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整数計画法を用いた非線形回路の特性解析と変動解析 に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)

修士論文要旨 (2013

年度

)

整数計画法を用いた非線形回路の特性解析と変動解析 に関する研究

Characteristic Analysis and Tolerance Analysis of Nonlinear Circuits Using Integer Programming

電気電子情報通信工学専攻 石井 孝幸

Takayuki ISHII

1. ま え が き

非線形回路,あるいはそれを区分的線形近似すること により得られる区分的線形回路のすべての直流解を求め る問題に対して,整数計画法を用いることで実現容易性 を考慮したアルゴリズムが提案されている

[1] [2]

.この手 法は近年の整数計画法の驚異的発展により初めて可能と なったもので,これまで提案されてきた様々なアルゴリズ ムと比較して,既存の高性能な整数計画ソフトウェアを 用いることで実装が容易であるという利点がある.

本論文では整数計画法を用いた全解探索アルゴリズム を,新たに整数計画法を用いた非線形回路の特性曲線解 析及び変動解析に拡張し,すでに提案されているアルゴ リズムと比べ,実現容易なアルゴリズムを提案する.

本研究が目指すものは,大規模問題を高速に解くことで はなく,複雑なプログラムを作ることなく簡単に非線形 回路の特性曲線解析及び変動解析を行うことにある.

2. 0 1 変数を用いた区分的線形関数の表現

0 1

変数を用いて区分的線形関数を表現する方法には 様々な方法があるが,本論文では古くから提案されてい る

δ

フォームを用いる

[3]

次のような形の区分的線形方程式を

0 1

変数を用いて 表現することを考える.

f (x)

= P g(x) + Qx r = 0 (1)

ただし,

x = (x 1 , x 2 , · · · , x n ) T R n

n

次元変数ベク トル,

g(x) = [g 1 (x 1 ), g 2 (x 2 ), · · · , g n (x n )] T

R n

から

R n

への区分的線形関数(ただし各成分は一変数),

P

Q

n × n

定数行列,

r

n

次元定数ベクトルである.ま た,

f (x) = [f 1 (x), f 2 (x), · · · , f n (x)] T

とする.区分的線

形関数

g i (x i )

はすべて

K

本の線分からなるものとする.

変数

x i

に対する初期領域の区間を

[l i , u i ]

とする.また 区分的線形関数

g i (x i )

の分点を

l i = a i0 < a i1 < · · · <

a iK = u i

とし,各分点での区分的線形関数

g i (x i )

の値を

b ij = g i (a ij )

とする.

(1)

δ

フォームを用いて表現すると正の補助変 数

δ ij (i = 1, 2, · · · , n; j = 1, 2, · · · , K )

0 1

変 数

µ ij (i = 1, 2, · · · , n; j = 1, 2, · · · , K )

を導入することに より

P y + Qx r = 0 x i = a i0 +

K j=1

δ ij

y i = b i0 +

K j=1

b ij b ij

1 a ij a ij

1

δ ij

i1 µ i1 < = δ i1 < = ∆ i1 .. .

ij

1 µ ij

1 < = δ ij

1 < = ∆ ij

1 µ ij

2

ij µ ij < = δ ij < = ∆ ij µ ij

1

ij+1 µ ij+1 < = δ ij+1 < = ∆ ij+1 µ ij

.. .

0 < = δ iK < = ∆ iK µ iK

1 i = 1, 2, · · · , n (2)

(2)

のように表現することができる.式

(1)

のすべて の解を求める場合は,式

(2)

を制約条件とした混合整数計 画問題に定式化し,その混合整数計画問題のすべての解 を求めることで可能である.

3. 整 数 計 画 法 の ソ フ ト ウェア :IBM ILOG CPLEX

混合整数計画問題を解くためのソフトウェアについて 説明する.

IBM ILOG CPLEX

(以下

CPLEX

と略記)

IBM

社が提供する,線形計画問題,混合整数計画問題,

(2)

min max min min

min max

max

max

g x

x

1

max max max max

min

min min min

g(x)

v

min

min

min min

max max

max

g(x)

v

1

特性曲線の描画

二次計画問題などを解くことのできる最適化ソフトウェア である.バージョン

11

までは商用のソフトウェアであっ たが,バージョン

12

からはアカデミックフリーとなって おり,商用目的でない研究者や学生ならば,

IBM

のライ センスを登録することによって無償で利用することがで きる.

CPLEX

には解プール(

solution pool

)という機能が あり,この機能を利用することにより簡単に全解探索を行 うことができる.解プールとは混合整数計画問題の制約 条件を満たす解を求め保存する機能であり,これにより 複数の解を簡単に求めることができる.すなわち解プー ルの機能を用いて混合整数計画問題を解くと,付加制約 を追加し繰り返し混合整数計画問題を解き直す手間を省 くことができ,たった一度の解析で制約条件を満たす解

(すなわち初期領域

D

に存在する式

(1)

のすべての解)を 求めることができる.

4. 整数計画法を用いた非線形回路の特性解析

4. 1

対象とする問題

本論文では

1

ポート非線形抵抗回路の特性曲線を求め る問題を考える.ただし回路には

(n 2)

個の非線形抵抗 が含まれるものとする.回路方程式として混合方程式

[5]

を考えそれを区分的線形近似すると,

1

ポート回路は次の ような式で記述できる.

f(x)

= P

 

 

 

g 1 (x 1 ) .. .

g n

2 (x n

2 ) i

 

 

  + Q

 

 

  x 1

.. .

x n

2 v

 

 

  r = 0 (3)

ただし,

x = (x 1 , · · · , x n

2 , v, i) T R n

n

次元変数 ベクトル,

g i (x i )(i = 1, 2, · · · , n 2)

は回路に含まれる 非線形抵抗の特性を表す非線形関数を区分的線形近似し た区分的線形関数,

P

Q

(n 1) × (n 1)

行列,

r

(n 1)

次元ベクトルである.本論文ではこのような変数 の数

n

に対して方程式の数が

n 1

となる方程式のすべ ての解曲線を求める問題を考える.

4. 2

特性曲線の探索

(3)

δ

フォームを用いて混合整数計画問題に定式化 したものを

CPLEX

を用いて解くことを考える.目的関 数は

v

の最大化とする.解が曲線となるとき解の数は無 限となるので事実上列挙しきれない.このようなとき解 プールには整数変数の組み合わせにつき1つの解が蓄え られる.整数変数の組み合わせは各線形領域に対応する.

ここで目的関数が

v

の最大化であるから各線形領域内で

v

が最大の点が求められる.この混合整数計画問題を目的 関数

v

の最大化,最小化の2回解くことで解曲線が通過 するすべての区分的線形領域で解曲線の端点

(

1

参照

)

が求まるのでそれを結ぶことで特性曲線を求めることが できる.

5. 数 値 例

例題

1

文献

[?]

で例題として解かれている図

2

のトラン ジスタ回路に対して本手法を適用した.分割数は

K = 32

とし,得られた結果を図

3

に示す.

6. 整数計画法を用いた非線形回路の変動解析

6. 1

対象とする問題

素子特性を区分的台形写像で表した非線形抵抗を区分 的台形抵抗と呼ぶ.本節では,

n

個の区分的台形抵抗と線 形抵抗,電源により構成される区分的台形抵抗回路を考 える.このような回路は次のような区分的台形方程式で 記述できる.

f (x)

= P g(x) + Qx r = 0 (4)

ただし,

x = (x 1 , x 2 , · · · , x n ) T R n

は区分的台形抵抗 の枝電圧または枝電流を要素とする

n

次元変数ベクトル,

g(x) = [g 1 (x 1 ), g 2 (x 2 ), · · · , g n (x n )] T

は抵抗の特性を表 す区分的台形写像,

P

Q

は回路の構造によって決まる

n × n

定数行列,

r

は電源の値によって決まる

n

次元定数ベ

(3)

10K 4K

5K 0.5K

0.5K

10.1K

10.1K

4K

4K 30K

+12V

+12V 4K

30K

30K

2V 10V

30K

i v

2 4

トランジスタ回路

0.0002 0.0003 0.0004 0.0005 0.0006 0.0007 0.0008 0.0009 0.001

-4 -2 0 2 4 6 8 10 12

Current[A]

Voltage[V]

v

i

3 4

トランジスタ回路の特性曲線

クトルである.また,

f (x) = [f 1 (x), f 2 (x), · · · , f n (x)] T

と す る .簡 単 の た め ,区 分 的 台 形 写 像

g i (x i )

は す べ て

K

個 の 台 形 に よ り 表 現 さ れ る も の と し ,式

(4)

g(x i )(i = 1, 2, · · · , n)

がすべて台形写像となるような

領域を台形領域と呼ぶことにする.台形領域の総数は

K n

となる.本論文では,

K n

個の台形領域からなる初期領域

D

に存在する式

(4)

のすべての解集合を含む領域を求め る問題を考える.

6. 2

変 動 解 析

(4)

δ

フォームを用いて混合整数計画問題に定式化 し,それを解くことを考える.ただし

k = 1, 2, · · · , n

で ある.変動解析の場合,抵抗の特性の変動を集合値写像 で表すため素子特性を表す

y i

の式が

2

つの不等式で表さ れている.混合整数計画問題を

x 1

の最大化,最小化と

2

回解くと各区分的台形領域で求めたい解集合について

x 1

の上限と下限が求まる.これを描画したい変数方向に関

して行うことで解集合を含む台形領域の集合を求めるこ とができる.

2

次元上に描画する場合は計

4

回,混合整数 計画問題を解くことですべての解集合を含む領域を求め ることができる.

7. 数 値 例

例題

1

文献

[9]

で例題

2

として解かれている

n

個のトン ネルダイオードを含む回路に対して

n = 2

として解析を 行った.結果を図

4

に示す.実線が解集合を含む台形領域 の集合.

-0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

-0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

4

提案手法

(5.3

節)

例題

2

文献

[9]

で例題として解かれている回路につい て考える.トンネルダイオードの特性として素子特性 を表 す非線 形 関数 を 上 下 に

w/2

だけ 平 行移 動 す る こ とにより得られる幅

w

の区分的台形写像を使用した.

w = 0.2, 0.4, 0.6, 0.8

としたときの結果を図

5(a)(b)(c)(d)

に示す.破線が

SPICE

を用いた感度解析での結果である.

8. む す び

本論文では,整数計画法を用いた非線形回路の特性曲線 解析及び,変動解析法を提案した.数値例より特性曲線解 析では複雑な特性曲線であっても途切れなく求められて いる.また複数の解曲線であっても求めることができる.

変動解析では解集合を含むより小さな多面体を求めるこ とができる.本手法は

CPLEX

の解プール機能を用いる ことで,特性曲線解析では

2

回,変動解析では

4

回混合 整数計画問題を解くだけで容易に解析を行うことができ,

また

CPLEX

という優れた整数計画ソフトウェアを用い

ることで複雑なプログラムを用いる必要がなく簡単に実 装が可能である.

(4)

0 1 2 3 4

−1 0 1 2 3 4

(a)

0 1 2 3 4

−1 0 1 2 3 4

(b)

0 1 2 3 4

−1 0 1 2 3 4

(c)

0 1 2 3 4

−1 0 1 2 3 4

(d)

5

例題

2

 解析結果

謝辞 本研究を行うにあたり,多大なる御指導を賜わり ました山村清隆教授に心より感謝の意を表します.また 多くの御協力を頂いた研究室の皆様にも感謝致します.

文献

(

下線は研究業績

)

[1] K. Yamamura and N. Tamura, “Finding all solutions of sepa- rable systems of piecewise-linear equations using integer pro- gramming,” Journal of Computational and Applied Mathe- matics, vol.236, issue 11, pp.2844–2852, May 2012.

[2]

山村清隆,前田礼維,加藤弘之,“一般化線形相補性理論と整数計画 法を用いた区分的線形抵抗回路の完全解析,”電子情報通信学会論文

(A), vol.J97-A, no.3, March 2014.

[3] G.B. Dantzig, Linear Programming and Extensions, Princeton University Press, Princeton, New Jersey, 1963.

[4] IBM, IBM ILOG CPLEX V12.1, User’s Manual for CPLEX, 2009.

[5] K. Yamamura and M. Tonokura, “Formulating hybrid equa- tions and state equations for nonlinear circuits using SPICE,”

International Journal of Circuit Theory and Applications, vol.41, no.1, pp.101–110, Jan. 2013.

[6] K. Yamamura and K. Horiuchi, “A globally and quadratically convergent algorithm for solving nonlinear resistive networks,”

IEEE Trans. Computer-Aided Design of Integrated Circuits and Systems, vol.9, no.5, pp.487–499, May 1990.

[7] K. Yamamura, T. Sekiguchi, and Y. Inoue, “A fixed-point ho- motopy method for solving modified nodal equations,” IEEE Trans. Circuits and Systems-I, vol.46, no.6, pp.654–665, June 1999.

[8] K. Yamamura and S. Tanaka, “Finding all solutions of piecewise-linear resistive circuits using the dual simplex method,” International Journal of Circuit Theory and Appli- cations, vol.30, no.6, pp.567–586, Nov. 2002.

[9] K.Yamamura and Y.Haga, “DC tolerance analysis of nonlin- ear circuits using set-valued functions,” Journal of Circuits, Systems, and Computers, vol.17, no.5, pp.785-796, Oct. 2008.

[10]

山村清隆,石井孝幸,“SCIPを用いた区分的線形回路の全解探索 法,”電子情報通信学会技術研究報告, CAS2012-30, pp.109–114,

July 2012.

参照

関連したドキュメント

[1] D.A.Adams,”A stopping criterion for polynomial root finding”,. Technical

[r]

っき、に, El標関数の上限鍛 J(~lS, …,ふS) 決定アルゴヲズムについて考えよう. &#34;', Xn)

Tamura, “Finding all solutions of sep- arable systems of piecewise-linear equations using integer programming,” J. Ushida

Suda, “An efficient algorithm for finding all solutions of separable systems of nonlinear equations,” BIT Numerical Mathematics, vol.47, no.3, pp.681–691, Sept. Tamura,

Yamamura,“LP narrowing: A new strategu for finding all solutions of nonliner equations,”Proc.Int.Symp.Nonliner Theory and its Applications, Vancouver, Canada,

Yang, Vector optimization: Set‐valued and vanational analysis, Lecture Notes in Economics and Mathematical Systems, 541, Springer, Berlin, 2005... Tanaka,

[1] S.Akashi, Quantum entropy theoretic aspects of the 13th problem formulated by Hilbert,. Joumal of the Ramanujan Mathematical