ホームステイを通した国際交流に関する調査
一 カナダ人学生とホストファミリーの関係一
A SuⅣ
ey on hteractton through Homestay:Host/Guest Relationships of a Group of Canadian Students in Japan
厨 子 光 政
*
Mitsumasa Zushi*抄録:本稿 は
,質
問紙法 に よ り,カ
ナ ダ入学生のあるグループが 日本人家庭 にホームステイ した際の,ホス トーゲス トの交流の様子 を調べ
,ホ
ームステイプログラムの成否 を評価・報告するものである。 こ のホームステイにおいては,言
語 的障壁 はそれ ほ ど大 きな ものではな く,大
多数のホス ト,グ
ス トが交 流 を楽 しみ満足す ることがで きた。その意味 においては,こ
のホームステイは成功 した と言 える.し
か し,ホ
ス トーグス ト間に満足 の程度 における差が表れ,特
に,初
めてホス トファミリー となった者が,緊張 と気遣 いのため によ り低 い満足度 を示 した。 また
,グ
ス トが男性 か女性かによって,ホ
ス トの対応 の仕方が変わ り,女
性 グス トによ り多 くの気遣 い をしていることが半1つた。 さらに,ホ
ームステイが二 次 目的である場合,そ
の主催者が注意すべ き点 として,一
次 目的の交流事業のスケジュールに余裕 を持 たせ,ホ
ス トーゲス トの交流時間を十分 に用意 してお く必要があることも,デ
ー タ的に示 された。Abstract8 A sllrvey on relationships between a group of Canadian homestay students and their host fami―
lies was conducted to know if the hoIIlestay was successilin tems of the accom■ odations,mteraction,
and satisfaction with the life as hosts or guests. TЪ Ю statistical result hm the sllrvey indicates that the language barrier was not so impenetrable as to hinder host/guest pleasuFable interaction and the m可 o五ty was well satisfled with the progrm.There were some differences,however,in憮)degree of satisfactionbetween hosts and guests:hOsts,especia■
y those with no previous host fmily expeHences,felt more pres‐sllre or showed gFeater concern durlng the homestay and found less satisfaction than guests.Gender of
the guest exerted an mteresting in■uence oll hosts'responses to the guest.Female guests e可
oyed mOre hospidity,as was shown in the hosts'erorts to entemin■em,and this erort seems to have been partly
responsible for discontentment on the part of the hosts. The sllrvey revealed that hosts and guests bothwanted more time for interac■
ono lt is suggested that the organizatiOn facilitating the homestay compo‐nent should reduce time devoted to the whole pnmav otteCiVes ofthe program for the sake oftt quality
of the mterpersonal colmections。は じめに
1997年
7月 23日か ら
7月 30日にかけて「第
7回日本国際青少年音楽祭」が静岡市民文化会館で 開催 さた。 これは常葉学園大学が主管 した静岡 県下最大規模 の国際文化交流事業で
,H力国か ら来 日した約650人 の高校生・大学生 を中心 と した楽団員が
,各楽団の普段の練習の成果 を発 表 した り
,数力国の楽団員か らなる混成楽団を
*静 岡大学情報学部情報社会学科
*Deparment Of Lfomation Arts,Faculty of Womation,Shizuoka University
結成 して国際色豊な新曲を演奏するなどして
,国際交流を図つた
.この間の宿舎は
,常葉学園 大学・短大の所有する諸施設や静岡市及びその 近辺のホームステイを引 き受けたボランティア 家庭
(多くは
,子供が常葉学園系列の幼稚園
,小学校
,中学校
,高校
,大学・短大に通つてい る家庭
)が中心であった。筆者の家庭にも
,ある事情か ら
,この音楽祭 に参加 したカナダの
「カルガリー・ スタンピー ド・シ ョーバ ン ド」
のメンバーの一人がホームステイすることとな
った
.ホス トファミリーとなるのが始めての経
験でもあ り
,ゲス ト
(17才の男子青年
)がくつ
ろげる環境作 り 。雰囲気作 りにそれなりに苦心
ホームステイを通 した国際交流 に関す る調査一 カナダ入学生 とホス トファミリーの関係一
した。その時
,同じようにホス トフアミリー と なっているほかの家庭ではどうしているだろう か , どんな工夫 をしているだろうか と
,ふと思
ったことが このアンケー ト調査 の きっかけであ る。
アンケー ト調査の 目的は
,今回のホームステ イの成否 をデータ的 に分析す ることであるが
,今後 も増加するこの種 の国際交流の改善 に繋が るよう
,若干の提言 も加 えた。
調査項 目
,調査対象者
,及び回答数/率
アンケー ト調査 においては
,ホス トファミリ
ーになるにあたつて何 を準備 し何 に気 を使 った か
,どうの ような トラブルや苦労があったかだ けではな く
,ホス トーゲス ト間の コミュニケー シ ョンが うま くいったか どうか , どの ような話 題が好 まれたかなど
,両者 間の交流の様子 を探 る質問項 目も用意 した。 しか しなが ら
,同じ経 験 を共有 して も当事者が異 なる文化背景 を持つ 場合 には
,その経験 に対する反応
,感想
,評価 に差が生 じる可能性が大 きくなることは想像 に 難 くない。
(同一文化 を背景 とした者 同士で も 同 じことは起 こ り得 るが
,その確率 と程度 は小
さくなる。
)しか も
,質問項 目の中に
,「楽 しく 交流で きましたか
(質問
7)」,「相手が戸惑いや 驚 きを感 じているようで したか
(質問
12)」 (付表参照
)のように
,回答者の主観 を尋ねる もの がかな り多 く含 まれているため
,ホス トだけを
対象 に調査 をしたのでは
,その分析結果の信憑 性が薄れる恐れがあった。ホス トはすべ て順調 であった と自己満足 していてもゲス トは不満 を
表1(ホス ト78人への調査)
抱いていた り
,全くその逆の場合 も考えられる からである。このような欠点を多少な りとも補 うために
,ゲス トに対 しても視点を変えただけ でほぼ同じ内容のアンケー ト調査 を行った。
結果的には
,質問項 目によってホス トーゲス ト間の回答にかなりの差が生 じ
,信頼の置ける 共通の数値 としては提示できないものもあった が
,これらは逆に
,両者の意識の違いを示す興 味深い結果であ り
,しか も
,異文化交流のあ り 方に何 らかの示唆を与える意味においては
,ホス トーゲス ト間で差のある回答の方がより貴重 なデータとなった。
調査対象者 は ,「 カルガ リー・ス タンピー ド・ショーバ ンド」のホームステイに関わった ホス ト 98人
,ゲス ト 103人 の全員で
,回答数は ホス ト 78人
(80%),ゲス ト 68人
(66%)であ つた。不満や批判的意見でもできるだけ正直に 述べやすいように無記名調査 とした。また
,ホス トが以前ホス トファミリーとしてホームステ イを引 き受けたことがあるかどうか
,ゲス トの
性差やホームステイ及び来 日の経験の有無が
,ホス トーゲス ト間の交流に何 らかの影響を与え たかどうか知ることができるように
,これらを 問う質問項 目を用意 した。 しか し
,ゲス トの来 日及びホームステイ経験の有無は
,集計上の問 題があつたため
,今回の調査には意義のある回 答 として活用できなかった。激
)なお
,記述を簡潔にするために
,文中ではパ ーセンテージのガヽ数点以下を四捨五入 した。
男 女
有
17性層
U不
明 3缶 い
12 35表2(ホス ト68人への調査)
ホームステイ経験
来 日経験 有
征 い 有
缶い
男
285
24女
26 132
371.言
葉
,意志疎通
(コミュニケーシ ョン
),交流
ホームステイが始まる前に
,ゲス トの日本語 力 を「ほとんど話せない」
(43人)及び「あい さつ程度」
(29人)と予想 していたホス トは合 わせて 72人
(92%)で,一方
,グス トの
16人が
ホ ス トの英 語 力 を「 ほ とん ど話 せ ない
/山
nost nil"」,34人が「あいさつ程度
/ a few greetings"」と予想 してお り
,これらを合わせ
ると 50人
(74%)のグス トが英語によるコミュ ニケーションにはあまり期待 していなかったこ とが半 Jる 。両者の予想通 りだったとすれば
,ホス トーゲス ト間のコミュニケーションはあまり
うまくいかなかったという推淑1がなされるが,実際は,質問
6及
びQ.6の 結果が示すように,多くの場合「なんとか」「だいたいうまく」あ るいは「非常にうまく」コミュニケーションが
とれている (ホ ス ト 71人 。
91%,ゲス ト
57人・
84%)。さらに
,「交流を楽 しめた」かどうかを 尋ねた質問 7及 び
Q.7の結果がこれを裏付けて いる。「少 し楽 しめた」がホス ト 20人
,ゲス ト
5人
,「楽 しめた」がホス ト 48人
,ゲス ト 58人 で
,合わせ る とホス ト68人
(87%),ゲス ト63人
(93%)と
いう高い数値 を示 している。
要するに
,ゲス トの日本語力を期待 していな い日本人と
,ホス トの英語力を否定的に予想 し ていたカナダ人 とのコミュニケーションは思い の外スムーズにいき
,その結果 として
,両者間 の交流は楽 しいものとなったのである。
では
,いかにしてコミュニケーションがはか られたのだろうか。使用 した言葉は
,ホス ト
78人中 73人
(94%),ゲス ト 68人 中 63人
(93%)が
,主に英語であると回答
(質問 5及 び
Q.5)しているが
,これらのことから
,ホス トの英語 力が相当のものであったと考えるのは楽観的過 ぎるであろう。実際には英語力不足のためにか な り苦労 している様子が
,自由回答
(質問
23)で寄せ られた意見・感想から窺える。言葉によ る苦労 を訴えたホス トは
,「言葉でのコミュニ ケーションが難 しい」「英語力の不足で大変だ
つた」「言葉の違いか らコミュニケーションが とれない」などを合わせると
15人にも及んだ。
自由回答であるためにこの数値 を客観的データ として捉えることはできないが
,何とか意志疎 通を図ることはできたが言葉の障壁の厚 さを痛 感 した人が潜在的には相当数いたことを示す も のと考えられる。同じく自由回答に寄せ られた 意見・感想 をもとにさらに推論 を進めるなら ば
,「語学力がなくても何 とか通 じる」
,「 (ゲス トが
)来る前は不安だったけれど
,いざ始まれ ばうまくいった」
,「どこの国の人 もみな同 じ」
などが示すように
,言葉を越えた気持ちの触れ 合いがあ り
,文化の違いを越えた人間同士の交 流がなされたと言えるのではないだろうか。だ からこそ
,ホス トの
87%,ゲス トの
93%が交流 を楽 しめたのだ。その意味では
,ホームステイ を通 した国際交流の目的の一つである「身振 り 手振 りで通 じることもた くさんあ り
(中略
),ただ違 うということを知るだけでな く
,何が同 じなのか
,何が共通なのか
,を発見 してい くこ と」口 を
,交流が楽 しめなかった少数のケース があるにせ よ
,ほぼ達成で きたと考えてよい。
例外的少数のケースにおいては
,交流を楽 し
めなかった第一原因として「言葉の障壁」をす
べてのホス トが挙げている注
"が,その他の要
因として
,ホス トとしての慣れの不足 もかなり
関わつていたようである
.ホス ト回答者 78人 の
中で
,今回初めてホス トファミリーになった人
カシ
7人 (60%)含まれてお り
,これはボランテ
イアでホス トを引 き受ける集団の中では決 して
少ない数字ではない。 しかも
,調査対象ホス ト
総数 98人 には
,国際交流団体「ヒッポファミリ
ークラブ」に所属する
15人が含まれていること
を考えれば
,この
60%がいかに高い数値である
かが判る。 測 この経験のなさが
,意志疎通の妨
げ とな り
,交流の楽 しみをそいで しまった一要
因であることは
,次の ような質問
6,7の回答の
分布か ら明 らかである
.ホームステイを通 した国際交流 に関する調査一 カナ ダ人学生 とホス トファミリーの関係一
質問
6相手 とどの程度お互いの意志疎通 をはかることがで きた と思いますか
25 24
15斗
― ― ― 一 一 ― 一 一 ― 一 ‐10+―一― 一― 一―一 一― ‐
ほとん どできなかった
少 ししかできなかった
なん とかなった
だいたい うまくいった
非常に うま くいった
質問
7言葉がうまく通 じたかどうかは別 として
,気軽に楽 しく交流できましたか。
(食
事の時
,送迎の時
,家族 との自由時間の時
,などを思い出してみて下さい。
)4丁
O1 0 1
楽 しめなかった
あまり楽 しめなかった どち らとも言 えない 少 し楽 しめた
意志疎通がはか られた程度 と交流 を楽 しんだ 程度の相 関関係 に
,ホス トーゲス ト間で興味深 い差がみ られる。ホス トの
10人 (13%)が意志 疎通が非常 に うま くいった と考 えるの に対 し
,ゲス トの誰一 人 と して コ ミュニケー シ ョンが
almost everything perfectly"にとれた と考 える 人はいない。 しか しなが ら
,交流 を楽 しめた人
の数 を見 ると
,ホス ト
48人 (62%)よりはるか に多 いゲス トの58人
(85%)が交流 を大 い に
「楽 しめた/ e可
Oyed very much"」と考 えてい る。 これは
,一つ には意志疎通の程度 に関 して ホス ト側の独 りよが りの判断や 自己満足が多少 あることを表 し , もう一つ には
,自己満足であ るにせ よ意志疎通 は十分 はか られた と思いなが らも
,交流 に何 か不十分 な ものを感 じるホス ト が少 なか らずいることを示 している もの と判断 で きる。後者の原因 としては
,ホス トとしての
気遣い と
,ゲス トのホームステイに対す る慣れ
(ホ ームステイ経験のある者が
54人 (79%))とが考 えられるが
,気遣い と交流 に関する不満 は 後 に詳述する。
交流の具体 的内容の一端 を知 るために
,ホー ムパーテ イを開いたか どうか
,一緒 にどこか観 光地 を訪 れ たか とい った表面 的 な こ とで はな く,ど のような話題が好 まれ
(質問
9及び
Q.9),自分か らは何 を多 く質問 し
,相手 は何 をよく質 問 したか を
(質問
10,11及び
Q.10,H),ホス
ト
,ゲス トの両者 に尋 ねた
(質問
9とQ.9は5項 目
,質問 10,11と
Q.10,Hは3項目を選ぶ複
数回答
)。しか し
,言葉 によるコミュニケーシ
ョンに「かな り」
,あるいは「ある程度」不便
を覚 える状況の中での話題 は
,短期 間のホーム
ステイ当事者間にあ りがちな話題の範囲を超 え
ることはなかった。要す るに
,お互いの「国」
,「出身地の様子・特徴」
,「ライフスタイルの違 い」や「食べ物」の話題が
,自己紹介の一部 と して
,あるいはホームステイ期間をスムーズに 過ごすために好 まれ
,「宗教」「社会問題」「政 治」「経済」 などの
,相当の知識 と言語表現力 を必要 とするような話題は敬遠されたことが判 る。「学校生活」 と「自分あるいは相手の家族 の職業
(将来の計画 も含む
)」についても自己 紹介的話題 と考えて差 し支えないだろう。「ス タンピー ド祭 り」 と「音楽」については
,ゲス
トが「カルガリー・スタンピー ド・ショーバン ド」の一員であることを考えれば
,頻繁に話題 に上ったとしても不思議ではない。
個人的な話題においては
,プライバシーの領 域に入 り込 まない程度の
,趣味や好みについて の話が好 まれるであろうと
,筆者は予想 してい たし
,ホームステイに関するガイ ドブック等で は
,たいてい
,プライバシーに関わるような話 題はあま り好 ましくない とア ドバ イス してい る
.しか し
,「恋愛・恋人」 については意外 に 多 く話 し合われている。ホス トの
13人,ゲス ト
の
15人がこの項 目をよく話題にしたと回答 して いる。 しか も
,質問
10「相手が よくした質問」
及び質問
H「あなたがよくした質問」の回答で は
,それぞれ 5人 が「恋愛・恋人」の項 目を選 択 していることから
,どちらかが一方的にこの 話題を好み質問を浴びせたのではないようであ る。若者 らしい話題の選択 と考えるべ きだろう。
「書物および読書/
books"」と「 自分ある いは相手の性格 / personalitts of yollr two fami‐
lies"」
がよく話題 となったとする回答に
,ホス
トーゲス ト間で多少の差が見 られる注
"が,これらから何 らかの結論を導 き出すことはできな い。単なる言葉上での誤解かもしれないし
,アンケー トに回答する時の記憶違いや
,話題の分 類の仕方の相違かもしれない。
2.習
慣・ ラ イ フス タ イ ル の 違 い に よ る 戸 惑 い 。驚 き
国際化が進む中で
,日本文化 とそれに根 ざす 習慣・ライフスタイルが外国に紹介 される機会 が増え
,同時に西洋のライフスタイルが日本人 の生活の中に入 り込んで来てはいるものの
,それで もやはり
,全く異なった文化の一般家庭で 生活するにはかなりの戸惑いがあるようだ。習 慣・ライフスタイルの違いのためにゲス トが戸 惑いや驚 きを感 じていると思った
(質問
12)ホス トは
19人 (24%),一方実際に戸惑いや驚 き を感 じた
(Q。 12)ゲス トは 65人 中 20人 (31%)注
0であった。サンプル数が限られているため
,以上の差は統計上の有意差 とは認められないが
,個々の戸惑い 。驚 きの具体例 を見 ると
,ホス トーゲス ト間で注目に値する違いがある。上記 ホス ト
19人の内 5人 が玄関での靴の脱着
,2人が 入浴時に
,ゲス トが戸惑いや驚 きを感 じたと思 っている。 しか しなが ら
,ゲス ト自身は
,靴の
脱着には戸惑いを感 じてお らず
,逆に 20人 中
7人が入浴時に困惑 している
.靴の脱着に関 しては
,筆者自身
,今回のホー ムステイ期間中に限らず以前 も何回か見かけた ことがあ り
,思い当たる節がある
.よくある例 を挙げれば
,玄関の三和土にぴょんと飛び降 り てから靴を履いた り
,靴ひもを結ぶ とき
,靴を
履いた足を上が り口に乗せて結んだ りする。ま た
,上がるときの例では
,まず片方の靴を脱 ぎ その足で上が り
,その後まだ靴を脱いでない方 の足 をどうしたものかと手こずるのである。ど うも
,靴のまま部屋に入る習慣 を持つ文化出身 の人には
,三和土 と上が り口との段差が苦手で まごまごしているように日本人には見える。 し か し
,回答が示す とお り本人は何 も気にしてい ないのである。む しろ
,後で も述べ るように
,ホス トがこの行動を見て戸惑ったり驚いたりし ているのだ。
風 呂やシャワーの使 い方 については
,箸の使
い方のようには実演 による説明が しに くい とこ
ホームステイを通 した国際交流に関する調査― カナダ入学生 とホス トファミリーの関係一
ろに問題があるようだ。シヤワーと蛇口との切
り替えや
,給湯装置の使い方は
,自国内の旅行 でも普段 自分が使 っているものと同じでないと 戸惑 うことがある。ましてや外国の装置 ともな れば
,使い方が分からな くて当然かもしれない し
,湯舟 と洗い場の使い分けは経験のない人に は理解 しがたいであろう。 しかも
,こういつた ことは外国語での説明は
,する方 も聞 く方 もか な り難 しい。
(英語はホス トにとつては外国語 であ り
,日本語はゲス トにとつて外国語であ る。
)いくら身振 りをまじえても
,実演ほどの 効果は期待で きない。 したがつて
,風呂やシヤ
ワーに関 しては
,しつこい くらい丁寧に説明 し
,初めて風呂を使った後
,困つたことはなかった かどうか念 を押 してみるくらいの気遣いが
,ホス ト側に必要 となる。
質問
12及び
Q。 12に関連 して
,質問
13(「ゲス トの行動 にホス トが戸惑 った り驚いた りした か」
)と,Q.13(「ホス トを驚かせた りや り方 の間違いを指摘 されたか」
)の回答 を比較する と
,さらに興味深いホス トーゲス ト間の差が見 られる。ホス トの 26人
(33%)が相手の行動に 戸惑いや驚 きを感 じているのに対 し
,グス トは
7人 (11%,無回答 4人 は集計の対象外
)しか相 手 を戸惑わせた り驚かせたとは思っていない
.具体例 を見ても ,ホ ス トは「靴の脱着」
,「入浴」
,「食事」の項 目以外 にも
,洗濯物 をまとめて出 す
,食べ物を平気で残す
,エアコン
(冷房
)を強 くしす ぎる
,恋人と人前でもいちゃつ く
,食欲旺盛で食べる量が多いなど
,回答が多岐にわ たっている。一方ゲス トは
,相手を驚かせたと 思われる項 目をきちんと選択 していない回答が 多いので正確 には判 らないが
,Q。 13に付け加 えた ExPlain What happened"の 回答か らは
,箸の使い方を中心 とする食事に関するものがほ とんどである。
これらのことから
,ホス トが一方的に, しか も自分の予測や予期に反するという理由で
,ゲス トの行動に戸惑いや驚 きを感 じているようで ある。ホームステイを通 して異文化出身者 と交
流することの意義には
,日常 レベルでの違いを 理屈ではな く実際に肌で感 じることが含 まれて いるとすれば
,このようなホス トの反応を否定 的に考える必要はない。異文化 との出会いに慣 れるにつれて
,相手の不可解な行動 を見つける ことが
,驚きよりも楽 しみや興味になって
,より素直に受け入れられるであろう。相手の行動 に驚いた上記ホス ト 26人 の中に
,以前にホス ト 経験がある人は
5人しか含 まれず
,21人(84%) が初めてホス トファミリーを引き受けているこ
とが
,その証である。
3.気
遣 い
,土産
同じ内容の質問を形を変えて繰 り返 してはい けないというアンケー ト調査の基本に敢えて反 して
,気遣いに関する質問
(質問
14,15/Q.14,15)を
行 つた
.それは
,「ある程度気 をつ かつた」 と回答 した場合でも
,その気遣いをパ ーセ ンテージで表す とき
,40%と答 えるの と
60%と答えるのとでは差があるのではないかと 考えたか らであるが
,今回は質問
15及び
Q.15の回答 を集計 しないこととする。注つ
筆者は ,気 遣いに関する質問を用意するとき
,ホス トーゲス ト間の回答にかなりの差が生 じる のではないかと予想 していたが
,果たして
,その通 りの結果 を示 した。「ある程度気 をつかっ た
(28人)」,「かな り気 をつかった
(26人)」,「非常 に気 をつかった
(5人)」ホス トを合わせ ると
,59人 (77%,1人無回答
)にもなる。一 方
,これ らに対応する回答 を選 んだゲス トは
SO―SO"(15人),
pretty much"(9人
),a great
ded"(4人)の,合
わせて
28人 (43%)と半数 に満たない。当然
,その逆である「ほとんど気 をつかわなかった /
almOst nil"」と「あまり 気 をつかわなかった /
just a li■ le"」が
,ホス
ト 77人 中
18人とごく少数であるのに対 し
,ゲス
トは 65人 中
37人と多数である。
ホス トの中の過半数がホス ト役 を初めて引き
受けていることも
,上記のようなホス トーゲス
卜間の差 を増大 させた要因である
.ある程度以 上の気 を使 ったホス ト59人 の内
,ホス ト未経験 者 は45人
(76%),一方
,ホス ト経験者 はわず か
14人 (24%)である。その意味では
,経験豊 かなホス トほ ど気遣いな くゲス トを迎 えること がで き
,逆に
,I宿を提供 して もらっている立場 のグス トの方が
,それな りの気遣いをしている ことにもなる。
次 に
,気を使 った具体的項 目
(質問
16及び
Q.16)を
分析する。 ここでは
,筆者が用意 した
17項 目
(その他 を含む
)の内
,自分が気 を使 った
と思 う3項 目を選択 して もらった。その結果
,ホス ト及 びグス トともに
,気遣い と言 うよりむ しろ心遣いと言うべ きような
,相手に対する優 しい思いや りが多分に見受けられた。ホス トが
,「相手の食べ慣れた食事 を出すこと」に気 をつ けながらも
,同時に「日本の料理を食べ させて あげること」に配慮すれば
,ゲス トは自分の食 べたい物嫌いな物をはっきりとホス トに伝えな が らも
,出された物はで きるだけ食べる
( eat―ing whatever food was served without leaving
much")よ う努力 している。両者 ともに
,「だん
らんの時の話題」 を提供 しあって
,ホス トは
「 くつろいで もらうために気楽な雰囲気を作 り 出すこと」に
,グス トは十分 くつろいでいるこ とをホス トに知 らせ
( showing that you felt at home and were enJoymg your stay with the fami‐ly"),ホ
ス トフ ァ ミ リー の ボ ラ ンテ ィア精 神 に 感 謝 して あ れ こ れ 要 求 す る こ と を差 し控 え る( not demanding too much because you understood the kindness of your hosts in volunteering to be a host family")よ
うに気 を配 っている。質問
14及び
Q.14の回答 か らは
,前述 の よ うに
,ホス
トーグス ト間に気遣いの程度の差が顕著であっ たが
,具体的気遣いの項 目においては両者間に 特 に注 目すべ き差 はな く注 8),互 い に十分相手 の立場 を尊重 しようとす る努力
,心配 りが察せ られる。
土産 に関 しては
,何を渡 したか
,それは どの くらいの金額 の物であつたか をホス トに尋 ね
,グス トにはもらった土産をどう思ったかを尋ね た
(質問 16,Q.16)。 グス トからホス トに渡さ れた土産 と
,それに対するホス トの反応 を尋ね る質問も可能であったが
,この調査ではそのよ うな質問を用意 しなかった。 注
"ホ
ス ト 78人 全員
が何 らかの土産をグス トに渡 している。予想通 り
,扇子
,日本人形
,箸 ,のれん
,湯飲み
,茶碗
,浴衣
,甚平など
,いわゅる日本的な物が多 いが
,その金額を回答 したのは
59人で
,残る
19人は
,「家にあった物でほぼ
o円」
,「 3,000円プ ラス浴衣」
,「ホームステイ中に使用 した箸
,茶碗
,甚平など」などで正確な金額は分からなか つた。
59人が 回答 した金額 は
,100円か ら 30,000円 とかな りの幅があるが
,平均すると
6,800円 (下2桁 四捨五入。金額については以下 同様
)である。ボランティア精神に基づ くホー ムステイは
,「お土産やお金のや りとりなしを 原則」注
0とし
,もしどうして もと思 う場合で も金額が張 らない物を渡すように
,ホームステ イ関係のたいていのガイ ドブックが助言 してい ることを考えれば
,この平均金額はかなり高す ぎると言わざるを得ない
.このあた りに
,日本 人ホス トは「接待が少 し過剰」注
H)でぁると指 摘 される一端を覗かせているようである。
ホス ト経験の有無別に見ると
,未経験者の土 産の平均金額が
7,900円,経験者が
5,200円でか なりの差はあるが
,ここでは
,ホス ト経験者で さえ
,平均
5,200円の土産 を渡 していることが 注 目に値すると筆者は考える。ホス ト役を引 き 受ける家庭は
,部屋の間取 りのみならず経済的 にも余裕があるのかもしれないが
,喜びや楽 し い思い出を
,安易に物質化 しないよう自制すべ
きである。「予想外 に高価 な
(unexpectedly
expensive")土産」 をもらったと思 うグス トが
17人
(25%)もいたことは
,反省 しなければなら
な い 。 一 人 の ゲ ス トが 述 べ た r l ever needed anything they lhoSt family]wOuld do anything forme."と
いう感想は
,上記の数値 を見る限 りで は
,親切なホス トに対する感謝だけではな く
,驚 きの声 とも聞こえて くる。
ホームステイを通 した国際交流 に関する調査― カナダ入学生 とホス トファミリーの関係一
48満足度,不満
(注1)で
説明 した事情 により
,ホス トーゲ ス ト間の集計方法に少 し違いが生 じたが
,満足 度
75%±10%(65%〜 85%)を「かなり満足」
,9o%以
上を「非常に満足」と考えることにする。
「かな り満足」 と答 えたホス トが 36人 (46%), グス トは 9人
(14%)で,「非常に満足」はホス
ト 30人 (38%),ゲ ス ト 43人 (66%)で あつた。注
0つまり
,このホームステイでは
84%のホス トが
「かな り」 または「非常 に」満足 し
,同様の満 足を示 しているゲス トが
80%いたことが判る。
この結果
,及び前述の「
1.言葉・意志疎通
(コ ミュニケーシ ヨン )。 交流」の分析結果 を 考え合わせると
,言葉の障壁を感 じなが らも何 とか意志疎通をはか り
,楽しく交流できた結果
,気苦労 もあったけれど大半のホス ト及びグス ト の双方が満足 した とい う意味で ,「 カルガ リ ー・スタンピー ド・ショーバンド」に関わるホ ームステイは
,成功であつたと言える
.しか しながら
,今後 も続 くであろうこの種の 国際的文化交流事業の支援 としてのホームステ イをより充実させ
,より意義のあるものにする ためには
,不満の声にも耳を傾けなければなら ない。 しかも
,上述の「満足度」は
,ホームス テイ全般に対する感想であ り
,個別の事項に何 らかの不満を感 じた人は
,相当数に上る。まず
,質問
20に「困つたことあるいは不満に思つたこ と」があると答えているホス トは 61人
(78%)であ り,そ の内訳 を見ると
,圧倒的に多いのが
,「スケジュールが過密で
,相手 とゆっ くり交流 する時間がなかった」
(41人),二番 目が「毎 日 の
(ゲス トの
)送迎は負担が大 きす ぎた」
(17人
)である。 もし
,ゆった りとしたスケジュー ルが組まれていたならば
,時間的ゆとりを持っ て送迎できた り
,また送迎そのものの回数 も減 ったと考えられるので
,これら
2つの項目には
,深い関連があると思われる。一方
Q。20
Wasthere anything disa.ppointing or unsatisfying about
the homestay?"に
Yesと 答 えたゲス トが 回答 者64人 中27人
(42%)いた。その中で一番多い不 満 は
the tem[of hOmestay]Was too sho■ "(23人),次 い で
the schedule was too heavy to have
enough tune for interacting with the hosts"(18人 )が二番 目である。ホームステイ期間が短す ぎる という感想 と
,相手 との交流の時間が十分持て なかったという不満はほとんど同一の もので
,余裕のあるスケジュールの中でホス トーゲス ト
の交流を楽 しみたいという希望の表れと解釈で きる
.したがって
,今回のような国際的文化交流事 業の中に
,副次的目的として日常生活の中での 異文化交流 (ホ ームステイ
)を取 り入れる場合 は
,主催者側は
,スケジュールにできるだけ余 裕を持たせ
,ホス トーゲス ト間の交流の時間を 十分用意 しておかなければならない ことが判 る
.注13)も っとも
,10日足 らずのホームステイ の中で
,どの程度交流時間が取れるかには
,日程そのものの大幅な延長ができない限 り
,自ず
と限界があるし
,交流時間の増大は
,かえって
ホス トの負担の増加 になる可能性 も否めない。
しか し
,ホス トは主催者 と違つて
,ホームステ イによる交流を副次的に捉えず
,ゲス トとの交
流そのものを楽 しみにしている。その目的なし には
,ホス トファミリーを引 き受けないのかも しれない
.その意味では
,「日本国際青少年音 楽祭」参加のために来 日したゲス トとも
,やや 立場 を異 にし
,その結果が質問 20及 び
Q。 20の回答に見 られるホス トーゲス ト間の差 (ホ ーム ステイに不満を感 じた人は
,ホス ト
78%,グス
ト
42%)となっていると思われる。この差は
,今後 も同じようなホームステイに参加 したいか どうか を尋 ねた質問22及 び
Q。22の 回答 に もそ の まま表れ
,ホス トの積極性がゲス トのそれ よ り劣 る結果 となつた。 瀬の この ような目的意識 の違いに関 しては
,主催者側がホス トファミリ ーを募 る際に十分気 をつけて説明を行 う必要が ある し
,また
,ホス トとして応募 した人 も
,その違い を容認する覚悟 をしておかなければなら
ない。そ うすれば
,質問
20及び質問
23に自由回
答 として寄せ られた不満
(「日本語や 日本文化 を学ぼうとする意欲がない」
,「彼 ら
(ゲス ト
)の目的がホームステイではない」
,「 (ゲス トは
)部屋 を借 りるだけという気持ち」
)を ,回避で きるであろう。
静岡市国際交流協会
(sHARE)が市民一般 にホス トファミリーを募集する場合でも
,ゲス
トの来 日目的は必ず しも
,日本語や 日本文化を 学んだ り日本人家庭 との触れあいではないこと がある。たとえば
,今年度
(1998年9月1日 現在
)すでに
2度ホス トファミリーを募集 しているが
,いずれの場合 もゲス トの来日目的はホームステ イ以外 にある。注6)こ のようにホームステイが 副次的目的の場合
,ホス トは
,日本文化を伝え ようと大上段に構えて
,普段の生活 とかけ離れ た伝統文化などを持ち出すのではなく
,日常生 活の一部を共有する中で
,自ず と表れ出る日常 文化に自然に触れてもらうようにすべ きであろ う。また
,主催者は
,コーディネーター役 とし て
,ホス トーグス ト間の認識のズレがないよう に十分配慮 しなければならない。
質問
20においても
,ホス ト経験の有無による 差が見 られた。「予想以上に
,普段の生活のペ ースが狂つて しまった」 と回答 した人が
10人,「相手が本当に満足 しているかどうか分からず
,自分だけがから回 りしていた」が
16人であるが
,その中でホス ト経験 を有する人は
,それぞれ
2人 しか含 まれていない。普段通 りの生活を崩 さ ず無理のない形でホス トファミリーをつ とめる には
,実践 を重ねて慣れるのが一番の近道であ ることを示 している。そうであれば
,この差を 根拠に
,必要以上に気を使わない方法を教示 し てもしかたがない。む しろ
,初めての人には
,このような気苦労や緊張感こそがホームステイ ならではの楽 しみでもあると
,楽観的に構える よう助言する方がよいであろう。
回答数は少ないが
,聞き逃 してはならない不 満の声がある。今回のホームステイに何 らかの 不満
( anything disappointing or unsatistting")を持つグス ト 27人 の内 8人 が
,ホス トの過剰な接
待 を指摘 している。文化 も言葉 も異なる不案内 の地に滞在するゲス トヘの気遣いを
,過剰サー ビスとして不満を持たれては
,ホス トの立つ瀬 がなくなるかもしれないが
,土産の場合 と同様 の注意が必要である。
自由回答で寄せ られた感想 を少 し紹介 してお く。先ずは ,「 手紙を出 したのに返事がこない」
,「 (ホ ームステイ後に
)ハガキ
1枚こない。何か 寂 しい」 というホス トの不満である
.これはホ ス トーゲス ト間の個人的な問題であ り
,主催者 や交流事業 としてのホームステイ全般に関係す るものではない
.また
,およそ 100組 にも及ぶ ホス トーゲス トの中には相性のよくない組が出 てきても不思議ではないだろう
.それでもやは り
,ホームステイ後にお礼や挨拶の一言 もない のはマナーに反する行為 と言わざるを得ない。
ホス トにちょっとしたおネ
Lのあいさつをする行 為は
,個人的な
̀面ce thought'Or àconsider‐ate gesture'"瀬 のであろうが
,そのような思いや りの行為 を制度化 している日本瀬つの家庭 に滞 在 した場合は
,相手文化への配慮 という意味で も
,ホス トのボランティア精神に感謝する意味
でも要注意である.文化的価値観の違いで片付けて しまっては
,不愉快 な誤解 を残すだけであ る し
,そもそ も国際交流 を行 う意味がな くなる。
グス トを送 り出す側である「カルガリー・スタ ンピー ド・ショーバ ン ド」の事務局の指導 と
,ゲス ト本人の認識が十分ではなかったと言えよ う。
次に
,グス トの不満 として「 日本人家庭に一 人っきりでホームステイするのは心細かった」
,「知 らない国では友達が′ いの支えなのに
,友達 が どこにいるのかも知 らず
,取り残 された気持 ちだった」
,「バ ンドのメンバーでもっと旅行が できるものと思っていた」などがある。これら の意見から
,ゲス トは言葉が自由に通 じる気の 置けない仲間同士で過ごす時間が欲 しいことが 判る。解決策の一つ として
,ホームパーティー を
2,3のホス トファミリーで持ち回 りで開き
,それぞれのグス トを一 カ所 に集めることであ
ホームステイを通 した国際交流 に関す る調査一 カナ ダ人学生 とホス トファミリーの関係一
る
.ゲス トに
,自由にお しゃべ りできて安心で きる場を提供することが目的なので
,ホームパ ーテイーと言つても大げさなものを考える必要 はない し
,ホス トは
,自分の家以外でのホーム パーテイーには必ず しも参加 しなくてもよいの で
,負担の軽減にもなる。
5.ゲス トの性差に見られる特徴
男性ゲス トを迎え入れたホス ト回答者が 29人 に対 し
,女性ゲス トのホス ト回答者は 46人 であ ったので
,おおよそ
2:3の割合で
,それぞれの 回答数に差が出ることが予測 される。そこで
,この調査報告においては
,その差が
1:3以上に 広がつた場合
,及び男性ゲス トのホス トの回答 数が
,女性ゲス トのホス トの回答数より極めて 多 くなる (3:2の 割合以上
)という逆転現象が 生 じた場合を
,性差の表れた回答 と考えること とする。そのような差が顕著なときは
,ゲス ト
が男性か女性かによつてホス トの対応が異なっ ていたことになる。一方
,ゲス ト自身の回答で は
,男性が 29人 女性は 39人 であつたが
,この人 数比を大 きく越えるような差が見 られるケース はほとんどない し
,また
,それらの希なケース を基に
,男女の行動や思考の違いを導 き出せる ような調査項 目にもなっていないので
,ゲス ト
の回答は
,性別によるホス トの対応の違いを補 完するデータとして利用するにとどめる
.質問
14において「気遣いの程度」 を尋ねた結 果
,「かな り気 を使 った」 と回答 した総数は 26 人
(2人はゲス トの性別不明
)であつたが
,その内男性ゲス トを迎 えたホス トは 2人 に対 し
,女性ゲス トのホス トが 22人 と極端に多い。それ 故
,「あまり気 を使わなかった」人は
,男性ゲ ス トのホス トが 9人
,女性ゲス トのホス ト
3人と
いう逆転現象が生 じ
,極めて明確な差 となって 表れている。具体的項 目
(質問
16)を見ると
,「快適 に過ごせる部屋 を提供すること」
,「日本 文化
(日本的特徴
)を少 しでも多 く紹介 してあ げること」
,「ホス トフアミリーとの自由行動の
日
(交流の 日
)の過 ご し方」 に気 を使 った とす る
,男性ゲス トのホス ト数対女性ゲス トのホス ト数は
,それぞれ
5人対
15人,1人対
6人,2人対
10人である。この中でも
,「快適な部屋 を提供」
するよう気 をつけたのは
,ホス ト経験のない人 で女性ゲス トを迎えた人が
14人と圧倒的に多い のはある程度納得できるし
,グス トの性別によ る対応の差 と言 うよりもむしろ当然の配慮かも しれない .注
0しか し
,「日本文化を紹介」 した り「交流の 日の過ごし方」 に気 を使 うことは
,衣食住のような基本的生活に関係する気配 りで はなく
,少しで も楽 しいホームステイを提供 し ようとするサービス精神の表れである
.その意 味で
,男性ゲス トが冷過 されたわけではないだ ろうが
,女性ゲス トの方がより厚遇されたと言 える
.その証拠が土産にも表れている。男性ゲ ス トが渡 された土産の平均金額の
4,800円に対 し
,女性ゲス トのそれは
8,000円と
3,000円以上 の差がある。
土産の金額 に関 し
,ホス ト経験の有無 によつ てその金額 に差があることは
,前に も述べ た。
それを含めて もう一度整理 してみ よう。ホス ト 経験があ り男性 ゲス トを迎 えたホス ト
,ホス ト
経験が な く男性 ゲス トを迎 えたホス ト
,ホス ト
経験があ り女性 グス トを迎 えたホス ト
,ホス ト
経験が な く女性 ゲス トを迎 えたホス トの順 に
, 4,400円,5,500円 ,6,100円 ,8,700円 と土産の平
均金額が高 くなっており,どうもホス ト経験の 有無による差よりも,迎え入れたグス トの性別 による差の方が大きいことが半Jる
。もう一つ,ゲス トが男性か女性かによつてホ ス トの対応が異なっていることを示すデータが ある。ホス トファミリーとなって困つたことと
して,「予想以上に,普段の生活のペースが狂 うてしまった」(質問20,(e))を 挙げた回答者
10人 の内8人 が女性 ゲス トのホス トであ った。
これは
,ホス トフアミリー となって困つたこと や不満 に思 ったことがあると回答 した女性ゲス トのホス ト35人 の
23%にあたる。 さらに
,その
8人
中
7人がホス ト経験 のない人であつたことは
見逃 してはならない。質問22「 もう一度ホス ト フアミリーを引 き受けますか」 に
,否定的ある いは消極的に回答 した人は
,18人 (23%)と少 数ではあるが
,内訳 は
,男性ゲス トのホス トが 4人
,女性 グス トのホス トが
13人,ゲス トの性 別不 明のホス ト
1人とい うように
,女性 ゲス ト のホス トが群 を抜いている
.ここで もまた
,13人中
H人が初めてのホス トであった。
これ らのことを総合的に考え合わせると
,女性のグス トを迎 えた場合
,特にホス ト経験のな い人は
,サー ビス精神 を発揮するあまり
,それ
だけ気苦労 も増 えた り生活のペースが乱れた り する傾向にあ り
,その結果
,今後 ホス トファミ リー を引 き受 けるこ とに消極 的 になる可能性
(危険性
)がある
,とい うことになる。
この ようなゲス トの性別 によるホス トの対応 の差 を
,グス ト本人は どの ように受け止めてい るのであろうか。当然
,より多 くの気遣いや配 慮 を して もらった女性ゲス トの方が
,より楽 し
く満足のい くホームステイを過 ご して しかるべ きだが
,残念 なが ら
,それ を数値的に表す もの はない。む しろ
,今回のホームステイに不満 を 持 ってい るのは
,女性 の方が多 い。 Q.20と
Q.21の
回答 によると
,「不満」 を持った男性ゲス トは
8人,女性グス ト
19人であった。満足度 を 見ても
,25%,50%という比較的低い満足度を 選んだ男性ゲス トは o人 であるのに対 し
,女性 ゲス トはそれぞれ 2人
,H人であった。 もっと
も
,この不満には
,Q。20が 示す とお り
,「スケ ジュールの過密 さ」や「ホームステイの期間」
に対するものが多 く含 まれているので
,そのま まホス トに対する不満の表れとは言えない し
,今回の限られた調査結果をそのまま一般化する のは避けなけれ
│ゴならない。 しか しながら
,ホス トフアミリーを引 き受けるのが初めての場 合
,男性ゲス トを迎え入れた方が
,気遣いが少 なく
,その分楽 しく交流できより多 くの満足が 得 られる可能性が高い
,という程度の示唆には なっている。
ま とめ
1997年7月