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流体の方向転換に伴う諸問題 一

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Academic year: 2021

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(1)

流体の方向転換に伴う諸問題

第5報 渦の特性について一

緒方正幸*・上松順二**

Fluid Dynamic with regard to the Change of Course 5th report−The properties of vortex.

Mαsα)}ulci OGATA and jUiiji UEMATSU

1. 序

 方向転換を伴う流れは複雑な現象を生ずる。我々はこの様な現象の追跡を目的として実 験を行なっている。例えばrJIS Screw Elbowの実験」D・4)・5)・7)では装置が対称に作られ たものであって設備的に旋回を発生する要因は考えられないにもかかわらず,第1エルボ

と第2エルボ間で文献にないゆるい旋回流れが生じたことにより特に中間管長3dで損失 係数が突出するという特異点を生じた。「翼列の実験」2)・3)・5)・6)では二次流に伴って翼背側 の壁面沿いに渦流を生じ,この渦流域においては渦にエネルギを取られるために圧力に回 収出来るエネルギが小さくなり,翼列でなし得る仕事にはCp=0.6という限界があると 言われているが,我々は翼前縁にテーパのついた突起を設けた翼を用いることにより,渦 流域にエネルギの豊富な中央部の主流からエネルギを分岐補充することにより板状円弧翼 ですでにC,=o. 6を得性能改善を行った。「ディフ=  一一ザの実験」s)・10)では高いレイノル ズ数で水槽実験を行った所,レイノルズ数が大きくなれぽ失速限界の2θは一般的に増大 する傾向があるけれども中には例外的にレイノルズ数が増せば2θ値低下した例も生じた。

すなわち主流のもつ乱流度と主流の流速分布すなわちプロファイルが2θ値に大きい影響 をもち,ツイノルズ数も増大すれば乱流度が増すといわれており乱流度増加のため2θが 増加するのみであり,乱流度はレイノルズ数以外別途増加させる手段があるゆえ,かなら ずしもレイノルズ数増加と2θ増大が傾向的に一致するものでないということを発見した。

 自然現象の中の渦現象としては台風を始めたつ巻,うず潮,風呂及び洗面器の栓を抜い た時に見られ構造については多数発表されているが渦発生原理についての明確な発表はな されていない。      

 本報告は円筒形容器内で渦を発生させた時の渦の特性すなわち渦度,運動エネルギ,渦 糸径の変化の調査を行った所,渦度は壁面の摩擦抵抗並びに計測器支持捧の抵抗等の影響 を受け低下率が大きいが,運動エネルギは余り失なわれないために渦糸径は小さくなるこ

*理工学部機械工学科助手 流体工学

**理工学部機械工学科教授 流体工学

(2)

とを発見した。すなわち渦はポテンシャル流れが成立しないため抵抗に弱く低下率が大き いが運動エネルギは保存されやすいため渦度低下率より低下率が小さい。そのため渦糸径 は小さくなってくる。この点につき調査結果を以下に示す。

 なおこの課題は元明星大学教授花田政明先生の発案による流面流出油回収装置の一要素 である回収器内において油水分離を行う目的で調査した9)・!°)。

2. 実験装置,実験方法

回収器は図1に示す様なものであって油水混合液を渦の遠心力によって油水分離を行

う。

① 展張凧  ②

⑥軸流ポンプ 形油水混合液流路

氾面

オイルフェンス ③外殻 ④油吸出し口 ⑤軸受

⑦ 海水吐出し口  ⑧ 油水分離器本体  ⑩ 油水混合液流入口  ⑪ モーター

     図1回 収器

⑨ボリュート

 回収器内部に渦を発生させる要因としては軸流ポンプの翼によるものと油水混合液の接 線方向への流入によるものがある。前者のモデル実験装置を図2−(a)に,後者のモデル 実験装置を図2−(b)にそれぞれ示し,実験1,実験Hとする。

 図2−(a)に示す実験1は内径304mmの円筒形容器底部に可変速度の羽根(直径D

=294mmと100 mmの2種類)を設置して渦を発生させた。速度分布の計測は図3に 示す計測部寸法が5mlnの小型プロペラ式流速計を用いて行った。

 図2−(b)に示す実験Hは内径300mmの円筒形容器の底部に小孔をあけ,上部水面 両側に内径15mmのゴムホースを取り付けゴムホースから流速約V= 1. 75 m/sで流入

(3)

スライダー 電動      ドリル

プロベラ 流辻びi

♂301

︑ 巨

羽根直径  φ294  φ100

§

図2−(a) 鍛装置(実験1)

 450     8

図2−(b)

      ほロ

弍「t一ゴ

B−Bで

      ≡≒昌

     ?王≡ヨ≧⇒  /

      図3 計測器

させて渦を発生させた。速度分布の計測は前述と同じ流速計を用いてゴムホースを先端よ りπ/2rad移動した位置で行った。

3.実験結果 3−1実験1の場合

 羽根直径2941nm,羽根周速2.Om/sについて,図4は旋回方向の流速u分布,図5        

               

笑験装置(実験H)

 gC 5 u/

 流速測定プロペラ

図4難鑓内の緬方向の流輌の分布

(4)

P=2πru U:旋回方向の流速r:半径 100

80

10×10s 8

・U 60 6  r

(㎝ノs) (・m ノs)

  0

   0       5     r(cロ1)     10      15

 図5旋回方向の流速・t及び渦度Fの半径方向分布

E (kgf一㎝)

rXIO;(cたソs}

      12        8        4        水 深(cm)

図6 渦度F及び運動エネルギE・の水深方向分布(羽根直径294・mm)

羽根直径 100匝 羽根周速 v=L伽/s

図中の数値uはerl/s

      啓

o  s 、ち、彦

)守

・   已

tvtR9r

erl lg o     o

図7実験装置内の旋回方向の流速uの分布

は旋回方向の流速μ及び渦度Fの半径方向分布,図6は渦度「及び単位質量当りの運 動エネルギE,の水深方向分布をそれぞれ示す。

 羽根直径100mm,羽根周速1.4m/sについて,図7は旋回方向の流速u分布,図8

(5)

r=2πru u:旋回方向の流述 r:半径 25

20

  15U

(cm/s)

  10

10XIO2

δ

6

  P(㎝ソs)

4

2

  0      5    r(c田)     10      15

図8 旋回方向の流速tt及び渦度rの半径方向分布

は旋回方向の流速U及び渦度「の半径方向分布を示す。

 なお7とEκは次式に示す。

       P−∫:  ・・rd・        ……(・)

       E・一∫:°(・・/・)(…)・t・・fdr    ……(・)

但し,lt:旋回方向の流速成分,α:角度,4H:単位高さ, r:半径, r。:容器半径。

 旋回方向の流速Uの最大値は羽根の位置よりも上部水中位置に存在する。水深に対する 渦度の変化を見ると羽根が下にある関係上,上に行くに従って渦度が弱くなる。図5より 渦糸径はr=・100・mm及び図8より渦糸径は45 mmである, r=45〜100 mmが渦の影 響域でr=100 mm以上になると渦度が低下して自由渦(ttr=一度)の性質と異った性質 をもつ。渦糸径Dr(ニ2rr)は羽根から離れるに従って小さくなり,羽根直径が大きい程 大きい値を得る。渦がもつ運動エネルギの低下率は渦度の低下率より小さい。

 3−2 実験Hの場合

 実験Hでは図9−(a)に示す様に流速計を計測位置に垂直に挿入する方法と(b)に示 す様に流速計を容器中心部に固定して流速測定プロペラ部を傾けて計測位置に置く方法で 円筒内の流速分布計測を行った。

支持捧\、

流速 ,

\\

1

流述計

〆支持看︷1

   ー      1

(a)支1.{{・移動 (b)支]、別NA]定

図9計測方法

(6)

図10実験装置内の旋回方向の流速uの分布(cm/s)

E}(kg f−orr.)

rXIO3(㏄ヅs)

 8

6

4

2

o

O

O△. O

P

Et

O

o

O

O O

4D      30      20      1e        水 藻《㎝)

  図11渦度r及び運動エネルギ現の水深方向分布

0

 図9−(a)の方法による計測結果を図10〜図10に示す。図10は旋回方向の流速u分 布,図11は渦度7及び運動エネルギ瓦の水深方向分布,図12は水深400mmにおけ る旋回方向の流pa U及び渦度Pの半径方向分布を示す。

 図9−(b)の方法による計測結果を図13,14,15にそれぞれ示す。

 流速計の挿入方法による渦特性の差異は図10,13の旋回方向の流速u分布を比較してみ ると流速計を中心部に入れた図13の方が水面近くでu=31cm/s〜50 cm/sであるのに対

(7)

u(erri/s}

50

40

30

20

10 O

  O ◎

O

       

・°°°

lllSS・

       E]    r    口 ロ

 ロ

r〔tif!s]

5×103

4

3

2

1

     口 [ヨ

0   口      0 0       5   r《㎝)  10       ユ5 図12 水深400・rlmにおける旋回方向の流速及び渦度の半径方向分布

図13実験装置内の旋回方向の流速uの分布(cm/s)

して図10の方は水面近くでu・= 35 cm/s〜68 cm/sと速いにもかかわらず,水深が100 mm を超える付近から逆に図13の方が速い流速を示している。底部の方では特に図10の外側付 近の流速が大幅に低下している。これは計測器支持捧が外側にある程(流速の大きい程),

又水深が大きくなるに従って支持捧の抵抗の影響を大きく受けることを示している。特に 図11で明らかなように水深160mm以降は支持捧の影響が現われるため, r, E,,の値は 低下度は大きい。

(8)

Et (kgf一㎝}

rx101 (oボ!s}

6

4

2

40 30 20 10

71C    i京  (cm}

図14渦度P及び運動エネルギ瓦のzk深方向分布

u(㎝/s)

70 60 50 40 30 20 10

r〔crsf s )

 7×lO3

6 5 4

M

ワ1

t

 0        5   r(,m}   10        15 図15水深410mmにおける旋回方向の流速及び渦度の半径方向分布

4. ま と め  4−1実験1について

 羽根から遠ざかり水面に近づくにつれ壁面の摩擦抵抗により渦度は低下するが旋回流の もつ運動エネルギは余り失なわれないため渦糸径が小さくなってくる。

 4−2実験1について

 噴流流速約V・=1.75m/sにもかかわらずπ/2 rad移動した計測位置で最大流Pt u=0.68 m/sと大幅に減速されており図10〜14で明らかなように水面から0. 33D。(100 mm)ま では全面にわたって等しい旋回流速が得られない事がわかり安定した渦が出来ていない。

すなわち渦を作るための噴流は2方向でなく全面にわたって多数設ける必要がある。

 渦度と運動エネルギは水深が大きくなるに従って減衰する。特に図の方が図14よりはげ しく低下しているのは前述の計測器支持捧の太い部分が水面下に入り流れを防害しはじめ 抵抗が大きくなるためである。実験1の場合よりも低下率が大きい。

 この実験は元教授花田政明先生の指導のもとに大学院生塩原英之君,卒業研究生大多和 知紀君の助力を得て行われたものである。

(9)

参考文献

(1)緒方・上松rJIS Screw E】bowの流体力学的特性」明星大学研究紀要第16号,昭和55年    3月

(2)緒方・上松「流体の方向転換を伴う諸問題」明星大学研究紀要第17号,昭和56年3月

(3)緒方・上松「翼列及び壁面により形成される流路の性能改善対策」(第1報改良翼1形の性    能調査)〔論文講演〕日本機械学会講演論文集No.810−6〔1313〕昭和56年4月

(4)緒方・上松「管継手の特性」(第1報ねじ込みエルボの圧力損失発生機構の一考察その1)

   日本機械学会講演論文集No.810−8〔110〕昭和56年8月

(5)緒方・上松「流体の方向転を伴う諸問題」(第2報)明星大学研究紀要第18号昭和57年    3月

(6)緒方・上松「軸流圧縮機翼列の性能改善」(第1報二種の改良翼翼列の失速点の改善)〔論    文講演〕日本機械学会講演論文集No.827・−2〔406〕昭和57年10月

(7)緒方・上松「流体の方向転換を伴う諸問題」(第3報)明星大学研究紀要第19号昭和58    年3月

(8)緒方・上松「流体の方向転換を伴う諸問題」(第4報)明星大学研究紀要第21号昭和60    年3月

(9)大多和,塩原,花田,緒方,上松「油水分離効果と渦の性格との関係について」日本機械学    会第24回学生員卒業研究発表会昭和60年3月

(10)海道,佐々木,田原,緒方,上松「ディフユーザ特性とレイノルズ数との関係について」日    本機械学会第24回学生員卒業研究発表会昭和60年3月

(11)塩原,花田,緒方,上松「海面流出油回収装置」日本機械学会第63期通常総会にて発表予    定(投稿ずみ)

参照

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