉 えなお される必要がある15。そのためには,内部告発の法 的性質,懲戒事由の判断基準,内部告発のルール といった問題について本格的に検討 される必要が あるO学説は, この間葛 についてまだ基本的な検 討を行 うにとどまる16。労働者による内部告発は, いわば,企業活動の社会性,労働者の社会的貢献 の問題であ り,さらには,企業情報管理のあり方 や労働者の市民的表現の自由,プライヴァシーの

(5)

権利 といった問題 を含む,法的に包括的な検討に 倍する課題であると思われる。

ニ 研 究の考察対象 と視角の設定

本稿 は,以上のような問題意識を前提 に,イギ リスにおける労働者による企業情報開示の法理を 考察す る。イ′ギ リス法 を選択 した理由は,次の三 つであ るC

第‑ の理由は,19世紀後半から現在 までに形成 された 労働者 による企業情報開示 に関す るコモ ン ・ローの法理が蓄積 されていることである。そ れゆえ, この間題 に対するイギ リス法の理論状況 を知 る ことは, 日本の裁判例の検討において有意 義な材 料 を提供すると思われる。

第二 の理由は,1998年に内部告発者 を保護する 法律で ある公益情報開示法が制定された ことであ る。現 在,労働者による内部告発は,世界的に重 要な問 題 として取 り扱われてお り,アメ リカ,オー ス トラ リア,ニュージーラン ド,南アフリカ等の 世界各 国において立法化 されている17。しかし,そ の多 くは公務員に対する規制を中心 としている。

その中 にあって,イギ リスの公益情報開示法 は, 私企業 を対象 とした法律 として注目に値する。

第三 の理由は,同法が, トニー ・ブレア政権下 にお け る新たな政府 の哲学 と計画 に関す る自書

職場 における公正(FairnessatWork)』の中で, イギ リスの労働法改革の一つ として位置付 けられ た ことである18。労働者による内部告発が,『職場 におけ る公正』 を確立する手段 として期待 されて い る。

さて ,本稿の目的は,イギ リスにおける労働者 による企業情報開示の法理 を考察の対象 として, これ を以下の二つの視 角か ら分析 す ることにあ る。

第‑ に,コモン ・ローの法理から立法,そして その後 の裁判例 までの展開をたどることにより, 労働者 による企業情報開示を支える基本原理の形 成過程 を明 らかにするQそこで, まずイギ リスに おける コモン ・ローの法理 を検討 した上で,なぜ 公益情 報開示法が制定 されたのか,同法の趣 旨は

いかなるものかを明 らかにす る。

第二に,労働者 による企業情報開示に関する問 題のなかでも,特 に労働者 の権利義務関係に焦点 をあてることによって,情報開示のルールを明 ら かにする。労働者 は,使用者 に対 して重要な機密 を漏洩 しないという守秘義務 を負い, また企業の 名誉 ・信用を侵害 しない という誠実義務を負って いる。 これらの義務 は,情報の開示 を抑制する機 能をもつ。また,使用者 には,社会的評価を高め 企業秘密を保持 しなが ら利潤 を増大 させるという 企業の利益があ り, さらには,社会的評価および 秘密情報自体にも保護法益が認められている。 こ のような労働者による企業情報開示をめぐる当事 者の権利義務関係 に焦点 をあてることで,情報開 示のルー)I,を浮 き彫 りにす ることが可能 となるO

三 本稿の位置付 けとその構成

イギ リスの公益情報開示法についての先行研究 はい くつか存在するものの, それ らは同法の制度 に焦点をあてた もので,本稿がめざすように,労 働者による情報開示 に関する法理の基本的特徴 を 解明しようとoう論理構築の試みはなされていな 19。企業の不正行為が多発する日本の問題状況 に鑑みれば,公益情報開示法 を制定 したイギリス の理論状況を検討することは, 日本における労働 者による内部告発法理の検討にあたって有意義で あると思われる。

最後に,本稿の構成 についてふれておきたい。

第‑葦において,公益情報開示法以前の労働者に よる企業情報開示に関するコモ ン ・ローの理論 を 検討 し,その法理の形成過程 を明 らかにする。第 二章において,公益情報開示法の成立の背景 とそ の基本構造を明 らかにする0第三幸において,公 益情韓開示法成立後の展開について,裁判例を中 心に検討するO以上の検討を踏 まえた上で,終章 において,イギ リス法の分析 と評価 を試みたい。

第一章 公益情報開示法以前のコモン・口‑の理論 1998年にイギ リスにおいて成立 した公益情報

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北大 法学研究科ジュニア ・リサーチ ・ジャーナルNo.92002 開示法は,内部告発者 を保護することを目的 とし て制定 された。同法の制定以前においては,労働 者 による情報開示はコモン ・ロー上の処理に委ね られ てお り,そ こで は主 に,労働者の守秘義務 (dutyofconfidence)違反の有無が争われた。す なわも,労働者の開示 した企業情報が守秘義務の 対象 となる情報か否か, また,守秘義務違反を理 由 とした解雇が許 され るか否かが争われた20。

そ こで,本章では,労働者の負 う守秘義務の内 容 を明 らかにした上で,労働者による企業情報開 示 を正当化する法理である公益に基づ く正当事由 の形成過程 を検討する(第‑節)。次いで,コモン・

ロー上,労働者 による企業情報開示が保護 される 正 当事由の成立条件 を検討する (第二節)0

第一 節 公益に関する情報開示法理の形成過程 情報開示 と労働者の守秘義務

(1) 守秘義務の根拠

コモン・ロー上,労働契約の内容 は,基本的に, 当事 者の明示的な合意 (明示的契約条項)によっ て定 められる210 契約 当事者が明示的契約条項 を 定 めていない場合 には,裁判所が黙示的義務条項 (impliedten s)を個々の契約に読み込むことに な る22。この黙示的義務条項により,労働者は,明 示 的 契約条項 が な くとも誠実義務 (thedutyof fidelity)を負 う.

学 説では, この誠実義務 は,全ての労働契約に 黙示 的に読み込 まれる基本的な義務 と解されてい 23。通常,誠実義務の内容 は,就業規則(works rules,companyhandbooks,etc.) または個別の 契約 を通 じた労使 間の合意 によって明確 にされ 24。 この労働者の誠実義務 には,守秘義務の他 に,使用者に協力する義務,使用者の適法な命令 に従 う義務,使用者の財産 に対 し合理的な注意を 支払 う義務,賄賂 を受 け取 らない義務,競業避止 義務 などが含 まれる25。このように,労働者 は,覗 示的契約条項がな くとも,黙示的義務条項 として, 守秘 義務(dutyofconfidence)を負 うと解されて い る。守秘義務 とは,雇用の過程 または雇用の結 果得 た営業秘密 (tradesecret)もしくは機密性の

ある情報 を開示 しない義務である26.

ところで,コモン ・ロー上,守秘義務が問題 と なる局面は二つあるO‑つは,在職中の守秘義務 であ り, もう一つは,退職後の守秘義務である。

まず,在職中にそれらの情報 を開示する行為 は, 原則 として守秘義務違反 となる。た とえ,開示 し た情報が,退職後に守秘義務 に服 しない使用者の 一般的な技術や知識であった として も,守秘義務 の対象 となる。

そして,退職後にそれ らの情報 を開示する行為 ち,原則 として守秘義務違反 となる。 もっとも, 守秘義務の範囲は,在職 中よりも制限される。す なわち,機密性のある情報は,営業秘密 と同様 に 扱 うべ き機密性の高い情報 と機密性のそれほど高 くない情報の2つのタイプに分類 され,退職後は 原則 として取引上の秘密 に類似する程度の機密性 の高い情報 についてのみ,使用および開示 しない 義務 を負 う27。

(2)具体的守秘義務の発生要件

では, コモン ・ロー上,具体的にいかなる場合 に労働者は守秘義務 を負 うのであろうか。一般的 に,労働者が守秘義務 を負 う要件は,①情報が機 密性 を有すること,②情苛が守秘義務 を課すよう な状況で開示 されること,③情報の無権限使用が 損害 を与 えることである28。①の機密性 とは,「 の財産 (publicproperty)でな く,公知 (public knowledge)でない情報」と定義 されている29。 し たがって,公に入手可能な情報 は機密性 を有 しな 300もっとも,公に入手可能な情報 を加工 した結 栄,それ と同 じ過程 を経なければ作成できないよ うな情報 になった場合には,その情報作成にかけ た労力 に価値 を見出すことができることか ら,そ のような情報は機密性を有するCた とえば,顧客 情報や市販製品の リバース ・エンジニア リングに より得 られる博幸臣である31。ただ し,機密性 を有す る情事録 音,使用 または複製により,労力をかける ことな く容易 に入手 で きるようになった場合 に は,機密性が否定 される320このように,機密性の ある情報 を開示 した場合,労働者は,原則 として 守秘義務違反 となる33。

(7)

もっ とも,情報 の開示 に正当事由 (justcause) が認め られる場合 には,そのような情報開示は守 秘義務 違反にあた らない。 この正当事由は,①労 働者が 明示 または黙示 に報告義務を負っている場 令,(参情報開示が公益 とされる場合に成立する340

労働 者 が報 告義務 を負っている場合 について は,正 当事 由の該 当性 は比較的容易に判断で きる。

これに対 して,情報開示が公益 とされる場合 につ いては,正当事 由の該当性 は,以下で検討するよ うに, 明確 に判断で きない状況にある。そこで, 次に, 公益に基づ く正当事由の法理が どのように 形成 されてきたか を概観する。

公 益 に基づ く正 当事由の形成過程

コモ ン ・ロー上,公益 に基づ く正当事由の法理 ,Gartsidev.Outram事件 において,不正行為 に関す る情報開示の一般原則 を定立 したことか ら はじま る350本件 は,詐欺的な方法で商売 している 使用者 の行為 を明 らかにする資料の情報開示 に対 する差 止請求の是非が争われた事件である。本件 におい てWoodV:C判事 は,犯罪および詐欺的 行為等 の不正行為 に関する情報開示に機密 は存在

しない という一般原則 を定立 した。

この 一 般 原 則 は,initial Services Limited v.Putterill事件 において も維持 された36。本 件 は, ク リーニング業者間の価格協定が法律に違反 してい ること,お よび税金 と相殺するという名 目 の価格 引 き上 げが余剰利益 を生み出していること を労働 者が顧客 に情報開示 し,その後顧客か ら報 道桟関 に情報開示 された ことにつき,使用者が開 示情報 の差止命令,損害賠償,機密文書の引渡 し を求 め た事件 で あ る。控訴 院 においてDenning M.氏.判事 は,犯罪,詐欺的行為,非行の開示 は, 公益 の 観点か ら正 当化 され ると判示 した。

以後 の裁判例 において も,犯罪,詐欺的行為, 非行等 の不正行為 に関す る情報開示は,公益の観 点か ら正当化 されてお り,不正行為に関す る情報 開示 の 一般原則が コモ ン ・ロー上確立 している37。

で は,不正行為 を含 まない情報開示 について も 公益 の 観点か ら正 当化 され るであろうか。その後

の裁判例では, この点が争点 となった。 まず,杏 定的な見解 をとる裁判例 として,次の ような もの がある。

その‑ は,Beloffv.Pressdram Limited事件 である。本件 は,議会に関す る新聞記者のメモ情 報 を無断で雑誌 に載せた出版社の行為が著作権侵 害 にあた るか どうかが争われた事件である。被告 出版社 は,一般市民には新聞記者の情報収集方法 お よび議会の仕組みを知 る公益が あ り,奉件情報 開示 は守秘義務違反にあた らない と主張 した。 こ の事件 においてUngoedThomasJ.判事 は,「 益 は時 として,法によって保護 されている個人の 権利 (著作権 を含む)を無効 にする機能 を有す る。

法 によって認 められているこのような公益 は,重 大な非行や国にとって重要な事項等以外の事項 に 拡張 されない」 として被告出版社の主張 を斥 け, 不正行為 に関す る情報開示 の一般 原則 を維持 し 38。

その二 は,BritishSteelCorporationv.Gran‑

adaTelevisionLimited事件である。本件 は,労 働者か ら開示 された機密文書 に基づいて1980 の鉄鋼 ス トライキ (anationalsteelstrike)に関 す る番組 を作成 したテレビ局側 に対 し,使用者が 秘密文書の引渡 しと情報開示者の身元開示 を請求 した事件である。被告テレビ局側が,鉄鋼 ス トラ イキにおける経営の失敗 と政府介入ついて一般市 民 に知 らされるべき公益があると主張 したのに対 して,裁判所 は,本件秘密文書に不正行為 に関す る情報が含 まれていないことを理 由に,不正行為 に関す る開示の一般原則 を適用で きない として, 被告テレビ局側の主張を斥 けた39。

これ らの否定的な見解をとる裁判例 に対 し,不 正行為 を含 まない情報開示であって も公益の観点 か ら正当化 されるとする裁判例 も存在す る。

その‑ は,Fraserv.Evans事件である40。本件 においてDenningM.氏.判事 は,「不正行為 は, 守秘義務違反に対する正当事由が認 め られ る単 な る例示である。機密性のない場合であって も,蕊 益 の観点か ら開示 されるべき事柄がある。」と判示

した。

(8)

北大 法学研究科 ジュニア ・リサーチ ・ジャーナル No.92002 その二 は,LionLaboratoriesLimitedv.Evans 事件 である。不正行為に関する情報開示について のみ公益の観点から正当化されるという使用者の 主藁 に対 して,0'ConnorL.J判事 は,詐欺,犯 罫行為,不正行為は,情報開示が正当化 される例 示 にすぎず,使用者は守秘義務 を主張す る合理的 理 由 を立証 しなければならいと判示 した41

その三 は,A・Gv.GuardianNewspapers事件 で あ る。同事件 においてGoff判事 は,労働者 によ る不正行為以外の情報開示が保護 される可能性 に つ いて次のように判示 した。「不正行為に関する情 報開示が争われた裁判例は,情報開示の公益 と使 用者 の利益 を利益衡量 している。機密性,守秘義 務 の存在,損害について使用者が立証 した場合 は, それ を越 える公益があることを労働者が立証 しな ナれ ばな らない ことは明 らかである」 とした上 で42,さらに,「現時点において,不正行為 に関す る一般原則 は,公益の観点から情辞開示 されるべ き事 柄にまでその通庸範囲を拡大 していることは 明 らかである」 と判示 した430

以 上のように,公益に基づ く正当事由は不正行 為 に限 られるとする不正行為に関する情報開示の 一般 原則 は否定 されつつある。情報開示に否定的 な見 解 をとる裁判例 は,不正行為の情報開示につ いて機密は一切存在せず,犯罪や詐欺的行為 を機 密 とすることはできないという一般原則 を強調す る。 他方,情報開示に肯定的な見解をとる裁判例 は, 不正行為 に関する情#開示の一般原則 にとら われ ず,不正行為 を含 まない情報の開示にも一定 程度 の公益性 を認めている。

注 目すべき点は,肯定的見解 をとる裁判例 にお いて,情報開示の公益 と使用者の利益の利益衡量 を行 っていることである。利益衡量によって正当 事 由 を判断する結果,不正行為を含 まない情報 を 開示 する労働者は,使用者の利益 を上回る情報開 示の公益性 を立証 しなければならない44。そのた め, 両者の利益 を衡量する判断手法は,情報開示 老樹 に加重な立証責任を負わせる結果 となる。な 浴, この両者の利益 を衡量する法的枠組みは,後 述す る公益情報開示法の成立に深 く影響 を与 えて

いる (第二章第二節参照)0

第二節 正当事由の成立条件

広義の内部告発 (whistleblowing)とは,在職中 または退職後の労働者による,違法行為 または怠 慢行為等の職務に関する不正行為の情報開示, と 定義できる450しかしなが ら,内部告発 を考察する 上で重要な点は,内部告発概念 その ものではな く, 情報開示の正当事由が成立す る条件である。裁判 所は,開示内容の他,い くつかの要素を考慮 して 情報開示の正当事由を判断 している。そこで,本 薪では,コモン ・ローにおける正当事由の成立条 件がいかなるものかついて検討する。

開示内容 とその正当事由 (1)犯罪および詐欺的行為

犯罪および詐欺的行為 は,不正行為 (iniquity) にあたる典型例である。犯罪および詐欺的行為に 関する情報開示は公益の観点か ら正当化 されてい 460 Malonev.CommissionerofPoliceofthe Metropolis事件においてMegarryV.C判事 は,

不正行為が問題 となっている場合,当該情報開示 が守秘義務 に該当しないことは明 らかである。」と 判示 している47

犯罪および詐欺的行為 に関する情報開示である か どうか という点は,情報開示の正当事由を判断 する上で重要な要素である。 もっとも,そのよう な情報開示が守秘義務違反 となる場合 も存在 す るO正当事由が認められるためには,犯罪および 詐欺的行為の性質,告発の相手方,対抗関係 にあ る公益などを考慮 して,適切な状況 において情報 開示 され る必要が あ る とされ て い るか らで あ る48。 た とえば,Weld‑Blundellv.Stephens 件において裁判所は,不正行為 に程度の差がある ことに言及 し,開示情報が中傷的内容 を含むもの であるとして,守秘義務違反の主張 を認容 した49。

また,Gartsidev.Outram事件 においてWarrin一 gtonL.J.判事 は,組織的な詐欺行為であること,

および目的が将来の詐欺行為の防止であることを 強調 している. これは,軽い不正行為や一回限 り

(9)

の不正 の情報開示など,開示目的が将来の詐欺行 為わ防止 とみなされない場合には,正当化 されな いことを示唆 している50

(2)権利侵害 (civilwrongs)

権利 侵害(civilwrongs)に関する情報開示につ いても,一定の条件の下で,公益の観点か ら正当 事由 とされている51。権利侵害に関す る情報開示 が問題 となった事件 としては,前述のInitialSer vicesLimitedv.Putterill事件がある。使用者側

は,犯罪や不正行為に関する情報開示にのみ公益 の観点 か ら正当事由が認められるのであ り,本件 法律違 反 は犯罪ではないのであるか ら,本件情報 開示に正当事由は認められないと主張 した。 これ に対 して,裁判所 はこの主張を認めず,茶件情報 開示は公益の観点から正当化されると判示 した。

もっ とも,権利侵害に関する情報開示であった として も,中傷的な情報を含む開示の場合には, 正当事 由は認められていない52。また,単なる不注 意や能 力がない ことを情報開示する行為に も正当 事由を認められていない530

(3)内部規定違反

内部規定違反 は,金融機関で特に問題 となって いる。 会社の内部規定違反行為に関する情報開示 は,少 な くとも適切な利害関係にある相手方に情 報 を開示 した場合には,正当化 されている54。

(4) 不 道徳な行為 (immoralcondtlCt)

不道 徳 な行為に関する情報 は,機密性 を認めら れてい ない 55。

(5)公 衆 を誤 らせる行為 (conductmisieadingto thepublic)

裁判 例 において,公衆 を誤 らせる行為の情報開 示 は, 正当事由を認められている。公衆 を誤 らせ る行為 とは,InitialServicesLimitedv.Putterill 事件 における,税金のためとされていたク ))‑こ

ングの価格上昇の目的が,実は余剰利益 を生み出 すため であった, というような場合である。

(6)不 正以外の公益に基づ く保護

(a)公衆の危険 (mattersdangerous to the pubiic)

不 正行為でな くとも,生命,健康および環境

の危険に関する情報の開示 は,た とえその情報 が機密性を有 していた として も正当化されてい 56。

(ら)預金者お よび投資家 の危 険 (danger to depositors/investor)

生命,健康および環境 の危険 と同様,預金者 および投資家の危険に関す る情報の開示 も正当 化されている57

(C) 裁判誤審の危険

裁判 において誤審 を招 く危険に関する情報の 開示 も正当化されている。Lion Laboratories Limitedv.Evans事件では,労働者による飲酒 検知器の信頼性に関する文書の開示に正当事由 が認められるかが争われた。裁判所は,飲潜運 転の判断において不当な検査結果を導 く可能性 を重視 して,情報開示行為 を正当 と判断した58。

ニ ー椴的考慮事由

公益に基づ く正当事由の判断にあたって,裁判 所は,一般的に,(1)開示情報の重大性,(2)情報の 秘匿特権性,(3)開示の相手方,(4)立証の程度,(5) 開示の目的,(6)開示時期の 6つの事由を考慮 して いる。

(1) 開示情報の重大性

開示情報の重大性 は,正当事由の判断にあたっ て重要な要素 となる。 この要素は,他の考慮事由 と密接に関係 している。た とえば,情報開示の相 手方の考慮事由との関係 において,使用者の犯 し た不正の程度によって,労働者の企業外部に対す る情報開示行為が守秘義務違反を構成 しない可能 性 もあるし,逆に,企業外部 に対する情報開示が 守秘義務違反 を構成する可能性 もある。

(2)情報の秘匿特権性

開示情報が機密性 を有するだけでな く,弁護士 と顧客の間で交換 された情報 (legalprofessional privilege)などのように秘匿特権 を有する場合に

は,情報を開示 しない公益が尉酌 されるO (3)開示の相手方

InitialServicesLimitedv.Putterill事件にお いてDenning判事 は,「犯罪の場合 は警察 といっ

(10)

北 大法学研究科 ジュニア ・リサーチ ・ジャーナル No,92002 た ように,情報の開示 は情報 を受領する適切な利 害 関係にある相手方に対 して行われなければなら な い。 もっとも,公益が より広い公表を望む, ち し くは,公益が より広い公表を少な くとも許す性 質 の犯罪 もあ りうる。」59という規範 を定立 した。

コモン・ロー上,次の要素 を総合的に判断して, 適 切な相手方かいなかが決定 されている。すなわ

ち,その要素 とは,不正行為が重大であるか,開 示 内容についてどの程度の立証がなされ,調査が な されているか,あらか じめ使用者に対 して情報 を開示 したか,開示の相手方がその情報をどのよ う に扱 うか等である。 このように,企業外部に対 して情報 を開示する前 に,あらか じめ使用者 もし くは利害関係のある相手方に対 して情報 を開示す る ことが求められている。

(4) 立証の程度

労働者は,情報 を開示するにあたって,その公 益 性 を立証 しなければな らないo開示情報が世間 一 般 に関心があるであろうとい う立証では不十分 で ある600

(5)開示の目的

開示の目的が悪意,報復,金銭 目的の場合には, 情報開示の公益性 は認め られない61。

(6) 開示時期

情 報開示の時期は,原則 として問われない 62。し か しながら,情報開示の時期 は,情報開示の公益 性 を判断する上で重要な意味 を持つ場合 もある。

特 に,公衆 に対する危険に関する事例において, 情報 開示の時期が重要視 されている630

これまで検討 してきたように,情報開示の正当 事 由は複数の考慮要素か ら判断されている。その 中で も重要な要素は,①情報開示が公益の観点か ら行 われたか,②情報開示が適切な相手方になさ れたかである640

まず,①情報開示が公益の観点から行われたか とい う点については, どのような情報開示が公益 にあたるか という判断は不明確であると評価され てい る65。なぜなら,裁判所 は,開示情報が公にさ

れ るべ き事柄か,守秘義務の範囲内にある事柄か などの複数の要素を考慮 しで情報開示の正当事由 を判断するか らである。

次に,②情報開示が適切な相手方になされたか という点については,情報開示は,まず使用者 に 対 してなされなければな らないとされている66。

情報開示者 は,可能なか ぎり,使用者に問題 を是 正する機会 を与 えるために,使用者に対 して情報 開示 しな けれ ばな らな い と判 断 された例 が あ る67。また,報道機関に情報を開示する前に,適切 な相手方である規制機関等に情報を開示すべ きで あ り,報道機関に対する情報開示は基本的に許 さ れるべ きではない と判断 された例 もある68。

以上のように,犯罪や不正に関する情報開示は, 守秘義務の問題 にならないという不正行為に関す

る情報開示の一般原則が確立 しているものの,全 ての事例 において,複数の要素が総合的に考慮 さ れている。 どのような情報開示が公益に基づいて 正当化 されるか という判断基準は依然 として不明 確である。立法以前 においては,労働者は情報開 示に消極的にな らざるをえなかった といえよう。

第二章 公益情報開示法の成立

前述のように,内部告発者を保護する法律であ る公益情報開示法が,19987月に制定 され, 199971日に施行 された。同法は,1996年雇 用権法 (EmploymentRightAct1996,以下,雇 用権法) に挿入 される形で立法化 されている。

以下では,公益情報開示法成立の背景 とその基 本構造 について検討する。

第一節 公益情報開示法成立の背景 一 立法の背景

イギ リスで公益情報開示法が立法化された理由 としては,次の点 を指摘することができるであろ う。

第‑ に,労働者か らの内部告発によって,事前 に回避で きた と考 えられる重大事件が数多 く発生 した という事情があげられる。

(11)

た とえば,1988年のクラファム鉄道事故では, 列車正面衝突事故が発生 し,35人が死亡,500 近 くが負傷 した69。事故の主要な原因は,その事故 前に線 路 を点検 した労働者が,事故原因を発見 し ていた にもかかわ らず,報告による不利益 を恐れ てそれ を放置 したためであった。

また,1991年のBCCI銀行 (Bank ofCredit andCommerceinternational)事件では,20億ポ

ン ドの不正が発覚 した。不正発覚の前年に,不正 に関す る情報 を第三者に開示 した労働者が,剰員 整理 を理 由に解雇 されている。他 にも,1993 バー ミンガム立病院ガン誤診事件,1994年ライム 湾カヌ ー事故などにおいて,労働者による内部告 発が封 じられていた ことが判明している。

第二 に,内部告発者に対 して,使用者が不利益 処分を行 うという事情があげられる。現在の とこ

ら,使 用者 は内部告発者に対 して内部告発 を理由 に懲戒 もしくは解雇する傾向にある70。イギ リス とアメ リカにおける230人近 くの内部告発者を対 象 とした最近の調査 によれば,不正 に関与 してお らず, ただ事実 を報告 しただけにもかかわ らず, 84パー セ ン トの労働者が不正報告後 に職 を失っ ている71。このような状況では,労働者 は使用者の 処分を恐れて内部告発 しようとしないQ

また ,内部告発者 に対する文化的な偏見 も強い。

内部告 発者を 「裏切 り者(grass)」もしくは 「密告 (sneak)」とみなす多 くの組織文化の中で,同 僚の労 働者は,内部告発者 を トラブル ・メーカー とみな し,時 として無視 した り仲間外れにした り する。 さらに, この文化は,内部告発をしないこ とを約 する条項 を契約に組み込むことによって祷 完 され る場合 もある。

第三 に,公益情報開示法以前の法律が不十分で あるとい う事情があげられる。たとえば,雇用保 護法 (EmploymentProtection (consolidation) Act1978)は,労働環境 における健康 ・安全 に関 す る情 報開示 を理 由 とした解雇を不公正解雇 と 72, 労働者 を不利益 に取 り扱 うことは許 されな い と規 定 している73。しか しながら,その保護対象 は,労 働環境における健康 ・安全に関する場合に

限定されてお り,また,企業外部に対 して内部告 発 した場合には適用されない。

また,国家秘密法 (OfficialSecretsAct1989) は,犯罪および不正について,公務員が情報 を開 示できることを定めているが,それ以外の情報開 示 は保護 されない。 このように,公益情報開示法 以前の法律 は,内部告発者 に対 して十分な保護 を 与 えていなかった。

第四に, コモン ・ローの法理が不明確であると いう事情があげられる0第一章で検討 した とお り, コモン ・ローの判断は,複数の要素を考慮するた めに,いかなる場合に情報開示が許 されるか とい う点は,必ず しも明 らかではなかったO

ニ 立法 員的

公益情報開示法 は,以上のような状況の中で制 定 された ものであるO同法は,次の三つの目的か

ら立法化 された。

その‑は,情報開示者を勇気づげ,保護するこ とにより,企業の不正行為の是正 を促進 し,公共 の利益 を図ることである。

その二は,労働者の意見を取 り入れて適切な対 処 をとる企業内部の問題解決桟橋の創設 を奨励す ることである。企業内部の問題解決機構 に対す る 労働者の自発的報告は,使用者にとっては,社会 的評価 を下げずに問題の端緒を発見で きる行為で あ り, また;労働者にとっては,守秘義務に違反 するか どうかを考慮する必要のない行為であるこ とか ら,労使双方にとってメリッ トのある最 も現 実的な解決方法 といえる。

公益情報開示法を管轄する独立外部団体である PublicConcernatWorkIndustrialRelation Servicesの調査によると,同法制定後,3分の2 の私企業 と10分の9の公共機関が,企業内部に問 題解決機構 を創設 しているという74。少な くとも, 企業内部の問題解決機構の創設 を推進 した点にお いて,同法の制定 は企業組織に好影響 を与 えてい る。

もっとも,使用者からの不利益処分 を恐れて労 働者が企業内部の問題解決機構 に対 して報告 しな

参照

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