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また一部の菌株は、 ウナギのビブリオ病の原因菌でもある

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Academic year: 2022

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氏 名 王 有 授 与 し た 学 位 博士 専攻分野の名称 薬学

学位記授与番号 博甲第3986号

学位授与の日付 平成21年9月30日 学位授与の要件 博士の学位論文提出者

(学位規則第5条第1項該当)

学位論文の題目 ビブリオ・バルニフィカスの菌体外プロテアーゼに関する研究 論 文 審 査 委 員 教授 三好 伸一 教授 土屋 友房 准教授 根岸 友惠

准教授 黒田 照夫

学位論文内容の要旨

Vibrio vulnificusはヒトの創傷感染症や敗血症の起因菌の一つである。また一部の菌株は、

ウナギのビブリオ病の原因菌でもある。表現型に基づいた型別法であるbiotypingが最も一 般的に用いられているが、適応できない菌株の存在が報告されている。最近ではある特定 の遺伝子の相異に基づいたグループ分けがいくつか行われている。

本研究ではV. vulnificusの病原因子である金属プロテアーゼ(VVP)の遺伝子vvpが型別 の標準になるか否かを検討した。まず、ウナギ分離株であるE86株のvvp遺伝子(B型vvp)

(1,830 bp)の塩基配列を決定し、ヒト分離株であるL-180 株のそれ(A型vvp)と比較し た。相同率の低い領域にグループ分けに使用する特異的なプライマーを作製した。これら のプライマーを用いて PCRを行い、本菌の溶血毒素(VVH)の遺伝子である vvhAによる 型別法とある程度一致している結果が得られた。つまり、テストされたV. vulnificus 47株の 内、大部分はA、B型のどちらかに分類された。しかし、vvp遺伝子を持たないvvp-株も 3株存在していた。さらに、V. vulnificus以外の病原性ビブリオを含む32株について、同様 のPCRを行ったが、いずれかの菌株においてもPCR産物が得られなかった。したがって、

本研究でデザインしたプライマーは、V. vulnificus の同定とグループ分けのツールとして応 用できると考えられた。

続いて、V. vulnificusvvp-株は金属プロテアーゼ以外の菌体外プロテアーゼを分泌して いることを見出した。TYEブロスでNCIMB 2137株を振盪培養し、上清に産生されたセリ ンプロテアーゼ(VvsA)を精製した。VvsAはpH 6~11の広い範囲でプロテアーゼ活性を示

すが、pH 8~10で特に高いプロテアーゼ活性を示しており、アルカリ性セリンプロテアーゼ

であると結論した。

VvsAの遺伝子であるvvsAは2,025 bpであり、348 bpのvvsBと一つのオペロン(vvsAB)

を形成していた。vvsAは 674アミノ酸残基の酵素前駆体をコードしているが、成熟酵素と して、57 kDaのVVSが菌体外に産生される。さらにC末端12 kDaが切断され、45 kDaの 活性のある酵素へと変換された。vvsABオペロンはビブリオ属、ビブリオ属以外の細菌でも よく保存されているが、VvsBよりもVvsAのアミノ酸配列がよく保存されていることから、

vvsABオペロンが進化上重要な意味を持っていると考えられる。

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論文審査結果の要旨

ビブリオ・バルニフィカスは、ヒトでは致命率の高い敗血症の原因となり、ウナギでは 重篤なビブリオ病の原因となる。本論文では、この病原細菌の主要毒素である金属プロテ アーゼに着目し、多方面から研究を行っている。まず金属プロテアーゼの構造遺伝子(vvp) が、ヒトとウナギの分離株では互いに異なることを見出し、vvp遺伝子の塩基置換が集中 する領域を標的としたPCRによる型別方法を開発した。そして、世界中の様々な臨床およ び環境試料から単離された菌株に応用し、本菌がvvpの遺伝子型によって、感染宿主を異 にする二つのグループに大別されることを示した。続いて一部のvvp陰性株が、代替酵素 としてセリンプロテアーゼを産生することを見出した。そして、その酵素を精製し生化学 的性状を解明した。さらには、セリンプロテアーゼの構造遺伝子を解析し、シャペロンと 推測される蛋白質とオペロンを形成していること、他のビブリオ属細菌にも類似の遺伝子 が存在すること等を明らかにした。

以上のように、本論文はビブリオ・バルニフィカスの主要毒素である金属プロテアーゼ の遺伝子に関する新規知見を提供している。そして、それらは本菌の疫学研究等に広く応 用されるものと期待される。またセリンプロテアーゼに関する知見は、本菌の病原性の解 明に寄与するとともに、本菌感染症に対する適切な対策手段の確立へと繋がるものである。

したがって、学位論文に相応しいものであると判定した。

参照

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