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きた (Howard et al.1989, Cooney et al.1980, Porter et al.1987 ほか ) その結果どのような固定法を用いたことよりも どれだけ良好な整復位が得られ そして保持されたかによって最終成績が決定されることが明らかとなった たとえ徒手整復 ギプス固定で

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橈骨遠位端骨折

担当 辻 英樹

2004 年度版命題 ・橈骨遠位端関節外骨折、関節内骨折の治療アルゴリズムは? ・骨移植の適応は?また移植骨は何が最適か (自家骨 、オスフェリオン 、 バイオペックス) ・尺骨茎状突起骨折は内固定すべきか? ・関節内骨折の整復の許容範囲と整復方法

2005 年度改訂版付記事項

・ Plate 固定の変遷と update

・ 最近提唱されている Three column theory とそれに基づいた治療法 ・ 橈骨遠位端骨折に合併する軟部組織病変(手根骨間靭帯損傷と DRUJ)

歴史

転位のある橈骨遠位端骨折の治療は、過去には徒手整復とギプス固定が第一選択とされ てきたが、年々変化してきている。かつて Abraham Colles は橈骨遠位端骨折について、 こう記述している。「少し時間がたてばその手は痛みから完全に解放され、関節も自由に 動くようになる。しかし変形は一生涯消えることなく残存する」と。Colles がこの骨折 について記述したのは 1814 年のことである。麻酔もなかった(1846)し、無菌手術(1865) も、X 線(1895)も、電気器具(1879)もなく、時代は 4 代目大統領 James Madison の時 代であった。この時代、橈骨遠位端骨折は特に治療をしなくても予後良好の外傷である、 と多くの者は考えていた。しかし良くない場合もあると考えていた人もいたのであった。 確かに橈骨遠位端骨折の多くは徒手整復、ギプス固定で合併症なくまた良く治ることは 事実であるし、若年者、高齢者それぞれに解剖学的な“許容範囲”が存在する為、骨折に よって生じてしまった解剖学的変化にも患者は順応していくことが可能である。 しかし骨折が不安定である場合や関節面にかかる骨折の場合は特別な注意を払って治 療しなくてはならない。周知の通り橈骨遠位端骨折で変形が残った場合、「痛みなく自由 に動くようになる」ということはむしろ例外である。治療に対する患者の要求はどんどん エスカレートしている。我々整形外科医はこの骨折についてより理解を深め、最善の治療 を提供する義務を負っているのである。

疫学

アメリカでは救急センターで取り扱われる全骨折の中で橈骨遠位端骨折の割合は約 16 ~20%に上る。発生は青年層と老年層の二層の分布を示す。老年層では女性が 79.5%を 占める。そして約 50%が radiocarpal,または DRUJ にかかる骨折である。

治療方針

治療のゴールは手の機能を損ねることなく、機能的解剖を再び得ることである。骨折型、 転位の程度、安定性、患者の年令、要求度により best な治療方法を決定する。では解剖 学的構造と機能はどのように関連しているのか?これに着目した多くの研究がなされて

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きた(Howard et al.1989, Cooney et al.1980, Porter et al.1987 ほか)。その結果ど のような固定法を用いたことよりも、どれだけ良好な整復位が得られ、そして保持された かによって最終成績が決定されることが明らかとなった。たとえ徒手整復、ギプス固定で も良好な整復位が得られ、保持されていれば十分満足できる結果が得られる訳である。 しかし一方では解剖学的変形が残存したとしても臨床的な機能障害とはそれほど関係が ないとする報告も多数ある。しかしこれらの報告は高齢者の活動レベルの低い患者を対象 としているのが殆どである。若年者では前述の如く治療に対する要求度は高い。治療者に はかなり strict に構える姿勢が要求されよう。それでは高齢者の治療にあたってはどの 程度まで変形を許容できるのか?ここでひるがえって高齢者で成績不良例を検討した文 献に着目してみる。するとやはり成績不良例の大半は変形が高度に残存している症例であ った。やはり高齢者であっても解剖学的に整復し、それを保持するという医療者の姿勢が 要求されるのだ、と筆者は考える。個々の骨折における治療アルゴリズムについては後述 する。

初期治療と評価

救急外来に橈骨遠位端骨折患者が来た場合、当たり前のことではあるが以下の項目につ きチェックする。

① 受傷状況の詳細な聴取・・・High energy 外傷か low energy 外傷か?また受傷のメ カニズムは?これにより骨折型を推察できる。 ② 開放創の有無・・・小さい傷は開放骨折を意味するかもしれない。 ③ 軟部組織の評価・・・これは手術的治療が必要になった際の手術の時期と手術方法 の決定の際に問題となる。関節面の整復は受傷直後に行われるのが理想である。しか し軟部組織損傷がひどければ初期治療は徒手整復、シーネ固定にとどめ 5~6 日間手 術を待期する。また開放骨折の場合徹底したデブリードマンの後一次的に骨接合をす る場合もあるが、軟部組織の二次的損傷を考え、例えば創外固定にとどめる、といっ た“Damage control orthopaedic surgery”を考慮しなければならない場合もある。 ④ 神経学的所見は?・・・特に正中神経障害など。 ⑤ その他の合併症は?・・・血行障害、腱断裂(特に EPL 腱)、コンパートメント症候 群など。 ⑥ 画像診断・・・単純 X 線は中間位で撮影する。回内位で撮影されることが多い。こ れでは Ulna variance が長く見えてしまう。比較するため健側も必ず撮影する。骨折 の粉砕、転位、関節内骨折を伴う場合、X 線画像のみでは不十分である。この場合 CT、 断層 X 線が有用である。特に関節面の gap, step off の残存は変形性関節症に移行す ることを認識すべきである。 ⑦ 手根靭帯損傷の有無・・・手掌靭帯損傷は必然的に橈骨手根関節脱臼骨折に合併す る。舟状骨月状骨間靭帯断裂は橈骨遠位部骨折の 30%、月状骨三角骨靭帯断裂は 15% に合併するとされる。前者は舟状骨月状骨間稜線に及ぶ転位した橈骨茎状突起骨折に 合併することが多い。 画像診断から骨折型を分類し(分類法については後述)、そして転位の程度を記載する。 重要なのは ulnar inclination(23°)、volar tilt(11°)、ulnar inclination(通常 0mm: 61%)、DRUJ の整復である。その他尺骨茎状突起骨折の有無も記載する。ある Cadavar study によれば 4mm 以上の短縮、15゜以上の背屈変形は、尺骨茎状突起骨折、TFCC の破綻なし

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には起こりえないとされる。 画像診断による骨折評価 1. 単純 X 線 Ulnar inclination Volar tilt Ulna variance DRUJ の転位 尺骨茎状突起骨折の有無 ⇒骨折型を分類(後述) 2. CT,断層 関節面の評価 転位の大小を評価

分類

AO 分類が最も詳しく、多くの骨折の解剖学的カテゴリーを網羅できる理想的な分類法 である。Muller ら(1987)が指摘しているように、分類というのは骨折の形態と重症度を 考慮し、治療法の指針となり、治療成績を評価できて初めて有用なものとなる。Type-A は関節外骨折、Type-B は一部関節内骨折を含む骨折で、関節面の一部は骨幹端部と連続 している。背側、掌側辺縁の骨折や橈骨茎状突起骨折、die-punch fragment などが含ま れる。Type-C は完全な関節内骨折であり、高エネルギー骨折である。関節面と骨幹端部 は連続しない。この AO 分類は骨折の重症度と複雑さによって更に群(group)、小群 (subgroup)に分けられる。このガイドラインではこの分類によって個々の治療について 後述する。 その他の分類法には Fernandez が提案した受傷機転をもとにした分類がある。小児例や安 定性についても触れており、またそれぞれのカテゴリーで推奨される治療についても言及 している。

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治療指針・アルゴリズム

まず橈骨遠位端骨折の治療にあたっての point であるが、 Point① 転位がわずかな関節内、関節外骨折、また短縮の程度が最小限の安定型の 陥入骨折は徒手整復、外固定で治療可能である。 Point② 初期の徒手整復が良好でも、外固定で整復位が保てない症例がある。 Point③ 徒手整復が不可能な骨折は観血的治療を要する場合が多い。 そこで整復・保持の目標であるが、 これらの値は臨床成績の retrospective 検討、またバイオメカニカル的検討から報告さ れたものである。橈骨の 2~3mm の短縮は尺骨への負荷の増大となる。Cadavar 実験によ れば短縮が 10mm になれば前腕回内は 47%、回外は 27%減少する。3-6mm の短縮について も臨床的に回旋障害、握力減少、尺骨-手根間インピンジメントによる二次的な疼痛をき たすことが報告されている。Dorsal tilt が増加すると、力の伝導は尺側、背側に偏位す る。これは臨床的に手根骨不安定症を惹起する。つまり DISI 変形、midcarpal instability による疼痛を招く。Ulnar inclination が減少すると手根骨が橈側に shift する。2mm 以 上の shift は機能障害をもたらすとされる。Knirk と Jupiter は 2mm 以上の関節面の転位 は外傷性関節症になることを報告したが、他の報告では 1mm 以上で手関節痛や拘縮をきた すとするものもある。 関節面の step-off に関しては、関節軟骨の厚さ以内の step-off に対してのみ自家矯正 能力が期待出来るとされるが、関節面の変形治癒が関節症性変化を引き起こすことはもは やよく知られた事実である。特に lunate fossa の解剖学的整復が重要であるとする報告 もある。 したがってまず転位のある場合には整復を試みる。整復はフィンガートラップにによる 牽引が atraumatic で推奨されるが、設備、時間がない時は血腫内局所麻酔下に行ってよ いと考える。原則的には保存的にこれらの整復が得られない、または保持ができないと判 断した時に手術を考慮する。 それでは整復前の X 線から不安定型、つまり外固定では整復位の保持が難しい症例の予 測が出来るだろうか?AO 法のマニュアルでは以下の項目を挙げている。AO 分類では下記 ⑥の転位の大きい B2, B3 は別にすると特に A3, C2, C3 が該当すると考えられる。 徒手整復後に外固定では保持困難が予測される因子 ① 骨折部前後径の 50%を超える背側の粉砕 掌側骨幹端部の粉砕 受傷時の dorsal tilt20゜以上 受傷時の骨片転位 1cm 以上 受傷時の橈骨短縮 5mm 以上 関節面の破綻 具体的には ① 橈骨の 2mm 以上の短縮 Ulnar inclination の 5°以上の変化 Volar tilt の 10°以上の減少 DRUJ の整復不足 関節面の 1 ないし 2mm の step off を残さず整復すべきと考える。

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尺骨骨折の合併 広範な骨粗鬆症 長期の固定は、臨床的にも実験的にも関節軟骨や軟部組織によい影響を与えない。つま り良い整復位を獲得することの他に、早期リハビリテーションが可能な固定法を選択する ことが大切である。その他手術操作時に軟部組織のダメージを少なくすることも関節拘縮 を最小限にする上で重要である。

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治療各論

以上このアルゴリズムに従えば、AO 分類により分類された各 type における治療指針が 出来上がる。我々は非観血的治療、観血的治療など、この骨折の治療に用いる戦略手段を 併せ持っている。実際にはこれらを組み合わせて治療していく。以下には各治療手段にお ける役割と type 別治療を詳しく述べる。 保存治療(徒手整復、ギプス固定) 転位のない安定型骨折に対しては今だ治療の基本である。この type の骨折では後で転 位、変形を来すことはなく、中間位にてきつくない外固定で十分である。ギプス固定は MP 関節にかからないよう行う。 外固定中の骨折の再転位を防ぐ目的のいわゆる Cotton-Loder position は過去のものに なりつつある。この固定法は手根管の圧迫をきたし、屈筋腱の機能障害を来たす。もはや popular なものではない。最近の一般的文献では前腕中間位から回内位で、手関節軽度屈 曲尺屈位で上腕ギプスをし、その後前腕ギプスとし、total6W としている。初期固定は橈背 側のギプスシーネ固定で十分である、とするものもある。骨折部の治癒機転が認められる 前にギプスを巻き直す場合は再転位しないよう注意する。再転位は少しずつそしてゆっく りと生じる。前回だけでなく、さらにその前の X 線との比較をしなくてはいけない。再転 位の予測因子については前述したが、老年者の 60%が再転位をきたしたとする報告もあ る。また老年者の再整復の成績は悪いとされており、外固定のみでの整復位保持は比較的 難しいと言える。 整復位の保持に優れ、また拘縮が少ない外固定法として Gupta は手関節背屈位固定を報 告した。高畑はギプスの圧迫する部位を変更してこの方法を追試している。これはフィン ガートラップ下に骨片を整復し、手関節を背屈し手根骨背側部を強く圧迫した状態でギプ ス固定するというものである。AO typeA2-2 7 例、typeA3-2 23 例、typeC2-1 2 例、typeC3-2 6 例計 38 例中 10W 以上の経過観察で Excellent 20 例、Good 11 例、Fair 0 例、Poor0 例 と良好な成績を報告している。

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経皮 pinning 固定

De Palma が 1952 年報告して以来、経皮 pinning 単独法でも創外固定併用法でも、確立 された手技として広く施行されている。単独法はあまり粉砕の著しくない関節外骨折や不 完全関節内骨折、橈側剪断骨折に適応がある。骨折型に応じて様々な手術手技がある。 K-wire を茎状突起から挿入する方法、intrafocal 法(kapandji 法)、近位骨幹部より遠 位骨片内に整復しながら入れる方法(髄内釘法)、DRUJ を貫く方法などがある。

また創外固定によって橈骨の長さを保持したとしても、骨折部は(関節面も含めて)そ の後、転位と変形を伴って癒合するかもしれない。創外固定単独では橈骨の短縮を予防で きるが、palmar tilt を矯正することはできない。創外固定法に加えて、経皮 pinning を追 加することにより骨片を整復保持し、十分な安定性を与えることができる。

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Intrafocal 法(Kapandji 法) 創外固定法 創外固定法は圧迫型骨折に対して理想的な方法である。また骨折が骨幹端部の粉砕を伴 っている場合は、関節面が再建されたとしても骨折部は短縮し、安定化させることは難し い。このような骨折では創外固定の適応がある(AO-A3,C2,C3)。 初期の頃では過度に牽引し、手関節を極端に掌屈、尺屈させ、さらに 8W もの固定期間 をとっていた。このため痛み、手、手関節の拘縮、偽関節、RSD といった様々な問題が生 じた。しかし最近では手術手技が向上したこと、デザインが改良されたことによりこのよ うな合併症は少なくなってきている。 Ligamentotaxis によって全ての関節内、外骨折が解剖学的に整復される訳ではない。 経皮 pinning の項でも述べたように創外固定法単独では、橈骨の短縮を予防できるが、 palmar tilt を矯正することはできない。牽引が過牽引になったり、掌屈尺屈が過ぎると、 外在筋の過緊張、手指の拘縮、正中神経圧迫、更には RSD を引き起こすということを認識 すべきである。 創外固定法における手技の point を記す。

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① 創外固定法は橈骨長と ulnar inclination を保持するのには優れているが、volar tilt はやや整復されにくい。その際牽引するだけではダメで、中手骨を掌側に移動させ ることで月状骨が掌屈し、背側骨膜が緊張し volar tilt を得やすくなる(図)。 ② 経皮 pinning の項で述べたように、創外固定後も不安定な骨片には経皮 pinning や内固 定を追加することで牽引力を適切に出来、骨片を整復固定できる。また整復位を保持す るための極端な手関節屈曲、尺屈を減らすこともできる。整復のために始めは手関節を 過牽引するが、固定にはある程度その力を減らさなくてはならない。 ③ 過牽引の程度は有頭骨と月状骨間の距離でわかる。Gap が 2mm 以上であれば牽引力が強 すぎる。また装着時は指を簡単に他動屈曲できなくてはいけない。装着期間も普通は 5-6W で、その後ただちに手関節可動域訓練を始めるべきである。

手関節運動が可能な創外固定器(dynamic mobile fixators)の有用性はまだ明らかと はなっていない(Raskin 1994, Clyburn 1987)。

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創外固定法に経皮 pinning を追加

付記)Pins-and-plaster 法は 1929 年 Bohler によってはじめて報告された。骨折部の近 位と遠位に pin を挿入してギプスを巻き付けるものであるが、理論的にはよいものの実際 的には難しい。適切な molding ができずかえって再背屈変形を来すことがあり、今日では 殆ど用いられていない。

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小切開による観血的整復術(Limited open reduction)

圧迫型の骨折に対して創外固定法による ligamentotaxis を施行したが、関節面の整復 が十分に出来なかった場合の追加的方法として用いられる。X 線透視下に背側に小切開を 加えて圧迫された関節内骨片を細かく整復し圧迫を除去する方法である(Axerlod 1988)。

X 線透視下の limited open reduction 観血的整復内固定術(ORIF)

ORIF は剪断型の関節内骨折(Barton Type)に対しては第 1 選択となる方法である。軟 部組織への侵襲を最小限にして、固定性を得ることができる low-profile plate が最近出 てきている(ACE symmetry plate など)。関節内骨折で骨片が大きい場合は lag screw と plate により整復・安定化することができる。AO のマニュアルでは以下の条件を満たす症 例では創外固定の代わりに plate 固定を行えるとしている。 ・ Plate の対側骨皮質の正確な整復が可能 ・ 遠位骨片に screw が効く強固な部分が存在する ・ 欠損部や粉砕部に一時的骨移植を行うこと ・ 軟部組織で一期的にインプラントを被覆できる 高度に粉砕した圧迫骨折、複合骨折では、ORIF に骨移植を施行し、さらに K-wire 固定 を追加することで十分な関節面の整復と保持が可能である。しかし、更に創外固定の追加 が必要な場合がある。これらについては後述する。 Plate デザインの変遷 最近まで plate 固定の適応は、特に橈骨遠位背側面の骨折には限られていた。初期のも のは非常にbulky で解剖学的に合うようなものではなかった、ということも理由の一つで ある。伸筋腱のirritation をきたし、抜釘が必要であった。Screw をうつ位置も限られてい て、色々な骨折パターンに対処できなかったこともある。最近ではlow-profile、たくさん screw のうてる柔軟な plate が開発されてきている。

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第一世代の橈骨遠位端骨折用plate は AO oblique T plate である(図)。この背側 plate は 薄くて柔軟性があるにも拘らずscrew は 3.5mm と太く、たくさん打つことが出来なった。 よって固定できるのは大きい骨片に限定されたのである。

このような問題を打破しようと開発されたのがいわゆる第二世代plate が Pi-plate である (図)。この背側plate は low-profile で screw head が隠れ、柔軟性があり、理論的に伸筋腱 障害が少ないはずであった。関節面のscrew は 2.4 ないしは 1.8mm と細い。加えてチタン 製であることとscrew が plate と lock する点が特徴的であった。しかしこの Pi-plate でも高 率に伸筋腱障害が起こってしまった。改良型Pi-plate では遠位 screw 刺入部が taper された skid になっていて、さらにステンレス製となった。この改良型 Pi-plate と同時期に Forte plate(Zimmer)が登場した。Oblique T plate であるが screw head は隠れるようになっている。 他の背側 plate には low-profile、多数の角状固定性のあるものが採用された。SCS plate (AVANTA)はこの buttress テクニックが採用され、背側、掌側にも置くことができる。この角 状固定性をもった plate は実験的には従来の plate-screw システムに比べて 2.4 倍の強度と 剛性をもっているとされている。しかし predrill の際にドリルガイドを設置する必要があ る。 AO oblique T plate Pi-plate そして最近第三世代ともいうべき plate が出現した。これには 2 つの新しい特徴がある。 それは骨片に特異的固定が出来るということと、角状固定性を持った掌側 plate であると いうことである。骨片に特異的な固定は、小さく、low-profile な plate を使用し、小骨 片に対して small screw, K-wire, peg をうつことで可能となる。Peine らは low-profile,

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less rigid なインプラント Trimed system(図)を報告した。 彼らは変形を生じる力に対して直角に当てた時そのバイオメ カニカルな安定性は最大になる、と報告している。一方角状 固定性掌側 plate システム DVR は、背側転位した関節内骨折 に用いられる。他の角状固定 plate と同様に軟骨下骨支持の peg を用いる。加えてこのシステムには角状固定 screw と通 常の screw とを使い分けることが出来る。Orbay と Fernandez は近年掌側拡大 FCR アプローチでこの plate を用いることに より、背側骨片の整復を行えると報告している。 残念ながら、橈骨遠位端骨折の治療に関する臨床報告の Trimed system 大部分は研究方法に欠点がある。機能評価法も標準化されておらず、バラバラである。加 えて限定されたtrial の結果が標準化されたりすることで、十分な根拠がなくその方法が広 まってしまうこともある。しかしながら、時代は確実に創外固定からORIF へ移行し、そ れも背側から掌側 plate にその有用性が強調されてきている。これを裏付ける要因がいく つかある。特に3 次元再構成 CT などの画像診断の進歩により、関節内骨折のパターンが がより正確にわかるようになったことが挙げられる。これらの画像研究は解剖学的要素の 機能的重要性を定義するのに役立つものである。特に最近提唱されている columnar theory と、それに基づく columnar fixation の概念は粉砕型橈骨遠位端骨折の内固定戦略 を大きく変えようとしている。

Columnar theory

Peine ら、Jakab らは橈骨遠位端骨折の治療にこの columnar theory を提唱してきた。 すなわち前腕の遠位には橈側、尺側、中間の 3 つの column がある。橈側とは橈骨茎状突 起骨片である。中間とは月状骨による die punch 骨片と、sigmoid notch 周囲の compornent から成る。尺側とは尺骨、DRUJ、TFC から成る。各 column とも骨折の安定性、再建にとっ て固有の特徴がある。 Columnar theory に基づいた固定概念 橈側 column の高さを再建することが、例えば足関節骨折で外果の長さを保つが如く、 不安定型橈骨遠位端骨折の固定の試石である。展開は茎状突起から 3-4cm とし、橈骨動脈 の 5mm 橈側より入り、腕橈骨筋を分ける。時には牽引にて骨片を整復、固定する。 中間 column 骨片とは背側 cortical, 掌側縁、背尺側、掌尺側骨片である。それは骨折 によりバラバラだったり、合わさっていたりする。重要なことは背尺側、掌尺側骨片は sigmoid notch 全体を構成し、DRUJ の安定性に関与しているということである。掌側靭帯 の方が DRUJ の安定化には重要であり、掌側骨片を解剖学的に修復することが重要とする 報告もある。背側 cortical, 掌側縁骨片は通常圧迫外力により起こり、しばしば全く別個 の関節内陥没骨片を含む。

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通常第 3 コンパートの直下に骨片がある。第 5 コンパートの直下に sigmoid notch がある。 掌尺骨片は重要であるがしばしば見逃されがちである。これが解剖学的整復固定されな いと、月状骨は掌側偏位し、手根骨全体が亜脱する。この骨片は斜位 X 線かCTで見えや すい。この骨片は掌尺側の単独皮切からアプローチできる。尺骨動静脈を尺側に、屈筋腱 を橈側によけて、方形回内筋をよけると骨片が見える。 尺側 column の固定性は手術室を離れる前に評価しなければならない。尺骨茎状突起の 基部での骨折は背側、掌側橈尺靭帯の破綻を来たし得る。これについては後述する。また 尺骨頚部骨折が粉砕、あるいは不安定であった場合はその安定化が必要である。尺側 column の適切な安定化をしなければ DRUJ の痛みを伴った不安定性を引き起こし、前腕可 動域制限を来たすかもしれない。 次項の「筆者の勧める治療方法」で具体的に固定方法を述べる。 鏡視下整復 手関節疾患の治療に手関節鏡が用いられているが、橈骨遠位端関節内骨折の治療にも応 用されている。Gupta は、手関節鏡視下整復法は侵襲が小さく、術後の痛みが少なく、就 労復帰が早いことを報告している。手関節鏡は関節面の gap、step off や靭帯断裂などを 直接評価できる。これは直視下より良く見える。またイメージ下での関節面の評価は適切 ではない事が報告されている。鏡視下では整復、固定中に関節面の安定性、適合性を確認 することができる(図)。しかし転位が強く回転転位しているものでは鏡視下整復は不可能 である。 鏡視下整復法

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軟部組織損傷に対する鏡視診断

橈骨遠位端骨折に手関節内軟部組織損傷が合併するとする多く報告がある。しかしその 損傷が予後にどれだけ影響を与えるのか、そして治療した場合どれだけの結果を与えられ るのかはよくわかっていない。関節造影で TFC の高い合併率を示した 4 つの報告がある。 Fontes らは 58 例中 66%、Mohanti らは 60 例中 45%としている。また Geissler らは関節 内骨折 60 例中 49%と報告している。舟状月状骨間靭帯、月状三角骨間靭帯の損傷も見ら れるがそれ程多いものではない。ある報告ではその頻度は前者は 32%、後者は 15%であ る。しかし Lindau らは関節鏡を行った 50 例中、78%に TFC の、54%に舟状月状骨間靭帯 の、16%に月状三角骨間靭帯の損傷があった、としている。 骨移植 関節外骨折でも関節内骨折でも、皮質骨の粉砕と海綿骨の損失を伴うことがある。骨片 を持ち上げて整復して 5mm 以上の骨欠損があれば骨移植の適応となる。粉砕の強い骨幹端 部を開けて整復すると骨欠損が生じ、橈骨の短縮の原因となる。 骨移植術がただ単に短縮を予防するだけでなく、骨癒合を促進させ創外固定を早く除去で きることが報告されている。骨採取にかかる時間と骨採取部位の問題から、最近は移植骨 の材質に関心が集まっている。使われる材質には軸圧負荷に対する支持性、骨伝導能、骨 との置換性が求められる。

Pro Osteon Implant 500 は珊瑚から抽出した hydroxyapatite である。骨伝導能を有し、 移植した周囲の骨からの急速な ingrowth がある。橈骨遠位端骨折に対しての臨床応用で は、この製剤の移植を創外固定と K-wire 固定と併用した場合、整復位の維持に有用で、 他の方法と比較して安全であるという報告もある。

また Norian SRS Skeletal Repair System(バイオペックス)は注入でき、早く用意で き、骨のミネラル成分と類似した carbonate apatite を形成する calcium phosohate cement である。橈骨遠位端骨折に対しての臨床応用でもよい成績が報告されてきている。初期の 経皮的テクニックを使っていた場合は骨欠損部に十分にセメントが充填されておらず、骨 折部の圧潰が生じた例もあった。よって小切開で血腫を除去し、海綿骨を圧迫してから直 視下に充填する方法がとられるようになった。しかしこれには背側軟部組織の展開を必要 とする。そこで粗鬆骨の脊椎圧迫骨折に使用される balloon tamp を応用し、これを経皮 的に骨折部に挿入した後、セメントを注入するという方法が報告されている。新鮮凍結屍 体標本骨折モデルを用いた実験では、この balloon を使用した群では経皮的、あるいは小 切開で注入した群よりも多くのセメントを注入でき、注入後の強度も一番強かったという。 自家海綿骨移植、人工骨移植との比較研究, RCT はまだ報告されていない。将来的には 例えば BMP などの骨伝導蛋白などを添加することで、これらの人工骨製剤の使い道が広が

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って行くだろう。 尺骨茎状突起骨折、TFC 損傷の合併 前述の尺側 column 損傷である。これにより橈骨骨折の転位がおこりやすい。Shaw らは 屍体モデルで、剥離した尺骨茎状突起を修復することで DRUJ の不安定性が改善されたと 報告した。その後、臨床的にも尺骨茎状突起あるいは TFC を修復する必要がある、とする 報告が多数なされた。しかし Ekenstam らの RCT では、TFC、尺骨茎状突起の修復をする利 点はないと結論している。また茎状突起の偽関節はよくおこることであり、それ自体は安 定性には関与するものではない、としている報告もある。 術前 X 線による不安定性についての evidence は乏しいが、一般的には尺骨茎状突起基 部骨折による大きな骨片は掌側、背側の橈尺靭帯の付着部を含んでいるので不安定性をき たす可能性が高い。治療については後にまとめるが、たいていこの骨片は前腕回外位で整 復される。安定すれば 4-6W の回外位固定の後可動域訓練とする。もし回外位で整復、保 持されなければ ORIF とする。また術前 Xp で橈骨がかなり短縮しているにも関わらず尺骨 茎状突起基部骨折がない場合、DRUJ 靭帯損傷を疑うべきである。橈骨骨接合後に不安定 性が強い場合、下記の如く治療すべきである。 ここで考えられるのは尺骨茎状突起骨折の有無が全て安定性に関与するわけではなく、 遠位橈尺関節の安定性に関与している場合が存在するということである。すなわち橈骨を 整復、固定した時点での遠位橈尺関節の安定性を確認すべきである、ということである。 不 安 定 性 の 評 価 方 法 で 絶 対 的 な も の は な い が 、 対 側 と 比 べ て 1cm 以 上 の 掌 背 側 translation か、激しい回旋不安定性は有用な指標である。 以下に 3 つのパターンに分けて治療法を記す。 ① 遠位尺骨が安定している場合 前腕の回旋で徒手的に評価する。安定している場合、それ以上の処置は必要ない。尺骨 茎状突起骨折の有無は問題にならない。 ② 遠位尺骨がある肢位(通常回外位)で安定し、それ以外の肢位で不安定な場合 安定している肢位で前腕回旋を防止したシーネ、装具を 4-6W 装着する。または橈骨か ら尺骨に DRUJ を避けて 2.0mm K-wire による cross pinnig を行う。

③ 遠位尺骨がどんな肢位でも不安定な場合

これは複合粉砕骨折の場合よく生じる。尺骨茎状突起骨折がないか、小さい場合は尺骨 を前腕回外位で保持し cross pinning する。たいていは TFCC 損傷も含んでいるので、 時に尺骨骨幹部に開けたドリルホールに糸を通して TFCC を縫合固定する。

尺骨茎状突起骨折が大きい場合は骨片を tension band wiring によって内固定する。靭 帯損傷も合併している場合もあるので、さらに cross pinning を追加固定し前腕ギプス 固定する。あるいは遠位尺骨の最も安定した位置で 4-6W の上腕ギプス固定を行う。

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筆者の勧める治療方法

以下に AO 分類に基づいた各骨折型に対する治療法を、筆者の勧める方法として述べる ことにする。 AO-typeA2・・・ 関節外陥入骨折、または安定型 Colles または Smith 骨折である。まず徒手整復、ギプ ス固定を試みる。整復後ガイドラインの治療方針で述べた①橈骨の 2mm 以上の短縮② radial inclination の 5°以上の変化③volar tilt の 10°以上の減少④DRUJ の整復不足 があれば経皮 pinning を試みる。しかし多くの場合保存治療でいけると考える。

(21)

AO-typeA3・・・

背側の骨幹端部が粉砕すると A3 となる。当然徒手整復+ギプス固定で行きたいが、前述 の整復保持困難因子があると手術適応となる可能性が高いだろう。骨質が比較的よく、粉 砕が高度でなければ経皮 pinning とする。筆者は Kapandji の intrafocal pinning 2 本、 extrafocal pinning 2 本にて行っている。骨幹端部の粉砕が強い場合は骨質がよければ 転位の方向に応じて掌側または背側からの plate 固定と骨移植術を行う。Plate 固定は創 外固定法と異なり、手関節早期可動域訓練が可能である。骨質が良くない場合は短縮予防 に創外固定を装着する。Locking plate を使えばその必要はないかもしれないが、筆者は 多くの経験はない。透視下に骨折部に 5mm 以上の骨欠損がある場合は limited open とし、 骨移植する。場合により K-wire による pinning も追加する。 AO-typeB1・・・ 転位が小さければギプス固定を行う。転位があるもの(関節面の 1 ないし 2mm 以上の転 位)は徒手整復と経皮 pinning、または経皮的 canulated screw 固定を行う。整復は関節 面を合わせるだけでなく、掌側の靱帯を戻すために行う。骨片が大きく近位に大きく転位 している場合は舟状骨月状骨間靭帯損傷がある可能性がある。背側進入からの ORIF を関 節鏡視下に行う。靭帯損傷があれば temporary に K-wire 固定する(4-6W)。

(22)

AO typeB1 に対する lag screw 固定

AO-typeB2・・・

単独で起こることは稀であり、橈骨茎状突起骨折と合併することが多い。骨片の大きさ に応じて K-wire、もしくは screw 固定する。不安定型背側縁骨折には背側から buttress plate 固定する。Plate は ACE symmetry plate、または AOπ plate を使う。橈骨手根関 節脱臼の場合もこの type に含まれるが早期脱臼整復し、掌側関節包の修復、正中神経除 圧が推奨される。剥離骨片は K-wire 固定するが、小さければ suture anchor system を使 って小骨片を逢着する。

AO-typeB3・・・

掌側から buttress plate 固定する。整復は手関節過伸展で行う。掌側の靭帯を温存す るため関節面は関節鏡で整復を確認したい。Plate は ACE symmetry plate、もしくは AO buttress T-shaped plate を使用している。Locking plate を使用する場合は遠位の screw は lag screw とする。

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AO typeB3 に対する掌側プレート固定

AO-typeC1・・・

関節面の転位を CT,断層 X 線を施行し判断する。徒手整復、ギプス固定を試みる。ガイ ドラインの治療方針で述べた①橈骨の 2mm 以上の短縮②radial inclination の 5°以上の 変化③volar tilt の 10°以上の減少④DRUJ の整復不足、⑤関節面の 1 ないし 2mm の step off があれば手術適応とする。固定は経皮 pinning で十分と考える。橈骨の尺背側の骨片 の整復は小皮切から X 線透視下に行い、経皮 pinning により固定する。

(24)

AO-typeC2・・・

骨幹端部の粉砕があるので、短縮予防のため創外固定にて骨長を保持する。関節面の整 復は鏡視下に行う。Die punch fragment は前述の limited open reduction により行う。 関節面骨片の固定、関節外アライメントの保持に経皮 pinning を追加する。骨欠損が大き い場合が多いと考えられるため、骨移植を行う。Plate 固定も骨幹端部の粉砕にも安定性 を与えられるので、前述の plate 固定の適応条件を満たせばよい適応と考える。この場合 も骨移植を必ず行う。Locking plate を使用すればこの必要はないかもしれない。しかし 骨幹端部の粉砕が広範囲に骨幹部にまで及んでいる場合(AO-typeC2-3)、適切な長さの plate が見つからないことがある。この場合は 2 枚の小 plate を橈骨の橈尺側から 2 枚を 垂直にあてる方法が勧められる(図)。この固定法は臨床的、バイオメカニカル的にも安 定した固定性を得ることが出来るとされている。 二枚小プレートによる固定 AO-typeC3・・・ この type も骨幹端部の粉砕があるので短縮予防のため創外固定にて骨長を保持する。 関節面の整復は鏡視下に行うが、粉砕骨片が大きく回転転位しているようなものでは ligamentotaxis では整復不可能である。関節面骨片の固定、関節外アライメントの保持 に経皮 pinning を追加するが、粉砕の程度が強く pinning では固定性が十分でないもの、

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骨片が落ち込んでいて整復不可能なものでは、open として整復し plate 固定を追加する 必要がある。骨移植を行う場合がほとんどであろう。Plate 固定単独では遠位の screw 固 定が十分でないので locking screw や、関節面の小骨片をとめる為に遠位小骨片に小 screw あるいは pin を横にうてるようデザインされた plate であれば考慮されるが、筆者には経 験がない。 また AO のマニュアルには転位の大きい 4parts 骨折に対する掌側 plate、背側小切開整 復固定、骨移植、創外固定を推奨している。すなわち掌側に plate を当てることによって 掌側骨皮質の力学的連続性を復元させて強固な土台づくりをした後、ligamentotaxis と 背側小切開からの整復と腸骨移植を併用することで背側尺側骨片と橈骨茎状突起骨片が 整復可能となる、としている。筆者もこの方法を採用したい。

前述した column theory に基づいた 4parts 骨折の治療法を紹介する。通常牽引だけで は掌内側の骨片は回旋してしまうため徒手的に整復できない。まず茎状突起骨片は透視下 に徒手整復し、2 本の K-wire で骨接合する。次に屈筋腱と尺骨動静脈間より掌内側の骨片 を展開する。ここで 2.7 あるいは 3.5mm の buttress plate で固定する。ここで重要なの はこの骨片をとめることで DRUJ の適合性と安定性を得るということである。最遠位の screw hole には screw はうたないようにする。これは背内側骨片の整復を妨げるからであ る。ここで手関節を牽引し鏡視する。背側骨片をよく見るには 6R portal がよいだろう。 場合によっては掌側からの鏡視もよいかもしれない。

ここで骨折は 3-parts となっている。背内側骨片を関節内外より整復する。鏡視下に関 節面が合ったら、横方向に pinning で固定する。固定されたら、掌側 plate の遠位 screw を挿入、固定し背側骨片を捕まえる。創外固定、骨移植は locking plate を使用すれば必 要ないかもしれない。 骨移植材料・・・ 本文でも述べた通り RCT が存在しないため、どれがよいか明確な答えはない。個人的に は非常に大きい骨欠損でない限り、オスフェリオンで十分であると考えてはいるが、創外 固定を 4W で除去したら短縮をきたした AO typeC2 例を経験している。 尺骨茎状突起骨折の合併例・・・ 橈骨骨折が保存でいけるものは骨接合しない。しかし尺骨茎状突起骨折合併例は橈骨骨 折の再転位が起こりやすいのも事実である。手術に至った症例には前述の DRUJ,遠位尺骨 の安定性によって治療法を選択する。

参考文献

1. Paul MS, et al. Fractures of the distal aspect of the radius: Changes in treatment over the past two decade. AAOS Instructional Course Lectures,

Vol.52:185-196, 2003.

2. Distal radius fractures. Orthopaedec Knowledge Update 2 Trauma.65-89, 1999. 3. Ruedi TP, Murphy WM. 糸満盛憲編集 AO 法骨折治療. 第 1 版:280-294, 2003.

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4. Schatzker J, Tile M. 平澤泰介監訳 骨折 –理論的治療と実際. 改訂第 2 版: 167-185, 1999.

参照

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