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Academic year: 2022

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氏 名 授 与 し た 学 位 専攻分野の名称 学 位 授 与 番 号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位論文の題目 論 文 審 査 委 員

金城 那香 博 士 薬科学

博甲第6622号 令和4年3月25日

医歯薬学総合研究科 薬科学専攻

(学位規則第4条第1項該当)

アミロイド前駆体タンパク質 APP の機能解析及びその代謝産物 βCTF による小 胞輸送障害機構の解明

教 授 山下 敦子 (主査)

教 授 須藤 雄気 准教授 表 弘志

学位論文内容の要旨

アルツハイマー病(AD)は,脳内で凝集したAmyloid β(Aβ)が発症因子であると提唱されており(ア ミロイド仮説),Aβを標的とした治療薬が開発されてきた.しかし,有効な治療効果が得られておらず,新 たな治療標的の同定が望まれる.

アミロイド前駆体タンパク質(APP)はエンドサイトーシスされる過程で,β-secretase及びγ-secretaseに よる連続的な切断を受け APPカルボキシ末端断片βCTF,そしてAβを産生する.近年,Aβだけでなく,

APPやβCTFによる病態形成が,アミロイド仮説を補完する現象として注目されているが,その詳細な機構 は明らかでない.本研究では,APP及びβCTFについて,AD病態への関与機構を明らかにし、根本的な治 療標的の同定を目指した.

初めに,APPの機能変化を解析するため,家族性AD変異が豊富に存在する領域(Aβ配列を含む)に注目 し,ゲノム編集による変異体を作製した.その結果,全長 APP が神経分化を抑制することが明らかとなり,

AD における神経発達の抑制に寄与することが考えられた.また,Aβ配列が APP の代謝や機能に重要であ ることが示唆された.本研究でられた変異クローンは,今後APPまたはAPP-CTFの影響を解析するのに有 用なツールとして利用できると考える.続いて,同じくAβ配列を有するβCTFの病態形成機構について解 析した.

当研究室では,Aβ配列を介してβCTF と結合し,エンドソームの肥大化など小胞輸送障害に関与する因 子としてTMEM30Aを同定している.TMEM30Aは活性サブユニットであるP4-ATPaseファミリータンパク 質と結合し,リピッドフリッパーゼを構成する.リピッドフリッパーゼは,脂質二重層においてホスファチ ジルセリン(PS)などのリン脂質を細胞質側に輸送する.エンドソームにおける細胞質側PSの分布は,膜の くびれや分離に必要なPS結合タンパク質のリクルートを促進することから,小胞輸送に必須であり,PSに 特異性が高い P4-ATPase の一つ,ATP8A1 により制御されている.興味深いことに,βCTF の増加により TMEM30A/βCTF複合体形成に従い,TMEM30AとATP8A1によるリピッドフリッパーゼの形成・活性が低 下することが明らかとなり,これはAβ蓄積以前のADモデルマウスにおいても再現された.さらに,私た ちはTMEM30A由来のβCTF結合性ペプチド “T-RAP” を見出し,本分子がリピッドフリッパーゼの機能 を回復させる可能性を示した.興味深いことに, T-RAPはβCTFを減少させると共に,エンドソームの肥大 化も改善することが明らかとなった.

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以上本研究により,リピッドフリッパーゼの機能低下は,βCTF の蓄積による小胞輸送障害に寄与するこ とが示唆され,Aβ蓄積以前の初期病態改善を目的とした,新規治療標的となることが期待される.

論文審査結果の要旨

初稿では、研究背景および研究方法に関する記載が大幅に不足しており、また、得られた結果の説明が十 分ではなく、結果・解釈・考察の明確な分離がされていない表現が多く見受けられた。また、論文題目につ いても、実際の研究内容との乖離が見られた。一方、論文題目も含め改訂された最終稿では、これらの点に ついて一定程度の改善が見られ、質的および量的に学位授与の基準を満たす内容であることが認められた。

また、論文形態も関連分野の論文形態に概ね倣って準備されたものであることを確認した。さらに、口頭試 問により、主たる論文内容が、申請者自身により理解と考察を持って実施された研究結果であると判断され た。本学位論文は、アルツハイマー病初期病態時に発生する現象について、関連分子のin vitro解析から新 たなメカニズムを提唱する研究成果をまとめたものであり、今後のアルツハイマー病態解明や創薬へのさら なる進展に資するものである。以上から、審査結果を合とする。

参照

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