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コンクリート下水管路の劣化調査 その1.管路内表面水の分析

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Academic year: 2022

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(1)

スポイトなどで 水滴を採取

スポイトなどで 人工水滴を採取 下水管路内の目視観察

表面水あり 表面水なし

ゴム板で表面水を採取 or 皮すきで付着物を採取(図-2 へ)

水滴あり 水滴なし

ゴム板 皮すき

下水管路内の付着物を採取

付着物を遠心分離

付着物を 40℃乾燥 水分を採取

付着物に蒸留水を加えて成分を抽出させた液

(抽出水)を採取

付着物:蒸留水(質量比)

pH 測定 1:5 ,SO42-濃度測定 1:10

水分あり 水分なし

図-1 下水管路内の表面水の採取方法 図-2 付着物の分析方法

コンクリート下水管路の劣化調査 その1.管路内表面水の分析

(一財)日本建築総合試験所 正会員 ○中山 健一 (一財)日本建築総合試験所 正会員 吉田 夏樹 パシフィックコンサルタンツ(株) 正会員 山中 明彦 大阪大学 正会員 鎌田 敏郎

1.はじめに

コンクリート下水管路において,H2S の発生が懸 念される箇所では,微生物の働きによりH2Sから硫 酸が生成し,水面より上部で硫酸劣化が生じると報 告されている1).一方,吉田と中山2)は,硫酸や硫酸 塩が作用する環境下において,構造物が接する環境 を化学的に分析する重要性を指摘し,溶液の pH と SO42-濃度の条件により,コンクリートの劣化機構(硫 酸劣化,硫酸塩劣化)や劣化速度が異なることを室 内実験で明らかにしている.しかし,現状では,管 路内のH2S濃度の分析は行われるものの,劣化を直 接的に導く管路内表面の水分(以下,表面水と呼ぶ)

の分析はあまり行われないことから,劣化環境の実 態や劣化機構の詳細については不明な点があった.

そこで筆者らは,表面水の採取を計画し,環境濃 度を把握することや,コンクリートに生じた劣化現 象を分析して環境濃度との関係を明らかにすること を目的として,大阪市内の下水管路の調査を行った.

その1では,表面水等の分析結果を報告する.

2.表面水の採取方法

大阪市内の 37 箇所の下水管路から試料を採取した.

試料を採取するにあたり,当初,結露水の採取を想 定していたが,結露水が見られない箇所が多くあっ たため,図-1に示す採取方法を検討した.

管路内が湿潤で水滴がある場合,スポイトなどで 採取した.水滴がない場合,ゴム板で表面水をかき 集めるか,管路内表面の付着物(コンクリートの腐 食生成物や下水中の物質と思われる)を皮すきで採 取した.なお,付着物は図-2に示す手順で分析した.

付着物を遠心分離し水分を採取した.水分が分離で きない場合,付着物を40℃の気中で乾燥させた後,

蒸留水を加えて成分を抽出した(以下,抽出水と呼 ぶ).抽出時の質量比(付着物:蒸留水)は,地盤工 学会が示す土の分析方法を参考に,pH測定は1:5,

SO42-濃度測定は1:10とした.管路内に表面水や付 着物がない場合,管路内表面に蒸留水を噴霧してで きた水滴(以下,人工水滴と呼ぶ)を採取した.

3.pH および SO42-濃度の測定方法

各種採取水を 0.20μm のろ紙でろ過して不純物を 取り除き,pHは,水滴で測定できるpH計で測定し,

SO42-濃度は,ろ紙に試料を滴下して乾燥後,蛍光 X 線分析装置でSを定量分析し,SO42-濃度に換算した.

キーワード 下水道,硫酸劣化,硫酸塩劣化,pH,SO42-濃度

連絡先 〒565-0873 大阪府吹田市藤白台 5-8-1 (一財)日本建築総合試験所 材料部 材料試験室 TEL06-6834-0271 土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

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Ⅴ‑507

(2)

写真-1 劣化状況の一例

pH7.4,SO42-濃度 0.01%未満 pH7.1,SO42-濃度 0.21%

pH2.3,SO42-濃度 0.15% pH0.4,SO42-濃度 5.24%

1 2 3 4 5 6

表面水 抽出水 人工水滴

pH:0.4 SO42-:5.24%

図-3 pH と SO42-濃度の関係 0

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

0 0.10.20.30.40.50.60.70.80.9 1

pH

SO42-濃度(%) 劣化環境の目安

SO42-:0.2%

硫酸に含まれるSO42-の理論濃度

表-1 pH3 以下の環境と周辺施設との関係 pH SO42-

(%) 採取水 周辺施設

0.4 5.24 表面水 圧送管の吐出し口 2.0 0.30 人工水滴 圧送管の吐出し口 2.3 0.15 人工水滴 ビルピット排水管 2.7 0.18 人工水滴 圧送管の吐出し口付近 4.測定結果および考察

図-3に,試料のpHおよびSO42-濃度の分析結果を 示す(●:表面水,○:抽出水,△:人工水滴).抽 出水と人工水滴の値は,実環境濃度を正確に表すも のではないが,各試料の pH は,中性から強酸性の 範囲に広く分布しており,コンクリートは様々な環 境に曝されていることが明らかとなった.その中に は,表面水のpHが0.4,SO42-濃度が5.24%と,極 めて厳しい環境条件も見られた.

SO42-濃度について,土木学会のコンクリート標準 示方書に示される劣化環境の目安(0.2%)に相当す る,もしくはこれを上回る環境が多く存在していた.

pH3 以下の強酸性域の試料について,SO42-濃度は,

図中に示した純粋な硫酸に含まれる SO42-の理論濃 度よりも高いことから,硫酸だけではなく硫酸塩が 混在することによって,SO42-濃度が高まっているも のと推察された.吉田と中山の室内実験結果2)から,

pH3 以下の範囲では,主に酸と SO42-の作用,pH3 以上の範囲では,主にSO42-の作用による劣化が懸念 される.なお,特にpH3以下の4点について,下水 管路の構造や周辺施設との関係を整理すると,調査 箇所は圧送管の吐出し口やビルピットの近傍であり,

H2Sが発生しやすい環境であった(表-1).

次に,各環境条件における下水管路表面の劣化状 況の一例を写真-1に示す.コンクリートの配合条件 なども劣化状態に影響を及ぼすと考えられるが,総 じて,pH3以上の環境では,多くの箇所で劣化は見 られたものの,劣化状態は相対的に穏やかであった.

一方,pH3以下の環境では相対的に劣化が大きく,

つららの形成(pH0.4,SO42-濃度5.24%)や,粗骨 材の露出が顕著に見られた.

5.まとめ

(1)下水管路内表面の水分の採取方法を検討し,各種 採取水のpHとSO42-濃度を分析した.

(2)pHは,中性から強酸性の範囲に広く分布し,SO42-

濃度は,土木学会が示す劣化環境の目安(0.2%)

以上の環境が多く存在することが明らかとなった.

(3)コンクリートの劣化状況について,pH3 以上の環

境では,劣化は相対的に穏やかであり,pH3以下 の環境では,つららの形成や,粗骨材の露出が顕 著に見られた.

参考文献

1)中本至,谷戸善彦:下水処理場におけるコンクリート の劣化に関する調査研究,土木学会論文集,第 403 号/Ⅵ-10,pp.111-120,1989

2)吉田夏樹,中山健一:硫酸および硫酸塩によるコンク リートの化学的侵食に関する一考察,コンクリート 工学年次論文集,Vol.35,No.1,pp.715-720,2013 土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

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参照

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