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バングラデシュにおける日本語教育・日本留学事情

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長崎大学留学生セ ンター紀要 第 8号 2 0 0 0年 ∫( 〟

バングラデシュにおける日本語教育・ 日本留学事情

‑現 状 と今後 の課題 一

松本久美子

は じめ に

筆者 は 1 999 年 7 月 25 日か ら 8 月 3 日までバ ングラデ シュの首都 ダ ッカに滞 在 し、 日本大使館 と日本語教 育機 関 を訪問す る とともに、帰 国留学生 に対 す る インタビュー調査 を行 った

本稿 で は訪問調査 で得 られ た情報 を もとに、バ ングラデ シュか らの国費留 学生 の推 移 、お よび同国 にお ける 日本 語教 育 の現 状 、帰 国留学生 の状 況等 につ いて報告 し、 またそ こに見 られ る問題 点 につ い

て、若干 の考察 を行 いたい。

1. バ ング ラデシュか らの国費 留学生

国立大学 で 日本語教 育 に携 わ る ようになってか ら、急 にバ ングラデ シュか らの国費留学生 に接 す る機会が多 くな った。 また、特 に同国の場 合 、大学推 薦 の奨学生 と して来 日す る者が多 い ように感 じていた。筆者 は在 バ ングラデ シュ 日本 国大使館 の一等書記官 お よび文化広報担 当官 と面談 し、主 に大使館 推薦 国費留学生 と大学推薦 国費留学 生 に関 し、 その応 募状 況、派遣 人数 の推 移 、 渡 目前 オ リエ ンテー シ ョン等 について情報 を得 た

また、筆者 の方 か ら は国立 大学留 学生 セ ンター研 修 コー スでの 日本語教 育 の方法 ・内容 につ い て 説明 し、渡 目前 の 日本語学習で優先 させ てほ しい こと等 を伝 えた。

1 ‑ 1 . 奨学生 の種類 と人 数の推移

現在 、バ ング ラデ シュにお ける 日本留学 の ための奨学生 の種類 は以下 の 3 つである。

( 1) 大使館推薦 国費留学 :在バ ングラデ シュ 日本大使館 を通 じて募集 され る

バ ングラデ シュ教 育省が新聞広告 を出 して募集す る

応 募者数 は300人か ら500人で あ る

応 募者 の中か ら教 育省 が候補者 を

絞 り、大使 館 に通知 す る

大使館 での面接 は広報文化担 当の書記官 と J

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1 0 2 バ ングラデシュにおける日本語教育 ・日本留学事情

AICA の担当者 とで行 われる。

( 2) 大学推薦国費留学 :大学 間交流協定等 に もとづ き、受 け入れ大学 か ら の推薦 により国費外 国人留学生 に採用 される

( 3)As i a nYout hf e l l wos hi p 〔 国際交流基金 〕 :東南 アジアの連携 を強めるた めの プログラムで、バ ングラデ シュで は 1 9 9 9 年度 で 4 回 目 ( 2 名枠 )で ある。 日本留学前 にマ レー シアで 1 年 間の 日本語学習が義務付 け られて いる

大使館編 集 の 日本留学 同窓生 名簿一 一 Di r e ct or yorBa ngl a des hiNat i ona l swho s t udi e di nJ a pa ne s eUni v e r s i t i e s 一 一 による と、バ ングラデシュで国費奨学生 の 日本 派遣 の開始 は 1 9 5 5 年で、東パ キス タン時代 に遡 る 。 l ) 過去1 0 年間 ( 1 9 8 8 年度 か ら 1 9 9 8 年度 まで)の大使館推薦 お よび大学推薦 の奨学生 の人数の推 移は在 バ ングラデシュ 日本大使館の資料 による と以下の通 りである =)

Ye a r Emb a s s yRe c o mme n d e d Un i v e r s i t yRe c o mme n d e d Tot a l 1 9 8 8

1 9 8 9 1 9 9 0 1 9 9 1 1 9 9 2 1 9 9 3 1 9 9 4 1 9 9 5 1 9 9 6 1 9 9 7 1 9 9 8

8 9 9 l l 1 2 1 3 1 2 l l 1 3 1 6 1 7

2 4 41 4 3 1 2 7 1 4 2 61 8 9 1 8 9 4 9 1 0 8 1 41

3 2 5 0 5 2 1 3 8 1 5 4 7 4 1 01 2 0 0 6 2 1 2 4 1 5 8 Tot a l 1 31 1 01 4 1 1 4 5

他 のアジア諸国 と比較 しなければ、相対的 な ことは言 えないが、 グラフに あ る ように、大学推薦 の人数はか な りに上 る

大学推薦 を受 ける奨学生の人 数が年度 に よって極端 に異 なる場合があるが、 この理 由は大使館 ではわか ら

ない とい うことだった。

大使館 の担 当官 は この数字 を見 て、 これ以上 国費 の奨学生 を増 やす必 要は

(3)

長崎 大学留学生 セ ンター紀 要 第 8号 200 0 年

ないのではないか とい う感 想 を漏 ら していた。

103

1‑ 2. 渡 目前 オ リエンテ ーシ ョン

日本 大使館 で大使館 推 薦 の奨 学生 に対 してのみ渡 目前 オ リエ ンテー シ ョン が行 われてお り、 オ リエ ンテー シ ョンの 日時 につ い ては電話 か はが きで遵絡

されて いる

オ リエ ンテー シ ョンの 日程 は一 日で、 日本 の教 育 システム ・文 化 ・社 会一 般 の紹 介、 ビデ オ上映 が行 われ 、大使館 作 成 のパ ンフ レ ッ トが配布 され てい

大学推薦 の奨 学生 につ いては、問 い合 わせ が あ れ ば質問 に答 えるが 、大使 館 とは直接 関係 が ない し、誰が行 くか も大使館 と してはつか め ないので オ リ エ ンテー シ ョンは行 ってい ない とい うことだった。

1‑ 3. 漉 目前 日本語教育

バ ングラデ シュでは渡 目前 の大使 館推 薦 の奨学生 に対 して、 日常 会話 の テ キス トとテー プは配付 され るが 、特 別 な 日本語教 育 は行 われ てい ない。事前 に 日本 語学 習 を望 む者 は、大使館 配付 のパ ンフ レ ッ トに記載 され てい る ダ ッ カ もし くはチ ッタゴンの 日本語 コー スに自分で連絡 を取 るこ とになる

1‑ 4. 帰国奨 学生 に対 す るケア

日本大使館 は前述 の 日本留学経験 者名簿 H Di r e ct or yofBa ngl a des hiNa t i onal s whos t udi e di nJ a pa nes eUni v e r s i t i e s " を編集 している

また帰 国留学生 に対す る

アフ ターケア として 、2 年 に1 度 ぐらいの割 合でパーテ ィーを行 っている

大使 館 主催 の文 化交 流 イベ ン トと して は、映画 祭 、生 け花 、写真展 等 が ダ ッカ大学で行 なわれている。

1‑ 5. 考察

今 回驚 か され た こ との一つ は、バ ング ラデ シュか らの国費留学生 の受 け入

れ人数 、受 け入 れ大学等 の情報 を 日本 の文部省が つ か んでい ない こ とで あ っ

た。在 バ ングラデ シュ 日本大使 館 は文部省 か らの要請 を受 けて、前掲 の統計

資料 を作 成 した とい うこ とであ る

また、 同大使館 作 成 の 日本留 学経 験 者 名

簿 に登 録 されて いるの は全部 で 31 8 名のみ であ る 。31 8 名中、現住所 が バ ング

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1 0 4 バ ングラデ シュにおける 日本語教育 ・日本留学事情

ラデ シュ以外 の者 は、全部 で 1 2 名で 、 うち 6 名 が 日本 、 あ とはア メ リカ 3 名 、 カナ ダ、 シ ンガポール、香港 各 1 名で あ る 。 この名簿 に記載 されてい るのは 派遣初年度 の 1 9 5 6 年 か ら 1 9 9 8 年 まで の留学生 であ る

前掲 の統計 資料 に よる と 1 9 8 8 年度 か ら 1 9 9 8 年度の 1 0 年 間の国費留学生 数 は 1 , 1 4 5 名である

帰 国留学 生 の フォローア ップのため に も、 ネ ッ トワーキ ングのため に も、 きちん とし

たデー タを作成 してお くことが必要であろう

また、留 学前 に大使館推薦 の奨学生 と大学推薦 の奨学生 に与 え られ る情報 とケアの仕 方の違 い に も驚 か された。特 にバ ングラデ シュで は大学推薦 の奨 学生 の数 はかな りに上 る

何 らかの方法 で大学推薦 の奨学生 に も事前情報 を 与 えるこ とがで きないだろ うか。 日本 で も、各大学が ホームペー ジを持 つ よ うになった。留学生 セ ンターで もホームペー ジを充実 させ るな ど して、海外 の留学希望者が必要 な情報 を容易 に得 られるように努力す る必要がある。

2. バ ング ラデシュに おける日本籍教育

バ ングラデシュにおける 日本語教育 は首都 ダ ッカに集中 している

国際交流基 金のホー ムペ ージにある 「日本語教育 国別情報」 国別一覧 ≪バ ン グラデ シュ≫ に よる と、高等教 育 で は筆 者が訪 問 した ダ ッカ大学 以外 で は、

3 つの大学 に日本語講座があ り、初級 レベ ルの 日本語教育が実施 されている

ダ ッカ以外 の都市 で は、今 回訪 問で きなか ったがチ ッタゴンにニ ッポ ンアカ デ ミーが 2 年間の コースを開設 している

2‑ 1. 日本語 教育の歴史 ( バ ングラデ シュ独 立後)

筆者 の調査 の範 囲内でバ ングラデ シュ独立後 の 日本語教育 の歴 史 を概観す る 。

日本 は 1 9 7 2 年 2 月 1 0 日、バ ングラデ シュを承認 した

同年 7 月 1 日、 ダ ッカに 大使館が開設 され、その年 に 日本大使館 主催 に よる 日本語講座が開始 された。

日本語講座 は大使館屋上の仮部屋 で文化教室 とともに行 われていた。 当時 の 日本語講 師 は 規AOTS 所 長 。大使館 主催 の 日本 語講座 は 1 9 9 4 年度 で終 了 し、

1 9 9 5 年度か ら 「ダッカ日本語教室 : Dh a k aJ a p a n e s eLa n g u a g el n s t i t u t i o n 」 とい う 個 人の学校 に変わ り、現在 に至 っている

1 9 7 3 年 1 0 月、 ダ ッカ大学 日本語 コースが 開始 される

開設か ら一年 は専任講

師 は置 かれず、非常勤講師 ( 1 名) のみであ った。翌年 の 1 9 7 4 年 か ら、 国際

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長崎大学留学生 セ ンター紀 要 第 8号 2 0 0 0 年 1 05

交流基金 による専 門家派遣 が開始 された。 これは 25 年間継続 され 、1 9 9 9 年 3 月

〔 9 8 年度〕で終了 した。

また、 日本語能力試験が 1 9 9 9 年度か らダ ッカで開催 されることになった。

2‑ 2. 現状報 告

筆者が今回訪問 した 3 つの 日本語教育機関 について 、1 999 年 8 月現在の状況 を報告す る

< ダッカ日本語教室 : Dh a k aJ a p a n e s eLa n g u a g el n s t i t u t e>

a . 開講年度 : 1 9 7 2 年 「 大使館 日本語講座」 として開始 b. コースの種類 と学習期 間お よび学習時間数

初級1 年、中級1年

週 2 回 ( 各 1コマ) 1 コマ 9 0 分 年間 1 3 0 時間

・初級 コースは 2 クラスあったが 、1 0 月に 1クラスに統合 された。

C. 授業時間帯

初級 1 7:0 0‑1 8:3 0 中級 1 7:3 0‑1 9:0 0 d. 教科書

F日本語初歩』

・4 技能が平行 して教 え られている

e.日本語学習者数

初級6 4 名、中級 1 3 名

・対象は高卒以上。

ここ 2‑3 年の受講希望者 は 20 0 名か ら 300 名。 うち大学生が 3 分 の 2 を 占めてお り、残 り 3 分の 1は社会人で主にビジネスマ ンである

・1 99 8 年度 の修了式 で修 了証 が授 与 されたのは、初級 21 名 ( 6 4 名 中) 中級 6 名 (1 3 名中 )である

・中級修了者 で 日本語学 習の継続 を希望す る者 は、 ダ ッカ大学の デ ィプロ マ コースに入る

∫ . 学習 目的

日本留学 を希望 している ものがほ とん どである

g. 教員数

(6)

1 06 バ ングラデシュにおける 日本語教育 ・日本留学事情

2 名 (うち日本 人 1名) h. その 他

・ 「開校式、修了式 」

4 月入学 だが、実質的 には 5 月末 に開校式が、 また 6 月始 め に修了式 が 日本大使館文化公報担 当官 を招待 して行 われる

開校式 と修 了式 は同 時 に行 われる こ とが多 い。 同時 に行 った場合、新 入生が修了生か ら日本 語学習 について情 報 を得 る ことが で きる 。 修了式 で は 日本 についての記 録映画が上映 され、大使館 か ら日本 についての冊子が配布 される

・ 「ダ ッカ 日本語教室弁論大会」

ダ ッカ 日本語教室 同窓会主催 による 「ダ ッカ 日本語教室弁論大会」が、

年 1 回 3 月に大使館 で開催 されてい る。審査 員 は大使館 ( 文化公報担 当 官)、 日本人会理事 お よび 日本 人学校校長 で、上位 3 位 入賞者 と特別賞 2 名 に対 して、 日本 人会等 か らカセ ッ トテー プ レコー ダー、ホテルの食事 券等 の賞品が授 与 される 聴衆 は約 1 0 0 人で、半数はダッカ在住の 日本人、

残 りの半数はダ ッカ日本語教室の学生である

・経営方法

国際交流基金か ら本 の寄贈 お よび講師謝金の支給 があ り、外務省 か ら アジア文化会館 文化教室借料 とい う名 目で建物 の賃貸料 が支給 されてい る

以上 に加 えて、受講生 か らの授 業料 ( 年 2 0 0 0 タ ッカ)が経営 に当て られている 。

< ダッカ大学 I n s t i t u t eo rMod e r nLa n gu a g e s >

a. 開講年度 1 9 7 3 年 ( 1 0 月) b. コースの種類 と内容

コースは レベル別 に4コースある

以下それぞれコース別 に述べ てい く

( 1) ジュニアコース

5 クラスあ り、 うち 4 クラスが 「 一般 向 け 日本語 クラス ( A クラス) 」

で、あ との 1 クラスが 「国際関係 学部選択必修科 目 としての 日本語 クラ ス ( B クラス) 」3 )として開講 されている

( a )学習期 間お よび学習時間数

1 年、週 1 2 0 分 ( 6 0 分 1コマ)×2 回

9 8 年度 は 8 月中旬 に開始 し 、5 月下旬 まで行 われた。I )(6 月か ら夏休 み

(7)

長崎大学留学生 セ ンター紀 要 第 8 号 2 0 0 0 年 1 07 開始 。1 0 月 にラマ ダ ン休暇 2 週 間、 3 月に 1 週 間の休 みが あ る。)

( b) 授 業時 間帯

9:0 0‑l l:0 0、1 4:0 0‑1 6: 0 0 、1 6:0 0‑1 8:0 0

( C) 教科書 『 新 日本 語の基礎 』 L1‑L1 6

( d) 日本語 学習者数 ( 1 9 9 8 年度 )

Aクラス :最初 の 1 ケ月は 1 クラス 3 0 名強、最終 は 1 5 名。

B クラス : 3 0 名 1 クラス

52% が 修 了 テ ス トに合 格 した。 ( 合 格 基 準 は修 了 テ ス トで

4 0% 以上 の得点 を得 る こ と。)

・受講希 望 者 3 05 人、 うち ダ ッカ大学学生 5 0% 、残 り 5 0% は他 大学学生 お よび社 会人であ る

・ジュニ ア コー ス を修 了 した学 生 で継続 希望 者 ( 30%‑40%) は シニ ア コー ス に進 む。

( 2) シニ ア コース

1 クラス 3 0 名 出席率 6 0‑7 0%

週 3 回 (ドリル 2 回、文法説 明 +漢字 1回)

教科書 『 新 日本語 の基礎 』 L1 6 または L1 7‑L3 6 また は L37

・漢字学 習 ス ター ト 1 0 0 字 :筑波大学 の テキ ス トを使 用 し、 デ ィプロ マ コース終了 まで に 4 0 0 字学習す る

( 3 ) デ ィプロマ コース 1クラス 1 0 名以 内

週 3 回 ( 読解 お よび聴解 、漢字 、 日本事情 )

教科書 『 新 日本語 の基礎 』L3 6 または 3 7‑L5 0 、『日本語 中級読 解 入門 』

・ F 新 日本 語 の基礎 』終了以 降 は担 当教 師 に よってテキス トが 変 わ る

( 4)ハ イヤ ーデ ィプロマ コース 1 クラス 1 0名以 内

週 3 回 ( 読解 お よび聴解 、 日本事情 ) 教科書 『日本語 中級読解 入 門 』 等

・1 9 9 8 年 度 は 8 名 ( 最終 6 名) の受 講生 中、 3 名が カル カ ッ タで行 わ れた 日本 語能力検 定 3 級 に合格 した。

C. 学 習 目的

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1 08 バ ングラデ シュにおける 日本語教 育 ・日本留学事情

日本留学 〔 大学 院〕、特 に文部省奨学金 を得 ての留学希望者が多い。

d. 教員数

常勤 2 名 (うち 日本 人 2 名)、非常勤 2 名 (うち 日本 人 1 名)

・常勤 の うち 1 名 は以前 国際交 流 基 金派 遣 専 門家 と して教 えてい たが 、 現在 は ダ ッカ大学 の専任 講 師で あ る もう 1 名 は 2 年契約 の民 間派遣 講師である 5)

e . その他

・日本留 学希望者 で、 日本 語 能力証 明書 を要 求 して来 る学生 が 多 い。 し か し、 い ったん証 明書 を出す と、授 業 に姿 を現 さな くなる 留学 で き たか どうかの連絡 もない。 日本 留 学 の ための書類 に 日本語 能力 を証 明 す る ものが必 要 なのか、証 明書 は留学 の合 否 に関係 が あ るのか とい う 質問 を常勤講 師か ら受 けた。

<AOTS 同窓会 日本語学校 : AOTSAl umniJ a pa ne s eLa ngua geSc hool >

a . 開講年度 1 9 8 7 年

b. コースの種類 と学習期 間お よび学習時間数 初級 コース 4. 5 ケ月、中級 コース 4. 5 ケ月

週 3 回 ( 月 ・火 ・木 各 1 コマ) 1 コマ 9 0 分 1 期 につ き 7 5‑8 0 時 間 会話 中心

授業時 間帯 1 7:35‑1 9:1 5

・1 9 9 9 年度 8 月 までの開講数 初級 コース 2 2 回、 中級 コース 4 回

C. 教科書 F 新 日本語 の基礎 』 ローマ字版 d. 受講者数

1 クラス最大 2 4 名 まで

・1 ケ月で 3 分の 1が ドロ ップす る

・年齢 は 1 8‑6 0 歳 までで 、3 0 歳前後 が中心 である

・日本 語学習後 の 日本留 学等 、 日本 とのパ イプが あ るか とい う、電話等 での問い合 わせ には、はっ きりナ イと答 えている ̀ )

e . 学習 目的

文部省 の奨学生 として 日本 に留学 したい、 AOTS の研 修 で 日本 に行 きたい とい う者が大半 を占める 社 会人で商売 に興味が ある者 もいる

∫ . 教員数

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長崎大学留学生 セ ンター紀 要 第 8 号 2 0 0 0 年 1 09

2 名 (うち 日本 人 1 名) g. その他

・AOTS 同窓会 日本 語学校 はAOTS ダ ッカ事務所 が あ る ビルの同 じフロア に教 室 を開設 してい る

・運営 方法

月謝 はあるが 、少額 であ る 。 主 に AOTS 同窓会支援費 で運営 している 。

・教材 お よび設備 に関 して はか な り整備 され てお り、 ほ ぼ 申 し分 ない状 態 であ る。

2‑ 3. バ ング ラデ シュに おける 日本語教育の 特徴

バ ングラデ シュ にお け る 日本 語教 育 の特 徴 と して、 まず 第 一 にあ げ られ る の は、 どの 日本 語教 育機 関 にお い て も受 講生 の学 習 目的が 日本留学 に集 中 し てい る点 で あ ろ う

これ は、バ ングラデ シュで は他 の アジ ア諸 国 に比 べ て 日 本 企 業 の進 出が少 な く、現 地 の 日本 企 業 に就 職 す る可能性 が あ ま りない こ と に よる ようであ る

筆 者 は非常 に 日本語 が堪 能 な現 地 の人か ら、 「 バ ングラデ シュにあ る 日本 企業 に就 職 しよ う とす る場 合 、現 在 の状 況 で は、一般 的 に 日 本 語 が で きる こ とはマ イナス に な って もプ ラス には な らない。 日本 企 業 は と て も閉鎖 的 で 日本 語 が わか るバ ング ラデ シュ人が 入 る と会社 員 同士 で その国 や 人 に対 す る批 判 が 自由 にで きな くなるので嫌 う

日本語 が で きる現 地 人採 用 の必 要性 が まだない。 」 とい う話 を聞いた。

また、 日本 語 コー ス受 講希望 者 数 は、 日本留 学 を 目的 とす る 日本 語 学 習熱 が非常 に高 いため、 各 コース とも定員 を大幅 に上 回 ってい る

開講 され てい る 日本 語 コー スの レベ ルは ほぼ初級 止 ま りで 、 4 レベ ルの コ ー ス を持 つ ダ ッカ大 学 にお い て も、最終 コース修 了者 の レベ ルは 日本 語能力 試験 3 級合格程度 であ る

2‑ 4. 困難点 と課題

日本 語 コー ス受 講 希 望 者数 に比 して、 日本 語 コー スの数 自体 が不 足 してお

り、 日本 語 を学 習 した くて も、 その場 が ない人が か な りい る ようで あ る

た、AOTS 同窓会 日本 語学校 の ような 日本 に母体 を持 つ機 関 を除 き、設備 ・教

材 も整 って い ない状 況 で あ る

バ ング ラデ シュで唯 一 中級 レベ ルの コース を

持 つ ダ ッカ大学 において も、状 況 は同 じである

。 7)

(10)

1 1 0 バングラデシュにおける日本語教育 ・日本留学事情

日本語 コースの不足 は設備、教材 の問題 とともに教 師不足が大 きな要 因で ある と思 われ る

筆者が面談 した現地 日本語教 師は皆 日本語教育 に熱意 を も ち、授 業 に熱心 に取 り組 んでいたが 、一人の教 師 にかか る負担 が か な り大 き い ようであった。

教 師不足 の解決方法の一つ として、考慮 して もいいのではないか と考 え ら れるのは、 ダ ッカ大学の例 の ように、 日本 の民 間の 日本 語学校 か らの講 師派 遣であ る あるいは 日本 語教育 ( 副)専攻の学生の ( 実習 としての)、 もし く

は、実践経験 を希望す る 日本語教 師志望 の人 たちの派遣 である 。 英語 圏や東 アジアのみで な く、東南 ア ジア諸 国 に ももっ と目を向 けていいので はないか と考 える 。 近年 、 日本 で は 日本語教 育 の実践経験 を積 みたい とい う者 を対象 に民 間の派遣 プ ログラムが乱立 してお り、海外 での研 修希望者 に対 して、か な りの金額 を要求 してい る 。 現地 での宿泊施設 の問題 をクリアす れば、現地 の 日本語教育機 関が金銭 的負担 をす る ことな しに、 日本 人教 師 も しくはテ ィ ーチ ングアシス タン トを得 られる可能性があるのではないだろうか。

3. 日本留学経験者に対するイ ンタビュー嗣査

すで に述べ た ように、バ ングラデ シュの大 半の 日本語学習者 の 目的 は 日本 留学である 。 文部省の資料 ( 1 99 8 年 5 月 1 日現在) によれば、 日本 の留学生総 数 の中でバ ングラデ シュか らの留学生数 は第 8 位 に位 置す る

中国 ・韓 国 ・ 台湾 を除 くアジアの中でマ レー シア ・イン ドネシア ・タイについで多 く、バ

ングラデシュの次 にベ トナム とフィリピンが続 く

。 バ)

ただ、バ ングラデ シュか らの留 学生 の場合 、 日本 で の学位取得後 、上記 ア ジア諸 国の中で も母国‑帰 国す る学生が少ない ように感 じていた。

そ こで帰 国留学生 の現状 を知 りたい と思 い、帰 国留 学生 6 人 に対 して、帰 国理 由、帰 国後 の 日本 との関係等 について、 インタビュー調査 を行 った

な お、インタビューは 日本語 と英語で行 った。

3‑ 1. インタ ビュー調査 概要

インタビュー調査 の概要 は以下の通 りである 。

( 1 )留学の種別 :国費留学 ( 5 名) 私費留学 ( 1 名)

( 2) 留学 目的 :学位取得 うち博士号 ( 5 名) 学士号 ( 1 名)

(11)

長崎大学留学生セ ンター紀 要 第 8 号 2 0 0 0 年 F ffJ

( 3)帰 国後経過年数 :

2 年以内 ( 3 名)、 1 0年以上 ( 1 名) 、2 0 年以上 ( 2 名)

( 4 ) 現在 の職種 :

日本大使館現地職員 ( 2 名)AOTS 職員 ( 1 名) ダ ッカ大学教官 ( 3 名) ( 5)帰 国理 由

・家族 に対す る責任 ( 2 名)

・帰 国後 のポ ジシ ョンが決 まっていた ( 4 名) ( 6)学位取得以外 に 日本留学 で得 た もの :

・日本の大学 との研 究上 の繋が り ( 2 名)

・日本 人の友 人 (4名)

・一生懸命頑張 る とい う精神 ( 2 名) ( 7)帰 国後 の 日本 とのつ なが り ( 複数 回答)

・職務お よび研 究上 のつ なが り ( 5 名)

・友 人 としての コンタク ト ( 3 名)

3‑ 2 . 考察

今 回 イ ンタビュー を依頼 した 6 名 は、皆 多忙 に もかか わ らず 、快 くイ ンタ ビューの 申 し入 れ を受 けて くれた。全 員 日本 での留学経 験 をプラス評価 して い る

この 6 名 に共通 していた こ とは、 日本滞在 中 に大学以外 で 日本 人 と親密 な 人間関係 が築 けた とい うこ とであ る

なか には親戚 と同 じよ うに付 き合 って い る とい う答 え もあ った。バ ングラデ シュに 日本 でお世 話 に なった大 家 さん を招待 した とい う人 もい る

大学 だけで はな く、生活 の場 であ る地域 の 中に、

支援 して くれ る人、親 しく交 際で きる人 を得 る こ とが 、留学 を成功 させ る一 つの大 きい要素であ る ことを改 めて認識 させ られた。

また、帰 国後 の 日本 とのつ なが りで あ るが、特 に ダ ッカ大 学 で は 日本 の大 学 との研究上 の連携 お よびサポー トを求め る声が強か った。

まず、 日本 の大学 との連携 につ いて は、現在 、 ダ ッカ大学 は熊本大学 との

学部 間協 定 が あ るが 、 日本 の大 学 と大学 間協 定 を結 ぶ こ とを希望 して い る

ダ ッカ大学 で は現在 イギ リスの大 学 の学位 を持 ってい る人 た ちが力 を持 って

い るが、 日本 か らの帰 国組 み も増 えて きてい る

学部 間協 定 で は な く大 学 間

協 定 を 日本 の大 学 と結 ぶ こ とに よって、連携 体制 も強 ま り、研 究上 の広 が り

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77 2 バ ング ラデ シュ にお け る 日本 語 教 育 ・日本留 学 事 情

も出て くる 。 また、共 同研究が増加 し、学生の交換 プログラムが行 われるよ うになれば、 日本 の大学 のシステムのいい点 も取 り入れるこ とがで きる よう になるのではないか とい うことであった。

次 に 日本 の大学か らのサポー トに関 しては、 ダ ッカ大学では設備が整 って いないため に十分 な研 究が行 えない。 日本 の大学で不要 になった機械 を無償 で譲 り受 ける ことはで きないか とい う要望があった。運搬費等 の問題 もある だろ うが、何 か方策はない ものだろうか と考 えさせ られた。

特 に帰国後 2 年以内の人の次の言葉が強 く心 に残 っている 。

「 他 の留学生の 95% はアメリカへ行 った 。 日本 に残 った学生 もいた。 自分は大 学 にポジシ ョンがあ ったので帰 国 した。一生懸命頑張 る とい うことを日本で 学 んだ。 ここには実験 に必要な機械設備が ないので 日本 で行 った ような研究 はで きないが、大学の講義では学生 に常 に頑張 らなければな らない と言 って 聞かせている し、自分 自身一生懸命頑張 っている 。 」

日本 に現在留学 してい る学生 の支援体制 を整 えるこ とは もちろんだが、 日 本 での留学 を終 え、帰 国 して今 あ る条件下で精い っぱい頑張 っている元留学 生 に対 して、 日本側か らの帰 国後 のサポー ト体制 を何 らかの形で整 えてい く 必要があるのではないだろうか。

おわ りに

インターネ ッ トの発達 で、留学生が 日本 で学位取得後 、帰 国 して も、他 国 へ行 って も、 さまざまな方法で支援体制 ・協力体制 を築 くこ とが可能 になっ て きた。それ を現実の もの とす るためには、 まず帰 国留学生の状況 を把握 し、

彼 らの声 を直接 聞 くことか ら始めなければな らないだろう

最後 に今 回のバ ングラデシュ訪問 に際 しては、帰 国留学生 に対す るアポイ

ン トメン ト等 、一時帰 国中の留学生 ア‑メ ッ ド ・サ ロワロ ・ウ ッデ ンさんに

大変お世話 になった。各機関訪問、帰国留学生 に対す るインタビューに も彼

に同席 して もらった。訪問 ・インタビュー後の彼 の コメン トは、筆者 に とっ

て、得 た情報 を正確 に理解す るために大変役 に立 った 。 ここに深 く感謝の意

を表 したい。

(13)

長崎大学留学生センター紀要 第 8 号 2 0 0 0年 11 3

< 注 >

1 バ ング ラデ シュは 1 9 4 7 年 8 月 1 4 日、 パ キ ス タ ンの 一部 ( 東 パ キス タン) と して独 立後 、1 9 71 年 3 月 2 6 日、バ ングラデ シュ と しての独 立 を果 た してい る

2 大使 館推 薦お よび大学推 薦 の奨学生 の 人数 の推 移 は 1988 年度 か ら しかつ かめ てい ない とい うこ とであ った。

3 日本語以外 には、 フ ランス語 ・アラ ビア語 ・ロ シア語があ る

4 1 9 9 8 年 は洪水 の ため授 業 中断 、6 月の休 み を返 上 して メイ クア ップ した との こ とで ある

5 静 岡県 の 国際言 葉学 院か らの派遣講 師。 国際交 流 基金 か らの専 門家派 遣 の終 了 に よ り、 ダ ッカ大学 で は 日本語 講 師が 1名足 りない とい う事 態 が生 じて い たが 、 同 学 院 の理事 長が ダ ッカ大学 を訪 問 した際 、同学 院 か ら 日本 語 講 師 を派 遣 す る こ と にな った とい う こ とであ る。給 与 と宿 舎 は ダ ッカ大学 か ら、準 備 資 金 等 は学 院 か ら支給 され てい る。

6 ダッカ 日本語教 室 は 「 s p o n s e r e db yJ a p a n e s eEmb a s y 」 となっているので、 日本 にい け るチ ャ ンスが あ るので は ないか と考 えて 日本 語 を受講 す る学生 が い る とい う こ

とであ った。

7 ダ ッカ大 学訪問 のお り、韓 国政府 か ら寄 贈 され た立派 な LL 教室 を見せ て もらった が、 そ の部屋 が使 用 で きるの は、韓 国語 コース を受 講 して い る学 生 だ けだ とい う こ とだ っ た。韓 国語 コースの担 当講 師 か ら、 日本 語 コースの受講 生 は韓 国語 コ‑

ス よ りず っ と多 く、受講 希望 者 も多 い の に、 日本 政府 は ど う して援 助 しないの か とい う質問 を受 けた。

8 1 9 9 8 年 5 月 1 日現 在 。 文 部省 学術 国際 局留 学 生 課 ( 1 9 9 9) 『 我 が 国の留学 生制 度 の概 要 一受 け入 れ お よび 派 遣 』p . 8

<参考 文献 >

宮 子 ・フセ イ ン他 ( 1 9 9 7 ) 『ア ジア ンパ ー トナ ー 』 ス T )‑エ ー ネ ッ トワー ク国際交流 基金 「日本語教 育 国別情 報」 国別一 覧 ≪バ ン グラデ シュ≫

h t t p: / www. j p f . g o. j p 〃u r a wa ノ k u n i b e t s u / 1 9 9 9 / b a n g l a d e s h . h t ml # J I S S HI

宮 原彬 ( 1 9 9 9) 「 ベ トナ ムの 日本 語教 育事 情 一最近 の状 況 と課 題 」 長崎 大学留 学 生

セ ンター紀要』 第 7 号 p p . 1 3 9 ‑ 1 5 4

留 学交流事 務局編著 ( 1 9 9 9) 『 留 学交流執務 ハ ン ドブ ック』 第一法規

文 部 省 学 術 国 際 局 留 学 生 課 ( 1 9 9 9) F我 が 国 の留 学 生 制 度 の概 要 一受 け 入 れ お

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1 1 4 バ ングラデシュにおける日本語教育 ・日本留学事情

よび派 遣 』

I n f or ma t i o n & Cu l t u r a l S e c t i o no f Emb a s s yo f J a p a n( 1 9 9 8 ) Di r e c t o r yo fBa n g l a d e s h i Na t i o n a l sWh oS t u d i e di nJ a p a n e s eUn i v e r s i t i e s , Emb a s s yo r J a p a n

( 留学生センター助教授)

参照

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