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緩衝材の長期廃棄体支持性能に関する研究

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Academic year: 2022

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(1)

緩衝材の長期廃棄体支持性能に関する研究 (その 3)

‐ベントナイトのミクロ構造に基づいた緩衝材の力学的挙動解析‐

(株)大林組 正会員 ○中岡健一、森拓雄、高橋真一 (株)東京電力 正会員 齋藤典之

名古屋大学 正会員 市川康明 東京工業大学 非会員 河村雄行

1.

はじめに

高レベル廃棄物処分における人工バリア要素である緩衝材は長期に亘ってオーバーパック周辺に健全な状 態で存在する事が必要であるため、緩衝材の候補材料であるベントナイトのオーバーパック支持性の評価は 重要な課題の一つとされている。ベントナイトをミクロレベルで見ると、粘土鉱物(モンモリロナイト)、石 英などの粒子や、水、空隙などからなるミクロ非均質材料であるが、変形に伴うミクロな挙動はほとんど解 明されていない。従来の評価方法は、ベントナイトを連続体と仮定した工学的なモデルを用いており、モデ ル定数は、評価時間に比べて極めて短い時間の実験によって設定している 1)。この手法では、実験条件を外 れた長期の挙動を推定することの妥当性が示しにくい。筆者らはベントナイトのミクロレベルの挙動に着目 し、分子動力学法と均質化法を用いた新たな解析手法の開発を行い、緩衝材の長期挙動評価に適用すること を目的とした研究を行っている 2) 。今回は、本研究手法を用いて実施した、(その1)、(その2)で報告し た遠心載荷実験に対するシミュレーション結果について報告する。

2.

分子動力学法(MD)/均質化法(HA)結合解析の概要

MD

は、対象とする材料の分子や原子をモデル化し、運動 方程式を直接解くことによって分子や原子の挙動を計算する もので、材料の種々の物性を評価することができる。一方、

HA

はミクロ構成材料とその構造物の挙動を統一的に記述で きる手法である。しかし、ミクロ構成材料の物性やミクロ構 造を何らかの手法で取得する必要がある。本研究において、

新たな長期挙動評価手法として開発を行っている

MD/HA

結 合解析は、MD によってミクロ構成材料である粘土鉱物水和 物の物性を評価し、ミクロ挙動をマクロの連続体挙動まで拡 張することのできる

HA

と結合させて、ミクロ・マクロ挙動 を統一的に評価する手法である (図-1)。

3.

ベントナイトの長期挙動評価方法

ベントナイトの主要構成鉱物であるモンモリロナイトは、

厚さ

1nm

程度の薄片状の粘土分子が層状に重なり、その間に層間水が 水和した構造となっている。MD による結果から、粘土鉱物表面の荷 電状態に影響された水分子が氷のように構造化する効果 (氷化効果) によって、層間水は粘土分子に近づくにつれて粘性係数が大きく、拡 散係数が小さくなることを確認した。MD から得られた層間水の粘土 分子からの距離と粘性係数の関係を均質化法に適用することにより、

ベントナイトの透水係数を評価した。その結果、図-2のように層間距 キーワード:分子動力学法、均質化法、モンモリロナイト、圧密解析、遠心載荷実験

連絡先: 〒204-8558 東京都清瀬市下清戸4-640 (株)大林組 技術研究所 TEL0424-95-0910

層間距離 層間水

図-2 モンモリロナイトの層間距離 の変化のイメージ

粘土分子

Yes

図-1 MD/HA結合解析の概念

マクロ連続体

ミクロ非均質体 (連続体)

分子 (離散系) (a) ミクロ非均質材料

均質化法 マクロ連続体

モデル

統計熱力学 ミクロ連続体

物性

分子動力学法 ミクロ離散

モデル

局所的な境界条件 は変わったか

(b) 分子動力学法と均質化法の結合解析 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

‑125‑

CS1‑063

(2)

離が小さくなると、氷化効果の影響によってベントナイトの透水係数が極端に小さくなることが分かった。

また、圧密を受けるベントナイトの層間距離が縮むことは圧密その場

X

線回折実験によって実測されている

2)。さらに、MDの結果から、水和した粘土鉱物のせん断方向粘弾性係数が水の

10

倍程度であり、通常の固 体と比べて小さいことから、二次圧密は粘性挙動が原因ではなく、層間水の排水によるものと考えられる。

そのため、圧密の進行に伴って層間距離が小さくなり、透水係数が低下することを評価することが重要であ る。以上の考察に基づき、二次圧密を含めた長期挙動の評価方法として、圧密中の間隙比に応じて透水係数 を変化させた圧密解析を行う。

4.

解析結果

廃棄体の荷重を受ける緩衝材の挙動を確認するため に実施された遠心載荷実験を対象に、本研究による手 法を用いてシミュレーション解析を行った。実験条件 および解析のための条件を表-1に示す。

ここで、透水係数は圧密度 u に応じ、供試体内で

1

1/

0 0

; (1 )

Kf

K K u

K

c

a a

c æ ö-

= ç ÷ = -

è ø

と変化させている (K0

:

初期透水係数、

K

f

:

最終透 水係数)。aは材料定数で、初期透水係数および最 終透水係数とともに、予め実施した一次元圧密試 験のシミュレートによって同定している。

解析結果として廃棄体の沈下量を図-3に示す。

図から解析結果の傾向は実験結果の傾向と良く一 致していることが分かる。

次に、間隙水圧について、廃棄体の上下、左右 面に設けたセンサーの計測値と解析結果の比較を 図-4に示す。両者の傾向はよく一致しており、解 析は妥当であると考えられる。なお、比較のため に透水係数を初期値で一定とした場合の結果も合 わせて示している。

5.

まとめ

本研究で結論付けたベントナイトの力学的挙動 メカニズムに則り、遠心載荷実験を対象に解析を 行った結果、両者の傾向は概ね一致しており、本 研究で構築した評価手法が妥当であると考えた。

また、遠心実験は実際に近い応力状態を再現し ていると考えられ、緩衝材の長期的な廃棄体支持 性についての信頼性向上に資することができた。

6.

参考文献

1) 核燃料サイクル開発機構、わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性 分冊2、1999 2) 中岡ほか、第57回土木学会全国大会2002年、CS10-42pp.465- 466.

3) 長谷川ほか、第57回土木学会全国大会2002年、CS10-41、pp.463- 464.

*本研究は、北海道電力(株)、東北電力(株)、東京電力(株)、中部電力(株)、北陸電力(株)、関西電力(株)、中国電力(株)、

四国電力(株)、九州電力(株)、日本原子力発電(株)、電源開発(株)、日本原燃(株)による電力共通研究成果の一部である。

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

0.1 1 10 100

時間(h)

(mm)

実験結果

解析結果 (透水係数変化) 解析結果 (透水係数一定)

図-3 廃棄体の沈下量の比較

0 100 200 300 400 500 600

0 12 24 36 48 60 72 84 96

時間(hour)

水圧(kPa)

上奥    2P-3 上手前 2P-4 右手前 2P-2 右奥    2P-1 左手前 2P-6 左奥    2P-5 下手前 2P-8 下奥    2P-7 実験結果

廃棄体側面、透水係数一定棄 廃棄体上面、透水係数一定

解析結果 (廃棄体下面) 解析結果 (廃棄体側面) 解析結果 (廃棄体上面) 実線: 透水係数変化 破線: 透水係数一定

図-4 間隙水圧の比較 表-1 実験および解析条件

項 目 内 容

緩衝材 100%クニゲルV1、乾燥密度=1.2g/cm3 模型スケール 1/80 (遠心加速度: 80G)

廃棄体 模型寸法:

高さ約11cm、幅約12cm 奥行約15cm

緩衝材厚さ 1.2cm

初期有効応力 0.27MPa (模型のセンサー計測値) 廃棄体の密度 6.0 g/cm3

土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

‑126‑

CS1‑063

参照

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