正常および増植亢進状態のモルモット表皮に対する 粗製コールタール塗布+長波長紫外線照射の細胞動 態学的作用
著者 谷口 章
著者別名 Taniguchi, Akira
雑誌名 博士学位論文要旨 論文内容の要旨および論文審査
結果の要旨/金沢大学大学院医学研究科
巻 平成4年7月
ページ 71
発行年 1992‑07‑01
URL http://hdl.handle.net/2297/14996
学位授与番号 学位授与年月日 氏名 学位論文題目
医博乙第1149号 平成3年11月6日 谷口章
正常および増殖冗進状態のモルモット表皮に対する粗製コールタール塗布十 長波長紫外線照射の細胞動態学的作用
論文審査委員 主査 副査
教授 教授 教授
廣根 中西 中沼
孝功安 衞夫
内容の要旨および審査の結果の要旨
粗製コールタール+長波長紫外線(UVA)または中長波長紫外線(UVB)照射は表皮細胞の増殖活性 冗進を特徴とする尋常性乾癬の治療法として用いられているが、紫外線の作用波長とタール自体の抗乾癬 作用の有無は今もなお論争されている。本研究では,これらの問題を解明するためモルモットの正常表皮 およびn-Hexadecane(n-HD)により誘導された増殖活性冗進状態の表皮に対する2%タール(T)
ワセリン+UVA(TWA)およびT単独の細胞動態学的作用を検討した。指標として,フローサイトメ トリーにより測定したS期細胞分画(S分画)とG2+M期細胞分画(G2+M分画)の値,プロモデオキシ ウリジン取込試験による標識指数(LI)および組織標本より求めた分裂指数(M1)を用いた。実験成績 の要約は次のとおりである。
1.正常表皮のT単独処置部では,対照と比べて,LIは4時間後まで有意に低下したのち24時間後に有意 の高値を示し,同時にS分画値も有意に増加した。M1は4時間後から12時間後まで有意に低下したが,
G2+M分画値は24時間後まで変動せず,その後有意に増加した。
2.正常表皮のTUVA1J/cmi処置部では,T単独処置後と比べて,LI低下の継続時間は同様であったが 程度はより顕著であった。M1低下の継続時間は18時間後までとより長く,程度はより顕著であった。S,
G2+M分画値の変動パターンはT単独処置後とほぼ同様であった。
3.増殖冗進状態の表皮のT単独処置部では,対照と比べて,LIは12時間後まで有意に低下したのち36時 間後有意の高値を示した。M1は24時間後まで有意に低下し,その後対照レベルに近づいた。S,G2+
M分画値は実験期間中常に対照レベルより高かった。
4.増殖冗進状態の表皮のTUVA1J/cnf4J/cnf処置部では,同様状態の表皮に対するT単独処置後と 比べて,Ⅲ低下の継続時間は同様であったが程度はより高度であった。M1低下の継続時間はTUVA4 J/㎡処置部で36時間後までとより長く,程度はより高度であった。S,G2+M分画値の増加はT単独 処置後より顕著であった。
以上の成績から正常表皮に対しても増殖冗進状態の表皮に対してもT自体がDNA合成および核分裂に 抑制的に作用すること,またこれらの抑制作用はTUVAにより増強されることが明らかにされた。なお,
抑制作用の増強はタール中の光毒性物質の光毒性反応によることが示された。
本研究は,TUVAおよびT自体の表皮細胞動態に及ぼす影響を実験的に解明し,抗乾癬作用の機序に関 する新知見を提供した点で価値ある論文と評価された。
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