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勧化本『除睡鈔』の編纂意識(そのニ) : 典拠検証

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(1)

勧化本『除睡鈔』の編纂意識(そのニ) : 典拠検証

、併せて著者の正統意識に及ぶ

著者名(日) 飯野 朋美

雑誌名 大妻国文

40

ページ 59‑77

発行年 2009‑03

URL http://id.nii.ac.jp/1114/00001314/

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

(2)

勧化本

の編纂意識

||典拠検証︑併せて著者の正統意識に及ぶ||

はじめに

﹃除睡紗﹄︵八巻八冊︑享保六年五月刊︶は︑近世中期の浄土僧盤察によって著された︒盤察は︑京都洛西北野の清涼山

浄園寺︵上京区七本松下立売上ル︶の第五世の住持であった︒浄園寺の初世から第七世までの寺譜は天明八年正月の大火

で焼失し︑詳細な閲歴は不明であるが︑多くの布教書を著している︒

本書については︑すでに村上学氏によって典拠の考察が行われている︒また︑漢籍の典拠本の多くに巻数や丁数が付さ

れ︑それが刊本の丁数とほぼ一致することは拙稿でも述べたが︑本稿では︑﹃除睡紗﹄の典拠のうち仏典・仏書および和

書についての調査報告をし︑そこにうかがわれる盤察の編纂意識について考察を試みたい︒なお︑底本には架蔵本を使用

各巻はいずれも︑五倫部・五根部・五悪部・五惑部・雑部・鬼畜部から成り︑各部はさらに細かい主題で分類されている︒

標題の説話のみで構成されている場合もあれば︑参考類話を︑典拠を示しつつ数話載せている場合もあり︑統一性はない︒

(3)

表ーは︑引用書目の一覧である︒典拠は︑仏典・仏書が一一一一箇所︑和書が一八四箇所である︒なお︑﹃本朝高僧伝﹄ O

や﹃明恵上人伝﹄なども和書として扱った︒

優婆一

翻 法

1

食大

~

p凶−

/¥ 

f

五塞経 広 華 義 / ¥  

義 大 経 集 経

ι

2 2 2 2 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3  4 4  6 7 9 9 9 1 2  1 3  1 6  

観 観 観 観 戒因生往 生

A

出 十戒 十調

仏 念

量 三 法縁経論拾 摩

寿昧門

戒 正iL 経 理2u

r

iL

1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 

竹 大 大 大 大 大 増 出四

五 五

d

ロム

~

窓 方宝 丈荘 威 三蔵分 7G 

三 便厳論徳 d岡' 

筆 仏 r b

五 経

a6. 

1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 

林 律遺 文

f 5J 

* 2  

録間相 教 殊

垂 経 宝

通 戒 E開~,,,制問'.>

J

尼 義

l  1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 

LI  

− − = 同

1 1 

(4)

東 大

~!

Ii:;  K

鑑 平 J

li 

3 3 3 3  4 4 4 4 

6 6 6 7 

8 8 9  1 0  1 2  2 0  

J生 奥

t

調

↑ 

2

k

1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 

紀 茶述 茶集 茶Fl 

1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 

日日 殿 ノ\ 異 本

I  1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 

l

5 1  

以下︑管見の範囲で﹃除睡紗﹄に記された引用書自の丁数が正しいかどうかをみてゆくが︑漢籍については前述のとお

り別稿に記したので︑本稿では仏典・仏書および和書ついてのみ述べることにする︒

の場合

﹃法苑珠林﹄は︑中国唐代の仏教書で︑仏教の故実を分類・編集したものである︒現存する刊本は寛文九年版と寛文十

勧化本﹃除睡紗﹄の編纂意識︵その二︶

一 」 ノ\

(5)

'

/\ 

二年版であるが︑それぞれの丁数との比較は表2に示した︒なお︑巻数・丁数不記の場合は︑割愛した︒以下同様である︒

て用いたと考えられる︒寛文十二年版﹃法苑珠林﹄を典拠として用いている例として︑﹃除睡紗﹄巻五の8

一致する箇所は三箇所のみであり︑盤察は︑より多くの箇所が一致する寛文十二年版を典拠本とし

J

Z

37

便

閣議ノ説昔︑断シテ貧蝿煩悩↓速ヵ一−悟ゴニ明六通ノ果↓軒前理器詰鉢駐半︒

﹃除睡紗﹄には︑﹃法苑珠林﹄巻七十の第三葉が典拠であることが示されている︒実際に寛文十二年版﹃法苑珠林﹄を検

すると︑巻七十の第三丁には同様の話が収録されている︒

ω

O

稽計4

4

ν

ω

U使

U

鹿

使

O

J

A

殿

7 0

殿

O

O

7

(6)

殿

O

輿

J

O

一度の布施が千万の功徳

一度だけ施しをした︒その後︑功徳

として得るであろう新たな財を入れるために新しく

巻 巻 巻 巻

  」ーノ\ 四 二

1 1   8 2 8   2 6   3 1   2 9   9 8 1 3 1   4  1  1 2   5 8  6 6  3 0   9 3 0   6 4  9 4  7 0   9 4   1 1 2   6 7   9 8  3 5  

の の の の の の の の の の の

1 0   1 2   5 3 2 1 2   1 2   3 7  5  7  8 3 

/  / 

1 1 2   3 5  

6  7  5 8  6 6   6 6  9 4  7 0   9 4  1 1 2  1 1 2   6 7  

の の の の の の の の

1 7   2 2   2 1   2 1   5  1 1   3 6  6 

オ オ

ワワ オ ウ オ ウ オ ウ

?  0 

¥ ¥  ¥  1

2 2   2 3   6 1 6   5  /  1 2  

オ オ オ オ ウ

/ 

5 8  6 6   6 6   。 3 5  6 7  

の の /  の の

9  1 1   1 1   1 1 2   3 5 

オ ウ ウ ウ

ム ム

。 。 。。 。 。 ¥  ¥  ?  0 

6 6 

オ ウ

ムム

/ 

蔵を作った︒﹃除睡紗﹄では︑改心した弟が︑天上に生まれ変わるという部分が省略されているが︑内容はほぼ一致する︒

寛文十二年版﹃法苑珠林﹄が典拠であることがわかる︒

の場合

﹃雑宝蔵経﹄は︑阿含部の経律二蔵に散在した因縁・誓喰などを集録したものである︒﹃仏書解説大辞典﹄には︑龍谷大

ームー

/\ 

(7)

学所蔵の万治三年版のみ記載されているが︑刊記を確認したところ︑万治二年であった︒﹃除睡紗﹄の表示との対比は表

3の通りであり︑不整合箇所は一箇所のみである︒万治二年版を典拠本として使用したとみてほぼ間違いないだろう︒

﹃雑宝蔵経﹄を典拠として用いた例として︑﹃除睡紗﹄巻四の3

7

ヒ キ ヰ

J

便

f

イダヒテ

愛 ス

O

O

O

J

H

﹃除睡紗﹄には︑﹃雑宝蔵経﹄巻三の第十五葉が典拠と記されているが︑万治二年版﹃雑宝蔵経﹄巻三の第十五丁﹁山雛

王縁﹂には実際に同様の話が収録されている︒

O

O

便

O

O難即説伺

E

ν

巻 巻

4 6  4 5   3 2 1   1 2   4 2  3 1   2 9   1 4   5 8 8 8 3 8 2 8 6 8 7 

の の の の の の の の の の の

1 8   5 7 5 1 5   8 9 1 6   7 2 0   1 9  

1 7  

。 。 。 。 。 。 。 。。

2 1  

(8)

い ヲ

h v 鶏は猫に輔されることなく︑命の危険から逃れることができた︒﹃除睡紗﹄と﹃雑宝蔵経﹄では︑話の展開が一致して

の場合

﹃義楚六帖﹄は﹁白氏六帖﹄に擬して︑仏教の義理や庶事などを類集したものである︒﹃義楚六帖﹄と﹃除睡紗﹄の表示

4に掲げた通りである︒一例として︑﹃除睡紗﹄巻一の叩﹁父母不川悲一J

1

O

J宿

0

﹁除睡紗﹄によれば︑﹃義楚六帖﹄巻四の第十二葉が典拠であるが︑なるほど寛文九年版﹃義楚六帖﹄巻四の十二葉には︑

同様の話が収録されている︒

︿

J

O

Av h

M

O為訓兄弟母妻子奴

O以 一

J

O

子供が蛇にかまれて死んでも︑家族はまったく悲しまなかった︒﹃除

睡抄﹄とは話の展開が一致し︑﹃義楚六帖﹄を典拠と考えて良かろう︒

巻 巻 巻 巻

1¥ 

9 1 9   4 1 6   3 3   1 0   1 6   4 2 3   1 6   1 6   4 

の の の の の の

3 9   3 4   2 8   2 8   1 3   1 2  

。 。 。 。 。 。

六五

参照

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